JP4244824B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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この発明は内燃機関の燃料噴射制御装置に関するものである。
周知のように、車載内燃機関では通常、その排気通路に設けられる触媒によって、排気に含まれる有害成分(HC、CO、NOx等)を浄化するようにしている。そして、この浄化作用は、混合気が理論空燃比で燃焼されるときに最もその効率が高くなる。そこで、内燃機関に対する燃料噴射量の設定に際しては、混合気の実空燃比を理論空燃比に一致させ、上記触媒による排気浄化性能を最大限に高めるための燃料噴射量補正、即ち空燃比フィードバック制御が実行される。この空燃比フィードバック制御では、排気通路に設けられた排気センサによって排気の酸素濃度が検出され、この酸素濃度から燃焼に供されている混合気の実際の空燃比(以下、実空燃比という)が理論空燃比よりもリッチか或いはリーンであるかが判断される。
そして、その判断結果に基づいて燃料噴射量のフィードバック補正を行うための燃料噴射量補正係数を設定し、同補正係数に基づいて燃料噴射量を増量補正或いは減量補正することにより、実空燃比と理論空燃比とのずれを補償してこれらを一致させるようにしている。
そしてこのような空燃比フィードバック制御は排気の酸素濃度に応じた出力が排気センサから得られているという前提のもとで行われている。
ここで、上記排気センサは所定の活性化温度に達していないと排気の酸素濃度に応じた出力が得られないといった特性を有している。そこで、特許文献1に記載の装置では、機関始動後における排気センサの活性化状態を判断し、同排気センサが活性化状態にあることを確認してから上記空燃比フィードバック制御を開始するようにしている。
特開平5−71394号公報 特開2002−327640号公報
ところで、近年では、機関アイドル状態にあるときに内燃機関を停止させ、車両発進時又は発進時から所定時間経過した後に同機関を再始動させる、といったいわゆる機関の自動停止・自動始動を行うことにより、燃料消費量等を抑えるようにした車両が知られている。ここで、こうした自動停止時の機関停止時間は、機関の自動停止・自動始動が行われない通常の内燃機関(例えば運転者がイグニッションスイッチ等を操作することではじめて機関始動や機関停止がなされる内燃機関)の機関停止時間と比較して短い。そのため自動停止中の排気センサの温度低下は小さく、自動始動がなされる時には排気センサが速やかに活性化される傾向にある。また、機関停止時間が極めて短い場合等には、この自動停止中にあっても排気センサが活性化状態に維持されていることもある。
他方、車載内燃機関においてその始動時に燃料噴射量を一時的に増量すると、機関の始動性を向上させたり、機関始動時における排気エミッションを向上させたりすることができるといったことが知られている(例えば特許文献2参照)。このような始動時増量を実行する燃料噴射制御装置を備え、上述した機関の自動停止・自動始動を実施する内燃機関に上記特許文献1に記載の装置、すなわち排気センサが活性化状態にあることを条件に空燃比フィードバック制御を開始するような装置を適用した場合には、以下のような不具合が生じるおそれがある。
すなわち、機関停止時には排気センサが大気に曝されるため同センサの検出結果はリーンとなる。そして機関始動がなされると上記始動時増量によって実空燃比はリッチになるため、排気センサの検出結果もリッチになるはずである。ところが上記排気センサの検出結果と実空燃比の変化との間に応答遅れが生じると、始動時増量によって実空燃比がリーンからリッチに変化しているにもかかわらず、排気センサの検出結果は始動時増量後もしばらくの間はリーンとなる。このとき上述した通常の内燃機関であれば、機関始動時からある程度時間が経過した後に排気センサが活性化されるため、上記空燃比フィードバック制御が開始されるときには、この応答遅れに起因する排気センサの検出結果と実空燃比とのずれは小さくなっていることが多い。
一方、機関の自動停止・自動始動を実施する内燃機関にあって自動始動がなされる場合には、排気センサが速やかに活性化される傾向にあるため、上述した応答遅れに起因する排気センサの検出結果と実空燃比とのずれが小さくなる前に空燃比フィードバック制御が開始されてしまうようになる。そのためこの場合には、排気センサのリーン検出に基づいて空燃比をリッチ化するべく燃料噴射量が更に増量される。これにより実空燃比はリッチになっているにもかかわらず更にリッチ化されてしまうようになり、排気浄化性能の悪化を招いてしまうおそれがある。
また、車両の減速時や機関回転速度の過度な上昇時等に行われる燃料カット及びその復帰時も、上述したような機関の自動停止・自動始動を実施する場合と同様な現象が起きるおそれがある。すなわち、燃料カットの復帰時にも内燃機関での燃焼を速やかに回復させるために燃料噴射量が一時的に増量される。また燃料カット中には排気センサが大気に曝されるため同センサの検出結果はリーンとなる。そして、燃料カットの復帰時には排気センサが速やかに活性化される傾向にある。従って、上述した応答遅れに起因する排気センサの検出結果と実空燃比とのずれが小さくなる前に、空燃比フィードバック制御が開始されてしまうようになる。そのためこの場合にも、排気センサのリーン検出に基づいて空燃比をリッチ化するべく燃料噴射量が更に増量される。従って、燃料カットの復帰時にも、実空燃比はリッチになっているにもかかわらず更にリッチ化されてしまうようになり、排気浄化性能の悪化を招いてしまうおそれがある。
この発明はこうした実情に鑑みてなされたものであって、機関の自動停止及び自動始動を行う内燃機関や、燃料カット及び燃料カットの復帰を行う内燃機関を前提とする。そしてその目的は、機関始動時や燃料カット復帰時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を設定する燃料噴射制御装置において、自動始動や燃料カットの復帰が実行されるときの排気センサの応答遅れに起因する排気エミッションの悪化を抑制できる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、機関始動時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を増量補正する始動時増量手段と、内燃機関の排気通路に設けられて排気の酸素濃度を検出する排気センサの検出信号に基づいて実空燃比を目標空燃比に一致させるための燃料噴射量補正係数を算出し、同燃料噴射量補正係数に基づいて燃料噴射量のフィードバック補正を実行する空燃比フィードバック制御手段とを備え、所定の条件のもと機関の自動停止及び自動始動を行う内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記排気センサの活性化後に、前記始動時増量手段の燃料増量による実空燃比の変化が前記排気センサにより検出されないことを条件に前記フィードバック補正の補正量を制限する制限手段を備えることをその要旨とする。
同構成では、機関の自動停止及び自動始動を行う内燃機関にあって、その始動性や機関始動時の排気エミッション等を向上させるために、機関始動時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるようにしている。ここで、機関始動と機関停止とが自動的に行われる内燃機関にあって、自動始動時には排気センサが速やかに活性化される傾向にあるため、上記空燃比フィードバック制御も速やかに実行することができる。しかし、排気センサに上述したような応答遅れが発生している状態では実空燃比がリッチであっても検出信号はリーンとなる場合がある。このような場合において排気センサの活性化後、速やかに上記フィードバック補正を実行すると実空燃比は過剰にリッチになり、排気エミッションが悪化するおそれがある。そこで、上記構成では排気センサの活性化後に、始動時増量手段の燃料増量による実空燃比の変化が排気センサにより検出されないことを条件にフィードバック補正の補正量を制限するようにしている。これにより、排気センサの検出信号が燃料増量に対応した検出信号になっていない場合には、フィードバック補正が制限されるようになる。このため、実空燃比が反映されていない排気センサの検出信号に基づくフィードバック補正が制限されるようになり、自動始動が実行されるときの同排気センサの応答遅れに起因する排気エミッションの悪化を抑制することができるようになる。
また、請求項に記載の発明によるように、前記制限手段は前記排気センサにより検出される空燃比が所定の空燃比よりリーン側にあることを条件に前記制限を実行する、といった構成を採用することにより、排気センサに応答遅れが生じていることを好適に判断することができるようになるため、上記フィードバック補正の制限を好適に実行することができるようになる。
請求項3に記載の発明は、機関始動時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を増量補正する始動時増量手段と、内燃機関の排気通路に設けられて排気の酸素濃度を検出する排気センサの検出信号に基づいて実空燃比を目標空燃比に一致させるための燃料噴射量補正係数を算出し、同燃料噴射量補正係数に基づいて燃料噴射量のフィードバック補正を実行する空燃比フィードバック制御手段とを備え、所定の条件のもと機関の自動停止及び自動始動を行う内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記排気センサの活性化後に、前記排気センサにより検出される空燃比が所定の空燃比よりリーン側にあることを条件に前記フィードバック補正の補正量を制限する制限手段を備えることをその要旨とする。
なお、上記所定の空燃比としては、請求項4に記載の発明によるように理論空燃比を設定することができる。上記始動時増量手段によって機関始動時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチにされる場合にあって、排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりリーン側にあるときには、同排気センサに応答遅れが生じていると考えることができる。従って上記構成によれば、排気センサに応答遅れが生じていることを明確に判断することができるようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記自動始動時から所定期間が経過したときに前記制限手段による制限を禁止する禁止手段を更に備えることをその要旨とする。
