JP4241231B2 - プロジェクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、広周波数帯域にわたって一定の高音圧を発生する超音波トランスデューサを含んで構成される超音波スピーカを搭載したプロジェクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プロジェクタは会議などでのプレゼンテーションで主に利用されていたため、プロジェクタ本体に特にスピーカが存在する必要性が少なかった。なぜなら、プレゼンターがスクリーンに映し出されたプロジェクタのデータを自らが説明し、その説明はマイクロフォンを通して会場のスピーカから音声情報として流れていたからである。
【0003】
しかし今後はDVDなどの普及や大画面指向のトレンドから、ホーム市場、文教市場などでの利用シーンが増えるものと予想される。大画面映像装置としてプロジェクタを使用する場合、各家庭や教室に音響システムが必要となる。しかし、これらの利用シーンではステレオサラウンドシステムや5.1chサラウンドシステムを設置するスペースや手間をかける時間などほとんどなく、コスト高にも繋がる。そうするとホームシアターや学習教材などのツールとしてのプロジェクタの利用価値がほとんどなくなってしまう。
【0004】
そこでプロジェクタをラジカセ的に使えるスピーカをプロジェクタ本体に内蔵することが考えられるが、通常のラウドスピーカでは、プロジェクタ内に納めるには体積不足で十分な音響を提供する事が出来ない。また、プロジェクタ本体にスピーカがありそこから音が発生していても、映像が映し出されているのはスクリーンであり音の発生源とは位置的な相違があるためどうしても違和感を覚える、という問題を抱えていた。
【0005】
また、超音波トランスデューサを利用した超音波スピーカをプロジェクタに内蔵するというアイデアも提案されている(例えば、特許文献1参照。)
従来の超音波スピーカの構成を図8に示す。超音波スピーカは、可聴周波数帯の信号を生成する可聴周波数波発振源81と、キャリア波を生成するキャリア波発振源82と、変調器83と、パワーアンプ84と、超音波トランスデューサ85とを有している。
【0006】
上記構成において、可聴周波数波発振源81より出力される信号によってキャリア波発振源82から出力される超音波周波数帯のキャリア波を変調器83により変調し、パワーアンプ84で増幅した変調信号により超音波トランスデューサ85を駆動する。この結果、上記変調信号が超音波トランスデューサ85により有限振幅レベルの音波に変換され、この音波は媒質中(空気中)に放射されて媒質(空気)の非線形効果によって元の可聴周波数帯の信号音が再生されるようになっている。
この場合、可聴周波数帯の再生信号の再生範囲は、超音波トランスデューサ85から放出軸方向へのビーム状の範囲となる。
【0007】
ここで、従来の超音波スピーカに使用されている超音波トランスデューサの構成を図9に示す。従来の超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。図9に示す超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いて電気信号の超音波への変換と超音波の電気信号への変換(超音波の送信と受信)の両方を行う。図9(A)に示すバイモルフ型の超音波トランスデューサは、2枚の圧電セラミック91および92と、コーン93と、ケース94と、リード95および96と、スクリーン97とから構成されている。
【0008】
圧電セラミック91および92は、互いに貼り合わされていて、その貼り合わせ面と反対側の面にそれぞれリード95とリード96が接続されている。
一方、図9(B)に示すユニモルフ型の超音波トランスデューサは、1枚の圧電セラミック101と、ケース102と、リード103および104と、内部配線105と、ガラス106とから構成されている。圧電セラミック101は、内部配線105を介してリード103が接続されるとともに、ケース102に接地されている。
共振型の超音波トランスデューサは、圧電セラミックの共振現象を利用しているので、超音波の送信および受信の特性がその共振周波数周辺の比較的狭い周波,数帯域でしか良好でないので、音質が悪いなどの欠点を抱えている。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−262084号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、広周波数帯域にわたって一定の高音圧を発生する超音波トランスデューサを含んで構成される超音波スピーカを使用することにより、ステレオサラウンドシステムや5.1chサラウンドシステム等で得られるような音響効果を従来必要であった大掛かりな音響システムを必要とすることなく実現でき、かつ持ち運びが容易なプロジェクタを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、広周波数帯域の音響信号を発振できる超音波トランスデューサを含んで構成され、可