JP4244810B2 - 混合気を圧縮自着火させる自着火運転が可能な内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、混合気を圧縮自着火させる自着火運転が可能な内燃機関において、排気温度の低下を抑制する技術に関する。
内燃機関の燃焼方式として、近年、通常のガソリンエンジンのような「予混合火花点火燃焼方式」や、通常のディーゼルエンジンのような「拡散燃焼方式」に代わる、新たな燃焼方式が模索されている。このような新たな燃焼方式の1つとして、燃焼室内に予め混合気を形成しておき、これを圧縮して自着火燃焼させる「予混合圧縮自着火燃焼方式」がある。予混合圧縮自着火燃焼方式は、超リーン混合気を高圧縮比で圧縮し、一気に自着火燃焼させて短時間に燃焼を完了させる燃焼方式であり、原理的には、排気ガス中に含まれるNOxの量と燃料消費量とを同時に、しかも大幅に低減することが可能と考えられている。
しかし、NOx以外の大気汚染物質であるHCやCOは、依然として触媒による化学反応の促進によって浄化する必要がある。ここで、触媒は、排気温度がある程度高くないと十分に作用しないが、予混合圧縮自着火燃焼方式は、超リーン混合気を燃焼させる燃焼方式のため、他の燃焼方式と比較して排気温度が低くなりやすい。そのため、予混合圧縮自着火燃焼方式による内燃機関では、特に暖機時や軽負荷時に触媒を十分に作用させるため、ヒータ等の加熱型触媒や排気への燃料添加等による昇温手段を必要としていた。この結果、大幅なコストアップや燃費悪化を招いていた。
排気温度の低下を抑制するための技術として、排気ポートにポートライナ(断熱材)を組み付ける技術や、ポートライナの表面に多数の凹部を設け、ポートライナと排気ポート内壁面との間に断熱空間を形成する技術が知られている。
特開平5−133225号公報 特開平5−042660号公報
しかし、予混合圧縮自着火燃焼方式では、排気温度が他の燃焼方式と比較して低いため、上記技術では、排気温度の低下の抑制が不十分であった。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、予混合圧縮自着火燃焼方式において、排気温度の低下をより一層抑制することを可能とする技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の内燃機関は、予混合圧縮自着火運転が可能な内燃機関であって、
シリンダとピストンとで構成される燃焼室と、
前記燃焼室から燃焼ガスが排出される排気口の開閉を行う排気弁と、
前記排気弁の閉時に、前記排気弁と密着する排気弁シートと、
前記シリンダのシリンダヘッド部に設けられ、前記排気口から排出された燃焼ガスを排出する排気ポートと、
を備え、
前記シリンダヘッド部は、前記排気ポートを上下方向に2分割する平面に沿って分割可能な構造であり、
前記排気ポートの、少なくとも前記排気弁シート近傍の部分の内壁には、断熱材が設けられている。
この内燃機関では、シリンダヘッド部が排気ポートを上下方向に2分割する平面に沿って分割可能な構造のため、断熱材を、排気ポートの、排気弁シート近傍の部分の内壁に容易に設けることができる。従って、最も熱伝達率が大きくなる排気弁シート近傍の部分の排気ポート内壁の断熱を行うことができ、排気温度の低下をより一層抑制することができる。
上記内燃機関において、前記排気ポートの内壁には、前記断熱材を支持する複数の凸部が設けられ、
前記排気ポートの内壁と前記断熱材との間に、断熱空間を有するとしてもよい。
この構成によれば、断熱空間の存在により、さらに断熱効果を向上させることができ、排気温度の低下をさらに抑制することができる。さらに、断熱材の形状を単純な形状とすることができるため、コストダウンを図ることができると共に、排気ガスが通過する流路の表面積を小さくすることができ、より一層断熱効果を高め、排気温度の低下をより一層抑制することができる。
また、上記内燃機関において、前記排気ポートの内壁には、複数の凹部が設けられ、
前記複数の凹部と前記断熱材とによって、複数の閉ざされた断熱空間が構成されているとしてもよい。
この構成によっても、断熱空間の存在により、さらに断熱効果を向上させることができ、排気温度の低下をさらに抑制することができる。さらに、断熱空間が、複数の凹部と断熱材とによって、複数の閉ざされた断熱空間に区画されるため、空気の対流を抑制することができ、さらに一層断熱効果を高め、排気温度の低下をさらに一層抑制することができる。
また、上記内燃機関において、前記排気口と前記排気弁とを複数備え、
前記排気弁は上下方向に移動し、
前記排気ポートは、複数の前記排気口から上昇する燃焼ガスが合体する排気室(チャンバ)と、前記排気室から外部に燃焼ガスを導く排出通路とを有しており、
前記排気室と前記排出通路とは、水平に設けられており、前記シリンダヘッド部を分割する平面によって中央で上下に2分割されるとしてもよい。
この構成によれば、排気室の存在により高温の排気ガスの流速を下げることができるため、壁面への熱伝達率を小さくして排気ガス温度の低下を抑制することができる。これにより、触媒暖機性を向上させることができると共に、ターボ効率を向上させることができる。また、排気室と排出通路とは、シリンダヘッド部を分割する平面によって中央で上下に2分割されるため、断熱材を排気室および排出通路の排気弁シート近傍の部分の内壁に容易に設けることができる。従って、最も熱伝達率が大きくなる排気弁シート近傍の部分の断熱を行うことができ、排気温度の低下をより一層抑制することができる。さらに、背圧が低減されるため、排気ガスの抜けを良好にすると共に、他気筒の排気脈動の影響を抑制し、予混合圧縮自着火燃焼による運転が可能な領域を高回転高負荷領域まで拡大することができる。