上記制限手段は、排気センサの活性化後における同排気センサの検出結果に基づいて上記フィードバック補正の補正量を制限する。そのため、例えば排気センサの応答遅れが過剰に大きい場合等には同フィードバック補正の開始が過度に遅くなり、排気エミッションの悪化を招くおそれがある。ここで、機関始動時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を増量補正する場合にあって排気センサに応答遅れが生じているときであっても、排気センサの検出信号はいずれリーン側からリッチ側に変化する。すなわち、所定期間経過後には排気センサの検出信号が実空燃比に近づくようになる。そこで、上記構成では自動始動時から所定期間が経過したときに上記制限手段による制限を禁止する、すなわち上記フィードバック補正を実行するようにしている。従って排気センサの検出信号と実空燃比との差が小さくなっていると考えられる時期にフィードバック補正を開始することができるようになる。そのため、排気センサの応答遅れを考慮して同センサの検出結果に基づきフィードバック補正を制限する場合において、フィードバック補正の開始が遅延されることによる排気エミッションの悪化を抑制することができるようになる。なお、上記所定期間としては、上記始動時増量手段の燃料増量による実空燃比の変化が排気センサの検出信号に反映されるまでの期間を設定することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記始動時増量手段は前記自動始動の後、前記排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に変化したときから前記増量補正における増量値の減量を開始することをその要旨とする。
上述した機関の自動始動は温間始動になることが多く、このときには燃料密度の低下やベーパの発生等が起きやすい。そのため、機関始動時に上記始動時増量を行っても直ちに実空燃比がリッチにはならないおそれがある。そこで、上記構成では、排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に変化したときから上記増量補正における増量値の減量を開始するようにしている。従って、排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリーン側にあるときには上記減量が開始されないため、機関始動時における実空燃比を確実にリッチ化させることができるようになる。また、排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチになると上記減量が開始されるため、実空燃比がリッチになっているにもかかわらず始動時増量が継続され、実空燃比が過剰にリッチになるといった不具合の発生を抑制することもできる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の燃料噴射制御装置において、前記始動時増量手段は前記自動始動時から所定の増量期間が経過したときに前記排気センサにより検出される空燃比の値に拘わらず前記増量値の減量を強制的に開始することをその要旨とする。
上記請求項6に記載の構成にあって排気センサに応答遅れが生じているときには、排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に移行するのが遅れ、これにより上記減量の開始が遅れて過度に始動時増量が継続されるおそれがある。この点、上記構成では、自動始動時から所定の増量期間が経過したときには排気センサにより検出される空燃比の値に拘わらず上記増量値の減量を強制的に開始するようにしている。そのため、排気センサの応答遅れに起因して実空燃比が過剰にリッチになるといった不具合の発生を抑制することができる。また、このように所定の増量期間が経過したときには強制的に増量値の減量を開始することで、排気センサにより検出される空燃比に応答遅れが存在している場合でもこの空燃比と、実際の燃焼に供される混合気の空燃比との乖離を小さくすることができ、その後に開始される空燃比フィードバック制御をより安定して行うことができるようになる。
なお、上記所定の増量期間として実空燃比の変化が排気センサの検出信号に反映されるまでの期間よりも短い期間を設定することにより、実空燃比を早期にリッチからリーン側へ移行させることができ、もって排気センサにより検出される空燃比と、実際の燃焼に供される混合気の空燃比との乖離を早期に小さくすることができる。
請求項8に記載の発明は、燃料カット復帰時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を増量補正する復帰時増量手段と、内燃機関の排気通路に設けられて排気の酸素濃度を検出する排気センサの検出信号に基づいて実空燃比を目標空燃比に一致させるための燃料噴射量補正係数を算出し、同燃料噴射量補正係数に基づいて燃料噴射量のフィードバック補正を実行する空燃比フィードバック制御手段とを備え、所定の条件のもと燃料カット及び燃料カットの復帰を行う内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記排気センサの活性化後に、前記復帰時増量手段の燃料増量による実空燃比の変化が前記排気センサにより検出されないことを条件に前記フィードバック補正の補正量を制限する制限手段を備えることをその要旨とする。
同構成では、燃料カットを行う内燃機関にあって、燃料カット復帰時における内燃機関での燃焼を速やかに回復させるために、燃料カット復帰時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるようにしている。ここで、燃料カット及び燃料カットの復帰が行われる内燃機関にあって、燃料カット復帰時には排気センサが速やかに活性化される傾向にあるため、上記空燃比フィードバック制御も速やかに実行することができる。しかし、排気センサに上述したような応答遅れが発生している状態では実空燃比がリッチであっても検出信号はリーンとなる場合がある。このような場合において排気センサの活性化後、速やかに上記フィードバック補正を実行すると実空燃比は過剰にリッチになり、排気エミッションが悪化するおそれがある。そこで、上記構成では排気センサの活性化後に、復帰時増量手段の燃料増量による実空燃比の変化が排気センサにより検出されないことを条件にフィードバック補正の補正量を制限するようにしている。これにより、排気センサの検出信号が燃料増量に対応した検出信号になっていない場合には、フィードバック補正が制限されるようになる。このため、実空燃比が反映されていない排気センサの検出信号に基づくフィードバック補正が制限されるようになり、燃料カットの復帰が実行されるときの同排気センサの応答遅れに起因する排気エミッションの悪化を抑制することができるようになる。
また、請求項に記載の発明によるように、前記制限手段は前記排気センサにより検出される空燃比が所定の空燃比よりリーン側にあることを条件に前記制限を実行する、といった構成を採用することにより、排気センサに応答遅れが生じていることを好適に判断することができるようになるため、上記フィードバック補正の制限を好適に実行することができるようになる。
請求項10に記載の発明は、燃料カット復帰時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を増量補正する復帰時増量手段と、内燃機関の排気通路に設けられて排気の酸素濃度を検出する排気センサの検出信号に基づいて実空燃比を目標空燃比に一致させるための燃料噴射量補正係数を算出し、同燃料噴射量補正係数に基づいて燃料噴射量のフィードバック補正を実行する空燃比フィードバック制御手段とを備え、所定の条件のもと燃料カット及び燃料カットの復帰を行う内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記排気センサの活性化後に、前記排気センサにより検出される空燃比が所定の空燃比よりリーン側にあることを条件に前記フィードバック補正の補正量を制限する制限手段を備えることをその要旨とする。
なお、上記所定の空燃比としては、請求項11に記載の発明によるように理論空燃比を設定することができる。上記復帰時増量手段によって燃料カット復帰時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチにされる場合にあって、排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりリーン側にあるときには、同排気センサに応答遅れが生じていると考えることができる。従って上記構成によれば、排気センサに応答遅れが生じていることを明確に判断することができるようになる。
請求項12に記載の発明は、請求項〜11のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、燃料カット復帰時から所定期間が経過したときに前記制限手段による制限を禁止する禁止手段を更に備えることをその要旨とする。
上記制限手段は、排気センサの活性化後における同排気センサの検出結果に基づいて上記フィードバック補正の補正量を制限する。そのため、例えば排気センサの応答遅れが過剰に大きい場合等には同フィードバック補正の開始が過度に遅くなり、排気エミッションの悪化を招くおそれがある。ここで、燃料カット復帰時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を増量補正する場合にあって排気センサに応答遅れが生じているときであっても、排気センサの検出信号はいずれリーン側からリッチ側に変化する。すなわち、所定期間経過後には排気センサの検出信号が実空燃比に近づくようになる。そこで、上記構成では燃料カット復帰時から所定期間が経過したときに上記制限手段による制限を禁止する、すなわち上記フィードバック補正を実行するようにしている。従って排気センサの検出信号と実空燃比との差が小さくなっていると考えられる時期にフィードバック補正を開始することができるようになる。そのため、排気センサの応答遅れを考慮して同センサの検出結果に基づきフィードバック補正を制限する場合において、フィードバック補正の開始が遅延されることによる排気エミッションの悪化を抑制することができるようになる。なお、上記所定期間としては、上記復帰時増量手段の燃料増量による実空燃比の変化が排気センサの検出信号に反映されるまでの期間を設定することができる。
請求項13に記載の発明は、請求項〜12のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記復帰時増量手段は前記燃料カット復帰後、前記排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に変化したときから前記増量補正における増量値の減量を開始することをその要旨とする。
上述した燃料カット復帰時は内燃機関が温間状態にあることが多く、このときには燃料密度の低下やベーパの発生等が起きやすい。そのため、燃料カット復帰時に上述したような復帰時増量を行っても直ちに実空燃比がリッチにはならないおそれがある。そこで、上記構成では、排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に変化したときから上記増量補正における増量値の減量を開始するようにしている。従って、排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリーン側にあるときには上記減量が開始されないため、燃料カット復帰時における実空燃比を確実にリッチ化させることができるようになる。また、排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチになると上記減量が開始されるため、実空燃比がリッチになっているにもかかわらず復帰時増量が継続され、実空燃比が過剰にリッチになるといった不具合の発生を抑制することもできる。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の燃料噴射制御装置において、前記復帰時増量手段は前記燃料カット復帰時から所定の増量期間が経過したときに前記排気センサにより検出される空燃比の値に拘わらず前記増量値の減量を強制的に開始することをその要旨とする。
