JP2008118248A - D級アンプの駆動方法、d級アンプの駆動回路、静電型トランスデューサ、超音波スピーカ、表示装置、および指向性音響システム - Google Patents
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Abstract
【課題】PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減させ、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることが可能な、D級アンプの駆動方法およびD級アンプの駆動回路を提供する。
【解決手段】第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの駆動方法であって、前記入力信号に所定の周波数の搬送波を含む場合に、前記PWM信号の基本周波数を、前記搬送波周波数の整数倍に設定することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの駆動方法であって、前記入力信号に所定の周波数の搬送波を含む場合に、前記PWM信号の基本周波数を、前記搬送波周波数の整数倍に設定することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、D級(デジタル)アンプの駆動方法その回路構成に関する。特に、所定の周波数の搬送波をベースバンド信号(例えば可聴帯域の音響信号)によって変調した変調波でD級アンプを駆動する際に有効であり、その変調波を超音波トランスデューサから出力することによって鋭い指向性を有する音を再生する超音波スピーカを駆動するのに好適なD級アンプの駆動方法、D級アンプの駆動回路に関する。さらには、D級アンプにより駆動される静電型トランスデューサ、超音波スピーカ、該超音波スピーカを備える表示装置、および及び指向性音響システムに関する。
超音波スピーカは、超音波帯域の搬送波を可聴帯域の音響信号によって変調した変調波を出力することで、鋭い指向性を有する音を再生することができるというものである。鋭い指向性を出すのに、超音波帯域の搬送波を大振幅で出力する必要があるため、一般的に超音波スピーカは大きな投入電力を必要とする。また、超音波スピーカに用いられるトランスデューサ(トランスミッタ)には、一般的に圧電型もしくは静電型のトランスデューサが用いられている。これらのトランスデューサは一般的なラウドスピーカとは異なり、容量性の負荷であるため、駆動周波数が高くなるに従ってインピーダンスが小さくなり、さらに大きな投入電力が必要となる。よって、超音波スピーカをアナログパワーアンプで駆動する場合には、出力の大きいアンプが必要となるため、装置が大型化してしまうという問題がある。
一方で、オーディオ用パワーアンプにも、出力段トランジスタをスイッチング動作させるD級アンプが普及してきている(例えば、特許文献1を参照)。
D級アンプは、出力段素子にオン抵抗の小さいパワーMOSFETを使用し、これをスイッチング動作させることによって、出力段素子での損失を小さくできることが特長である。このようにD級アンプはアナログアンプと比較して出力段素子での損失が小さいため、アナログパワーアンプでは必須である放熱器を省略するかあるいは小型化することができる。よって、小型で高出力のアンプを実現することができる。このため、D級アンプは小型化、低損失の要求される車載用のアンプや携帯端末用のアンプ、また出力チャンネル数の多いAVアンプなどに採用される例が多くなってきている。このように、D級アンプはアナログパワーアンプよりも効率が高いため、超音波スピーカをD級アンプで駆動すれば、パワーアンプのサイズを小型化することができる。
D級アンプは、出力段素子にオン抵抗の小さいパワーMOSFETを使用し、これをスイッチング動作させることによって、出力段素子での損失を小さくできることが特長である。このようにD級アンプはアナログアンプと比較して出力段素子での損失が小さいため、アナログパワーアンプでは必須である放熱器を省略するかあるいは小型化することができる。よって、小型で高出力のアンプを実現することができる。このため、D級アンプは小型化、低損失の要求される車載用のアンプや携帯端末用のアンプ、また出力チャンネル数の多いAVアンプなどに採用される例が多くなってきている。このように、D級アンプはアナログパワーアンプよりも効率が高いため、超音波スピーカをD級アンプで駆動すれば、パワーアンプのサイズを小型化することができる。
D級アンプは、入力信号(ベースバンド信号)をPWM変調(Pulse Width Modulation)した高周波数のデジタル信号によってD級出力段をスイッチング駆動する。一方で、超音波スピーカは、超音波帯域の搬送波を可聴帯域の音響信号によって変調した変調波を出力することで、鋭い指向性を有する音を再生する。鋭い指向性を出すために大きなエネルギーを有する(大振幅の)超音波帯域の搬送波を出力する必要がある。以降では、D級アンプで超音波スピーカを駆動する場合に発生する特有の問題点について説明する。
ここで、SSB−WC(Single Side Band with Carrier)方式によって振幅変調を行った信号をD級アンプから出力させるため、更にPWM変調を行った場合に発生するノイズについて説明する。ここでは60kHzの搬送波(正弦波)を用い、PWM変調周波数は625kHzとする。この時のPWM変調波形とLPF(ローパスフィルタ)を通過後の出力波形の例を図6(a)に、LPF通過後の出力波形の周波数スペクトルの例を図6(b)にそれぞれ示す。
図6において、60kHzの位置に搬送波のスペクトルピークがあるほかに、多くのスプリアスノイズが発生していることが分かる。これは、被変調信号の位相とPWM信号の位相とが、被変調信号の周期毎に異なって(ずれて)しまうことに起因している。つまり、被変調信号(搬送波)の位相とPWM信号の位相とが常に一致していないと、LPF後の波形の振幅に揺らぎ(所謂ジッタ)が生じるため、これが搬送波側波帯の歪み成分(スプリアスノイズ)となって現れてくる。
図6において、60kHzの位置に搬送波のスペクトルピークがあるほかに、多くのスプリアスノイズが発生していることが分かる。これは、被変調信号の位相とPWM信号の位相とが、被変調信号の周期毎に異なって(ずれて)しまうことに起因している。つまり、被変調信号(搬送波)の位相とPWM信号の位相とが常に一致していないと、LPF後の波形の振幅に揺らぎ(所謂ジッタ)が生じるため、これが搬送波側波帯の歪み成分(スプリアスノイズ)となって現れてくる。
パラメトリックアレイ効果を利用する超音波スピーカでは、出力音波が空中を伝搬する際の空気の非線形性によって搬送波とその側波帯との差音成分を発生させることで、指向性を伴った可聴音を自己復調させている。
超音波スピーカで一般的に用いられている変調方式では、搬送波を重畳して出力するため、入力信号が0つまり無変調の状態でも搬送波が出力される。図6の例を見ると、入力信号(被変調信号)が0つまり搬送波だけ(無変調)の状態であるにも関わらず、搬送波の側波帯に多くのスプリアスノイズ成分が発生してしまっていることが分かる。このような状態で超音波スピーカを駆動すると、入力信号が0であるにも関わらず、搬送波とスプリアスノイズとの差音成分が可聴音ノイズとして出力されてしまう。これはスピーカのS/N比を悪化させるだけでなく、発生する可聴音ノイズは、特定の周波数にスペクトルピークの集中した耳障りな音となる傾向があるため、聴取者に不快感を与える恐れがあるという問題がある。よって、入力信号が無い場合に搬送波のレベルを0に落とすような制御を別途行わない限り、信号が入力されていないにも関わらず可聴音ノイズが超音波スピーカから出力されてしまうということになる。
以上に述べたように、D級アンプで超音波スピーカを駆動する場合には、超音波スピーカの振幅変調の他に、D級アンプのPWM変調が加わるため、2段階の異なる変調方式を経る過程で、多量のスプリアスノイズが発生する可能性が高くなる。超音波スピーカでは、強い搬送波成分を常時出力するため、スプリアスノイズが存在すると、搬送波とスプリアスノイズとの差音成分が可聴ノイズとなり易い。これはD級アンプで超音波スピーカを駆動する際に特有の問題であると言える。
特開2002−158550号公報
上述したように、D級アンプで超音波スピーカを駆動する場合には、超音波スピーカの振幅変調の他に、D級アンプのPWM変調が加わるため、2段階の異なる変調方式を経る過程で、多量のスプリアスノイズが発生する可能性が高くなる。超音波スピーカでは、強い搬送波成分を常時出力するため、スプリアスノイズが存在すると、搬送波とスプリアスノイズとの差音成分が可聴ノイズとなり易という問題があった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減させ、超音波スピーカなどから発生される可聴音ノイズを小さくすることが可能な、D級アンプの駆動方法、D級アンプの駆動回路、該D級アンプの駆動回路を備える静電型トランスデューサ、該静電型超音波トランスデューサを使用した超音波スピーカ、該超音波スピーカを使用した表示装置、および指向性音響システムを提供することにある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のD級アンプの駆動方法は、第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの駆動方法であって、前記入力信号に所定の周波数の搬送波を含む場合に、前記PWM信号の基本周波数を、前記搬送波周波数の整数倍に設定することを特徴とする。
このような方法により、D級アンプのPWM周波数を、入力信号の搬送波周波数の整数倍に設定し、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させる。
これにより、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、例えば、本発明のD級アンプの駆動回路を超音波スピーカに使用した場合に、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
このような方法により、D級アンプのPWM周波数を、入力信号の搬送波周波数の整数倍に設定し、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させる。
これにより、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、例えば、本発明のD級アンプの駆動回路を超音波スピーカに使用した場合に、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
また、本発明のD級アンプの駆動方法は、第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの駆動方法であって、前記入力信号により所定の周波数の搬送波を振幅変調することによって振幅変調信号を生成する手順と、前記振幅変調信号を前記搬送波の整数倍の周波数でPWM変調することによってPWM信号を生成する手順と、前記PWM信号によって前記スイッチング素子をスイッチングする手順と、を含むことを特徴とする。
このような手順により、D級アンプでは、入力信号により所定の周波数の搬送波を振幅変調し、該振幅変調信号を搬送波周波数の整数倍の周波数でPWM変調する。このPWM信号によりスイッチング素子をスイッチングする。
これにより、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させた状態でスイッチングを行うことができるので、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、例えば、本発明のD級アンプの駆動回路を超音波スピーカに使用した場合に、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
