JP4236435B2 - 顕微鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、顕微鏡、特に染色した試料を機能性の高いレーザ光源からの複数の波長の光により照明して、高い空間分解能を得る高性能かつ高機能の新しい光学顕微鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学顕微鏡の技術は古く、種々のタイプの顕微鏡が開発されてきた。また、近年では、レーザ技術および電子画像技術をはじめとする周辺技術の進歩により、更に高機能の顕微鏡システムが開発されている。
【0003】
このような背景の中、複数波長の光で試料を照明することにより発する二重共鳴吸収過程を用いて、得られる画像のコントラストの制御のみならず化学分析も可能にした高機能な顕微鏡が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この顕微鏡は、二重共鳴吸収を用いて特定の分子を選択し、特定の光学遷移に起因する吸収および蛍光を観測するものである。この原理について、図3〜図6を参照して説明する。図3は、試料を構成する分子の価電子軌道の電子構造を示すもので、先ず、図3に示す基底状態(S0状態)の分子がもつ価電子軌道の電子を波長λ1の光により励起して、図4に示す第1電子励起状態(S1状態)とする。次に、別の波長λ2の光により同様に励起して図5に示す第2電子励起状態(S2状態)とする。この励起状態により、分子は蛍光あるいは燐光を発光して、図6に示すように基底状態に戻る。
【0005】
二重共鳴吸収過程を用いた顕微鏡法では、図4の吸収過程や図6の蛍光や燐光の発光を用いて、吸収像や発光像を観察する。この顕微鏡法では、最初にレーザ光等により共鳴波長λ1の光で図4のように試料を構成する分子をS1状態に励起させるが、この際、単位体積内でのS1状態の分子数は、照射する光の強度が増加するに従って増加する。
【0006】
ここで、線吸収係数は、分子一個当りの吸収断面積と単位体積当たりの分子数との積で与えられるので、図5のような励起過程においては、続いて照射する共鳴波長λ2に対する線吸収係数は、最初に照射した波長λ1の光の強度に依存することになる。すなわち、波長λ2に対する線吸収係数は、波長λ1の光の強度で制御できることになる。このことは、波長λ1および波長λ2の2波長の光で試料を照射し、波長λ2による透過像を撮影すれば、透過像のコントラストは波長λ1の光で完全に制御できることを示している。
【0007】
また、図5の励起状態での蛍光または燐光による脱励起過程が可能である場合には、その発光強度はS1状態にある分子数に比例する。したがって、蛍光顕微鏡として利用する場合には画像コントラストの制御が可能となる。
【0008】
さらに、二重共鳴吸収過程を用いた顕微鏡法では、上記の画像コントラストの制御のみならず、化学分析も可能にする。すなわち、図3に示される最外殻価電子軌道は、各々の分子に固有なエネルギー準位を持つので、波長λ1は分子によって異なることになり、同時に波長λ2も分子固有のものとなる。
【0009】
ここで、従来の単一波長で照明する場合でも、ある程度特定の分子の吸収像あるいは蛍光像を観察することが可能であるが、一般にはいくつかの分子における吸収帯の波長領域は重複するので、試料の化学組成の正確な同定までは不可能である。
【0010】
これに対し、二重共鳴吸収過程を用いた顕微鏡法では、波長λ1および波長λ2の2波長により吸収あるいは発光する分子を限定するので、従来法よりも正確な試料の化学組成の同定が可能となる。また、価電子を励起する場合、分子軸に対して特定の電場ベクトルをもつ光のみが強く吸収されるので、波長λ1および波長λ2の偏光方向を決めて吸収または蛍光像を撮影すれば、同じ分子でも配向方向の同定まで可能となる。
【0011】
また、最近では、二重共鳴吸収過程を用いて回折限界を越える高い空間分解能をもつ蛍光顕微鏡も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
図7は、分子における二重共鳴吸収過程の概念図で、基底状態S0の分子が、波長λ1の光で第1電子励起状態であるS1に励起され、更に波長λ2の光で第2電子励起状態であるS2に励起されている様子を示している。なお、図7はある種の分子のS2からの蛍光が極めて弱いことを示している。
【0013】
図7に示すような光学的性質を持つ分子の場合には、極めて興味深い現象が起きる。図8は、図7と同じく二重共鳴吸収過程の概念図で、横軸のX軸は空間的距離の広がりを表わし、波長λ2の光を照射した空間領域A1と波長λ2の光が照射されない空間領域A0とを示している。
【0014】
図8において、空間領域A0では波長λ1の光の励起によりS1状態の分子が多数生成され、その際に空間領域A0からは波長λ3で発光する蛍光が見られる。しかし、空間領域A1では、波長λ2の光を照射したため、S1状態の分子のほとんどが即座に高位のS2状態に励起されて、S1状態の分子は存在しなくなる。このような現象は、幾つかの分子により確認されている。これにより、空間領域A1では、波長λ3の蛍光は完全になくなり、しかもS2状態からの蛍光はもともとないので、空間領域A1では蛍光自体が完全に抑制され(蛍光抑制効果)、空間領域A0からのみ蛍光が発することになる。