上記請求項13に記載の構成にあって排気センサに応答遅れが生じているときには、排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に移行するのが遅れ、これにより上記減量の開始が遅れて過度に復帰時増量が継続されるおそれがある。この点、上記構成では、燃料カット復帰時から所定の増量期間が経過したときには排気センサにより検出される空燃比の値に拘わらず上記増量値の減量を強制的に開始するようにしている。そのため、排気センサの応答遅れに起因して実空燃比が過剰にリッチになるといった不具合の発生を抑制することができる。また、このように所定の増量期間が経過したときには強制的に増量値の減量を開始することで、排気センサにより検出される空燃比に応答遅れが存在している場合でもこの空燃比と、実際の燃焼に供される混合気の空燃比との乖離を小さくすることができ、その後に開始される空燃比フィードバック制御をより安定して行うことができるようになる。
なお、上記所定の増量期間として実空燃比の変化が排気センサの検出信号に反映されるまでの期間よりも短い期間を設定することにより、実空燃比を早期にリッチからリーン側へ移行させることができ、もって排気センサにより検出される空燃比と、実際の燃焼に供される混合気の空燃比との乖離を早期に小さくすることができる。
請求項15に記載の発明は、請求項6、7、13、14のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記内燃機関は複数の排気系を備え、各排気系にそれぞれ設けられた前記排気センサの検出結果に基づいて、該排気センサが設けられた排気系に接続された気筒の燃料噴射量に対する前記増量値の減量を開始することをその要旨とする。
例えばV型内燃機関のように、複数の排気系を有する内燃機関では各排気系毎に上記排気センサを設けることが多く、排気の流動態様や排気センサの応答遅れ等は各排気系毎に異なっていることがある。そこで、上記構成では、燃料噴射量の増量補正における増量値の減量開始が、個々の排気系毎に独立して実行されるようにしている。そのため、複数の排気系を備える内燃機関であっても、請求項6、7、13、14のいずれかに記載の発明による効果を好適に得ることができるようになる。
請求項16に記載の発明は、請求項1〜15のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記内燃機関は複数の排気系を備え、前記制限手段は、各排気系にそれぞれ設けられた前記排気センサの検出結果に基づいて、該排気センサが設けられた排気系に接続された気筒の燃料噴射量に対する前記フィードバック補正の補正量を制限することをその要旨とする。
上述したように、複数の排気系を有する内燃機関では、各排気系毎に上記排気センサを設けることが多く、排気の流動態様や排気センサの応答遅れ等は各排気系毎に異なっていることがある。そこで、上記構成では、上記制限手段によって行われるフィードバック補正への制限が個々の排気系毎に独立して実行されるようにしている。そのため、複数の排気系を備える内燃機関であっても、排気エミッションの悪化を抑制することができるようになる。
上記制限手段によるフィードバック補正の補正量に対する制限としては、請求項17に記載の発明によるように、前記制限手段は前記フィードバック補正を禁止する、といった構成や、請求項18に記載の発明によるように、前記空燃比フィードバック制御手段は前記燃料噴射量補正係数について上限ガード値を設定し、同燃料噴射補正係数をこの上限ガード値より小さい値に制限するものであり、前記制限手段は前記制限に際して前記上限ガード値をより小さい値に設定する、といった構成や、請求項19に記載の発明によるように、前記制限手段は前記制限に際して燃料噴射量が少なくなるように前記燃料噴射量補正係数を変更する、といった構成を採用することができる。これら構成によれば上記フィードバック補正の補正量を確実に制限することができる。
(第1の実施形態)
以下、この発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第1の実施形態について図1〜図6に基づき、詳細に説明する。
図1は本実施形態にかかる燃料噴射装置が適用される内燃機関とその周辺構成を概略的に示している。
同図1に示されるように、内燃機関10の第1気筒#1〜第4気筒#4には、吸気通路11及び排気通路13がそれぞれ接続されている。吸気通路11にはモータ等により開閉駆動されるスロットルバルブ26が設けられている。このスロットルバルブ26により調量された吸入空気が吸気バルブの開弁に伴って上記各気筒#1〜#4に導入される。燃料噴射弁20から各気筒#1〜#4の燃焼室に直接噴射された燃料は、この導入された吸入空気と混合された後、点火プラグにより点火され、燃焼した後、排気バルブの開弁に伴って排気通路13に排出される。
排気通路13には排気浄化機能を有する触媒16が設けられており、同触媒16によって排気に含まれる有害成分等が浄化される。この触媒16は、三元触媒装置とNOx吸蔵還元触媒装置といった2つの触媒装置によって構成されている(図1ではこれら各触媒装置を1つにまとめて図示している)。三元触媒装置は、主に排気に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(NOx)をその酸化還元作用を通じて浄化する機能を有している。これに対して、NOx吸蔵還元触媒装置は、リーン空燃比のもとで燃焼が行われているときに排気中のNOxを吸蔵する一方、この吸蔵されるNOxをリッチ空燃比或いは理論空燃比のもとで燃焼が行われているときの排気に含まれるHC及びCOによって還元してこれを浄化する機能を有している。
燃料噴射弁20は、各気筒#1〜#4の燃焼室内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射式のものであり、デリバリパイプ24から高圧の燃料が供給されている。デリバリパイプ24は、高圧ポンプを介してフィードポンプ、燃料タンクに順に接続されており、同高圧ポンプにより加圧された燃料が供給される。
一方、内燃機関10にあってその機関出力軸であるクランクシャフト17は、自動変速機30を通じて車両の駆動輪に接続されている。またクランクシャフト17は、機関始動用の電動機であるスタータ45に、必要に応じて駆動連結されるようになっている。
更にクランクシャフト17は、電磁クラッチ15を介して、ベルト伝動機構19に駆動連結されている。ベルト伝動機構19には、空調装置用のコンプレッサやウォータポンプ等の補機類、及び状況に応じて発電機又は電動機のいずれかとして機能する発電電動機40が配設されている。電磁クラッチ15は、ベルト伝動機構19とクランクシャフト17との駆動連結を、必要に応じて断接可能に構成されている。
上記スタータ45及び発電電動機40は、バッテリ18に電気接続されている。バッテリ18は、スタータ45及び発電電動機40に電力を供給して、それらを電動機として機能させる。またバッテリ18には、発電電動機40が発電機として機能しているときに発電された電力が充電される。
また、内燃機関10等には、機関運転状態等を検出するための各種センサが設けられている。例えば、吸気通路11においてスロットルバルブ26よりも上流側の部分には、吸入空気量を検出する吸入空気量センサ66が設けられている。上記クランクシャフト17の近傍には、その回転速度(機関回転速度)を検出する機関回転速度センサ61が設けられている。また、アクセルペダルの近傍にはその操作量(踏込量)を検出するアクセルセンサ65が設けられている。更に、機関の冷却水温THWを検出する水温センサ63、車速を検出する車速センサ62、バッテリ18の充電量を検出するバッテリセンサ64等も設けられている。
また、排気通路13において触媒16より上流側の部分には、排気の酸素濃度を検出する、換言すれば実空燃比を検出するための排気センサ67が設けられている。この排気センサ67は、いわゆる限界電流式の酸素濃度センサであり、実空燃比に応じてその検出信号が変化する。
図2は、この排気センサ67の出力特性を示すグラフである。同図に示されるように、排気センサ67は、リッチ領域及びリーン領域の双方において、そのリッチ度合或いはリーン度合に応じて検出信号(出力電流値、通常「限界電流値」と称される)が連続的(線形的)に変化する出力特性を有している。従って、この排気センサ67の検出信号に基づいて実空燃比について理論空燃比との差、換言すればそのリッチ度合或いはリーン度合まで検出することができる。
また、排気センサ67の内部には、ヒータが内蔵されている。排気センサ67では、このヒータを通電制御して発熱させ、排気センサ67の検出部を温度上昇させることにより、その早期活性化を図るようにしている。
このような車両の走行に係る各種制御は、制御装置50によって行われる。制御装置50は、上記各種制御を実行するCPU、同制御に必要な情報の記憶されるメモリ、外部から信号を入力するための入力ポート、外部に指令信号を出力するための出力ポート等を備えて構成されている。制御装置50の入力ポートには、上記各種センサ61〜67等の検出信号が入力される。一方、制御装置50の出力ポートには、内燃機関10の点火プラグ、燃料噴射弁20、スロットルバルブ26を駆動するモータ等の駆動回路、及び自動変速機30の油圧制御回路が接続されている。制御装置50は、それらの駆動制御を通じて、内燃機関10の燃焼モードの切替制御、すなわちリーン空燃比のもとで燃焼を行う圧縮行程噴射モード及び理論空燃比のもとで燃焼を行う吸気行程噴射モードの切替制御や空燃比制御、或いは自動変速機30の変速制御等の各種制御を行っている。またその出力ポートには、スタータ45や発電電動機40の制御回路、電磁クラッチ15の駆動回路等も接続されており、スタータ45、発電電動機40及び電磁クラッチ15の作動も、制御装置50によって制御されている。
さて、この車両では、その走行状況に応じて内燃機関10の運転を自動的に停止・再始動させるアイドルストップ制御、すなわち間欠運転が制御装置50により実行されている。次にこの車両でのアイドルストップ制御の概要を、図3を併せ参照して説明する。
運転者によってイグニッションスイッチが「OFF」位置から「ON」位置へと操作され、制御装置50が起動されると、制御装置50はその制御モードを、通常の機関停止状態を示す「モード0」に設定する。この「モード0」の設定時に、運転者によってイグニッションスイッチを「STA」位置に操作されると、上記スタータ45がクランクシャフト17に駆動連結され、そのスタータ45の出力によって内燃機関10の始動が行われる。無事、始動が完了すると、制御装置50の制御モードは、通常の機関運転状態を示す「モード1」に移行される。
「モード1」の設定時には、電磁クラッチ15によってベルト伝動機構19がクランクシャフト17に駆動連結され、補機類が内燃機関10の出力で駆動される。また発電電動機40も、ベルト伝動機構19を通じて内燃機関10の出力が伝達される。このときの発電電動機40は、発電機として機能され、その発電された電力はバッテリ18に充電される。
こうした「モード1」の設定中に、運転者によってイグニッションスイッチが「OFF」位置に操作されると、制御装置50は、通常の機関停止処理を実行して内燃機関10を停止させ、その制御モードを上記「モード0」に移行する。
一方、「モード1」の設定中にアイドルストップ実行条件が成立すると、制御装置50の制御モードは、内燃機関10を自動停止させるための機関停止処理を実行する「モード2」に移行される。本実施形態では、上記アイドルストップ実行条件として、例えば下記の(a1)〜(a6)等の条件すべての成立をもって、アイドルストップ実行条件の成立を判断している。