このような手順により、D級アンプでは、入力信号により所定の周波数の搬送波を振幅変調し、該振幅変調信号を搬送波周波数の整数倍の周波数でPWM変調する。このPWM信号によりスイッチング素子をスイッチングする。
これにより、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させた状態でスイッチングを行うことができるので、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、例えば、本発明のD級アンプの駆動回路を超音波スピーカに使用した場合に、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
また、本発明のD級アンプの駆動方法は、前記振幅変調方式が片側波帯振幅変調(SSB)方式であることを特徴とする。
これにより、超音波スピーカなどを駆動する場合に、復調音の歪みが小さい片側波帯振幅変調(SSB)方式を使用することができる。すなわち、両側波帯振幅変調(DSB)方式の場合は超音波スピーカを駆動する変調波の変調度が大きくなるほど、復調される信号の歪み率も大きくなるが、SSB方式の場合は超音波スピーカを駆動する変調波の変調度によらず、復調される信号の歪み率はほぼ一定で、かつDSB方式の場合よりも低い値となる。
これにより、超音波スピーカなどを駆動する場合に、復調音の歪みが小さい片側波帯振幅変調(SSB)方式を使用することができる。すなわち、両側波帯振幅変調(DSB)方式の場合は超音波スピーカを駆動する変調波の変調度が大きくなるほど、復調される信号の歪み率も大きくなるが、SSB方式の場合は超音波スピーカを駆動する変調波の変調度によらず、復調される信号の歪み率はほぼ一定で、かつDSB方式の場合よりも低い値となる。
また、本発明のD級アンプの駆動回路は、第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの駆動回路であって、前記入力信号に所定の周波数の搬送波を含む場合に、前記PWM信号の基本周波数を、前記搬送波周波数の整数倍に設定する手段を備えることを特徴とする。
このような構成により、D級アンプのPWM周波数を、入力信号の搬送波周波数の整数倍に設定し、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させる。
これにより、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、例えば、本発明のD級アンプの駆動回路を超音波スピーカに使用した場合に、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
このような構成により、D級アンプのPWM周波数を、入力信号の搬送波周波数の整数倍に設定し、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させる。
これにより、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、例えば、本発明のD級アンプの駆動回路を超音波スピーカに使用した場合に、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
また、本発明のD級アンプの駆動回路は、第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの駆動回路であって、所定周波数f_caの搬送波を生成すると共に、前記搬送波周波数f_caの整数倍の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する搬送波生成回路と、前記搬送波を前記入力信号によって振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する振幅変調回路と、前記PWMクロック信号UP/DOWNを基に、前記振幅変調信号AMをPWM変調するPWM変調回路と、を備えることを特徴とする。
このような構成により、搬送波生成回路は、クロック発振器で生成されるクロック信号CLKを基に周波数f_caの搬送波を生成し、また、搬送波周波数f_caのN倍(Nは整数)の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する。振幅変調回路は、入力信号により搬送波を振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する。PWM変調回路は、振幅変調された振幅変調信号AMを、PWMクロック信号UP/DOWNを基に生成される三角波と比較しPWM変調する。
これにより、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)が搬送波周波数の整数倍となり、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることができる。その結果、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、例えば、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
このような構成により、搬送波生成回路は、クロック発振器で生成されるクロック信号CLKを基に周波数f_caの搬送波を生成し、また、搬送波周波数f_caのN倍(Nは整数)の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する。振幅変調回路は、入力信号により搬送波を振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する。PWM変調回路は、振幅変調された振幅変調信号AMを、PWMクロック信号UP/DOWNを基に生成される三角波と比較しPWM変調する。
これにより、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)が搬送波周波数の整数倍となり、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることができる。その結果、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、例えば、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
また、本発明のD級アンプの駆動回路は、第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの駆動回路であって、所定周波数f_CLKのクロック信号CLKを生成するクロック発振器と、前記クロック信号CLKを1/M(Mは整数)に分周し、周波数f_PWM(=f_CLK/M)のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する分周器と、前記PWMクロック信号UP/DOWNの周波数f_PWMの1/N(Nは整数)の周波数f_ca(=f_PWM/N)の搬送波を生成する搬送波生成器と、前記搬送波を前記入力信号によって振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する振幅変調器と、前記クロック信号UP/DOWNの信号レベルに応じて、クロック信号CLKをアップカウント、もしくはダウンカウントするアップ・ダウンカウンタと、前記振幅変調信号AMのレベル値と、前記アップ・ダウンカウンタのカウント値とを比較し、その大小関係を二値のレベルに変換して出力するコンパレータと、を備えることを特徴とする。
このような構成により、分周器は、クロック信号CLK(周波数f_CLK)の周波数f_CLKを1/M(Mは整数)に分周し、周波数f_PWM(=f_CLK/M)のUP/DOWN信号を生成する。搬送波生成器は、周波数f_ca(=f_PWM/N)の搬送波形を生成する。振幅変調器は、搬送波を入力信号によりAM変調する。アップ・ダウンカウンタは、UP/DOWN信号のレベルに応じて、クロック信号CLKをアップカウント、もしくはダウンカウントし、カウント値を三角波形REF(周波数f_PWM)として出力する。コンパレータは、振幅変調器から出力される振幅変調信号AMのレベル値と、三角波形REF(アップ・ダウンカウンのカウント値)とを比較し、PWM信号を生成する。
これにより、搬送波を入力信号でAM変調した振幅変調信号AMを、搬送波のN倍の周波数をもつ三角波によりPWM変調することができるため、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)が搬送波周波数の整数倍となり、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることができる。その結果、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、例えば、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
このような構成により、分周器は、クロック信号CLK(周波数f_CLK)の周波数f_CLKを1/M(Mは整数)に分周し、周波数f_PWM(=f_CLK/M)のUP/DOWN信号を生成する。搬送波生成器は、周波数f_ca(=f_PWM/N)の搬送波形を生成する。振幅変調器は、搬送波を入力信号によりAM変調する。アップ・ダウンカウンタは、UP/DOWN信号のレベルに応じて、クロック信号CLKをアップカウント、もしくはダウンカウントし、カウント値を三角波形REF(周波数f_PWM)として出力する。コンパレータは、振幅変調器から出力される振幅変調信号AMのレベル値と、三角波形REF(アップ・ダウンカウンのカウント値)とを比較し、PWM信号を生成する。
これにより、搬送波を入力信号でAM変調した振幅変調信号AMを、搬送波のN倍の周波数をもつ三角波によりPWM変調することができるため、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)が搬送波周波数の整数倍となり、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることができる。その結果、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、例えば、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
また、本発明のD級アンプの駆動回路は、前記搬送波の周波数f_caと前記PWMクロック信号UP/DOWNの周波数f_PWMとの比の値Nを設定値として保持する第1のレジスタ(1)と、前記分周器の分周比の値Mを設定値として保持する第2のレジスタ(2)と、をさらに備え、前記搬送波生成器には、第1のレジスタ(1)および第2のレジスタ(2)の値を参照し、一周期分の搬送波の波形をM×N個の値に標本化する波形演算器と、前記波形演算器によって標本化された波形データを格納するデータメモリと、前記データメモリに格納されたデータを、前記クロック信号CLKに同期して順次読み出しながら出力すると共に、M×N個(搬送波一周期分)のデータを繰り返し出力することによって、搬送波を連続生成するメモリコントローラと、を備えることを特徴とする。
このような構成により、搬送波周波数f_caに対するUP/DOWN信号の周波数f_PWMの比を表すNの値が第1のレジスタ(1)に格納され、基準クロック周波数f_CLKに対するUP/DOWN信号の周波数f_PWMの分周比Mに相当する値が第2のレジスタ(2)に格納される。