【0015】
このことは、顕微鏡の応用分野から考察すると、極めて重要な意味を持っている。すなわち、従来の走査型レーザ顕微鏡等では、レーザ光を集光レンズによりマイクロビームに集光して観察試料上を走査するが、その際のマイクロビームのサイズは、集光レンズの開口数と波長とで決まる回折限界となり、原理的にそれ以上の空間分解能は期待できない。
【0016】
ところが、図8の場合には、波長λ1と波長λ2との2種類の光を空間的に上手く重ね合わせて、波長λ2の光の照射により蛍光領域を抑制することで、例えば波長λ1の光の照射領域に着目すると、蛍光領域を集光レンズの開口数と波長とで決まる回折限界よりも狭くでき、実質的に空間分解能を向上させることが可能となる。したがって、この原理を利用することで、回折限界を越える二重共鳴吸収過程を用いた超解像顕微鏡、例えば蛍光顕微鏡を実現することが可能となる。
【0017】
さらに、顕微鏡の超解像性を高めるため、超解像顕微鏡の機能を十分に活かすための蛍光ラベラー分子や、利用する波長λ1および波長λ2の2つの光の試料への照射タイミング等が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この先行技術では、少なくとも基底状態を含む3つの量子状態を有し、第1電子励起状態を除く高位のエネルギー状態から基底状態へ脱励起するときの遷移が蛍光による緩和過程よりも熱緩和過程が支配的である各種分子を染色する蛍光ラベラー分子と、生化学的な染色技術を施した生体分子とを化学結合させた試料を、染色する分子を励起する波長λ1の光でS1状態に励起し、続いて波長λ2の光により即座に高位の量子準位に励起することで、S1状態からの蛍光を抑制するようにしている。このように分子の光学的性質を利用して、空間的な蛍光領域を人為的に抑制することで、空間分解能の向上を図ることができる。
【0018】
このような分子の光学的性質は、量子化学的な立場から説明することができる。すなわち、一般に、分子はそれを構成する各原子がσまたはπ結合によって結ばれている。言い換えると、分子の分子軌道は、σ分子軌道またはπ分子軌道を有していて、これらの分子軌道に存在する電子が各原子を結合する重要な役割を担っている。そのなかでも、σ分子軌道の電子は各原子を強く結合し、分子の骨格である分子内の原子間距離を決めている。これに対して、π分子軌道の電子は各原子の結合にほとんど寄与しないで、むしろ分子全体に極めて弱い力で束縛されている。
【0019】
多くの場合、σ分子軌道にいる電子を光で励起すると、分子の原子間隔が大きく変化し、分子の解離を含む大きな構造変化が起こる。その結果、原子の運動エネルギーや構造変化のために、光が分子に与えたエネルギーのほとんどが熱エネルギーに変化する。したがって、励起エネルギーは蛍光という光の形態では消費されない。また、分子の構造変化は極めて高速(ピコ秒より短い)に起こるので、その過程で仮に蛍光が起きてもその寿命が極めて短い。
【0020】
これに対し、π分子軌道の電子は、励起しても分子の構造自体はほとんど変化せず、高位の量子的な離散準位に長時間とどまり、ナノ秒オーダで蛍光を放出して脱励起する性質を有している。
【0021】
量子化学によれば、分子がπ分子軌道をもつことと、二重結合をもつこととは同等であり、用いる蛍光ラベラー分子には、二重結合を豊富にもつ分子を選定することが必要条件となる。このことは、二重結合をもつ分子でもベンゼンやピラジン等の6員環分子において、S2励起状態からの蛍光が極めて弱いことが確かめられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0022】
したがって、ベンゼンやピラジン等の6員環分子を含む分子を蛍光ラベラー分子として選定すれば、S1状態からの蛍光寿命が長く、しかも光励起によりS1状態からS2状態に励起することで、分子からの蛍光を容易に抑制できるので、超解像性を効果的に利用することができる。すなわち、これら蛍光ラベラー分子により染色して観察を行なえば、高空間分解能で試料の蛍光像を観察することができるのみならず、その分子の側鎖の化学基を調整することにより、生体試料の特定の化学組織のみを選択的に染色できるので、試料の詳細な化学組成までも分析可能となる。
【0023】
また、一般に、二重共鳴吸収過程は2つ光の波長や偏光状態等が特定の条件を満たすときにのみ起こるので、これを用いることで分子の構造を非常に詳細に知ることができる。すなわち、光の偏光方向と分子の配向方向とは強い相関関係があり、2つ波長の光のそれそれの偏光方向と分子の配向方向とが特定の角度をなすとき、二重共鳴吸収過程が強く起こる。したがって、2つ波長の光を試料に同時に照射して、それぞれの光りの偏光方向を回転することにより、蛍光の消失の程度が変化するので、その様子から観測しようとする組織の空間配向の情報も得ることができる。このことは、2つ光の波長を調整することでも可能である。
【0024】
