JP4233423B2 - 定量方法及びスペクトル測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スペクトル吸光度を用いた定量方法、特にフーリエ変換型赤外分光光度計等のスペクトル測定装置における定量方法及びその装置の改良に関する。
赤外吸収スペクトルの測定は、試料の定性分析、定量分析に利用されており、試料濃度の定量分析は次の式を基礎として行なわれている。
log(I/I)=εcl
ここで、Iは入射光の強度、Iは透過光の強度、εは吸光係数、lが試料の厚み、cが試料の濃度を示している。I/Iを透過度と呼び、その逆数の常用対数、A=log(I/I)、が吸光度と呼ばれる量である。
目的物質の標準物質に対して、複数の濃度で吸光度を測定し、横軸を標準物質の濃度、縦軸を吸光度にとった検量線を作成し、定量分析を行なう。上式から分かるように吸光度は濃度に比例することから、原理的には検量線は直線となる。
しかしながら、赤外分光光度計では、分光手段としてマイケルソン干渉計を用いたフーリエ変換赤外分光法(FT/IR)が主に用いられているが、このFT/IRで測定を行なったとき、線幅の狭い吸収帯の縦軸値が、低分解能測定では試料濃度に関係なく吸光度がある一定値で飽和するという現象が起こる。
この現象の原因は特定されておらず、低分解測定では直線関係にない検量線のままで定量分析を行っているというのが現状である。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、吸光度と試料濃度の間の比例関係を回復するための検量方法を提供することにある。
上記の現象について本発明者らが検討を行なった結果、縦軸直線性の歪みは、吸収帯の線幅に対して測定分解能が低すぎることで振幅情報が欠落したことが原因であることを突き止めた。
つまり、分解能が低い装置では干渉計の最大光路差が十分大きくないため、インターフェログラムの持つ振幅情報の一部を落としてしまう。その結果、測定分解能に比べ、ピーク幅の小さい吸収スペクトルに対しては、そのピーク高さが欠落した振幅情報の分だけ小さくなってしまう。このピーク高さの減少は、元のピーク高さ、つまり、干渉計の最大光路差が無限大としたときに得られるはずのピーク高さ、に応じて一定割合で減少する。吸光度を算出する際には、対数変換を行なう必要があるが、上記のようにピーク高さに一定割合の誤差が含まれると、吸光度値での誤差は一定割合とはならず非線形な誤差を生じる。つまり、吸光度値は透過率が小さい極限では一定値に漸近することになる。以上が、本発明者によって究明された縦軸直線性の歪みの原因である。
また、上記のピーク値の減少の割合値(以下では、縦軸係数と呼ぶ)は、吸収ピークの形状及び半値半幅と、干渉計の最大光路差とを与えることで計算可能である。吸収ピークの形状は、一般にローレンツ波形やガウス波形等として扱うことが可能であり、また、ピークの半値半幅も他のデータからある程度推定することは可能である。よって、ピークの形状及び半値半幅を仮定することで、上記の縦軸係数を求めることができ、測定された吸光度から、試料濃度に比例した真の吸光度を求めることが可能となる。
つまり、本発明の検量方法は、試料のインターフェログラムを検出してスペクトル測定を行うフーリエ変換型スペクトル測定装置から得られるスペクトルデータを用いた検量方法において、干渉計の最大光路差が有限値Lのときと、最大光路差が無限としたときとの、ピーク高さの比である縦軸係数aを、測定吸収帯のピーク形状及び半値半幅を仮定することで算出する縦軸係数演算工程と、前記スペクトルデータから得た実測スペクトル吸光度Mを、前記縦軸係数aを用いて下記の数式によって、真のスペクトル吸光度Hに補正する補正工程と、を含むことを特徴とする。
Figure 0004233423
また、本発明のスペクトル測定装置は、試料のインターフェログラムをフーリエ変換することでスペクトルデータを得るフーリエ変換型のスペクトル測定装置において、干渉計の最大光路差が有限値Lのときと、最大光路差が無限としたときとの、ピーク高さの比である縦軸係数aを、測定吸収帯のピーク形状及び半値半幅を仮定することで算出する縦軸係数演算手段と、前記スペクトルデータから得た実測スペクトル吸光度Mを、前記縦軸係数aを用いて下記の数式から、真のスペクトル吸光度Hに補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
Figure 0004233423
本発明の検量方法によれば、縦軸係数aを測定吸収帯のピーク形状及び半値半幅を仮定することで算出し、該縦軸係数aを用いて実測スペクトル吸光度Mを真のスペクトル吸光度Hに補正しているため、吸光度と試料濃度との比例関係が回復する。