搬送波生成器は、レジスタ(1)およびレジスタ(2)の値を参照し、波形演算器により、M×N個で一周期となるように搬送波形の振幅値を予め計算し、M×N個のデータをデータメモリに格納する。また、メモリコントローラにより、データメモリに格納されたデータをクロック信号CLKに同期して順次読み出し出力するとともに、M×N個(搬送波一周期分)のデータを連続して繰り返し出力する。
これにより、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)が搬送波周波数の整数倍となり、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることができる。その結果、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、例えば、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。また、搬送波形の振幅値のデータを予め計算しデータメモリに格納しておくことができ、搬送波形の出力の際に必要となる演算処理を省略することができる。
このような構成により、搬送波周波数f_caに対するUP/DOWN信号の周波数f_PWMの比を表すNの値が第1のレジスタ(1)に格納され、基準クロック周波数f_CLKに対するUP/DOWN信号の周波数f_PWMの分周比Mに相当する値が第2のレジスタ(2)に格納される。
搬送波生成器は、レジスタ(1)およびレジスタ(2)の値を参照し、波形演算器により、M×N個で一周期となるように搬送波形の振幅値を予め計算し、M×N個のデータをデータメモリに格納する。また、メモリコントローラにより、データメモリに格納されたデータをクロック信号CLKに同期して順次読み出し出力するとともに、M×N個(搬送波一周期分)のデータを連続して繰り返し出力する。
これにより、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)が搬送波周波数の整数倍となり、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることができる。その結果、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、例えば、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。また、搬送波形の振幅値のデータを予め計算しデータメモリに格納しておくことができ、搬送波形の出力の際に必要となる演算処理を省略することができる。
また、本発明のD級アンプの駆動回路は、前記振幅変調方式が片側波帯振幅変調(SSB)方式であるように構成されたことを特徴とする。
これにより、超音波スピーカなどを駆動する場合に、復調音の歪みが小さい片側波帯振幅変調(SSB)方式を使用することができる。すなわち、両側波帯振幅変調(DSB)方式の場合は超音波スピーカを駆動する変調波の変調度が大きくなるほど、復調される信号の歪み率も大きくなるが、SSB方式の場合は超音波スピーカを駆動する変調波の変調度によらず、復調される信号の歪み率はほぼ一定で、かつDSB方式の場合よりも低い値となる。
これにより、超音波スピーカなどを駆動する場合に、復調音の歪みが小さい片側波帯振幅変調(SSB)方式を使用することができる。すなわち、両側波帯振幅変調(DSB)方式の場合は超音波スピーカを駆動する変調波の変調度が大きくなるほど、復調される信号の歪み率も大きくなるが、SSB方式の場合は超音波スピーカを駆動する変調波の変調度によらず、復調される信号の歪み率はほぼ一定で、かつDSB方式の場合よりも低い値となる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプによって駆動される静電型トランスデューサであって、前記D級アンプを駆動する回路には、所定周波数f_caの搬送波を生成すると共に、前記搬送波周波数f_caの整数倍の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する搬送波生成回路と、前記搬送波を前記入力信号によって振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する振幅変調回路と、前記PWMクロック信号UP/DOWNを基に、前記振幅変調信号AMをPWM変調するPWM変調回路と、を備えること、を特徴とする。
このような構成により、静電型トランスデューサを駆動するD級アンプは、搬送波生成回路により、クロック発振器で生成されるクロック信号CLKを基に周波数f_caの搬送波を生成し、また、搬送波周波数f_caのN倍(Nは整数)の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する。振幅変調回路は、入力信号により搬送波を振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する。PWM変調回路は、振幅変調された振幅変調信号AMを、PWMクロック信号UP/DOWNを基に生成される三角波によりPWM変調する。
これにより、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)が搬送波周波数の整数倍となり、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることができる。その結果、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、静電型トランスデューサから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
このような構成により、静電型トランスデューサを駆動するD級アンプは、搬送波生成回路により、クロック発振器で生成されるクロック信号CLKを基に周波数f_caの搬送波を生成し、また、搬送波周波数f_caのN倍(Nは整数)の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する。振幅変調回路は、入力信号により搬送波を振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する。PWM変調回路は、振幅変調された振幅変調信号AMを、PWMクロック信号UP/DOWNを基に生成される三角波によりPWM変調する。
これにより、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)が搬送波周波数の整数倍となり、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることができる。その結果、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、静電型トランスデューサから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
また、本発明の静電型トランスデューサは、前記静電型トランスデューサは、複数の孔が形成された第一の面側の固定電極と、前記第一の面側の固定電極と対をなす複数の孔が形成された第二の面側の固定電極と、前記一対の固定電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とで構成されていることを特徴とする。
このような構成により、本発明のD級アンプの駆動回路で駆動する静電型トランスデューサとして、例えば、図7に示す、プッシュプル型の静電型トランスデューサを使用する。
プッシュプル型の静電型トランスデューサは、振動膜を挟持する第一(前面側)固定電極と第二(背面側)の固定電極によって、振動膜に対して正負対称に静電力を作用させることができるため、振動波形(出力波形)歪みそのものをまず小さくすることができる。さらに、プッシュプル型の静電型トランスデューサをD級アンプで駆動する場合に、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)を搬送波周波数の整数倍とし、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることによって、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、静電型トランスデューサから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。
このような構成により、本発明のD級アンプの駆動回路で駆動する静電型トランスデューサとして、例えば、図7に示す、プッシュプル型の静電型トランスデューサを使用する。
プッシュプル型の静電型トランスデューサは、振動膜を挟持する第一(前面側)固定電極と第二(背面側)の固定電極によって、振動膜に対して正負対称に静電力を作用させることができるため、振動波形(出力波形)歪みそのものをまず小さくすることができる。さらに、プッシュプル型の静電型トランスデューサをD級アンプで駆動する場合に、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)を搬送波周波数の整数倍とし、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることによって、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、静電型トランスデューサから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。
また、本発明の超音波スピーカは、第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの出力端子間に静電型超音波トランスデューサを接続して構成する超音波スピーカであって、前記D級アンプを駆動する回路には、所定周波数f_caの搬送波を生成すると共に、前記搬送波周波数f_caの整数倍の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する搬送波生成回路と、前記搬送波を前記入力信号によって振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する振幅変調回路と、前記PWMクロック信号UP/DOWNを基に、前記振幅変調信号AMをPWM変調するPWM変調回路と、を備えること、を特徴とする。
このような構成により、超音波スピーカに使用される静電型超音波トランスデューサを駆動するD級アンプの駆動回路において、搬送波生成回路は、周波数f_caの搬送波を生成し、また、搬送波周波数f_caのN倍(Nは整数)の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する。振幅変調回路は、入力信号により搬送波を振幅変調し、振幅変調された振幅変調信号AMを生成する。PWM変調回路は、振幅変調された振幅変調信号AMを、PWMクロック信号UP/DOWNを基に生成される三角波によりPWM変調する。
これにより、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)が搬送波周波数の整数倍となり、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることができる。その結果、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
このような構成により、超音波スピーカに使用される静電型超音波トランスデューサを駆動するD級アンプの駆動回路において、搬送波生成回路は、周波数f_caの搬送波を生成し、また、搬送波周波数f_caのN倍(Nは整数)の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する。振幅変調回路は、入力信号により搬送波を振幅変調し、振幅変調された振幅変調信号AMを生成する。PWM変調回路は、振幅変調された振幅変調信号AMを、PWMクロック信号UP/DOWNを基に生成される三角波によりPWM変調する。