(a1)アクセル操作量が「0」である。
(a2)車速が所定速度以下である。
(a3)ブレーキペダルが踏込まれている。
(a4)冷却水温度が所定温度Ta以上である。
(a5)自動変速機30の作動油温度が所定温度以上である。
(a6)バッテリ18の充電量が所定値以上である、等。
こうして制御モードが「モード2」に移行されると、制御装置50は、燃料供給を停止して内燃機関10を停止させる。そして内燃機関10が完全に停止したことが確認されると、制御装置50の制御モードは、アイドルストップによる機関停止状態を示す「モード3」に移行される。
「モード3」の設定がなされると、電磁クラッチ15によるクランクシャフト17とベルト伝動機構19との駆動連結が解除される。これとともに、発電電動機40が電動機として稼働され、その出力により補機が駆動される。これにより、アイドルストップによる内燃機関10の停止中も、補機の駆動が維持される。
こうした「モード3」の設定中に機関再始動実行条件が成立すると、制御装置50の制御モードが、内燃機関10を再始動させるための再始動処理を実行する「モード4」に移行される。本実施形態では、上記再始動実行条件として、例えば下記の(b1)〜(b3)等の条件のいずれかの成立をもって、機関再始動実行条件の成立を判断している。
(b1)ブレーキペダルの踏込みが解除された。
(b2)アクセル操作量が「0」でない。
(b3)バッテリ18の充電量が所定値未満に低下した、等。
こうして制御モードが「モード4」に移行されると、電磁クラッチ15によってクランクシャフト17がベルト伝動機構19に再接続される。これとともに、発電電動機40が電動機として稼働され、その出力によって内燃機関10の再始動が行われる。内燃機関10の再始動が無事完了すると、制御装置50の制御モードが上記「モード1」に移行される。
このように本実施形態ではいわゆるエコラン運転を実施することにより、燃料消費量や排気中に含まれる有害成分の排出量を低減するようにしている。
他方、内燃機関10の運転中には以下のようにして排気中に含まれる有害成分の排出量を低減するようにしている。すなわち、上記排気センサ67の検出信号に基づいて燃料噴射弁20から噴射される燃料噴射量をフィードバック補正することにより空燃比を目標空燃比に制御する、いわゆる空燃比フィードバック制御を実行するようにしている。なお、この目標空燃比は上記触媒16の排気浄化作用を引き出すために、通常、理論空燃比が設定される。ちなみに、この空燃比フィードバック制御は従来より行われている制御であるため、詳細な説明は省略するが、概略は以下のとおりになっている。
この空燃比フィードバック制御のフィードバック補正にかかる一連の処理に際しては、まず、排気センサ67の検出結果、即ち実空燃比と目標空燃比との偏差ΔRAFに基づいて燃料噴射量補正係数、すなわちフィードバック補正係数FAFが以下の演算式(1)を通じて算出される。尚、フィードバック補正係数FAFはその基準値「0」を中心として、その上限ガード値FAFMAX及び下限ガード値FAFMINが予め定められており、それら上限ガード値FAFMAX及び下限ガード値FAFMINに間の範囲に収まるようにその変化量が規制されている。

FAF←KP・(ΔRAF) ・・・(1)
KP:補正係数(比例ゲイン)

因みに、このフィードバック補正係数FAFは、機関運転状態及び目標空燃比から求められる基本燃料噴射量が実空燃比を目標空燃比に一致させるものとして適切な値となるように補正するものである。ここでは、このフィードバック補正係数FAFを基本燃料噴射量QBASEに加算してその燃料噴射量にかかる補正を行うものとしている。
そして、実空燃比が目標空燃比よりもリーンである場合には、上式(1)の右辺第2項は正の値になるため、フィードバック補正係数FAFはリーン度合いに応じた正の値に設定される。従ってこの場合には、このフィードバック補正係数FAFに基づいて燃料噴射量の増量補正が行われる。
一方、実空燃比が目標空燃比よりもリッチである場合には、上式(1)の右辺第2項は負の値になるため、フィードバック補正係数FAFはリッチ度合いに応じた負の値に設定される。従ってこの場合には、このフィードバック補正係数FAFに基づいて燃料噴射量の減量補正が行われる。
このように実空燃比と目標空燃比との間の偏差ΔRAFに基づき、それに見合う大きさにフィードバック補正係数FAFが算出されることにより、そのときどきの実空燃比と目標空燃比との間のずれが打ち消されるように燃料噴射量が適切に設定され、燃料噴射量のフィードバック補正がなされる。なお、このフィードバック補正にかかる一連の処理は上記空燃比フィードバック制御手段を構成する。
さらに本実施形態では、機関始動時にあって一時的に所定の増量補正量を基本燃料噴射量に加算して、機関始動後しばらくの間の実空燃比を理論空燃比よりもリッチ化させる、いわゆる始動時増量を行うようにしている。この始動時増量処理を実行することによって、内燃機関10の始動性が向上される。また、この始動時増量処理を実行することによって次のような効果を得るようにしている。すなわち機関停止時には触媒16が酸素を捕捉した状態になるため、機関始動時におけるNOx浄化機能が低下してしまうおそれがある。そこで機関始動時に実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を設定する、すなわち上記始動時増量を行うことによって触媒16に捕捉された酸素を還元処理し、もって機関始動時における触媒16のNOx浄化機能の低下を抑制するようにしている。なお、この始動時増量処理は上記始動時増量手段を構成する。
ここで排気センサ67には上述したような応答遅れが生じる場合があり、この場合には上記空燃比フィードバック制御の開始時期を最適なものに設定しないと、上述したように実空燃比が過剰にリッチ化され、自動始動時の排気エミッションが悪化してしまうといった不具合が生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、自動始動時から所定期間経過するまでの間における排気センサ67の検出信号に基づいて上記フィードバック補正の補正量を制限する制限処理を実行するようにしている。より具体的には、始動時増量の燃料増量による実空燃比の変化が排気センサ67により検出されない、すなわち排気センサ67により検出される空燃比が所定の空燃比よりリーン側にあることを条件に上記フィードバック補正の補正量を制限するようにしている。また、本実施形態では上記所定の空燃比として理論空燃比を設定することにより、排気センサ67に応答遅れが生じていることを明確に判断することができるようにしている。
他方、上述した内燃機関10の自動始動については温間始動になることが多く、このときには燃料密度の低下やベーパの発生等が起きやすい。そのため、機関始動時に上記始動時増量を行っても直ちに実空燃比がリッチにはならないおそれがある。そこで、本実施形態では、排気センサ67により検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に変化したときから上記始動時増量処理による増量補正における増量値の減量を開始するようにしている。ただし、排気センサ67に応答遅れが生じているときには、排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に移行するのが遅れるため、このような減量処理を行う場合には上記減量の開始が遅れて過度に始動時増量が継続されるおそれがある。そこで、本実施形態では上記減量処理としてさらに、自動始動時から所定の増量期間が経過したときには排気センサ67により検出される空燃比の値に拘わらず上記増量値の減量を強制的に開始するようにしている。
以下、上記制限処理を有する空燃比フィードバック制御の実行判定処理、及び上記減量処理を有する始動時増量の減衰実行判定処理について説明する。
まず、空燃比フィードバック制御の実行判定処理について図4を併せ参照して説明する。この図4は空燃比フィードバック制御(以下、FB制御と称する)の実行判定処理についてその処理手順を示している。なお、この実行判定処理は上記制御装置50によって自動始動が行われてから所定時間毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されると、まず、冷却水温THWが所定値以上であるか否かが判定される(S100)。この所定値は今回の自動始動が冷間始動であるか温間始動であるかを判断することのできる値が予め設定されている。そして冷却水温THWが所定値に満たない場合には(S100でNO)、今回の自動始動が冷間始動であるとしてFB制御の開始が禁止され(S160)、本処理が終了される。そして所定時間経過後に再びS100での判定処理が実行される。
一方、冷却水温THWが所定値以上である場合には(S100でYES)、今回の自動始動が温間始動であるとして、次に排気センサ67が活性化しているか否かが判断される(S110)。この排気センサ67の活性化判断は、例えばそのヒータの内部抵抗値を検出し、その検出結果に基づいて排気センサ67の温度を推定する、或いはヒータの通電時間等に基づいて行うことができる。そして排気センサ67が活性化していない旨判断された場合には(S110でNO)、FB制御の開始が禁止され(S160)、本処理が終了される。そして所定時間経過後に再びS100以降の処理手順が実行される。
一方、排気センサ67が活性化している旨判断された場合には(S110でYES)、現在、内燃機関10が始動されているか否かが判断される(S120)。この始動判定は、例えば機関回転速度NEに基づいて判断することができる。そして内燃機関10が始動されていない旨判断された場合には(S120でNO)、FB制御の開始が禁止され(S160)、本処理が終了される。そして所定時間経過後に再びS100以降の処理手順が実行される。
一方、内燃機関10が始動されている旨判断された場合には(S120でYES)、現在の排気センサ67の検出結果が理論空燃比よりもリッチであるか否かが判断される(S130)。このS130の処理は上記制限手段を構成する。ここで上記始動時増量処理によって現在の実空燃比はリッチになっている。そのため、排気センサ67に応答遅れが生じていなければ、その検出結果はリッチとなるはずである。従ってS130において現在の排気センサ67の検出結果がリッチである旨判断された場合には(S130でYES)、排気センサ67に応答遅れが生じていないと判断することができる。そのため上記空燃比フィードバック制御を開始しても実空燃比は過剰にリッチ化されるおそれがないため、FB制御の開始が許可され、実行される(S140)。
一方、排気センサ67に応答遅れが生じていると、その検出結果は機関始動前の実空燃比、すなわちリーンを示す可能性がある。従ってS130において現在の排気センサ67の検出結果がリッチではない旨判断された場合には(S130でNO)、排気センサ67に応答遅れが生じていると判断することができる。