また、本発明のスペクトル測定装置によれば、縦軸係数aを算出する縦軸係数演算手段と、該縦軸係数aを用いて、実測スペクトル吸光度Mから真のスペクトル吸光度Hを算出するための補正手段と、を備えているので、試料濃度との比例関係が回復した吸光度が得ることが可能である。
まず、上記課題の欄で述べた現象の原因を特定するために行なったシミュレーションについて説明する。
まず、シミュレーションのためのデータとして、中心を2000点、高さ1で半値半幅600点のガウス波形をした8192点のバックグラウンドデータ(つまり、赤外光源のスペクトルを示している)と、同じく2000点を中心に高さ1で半値半幅5と30点のローレンツ波形を持つ吸収ピークデータと、を作成した。この吸収ピークデータの高さを変化させたものをバックグラウンドデータから減算することでサンプルデータを作成した。図3にそのバックグラウンドデータ(図3上図)と、半値半幅30点の吸収ピークデータをバックグラウンドデータから引いたサンプルデータ(図3下図)を示す。これらのデータを原点を中心に対称に折り返し偶関数としたものを逆フーリエ変換し、インターフェログラムデータを作成する。
作成した片側8192点のインターフェログラムデータを、通常の測定の際に行なうように、アポダイゼーション関数を適用してフーリエ変換を行い、スペクトルの算出を行なう。また、低分解能の場合をシミュレーションするため、上記の片側8192点のインターフェログラムデータの両端をカットし、片側1024点のインターフェログラムデータも作成した。この片側1024点のインターフェログラムデータも上記と同様にフーリエ変換し、スペクトルの算出を行なう。
図4は半値半幅5または30点の吸収ピークの高さを吸光度0.01から3まで変化させて、さらにアポダイゼーション関数と分解能を変化させて得られたそれぞれの場合のピーク高さ(縦軸)と、正しい吸光度値を与えるピーク高さ(横軸)をプロットした結果を示す。図4の上図が半値半幅が5の場合、下図が半値半幅が30の場合を示している。
また、アポダイゼーション関数A(x)として以下の式で表されるBoxcarとCosineを適用した。
Boxcar
A(x)=1 (0≦x≦L),0 (|x|>L)
Cosine
A(x)=[1+cos(πx/L)]/2
ここで、Lは最大光路差を示す。
図4上図の符号410の実線が半値半幅5の8192点のCosineの場合、符号412の実線が半値半幅5の1024点のBoxcarの場合、符号414の実線が半値半幅5の1024点のCosineの場合をそれぞれ示している。また図4下図の符号416の実線が半値半幅30の1024点のBoxcarの場合、符号418の実線が半値半幅5の8192点のCosineの場合、符号420の実線が半値半幅30の1024点のCosineの場合をそれぞれ示している。
縦軸直線性がある場合には傾き1の直線になるはずであるが、半値半幅30の1024点のBoxcarの場合(符号416の実線)を除いてすべて非線形に歪んでいる。半値半幅が小さいものの方が歪みが大きく、さらに、同じ半値半幅ではアポダイゼーション関数としてCosineを用いたものの方が、Boxcarを用いたものよりも歪みが大きいことが分かる。このことから測定やスペクトル算出時のピークのなまりに直線性が歪む原因があると考えられる。
そこで、ピークのなまりの要因を探るため、バックグラウンドデータと吸収データを分離してスペクトル算出を行なった。図5(a)と(e)にバックグラウンドデータとその逆フーリエ変換後のインターフェログラムデータを示す。また、図5(b)と(f)は吸収ピークデータとその逆フーリエ変換後のインターフェログラムデータを示しいる。
バックグラウンドデータはスペクトル面でブロードな形状をしているため、そのインターフェログラムはセンターバースト付近から急激に減衰した振動波形となっている。一方吸収スペクトルデータはスペクトル面で輝線状であるため、そのインターフェログラムの振動波形は急激には減衰しない。図5(g)は図5(e)のインターフェログラムの両端をカットして8分の1にしたもので、それをフーリエ変換をしたものを図5(c)に示す。図5(c)をもとの波形である図5(a)と比較しても、もともとスペクトル形状はブロードなものであったため、違いはほとんどない。
図5(h)は図5(f)のインターフェログラムの両端をカットして8分の1にしたもので、それをフーリエ変換したものを図5(d)に示す。こちらは図5(b)と比較して分解能が劣化しているため線幅が拡がり、さらにピーク高さも小さくなっている。