以上のように、特許文献3に記載の技術によると、超解像性以外にも、高い分析能力を有していることがわかる。さらに、波長λ1と波長λ2との2つの光の照射タイミングを工夫することで、S/Nを改善し、かつ蛍光抑制を効果的に起こすことができ、超解像性をより効果的に発現することが可能となる。
【0025】
このような超解像顕微鏡法の具体例として、蛍光ラベラー分子をS0状態からS1状態へ励起する波長λ1の光(特にレーザ光)をポンプ光とし、S1状態からS2状態へ励起する波長λ2の光をイレース光として、図9に示すように、光源81からポンプ光を、光源82からイレース光をそれぞれ放射させ、ポンプ光はダイクロイックミラー83で反射させた後、輪帯光学系84により試料85上に集光させ、イレース光は位相板86で中空ビーム化した後、ダイクロイックミラー83を透過させてポンプ光と空間的に重ね合わせて輪帯光学系84により試料85上に集光させるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0026】
この顕微鏡によると、イレース光の強度がゼロとなる光軸近傍以外の蛍光は抑制されるので、結果的にポンプ光の広がりより狭い領域(Δ<0.61・λ1/NA、NAは輪帯光学系84の開口数)に存在する蛍光ラベラー分子のみが観察されることになり、結果的に超解像性が発現することになる。なお、イレース光を中空ビーム化する位相板86は、例えば、図10に示すように、光軸に対して点対称な位置で位相差πを与えるように構成したものや、液晶面を用いた液晶空間変調器を用いることができる。
【0027】
【特許文献1】
特開平8−184552号公報
【特許文献2】
特開2001−100102号公報
【特許文献3】
特開平11−95120号公報
【特許文献4】
特開2001−272345号公報
【非特許文献1】
M.Fujii et.al.Chem.Phys.Lett.171(1990)341
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来提案されている超解像蛍光顕微鏡は、観察性能上の各種機能に優れている。しかし、かかる顕微鏡では、異なる波長の2色のレーザ光源を用いることから、顕微鏡の性能を十分に発揮させるためには、光源の更なる安定性が要求される。すなわち、超解像現象の発現の度合いは、イレース光とポンプ光とが試料上でいかに位置ずれなくオーバーラップして集光するかにかかっている。特に、光源としてパルス発振型レーザを用いる場合には、レーザショット毎にポンプ光の光軸とイレース光の光軸とが独立して変動してしまうと、本来、蛍光を抑制してはいけない領域からの蛍光をも抑制してしまうこととなって、解像度が向上せず、むしろ蛍光強度が低下して画質が悪くなるという弊害が生じることになる。
【0029】
以下、超解像蛍光顕微鏡を図11に示すように構成した場合を例にとって説明する。図11に示す超解像蛍光顕微鏡は、上記の特許文献2に開示されているもので、ローダミン6Gで染色された試料100を観察するものである。この顕微鏡では、モードロック型のNd:YAGレーザ101から出射される波長1064nmのレーザ光をベータ硼酸バリウム(BBO)結晶からなる波長変換素子102により2倍高調波の波長532nmのレーザ光に波長変換し、このレーザ光をハーフミラー103で透過光と反射光との二光路に分岐して、その透過光をポンプ光としてダイクロイックミラー104および105を順次透過させた後、対物レンズ106により二次元移動ステージ107上に載置された試料100に集光させるようにしている。
【0030】
また、ハーフミラー103での反射光は、反射ミラー108で反射させた後、Ba(NO32 結晶からなるラマンシフタ109で波長599nmのレーザ光に波長変換し、このレーザ光をイレース光として反射ミラー110で反射させた後、位相板111により中空ビームに整形し、さらにダイクロイックミラー104によりポンプ光と同軸上に揃えて、ダイクロイックミラー105を経て対物レンズ106により試料100に集光させるようにしている。
【0031】
一方、試料100からの蛍光は、対物レンズ106を経てダイクロイックミラー105で反射させた後、蛍光集光レンズ112、シャープカットフィルタ113およびピンホール114を経てフォトマル115で受光するようになっている。なお、試料100に投射されるポンプ光およびイレース光は、フォトマル116で受光され、その出力に基づいてNd:YAGレーザ101から出射されるレーザ光の強度が一定となるように制御されるようになっている。
【0032】
かかる構成の超解像蛍光顕微鏡においては、特にNd:YAGレーザ101をパルス発振させる場合に、以下のような問題が生じる。
1)パルス発振毎に、レーザ光の光軸が揺らぐ。
2)レーザ光の波面が乱れているため、空間変調による形状整形を前提とするイレース光には適用し難い。
【0033】
特に、上記1)に関しては、長い光路でレーザ光をガイドすると、空気の揺らぎでもレーザ光の光軸が変動して、集光点における位置安定性が更に悪くなる。このため、最悪の場合、ポンプ光の集光領域とイレース光の集光領域とがオーバーラップせず、超解像の効果が全く現れなくなることがあり得る。
【0034】