これにより、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)が搬送波周波数の整数倍となり、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることができる。その結果、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
また、本発明の表示装置は、音響ソースから供給される音声信号を再生し可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカと、映像を投影面に投影する投影光学系とを備える表示装置であって、前記超音波スピーカは、第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの出力端子間に静電型超音波トランスデューサを接続して構成するとともに、前記D級アンプを駆動する回路には、所定周波数f_caの搬送波を生成すると共に、前記搬送波周波数f_caの整数倍の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する搬送波生成回路と、前記搬送波を前記入力信号によって振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する振幅変調回路と、前記PWMクロック信号UP/DOWNを基に、前記振幅変調信号AMをPWM変調するPWM変調回路と、を備えること、を特徴とする。
このような構成により、映像を投影する投影光学系を備える表示装置に使用される超音波スピーカを、D級アンプで駆動される静電型超音波トランスデューサで構成する。そして、上記静電型超音波トランスデューサを駆動するD級アンプの駆動回路において、搬送波生成回路は、周波数f_caの搬送波を生成し、また、搬送波周波数f_caのN倍(Nは整数)の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する。PWM変調回路は、入力信号により搬送波を振幅変調し、振幅変調された振幅変調信号AMを生成する。PWM変調回路は、振幅変調された振幅変調信号AMを、PWMクロック信号UP/DOWNを基に生成される三角波によりPWM変調する。
これにより、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)が搬送波周波数の整数倍となり、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることができる。その結果、D級アンプにおけるPWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
このような構成により、映像を投影する投影光学系を備える表示装置に使用される超音波スピーカを、D級アンプで駆動される静電型超音波トランスデューサで構成する。そして、上記静電型超音波トランスデューサを駆動するD級アンプの駆動回路において、搬送波生成回路は、周波数f_caの搬送波を生成し、また、搬送波周波数f_caのN倍(Nは整数)の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する。PWM変調回路は、入力信号により搬送波を振幅変調し、振幅変調された振幅変調信号AMを生成する。PWM変調回路は、振幅変調された振幅変調信号AMを、PWMクロック信号UP/DOWNを基に生成される三角波によりPWM変調する。
これにより、D級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)が搬送波周波数の整数倍となり、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることができる。その結果、D級アンプにおけるPWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
また、本発明の指向性音響システムは、音響ソースから供給される音声信号のうち第一の音域の信号を再生する超音波スピーカと、前記音響ソースから供給される音声信号のうち前記第一の音域よりも低い第二の音域の信号を再生する低音再生用スピーカと、を有する指向性音響システムであって、前記超音波スピーカは、第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの出力端子間に静電型超音波トランスデューサを接続して構成するとともに、前記D級アンプを駆動する回路には、所定周波数f_caの搬送波を生成すると共に、前記搬送波周波数f_caの整数倍の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する搬送波生成回路と、前記搬送波を前記入力信号によって振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する振幅変調回路と、前記PWMクロック信号UP/DOWNを基に、前記振幅変調信号AMをPWM変調するPWM変調回路と、を備えること、を特徴とする。
このような構成により、音響ソースから供給される音声信号のうち第一の音域の信号を再生する超音波スピーカと、第一の音域よりも低い第二の音域の信号を再生する低音再生用スピーカとを有する指向性音響システムにおいて、上記超音波スピーカを本発明のD級アンプで駆動される静電型超音波トランスデューサで構成する。そして、上記静電型超音波トランスデューサを駆動するD級アンプの駆動回路において、搬送波生成回路は、周波数f_caの搬送波を生成し、また、搬送波周波数f_caのN倍(Nは整数)の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する。振幅変調回路は、入力信号により搬送波を振幅変調し、振幅変調された振幅変調信号AMを生成する。PWM変調回路は、振幅変調された振幅変調信号AMを、PWMクロック信号UP/DOWNを基に生成される三角波によりPWM変調する。
これにより、超音波スピーカでは再生することが困難な低周波数帯域の音を低音再生用スピーカで補うことによって、再生音質をより向上させることができる。また、超音波スピーカを駆動するD級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)を搬送波周波数の整数倍とし、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることによって、D級アンプにおけるPWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
このような構成により、音響ソースから供給される音声信号のうち第一の音域の信号を再生する超音波スピーカと、第一の音域よりも低い第二の音域の信号を再生する低音再生用スピーカとを有する指向性音響システムにおいて、上記超音波スピーカを本発明のD級アンプで駆動される静電型超音波トランスデューサで構成する。そして、上記静電型超音波トランスデューサを駆動するD級アンプの駆動回路において、搬送波生成回路は、周波数f_caの搬送波を生成し、また、搬送波周波数f_caのN倍(Nは整数)の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する。振幅変調回路は、入力信号により搬送波を振幅変調し、振幅変調された振幅変調信号AMを生成する。PWM変調回路は、振幅変調された振幅変調信号AMを、PWMクロック信号UP/DOWNを基に生成される三角波によりPWM変調する。
これにより、超音波スピーカでは再生することが困難な低周波数帯域の音を低音再生用スピーカで補うことによって、再生音質をより向上させることができる。また、超音波スピーカを駆動するD級アンプのPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)を搬送波周波数の整数倍とし、PWM信号の位相と搬送波の位相とを同期させることによって、D級アンプにおけるPWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の基本的な回路構成を示すブロック図である。以下各ブロックの機能について説明する。
図1は本発明の基本的な回路構成を示すブロック図である。以下各ブロックの機能について説明する。
図1において、クロック発振器10は、動作基準クロック信号CLKを生成する。搬送波生成回路11は、所定の周波数の搬送波(正弦波)と、搬送波の整数倍の周波数のクロック信号UP/DOWN(PWMクロック)とをそれぞれ生成する。振幅変調回路12は、搬送波生成回路11で生成された搬送波(超音波帯域)を、入力信号(可聴帯域の信号)で振幅変調し、振幅変調信号AMとして出力する。PWM変調回路13は、搬送波生成回路11で生成されたクロック信号UP/DOWNを基に、振幅変調回路12から出力される振幅変調信号AMをPWM変調し、PWM信号を生成する。ゲート駆動回路14は、PWM信号に応じてスイッチング素子M1、M2をオン、オフ制御するためのゲート信号を生成し、このゲート信号によりD級出力段15内のスイッチング素子M1、M2を交互にオン、オフ駆動する。
D級出力段15は、正電源側に接続されたハイサイドのスイッチング素子M1と、負電源側に接続されたローサイドのスイッチング素子M2とで構成され、M1とM2とでトーテムポール型の出力回路が構成されている。スイッチング素子M1、M2はそれぞれオン抵抗の小さいパワーMOSFETで構成され、ゲート駆動回路14によって各パワーMOSFETをスイッチング動作させる。D級出力段15の出力はスイッチング波形(電源E1、E2によるスイッチング電圧波形)になるため、スイッチング・キャリア成分を低域通過フィルタ16で除去した後に、負荷17に供給する。低域通過フィルタ16には、電力損失の小さいLCフィルタ(L1、C1)が用いられている。なお、図1に示す回路構成は、2つのスイッチング素子M1、M2で構成されるハーフブリッジ型のものであるが、もちろん、4つのスイッチング素子で構成されるフルブリッジ型のものでもよい。
図2は、本発明のD級アンプの駆動回路の要部を具体化した回路構成例を示すブロック図であり、図4は図2の動作タイミングチャートの一例を示したものである。各構成ブロックについて以下に説明する。
図2において、クロック発振器10は、搬送波生成器21、分周器22、UP/DOWNカウンタ23の動作基準クロック信号CLKを生成する。(クロック信号CLKは図4中には図示せず。)
搬送波生成回路11は、搬送波生成器21と分周器22とから構成される。搬送波生成器21は、搬送波周波数設定値に基づいて、所定の周波数f_caの搬送波を生成し、出力する。分周器22は、PWM周波数設定値に基づいて、クロック信号CLKを分周し、周波数f_PWMのクロック信号UP/DOWNを出力する。
ここで、基準クロック信号CLKの周波数をf_CLK (Hz)とするとき、M、Nを自然数として、
f_PWM = f_CLK/M、
f_ca = f_PWM/N、
の関係が成り立つように、上記UP/DOWN信号の周波数f_PWM(Hz)の値(搬送波周波数設定値)と、搬送波の周波数f_ca(Hz)の値(搬送波周波数設定値)とが設定される。なお、Mは分周器22おける分周比、Nは搬送波とUP/DOWN信号(PWMクロック)との周波数比である。
ここで、基準クロック信号CLKの周波数をf_CLK (Hz)とするとき、M、Nを自然数として、
f_PWM = f_CLK/M、
f_ca = f_PWM/N、