また、上記内燃機関において、前記内燃機関は、前記排気口と前記排気弁とを3つ以上備えると共に、前記シリンダの周壁に接続され、前記ピストンの上下動によって前記シリンダに面する開口部が開閉する少なくとも1つの掃気ポートを備える2サイクル式内燃機関であるとしてもよい。
この構成によれば、弁面積を過大とすることなく、大きなカーテン面積を確保することができ、高回転高負荷運転時においても、効率よく燃焼ガスの排出を行うことができ、安定した圧縮自着火運転を行うことができる。また、新気や噴射燃料の吹き抜けを抑制することができる。
また、上記内燃機関において、前記シリンダは、前記シリンダヘッド部とシリンダブロック部とが一体形成された、モノブロック構造であるとしてもよい。
この構成によれば、シリンダ内高圧時のガスシール性の向上を図ることができる。また、ボア歪が抑制され、ブローバイガス量を低減することができる。また、デッドボリュームを削減でき、HC排出量を低減できる。さらに、部品点数の削減による低コスト化、軽量化、信頼性向上や、点火プラグおよび燃料噴射弁の配置自由度の向上を図ることができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、内燃機関や、内燃機関の排気装置、内燃機関の排気方法等の態様で実現することができる。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.変形例:
A.第1実施例:
図1は、本発明の第1実施例におけるガソリンエンジンの構成を概念的に示した説明図である。図1には、ガソリンエンジンのシリンダの中心で断面を取ったときのシリンダの構造が示されている。
このガソリンエンジン100の燃焼室は、シリンダブロック140内に設けられた中空円筒形のシリンダ142と、シリンダ142内を上下に摺動するピストン152と、シリンダブロック140の上部に設けられたシリンダヘッド130とによって形成されている。本実施例では、シリンダブロック140とシリンダヘッド130とが一体となったモノブロック構造の例を示している。なお、シリンダブロック140とシリンダヘッド130とで構成される筒状体を、広義の「シリンダ」と呼ぶ。また、本明細書においては、シリンダ142の中心軸に沿って、ピストン152がシリンダヘッド130に近づく方向を上方向と、ピストン152がシリンダヘッド130から離れる方向を下方向として説明する。また、本明細書において「水平」とは、上下方向のずれがほとんどない状態をいうものとする。
シリンダヘッド130には、燃焼室内の燃焼ガスが流出する排気口を開閉する排気弁132と、排気口から流出した燃焼ガスである排気ガスを排出する排気ポート135と、点火プラグ136とが設けられている。排気弁132は、駆動アーム162を介して、電磁アクチュエータ164で駆動されている。電磁アクチュエータ164は、任意のタイミングで排気弁132を開閉することが可能である。なお、電磁アクチュエータの代わりに、油圧アクチュエータやカム機構などの他の種類の可変動弁機構によって排気弁132を駆動しても良い。
シリンダブロック140には、シリンダ142内に新気を流入する2種類の掃気ポート146,148(詳細な形状は後述)が設けられている。掃気ポート146,148のシリンダ142に面する開口部(掃気口)は、ピストン152の上下動によって開閉され、ピストン152の下死点近傍において全開の状態となるように構成されている。掃気ポート146,148は、シリンダ142とは反対側の端部において、シリンダブロック140に設けられた給気サージタンク144に接続されている。
このように、ガソリンエンジン100は、シリンダ142の下部に掃気ポート146,148が接続され、シリンダヘッド130に排気弁132が設けられた、いわゆるユニフロー式の2サイクル式エンジンである。2サイクル式エンジンは、掃気口と排気口とが共に開状態となる掃気行程が存在するため、掃気口からシリンダ内に供給された新気や噴射燃料がそのまま排気口から流出する、いわゆる「吹き抜け」が問題となりやすい。新気や噴射燃料の吹き抜けが発生すると、掃気ポート内の圧力を必要以上に高めなければならず、過給損失による燃費悪化を招いてしまう。また、シリンダ内の混合気が十分リーンとならず、過早着火を引き起こしやすい。ユニフロー式の2サイクル式エンジンは、掃気口と排気口との距離が離れているため、頭上弁式やシュニーレ式といった他の方式の2サイクル式エンジンと比較して新気や噴射燃料の吹き抜けが抑制され、好ましい。
掃気ポート146,148には、新気を導く吸気通路12が、給気サージタンク144を介して接続され、排気ポート135には、排気ガスが通過する排気通路16が接続されている。排気通路16の下流には、大気汚染物質を浄化するための触媒26と、過給器50のタービン52とが設けられている。排気通路16内を通過する排気ガスはタービン52を回転させた後、大気に放出される。また、吸気通路12には、過給器50のコンプレッサ54が設けられている。コンプレッサ54は、シャフト56を介してタービン52に接続されており、排気ガスによってタービン52が回転するとコンプレッサ54も回転する。その結果、コンプレッサ54はエアクリーナ20から吸い込んだ空気を加圧した後、掃気ポート146,148に向かって圧送する。
コンプレッサ54で加圧すると空気温度が上昇するので、吸入空気を冷却するために、コンプレッサ54の下流側にはインタークーラ62が設けられている。また、吸気通路12内にはサージタンク60や、スロットル弁22も設けられている。サージタンク60は、燃焼室が空気を吸い込んだときに生じる圧力波を緩和させる作用を有しており、またスロットル弁22は電動アクチュエータ24によって適切な開度に設定されて、吸入空気量を調整する機能を有している。