この1)の問題の解決方法として、光ファイバを用いてパルスレーザ光を伝達することが考えられる。しかしながら、パルスレーザの場合には、連続発振型のレーザいわゆるCWレーザとは異なり、レーザ光の時間平均の光強度は小さいものの、パルス尖頭値はメガワットにも及ぶことがあるため、光ファイバの入射端面が焼損したり、光ファイバ内で誘導ラマン光が発生したりする等の問題がある。特に、誘導ラマン光が発生すると、その光が試料からの蛍光信号を観測する際のバックグラウンドとなって顕微鏡画像の画質が劣化することになる。
【0035】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の主たる目的は、良好な波面を保ちつつ、かつ第1の光と第2の光とを光軸変動を生じることなく試料に照射でき、常に安定して超解像現象を発現できる顕微鏡を提供することにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1に係る発明は、第1の光源からの第1の光と第2の光源からの第2の光とを、重ね合わせ光学系により一部分重ね合わせて集光光学系により試料に集光させて、上記試料の光応答を光検出器で検出するようにした顕微鏡において、
上記第1の光源または第2の光源の少なくとも一方からの上記第1の光または第2の光を、上記第1の光源側または第2の光源側から順に配置した空間フィルタ、光ファイバおよびコリメータレンズを有する光ファイバ光学系を経て均一平面波として上記重ね合わせ光学系に導くよう構成したことを特徴とするものである。
【0037】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の顕微鏡において、上記第1の光源または第2の光源の少なくとも一方がパルス光源であることを特徴とするものである。
【0038】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の顕微鏡において、上記第1の光の波長は、少なくとも基底状態を含む3つの電子状態を有する分子を含む試料の上記分子を、基底状態から第1電子励起状態へ遷移させる共鳴吸収波長帯域内にあり、
上記第2の光の波長は、上記分子を第1電子励起状態から、よりエネルギー準位の高い他の電子状態へ遷移させる共鳴吸収波長帯域内にあることを特徴とするものである。
【0040】
請求項に係る発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の顕微鏡において、上記光ファイバ光学系は、上記光ファイバと上記重ね合わせ光学系との間に配置した上記第1の光または第2の光を透過する波長分散素子を有することを特徴とするものである。
【0041】
先ず、本発明の原理について説明する。例えば、末松・伊賀著:「光ファイバ通信入門」オーム社(1979年)にも記載されているように、シングルモード光ファイバに、光ファイバ内で条件を満たす波長の光が入射すると、均一な波面が伝搬して、出射端面から波面が完全に揃った球面波が出射される。したがって、この光を、例えばレンズによりコリメートすれば、波面の均一な平行光を生成でき、また、この波面の揃った平行光を位相板や液晶型の光空間変調器により中空ビーム化すれば、理想的な中空状のイレース光を得ることが可能となる。しかも、このように光ファイバを用いる光学系では、光ファイバの出射端部を機械的に固定すれば、光軸の揺らぎは原理的に生じないという特徴がある。
【0042】
ところが、レーザ光源から出射される例えばパルス光は、空間モードが非常に悪く、いわゆる波面の揃ったガウシアンプロファイルとはならないと共に、発散角(ダイバージェンス)も種々の角度を持っているため、レンズで集光しても回折限界まで絞り込めないが普通である。例えば、波長600nmの光に対しては、コア径が5μm程度の光ファイバが対応するが、この場合のパルス光の集光径は、光ファイバのコア径よりも遥かに大きくなる。
【0043】
超解像顕微鏡法では、特に、イレース光の強度が大きい方が好ましいが、勢い光ファイバの出射端面から強度の大きいイレース光を取り出そうとすると、光ファイバの入射端面に入射させるレーザ光も強くする必要がある。この際、臨界角以下の浅い角度で入射端面に集光した光は、微量の減衰はあるものの、ほぼ100%に近い効率で出射端面から取り出すことができるが、それ以外の光は光ファイバの入射端面で散乱されて光ファイバを透過できない。しかも、この部分には常時強い光が照射されるので、焼けによる損傷が発生して、光ファイバの入射端面全体が焦げてしまう。これは、パルスレーザ光の大半を占める高次のモードが、光ファイバのコア径内に絞りきれなかったのが原因である。
【0044】
そこで本発明の好適一実施の形態では、空間フィルタを有して光ファイバ光学系を構成し、レーザ光源からのレーザ光を、空間フィルタを介して光ファイバに入射させる。具体的には、図1に示すように、空間フィルタ1を集光レンズ2、ピンホール3、コリメータレンズ4、および集光レンズ5をもって構成し、レーザ光源からのレーザ光を集光レンズ2でピンホール3に集光させ、ピンホール3で回折された光をコリメータレンズ4でコリメートした後、シングルモード光ファイバ6の取り込み立体角と整合させて、集光レンズ5により光ファイバ6の入射端面に再び集光させる。なお、ピンホール3のサイズは、集光レンズ2の焦点距離と入射するレーザ光のビーム径とによって決まる回折限界の大きさを目安に設定する。