の関係が成り立つように、上記UP/DOWN信号の周波数f_PWM(Hz)の値(搬送波周波数設定値)と、搬送波の周波数f_ca(Hz)の値(搬送波周波数設定値)とが設定される。なお、Mは分周器22おける分周比、Nは搬送波とUP/DOWN信号(PWMクロック)との周波数比である。
UP/DOWNカウンタ23は、分周器22から出力されるUP/DOWN信号(PWMクロック)のレベルに応じて、クロック発振器10から出力されるクロック信号CLKをアップカウント、もしくはダウンカウントし、カウント値を信号REFとして出力する。ここではUP/DOWN信号がHighレベルであればアップカウント、Lowレベルであればダウンカウントするように構成されている。なお、図2および図4に示す例ではREFの値が0を中心にして−1から1までの間を変化(カウント)するように、カウント値をスケーリングしている。UP/DOWNカウンタからの出力信号REFの波形は、UP/DOWN信号に同期した周波数の三角波となる。
振幅変調回路24は、搬送波生成器21で生成された搬送波を、入力信号で振幅変調し、振幅変調信号AMとして出力する。
コンパレータ25は、振幅変調回路から出力される信号AMの振幅値と、UP/DOWNカウンタから出力される三角波形REFの振幅値とを比較し、比較結果をPWM信号として出力する。ここでは、振幅変調信号AMの振幅値が三角波形REFよりも大きければHighレベルを、小さければLowレベルを出力する。これにより、PWM変調信号が生成される。
ここでは、UP/DOWNカウンタ23とコンパレータ25がPWM変調回路13を構成している。
ここでは、UP/DOWNカウンタ23とコンパレータ25がPWM変調回路13を構成している。
図3は本発明の要部を抜き出し、更に具体的に示した回路構成例を示すブロック図であり、図4は図3の動作タイミングチャートの一例を示したものである。
図3の回路構成例では、第1のレジスタ(1)31と第2のレジスタ(2)32を備えており、レジスタ(1)31には搬送波周波数f_caに対するPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)f_PWMの比を表すNの値が格納され、レジスタ(2)32には基準クロック周波数f_CLKに対するPWM周波数f_PWMの分周比を表すMの値が格納される。
図3の回路構成例では、第1のレジスタ(1)31と第2のレジスタ(2)32を備えており、レジスタ(1)31には搬送波周波数f_caに対するPWM周波数(UP/DOWN信号の周波数)f_PWMの比を表すNの値が格納され、レジスタ(2)32には基準クロック周波数f_CLKに対するPWM周波数f_PWMの分周比を表すMの値が格納される。
クロック発振器10は、メモリコントローラ35、分周器22、UP/DOWNカウンタ23の動作基準クロック信号CLKを生成する。(クロック信号CLKは図4中には図示せず。)
波形演算器33は、レジスタ(1)31およびレジスタ(2)32の値を参照し、一周期分の搬送波の波形をM×N個の値に標本化する。つまり、M×N個で一周期分の搬送波形が構成されるように、搬送波形の振幅値を予め計算する。波形演算器33で計算したM×N個の波形データ(一周期分)は、データメモリ34に格納される。メモリコントローラ35は、データメモリ34に格納された搬送波形のデータを、クロック発振器10から出力される上記クロック信号CLKに同期して順次読み出しながら出力すると共に、M×N個(搬送波一周期分)のデータを繰り返し出力することによって、搬送波を連続生成する。
分周器22は、クロック信号CLKの周波数f_CLKを1/Mに分周し、UP/DOWN信号として出力する。このUP/DOWN信号の周波数が、PWM変調の基準周波数f_PWMとなる。分周器22は、例えば図示しないカウンタとリセット用レジスタ、フリップフロップで構成されている。カウンタはクロック信号CLKをカウントし、カウント値がオーバーフローすると、リセット用レジスタの値をカウンタにリセットすると同時に、フリップフロップの出力を反転させるように構成されている。カウンタが参照するリセット用レジスタ(図示せず)には、レジスタ(2)32に格納された分周比Mの値を基にしてカウンタをリセットする際の初期値を計算し、設定する。例えば、カウンタのビット数が8bitでクロック信号を1/10に分周したい場合、すなわち、レジスタ(2)32に格納されている分周比Mの値が10である場合には、リセット用レジスタの値を251(=255―10/2+1)に設定するようにする。これにより、カウンタはクロック信号CLKを5回カウントする毎にフリップフロップの出力、つまりUP/DOWN信号のレベルを反転させるので、分周器22から出力されるUP/DOWN信号は、クロック信号CLKを1/10に分周したクロック信号となる。
UP/DOWNカウンタ23は、分周器22から出力されるUP/DOWN信号(PWMクロック)のレベルに応じて、クロック発振器10から出力されるクロック信号CLKをアップカウント、もしくはダウンカウントし、カウント値を信号REFとして出力する。ここではUP/DOWN信号がHighレベルであればアップカウント、Lowレベルであればダウンカウントするように構成されている。なお、図3および図4に示す例ではREFの値が0を中心にして−1から1までの間を変化(カウント)するように、カウント値をスケーリングしている。UP/DOWNカウンタからの出力信号REFの波形は、UP/DOWN信号に同期した周波数の三角波となる。
振幅変調回路24は、メモリコントローラ35から出力される搬送波(デジタルデータ)を、デジタル化された入力信号で振幅変調し、振幅変調信号AMとして出力する。
コンパレータ25は、振幅変調回路から出力される信号AMの振幅値と、UP/DOWNカウンタから出力される三角波形REFの振幅値とを比較し、比較結果をPWM信号として出力する。ここでは、振幅変調信号AMの振幅値が三角波形REFよりも大きければHighレベルを、小さければLowレベルを出力する。これにより、PWM変調信号が生成される。
ここでは、波形演算器33とデータメモリ34、およびメモリコントローラ35が、図2の搬送波生成器21を構成している。
ここでは、波形演算器33とデータメモリ34、およびメモリコントローラ35が、図2の搬送波生成器21を構成している。
以上のような構成において、UP/DOWN信号(PWMクロック)の周波数f_PWMは搬送波の周波数f_caの整数倍(N倍)になる。よって、搬送波の位相にUP/DOWN信号(PWMクロック)の位相を同期させた状態で駆動することができる。
例えば、クロック周波数f_CLKが100MHzである場合、PWMクロック周波数f_PWMを500kHz(M=200)、搬送波周波数f_caを50kHz(N=10)で駆動したい場合には、搬送波生成器21のデータ領域のサイズは2000(=M・N)となり、搬送波(正弦波)の一周期を2000分割して求めた振幅データが前記データ領域(データメモリ35)に格納される。分周器22では、クロック信号の周波数f_CLKを1/200に分周したUP/DOWN信号が生成されることになる。
図4は、本発明のD級アンプの駆動回路におけるタイミングチャートの一例を示す図であり、入力信号レベルが0(ゼロ)であり、搬送波周波数が50kHz、UP/DOWN信号(PWMクロック)の周波数が500kHzの場合の例を示している。
図4において、図(A)は、搬送波と入力信号の波形を示し、図(B)は、分周器22から出力されるUP/DOWN信号を示し、図(C)は、UP/DOWNカウンタ23から出力される信号REFと、振幅変調回路12もしくは振幅変調回路24から出力される振幅変調信号AMを示し、図(D)は、コンパレータ25から出力されるPWM変調信号PWMを示している。図4において、特に注目すべき点は、図(c)に示すように、搬送波(変調度0の時の振幅変調波)AMと三角波REFとが同期、すなわち、搬送波AMと三角波REFとの位相関係が、被変調信号AMの周期毎に異なることなく固定されている点である。これは、UP/DOWN信号(PWMクロック)の周波数f_PWMを搬送波の周波数f_caの整数倍(N倍)にしたためである。
また、図5は、本発明のD級アンプの駆動回路における信号波形と周波数スペクトルの例を示す図であり、搬送波信号が62.5kHzであり、PWMクロック周波数が625kHzの場合の例を示している。図5において、図(A)は、PWM変調波形(スイッチング波形)とLPF通過後の出力波形の例を示しており、図(B)は、LPF通過後の出力波形の周波数スペクトルの例を示している。
従来例では、図6に示すように、PWM周波数が被変調信号周波数の整数倍でないときは、LPF後の出力波形に搬送波側波帯の歪み成分(スプリアスノイズ)が多く出ているが、本発明においては、図5に示すようにPWM周波数を被変調信号周波数(搬送波周波数)の整数倍にしているため、図6の例に見られるような搬送波側波帯の歪み成分(スプリアスノイズ)が出ていないことが分かる。図6に示す従来例では、PWM周波数が被変調信号周波数の整数倍でないため、被変調信号の位相とPWM信号の位相とが、被変調信号の周期毎に異なって(ずれて)しまう。これが搬送波側波帯の歪み成分(スプリアスノイズ)となって現れてくる。
D級アンプの負荷として超音波スピーカを駆動する場合を考えると、PWM周波数が搬送波周波数の整数倍でないとき(図6の場合)は、入力信号が0のとき(搬送波のみの状態)でも搬送波側波帯域にスプリアスノイズ成分が立つので、パラメトリックアレイ効果によって、搬送波成分とスプリアスノイズ成分との差音成分が自己復調されてしまい、そのうち可聴帯域の差音成分が無信号時ノイズとして聞こえる恐れがある。これに対してPWM周波数を搬送波の整数倍にすると(図5の場合)、搬送波側波帯域にはスプリアスノイズ成分が出なくなるので、前者のような無信号時ノイズを抑えることができる。
以上より、PWM周波数を搬送波(被変調信号)周波数の整数倍にすることによって、D級アンプの再生出力のS/N比を高くすることができる。
上述したように、D級アンプのPWM周波数を、超音波スピーカの搬送波周波数の整数倍とすることにより、整数倍でない場合(図6)よりPWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができるため(図5)、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
なお、負荷は超音波スピーカに限定されることはなく、特定の周波数の搬送波を用いた変調信号を出力する場合であれば、適用することができる。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、本発明のD級アンプの駆動回路の構成と動作について説明したが、第2の実施の形態として、本発明のD級アンプの駆動回路により静電型トランスデューサを駆動する超音波スピーカの例について説明する。
第1の実施の形態では、本発明のD級アンプの駆動回路の構成と動作について説明したが、第2の実施の形態として、本発明のD級アンプの駆動回路により静電型トランスデューサを駆動する超音波スピーカの例について説明する。
図7は、本発明のD級アンプで駆動するプッシュプル(Push−Pull)型の静電型トランスデューサの一例を示す図であり、特に超音波スピーカのトランスデューサとして使用するのに好適な構造になっている。なお、超音波スピーカに使用される静電型トランスデューサは、静電型超音波トランスデューサとも呼ばれる。
図7(A)はトランスデューサの断面を示しており、導電層を有する振動膜112と、該振動膜112のそれぞれの面に対向して設けられた前面(第一の面)側固定電極101A及び背面(第二の面)側固定電極101Bからなる一対の固定電極とを有している(前面側固定電極101Aと背面側固定電極101Bの両方を指す場合は固定電極101と呼ぶ)。振動膜112は図7(A)に示すように電極を形成する導電層(振動膜電極)121を絶縁膜120で挟むように形成してもよいし、振動膜112の全体を導電性材料で形成するようにしてもよい。
