JP4231272B2 - 海洋生物の養殖用水、同養殖用水の製造方法および製造装置 - Google Patents

海洋生物の養殖用水、同養殖用水の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海洋生物である魚類、貝類、海草類等の孵化、育苗、生育等に使用するための養殖用水、同養殖用水を製造するための製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚類、貝類、海草類等の海洋生物を孵化、育苗、生育する集約的な養殖場においては、これらの孵化、育苗、生育(以下これらを一括して養殖と称する)に適した環境を形成することが重要である。海洋生物の養殖環境には、養殖用水が最も大きく関わっており、養殖用水は滅菌状態に保持されていることが重要なことである。
【0003】
海洋生物の養殖用水は基本的には海水であり、従来の養殖用水では、海水に紫外線を照射して滅菌する手段、海水のオゾンを溶解させる手段、海水を加熱して滅菌する手段、海水を精密濾過して滅菌する手段、海水に各種の殺菌剤や消毒剤を添加して滅菌する手段等が使用されている。
【0004】
しかしながら、これらの滅菌手段においては、例えば海水に紫外線を照射する手段にあっては大量の海水に対しては不適当であって、紫外線の照射を受けない部位が多くなって滅菌が不十分になる。また、紫外線を照射するためのランプが高価であって、大型の照射装置の使用はコスト的にも問題がある。オゾンを海水に溶解させる手段にあっては、オゾンを海水に対して滅菌するに十分な量だけ溶解し難く、この場合にも、大量の海水に対しては不適当であり、かつ、滅菌処理された海水からのオゾンの除去が容易ではない。
【0005】
また、海水を加熱して滅菌する手段、海水を精密濾過して滅菌する手段、海水に各種の殺菌剤や消毒剤を添加して滅菌する手段等も、大量の海水に対しては不適当な手段であり、海水を精密濾過して菌類を除去するする手段にあっては、海水には不純物が多く混在していることから、菌類を濾過する機能が早期に消失し、濾過膜を早期に交換しなければならない。また、海水に各種の殺菌剤や消毒剤を添加して滅菌する手段にあっては、滅菌処理後の海水に海洋生物の養殖にとって有害となる成分が残留するおそれがあって、有害成分を残留させないための管理が極めて難しい。
【0006】
近年、海水を電解して生成される電解生成水の殺菌能に着目して、当該電解生成水を使用して海水を滅菌して養殖用水に使用する試みがなされている(例えば特許文献1、特許文献2等)。これらの各特許文献にて提案されている滅菌方法は、海水を収容槽に供給するための供給経路に介装した電解槽にて海水を電解して、生成される殺菌能を有する電解生成水を収容槽に供給する方法であり、電解生成水の殺菌能により収容槽内の海水を滅菌し、または、電解生成殺菌能により滅菌された状態の海水を収容槽に供給するものである。
【0007】
このように、海水を電解することにより生成される殺菌能を有する電解生成水によって海水を滅菌する方法は、これまでの滅菌方法に比較して、設備費が安価であるとともに、殺菌剤や消毒剤等の特別の薬剤を使用することがないことから、大量の海水を滅菌する費用が廉価であって、養殖用水として有利に使用できることが期待される。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−33441号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平8−23821号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した各特許文献にて提案されている滅菌方法で使用される電解生成水は、殺菌能を示す有効塩素成分を、次亜塩素酸、塩素、次亜塩素酸塩等の形態で含有しているもので、滅菌後の海水には当該有効塩素成分が残留することは避けられない。残留する有効塩素成分は、魚類、貝類、海草類に対しては有害な成分として作用するおそれがあり、有効塩素成分を少量しか残留しない海水であっても、海洋生物の養殖用水としては好ましくはない。また、海水中の有効塩素成分を除去する手段として、特別の薬剤を使用することは、薬剤の残留の問題やコストの面から好ましくはない。
【0011】
従って、本発明の目的は、海水を電解して滅菌する手段を採るが、有効塩素成分の残留が皆無または皆無に近い、海洋生物の養殖に適した養殖用水を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、海洋生物の養殖用水、同養殖用水の製造方法および製造装置に関するものである。本発明に係る養殖用水は、海洋生物の孵化、育苗、生育に使用する養殖用水であって、海水を被電解水とする有隔膜電解にて陽極室側に生成される電解生成酸性水と陰極室側に生成される電解生成アルカリ性水とを合体してなるもので、前記電解生成酸性水は有効塩素成分を除去された状態で前記電解生成アルカリ性水と合体していて、海水の組成に近似しかつ海水のpHに同等または近似し減菌状態にあることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明に係る養殖用水の製造方法は、本発明に係る上記した養殖用水を製造するための方法であって、海水を有隔膜電解すること、同有隔膜電解にて陽極室側に生成された電解生成酸性水中の有効塩素成分を除去処理すること、有効塩素成分を除去された電解生成酸性水に前記有隔膜電解にて陰極室側に生成される電解生成アルカリ性水を合体させることからなることを特徴とするものである。