ピストン152は、コネクティングロッド154を介してクランクシャフト156に接続されており、クランクシャフト156には、クランク角度を検出するクランク角センサ32が取り付けられている。
このガソリンエンジン100の動作は、エンジン制御用ユニット(以下、ECU)30によって制御されている。ECU30は、エンジン回転速度Neやアクセル開度θacを検出し、これらに基づいてスロットル弁22の開度の制御や、点火プラグ136の点火タイミング制御、電磁アクチュエータ164の制御を実行する。エンジン回転速度Neはクランク角センサ32によって検出され、アクセル開度θacはアクセルペダルに内蔵されたアクセル開度センサ34によって検出される。
図2は、第1実施例におけるガソリンエンジンのシリンダの断面を拡大して示す説明図である。また図3は、図2のA−A断面を示す説明図である。図2に示すように、第1実施例のガソリンエンジン100は、シリンダヘッド130が分割面DFに沿って上下に分割可能な構造となっている。図3には、シリンダヘッド130の分割面DFより下の部分を上方から見た状態を示している。
ガソリンエンジン100は、シリンダヘッド130のほぼ中央に点火プラグ136が設けられており、点火プラグ136の周囲に3つの排気弁132が設けられている。排気弁132のバルブヘッド部132aは、すべて同径であり、シリンダ142の中心軸の周囲に、互いの間隔が等間隔となるように配置されている。また、3つの排気弁132は、その軸部132bの中心軸が、互いに平行となるように、かつ、シリンダ142の中心軸にほぼ平行となるように、シリンダヘッド130に設置されている。
シリンダヘッド130に設けられた排気ポート135は、3つの排気弁132が開閉する排気口から排出される排気ガスが合体する排気室(チャンバ)135bと、排気室135bから排気通路16の方へと排気ガスを導く排出通路135aとを有している。排出通路135aおよび排気室135bは水平に設けられており、また、分割面DFによって、中央で上下に2分割されるような位置に設けられている。
シリンダヘッド130に排気室135bを設けることによって、燃焼室から排出された直後の高温の排気ガスの流速を下げることができ、排気ポート135壁面への熱伝達率を小さくして排気ガス温度の低下を抑制することができる。これにより、触媒暖機性を向上させることができる。また、ターボ効率を向上させることができる他、背圧が低減されるため、排気ガスの抜けを良好にすると共に、他気筒の排気脈動の影響を抑制し、予混合圧縮自着火燃焼による運転が可能な領域を高回転高負荷領域まで拡大することができる。
また、排気ポート135(排出通路135aおよび排気室135b)の内壁には、ステンレス断熱材172が組み付けられている。そして、図2に示すように、ステンレス断熱材172は、排気ポート135の、バルブシート133近傍の部分を含めた全体の内壁に設けられている。
排気ポート135のバルブシート133近傍の部分は、排気ガスが排気口から排出された直後で最も流速が大きいため、最も熱伝達率が大きくなる場所である。ステンレス断熱材172をバルブシート133近傍にも設けることによって、最も熱伝達率が大きくなる場所の断熱を行うことができるため、排気温度の低下を最小限に抑制することができる。従って、触媒の活性化を早めることができ、加熱型触媒や排気への燃料添加等による昇温手段を必要とせず、あるいは、使用範囲を大幅に削減することができ、燃費向上やコストダウンを図ることできる。また、ターボ効率を向上させることもできる。
このような、ステンレス断熱材172の設置は、シリンダヘッド130を、排出通路135aおよび排気室135bの中央を通る平面に沿って、上下に2分割される構造としたことにより容易に可能となったものである。このように、シリンダヘッド130を上下2分割構造とすることによって、断熱材の設置における生産性の向上やコストダウンを図ることができる。
なお、本明細書において、排気ポート135のバルブシート133近傍の部分とは、排気ポート135の内、排気弁シート133からの距離が10mm以内の部分をいうものとする。
また、第1実施例では、シリンダブロック140とシリンダヘッド130とが一体となったモノブロック構造を採用している。モノブロック構造の採用は、排気弁132の中心軸がシリンダ142の中心軸と平行であり、シリンダヘッド130における排気弁132用の穴あけ加工を、シリンダブロック140の下部側から行うことができるため、可能となったものである。モノブロック構造の採用により、シリンダ内高圧時のガスシール性の向上を図ることができる。また、ボア歪が抑制され、ブローバイガス量を低減することができる。また、デッドボリュームを削減でき、HC排出量を低減できる。さらに、部品点数の削減による低コスト化、軽量化、信頼性向上や、点火プラグおよび燃料噴射弁の配置自由度の向上を図ることができる。
図4は、排気ポート135の排出通路135aの断面(図2のB−B断面)を拡大して概略的に示す説明図である。図4には、シリンダヘッド130に設けられた排気ポート135の排出通路135aの内壁に、ステンレス断熱材172が設けられている様子を示している。図4に示すように、本実施例では、ステンレス断熱材172が複数の凸部を有するように成型されている。そのため、ステンレス断熱材172を排出通路135aの内壁に設置すると、ステンレス断熱材172と排出通路135aの内壁との間に空気層174が形成される。
また、同様に、図示しない排気ポート135の排気室135bの内壁に設けられたステンレス断熱材172も、同様の形状に成型されており、ステンレス断熱材172と排気室135bの内壁との間に空気層174が形成されている。