【0045】
このようにすれば、光ファイバ6のコア内に集光した全ての光を取り込んで、球面波として取り出すことが可能となる。しかも、光ファイバ端面の焼けの原因となる余分な光は、空間フィルタ1のピンホール3でカットされるので、測定の最中に光ファイバ6が焦げて使えなくなることもなくなる。したがって、高強度の光ファイバ出射光を取り出すために、レーザ光自体の強度を高くしても、光ファイバ6を焼損することがなくなる。
【0046】
また、光ファイバ内で発生する誘導ラマン光については、非常に単純なフィルタ光学系を適用することで対処することができる。例えば、上記特許文献4に記載の超解像蛍光顕微鏡では、一般に、試料からの蛍光を検出する検出器の前方にポンプ光およびイレース光の波長成分をカットするノッチフィルタが配置されているので、光ファイバ内で誘導ラマン光が発生する場合には、このノッチフィルタの通過阻止波長帯域内に誘導ラマン光の発光スペクトル帯域が位置するように、ノッチフィルタを構成する。
【0047】
あるいは、光ファイバの出射端側に、所望の波長のポンプ光またはイレース光を透過する波長分散素子を配置して光ファイバ光学系を構成する。なお、波長分散素子は、狭帯域のバンドパスフィルタ、多層膜を用いた干渉フィルタ、回折格子等を用いることができる。
【0048】
本発明の好適一実施の形態では、誘導ラマン光をより確実にカットするため、ポンプ光またはイレース光を伝達する光ファイバの出射端面側に、波長分散素子としてポンプ光またはイレース光の波長を中心波長とする狭帯域のバンドパスフィルタを配置して光ファイバ光学系を構成し、光ファイバから出射されてバンドパスフィルタを透過したポンプ光またはイレース光を試料に投射する。さらに、試料からの発光を受光する検出器の前方には、上記のバンドパスフィルタの通過波長帯域よりも広い通過阻止波長帯域を有するノッチフィルタを配置して、このノッチフィルタを透過した光を検出器で受光するようにする。
【0049】
このようにすれば、光ファイバで発生した誘導ラマン光のみならず、ポンプ光およびイレース光が検出器に入射するのを確実に防止して、試料からの蛍光のみを受光できるので、顕微鏡画像のバックグラウンドを低減することが可能となる。なお、検出器の前方に配置するノッチフィルタは、例えば、直入射設計の誘電体多層膜ミラー等を用いることができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による顕微鏡の一実施の形態について、図2を参照して詳細に説明する。
【0051】
図2は本発明の一実施の形態における顕微鏡の光学系の要部構成を示す図である。本実施の形態の顕微鏡は、レーザ走査型の超解像蛍光顕微鏡で、ローダミン6Gで染色された生体試料を観察するものである。
【0052】
ここで、ローダミン6Gは、530nmの励起波長帯域で基底状態(S0)から第1電子励起状態(S1)への励起による吸収が最大となる。また、第1電子励起状態(S1)から、よりエネルギー的に高い高位の電子励起状態に励起できる吸収帯が、波長600〜650nmの領域に存在する。
【0053】
そこで、本実施の形態では、第1の光源としてパルスNd:YAGレーザ11を用い、その2倍高調波(532nm)をポンプ光(第1の光)として用いる。また、第2の光源は、パルスNd:YAGレーザ12とBa(NO結晶からなるラマンシフタ13とを有し、パルスNd:YAGレーザ12の2倍高調波をラマンシフタ13で波長599nmのレーザ光に波長変換するように構成して、この波長599nmのレーザ光をイレース光(第2の光)として用いる。
【0054】
なお、パルスNd:YAGレーザ11および12は、レーザ共振器の設計パラメータの調整により、MHzオーダの繰り返し周波数で、ピコ秒のレーザパルスを発振することができる。例えば、スイス:Time-Bandwidth社製のGE−100シリーズは、標準仕様で、100MHzの繰り返し周波数において、パルス幅:6psecのパルス光を平均出力50mWで発振することができる。これは、1パルスの持つエネルギーが、500pJに対応する。また、共振器を設計変更することで、繰り返し周波数を、25MHz〜1GHzの間で調整することができる。
【0055】
パルスNd:YAGレーザ11からのポンプ光は、ポンプ光用光ファイバ光学系15を経て重ね合わせ光学系を構成するキューベット型のハーフミラーからなるビームコンバイナ16に入射させる。ポンプ光用光ファイバ光学系15は、図1に示した空間フィルタを有する光結合部21と、偏波面保存シングルモードファイバ22と、コリメータレンズ23と、波長分散素子である中心波長532nmの狭帯域のバンドパスフィルタ24とを有して構成し、パルスNd:YAGレーザ11からのポンプ光を、光結合部21を介して偏波面保存シングルモードファイバ22のコアに入射させて伝播させ、この偏波面保存シングルモードファイバ22から出射されるポンプ光を、コリメータレンズ23により平行光にビーム整形した後、バンドパスフィルタ24を経てビームコンバイナ16に入射させる。なお、バンドパスフィルタ24は、例えば誘電体多層膜により形成された中心波長532nm、通過波長帯域幅1nmの市販のナローバンドフィルタ(例えば、米国Barr Associates Inc.製)を用いることができる。