ここで、始動時増量が実行されているにもかかわらず排気センサ67の検出信号がリーンを示す場合には、FB制御を禁止するといった処理だけでは次のような不具合が生じるおそれがある。例えば上記応答遅れが過剰に大きい場合等には上記フィードバック補正の開始が過度に遅くなり、排気エミッションの悪化を招くおそれがある。ここで、機関始動時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を増量補正する場合にあって排気センサ67に応答遅れが生じている場合であっても、排気センサ67の検出信号はいずれリーンからリッチ側に変化する。すなわち、自動始動時から所定期間経過後には排気センサ67の検出信号が実空燃比に近づくようになる。そこで、本処理では、自動始動時から所定期間TAが経過したときには上記フィードバック補正の制限を禁止する、すなわちフィードバック補正を実行するようにしている。従って排気センサ67の検出信号と実空燃比との差が小さくなっていると考えられる時期にフィードバック補正を開始することができるようになる。そのため、排気センサ67の応答遅れを考慮して同排気センサ67の検出結果に基づきフィードバック補正を制限する場合において、フィードバック補正の開始が遅延されることによる排気エミッションの悪化を抑制することができる。
そこでS130で否定判定された場合には、次に自動始動時から所定期間TAが経過したか否かが判断される(S150)。この所定期間TAは、実空燃比の変化が排気センサ67の検出信号に反映されるまでの期間、すなわち排気センサ67の応答遅れ時間が設定されている。なお、この応答遅れ時間は予めの実験等を通じて機関始動時における最適な値が求められている。そして自動始動時から所定期間TAが経過していない旨判断された場合には(S150でNO)、現在の排気センサ67の検出信号は実空燃比を反映していないと判断することができるため、FB制御の開始が禁止され(S160)、本処理が終了される。そして所定時間経過後に再びS100以降の処理手順が実行される。
一方、自動始動時から所定期間TAが経過している旨判断された場合には(S150でYES)、上記応答遅れ時間が経過しているため、現在の排気センサ67の検出信号は実空燃比を反映していると判断することができる。また、仮にこのとき、同検出信号に応答遅れの影響が残っており実空燃比が正確に反映されていないとしても、自動始動時から所定期間TAが経過しているため、同検出信号は実空燃比に近い値を示していると推定することができる。そのため上記空燃比フィードバック制御を開始しても実空燃比は過剰にリッチ化されるおそれがないため、FB制御の開始が許可され、実行されて(S140)、本処理は終了される。なお、S150の処理は上記禁止手段を構成する。
このように上記実行判定処理では、排気センサ67の活性化状態に基づいて空燃比フィードバック制御を開始するか否かを判断するのみならず、さらに自動始動時から所定期間が経過するまでの間における排気センサ67の検出信号に基づいて空燃比フィードバック制御を開始するか否かを判断するようにしている。そしてこれにより、排気センサ67に応答遅れが生じている場合であっても、最適なタイミングで空燃比フィードバック制御を開始することができ、もって自動始動時における排気エミッションの悪化を抑制することができるようになる。
次に、上述した始動時増量の減衰実行判定処理について図5を併せ参照して説明する。この図5は始動時増量の減衰実行判定処理についてその処理手順を示している。なお、この減衰実行判定処理も上記制御装置50によって自動始動が行われてから所定時間毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されるとまず、排気センサ67が活性化しているか否かが判断される(S200)。この排気センサ67の活性化判断は、上述したS110での判断態様と同一である。
そして排気センサ67が活性化していない旨判断された場合には(S200でNO)、増量補正量の減衰開始が禁止され(S250)、本処理が終了される。そして所定時間経過後に再びS200以降の処理手順が実行される。
一方、排気センサ67が活性化している旨判断された場合には(S200でYES)、現在、内燃機関10が始動されているか否かが判断される(S210)。この始動判定は、例えば機関回転速度NEに基づいて判断することができる。そして内燃機関10が始動されていない旨判断された場合には(S210でNO)、増量補正量の減衰開始が禁止され(S250)、本処理が終了される。そして所定時間経過後に再びS200以降の処理手順が実行される。
一方、内燃機関10が始動されている旨判断された場合には(S210でYES)、排気センサ67の検出結果が理論空燃比よりもリッチ側であるか否かが判断される(S220)。そして、同検出結果がリッチである旨判断された場合には(S220でYES)、増量補正量の減衰が実行され(S230)、本処理は終了される。
一方、排気センサの検出結果がリッチではない旨判断された場合には(S220でNO)、自動始動時から所定の増量期間TBが経過したか否かが判断される(S240)。この増量期間TBは、実空燃比の変化が排気センサ67の検出信号に反映されるまでの期間よりも短い期間、すなわち排気センサ67の応答遅れ時間よりも短い時間が設定されている。そして自動始動時から増量期間TBが経過していない旨判断された場合には(S240でNO)、増量補正量の減衰開始が禁止され(S250)、本処理が終了される。そして所定時間経過後に再びS200以降の処理手順が実行される。
一方、自動始動時から増量期間TBが経過している旨判断された場合には(S240でYES)、排気センサ67により検出される空燃比の値に拘わらず、強制的に増量補正量の減衰が実行され(S230)、本処理は終了される。
このように上記減衰実行判定処理では、排気センサ67により検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に変化したときから上記始動時増量処理による増量補正における増量値の減量を開始するようにしている。このような減量処理を実行することにより、排気センサ67により検出される空燃比が理論空燃比よりもリーン側にあるときには上記減量が開始されないため、機関始動時における実空燃比を確実にリッチ化させることができる。また、排気センサ67により検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチになると上記減量が開始されるため、実空燃比がリッチになっているにもかかわらず、始動時増量が継続され、実空燃比が過剰にリッチになるといった不具合の発生を抑制することもできる。
ただし、このような排気センサ67の検出結果に基づいて減量処理を行う場合にあって排気センサ67に応答遅れが生じているときには、排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に移行するのが遅れるため、減量開始が遅れ、過度に始動時増量が継続されてしまうおそれがある。そこで、上記減衰実行判定処理では上記減量処理としてさらに、自動始動時から増量期間TBが経過したときには排気センサ67により検出される空燃比の値に拘わらず上記増量値の減量を強制的に開始するようにしている。従って排気センサ67の応答遅れによって同排気センサ67の検出信号がリッチを示さない場合であっても、燃料噴射量の減量が開始され、排気センサ67の応答遅れに起因して実空燃比が過剰にリッチになるといった不具合の発生を抑制することができるようになる。
また、自動始動時から増量期間TBが経過したときには強制的に上記増量値の減量を開始することにより、次のような効果も得られる。上述したように排気センサ67に応答遅れが生じている場合には、始動時増量が実行されても自動始動時からの検出信号はしばらくの間、リーンを示す。ここで、強制的に上記減量を開始すると、早期に実空燃比がリーン方向に移行されるため、実空燃比と排気センサ67の検出結果とのずれは早期に小さくなる。すなわち、排気センサ67により検出される空燃比に応答遅れが存在している場合でもこの空燃比と、実際の燃焼に供される混合気の空燃比との乖離が小さくなるため、その後に開始される空燃比フィードバック制御をより安定して行うことができるようになる。
特に上記実施形態では、実空燃比の変化が排気センサ67の検出信号に反映されるまでの期間(排気センサ67の応答遅れ時間)よりも短い期間を上記増量期間TBとして設定するようにしている。そのため、排気センサ67の応答遅れ時間を増量期間TBとして設定する場合と比較して、早期に実空燃比をリッチからリーン側へ移行させることができ、もって排気センサにより検出される空燃比と、実際の燃焼に供される混合気の空燃比との乖離を早期に小さくすることができる。
次に、排気センサ67に応答遅れが生じている場合において、上記空燃比フィードバック制御の実行判定処理、及び始動時増量の減衰実行判定処理が実行される場合の実空燃比の変化についてその一態様を、図6を併せ参照して説明する。
この図6は、排気センサ67の出力、すなわち同センサの検出結果と、実空燃比と、燃料噴射量のフィードバック補正量と、始動時増量処理による増量補正量とについてそれぞれの自動始動後における変化態様を示している。なお、同図6において実線で示す変化態様は本実施形態における変化態様を示している。また一点鎖線で示す変化態様は、排気センサの活性化検出をもって空燃比フィードバック制御を開始するとともに、同排気センサによるリッチ検出をもって増量補正量の減衰を開始する場合の変化態様を示している。なお、この機関始動は上記アイドルストップ制御による一時的な機関停止がなされた後の自動始動となっており、温間始動になっている。また、時刻t1以前では内燃機関10の運転が停止されており、実空燃比はリーンとなっている。
まず始めに、一点鎖線で示される上記各パラメータの変化態様について説明する。
時刻t1において自動始動が実行されると、始動時増量処理によって基本燃料噴射量に増量補正量が加算され、実空燃比はリーンからリッチ方向に変化し始める。そして、排気センサ67が活性化している旨の判断がなされると(時刻t2)、空燃比フィードバック制御が開始される。このとき、実空燃比はリッチになっているものの、排気センサの検出結果は応答遅れに起因してリーンを示している。そのため、空燃比フィードバック制御によって設定されるフィードバック補正量は増量側に設定され、実空燃比は過剰にリッチ化される。そして、排気センサ67の検出結果がリッチを示すと(時刻t4)、増量補正量の減衰が開始され、同増量補正量は徐々に減量されていく。
このように排気センサ67の活性化検出をもって空燃比フィードバック制御を開始するとともに、同排気センサ67によるリッチ検出をもって増量補正量の減衰を開始する場合には、実空燃比が過剰にリッチ化されてしまう。また、フィードバック補正量の補正方向が実空燃比に対応していないため、空燃比フィードバック制御を開始してもしばらくの間は実空燃比の変動が大きくなる。そして、応答遅れの生じている排気センサ67がリッチ検出をするまで増量補正量の減衰が開始されないため、不要な燃料増量が継続され、既にリッチ化されている実空燃比が更にリッチ化されてしまうようにもなる。
次に、実線で示される本実施形態における上記各パラメータの変化態様について説明する。
時刻t1において自動始動が実行されると、始動時増量処理によって基本燃料噴射量に増量補正量が加算され、実空燃比はリーンからリッチ方向に変化し始める。そして、排気センサ67が活性化している旨の判断がなされ(時刻t2)、自動始動時(時刻t1)から増量期間TBが経過すると(時刻t3)、増量補正量の減衰が開始され、同増量補正量は徐々に減量されていく。その結果、上記一点鎖線で示される場合と比較して、実空燃比はリッチからリーン側へ向けて、すなわち理論空燃比に向けて早期に変化していき、実空燃比が過剰にリッチ化されるといった不具合の発生が抑制される。そして自動始動時(時刻t1)から所定期間TAが経過すると(時刻t5)、空燃比フィードバック制御が開始され、実空燃比が目標空燃比になるように制御される。この所定期間TAの経過後には、実空燃比と排気センサ67の検出結果との間のずれは減少しているため、過剰に実空燃比がリッチ化されるといった不具合の発生が抑制されるとともに、空燃比フィードバック制御を開始してからの実空燃比も理論空燃比近傍に安定するようになる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、次のような効果が得られるようになる。