また、振動膜112を挟持する前面側固定電極101Aには複数の貫通孔114Aが設けられており、かつ背面側固定電極101Bには前面側固定電極101Aに設けた各貫通孔114Aに対向する位置に同一形状の貫通孔114Bが設けられている(貫通孔114Aと貫通孔114Bの両方を指す場合は貫通孔114と呼ぶ)。前面側固定電極101Aと背面側固定電極101Bは、それぞれ支持部材111によって振動膜112から所定のギャップを隔てて支持されており、図7(A)に示すように振動膜112と固定電極とが一部空隙を介して対向するように支持部材111は形成されている。
図7(B)はトランスデューサの片側平面外観を示したものであり(固定電極101の一部を切り欠き振動膜112を露出させた状態)、上記複数の貫通孔114がハニカム状に配列されている。
また、直流電源116は、振動膜電極121に直流バイアス電圧を印加するための電源であり、交流信号118A、118Bは、振動膜112を駆動するために、前面側固定電極101Aと背面側固定電極101Bに印加される信号である。
また、図8は、本発明のD級アンプの駆動回路を使用した超音波スピーカの構成例を示す図である。図8に示す超音波スピーカは、可聴波周波数帯の信号波を生成する可聴周波数波信号源(オーディオ信号源)131と、本発明のD級アンプ1(図1、図2を参照)を有している。また、D級アンプ1の出力は出力トランスTを介して静電型トランスデューサ100に印加される。なお、出力トランスTの2次側巻線は中間タップを備えており、この中間タップを基準にして、直流バイアス電圧Eが振動膜電極121に印加される。
上記構成において、可聴周波数波信号源131より出力される可聴周波数信号(オーディオ信号)をD級アンプ1に入力する。D級アンプ1では、入力信号により所定の周波数の搬送波(キャリア波)を振幅変調し、該振幅変調信号を搬送波周波数の整数倍の周波数でPWM変調し、D級出力段およびLCフィルタを介して増幅して出力する。そして、増幅した振幅変調信号を、出力トランスTの1次側巻線の両端に印加する。これにより、出力トランスTの2次側巻線に接続された静電型トランスデューサ100を駆動する。なお、D級アンプ1のPWM周波数は、搬送波周波数のN倍になるように設定されている。
この結果、上記変調信号が静電型トランスデューサ100により有限振幅レベルの音波に変換され、この音波は媒質中(空気中)に放射されて媒質(空気)の非線形効果によって元の可聴周波数帯の信号音が自己再生される。つまり音波は空気を媒体として伝送する粗密波であるので、変調された超音波が伝播する過程で、空気の密な部分と疎な部分とが顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部分は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波)と可聴波(元オーディオ信号)に波形分離され、我々人間は20kHz以下の可聴音(元オーディオ信号)のみを聴くことができるという原理であり、一般にはバラメトリックアレイ効果と呼ばれている。
なお、図8に示す例では、本発明のD級アンプの駆動回路により、プッシュプル(Push−Pull)型の静電型トランスデューサを駆動する例について説明したが、駆動対象となる負荷はプッシュプル型の静電型トランスデューサに限定されず、他の種類の容量性の負荷をも好適に駆動することができる。例えば、振動膜の片面にだけ固定電極を配置し、振動膜を一方の側だけを吸引する構造のプル(Pull)型とよばれる静電型トランスデューサを駆動することもできる。
図9は、プル(Pull)型の静電型トランスデューサの駆動回路の構成例を示す図である。図9(A)に示すプル(Pull)型の静電型トランスデューサ200は、振動体(振動膜)として3〜10μm程度の厚さのPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)等の誘電体211(絶縁体の振動膜)を用いている。誘電体211に対しては、アルミ等の金属箔として形成される上側電極212がその上面部に蒸着等の処理によって一体形成されるとともに、真鍮で形成された下側電極213が誘電体211の下面部に接触するように設けられている。この下側電極213は、リード222が接続されるとともに、ベークライト等からなるベース板215に固定されている。
また、上側電極212は、リード221が接続されており、このリード221は直流バイアス電源230に接続されている。この直流バイアス電源230により上側電極212には50〜150V程度の上電極吸着用の直流バイアス電圧が常時印加され、上側電極212が下側電極213側に吸着されるようになっている。231は信号源である。
誘電体211および上側電極212ならびにベース板215は、メタルリング216、217、および218、ならびにメッシュ219ともに、ケース201によってかしめられている。
下側電極213の誘電体211側の面には不均一な形状を有する数十〜数百μm程度の微小な溝(凹凸部)が複数形成されている。この微小な溝は、下側電極213と誘電体211との間の空隙となるので、上側電極212および下側電極213間の静電容量の分布が微小に変化する。このランダムな微小な溝は、下側電極213の表面を手作業でヤスリにより荒らすことで形成されている。プル(Pull)型の静電型トランスデューサでは、このようにして空隙の大きさや深さの異なる無数のコンデンサを形成することによって、周波数特性が広帯域となっている。
図9(A)に示すプル型の静電型トランスデューサを本発明のD級アンプの駆動回路により駆動することができる。図9(B)は、プル型の静電型トランスデューサを本発明のD級アンプ1(図1、図2を参照)で駆動する回路構成を示す図であり、プル(Pull)型の静電型トランスデューサ200の等価静電容量をCpullとして示している。
図9(B)において、出力トランスTを介してD級アンプ1からの出力を昇圧した後、プル型の静電型トランスデューサ(Cpull)200に印加するように構成されている。出力トランスTの2次側巻線の一方の端子は、プル型の静電型トランスデューサ(Cpull)200の上側電極212に直流バイアス電源230を介して接続され、他方の端子は下側電極213にそれぞれ接続されている。
上記の構成により、静電型トランスデューサ200の上側電極212と下側電極213とには、直流バイアス電圧に重畳した交流信号が印加される。このように、上側電極212に直流バイアス電圧と交流信号を印加することにより、上側電極212の下側電極213に対する吸引力が変化することにより、振動膜(誘電体)211が振動し、振動膜211から音波が放射される。
また、図10は、圧電型超音波トランスデューサの駆動回路の構成例を示す図である。振動素子として圧電セラミックを用いて電気信号から超音波への変換を行う圧電型の超音波トランスデューサの構成例を示している。図10(A)は、バイモルフ型の圧電型トランスデューサ(超音波トランスデューサ)を示している、
図10(A)に示すバイモルフ型の圧電型トランスデューサ301は、2枚の圧電素子(圧電セラミック)311および312と、コーン313と、ケース314と、リード315および316と、スクリーン317とから構成されている。圧電素子311および312は、互いに貼り合わされていて、その貼り合わせ面と反対側の面にそれぞれリード315とリード316が接続されている。
図10(A)に示す圧電型のトランスデューサにおいても、本発明のD級アンプの駆動回路を好適に使用することができる。図10(B)は、圧電型の超音波トランスデューサの回路構成を示す図であり、バイモルフ型の圧電型トランスデューサ301の等価静電容量をCbmとして示している。
図10(B)において、出力トランスTを介してD級アンプ1からの出力を昇圧した後、圧電型トランスデューサ(Cbm)301に印加するように構成されている。出力トランスTの2次側巻線の一方の端子は、圧電型トランスデューサ(Cbm)301の一方の圧電素子311に接続され、他方の端子は他方の圧電素子312にそれぞれ接続されている。
上記の構成により、圧電型トランスデューサ301の圧電素子311と圧電素子312には、交流信号が印加される。これにより、圧電素子311、312が振動することにより、音波が放射される。
上述したように、超音波スピーカをD級アンプで駆動する場合に、PWM周波数を、超音波スピーカの搬送波周波数の整数倍とすることにより、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができる。このため、超音波スピーカから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
[第3実施の形態]
第2の実施の形態では、本発明のD級アンプの駆動回路を使用した超音波スピーカの例について説明したが、本発明の第3の実施の形態として、本発明の超音波スピーカを用いた表示装置の例について説明する。
第2の実施の形態では、本発明のD級アンプの駆動回路を使用した超音波スピーカの例について説明したが、本発明の第3の実施の形態として、本発明の超音波スピーカを用いた表示装置の例について説明する。
図11は、表示装置の一例として、プロジェクタを例に取ったものであり、その使用状態を示したものである。同図に示すように、プロジェクタ(表示装置)401は視聴者403の後方に設置され、視聴者403の前方に設置されたスクリーン402に映像を投影するとともに、プロジェクタ401に搭載されている超音波スピーカによりスクリーン402の投影面に仮想音源を形成し、音声を再生するようになっている。
プロジェクタ401の外観構成を図12に示す。プロジェクタ401は、映像をスクリーン等の投影面に投影する投影光学系を含むプロジェクタ本体420と、超音波周波数帯の音波を発振できる静電型超音波トランスデューサ(以下、単に「超音波トランスデューサ」とも呼ぶ)424A、424Bを含んで構成され、音響ソースから供給される音声信号から可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカとが一体的に構成されている。本実施形態では、ステレオ音声信号を再生するために、投影光学系を構成するプロジェクタレンズ431を挟んで、左右に超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサ424A、424Bが搭載されている。
さらに、プロジェクタ本体420の底面には低音再生用スピーカ423が設けられている。また、425は、プロジェクタ本体420の高さ調整を行うための高さ調節ねじ、426は、空冷フアン用の排気口である。
さらに、プロジェクタ本体420の底面には低音再生用スピーカ423が設けられている。また、425は、プロジェクタ本体420の高さ調整を行うための高さ調節ねじ、426は、空冷フアン用の排気口である。
また、プロジェクタ401では、超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサとして、本発明のD級アンプで駆動される静電型超音波トランスデューサを使用している。
次に、プロジェクタ401の電気的構成を図13に示す。プロジェクタ401は、操作入力部410と、再生範囲設定部412、再生範囲制御処理部413、音声/映像信号再生部414、D級アンプ422A、422B及び超音波トランスデューサ424A、424Bからなる超音波スピーカと、ハイパスフィルタ417A、417Bと、ローパスフィルタ419と、ミキサ421と、パワーアンプ422Cと、低音再生用スピーカ423と、プロジェクタ本体420とを有している。
なお、D級アンプ422A、422Bは、本発明のD級アンプの駆動回路(図1及び図2を参照)を用いたものであり、図1及び図2に示すように搬送波生成回路11と振幅変調回路12等を備えており、また、図2に示すように、搬送波生成回路11で生成するキャリア波(搬送波)の周波数は外部設定できるように構成されている。