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカと、映像を投影面に投影する投影光学系を含むプロジェクタ本体とを有し、前記超音波スピーカとプロジェクタ本体とを一体化したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波供給手段と、前記キャリア波を前記信号波で変調する変調手段と、該変調手段から出力される変調信号により駆動され該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射する広周波数帯域の音響信号を発振できる超音波トランスデューサとを有し、可聴周波数帯の信号音である再生信号を出力する超音波スピーカと、映像を生成する映像生成手段と、該映像生成手段により生成された映像を投影面に投影する投影光学系とを有するプロジェクタ本体とを一体化したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記超音波トランスデューサの音波放射面は平面形状をしていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記プロジェクタ本体に設けられた投影光学系を構成し映像を投影面に投影するプロジェクタレンズの光軸と前記超音波トランスデューサの音波放射面の法線方向が一致していることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記超音波トランスデューサは、前面に前記プロジェクタ本体またはプロジェクタ本体の一部が音波放射時の障害物とならない位置に前記プロジェクタ本体に固定して設けられることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記超音波トランスデューサは、プロジェクタの未使用時には前記プロジェクタ本体内に収納され、プロジェクタの使用時には前記プロジェクタ本体外に出現するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記超音波トランスデューサを含んで構成される超音波スピーカは単一であり、モノラル音源として機能するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記超音波トランスデューサを含んで構成される超音波スピーカは複数設けられており、複数の超音波スピーカをそれぞれ、構成する複数の超音波トランスデューサのうち少なくとも1つの超音波トランスデューサは、該超音波トランスデューサの音波放射面の法線方向と前記プロジェクタレンズの光軸とが一致していることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記超音波トランスデューサは、広周波数帯域の音響信号を発振できる静電型トランスデューサであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記超音波スピーカは、前記キャリア波の周波数を制御することよる可聴音再生範囲制御を可能とする再生範囲制御処理部を有することを特徴とする。
【0021】
プロジェクタはスクリーンとの位置関係で映像サイズを変えられるという、他の大型ディスプレイにはない利点を持っており、様々な大きさ、形、家具の配置パターンが考えられるホームユースには最適な映像装置である。そして本発明のプロジェクタ本体一体型超音波スピーカを用いればラジカセ感覚でどの部屋でも持ち運び可能となり、専用スクリーンや壁に投影して大型画面をサウンドと共に楽しむ事ができる。また、音響環境の整っていない現在の学校などでの利用価値も増大する。
【0022】
また、本発明に係るプロジェクタでは、超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサとして広周波数帯域の音響信号(超音波周波数帯の音波)を発振できるものを使用して、キャリア波の周波数を変更することにより可聴周波数帯の再生信号の空間的な再生範囲を制御することにより、ステレオサラウンドシステムや5.1chサラウンドシステム等で得られるような音響効果を従来必要であった大掛かりな音響システムを必要とすることなく実現でき、かつ持ち運びが容易なプロジェクタを提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態に係るプロジェクタの電気的構成を図1に示す。本発明の実施形態に係るプロジェクタ1は、操作入力部10と、再生範囲設定部12と、音声/映像信号再生部14と、キャリア波発振源16と、変調器18と、パワーアンプ22と、超音波トランスデューサ24からなる超音波スピーカと、プロジェクタ本体20とを有している。
プロジェクタ本体20は、映像を生成する映像生成部200と、生成された映像を投影面に投影する投影光学系202とを有している。
本実施形態に係るプロジェクタ1は、超音波スピーカとプロジェクタ本体20とが一体化されて構成されている。
【0024】
操作入力部10は、テンキー、数字キー、電源のオン、オフをおこなうための電源キーを含む各種機能キーを有している。