(1)排気センサ67の活性化後に同排気センサ67の検出結果に基づいて上記フィードバック補正の補正量を制限するようにしている。従って、排気センサ67の応答遅れに起因する誤った検出信号に基づくフィードバック補正が制限されるようになり、自動始動が実行されるときの同排気センサ67の応答遅れに起因する排気エミッションの悪化を抑制することができるようになる。
(2)始動時増量の燃料増量による実空燃比の変化が排気センサ67により検出されないことを条件に上記制限を実行するようにしている。従って排気センサ67の検出信号が燃料増量に対応した検出信号になっていない場合には、フィードバック補正が制限されるようになるため、実空燃比が反映されていない排気センサ67の検出信号に基づくフィードバック補正が制限される。従って、自動始動が実行されるときの同排気センサ67の応答遅れに起因する排気エミッションの悪化を抑制することができるようになる。
(3)上記条件のより具体的な態様として、排気センサ67により検出される空燃比が所定の空燃比よりリーン側にあることを条件に上記フィードバック補正の補正量を制限するようにしている。そのため、排気センサ67に応答遅れが生じていることを好適に判断することができるようになるため、上記フィードバック補正の制限を好適に実行することができるようになる。
(4)上記始動時増量によって機関始動時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチにされる場合にあって排気センサ67により検出される空燃比が理論空燃比よりリーン側にあるときには、同排気センサ67に応答遅れが生じていると考えることができる。そこで、上記所定の空燃比として、理論空燃比を設定するようにしている。従って排気センサ67に応答遅れが生じていることを明確に判断することができるようになる。
(5)所定期間TAとして実空燃比の変化が排気センサ67の検出信号に反映されるまでの期間である排気センサ67の応答遅れ時間を設定し、自動始動時からこの所定期間TAが経過したときには上記フィードバック補正の制限を禁止するようにしている。従って排気センサ67の検出信号と実空燃比との差が小さくなっていると考えられる時期にフィードバック補正を開始することができるようになる。そのため、排気センサ67の応答遅れを考慮して同排気センサ67の検出結果に基づきフィードバック補正を制限する場合において、フィードバック補正の開始が遅延されることによる排気エミッションの悪化を抑制することができるようになる。
(6)上記制限処理の具体的な態様として、フィードバック補正を禁止するようにしている。そのため、実空燃比を反映していない排気センサ67の検出信号に基づく誤ったフィードバック補正の実行が禁止される。従って、自動始動時にあって排気センサ67の応答遅れに起因する実空燃比の悪化を抑制することができ、もって排気エミッションの悪化を抑制することができるようになる。
(7)機関始動に際して燃料噴射量を増量する、いわゆる始動時増量を実行するようにしている。そのため、上述したような内燃機関10の始動性や機関始動時の排気エミッション等の向上を図ることができるようになる。一方、このような始動時増量を行う場合にあって排気センサ67に応答遅れが生じると、排気エミッションが悪化しやすくなるおそれがある。しかし、上記実施形態ではこのような始動時増量を実施する内燃機関にあって、上述した制限処理を実行するようにしている。そのため、内燃機関10の始動性や機関始動時の排気エミッション等を向上させることができるとともに、排気センサ67の応答遅れに起因する排気エミッションの悪化も抑制することもできるようになる。
(8)内燃機関10の自動始動の後、排気センサ67により検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に変化したときから始動時増量処理による増量補正における増量値の減量を開始するようにしている。そのため、機関始動時における実空燃比を確実にリッチ化させることができるようになる。また、実空燃比がリッチになっているにもかかわらず始動時増量が継続され、実空燃比が過剰にリッチになるといった不具合の発生を抑制することもできる。
(9)排気センサ67の検出結果に基づいて上記減量処理を行う場合にあって内燃機関10の自動始動時から増量期間TBが経過したときには、排気センサ67により検出される空燃比の値に拘わらず始動時増量処理による増量補正における増量値の減量を強制的に開始するようにしている。そのため排気センサ67の応答遅れに起因して実空燃比が過剰にリッチになるといった不具合の発生を抑制することができる。また、その後に開始される空燃比フィードバック制御をより安定して行うことができるようになる。
ちなみに、増量期間TBとして実空燃比の変化が排気センサ67の検出信号に反映されるまでの期間よりも短い期間を設定するようにしている。そのため、実空燃比を早期にリッチからリーン側へ移行させることができ、もって排気センサ67により検出される空燃比と、実際の燃焼に供される混合気の空燃比との乖離が早期に小さくなる。
(10)エコラン運転を実施する車両に搭載された内燃機関10では、運転者の操作によってはじめて機関始動が行われる通常の内燃機関と比較して、機関始動の回数が多くなる傾向にある。従って、上述したような機関始動時における排気エミッションの悪化もより深刻なものになるおそれがある。この点上記実施形態では、このようなエコラン運転を実施する内燃機関10の燃料噴射制御装置として、本実施形態にかかる燃料噴射制御装置を適用するようにしている。そのため、より効果的に排気エミッションの悪化を抑制することができるようになる。
(第2の実施形態)
次に、この発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第2の実施形態について図7、図8を併せ参照して説明する。
上記第1の実施形態では、内燃機関10の自動停止・自動始動時における排気エミッションの悪化を抑制するために、その自動始動時に上述したような制限処理や減量処理を実行するようにした。
他方、車両の減速時や機関回転速度の過度な上昇時等に行われる燃料カット及びその復帰時も、上述したような内燃機関10の自動停止・自動始動を実施する場合と同様な現象が起きるおそれがある。
すなわち、燃料カットの復帰時においては、内燃機関10での燃焼を速やかに回復させたり、排気エミッションを向上させたりするために、燃料噴射量が一時的に増量される。この燃料カット復帰時における燃料噴射量の増量処理は、上記始動時増量処理と同様な復帰時増量処理を通じて行われる。なお、この復帰時増量処理は上記復帰時増量手段を構成する。ここで、燃料カット中には燃料噴射が中断されるため、排気センサ67は大気に曝され、同センサの検出結果はリーンとなる。そして、燃料カットの復帰時には排気センサ67が速やかに活性化される傾向にある。従って、上述した応答遅れに起因する排気センサ67の検出結果と実空燃比とのずれが小さくなる前に、空燃比フィードバック制御が開始されてしまうようになる。そのためこの場合にも、排気センサ67のリーン検出に基づいて空燃比をリッチ化するべく燃料噴射量が更に増量される。従って、燃料カットの復帰時にも、実空燃比はリッチになっているにもかかわらず更にリッチ化されてしまうようになり、排気浄化性能の悪化を招いてしまうおそれがある。
そこで本実施形態では、燃料カット復帰時にも上述したような制限処理を実行するようにしている。
また、燃料カット復帰時は内燃機関10が温間状態にあることが多く、このときには燃料密度の低下やベーパの発生等が起きやすい。そのため、燃料カット復帰時に上記始動時増量を行っても直ちに実空燃比がリッチにはならないおそれがある。そこで、本実施形態でも上記第1の実施形態と同様に、排気センサ67により検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に変化したときから上記復帰時増量処理による増量補正における増量値の減量を開始するようにしている。ただし、排気センサ67に応答遅れが生じているときには、排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に移行するのが遅れるため、このような減量処理を行う場合には上記減量の開始が遅れて過度に始動時増量が継続されるおそれがある。そこで、本実施形態でも上記第1の実施形態と同様に、上記減量処理としてさらに、燃料カット復帰時から所定の増量期間が経過したときには排気センサ67により検出される空燃比の値に拘わらず上記増量値の減量を強制的に開始するようにしている。
本実施形態における上記制限処理は、先の図4に示した空燃比フィードバック制御の実行判定処理における自動始動を、燃料カットの復帰によって混合気の燃焼が再開された状態であるものとし、同図4に示した処理手順の一部を、図7に示す処理手順のように変更している。すなわち図4のステップS150の処理を、図7に示すステップS300の処理に変更している。そして図7に示す処理手順は、燃料カット復帰時に実行される。以下では、第1の実施形態における実行判定処理との相違点を中心にして、本実施形態における実行判定処理を説明する。
すなわち、S120の処理で、内燃機関10での燃焼が再開されている旨判断された場合には(S120でYES)、現在の排気センサ67の検出結果が理論空燃比よりもリッチであるか否かが判断される(S130)。そして、現在の排気センサ67の検出結果がリッチである旨判断された場合には(S130でYES)、FB制御の開始が許可され、実行される(S140)。
一方、現在の排気センサ67の検出結果がリッチではない旨判断された場合には(S130でNO)、燃料カット復帰時から(F/C復帰後)所定期間TCが経過したか否かが判断される(S300)。この所定期間TCは、実空燃比の変化が排気センサ67の検出信号に反映されるまでの期間、すなわち排気センサ67の応答遅れ時間が設定されている。なお、この応答遅れ時間は予めの実験等を通じて燃料カット復帰時における最適な値が求められており、本実施形態では上記所定期間TAと同一の値が設定されている。ちなみに、自動停止・自動始動時と燃料カット・燃料カット復帰時とでは、排気の流量等が異なるため、このような違いを考慮して所定期間TAとは異なる値を所定期間TCに設定するようにしてもよい。
そして燃料カット復帰時から所定期間TCが経過していない旨判断された場合には(S300でNO)、現在の排気センサ67の検出信号は実空燃比を反映していないと判断することができるため、FB制御の開始が禁止され(S160)、本処理は終了される。そして所定時間経過後に再びS100以降の処理手順が実行される。