【0056】
このように、パルスNd:YAGレーザ11からのポンプ光を、図1に示した空間フィルタを有する光結合部21を介して偏波面保存シングルモードファイバ22に入射させれば、空間フィルタにより球面波成分のみを選別して偏波面保存シングルモードファイバ22に入射させることができるので、偏波面保存シングルモードファイバ22からの出射光をコリメータレンズ23で平行光に変換することにより、均一平面波のポンプ光を得ることができる。また、このコリメータレンズ23からのポンプ光を、中心波長532nmの狭帯域のバンドパスフィルタ24に入射させれば、偏波面保存シングルモードファイバ22内で誘導ラマン光が発生しても、これをバンドパスフィルタ24で通過を阻止でき、所望の波長(532nm)のポンプ光を得ることができる。
【0057】
一方、ラマンシフタ13からのイレース光は、イレース光用光ファイバ光学系25を経て図10に示したような位相板26に入射させ、ここで中空ビーム化してビームコンバイナ16に入射させてポンプ光と同軸上に合成する。イレース光用光ファイバ光学系25は、ポンプ光用光ファイバ光学系15と同様に、図1に示した空間フィルタを有する光結合部27と、偏波面保存シングルモードファイバ28と、コリメータレンズ29と、波長分散素子である中心波長599nmの狭帯域のバンドパスフィルタ30とを有して構成し、ラマンシフタ13からのイレース光を、光結合部27を介して偏波面保存シングルモードファイバ28のコアに入射させて伝播させ、この偏波面保存シングルモードファイバ28から出射されるイレース光を、コリメータレンズ29により平行光にビーム整形した後、バンドパスフィルタ30を経て位相板26に入射させる。なお、バンドパスフィルタ30は、例えば誘電体多層膜により形成された中心波長599nm、通過波長帯域幅1nmのナローバンドフィルタを用いる。
【0058】
このように、ラマンシフタ13からのイレース光を、図1に示した空間フィルタを有する光結合部27を介して偏波面保存シングルモードファイバ28に入射させることにより、偏波面保存シングルモードファイバ28から完全な球面波のイレース光を得ることができ、さらにこの偏波面保存シングルモードファイバ28からの出射光をコリメータレンズ29で平行光に変換することにより、均一平面波のイレース光を得ることができる。また、コリメータレンズ29からのイレース光を、中心波長599nmの狭帯域のバンドパスフィルタ30に入射させることにより、偏波面保存シングルモードファイバ28内で誘導ラマン光が発生しても、これをバンドパスフィルタ30で通過を阻止でき、所望の波長(599nm)のイレース光を得ることができる。
【0059】
ビームコンバイナ16により同軸上に合成されたポンプ光およびイレース光は、キューベット型のハーフミラーからなるビームセパレータ31を透過させた後、互いに直交する軸を中心に揺動可能なガルバノミラー32および33で順次反射させて対物レンズ34によりローダミン6Gで染色された生体試料35の表面に集光させ、その集光点をガルバノミラー32,33の揺動により移動させて試料面上を2次元走査する。なお、図2では、図面を簡略化するために、ガルバノミラー32,33を互いに平行な軸を中心に揺動するように示している。
【0060】
また、ポンプ光およびイレース光の照射により試料35から発する蛍光は、対物レンズ34によりコリメートしたのち、入射光路とは逆の経路を辿って、ガルバノミラー33および32を経てビームセパレータ31に入射させ、該ビームセパレータ31で反射される蛍光を集光レンズ36によりピンホール37に集光させる。
【0061】
ピンホール37は、試料35の蛍光発光点に対して共焦点位置に配置し、このピンホール37を透過した蛍光を、ポンプ光カットノッチフィルタ38およびイレース光カットノッチフィルタ39を透過させて、それぞれポンプ光およびイレース光を除去した後、光検出器である光電子増倍管40で受光して蛍光出力信号を得、この蛍光出力信号を、顕微鏡を制御する図示しないコンピュータのビデオフレームメモリに格納して、試料35の蛍光2次元画像を図示しないモニタにリアルタイムで表示する。なお、ガルバノミラー32,33は、モニタに表示する蛍光2次元画像のビデオレートに同期して揺動させる。
【0062】
ポンプ光カットノッチフィルタ38の通過阻止波長帯域は、ポンプ光用光ファイバ光学系15におけるバンドパスフィルタ24の通過波長帯域よりも広くする。同様に、イレース光カットノッチフィルタ39の通過阻止波長帯域も、イレース光用光ファイバ光学系25におけるバンドパスフィルタ30の通過波長帯域よりも広くする。なお、これらポンプ光カットノッチフィルタ38およびイレース光カットノッチフィルタ39は、ポンプ光およびイレース光を含む波長帯域の光の通過を阻止する市販の1枚のフィルタ(例えば、米国Barr Associates Inc.製)をもって構成することもできる。
【0063】