再生範囲設定部12は、ユーザが操作入力部12をキー操作することにより再生信号(信号音)の再生範囲を指定するデータを入力できるようになっており、該データが入力されると、再生信号の再生範囲を規定するキャリア波の周波数が設定され、保持されるようになっている。再生信号の再生範囲の設定は、超音波トランスデューサ22の音波放射面から放射軸方向に再生信号が到達する距離を指定することにより行われる。
【0025】
また、再生範囲設定部12は、音声/映信号再生部14より映像内容に応じて出力される制御信号によりキャリア波の周波数が設定できるようになっている。
また、再生範囲制御処理部13は、再生範囲設定部12の設定内容を参照し、設定された再生範囲となるようキャリア波発振源16により生成されるキャリア波の周波数を変更するようにキャリア波発振源16を制御する機能を有する。
【0026】
例えば、再生範囲設定部12の内部情報として、キャリア波周波数が50kHzに対応する上記距離が設定されている場合、キャリア波発振源12に対して50kHzで発振するように制御する。
【0027】
再生範囲制御処理部13は、再生範囲を規定する超音波トランスデューサ22の音波放射面から放射軸方向に再生信号が到達する距離とキャリア波の周波数との関係を示すテーブルが予め記憶されている記憶部を有している。このテーブルのデータは、キャリア波の周波数と上記再生信号の到達距離との関係を実際に計測することにより得られる。
再生範囲制御処理部13は、再生範囲設定部12の設定内容に基づいて、上記テーブルを参照して設定された距離情報に対応するキャリア波の周波数を求め、該周波数となるようにキャリア波発振源16を制御する。
【0028】
音声/映像信号再生部14は、例えば、映像媒体としてDVDを用いるDVDプレーヤーであり、再生した音声信号は変調器18に、映像信号はプロジェクタ本体20の映像生成部200にそれぞれ、出力するようになっている。
なお、本実施形態では、音声/映像信号再生部14はDVDプレーヤーとしたが、これに限らず、外部から入力されるビデオ信号を再生する再生装置であってもよい。
また、音声/映像信号再生部14は、再生される映像のシーンに応じた音響効果を出すために再生音の再生範囲を動的に変更するように、再生範囲設定部12に再生範囲を指示する制御信号を出力する機能を有している。
【0029】
キャリア波発振源16は、再生範囲設定部12より指示された超音波周波数帯の周波数のキャリア波を生成し、変調器18に出力する機能を有している。
変調器18は、キャリア波発振源16から供給されるキャリア波を音声/映像信号再生部14から出力される可聴周波数帯の音声信号でAM変調し、該変調信号をパワーアンプ22に出力する機能を有する。
【0030】
超音波トランスデューサ24は、変調器18からパワーアンプ22を介して出力される変調信号により駆動され、該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射し、可聴周波数帯の信号音(再生信号)を再生する機能を有する。
この超音波トランスデューサ24は、例えば、広周波数帯域の音響信号(超音波)を発振できる静電型トランスデューサである。超音波トランスデューサ24は、広周波数帯域の音響信号を発振できるものであれば、静電型のものでなくてもよい。
【0031】
映像生成部200は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイと、該ディスプレイを音声/映像信号再生部14から出力される映像信号に基づいて駆動する駆動回路等を有しており、音声/映像信号再生部14から出力される映像信号から得られる映像を生成する。
投影光学系202は、ディスプレイに表示された映像をプロジェクタ本体20の前方に設置されたスクリーン等の投影面に投影する機能を有している。
【0032】
超音波トランスデューサ24の具体的構成を図2に示す。図2に示す静電型の超音波トランスデューサは、振動体として3〜10μm程度の厚さのPET(ポリエチレンテレフクレート樹脂)等の誘電体31(絶縁体)を用いている。誘電体31に対しては、アルミ等の金属箔として形成される上電極32がその上面部に蒸着等の処理によって一体形成されるとともに、真鍮で形成された下電極33が誘電体31の下面部に接触するように設けられている。この下電極33は、リード52が接続されるとともに、ベークライト等からなるベース板35に固定されている。
【0033】
また、上電極32は、リード53が接続されており、このリード53は直流バイアス電源50に接続されている。この直流バイアス電源50により上電極32には50〜150V程度の上電極吸着用の直流バイアス電圧が常時、印加され上電極32が下電極33側に吸着されるようになっている。51は交流信号源であり、図1におけるパワーアンプ22の出力(AC50〜150Vp-p)に相当する。
誘電体31および上電極32ならびにベース板35は、メタルリング36、37、および38、ならびにメッシュ39とともに、ケース30によってかしめられてる。
【0034】