プロジェクタ本体420は、映像を生成する映像生成部432と、生成された映像を投影面に投影する投影光学系433とを有している。このように、プロジェクタ401は、超音波スピーカ及び低音再生用スピーカ423と、プロジェクタ本体420とが一体化されて構成されている。
操作入力部410は、テンキー、数字キー、電源のオン、オフをおこなうための電源キーを含む各種機能キーを有している。再生範囲設定部412は、ユーザが操作入力部410をキー操作することにより再生信号(信号音)の再生範囲を指定するデータを入力できるようになっており、該データが入力されると、再生信号の再生範囲を規定するキャリア波の周波数が設定され、保持されるようになっている。再生信号の再生範囲の設定は、超音波トランスデューサ424A,424Bの音波放射面から放射軸方向に再生信号が到達する距離を指定することにより行われる。
また、再生範囲設定部412は、音声/映像信号再生部414より映像内容に応じて出力される制御信号によりキャリア波の周波数が設定できるようになっている。
また、再生範囲制御処理部413は、再生範囲設定部412の設定内容を参照し、設定された再生範囲となるようキャリア波の周波数を変更するようにD級アンプ422A、422Bを制御する機能を有する。
例えば、再生範囲設定部412の内部情報として、キャリア波周波数が50kHzに対応する上記距離が設定されている場合、D級アンプ422A、422Bに対して50kHzのキャリア波を生成するように制御する。
また、再生範囲制御処理部413は、再生範囲設定部412の設定内容を参照し、設定された再生範囲となるようキャリア波の周波数を変更するようにD級アンプ422A、422Bを制御する機能を有する。
例えば、再生範囲設定部412の内部情報として、キャリア波周波数が50kHzに対応する上記距離が設定されている場合、D級アンプ422A、422Bに対して50kHzのキャリア波を生成するように制御する。
再生範囲制御処理部413は、再生範囲を規定する超音波トランスデューサ424A,424Bの音波放射面から放射軸方向に再生信号が到達する距離とキャリア波の周波数との関係を示すテーブルが予め記憶されている記憶部を有している。このテーブルのデータは、キャリア波の周波数と上記再生信号の到達距離との関係を実際に計測することにより得られる。
再生範囲制御処理部413は、再生範囲設定部412の設定内容に基づいて、上記テーブルを参照して設定された距離情報に対応するキャリア波の周波数を求め、該周波数となるようにD級アンプ422A、422Bを制御する。
再生範囲制御処理部413は、再生範囲設定部412の設定内容に基づいて、上記テーブルを参照して設定された距離情報に対応するキャリア波の周波数を求め、該周波数となるようにD級アンプ422A、422Bを制御する。
音声/映像信号再生部414は、例えば、映像媒体としてDVDを用いるDVDプレーヤーであり、再生した音声信号のうちRチャンネルの音声信号は、ハイパスフィルタ417Aを介しD級アンプ422Aに、Lチャンネルの音声信号はハイパスフィルタ417Bを介してD級アンプ422Bに、映像信号はプロジェクタ本体420の映像生成部432にそれぞれ、出力されるようになっている。
また、音声/映像信号再生部414より出力されるRチャンネルの音声信号とLチャンネルの音声信号は、ミキサ421により合成され、ローパスフィルタ419を介してパワーアンプ422Cに入力されるようになっている。音声/映像信号再生部414は、音響ソースに相当する。
また、音声/映像信号再生部414より出力されるRチャンネルの音声信号とLチャンネルの音声信号は、ミキサ421により合成され、ローパスフィルタ419を介してパワーアンプ422Cに入力されるようになっている。音声/映像信号再生部414は、音響ソースに相当する。
ハイパスフィルタ417A,417Bは、それぞれ、Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号における中高音域(第一の音域)の周波数成分のみを通過させる特性を有しており、またローパスフィルタは、Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号における低音域(第二の音域)の周波数成分のみを通過させる特性を有している。
したがって、上記Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号のうち中高音域の音声信号は、それぞれ超音波トランスデューサ424A、424Bにより再生され、上記Rチャンネル、Lチャンネルの音声信号のうち低音域の音声信号は低音再生用スピーカ423により再生されることとなる。
なお、音声/映像信号再生部414はDVDプレーヤーに限らず、外部から入力されるビデオ信号を再生する再生装置であってもよい。また、音声/映像信号再生部414は、再生される映像のシーンに応じた音響効果を出すために再生音の再生範囲を動的に変更するように、再生範囲設定部412に再生範囲を指示する制御信号を出力する機能を有している。
映像生成部432は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイと、該ディスプレイを音声/映像信号再生部414から出力される映像信号に基づいて駆動する駆動回路等を有しており、音声/映像信号再生部414から出力される映像信号から得られる映像を生成する。
投影光学系433は、ディスプレイに表示された映像をプロジェクタ本体420の前方に設置されたスクリーン等の投影面に投影する機能を有している。
投影光学系433は、ディスプレイに表示された映像をプロジェクタ本体420の前方に設置されたスクリーン等の投影面に投影する機能を有している。
次に、上記構成からなるプロジェクタ401の動作について説明する。まず、ユーザのキー操作により操作入力部410から再生信号の再生範囲を指示するデータ(距離情報)が再生範囲設定部412に設定され、音声/映像信号再生部414に再生指示がなされる。
この結果、再生範囲設定部412には、再生範囲を規定する距離情報が設定され、再生範囲制御処理部413は、再生範囲設定部412に設定された距離情報を取り込み、内蔵する記憶部に記憶されているテーブルを参照し、上記設定された距離情報に対応するキャリア波の周波数を求め、該周波数のキャリア波を生成するようにD級アンプ422A、422B内の搬送波生成回路11(図1及び図2参照)を制御する。
この結果、D級アンプ422A、422B内の搬送波生成回路11(図1及び図2参照)は、再生範囲設定部412に設定された距離情報に対応する周波数の搬送波キャリア波を生成し、振幅変調回路24(図1及び図2参照)に出力する。
一方、音声/映像信号再生部414は、再生した音声信号のうちRチャンネルの音声信号を、ハイパスフィルタ417Aを介してD級アンプ422Aに、Lチャンネルの音声信号をハイパスフィルタ417Bを介してD級アンプ422Bに、Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号をミキサ421に出力し、映像信号をプロジェクタ本体420の映像生成部432にそれぞれ、出力する。
したがって、ハイパスフィルタ417Aにより上記Rチャンネルの音声信号のうち中高音域の音声信号がD級アンプ422Aに入力され、ハイパスフィルタ417Bにより上記Lチャンネルの音声信号のうち中高音域の音声信号がD級アンプ422Bに入力される。
また、上記Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号はミキサ421により合成され、ローパスフィルタ419により上記Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号のうち低音域の音声信号がパワーアンプ422Cに入力される。
また、上記Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号はミキサ421により合成され、ローパスフィルタ419により上記Rチャンネルの音声信号及びLチャンネルの音声信号のうち低音域の音声信号がパワーアンプ422Cに入力される。
映像生成部432では、入力された映像信号に基づいてディスプレイを駆動して映像を生成し、表示する。このディスプレイに表示された映像は、投影光学系433により、投影面、例えば、図11に示すスクリーン402に投影される。
D級アンプ422A、422Bにより増幅されたキャリア波の変調信号は、それぞれ、超音波トランスデューサ424A、424Bの前面側固定電極(上電極)101Aと背面側固定電極(下電極)101B(図7参照)との間に印加され、該変調信号は、有限振幅レベルの音波(音響信号)に変換され、媒質(空気中)に放射され、超音波トランスデューサ424Aからは、上記Rチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号が再生され、超音波トランスデューサ424Bからは、上記Lチャンネルの音声信号における中高音域の音声信号が再生される。
また、パワーアンプ422Cで増幅された上記Rチャンネル及びLチャンネルにおける低音域の音声信号は低音再生用スピーカ423により再生される。
また、パワーアンプ422Cで増幅された上記Rチャンネル及びLチャンネルにおける低音域の音声信号は低音再生用スピーカ423により再生される。
前述したように、超音波トランスデューサにより媒質中(空気中)に放射された超音波の伝播においては、その伝播に伴い音圧の高い部分では音速が高くなり、音圧の低い部分では音速は遅くなる。この結果、波形の歪みが発生する。
放射する超音波帯域の信号(キャリア波)を可聴周波数帯の信号で変調(AM変調)しておいた場合には、上記波形歪みの結果により、変調時に用いた可聴周波数帯の信号波が超音波周波数帯のキャリア波と分離して自己復調する形で形成される。その際、再生信号の広がりは超音波の特性からビーム状となり、通常のスピーカとは全く異なる特定方向のみに音が再生される。
超音波スピーカを構成する超音波トランスデューサ424A、424Bから出力されるビーム状の再生信号は、投影光学系433により映像が投影される投影面(スクリーン)に向けて放射され、投影面で反射され拡散する。この場合に、再生範囲設定部412に設定されるキャリア波の周波数に応じて、超音波トランスデューサ424A、424Bの音波放射面からその放射軸方向(法線方向)においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、キャリア波のビーム幅(ビームの拡がり角)が異なるために、再生範囲は、変化する。
プロジェクタ401における超音波トランスデューサ424A,424Bを含んで構成される超音波スピーカによる再生信号の再生時の状態を図14に示す。プロジェクタ401において、キャリア波が音声信号により変調された変調信号により超音波トランスデューサが駆動される際に、再生範囲設定部412により設定されたキャリア周波数が低い場合は、超音波トランスデューサ424の音波放射面からその放射軸方向(音波放射面の法線方向)においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、すなわち、再生地点までの距離が長くなる。
したがって、再生された可聴周波数帯の再生信号のビームは、比較的拡がらずに投影面(スクリーン)402に到達することとなり、この状態で投影面402において反射するので、再生範囲は、図14において点線の矢印で示す可聴範囲Aとなり、投影面402から比較的に遠くかつ狭い範囲でのみ再生信号(再生音)が聞こえる状態となる。