図5(c)ではピーク高さは変わらないのに、図5(d)ではピーク高さが小さくなっている理由は、インターフェログラムの振幅が十分減衰していない所で打ち切ったことにより振幅情報が欠落したためである。一般に単一スペクトルではインターフェログラムの振動形状がスペクトル形状を、振動波形の周期がスペクトル位置を、そして振動波形の振幅または面積がピーク高さを決める。
例えば、図5(f)の振動波形の絶対値の面積は1.2732であり、図5(h)の面積は1.0945であり、それらの比は0.8596となる。これは図5(d)のピーク高さに等しい。つまり、インターフェログラムの打ち切りによるピーク高さの減少は元のピーク高さに応じて一定割合で減少することになる。
このことは、一見どのピーク高さでも同じ影響を受けるので悪くないようにも思える。しかし、FT/IRでは濃度に対して縦軸直線性を得るためにスペクトル算出時に対数変換を行なっている。このことから、ピーク高さに一定割合の誤差が含まれると吸光度値での誤差は一定値とはならず非線形な誤差を生じることが分かる。つまり、透過率値が小さいほど最終的な誤差は大きくなり、一定割合値を対数変換した値に漸近する。
実際に縦軸値の大きさに応じた一定割合の誤差を導入して対数変換時の誤差を求めたものを図6に示す。図6の横軸が試料濃度、縦軸が吸光度である。一定割合の誤差として図4での半値半幅5の場合の、1024点のインターフェログラムと8192点のインターフェログラムとの面積比を使用した。符号612の実線がBoxcarの場合、符号614の実線がCosineの場合を示している。加えて、符号616の丸印で図4の1024点のBoxcarの場合の結果、符号618の三角印で図4の1024点のCosineの場合の結果、を重ね書きしている。実線とシミュレーションの結果である丸印及び三角印が完全に一致している。
以上のことから縦軸直線性の歪みは、吸収帯の線幅に対して測定分解能が低すぎることで振幅情報が欠落したことが原因であると言える。
以上の原因を理解すると、測定分解能が低すぎるために縦軸値が歪んでしまったものでも元に戻せることが分かる。本発明はその方法を具体的に示したものである。
まず、フーリエ変換型のスペクトル測定装置の簡単な説明をしておく。図2はその概略構成図であり、スペクトル測定装置として赤外分光光度計を用いた場合を示している。図2のスペクトル測定装置210は、赤外光を発する光源212と、該光源212からの赤外光を干渉光とするためのマイケルソン干渉計等からなる干渉計214と、試料216からの透過光を検出するための検出器218とを備えている。
この赤外分光光度計は通常用いられているものと同じものである。つまり、前記干渉計214からの干渉光の光路上に試料216が設置される。該干渉光を試料216に照射し、試料216からの射出光を検出器218で検出することで試料のインターフェログラムを得る。検出器218からの信号は、パーソナルコンピュータ等からなるデータ処理系220へと送られ、そこでインターフェログラムをフーリエ変換することでスペクトルデータが得られる。このスペクトルデータから透過率を求め対数変換することでスペクトル吸光度を得る。
本発明の検量方法は、このようにして得られた実測のスペクトル吸光度から、試料濃度に比例する真のスペクトル吸光度を得るというものである。以下にその検量方法を図1を参照して説明する。
まず、ステップ100(吸光度測定工程)では上記のようにして実測のスペクトル吸光度を測定する。次にステップ110(縦軸係数演算工程)で、干渉計の最大光路差が有限値Lのときと、最大光路差が無限遠としたときとのピーク高さの比である縦軸係数aを算出する。該縦軸係数aは、吸収ピークの形状及び半値半幅を仮定し、測定に使用した装置の干渉計の持つ最大光路差を与えることで算出できる。そして、ステップ120(補正工程)では、実測スペクトル吸光度Mを、前記縦軸係数aを用いて真のスペクトル吸光度Hに補正する。
次に各ステップの詳細を説明する。まず、縦軸係数を算出するステップ110を次の三つのステップ(ステップ112、114、116)に分けて説明する。
初めにステップ112では、測定の対象となる吸収帯のピーク形状及び半値半幅を仮定する。ピーク形状としては、ローレンツ波形、ガウス波形、実際の測定データをフィッティングして得たデータ等、適切な形状を選べばよい。
また、仮定するピーク形状及び半値半幅は、他のデータ、例えば別に高分解測定を行なったときの結果をフィッティングして得たデータ等、から推定できる。
ステップ114では、仮定したピーク形状に対応するインターフェログラムF(x)を取得する。このインターフェログラムは、上記で仮定したピーク形状及び半値半幅と、装置のアポダイゼーション関数とにより求めることができる。
ステップ116では、上記のインターフェログラムF(x)を用いて、下記の式より縦軸係数aを算出する。