下電極33の誘電体31側の面には不均一な形状を有する数十〜数百μm程度の微小な溝が複数形成されている。この微小な溝は、下電極33と誘電体31との間の空隙となるので、上電極32および下電極33間の静電容量の分布が微小に変化する。このランダムな微小な溝は、下電極33の表面を手作業でヤスリで荒らすことで形成されている。静電方式の超音波トランスデューサでは、このようにして空隙の大きさや深さの異なる無数のコンデンサを形成することによって、超音波トランスデューサの周波数特性が図3において曲線Q1に示すように広帯域となっている。
【0035】
上記構成の超音波トランスデューサ24では、上電極32に直流バイアス電圧が印加された状態で上電極31と下電極33との間に変調信号(パワーアンプ22の出力)が印加されるようになっている。因みに、図3に曲線Q2で示すように共振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、中心周波数(圧電セラミックの共振周波数)が例えば、40kHzであり、最大音圧となる中心周波数に対して±5kHzの周波数において最大音圧に対して−30dBである。これに対して、上記構成の広帯域発振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、40kHzから100kHz付近まで平坦で、100kHzで最大音圧に比して±6dB程度である。
【0036】
次に、上記構成からなる本発明の実施形態に係るプロジェクタ1の動作について説明する。まず、ユーザのキー操作により操作入力部10から再生信号の再生範囲を指示するデータ(距離情報)が再生範囲設定部12に設定され、音声/映像信号再生部14に再生指示がなされる。この結果、再生範囲設定部12には、再生範囲を規定する距離情報が設定され、再生範囲制御処理部13は、再生範囲設定部12に設定された距離情報を取り込み、内蔵する記憶部に記憶されているテーブルを参照し、上記設定された距離情報に対応するキャリア波の周波数を求、該周波数のキャリア波を生成するようにキャリア波発振源16を制御する。
この結果、キャリア波発振源16は、再生範囲設定部12に設定された距離情報に対応する周波数のキャリア波を生成し、変調器18に出力する。
【0037】
一方、音声/映像信号再生部14は、音声信号を変調器18に出力するとともに、映像信号をプロジェクタ本体20の映像生成部200に出力する。
映像信号生成部200では、入力された映像信号に基づいてディスプレイを駆動して映像を生成し、表示する。このディスプレイに表示された映像は、投影光学系20により、投影面、例えば、スクリーンに投影される。
他方、変調器18では、キャリア波発振源16から出力されるキャリア波を音声/映像信号再生部14から出力される音声信号でAM変調し、パワーアンプ22に出力する。
【0038】
パワーアンプ22により増幅された変調信号は、超音波トランスデューサ24の上電極32と下電極33との間に印加され、該変調信号は、有限振幅レベルの音波(音響信号)に変換され、媒質(空気中)に放射される。
ここで、媒質(空気)の非線形効果について簡単に述べておくと、超音波トランスデューサにより媒質中(空気中)に放射された超音波の伝播において、その伝播に伴い音圧の高い部分では音速が高くなり、音圧の低い部分では音速は遅くなる。この結果、波形の歪みが発生することが知られている。
【0039】
放射する超音波帯域の信号(キャリア波)を可聴周波数帯の信号で変調(AM変調)しておいた場合には、上記波形歪みの結果により、変調時に用いた可聴周波数帯の信号波が超音波周波数帯のキャリア波と分離して自己復調する形で形成されてくることも知られている。その際、再生信号の広がりは超音波の特性からビーム状となり、通常のスピーカとは全く異なる特定方向のみに音が再生される。
【0040】
本実施形態に係るプロジェクタでは、超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサ24から出力されるビーム状の再生信号は、投影光学系202により映像が投影される投影面(スクリーン)に向けて放射され、投影面で反射され拡散する。再生範囲設定部12に設定されるキャリア波の周波数に応じて超音波トランスデューサ24の音波放射面からその放射軸方向(法線方向)においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、キャリア波のビーム幅(ビームの拡がり角)が異なるために、再生範囲は、変化する。
【0041】
本実施形態に係るプロジェクタにおける超音波トランスデューサ24を含んで構成される超音波スピーカによる再生信号の再生時の状態を図4に示す。プロジェクタ1において、キャリア波が音声信号により変調された変調信号により超音波トランスデューサが駆動される際に、再生範囲設定部12により設定されたキャリア周波数が低い場合は、音波トランスデューサ24の音波放射面からその放射軸方向(音波放射面の法線方向)においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、すなわち、再生地点までの距離が長くなる。
【0042】