これに対して、再生範囲設定部412により設定されたキャリア周波数が上述した場合より高い場合は、超音波トランスデューサ424の音波放射面から放射される音波は、キャリア周波数が低い場合より絞られているが、超音波トランスデューサ424の音波放射面からその放射軸方向(音波放射面の法線方向)においてキャリア波から再生信号が分離されるまでの距離、すなわち、再生地点までの距離が短くなる。
したがって、再生された可聴周波数帯の再生信号のビームは、投影面402に到達する前に拡がって投影面402に到達することとなり、この状態で投影面402において反射するので、再生範囲は、図14において実線の矢印で示す可聴範囲Bとなり、投影面402から比較的に近くかつ広い範囲でのみ再生信号(再生音)が聞こえる状態となる。
以上説明したように、本発明の表示装置(プロジェクタ等)では、本発明のD級アンプの駆動回路を有する静電型超音波トランスデューサを備えており、静電型超音波トランスデューサをD級アンプの駆動回路する際に、PWM周波数を、超音波スピーカの搬送波周波数の整数倍とすることにより、PWM変調の際に発生するスプリアスノイズを低減することができるため、静電型超音波トランスデューサから発生される可聴音ノイズを小さくすることができる。特に、出力0(搬送波成分のみ)の時に生成される(感じられる)可聴音ノイズ成分を抑えることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の、D級アンプの駆動回路、超音波スピーカ、および表示装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1…D級アンプ、10…クロック発振器、11…搬送波生成回路、12…振幅変調回路、13…PWM変調回路、14…ゲート駆動回路、15…D級出力段、16…低域通過フィルタ、17…負荷、21…搬送波生成器、22…分周器、23…UP/DOWNカウンタ、24…振幅変調回路、25…コンパレータ、31…レジスタ(1)、32…レジスタ(2)、33…波形演算器、34…データメモリ、35…メモリコントローラ、100…プッシュプル型の静電型トランスデューサ、101…固定電極、101A…前面側固定電極、101B…背面側固定電極、111…支持部材、112…振動膜、114A、114B…貫通孔、116…直流電源、118A、118B…交流信号、120…絶縁膜、121…振動膜電極、131…可聴周波数波信号源、200…プル型の静電型トランスデューサ、211…誘電体(振動膜)、212…上側電極、213…下側電極、230…直流バイアス電源、231…信号源、301…圧電型トランスデューサ、311、312…圧電素子、401…プロジェクタ、402…スクリーン、402…投影面(スクリーン)、410…操作入力部、412…再生範囲設定部、413…再生範囲制御処理部、414…音声/映像信号再生部、417A,417B…ハイパスフィルタ、419…ローパスフィルタ、420…プロジェクタ本体、421…ミキサ、422A,422B…D級アンプ、422C…パワーアンプ、423…低音再生用スピーカ、424A、424B…超音波トランスデューサ、431…プロジェクタレンズ、432…映像生成部、433…投影光学系
Claims (13)
- 第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの駆動方法であって、
前記入力信号に所定の周波数の搬送波を含む場合に、前記PWM信号の基本周波数を、前記搬送波周波数の整数倍に設定すること
を特徴とするD級アンプの駆動方法。 - 第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの駆動方法であって、
前記入力信号により所定の周波数の搬送波を振幅変調することによって振幅変調信号を生成する手順と、
前記振幅変調信号を前記搬送波の整数倍の周波数でPWM変調することによってPWM信号を生成する手順と、
前記PWM信号によって前記スイッチング素子をスイッチングする手順と、
を含むことを特徴とするD級アンプの駆動方法。 - 前記振幅変調方式が片側波帯振幅変調(SSB)方式であること
を特徴とする請求項2に記載のD級アンプの駆動方法。 - 第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの駆動回路であって、
前記入力信号に所定の周波数の搬送波を含む場合に、前記PWM信号の基本周波数を、前記搬送波周波数の整数倍に設定する手段を
備えることを特徴とするD級アンプの駆動回路。 - 第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの駆動回路であって、
所定周波数f_caの搬送波を生成すると共に、前記搬送波周波数f_caの整数倍の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する搬送波生成回路と、
前記搬送波を前記入力信号によって振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する振幅変調回路と、
前記PWMクロック信号UP/DOWNを基に、前記振幅変調信号AMをPWM変調するPWM変調回路と、
を備えることを特徴とするD級アンプの駆動回路。 - 第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの駆動回路であって、
所定周波数f_CLKのクロック信号CLKを生成するクロック発振器と、
前記クロック信号CLKを1/M(Mは整数)に分周し、周波数f_PWM(=f_CLK/M)のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する分周器と、
前記PWMクロック信号UP/DOWNの周波数f_PWMの1/N(Nは整数)の周波数f_ca(=f_PWM/N)の搬送波を生成する搬送波生成器と、
前記搬送波を前記入力信号によって振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する振幅変調器と、
前記クロック信号UP/DOWNの信号レベルに応じて、クロック信号CLKをアップカウント、もしくはダウンカウントするアップ・ダウンカウンタと、
前記振幅変調信号AMのレベル値と、前記アップ・ダウンカウンタのカウント値とを比較し、その大小関係を二値のレベルに変換して出力するコンパレータと、
を備えることを特徴とするD級アンプの駆動回路。 - 前記搬送波の周波数f_caと前記PWMクロック信号UP/DOWNの周波数f_PWMとの比の値Nを設定値として保持する第1のレジスタ(1)と、
前記分周器の分周比の値Mを設定値として保持する第2のレジスタ(2)と、
をさらに備え、
前記搬送波生成器には、
第1のレジスタ(1)および第2のレジスタ(2)の値を参照し、一周期分の搬送波の波形をM×N個の値に標本化する波形演算器と、
前記波形演算器によって標本化された波形データを格納するデータメモリと、
前記データメモリに格納されたデータを、前記クロック信号CLKに同期して順次読み出しながら出力すると共に、M×N個(搬送波一周期分)のデータを繰り返し出力することによって、搬送波を連続生成するメモリコントローラと、
を備えることを特徴とする請求項6に記載のD級アンプの駆動回路。 - 前記振幅変調方式が片側波帯振幅変調(SSB)方式であるように構成されたこと
を特徴とする請求項4から7のいずれかに記載のD級アンプの駆動回路。 - 第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプによって駆動される静電型トランスデューサであって、
前記D級アンプを駆動する回路には、
所定周波数f_caの搬送波を生成すると共に、前記搬送波周波数f_caの整数倍の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する搬送波生成回路と、
前記搬送波を前記入力信号によって振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する振幅変調回路と、
前記PWMクロック信号UP/DOWNを基に、前記振幅変調信号AMをPWM変調するPWM変調回路と、を備えること、
を特徴とする静電型トランスデューサ。 - 前記静電型トランスデューサは、
複数の孔が形成された第一の面側の固定電極と、
前記第一の面側の固定電極と対をなす複数の孔が形成された第二の面側の固定電極と、
前記一対の固定電極に挟まれるとともに導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とで構成されていること
を特徴とする請求項9に記載の静電型トランスデューサ。 - 第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの出力端子間に静電型超音波トランスデューサを接続して構成する超音波スピーカであって、
前記D級アンプを駆動する回路には、
所定周波数f_caの搬送波を生成すると共に、前記搬送波周波数f_caの整数倍の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する搬送波生成回路と、
前記搬送波を前記入力信号によって振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する振幅変調回路と、
前記PWMクロック信号UP/DOWNを基に、前記振幅変調信号AMをPWM変調するPWM変調回路と、を備えること、
を特徴とする超音波スピーカ。 - 音響ソースから供給される音声信号を再生し可聴周波数帯の信号音を再生する超音波スピーカと、映像を投影面に投影する投影光学系とを備える表示装置であって、
前記超音波スピーカは、
第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの出力端子間に静電型超音波トランスデューサを接続して構成するとともに、
前記D級アンプを駆動する回路には、
所定周波数f_caの搬送波を生成すると共に、前記搬送波周波数f_caの整数倍の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する搬送波生成回路と、
前記搬送波を前記入力信号によって振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する振幅変調回路と、
前記PWMクロック信号UP/DOWNを基に、前記振幅変調信号AMをPWM変調するPWM変調回路と、を備えること、
を特徴とする表示装置。 - 音響ソースから供給される音声信号のうち第一の音域の信号を再生する超音波スピーカと、前記音響ソースから供給される音声信号のうち前記第一の音域よりも低い第二の音域の信号を再生する低音再生用スピーカと、を有する指向性音響システムであって、
前記超音波スピーカは、
第一の電源に接続されたハイサイドのスイッチング素子と第二の電源もしくはグラウンドに接続されたローサイドのスイッチング素子とを接続したトーテムポール型の出力回路と、前記出力回路の出力端側に接続される低域通過フィルタとで構成される回路を一組以上備えるとともに、入力信号をPWM変調したPWM信号により前記出力回路の各スイッチング素子をオン、オフ制御することによって電力増幅を行うD級アンプの出力端子間に静電型超音波トランスデューサを接続して構成するとともに、
前記D級アンプを駆動する回路には、
所定周波数f_caの搬送波を生成すると共に、前記搬送波周波数f_caの整数倍の周波数のPWMクロック信号UP/DOWNを生成する搬送波生成回路と、
前記搬送波を前記入力信号によって振幅変調し、振幅変調信号AMを生成する振幅変調回路と、
前記PWMクロック信号UP/DOWNを基に、前記振幅変調信号AMをPWM変調するPWM変調回路と、を備えること、
を特徴とする指向性音響システム。
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