このように、ステンレス断熱材172と排気ポート135の内壁との間に空気層174が形成されると、空気層174は断熱空間として働くため、さらに断熱効果を向上させることができ、排気温度の低下をさらに抑制することができる。
図5は、排気弁を駆動する機構の構成を示す説明図である。図5(a)は、排気弁132の弁軸を押すための駆動アーム162を上部から見た形状を示しており、図5(b)は、シリンダヘッド130を中心にシリンダの断面を拡大して示している。シリンダヘッド130の上方に駆動アーム162が設けられている。駆動アーム162は、上面視略三角形状であり、3つの頂点部分のそれぞれには、排気弁132の上端部が接続されている。駆動アーム162の上方には電磁アクチュエータ164が設置され、駆動アーム162の上面視略三角形の重心位置(図5(a)の一点鎖線の交点)に、電磁アクチュエータ164が作用するように配置されている。
電磁アクチュエータ164は、ECU30からの開弁命令を受けると、駆動アーム162の重心位置に力を加え、駆動アーム162を下方に平行移動させる。駆動アーム162は、3つの排気弁132の上端部に接続されており、また、3つの排気弁の中心軸は、互いに平行となっているので、駆動アーム162が下方に移動すると、3つの排気弁132は同時に、排気弁132の軸方向に沿って下方に移動する。排気弁132が下方に移動すると、排気口が開きシリンダ142内の燃焼ガスが排気ポート135に向かって排出される。排気弁132が下方に移動したときの、元の位置から移動した位置までの排気弁132の軸方向の移動量をリフト量と呼ぶ。リフト量と排気弁132のバルブヘッド部132aの周長との積をカーテン面積といい、カーテン面積が大きいほどシリンダ142内の排気ガスが効率よく排出される。
予混合圧縮自着火燃焼方式の2サイクル式エンジンにおいて、高回転高負荷時にも過早着火を起こさせることなく圧縮自着火運転を行うためには、燃焼ガスを効率よく排出することが必要である。燃焼ガスを効率よく排出するためには、前述の通り、カーテン面積を大きく設定すればよい。しかし、カーテン面積を大きく取ろうとして、排気弁のバルブヘッド部の面積(弁面積)を大きくすると、排気弁を駆動するための動力が増大してしまい、特に、筒内圧力が非常に高くなる予混合圧縮自着火燃焼方式の2サイクル式エンジンでは、好ましくない。従って、排気弁の弁面積を大きくすることなく、排気弁のカーテン面積を大きくとることが望ましい。
図6は、排気弁の弁数と弁面積およびカーテン面積との関係を示す説明図である。図は、排気弁の弁数が1つのときを基準として、弁数を増加させていったときに、配置された排気弁のトータル弁面積とトータルカーテン面積とが、基準に対してどのような増加率となるかを示している。一般に、排気弁をシリンダヘッドに配置する際には、排気弁とシリンダとの間および隣接する排気弁同士の間に所定のクリアランスを確保する必要がある。本実施例では、各弁数に応じた排気弁132をシリンダヘッド130に配置するための条件として、シリンダ142の直径Dbは81ミリメートル、シリンダ142と排気弁132との必要クリアランスLsは5ミリメートル、隣接する排気弁132間の必要クリアランスLvは5ミリメートルとしている。そして排気弁132のバルブヘッド部132aの径Dvは、この条件を前提として、取りうる最大の値に設定する。なお、このような条件に従い排気弁132を配置すると、排気弁132は、シリンダ142の中心軸の周囲に均等間隔に配置される。排気弁132のバルブヘッド部の径Dvが設定されれば、弁面積およびカーテン面積を算定することができる。
図6を見ると、トータル弁面積は、排気弁132の弁数が2のときに極小となるが、弁数が3以上では、弁数が増加するほど弁面積は緩やかに減少している。一方、トータルカーテン面積は、排気弁132の弁数が2のときに極小となり、弁数が3以上では、弁数が増加するほどカーテン面積は大きく増加している。従って、排気弁132の弁数を3以上とすれば、弁面積を過大とすることなく、大きなカーテン面積を確保することができ、高回転高負荷運転時においても、効率よく燃焼ガスの排出を行うことができ、安定した圧縮自着火運転を行うことができる。
なお、排気弁数を3以上としても、本実施例のように、1つの駆動アーム162と1つの電磁アクチュエータ164とで3つ以上の排気弁132を駆動させることができ、コストダウン、搭載性の向上および運動部品の軽量化を図ることができる。特に2サイクル式エンジンは、4サイクル式エンジンに比べて動弁系の動作頻度が2倍であり、弁のサージング限界により最大回転数が抑えられがちであるが、運動部品の軽量化により、サージング限界回転数を高くすることができる。
図7は、図2のC−C断面を示す説明図である。掃気ポート146は、シリンダ142の中心軸に垂直な平面にほぼ平行となるように形成されており(図2参照)、また、シリンダ142の中心軸からずれた方向に向かって新気が流入するように、シリンダ142に接続されている(図7参照)。そのため、掃気ポート146からシリンダ142に流入した新気は、シリンダ142の内周に沿って移動し、シリンダ142内に、シリンダ142の中心軸に垂直な平面内での渦(スワール)を生成する。本明細書において、このような掃気ポート146を「接線ポート」と呼ぶ。本実施例では、2つの掃気ポート(接線ポート)146が、シリンダ142内に同じ方向のスワールを生成するような向きに設けられている。