したがって、再生された可聴周波数帯の再生信号のビームは、比較的拡がらずに投影面2に到達することとなり、この状態で投影面2において反射するので、再生範囲は、図4において点線の矢印で示す可聴範囲Aとなり、投影面2から比較的に遠くかつ狭い範囲でのみ再生信号(再生音)が聞こえる状態となる。
これに対して、再生範囲設定部12により設定されたキャリア周波数が上述した場合より高い場合は、超音波トランスデューサ24の音波放射面から放射される音波は、キャリア周波数が低い場合より絞られているが、超音波トランスデューサ24の音波放射面からその放射軸方向(音波放射面の法線方向)においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、すなわち、再生地点までの距離が短くなる。
【0043】
したがって、再生された可聴周波数帯の再生信号のビームは、投影面2に到達する前に拡がって投影面2に到達することとなり、この状態で投影面2において反射するので、再生範囲は、図4において実線の矢印で示す可聴範囲Bとなり、投影面2から比較的に近くかつ広い範囲でのみ再生信号(再生音)が聞こえる状態となる。
【0044】
次に、本発明の実施形態に係るプロジェクタにおける超音波スピーカの設置例について図5乃至図7を参照して説明する。
超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサが1個の場合の設置例を図5に示す。この場合には、モノラル音源として機能する。ここで、図5(a),(b)において、超音波トランスデューサ24の音波放射面は平面形状をしており、プロジェクタ本体20に設けられた投影光学系202を構成し映像を投影面に投影するプロジェクタレンズ2020の光軸と超音波トランスデューサ24の音波放射面の法線方向が一致するように設けられている。
【0045】
図5(a)の設置例では超音波トランスデューサ24がプロジェクタレンズ2020の向かって右横に設置されているが、当然左横でも良い。この設置方法の場合、プロジェクタ本体20の前面は平面に形成されているので、プロジェクタレンズ2020の光軸方向すなわちスクリーン方向と超音波トランスデューサ24の音波放射面の法線方向が一致し易い。
また、図5(b)では超音波トランスデューサ24がプロジェクタレンズ2020の上側に設置されているが、プロジェクタ本体20の上面であれば、その位置は真ん中でも左右どちらでも良い。プロジェクタレンズ2020の光軸方向と超音波トランスデューサ24の音波放射面の法線方向が一致している事が重要なのである。
【0046】
次に、超音波スピーカが2個、すなわち、超音波トランスデューサ24が2個の場合の設置例を図6に示す。
スピーカが2個の場合はステレオシステムの音響効果を得ることが可能になる。図6(a)ではプロジェクタレンズ2020の左右に配置されている例を示しており、図6(b)ではプロジェクタ本体20上面の左右対称位置に配置した例を示している。超音波トランスデューサ24が2個の場合はこのどちらかに限られるということではなく、片方の超音波トランスデューサ24がプロジェクタレンズ2020の横、もう一方の超音波トランスデューサ24がプロジェクタレンズ2020の上面に配置されているような構成も可能である。
【0047】
超音波スピーカが3個以上、すなわち超音波トランスデューサ24を3個以上設置した場合の設置例を図7に示す。
図7(a)は超音波トランスデューサ24が4個の場合を示している。プロジェクタレンズ2020の左右に2個、プロジェクタ本体20上面左右に2個を配置した例であるが、全部の超音波トランスデューサ24がスクリーン方向を向いている必要はない。複数の超音波トランスデューサ24のうちいくつかは多方面からの反射音を利用することも可能である。
【0048】
図7(b)は超音波トランスデューサ24を3個、設置した例を示している。こちらも図7(a)の設置例と同様に、全部の超音波トランスデューサ24がスクリーン方向を向いている必要はない。ステレオサウンド用スピーカに重低音スピーカを加えた音響効果を得るように構成することもできる。すなわち、例えば、ステレオサウンド用スピーカに相当する超音波トランスデューサ24のみをプロジェクタレンズ2020の左右に設け、重低音スピーカに相当する超音波トランスデューサ24のみをプロジェクタ本体20の側面に設けることにより、実現できる。
【0049】
図7(c)はプロジェクタ本体20の上面に設けられた2個の超音波トランスデューサ24は明らかに横を向いている設置例を示している。超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサ24は、指向性が強いのでこの場合、プロジェクタ本体20の横方向に放射された信号音はプロジェクタ本体20の横方向から反射して聞える。同様の考え方でプロジェクタ本体20の後方や上方に信号音を放射しても良い。なお、超音波トランスデューサ24を2個以上の複数個、プロジェクタ本体20に設ける場合には、少なくとも1つの超音波トランスデューサ24は、該超音波トランスデューサ24の音波放射面の法線方向とプロジェクタレンズ2020の光軸とが一致するように設置される。
このように複数個の超音波トランスデューサ24を使用すると従来の5.1chサラウンドシステムのような音響環境を作り出すことが十分可能である。