以上のように、本実施の形態では、パルスNd:YAGレーザ11からのポンプ光を、ポンプ光用光ファイバ光学系15を経てビームコンバイナ16に入射させると共に、ラマンシフタ13からのイレース光を、イレース光用光ファイバ光学系25を経て位相板26に入射させ、ここで中空ビーム化してビームコンバイナ16に入射させてポンプ光と同軸上に合成するようにしたので、ポンプ光およびイレース光を光軸の揺らぎを生じることなく、試料面上でオーバーラップさせることができ、超解像効果を確実に得ることができる。また、パルスNd:YAGレーザ11や、パルスNd:YAGレーザ12およびラマンシフタ13を、対物レンズ34を有する光学ベンチとは別体に配置できるので、顕微鏡設計の自由度を広くできる利点もある。
【0064】
また、ポンプ光用光ファイバ光学系15には、偏波面保存シングルモードファイバ22の入射端面側に空間フィルタを設け、出射端面側にコリメータレンズ23を設けたので、完全な球面波のポンプ光を取り出して均一平面波に変換することができると共に、光ファイバ端面の焼けの原因となる余分な光をカットすることができる。同様に、イレース光用光ファイバ光学系25には、偏波面保存シングルモードファイバ28の入射端面側に空間フィルタを設け、出射端面側にコリメータレンズ29を設けたので、完全な球面波のイレース光を取り出して均一平面波に変換することができると共に、光ファイバ端面の焼けの原因となる余分な光をカットすることができる。したがって、特にイレース光においては、位相板26で正確に中空ビーム化することができ、超解像性を確実に発現できると共に、高強度のイレース光を取り出すために、レーザ光自体の強度を高くしても、偏波面保存シングルモードファイバ28を焼損することがなくなる。
【0065】
また、ポンプ光用光ファイバ光学系15には、偏波面保存シングルモードファイバ22の出射端面側に狭帯域のバンドパスフィルタ24を設けて所望の波長のポンプ光のみを透過させるようにし、同様に、イレース光用光ファイバ光学系25には、偏波面保存シングルモードファイバ28の出射端面側に狭帯域のバンドパスフィルタ30を設けて所望の波長のイレース光のみを透過させるようにしたので、偏波面保存シングルモードファイバ22,28内で誘導ラマン光が発生しても、その通過を確実に阻止することができる。したがって、誘導ラマン光が試料35からの蛍光信号を観測する際のバックグラウンドとなるのを防止することができる。しかも、本実施の形態では、光電子増倍管40の前方にバンドパスフィルタ24の通過波長帯域よりも広い通過阻止波長帯域のポンプ光カットノッチフィルタ38、およびバンドパスフィルタ30の通過波長帯域よりも広い通過阻止波長帯域のイレース光カットノッチフィルタ39を配置しているので、偏波面保存シングルモードファイバ22,28で発生した誘導ラマン光のみならず、ポンプ光およびイレース光が光電子増倍管40に入射するのを確実に防止して、試料35からの蛍光のみを受光できるので、画質の良好な顕微鏡画像を得ることができる。
【0066】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、偏波面保存シングルモードファイバ22や28内で誘導ラマン光が発生する場合において、その誘導ラマン光の発光スペクトル帯域がポンプ光カットノッチフィルタ38やイレース光カットノッチフィルタ39の通過阻止波長帯域内にあるときは、バンドパスフィルタ24や30を省略することができる。また、イレース光を中空ビームにビーム整形する位相変調素子は、上述した位相板に限らず、液晶空間光変調器や他の公知の素子を使用することができる。さらに、上記実施の形態では、ポンプ光およびイレース光をパルス光としたが、そのいずれか一方または双方が連続波の場合にも、本発明を有効に適用することができる。
【0067】
付記項
1.第1の光源からの第1の光と第2の光源からの第2の光とを、重ね合わせ光学系により一部分重ね合わせて集光光学系により試料に集光させて、上記試料の光応答を光検出器で検出するようにした顕微鏡において、
上記第1の光源または第2の光源の少なくとも一方からの上記第1の光または第2の光を、光ファイバおよびコリメータレンズを有する光ファイバ光学系を経て均一平面波として上記重ね合わせ光学系に導くよう構成したことを特徴とする顕微鏡。
2.上記第1の光源または第2の光源の少なくとも一方がパルス光源であることを特徴とする付記項1に記載の顕微鏡。
3.上記第1の光の波長は、少なくとも基底状態を含む3つの電子状態を有する分子を含む試料の上記分子を、基底状態から第1電子励起状態へ遷移させる共鳴吸収波長帯域内にあり、
上記第2の光の波長は、上記分子を第1電子励起状態から、よりエネルギー準位の高い他の電子状態へ遷移させる共鳴吸収波長帯域内にあることを特徴とする付記項1または2に記載の顕微鏡。
4.上記光ファイバ光学系は、上記光ファイバと上記第1の光源または第2の光源との間に配置した空間フィルタを有することを特徴とする付記項1〜3のいずれか一項に記載の顕微鏡。
5.上記光ファイバ光学系は、上記光ファイバと上記重ね合わせ光学系との間に配置した上記第1の光または第2の光を透過する波長分散素子を有することを特徴とする付記項1〜4のいずれか一項に記載の顕微鏡。