また、掃気ポート(接線ポート)146のシリンダ142に面する開口部(掃気口)付近には、リブ(突起)145が設けられており(図7)、リブ145により掃気ポート146の掃気口は左右に2分割されている。掃気口が左右2分割されていることで、ピストン152の上下動に伴うピストンリング153(図2)の引っかかりが防止される。さらに、2つの掃気ポート146の内の1つの掃気口近傍には、ポート内に燃料噴霧を噴射する燃料噴射弁15が設けられている(図7)。燃料噴射弁15を掃気ポート146内に設けることにより、燃料噴霧を掃気流に乗せて混合気のミキシング促進を図ることができ、また、低圧噴射弁を採用できるため、燃料噴射弁や燃料ポンプのコストダウンが可能である。燃料噴射弁15の燃料噴射制御は、ECU30(図1)により行われる。なお、掃気ポート146の開口部(掃気口)近傍とは、掃気ポート146内であって、掃気ポート146の長さ方向の中間点よりシリンダ142に近い側であることが好ましい。
一方、掃気ポート148は、シリンダ142の中心軸に垂直な平面に対し、新気が斜め下向きにシリンダ142内に流入するような勾配を設けて形成されている(図2参照)。また、掃気ポート148は、シリンダ142の中心軸に向かって新気が流入するように、シリンダ142に接続されている(図7参照)。本明細書において、このような掃気ポート148を「ストレートポート」と呼ぶ。本実施例では、2つの掃気ポート(ストレートポート)148が、シリンダ142を挟んで対向するように設けられている。そのため、掃気ポート148からシリンダ142に流入した新気は、ピストン152の頂面に衝突して、向きを斜め上向きに転ずると共に(図2参照)、対向する2つの掃気ポート148からの新気同士がシリンダ142の中心軸付近で衝突するため(図7参照)、シリンダ142内に、シリンダ142の中心軸付近を上昇する上昇気流を生成する。
また、掃気ポート(ストレートポート)148のシリンダ142に面する開口部(掃気口)付近には、リブ(突起)147が設けられており(図7)、リブ147により掃気ポート148の掃気口は左右に2分割されている。掃気口が左右2分割されていることで、ピストン152の上下動に伴うピストンリング153の引っかかりが防止される。さらに、2つの掃気ポート148の内の1つの掃気口近傍には、ポート内に燃料噴霧を噴射する燃料噴射弁14が設けられている(図7)。燃料噴射弁14を掃気ポート148内に設けることにより、低圧噴射弁を採用できるため、燃料噴射弁や燃料ポンプのコストダウンが可能である。燃料噴射弁14の燃料噴射制御は、ECU30(図1)により行われる。なお、掃気ポート148の開口部(掃気口)近傍とは、掃気ポート148内であって、掃気ポート148の長さ方向の中間点よりシリンダ142に近い側であることが好ましい。
なお、掃気ポート148が、斜め下向きの勾配を設けて形成されていることは、燃料噴射弁14によって噴射された燃料噴霧の吹き抜け防止の点からも好ましい。また、掃気ポート148がシリンダ142を挟んで対向するように設けられていることは、燃料噴射弁14によって噴射された燃料噴霧がシリンダ142の内壁面に付着し、HC(未燃燃料)やスモークの排出量が増加してしまうことを防止する点からも好ましい。
また、2つの掃気ポート(ストレートポート)148には、それぞれ開閉機構としての給気制御弁149(図2、図7)が設けられており、給気制御弁149の軸を中心とした回転によって、掃気ポート148の開閉を行うことができる。給気制御弁149の開閉制御は、ECU30(図1)により行われる。
低回転低負荷運転時には、ECU30は、掃気ポート(ストレートポート)148に設けられた給気制御弁149を閉じるような制御を行う。すなわち、低回転低負荷運転時には、掃気ポート(接線ポート)146のみにより、シリンダ142内に新気が供給される。このとき、新気の流入速度は大きくなり、シリンダ142内の残留ガスと混合気とのミキシングが促進されるため、低回転低負荷運転時においても安定した圧縮自着火燃焼運転を行うことができる。
また、掃気ポート(接線ポート)146は、前述の通り、シリンダ142内にスワールを生成するように形成されているため、シリンダ142内に流入した比較的低温の新気は、シリンダ142の内壁面に沿って移動し、高温の残留ガスは、シリンダ142の中央付近に分布する。従って、新気がシリンダ142内壁面から熱を奪うことによって、残留ガスの温度低下が抑制され、低回転低負荷運転時においても安定した圧縮自着火燃焼運転を行うことができる。
さらに、掃気ポート146から排気口へと直接向かう気流を伴わないため、新気や噴射燃料の吹き抜けを抑制することができ、過給損失による燃費の悪化を防止することができる。
なお、低回転低負荷運転時には、掃気ポート(接線ポート)146内に設けられた燃料噴射弁15により燃料噴射を行う。燃料噴射弁としては、ホロコーン型や、多孔衝突噴霧型、ファンスプレー型、中実コーン型、スリット型などが知られているが、燃料噴射弁15は、比較的噴射率が小さく噴霧貫徹力の小さいホロコーン型や多孔衝突噴霧型を採用することが好ましい。こうすれば、燃料噴霧を掃気ポート146が生成するスワールに容易に乗せることができ、混合気のミキシングを促進することができる。
一方、高回転高負荷運転時には、ECU30は、掃気ポート(ストレートポート)148に設けられた給気制御弁149を開けるような制御を行う。すなわち、高回転高負荷運転時には、掃気ポート(接線ポート)146と掃気ポート(ストレートポート)148との両方から、シリンダ142内に新気が供給される。高回転高負荷運転時は、シリンダ内に供給される空気量および燃料量が多くミキシング時間が少ないが、両方の掃気ポートを使用することによって、掃気口の面積を増加させて速やかに掃気を行うことができ、安定した圧縮自着火燃焼運転を行うことができる。