【0050】
なお、図5乃至7に示す超音波トランスデューサ24の設置例では、いずれも、超音波トランスデューサ24を固定的に設けるようにしているが、これに限らず、超音波トランスデューサ24を収納式とし、未使用時にはプロジェクタ本体20に収納され、使用時にのみ超音波トランスデューサをプロジェクタ本体20より出現させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るプロジェクタの電気的構成を示すブロック図。
【図2】 図1における超音波トランスデューサの具体的構成を示す図。
【図3】 図2に示した超音波トランスデューサの周波数特性を示す特性図。
【図4】 本発明の実施形態に係るプロジェクタに搭載された超音波トランスデューサによる再生信号の再生時の状態を示すイメージ図。
【図5】 本発明の実施形態に係るプロジェクタにおいて、超音波トランスデューサを1個のみ設置した場合の外観構成を示す図。
【図6】 本発明の実施形態に係るプロジェクタにおいて、超音波トランスデューサを2個、設置した場合の外観構成を示す図。
【図7】 本発明の実施形態に係るプロジェクタにおいて、超音波トランスデューサを3個以上、設置した場合の外観構成を示す図。
【図8】 従来の超音波スピーカの電気的構成を示すブロック図。
【図9】 共振型の超音波トランスデューサの構成例を示す図。
【符号の説明】
1…プロジェクタ
2…投影面
10…操作入力部
12…再生範囲設定部
13…再生範囲制御処理部
14…音声/映像信号再生部
16…キャリア波発振源
18…変調器
20…プロジェクタ本体
24…超音波トランスデューサ
200…映像生成部
202…投影光学系
2020…プロジェクタレンズ
Claims (8)
- 可聴周波数帯の信号波を生成する信号源と、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波供給手段と、前記キャリア波を前記信号波で変調する変調手段と、該変調手段から出力される変調信号により駆動され該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射する広周波数帯域の音響信号を発振できる超音波トランスデューサと、前記超音波トランスデューサの音波放射面から放射軸方向に再生信号が到達する距離を指定することにより再生範囲を設定する再生範囲設定手段と、前記再生範囲設定手段により設定された再生範囲となるようキャリア波供給手段により生成されるキャリア波の周波数を変更するように前記キャリア波供給手段を制御する再生範囲制御手段とを有し、可聴周波数帯の信号音である再生信号を出力する超音波スピーカと、
映像を生成する映像生成手段と、該映像生成手段により生成された映像を投影面に投影する投影光学系とを有するプロジェクタ本体とを一体化したことを特徴とするプロジェクタ。 - 前記超音波トランスデューサの音波放射面は平面形状をしていることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。
- 前記プロジェクタ本体に設けられた投影光学系を構成し映像を投影面に投影するプロジェクタレンズの光軸と前記超音波トランスデューサの音波放射面の法線方向が一致していることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のプロジェクタ。
- 前記超音波トランスデューサは、前面に前記プロジェクタ本体またはプロジェクタ本体の一部が音波放射時の障害物とならない位置に前記プロジェクタ本体に固定して設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のプロジェクタ。
- 前記超音波トランスデューサは、プロジェクタの未使用時には前記プロジェクタ本体内に収納され、プロジェクタの使用時には前記プロジェクタ本体外に出現するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプロジェクタ。
- 前記超音波トランスデューサを含んで構成される超音波スピーカは単一であり、モノラル音源として機能するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のプロジェクタ。
- 前記超音波トランスデューサを含んで構成される超音波スピーカは複数設けられており、複数の超音波スピーカをそれぞれ、構成する複数の超音波トランスデューサのうち少なくとも1つの超音波トランスデューサは、該超音波トランスデューサの音波放射面の法線方向と前記プロジェクタレンズの光軸とが一致していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のプロジェクタ。
- 前記超音波トランスデューサは、広周波数帯域の音響信号を発振できる静電型トランスデューサであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のプロジェクタ。
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