6.上記光検出器の前方に、上記試料の光応答による発光を通過させ、上記第1の光または第2の光の通過を阻止するノッチフィルタを配置したことを特徴とする付記項1〜5のいずれか一項に記載の顕微鏡。
7.上記光ファイバ光学系は、上記光ファイバと上記重ね合わせ光学系との間に配置した上記第1の光または第2の光を透過する波長分散素子を有し、上記光検出器の前方には、上記試料の光応答による発光を通過させ、上記第1の光または第2の光の通過を阻止するノッチフィルタを配置し、かつ上記ノッチフィルタの通過阻止波長帯域を上記波長分散素子の通過波長帯域よりも広くしたことを特徴とする付記項1〜4のいずれか一項に記載の顕微鏡。
8.上記波長分散素子は、バンドパスフィルタからなることを特徴とする付記項5または7に記載の顕微鏡。
9.上記ノッチフィルタは、多層膜波長分散素子からなることを特徴とする付記項6または7に記載の顕微鏡。
10.上記ノッチフィルタは、直入射型の多層膜反射鏡からなることを特徴とする付記項6または7に記載の顕微鏡。
【0068】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、第1の光源からの第1の光または第2の光源からの第2の光の少なくとも一方を、第1の光源側または第2の光源側から順に配置した空間フィルタ、光ファイバおよびコリメータレンズを有する光ファイバ光学系を経て均一平面波とし、これら第1の光および第2の光を重ね合わせ光学系により一部分重ね合わせて集光光学系により試料に集光させて、試料の光応答を光検出器で検出するようにしたので、良好な波面を保ちつつ、かつ第1の光と第2の光とを光軸変動を生じることなく試料に照射でき、常に安定して超解像現象を発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原理を説明するための図である。
【図2】 本発明の一実施の形態における顕微鏡の光学系の要部構成を示す図である。
【図3】 試料を構成する分子の価電子軌道の電子構造を示す概念図である。
【図4】 図3の分子の第1電子励起状態を示す概念図である。
【図5】 同じく、第2電子励起状態を示す概念図である。
【図6】 同じく、第2電子励起状態から基底状態に戻る状態を示す概念図である。
【図7】 分子における二重共鳴吸収過程を説明するための概念図である。
【図8】 同じく、二重共鳴吸収過程を説明するための概念図である。
【図9】 従来の超解像顕微鏡の一例の構成を示す図である。
【図10】 図9に示す位相板の構成を示す平面図である。
【図11】 従来の超解像顕微鏡の他の例の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 空間フィルタ
2 集光レンズ
3 ピンホール
4 コリメータレンズ
5 集光レンズ
6 シングルモード光ファイバ
11,12 パルスNd:YAGレーザ
13 ラマンシフタ
15 ポンプ光用光ファイバ光学系
16 ビームコンバイナ
21,27 光結合部
22,28 偏波面保存シングルモードファイバ
23,29 コリメータレンズ
24,30 バンドパスフィルタ
25 イレース光用光ファイバ光学系
26 位相板
31 ビームセパレータ
32,33 ガルバノミラー
34 対物レンズ
35 試料
36 集光レンズ
37 ピンホール
38 ポンプ光カットノッチフィルタ
39 イレース光カットノッチフィルタ
40 光電子増倍管

Claims (4)

  1. 第1の光源からの第1の光と第2の光源からの第2の光とを、重ね合わせ光学系により一部分重ね合わせて集光光学系により試料に集光させて、上記試料の光応答を光検出器で検出するようにした顕微鏡において、
    上記第1の光源または第2の光源の少なくとも一方からの上記第1の光または第2の光を、上記第1の光源側または第2の光源側から順に配置した空間フィルタ、光ファイバおよびコリメータレンズを有する光ファイバ光学系を経て均一平面波として上記重ね合わせ光学系に導くよう構成したことを特徴とする顕微鏡。
  2. 上記第1の光源または第2の光源の少なくとも一方がパルス光源であることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
  3. 上記第1の光の波長は、少なくとも基底状態を含む3つの電子状態を有する分子を含む試料の上記分子を、基底状態から第1電子励起状態へ遷移させる共鳴吸収波長帯域内にあり、
    上記第2の光の波長は、上記分子を第1電子励起状態から、よりエネルギー準位の高い他の電子状態へ遷移させる共鳴吸収波長帯域内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の顕微鏡。
  4. 上記光ファイバ光学系は、上記光ファイバと上記重ね合わせ光学系との間に配置した上記第1の光または第2の光を透過する波長分散素子を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の顕微鏡。
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