一方、燃料カット復帰時から所定期間TAが経過している旨判断された場合には(S300でYES)、上記応答遅れ時間が経過しているため、現在の排気センサ67の検出信号は実空燃比を反映していると判断することができる。また、仮にこのとき、同検出信号に応答遅れの影響が残っており実空燃比が正確に反映されていないとしても、燃料カット復帰時から所定期間TAが経過しているため、同検出信号は実空燃比に近い値を示していると推定することができる。そのため上記空燃比フィードバック制御を開始しても実空燃比は過剰にリッチ化されるおそれがないため、FB制御の開始が許可され、実行されて(S140)、本処理は終了される。
このように第2の実施形態における実行判定処理でも、排気センサ67の活性化状態に基づいて空燃比フィードバック制御を開始するか否かを判断するのみならず、さらに燃料カット復帰時から所定期間が経過するまでの間における排気センサ67の検出信号に基づいて空燃比フィードバック制御を開始するか否かを判断するようにしている。そしてこれにより、排気センサ67に応答遅れが生じている場合であっても、最適なタイミングで空燃比フィードバック制御を開始することができ、もって燃料カット復帰時における排気エミッションの悪化を抑制することができるようになる。
他方、本実施形態における上記減量処理も、先の図5に示した始動時増量の減衰実行判定処理における自動始動を、燃料カットの復帰によって混合気の燃焼が再開された状態であるものとし、同図5に示した処理手順の一部を、図8に示す処理手順のように変更している。すなわち図5のステップS240の処理を、図8に示すステップS400の処理に変更している。そして図8に示す処理手順は、燃料カット復帰時に実行される。以下では、第1の実施形態における減衰実行判定処理との相違点を中心にして、本実施形態における減衰実行判定処理を説明する。
すなわち、S220の処理で、排気センサ67の検出結果が理論空燃比よりもリッチ側である旨判断された場合には(S220でYES)、増量補正量の減衰が実行され(S230)、本処理は終了される。
一方、排気センサの検出結果がリッチではない旨判断された場合には(S220でNO)、燃料カット復帰時から所定の増量期間TDが経過したか否かが判断される(S400)。この増量期間TDは、実空燃比の変化が排気センサ67の検出信号に反映されるまでの期間よりも短い期間、すなわち排気センサ67の応答遅れ時間よりも短い時間が設定されている。なお、本実施形態における増量期間TDは、上記増量期間TBと同一の値が設定されている。ちなみに、自動停止・自動始動時と燃料カット・燃料カット復帰時とでは、排気の流量等が異なるため、このような違いを考慮して増量期間TBとは異なる値を増量期間TDに設定するようにしてもよい。
そして燃料カット復帰時から増量期間TDが経過していない旨判断された場合には(S400でNO)、増量補正量の減衰開始が禁止され(S250)、本処理は終了される。そして所定時間経過後に再びS200以降の処理手順が実行される。
一方、燃料カット復帰時から増量期間TDが経過している旨判断された場合には(S400でYES)、排気センサ67により検出される空燃比の値に拘わらず、強制的に増量補正量の減衰が実行され(S230)、本処理は終了される。
このように第2の実施形態における減衰実行判定処理でも、排気センサ67により検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に変化したときから上記復帰時増量処理による増量補正における増量値の減量を開始するようにしている。そのため、燃料カット復帰時における実空燃比を確実にリッチ化させることができる。また、排気センサ67により検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチになると上記減量が開始されるため、実空燃比がリッチになっているにもかかわらず、復帰時増量が継続され、実空燃比が過剰にリッチになるといった不具合の発生を抑制することもできる。
さらに上記減衰実行判定処理では上記減量処理として、燃料カット復帰時から増量期間TDが経過したときには排気センサ67により検出される空燃比の値に拘わらず上記増量値の減量を強制的に開始するようにしている。従って排気センサ67の応答遅れによって同排気センサ67の検出信号がリッチを示さない場合であっても、燃料噴射量の減量が開始され、排気センサ67の応答遅れに起因して実空燃比が過剰にリッチになるといった不具合の発生を抑制することができるようになる。
また、燃料カット復帰時から増量期間TDが経過したときには強制的に上記増量値の減量を開始することにより、上述したような次の効果も得られる。すなわち、排気センサ67により検出される空燃比に応答遅れが存在している場合でもこの空燃比と、実際の燃焼に供される混合気の空燃比との乖離が小さくなって、その後に開始される空燃比フィードバック制御をより安定して行うことができるようになる。
そして本実施形態でも第1の実施形態と同様に、上記増量期間TDとして、実空燃比の変化が排気センサ67の検出信号に反映されるまでの期間(排気センサ67の応答遅れ時間)よりも短い期間を設定するようにしている。そのため、排気センサにより検出される空燃比と、実際の燃焼に供される混合気の空燃比との乖離を早期に小さくすることができる。
以上説明したように、本実施形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、燃料カットの復帰時にも第1の実施形態と同様な効果が得られるようになる。
(第3の実施形態)
次に、この発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第3の実施形態について、図9を併せ参照して説明する。
V型内燃機関等のように複数の排気系を有する内燃機関では、各排気系毎に上記排気センサ67を設けることが多く、排気の流動態様や排気センサ67の応答遅れ等は各排気系毎に異なっていることがある。そこで、本実施形態では、各排気系にそれぞれ設けられた排気センサの検出結果に基づいて、該排気センサが設けられた排気系に接続された気筒の燃料噴射量に対する空燃比フィードバック補正の補正量を制限するようにしている。
また、同様な理由により、各排気系にそれぞれ設けられた排気センサの検出結果に基づいて、該排気センサを有する排気系に接続された気筒の燃料噴射量に対する増量補正量の減衰を開始させるようにしている。
図9は本実施形態にかかる燃料噴射装置が適用される内燃機関70とその周辺構成を概略的に示しており、V型内燃機関である点、及び排気系を各バンク毎にそれぞれ備えている点以外は上記各実施形態における内燃機関10と基本的には同一の構成である。
この内燃機関70は第1バンク71Rと第2バンク71Lとを備えており、第1バンク71Rには第1排気通路72Rが接続されている。より具体的には、第1排気通路72Rは、第1バンク71Rに設けられた気筒の排気ポートに接続されている。第1排気通路72Rの途中には、第1排気センサ67Rと第1触媒16Rとが設けられている。
第2バンク71Lには第2排気通路72Lが接続されている。より具体的には、第2排気通路72Lは、第2バンク71Lに設けられた気筒の排気ポートに接続されている。第2排気通路72Lの途中には、第2排気センサ67Lと第2触媒16Lとが設けられている。
第1及び第2排気センサの検出信号は制御装置75に入力される。この制御装置75は上記制御装置50と同様な装置である。そして、制御装置75は第1排気センサ67Rの検出信号に基づいて、第1バンク71Rの気筒の燃料噴射量を制御する。同様に、制御装置75は第2排気センサ67Lの検出信号に基づいて、第2バンク71Lの気筒の燃料噴射量を制御する。
制御装置75は、上述したような空燃比フィードバック制御の実行判定処理を各バンク毎に実行する。
すなわち、先の図4に示した自動始動時における実行判定処理や先の図7に示した燃料カット復帰時における実行判定処理の実行に際して、S110の処理、及びS130の処理が第1排気センサ67Rの検出結果に基づいて実行される。そしてS140では第1バンク71Rの気筒における燃料噴射量に対してFB制御の開始が許可され、実行される。また、S160では第1バンク71Rの気筒における燃料噴射量に対してFB制御の開始が禁止される。
また、制御装置75は、上述したような減衰実行判定処理も各バンク毎に実行する。
すなわち、先の図5に示した自動始動時における減衰実行判定処理や先の図8に示した燃料カット復帰時における減衰実行判定処理の実行に際して、S200の処理、及びS220の処理が第1排気センサ67Rの検出結果に基づいて実行される。そしてS230では第1バンク71Rの気筒における燃料噴射量に対する増量補正量の減衰が実行される。また、S250では第1バンク71Rの気筒における燃料噴射量に対する増量補正量の減衰開始が禁止される。
そして、第2バンク71Lにおける空燃比フィードバック制御の実行判定処理や減衰実行判定処理も、第1バンク71Rにおける各処理と同様な態様で行われる。すなわち、第2排気センサ67Lの検出結果に基づき、第2バンク71LでのFB制御の実行、あるいはその禁止が行われる。また、第2排気センサ67Lの検出結果に基づき、第2バンク71Lでの増量補正量の減衰の実行、あるいは増量補正量の減衰開始の禁止がなされる。
このように本実施形態では、空燃比フィードバック制御の実行判定処理を個々の排気系毎に独立させて実行するようにしている。そのため、複数の排気系を備える内燃機関であっても、排気エミッションの悪化を抑制することができるようになる。
また、上記減衰実行判定処理を個々の排気系毎に独立させて実行するようにしている。そのため、複数の排気系を備える内燃機関であっても、上記減衰実行判定処理を実行することによる効果、すなわち第1の実施形態における(8)及び(9)に記載の効果等を好適に得ることができるようになる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記各実施形態では、所定の空燃比として理論空燃比を設定するようにしたが、この所定の空燃比としては、排気センサ67の応答遅れを検出することのできる空燃比であれば適宜変更することができる。
・上記各実施形態におけるフィードバック補正の制限態様は空燃比フィードバック制御を禁止するものであった。この他にも以下の(a)または(b)に記載するような制限態様を採用しても、上記フィードバック補正を確実に制限することができ、もって機関始動時や燃料カット復帰時における実空燃比の過剰なリッチ化を抑制することができる。
(a)上記空燃比フィードバック制御ではフィードバック補正係数FAFについて上限ガード値FAFMAXを設定し、同フィードバック補正係数FAFをこの上限ガード値FAFMAXより小さい値に制限するようにしたが、上記制限に際してこの上限ガード値FAFMAXをより小さい値に設定する。
(b)上記制限に際して燃料噴射量が少なくなるようにフィードバック補正係数FAFを変更する。例えば、上記補正係数(比例ゲイン)KPをより小さい値に変更する。
・上記第1の実施形態では機関始動時の実空燃比を理論空燃比よりもリッチ化させるために始動時増量処理を実行するようにした。また、第2の実施形態では燃料カット復帰時の実空燃比を理論空燃比よりもリッチ化させるために復帰時増量処理を実行するようにした。この他にも、例えば空燃比フィードバック制御において、機関始動時や燃料カット復帰時の目標空燃比を理論空燃比よりもリッチに設定するなど、要は機関始動時や燃料カット復帰時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を増量補正する燃料噴射制御装置であれば本発明は同様に適用することができる。