また、掃気ポート(ストレートポート)148は、シリンダ142内にシリンダ142の中心軸付近に沿った上昇気流を生成するように形成されているため、シリンダ142の中心軸付近に残りやすい残留ガスを確実に排出して、掃気率を高め、混合気の温度が必要以上に上昇することを抑制することができる。従って、高回転高負荷運転時においても、過早着火を起こすことなく圧縮自着火燃焼運転を行うことができる。
なお、高回転高負荷運転時には、掃気ポート(ストレートポート)148内に設けられた燃料噴射弁14により、あるいは、燃料噴射弁14と掃気ポート(接線ポート)146内に設けられた燃料噴射弁15とにより、燃料噴射を行う。燃料噴射弁14は、比較的噴射率が大きく噴霧貫徹力の大きいファンスプレー型や、中実コーン型、スリット型を採用することが好ましい。こうすれば、高回転高負荷運転時にも、短時間で必要な燃料量を噴射できると共に、燃料噴霧が掃気ポート148からの新気によって生成される上昇気流に乗って吹き抜けることを抑制することができる。
なお、掃気ポート(接線ポート)146により生成されるスワールと、掃気ポート(ストレートポート)148により生成される上昇気流とは、共にシリンダ142の中心軸に対して対称な気流である。すなわちシリンダ142の中心軸に垂直な断面内において、気流の偏りが少ない。従って、シリンダヘッド130に均等間隔に配置された排気弁132から、まんべんなく排気ガスを排出することができ、排気(掃気)の効率を高めることができる。
掃気ポート146,148は、シリンダ142とは反対側の端部において、シリンダブロック140に設けられた給気サージタンク144に接続されており(図2、図7参照)、新気は、吸気通路12から給気サージタンク144を介して、掃気ポート146,148に供給される(図1参照)。本実施例では、給気サージタンク144は、シリンダブロック140に一体となって形成されている(図2参照)。また、給気サージタンク144は、図示しない他のシリンダの掃気ポートにも接続され、他のシリンダに新気を供給している。
掃気行程において、掃気口が開口し、掃気ポート146,148から新気がシリンダ142内に流入し始めると、慣性により、掃気ポート146,148内に負の圧力波が発生する。この負の圧力波は、掃気ポート146,148内をさかのぼって行き、給気サージタンク144に面する開口部(開放端)に来ると、逆位相の正の圧力波となって掃気口に戻ってくる。この正の圧力波がまだ掃気口が開口しているときに戻ってくると、シリンダ内に新気を押し込む作用をして給気効率が向上する。本実施例では、給気サージタンク144をシリンダブロック140に一体として形成することによって、掃気ポート146,148の管長を短くすることができる。このようにして、圧力波の往復時間を短縮することができ、圧力波を利用して給気効率向上を図ることができる。また、併せて、多気筒エンジンの小型化を図ることができる。
ガソリンエンジン100は、上述の通り、低回転低負荷運転時から高回転高負荷運転時まで、安定して予混合圧縮自着火燃焼による運転を行うことができる。従って、負荷が極端に小さく圧縮自着火燃焼が困難な始動時および暖機時は、火花点火燃焼による運転を行い、それ以外の運転領域では、予混合圧縮自着火燃焼による運転を行うとすることもできる。図8は、第1実施例におけるガソリンエンジン100の運転モードを示すマップである。図8の横軸はエンジンの回転数、縦軸は負荷(トルク)である。
ガソリンエンジン100の運転モードは、回転数および負荷に応じて2つの運転領域R1およびR2に区分されている。第1の運転領域R1は、極低回転極低負荷の始動および暖機を行う運転領域である。この運転領域R1では、火花点火燃焼による運転を行う。一方、第2の運転領域R2は、運転領域R1以外の運転領域であり、回転数および負荷について広い範囲をカバーする運転領域である。この運転領域R2では、圧縮自着火燃焼による運転を行う。
このように、始動時および暖機時は、火花点火燃焼による運転を行い、それ以外の運転領域では、予混合圧縮自着火燃焼による運転を行うこととすれば、点火プラグ136(図2)は、始動時および暖機時の専用とすることができ、小型化することができる。点火プラグ136を小型化できれば、シリンダヘッド130に設置する排気弁132(図2)の大きさや配置に関する自由度を高めることができると共に、点火プラグ136自身の配置の自由度も高められる。さらに、点火プラグ136の冷却装置を不要とすることができると共に、イグナイタの低コスト化を図ることができる。また、暖機後は、燃焼方式の切り替えを行う必要が無いため、ドライバビリティが向上すると共に、燃費悪化の要因となる燃焼方式切り替え時のトルクショック対策用トルク調整制御が不要となる。
ガソリンエンジン100は、ストローク・ボア比の値が1.2以上のロングストロークに設定されている。図9は、ストローク・ボア比とピストン頂部面積および燃焼室クリアランス高さとの関係を示す説明図である。本実施例では、1気筒あたりの排気量を500ccとし、圧縮比を15と設定している。図9に示すように、ピストン頂部面積は、ストローク・ボア比の値が1のエンジン(スクエアエンジン)を基準とすると、ストローク・ボア比の値が大きくなるほど、ピストン頂部面積は減少する。ガソリンエンジン100は、圧縮自着火燃焼を行うために高圧縮比に設定されており、また、圧縮自着火燃焼により混合気の燃焼がほぼ同時に行われるため、シリンダ142内の圧力は非常に高圧となる。このようなガソリンエンジン100において、ストローク・ボア比の値を1.2以上に設定してロングストロークとすれば、ピストン頂部面積はスクエアエンジンと比較して10%以上減少する。従って、ピストン152の頂面に作用する圧力も10%以上軽減され、部品の軽量化や信頼性の向上を図ることができる。また燃焼室の表面積と容積の比(S/V比)が小さくなり、冷却損失を抑制して燃費を向上させることができる。さらに、図9に示すように、ストローク・ボア比の値を大きくすると、燃焼室クリアランス高さを大きくとることができる。ガソリンエンジン100は、高圧縮比運転を行うために燃焼室容積が小さいが、ストローク・ボア比を1.2以上とすることにより、ピストン152とシリンダヘッド130とのクリアランスを十分に確保でき、気流の妨げやS/V比の悪化につながるバルブリセスの設置を不要とすることができる。