Figure 0004233423
ここで、Lは最大光路差、νは吸収帯のピーク位置(波数)である。つまり、最大光路差が無限大という理想的なときのピーク高さと、有限の最大光路差Lを持つ実際のピーク高さの比を求めている。この有限の最大光路差Lは、測定に用いた装置の干渉計によって決まる。また、実際の計算の上では、分母の積分区間は∞(無限大)までではなく十分に大きな値で近似して差し支えない。
ステップ120では、ステップ110で求めた縦軸係数aを用いて、実測のスペクトル吸光度Mから真のスペクトル吸光度を以下の式を用いて算出する。
Figure 0004233423
以上のようにして求められた真のスペクトル吸光度Hは、試料濃度との比例関係を回復したものとなる。よって、真のスペクトル吸光度Hを用いれば、一次式の検量線を作成することができるため、測定分解能や試料濃度に依存しない定量精度を得ることが可能となる。
また、ここで仮定した吸収帯の真のピーク形状は、例えば高分解能測定の結果をフィッティングすることで推定できるため、一度だけ高分解能測定を行ない、次の測定からは低分解能測定を行なうというようにすることで、測定時間を著しく短縮することが可能となる。
また、真のピーク形状が既知であれば低分解能のデータでも縦軸直線性の回復は可能である。すなわち低分解能のデータでも高分解能のデータと同様な検量線の直線性を得ることができる。つまり、高分解能測定が行なえない汎用機でも高級機と同等な精度の定量分析を行なうことが可能である。
さらに、縦軸直線性が回復すれば、原理的には標準試料測定が一点でも検量線の作成を行なうことができる。
次に例として、吸収帯の真のピーク形状をローレンツ波形で半値半幅σと仮定した場合を具体的に説明する。この場合のインターフェログラムF(x)は下記の式のようになる。
Figure 0004233423
ここで、アポダイゼーション関数A(x)はCosineとした。また、xは光路差、νは吸収帯位置、Lは最大光路差を示している。上式から分かるように、インターフェログラムの形状はピーク形状の指数減衰関数、ピーク位置の余弦関数およびアポダイゼーション関数で表すことができる。
このインターフェログラムF(x)を数3に当てはめれば、次の式のように縦軸係数aが求まることとなる。
Figure 0004233423
上式のcos(2πνx)の因子は、cos(2πνx)={1+cos(4πνx)}/2と変形できる。ここで、実際の測定においてのピーク位置νは極低波数ではないので、上記余弦関数の周期は十分に短い。つまり、cos(4πνx)の因子は正負に早く振動するため、その積分値は十分小さくなり、無視することができる。従って、最大光路差Lでインターフェログラムの測定を打ち切ったことによるピーク高さのなまりは、指数減少関数とアポダイゼーション関数A(x)との積を、最大光路差Lまで積分して得られる面積と、無限遠まで積分して得られる面積との比で決まる。つまり、縦軸係数aは以下の式から求まる。
Figure 0004233423
この式を用いて、実際に図6の符号612で示された実線の縦軸値を真値に復元したものが図6で符号610で示された実線である。図6より明らかに完全に直線性が保たれた状態に復元できたことが分かる。
次に本発明のスペクトル測定装置の説明を行なう。図2がその概略構成図である。図2のスペクトル測定装置は、上記の検量方法を実行するため、データ処理系220内に、縦軸係数を算出するための縦軸係数演算手段222と、測定したスペクトルデータから得た実測スペクトル吸光度Mを、前記縦軸係数aを用いて真のスペクトル吸光度Hに補正する補正手段224と、を備えている。次に装置の作用を説明する。
まず、検出器218から得れれたインターフェログラムデータはデータ処理系に送られ、記憶手段226に記憶される。このインターフェログラムデータは、フーリエ変換手段228によって、スペクトルデータとされる。そして、該スペクトルデータから吸光度演算手段230によって、実測のスペクトル吸光度を得る。そして、これらのデータは記憶手段226に記憶される。
次に設定手段232によって、ピーク形状の選択、半値半幅、干渉計の最大光路差、アポダイゼーション関数の選択、等の設定を行なう。設定手段232は、データ処理系220を構成するパーソナルコンピュータの入力装置等からなり、装置の使用者が条件に応じて上記の設定を行ない、設定データは記憶手段226に記憶される。そして、設定手段232による設定に基づき、縦軸係数演算手段222によって縦軸係数aを算出する。縦軸係数の算出は上記の数3を用いて行なえばよい。
補正手段224では、吸光度演算手段によって得られた実測のスペクトル吸光度Mと、前記縦軸係数aから数4の式に従って、真のスペクトル吸光度を算出する。