・上記各実施形態における排気センサは、実空燃比のリッチ度合或いはリーン度合まで検出することができる、いわゆる限界電流式の酸素濃度センサであった。このほかにも、実空燃比がリッチであるかリーンであるかのみを検出することのできる、いわゆる濃淡電池式の酸素濃度センサであっても本発明は同様に適用することができる。
・上記第1の実施形態では増量期間TBとして、実空燃比の変化が排気センサ67の検出信号に反映されるまでの期間よりも短い期間を設定するようにしたが、この他の期間を適宜設定することもできる。同様に第2の実施形態における増量期間TDも、他の期間を適宜設定することができる。
・上記第3の実施形態では、2つの排気系を有するV型内燃機関の燃料噴射制御装置に本発明を適用した場合について説明したが、この他の複数の排気系を有する内燃機関であっても同様に適用することができる。
・上記各実施形態では、エコラン運転を実施する車両の内燃機関の燃料噴射制御装置に本発明を適用した場合について説明した。この他にも、車両の駆動源として内燃機関と電動機とを備えるいわゆるハイブリット車両に搭載された内燃機関の燃料噴射制御装置にも、本発明は同様に適用することができる。
・上記第2及び第3の実施形態における燃料カット復帰時の空燃比フィードバック制御の実行判定処理、及び減衰実行判定処理は、エコラン運転を実施しない車両、すなわち機関の自動停止及び自動始動が行われない内燃機関でも実施することができる。
本発明にかかる燃料噴射制御装置が適用された内燃機関、及びその周辺構成についてその第1の実施形態を示す概略図。 排気センサの出力特性を示すグラフ。 同実施形態でのアイドルストップ制御の制御態様図。 同実施形態による空燃比フィードバック制御の実行判定処理についてその手順を示すフローチャート。 同実施形態による始動時増量の減衰実行判定処理についてその手順を示すフローチャート。 同実施形態による作用を説明するタイミングチャート。 第2の実施形態による空燃比フィードバック制御の実行判定処理についてその手順を示すフローチャート。 同実施形態による復帰時増量の減衰実行判定処理についてその手順を示すフローチャート。 第3の実施形態における内燃機関、及びその周辺構成を示す概略図。
符号の説明
10、70…内燃機関、11…吸気通路、13…排気通路、15…電磁クラッチ、16…触媒、16R…第1触媒、16L…第2触媒、17…クランクシャフト17…バッテリ、19…ベルト伝動機構、20…燃料噴射弁、24…デリバリパイプ、26…スロットルバルブ、30…自動変速機、40…発電電動機、45…スタータ、50、75…制御装置、61…機関回転速度センサ、62…車速センサ、63…水温センサ、64…バッテリセンサ、65…アクセルセンサ、66…吸入空気量センサ、67…排気センサ、67R…第1排気センサ、67L…第2排気センサ、71R…第1バンク、71L…第2バンク、72R…第1排気通路、72L…第2排気通路。

Claims (19)

  1. 機関始動時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を増量補正する始動時増量手段と、内燃機関の排気通路に設けられて排気の酸素濃度を検出する排気センサの検出信号に基づいて実空燃比を目標空燃比に一致させるための燃料噴射量補正係数を算出し、同燃料噴射量補正係数に基づいて燃料噴射量のフィードバック補正を実行する空燃比フィードバック制御手段とを備え、所定の条件のもと機関の自動停止及び自動始動を行う内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記排気センサの活性化後に、前記始動時増量手段の燃料増量による実空燃比の変化が前記排気センサにより検出されないことを条件に前記フィードバック補正の補正量を制限する制限手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記制限手段は前記排気センサにより検出される空燃比が所定の空燃比よりリーン側にあることを条件に前記制限を実行する
    請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 機関始動時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を増量補正する始動時増量手段と、内燃機関の排気通路に設けられて排気の酸素濃度を検出する排気センサの検出信号に基づいて実空燃比を目標空燃比に一致させるための燃料噴射量補正係数を算出し、同燃料噴射量補正係数に基づいて燃料噴射量のフィードバック補正を実行する空燃比フィードバック制御手段とを備え、所定の条件のもと機関の自動停止及び自動始動を行う内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記排気センサの活性化後に、前記排気センサにより検出される空燃比が所定の空燃比よりリーン側にあることを条件に前記フィードバック補正の補正量を制限する制限手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 前記所定の空燃比は理論空燃比である
    請求項2または請求項3に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記自動始動時から所定期間が経過したときに前記制限手段による制限を禁止する禁止手段を更に備える
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記始動時増量手段は前記自動始動の後、前記排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に変化したときから前記増量補正における増量値の減量を開始する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  7. 前記始動時増量手段は前記自動始動時から所定の増量期間が経過したときに前記排気センサにより検出される空燃比の値に拘わらず前記増量値の減量を強制的に開始する
    請求項6に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  8. 燃料カット復帰時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を増量補正する復帰時増量手段と、内燃機関の排気通路に設けられて排気の酸素濃度を検出する排気センサの検出信号に基づいて実空燃比を目標空燃比に一致させるための燃料噴射量補正係数を算出し、同燃料噴射量補正係数に基づいて燃料噴射量のフィードバック補正を実行する空燃比フィードバック制御手段とを備え、所定の条件のもと燃料カット及び燃料カットの復帰を行う内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記排気センサの活性化後に、前記復帰時増量手段の燃料増量による実空燃比の変化が前記排気センサにより検出されないことを条件に前記フィードバック補正の補正量を制限する制限手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  9. 前記制限手段は前記排気センサにより検出される空燃比が所定の空燃比よりリーン側にあることを条件に前記制限を実行する
    請求項8に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  10. 燃料カット復帰時の実空燃比が理論空燃比よりもリッチになるように燃料噴射量を増量補正する復帰時増量手段と、内燃機関の排気通路に設けられて排気の酸素濃度を検出する排気センサの検出信号に基づいて実空燃比を目標空燃比に一致させるための燃料噴射量補正係数を算出し、同燃料噴射量補正係数に基づいて燃料噴射量のフィードバック補正を実行する空燃比フィードバック制御手段とを備え、所定の条件のもと燃料カット及び燃料カットの復帰を行う内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記排気センサの活性化後に、前記排気センサにより検出される空燃比が所定の空燃比よりリーン側にあることを条件に前記フィードバック補正の補正量を制限する制限手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  11. 前記所定の空燃比は理論空燃比である
    請求項9または請求項10に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  12. 請求項〜11のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    燃料カット復帰時から所定期間が経過したときに前記制限手段による制限を禁止する禁止手段を更に備える
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  13. 請求項〜12のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記復帰時増量手段は前記燃料カット復帰後、前記排気センサにより検出される空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に変化したときから前記増量補正における増量値の減量を開始する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  14. 前記復帰時増量手段は前記燃料カット復帰時から所定の増量期間が経過したときに前記排気センサにより検出される空燃比の値に拘わらず前記増量値の減量を強制的に開始する
    請求項13に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  15. 前記内燃機関は複数の排気系を備え、各排気系にそれぞれ設けられた前記排気センサの検出結果に基づいて、該排気センサが設けられた排気系に接続された気筒の燃料噴射量に対する前記増量値の減量を開始する
    請求項6、7、13、14のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  16. 前記内燃機関は複数の排気系を備え、前記制限手段は、各排気系にそれぞれ設けられた前記排気センサの検出結果に基づいて、該排気センサが設けられた排気系に接続された気筒の燃料噴射量に対する前記フィードバック補正の補正量を制限する
    請求項1〜15のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  17. 前記制限手段は前記フィードバック補正を禁止する
    請求項1〜16のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  18. 前記空燃比フィードバック制御手段は前記燃料噴射量補正係数について上限ガード値を設定し、同燃料噴射補正係数をこの上限ガード値より小さい値に制限するものであり、
    前記制限手段は前記制限に際して前記上限ガード値をより小さい値に設定する
    請求項1〜16のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  19. 前記制限手段は前記制限に際して燃料噴射量が少なくなるように前記燃料噴射量補正係数を変更する
    請求項1〜16のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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