B.第2実施例:
図10は、第2実施例における排気ポート135の排出通路135aの断面(図2のB−B断面)を拡大して概略的に示す説明図である。図4に示した第1実施例との違いは、排気ポート135の排出通路135aの内壁に、複数の凸部131が設けられていることである。そして、ステンレス断熱材172は、複数の凸部131の各頂点部において支持されるように設置されている。
また、同様に、図示しない排気ポート135の排気室135bの内壁にも、複数の凸部131が設けられており、ステンレス断熱材172は、複数の凸部131の各頂点部において支持されるように設置されている。
このようにしても、ステンレス断熱材172と排気ポート135内壁との間に空気層174が形成され、さらに断熱効果を向上させることができ、排気温度の低下をさらに抑制することができる。さらに、第2実施例では、ステンレス断熱材172の形状を凹凸のない単純な形状とすることができるため、コストダウンを図ることができると共に、排気ガスが通過する流路の表面積を小さくすることができ、より一層断熱効果を高め、排気温度の低下をより一層抑制することができる。
C.第3実施例:
図11は、第3実施例における排気ポート135の排出通路135aの断面を斜視した状態を概略的に示す説明図である。図11では、構造をわかりやすくするために排気ポート135の下側半分のみを示している。また、図の左側が排気室135b側、図の右側が排気通路16側である。第3実施例では、排気ポート135の排出通路135aの内壁に、格子状のリブ137によって区画された複数の凹部176が設けられている。そして、図示しないステンレス断熱材172が、格子状のリブ137の先端部において支持されるように設置される。
また、同様に、図示しない排気ポート135の排気室135bの内壁にも、格子状のリブ137によって区画された複数の凹部176が設けられており、図示しないステンレス断熱材172が、格子状のリブ137の先端部において支持されるように設置される。
このようにしても、ステンレス断熱材172と排気ポート135内壁に設けられた凹部176との間に空気層が形成され、さらに断熱効果を向上させることができ、排気温度の低下をさらに抑制することができる。さらに、本実施例では、空気層が、リブ137によって小さく区画されるため、空気の対流を抑制することができ、さらに一層断熱効果を高め、排気温度の低下をさらに一層抑制することができる。
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D1.変形例1:
上記実施例では、2サイクル式のエンジンを例に用いて説明したが、本発明は、2サイクル式のエンジンに限らず、例えば4サイクル式エンジンのような他の方式のエンジンにも適用することができる。すなわち、他の方式のエンジンにおいても、排気ポートの、排気弁シート近傍の部分の内壁に断熱材を設けたり、断熱材と排気ポートの内壁との間に空気層を設けたりすることによって、排気温度の低下を抑制することができる。
D2.変形例2:
上記実施例では、排気ポート135が排気室135bを有している例を用いて説明しているが、本発明は、排気ポート135が排気室135bを有さない場合、すなわち、排出通路135aのみを有する場合にも適用することができる。このとき、各排気口からの排気ガスは、それぞれに接続された排気ポート135(すなわち排出通路135a)を通って排出される。このようなときでも、排気ポートの、排気弁シート近傍の部分の内壁に断熱材を設けたり、断熱材と排気ポートの内壁との間に空気層を設けたりすることによって、排気温度の低下を抑制することができる。
D3.変形例3:
上記実施例では、排気ポート135の内壁に設ける断熱材の一例として、ステンレス断熱材172を用いて説明したが、断熱材はそれ以外の他の断熱材であるとしてもよい。例えば、ジルコニア等のセラミックの溶射によって断熱材を形成することも可能である。
D4.変形例4:
上記実施例では、排出通路135aの内壁と、排気室135bの内壁との両方に断熱材を設けているが、どちらか一方のみに断熱材を設けるようにしてもよい。
D5.変形例5:
上記実施例では、シリンダヘッド130に3つ以上の排気弁132が設けられているが、本発明は、シリンダヘッド130に1つまたは2つの排気弁132が設けられているときにも適用可能である。
D6.変形例6:
上記実施例では、ガソリンエンジン100はシリンダヘッド130とシリンダブロック140とが一体となったモノブロック構造のエンジンであるとしているが、ガソリンエンジン100はシリンダヘッド130とシリンダブロック140が分割されているエンジンであるとしてもよい。
D7.変形例7:
上記実施例では、2つの接線ポート146と2つのストレートポート148との合計4つの掃気ポートが、シリンダ142に接続されているエンジンについて説明したが、シリンダ142に接続される掃気ポートは1つの掃気ポート(接線ポート)146であるとしてもよい。あるいは、シリンダ142に接続される掃気ポートは、1つの掃気ポート(接線ポート)146と1つのストレートポート148との合計2つの掃気ポートであるとしてもよい。あるいは、シリンダ142に接続される掃気ポートは、1つまたは複数の任意形状の掃気ポートであるとしてもよい。