以上のような構成の結果、低分解能の測定でも試料濃度との比例関係が回復した真のスペクトル吸光度Hを求めることが可能となる。
以上が本発明の説明であるが、検量線の直線性に歪みが生じるという現象の原因を理解したことで、その他の応用も考えられる。以下にそのうちの幾つかを述べる。
必要測定分解能の見積もり
縦軸係数aから一次の検量線による定量精度と測定分解能を見積もることもできる。つまり、実測スペクトル吸光度Mと真のスペクトル吸光度Hの関係を示した式(数4)から、要求される定量精度に必要な縦軸係数aの値を見積もることができる。この縦軸係数aを保証するような最大光路差Lを数3から求めればよい。
例えば、吸光度0〜1の範囲で定量精度1%以上が要求される場合には、aが0.997412以上となる最大光路差Lまでの測定分解能が最低限必要となる。
検量線の対数関数フィッティング
従来では、縦軸直線性の歪みの原因ははっきりと特定されていなかったため、検量線のフィッティングを多項式近似によっておこなっていた。
しかしながら、上記のシミュレーション解析から分かったように、対数関数によってフィッティングを行なう方が正確なことが分かる。
つまり、複数の異なった濃度を持つ標準試料の吸光度を測定し、横軸を試料濃度、縦軸を吸光度としてプロットする。これを対数関数を用いてフィッティングを行なえばよい。
半値半幅の推定
上記では、ピークの半値半幅を仮定して、試料濃度との比例関係を回復した真の吸光度に補正する方法を説明したが、吸光度と試料濃度の直線性からピークの半値半幅を推定することができる。つまり、ピークの関数形は仮定して、ピークの半値半幅σを未知とする。そして、通常の検量線の作成と同様にして、幾つかの異なる濃度を持った試料のスペクトル吸光度を測定する。
次に半値半幅を仮の値に固定し、上記数3より仮の縦軸係数を求める。そして、数4によって、上記複数の実測のスペクトル吸光度から、仮のスペクトル吸光度をそれぞれ求める。
このようにして求められた複数の濃度に対する仮のスペクトル吸光度を用い、仮の検量線を作成する。
以上の手順を半値半幅の値を変化させて行なう。そして仮の検量線の直線性がもっとも回復したときの半値半幅の値を求める。例えば、相関係数を計算して所定の値以上になるときの半値半幅を真の半値半幅の推定値とすればよい。このように、補正式による検量線の直線性の回復を利用して、測定吸収帯の真の半値半幅を推定することができる。
本発明の検量方法の説明図 本発明のスペクトル測定装置の概略構成図 シミュレーションのためのスペクトルデータ シミュレーションデータから得た検量線 ピークなまりの説明図 シミュレーション結果のグラフ
符号の説明
100 吸光度測定工程
110 縦軸係数演算工程
120 補正工程

Claims (2)

  1. 光源から発される赤外光を干渉計に照射し、該干渉計の最大光路差が有限長Lであり、該干渉計から生ずる干渉光を試料に照射し、試料照射後のインターフェログラムF(x)を検出してスペクトル測定を行うフーリエ変換型スペクトル測定装置から得られるスペクトルデータを用いた検量方法において、
    干渉計の最大光路差有限長Lのピーク高さと、最大光路差無限としたときのピーク高さとの比である縦軸係数aを、該インターフェログラムF(x)と、
    ピーク位置v を用いて下記の数式によって算出する縦軸係数演算工程と、
    Figure 0004233423
    前記スペクトルデータから得た実測スペクトル吸光度Mを、前記縦軸係数aを用いて下記の数式によって、真のスペクトル吸光度Hに補正する補正工程と、を含むことを特徴とする検量方法。
    Figure 0004233423
  2. 光源から発される赤外光を干渉計に照射し、該干渉計の最大光路差が有限長Lであり、該干渉計から生ずる干渉光を試料に照射し、試料照射後のインターフェログラムF(x)をフーリエ変換することでスペクトルデータを得るフーリエ変換型のスペクトル測定装置において、
    干渉計の最大光路差有限長Lのピーク高さと、最大光路差無限としたときのピーク高さとの比である縦軸係数aを、該インターフェログラムF(x)と、
    ピーク位置v を用いて下記の数式によって算出する縦軸係数演算手段と、
    Figure 0004233423
    前記スペクトルデータから得た実測スペクトル吸光度Mを、前記縦軸係数aを用いて下記の数式から、真のスペクトル吸光度Hに補正する補正手段と、を備えることを特徴とするスペクトル測定装置。
    Figure 0004233423
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