D8.変形例8:
上記実施例では、掃気ポート(接線ポート)146内の燃料噴射弁15と掃気ポート(ストレートポート)148内の燃料噴射弁14との2つの燃料噴射弁が設けられているが、掃気ポート146内の燃料噴射弁15のみが設けられているとしてもよい。
D9.変形例9:
上記実施例では、2つの掃気ポート(ストレートポート)148のそれぞれに開閉機構としての給気制御弁149が設けられているが、1つの掃気ポート148にのみ給気制御弁149が設けられているとしてもよい。あるいは、掃気ポート148に限らず、任意の掃気ポートの少なくとも1つに給気制御弁149が設けられているとしてもよい。
D10.変形例10:
上記実施例では、給気制御弁149の開閉制御において、すべての給気制御弁149を同時に開放または閉鎖する制御としているが、内燃機関の回転数および負荷に応じて、多段階的に1つまたは複数の給気制御弁149毎に開放または閉鎖を行うような制御としてもよい。
本発明の第1実施例におけるガソリンエンジンの構成を概念的に示した説明図。 第1実施例におけるガソリンエンジンのシリンダの断面を拡大して示す説明図。 図2のA−A断面を示す説明図。 排気ポートの排出通路の断面(図2のB−B断面)を拡大して概略的に示す説明図。 排気弁を駆動する機構の構成を示す説明図。 排気弁の弁数と弁面積およびカーテン面積との関係を示す説明図。 図2のC−C断面を示す説明図。 第1実施例におけるガソリンエンジンの運転モードを示すマップ。 ストローク・ボア比とピストン頂部面積および燃焼室クリアランス高さとの関係を示す説明図。 第2実施例における排気ポートの排出通路の断面(図2のB−B断面)を拡大して概略的に示す説明図。 第3実施例における排気ポートの排出通路の断面を斜視した状態を概略的に示す説明図。
符号の説明
12...吸気通路
14...燃料噴射弁
15...燃料噴射弁
16...排気通路
20...エアクリーナ
22...スロットル弁
24...電動アクチュエータ
26...触媒
32...クランク角センサ
34...アクセル開度センサ
50...過給器
52...タービン
54...コンプレッサ
56...シャフト
60...サージタンク
62...インタークーラ
100...ガソリンエンジン
130...シリンダヘッド
131...凸部
132...排気弁
132a...バルブヘッド部
132b...軸部
133...排気弁シート
135...排気ポート
135a...排出通路
135b...排気室
136...点火プラグ
137...リブ
140...シリンダブロック
142...シリンダ
144...給気サージタンク
145...リブ
146...掃気ポート
147...リブ
148...掃気ポート
149...給気制御弁
152...ピストン
153...ピストンリング
154...コネクティングロッド
156...クランクシャフト
162...駆動アーム
164...電磁アクチュエータ
172...ステンレス断熱材
174...空気層
176...凹部

Claims (6)

  1. 予混合圧縮自着火運転が可能な内燃機関であって、
    シリンダとピストンとで構成される燃焼室と、
    前記燃焼室から燃焼ガスが排出される排気口の開閉を行う排気弁と、
    前記排気弁の閉時に、前記排気弁と密着する排気弁シートと、
    前記シリンダのシリンダヘッド部に設けられ、前記排気口から排出された燃焼ガスを排出する排気ポートと、
    を備え、
    前記シリンダヘッド部は、前記排気ポートを上下方向に2分割する平面に沿って分割可能な構造であり、
    前記排気ポートの、少なくとも前記排気弁シート近傍の部分の内壁には、断熱材が設けられており、
    前記排気ポートの内壁は、前記断熱材を支持する支持部材であって、前記断熱材周辺に複数の区画された断熱空間を形成する支持部材を有する、内燃機関。
  2. 請求項1記載の内燃機関であって、
    前記排気ポートの内壁には、前記断熱材を支持する前記支持部材としての複数の凸部が設けられ、
    前記排気ポートの内壁と前記断熱材との間に、前記断熱空間を有する、内燃機関。
  3. 請求項1記載の内燃機関であって、
    前記排気ポートの内壁には、前記支持部材によって囲まれた複数の凹部が設けられ、
    前記複数の凹部と前記断熱材とによって、複数の閉ざされた前記断熱空間が構成されている、内燃機関。
  4. 請求項1ないし請求項3に記載の内燃機関であって、
    前記排気口と前記排気弁とを複数備え、
    前記排気弁は上下方向に移動し、
    前記排気ポートは、複数の前記排気口から上昇する燃焼ガスが合体する排気室(チャンバ)と、前記排気室から外部に燃焼ガスを導く排出通路とを有しており、
    前記排気室と前記排出通路とは、水平に設けられており、前記シリンダヘッド部を分割する平面によって中央で上下に2分割される、内燃機関。
  5. 請求項4記載の内燃機関であって、
    前記内燃機関は、前記排気口と前記排気弁とを3つ以上備えると共に、前記シリンダの周壁に接続され、前記ピストンの上下動によって前記シリンダに面する開口部が開閉する少なくとも1つの掃気ポートを備える2サイクル式内燃機関である、内燃機関。
  6. 請求項1ないし請求項5に記載の内燃機関であって、
    前記シリンダは、前記シリンダヘッド部とシリンダブロック部とが一体形成された、モノブロック構造である、内燃機関。
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