【0014】
当該製造方法においては、前記有隔膜電解にて陽極室側に生成された電解生成酸性水中の有効塩素成分を除去処理する手段として、紫外線照射手段、バブリング手段、加熱手段、中和剤付加手段の1または複数の手段を採用することができる。
【0015】
また、本発明に係る養殖用水の製造装置は、本発明に係る上記した養殖用水を製造するための製造装置であって、海水を被電解水とする有隔膜電解槽と、同有隔膜電解槽の陽極室側に生成される電解生成酸性水を収容する収容槽と、同収容槽に収容される電解生成酸性水中の有効塩素成分を除去処理するための除去処理手段と、有効塩素成分を除去処理された電解生成酸性水に前記有隔膜電解にて陰極室側に生成される電解生成アルカリ性水を合体して養殖用水を調製する調製槽を備えていることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の作用・効果】
本発明に係る海洋生物の養殖用水は、海水を有隔膜電解して生成された電解生成酸性水と電解生成アリカリ性水を合体させて調製してなる、海水の組成に近似しかつ海水のpHに同等または近似する滅菌状態にあるものである。換言すれば、実質的に海水と同等の組成でかつ実質的に同等のpHのものであって、滅菌された状態にあり、かつ、養殖にとって有害となるおそれがある有効塩素成分が残留していない。このため、当該養殖用水によれば、海洋生物の養殖環境を、養殖に適した良好な環境に形成することができる。
【0017】
当該養殖用水を構成する一方の主要成分である電解生成酸性水は、高い殺菌能を有することから滅菌状態にあるが、殺菌能を発揮する有効塩素成分を多く含有するものである。このため、当該養殖用水の調製では、いずれかの状態で有効塩素成分を除去することが必要であるが、本発明においては、電解生成アルカリ性水と合体する前の電解生成酸性水の状態で、有効塩素成分の除去処理を行っている。
【0018】
電解生成酸性水中の有効塩素成分は、pHが低い水溶液中に存在していることからHOCl、Cl2 等の形態を呈していて、次亜塩素酸ナトリウム等に比較して揮発し易く、かつ、分解し易い状態にある。このため、有効塩素成分の除去が極めて容易であって、有効塩素成分を有利に皆無または皆無に近い状態にすることができる。
【0019】
また、当該養殖用水を構成する他方の主要成分である電解生成アルカリ性水は、それ自体殺菌能を有するものではないが、海水の有隔膜電解時に、含有する菌類は陽極室側へ電気的に移動して殺菌され、かつ、陽極室側からわずかに侵入する有効塩素成分の作用によって殺菌される。このため、電解生成アルカリ性水中の菌類は、原水である海水に比較して極めて少ない。
【0020】
従って、有効塩素成分を除去処理された電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水を略同等量合体すれば、滅菌状態で、実質的に海水と同等の組成で実質的に同等pHの養殖用水となる。当該養殖用水は、本発明に係る製造装置を使用し、本発明に係る製造方法を実施することによって容易に製造することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明は、海洋生物の養殖用水、当該養殖用水の製造方法、および、当該製造方法を実施するための製造装置に関するものである。図1には、本発明に係る製造装置の一実施形態を模式的に示している。当該製造装置は、水供給経路の上流側から、海水を濾過するための濾過器10a、海水を被電解水とする有隔膜電解槽10b、養殖用水の調製槽10c、調製された養殖用水を収容する収容槽10dを備えるとともに、有隔膜電解槽10bと調製槽10c間に、電解生成酸性水中の有効塩素成分を除去処理するための除去処理装置10eを備えている。
【0022】
当該製造装置においては、濾過器10aは海水の供給管路21に接続され、有隔膜電解槽10bは被電解水の供給管路22を介して濾過器10aに接続され、調製槽10cは各電解生成水の供給管路23a,23bを介して有隔膜電解槽10bの各電解室R1,R2に接続され、収容槽10dは調製液の供給管路24を介して調製槽10cに接続されている。なお、収容槽10dには、養殖用水の排出管路25が接続されている。
【0023】
除去処理装置10eは、電解生成酸性水の供給管路23aに付設されているもので、供給管路23aを流動する電解生成酸性水中の有効塩素成分を除去すべく機能する。除去処理装置10eとしては、電解生成酸性水中の有効塩素成分を効率よく除去し得るものではあればよく、例えば、紫外線照射装置(日光照射、UVランプ装備)、加熱装置、バブリング装置等を挙げることができる。
【0024】
当該製造装置による養殖用水の製造では、海水をポンプアップして濾過器10aに供給し、濾過して清浄化された海水を被電解水として、有隔膜電解槽10bの陽極側電解室R1および陰極側電解室R2に供給する。有隔膜電解槽10bに供給された被電解水は、所定の電解電流の下で有隔膜電解され、陽極側電解室R1では酸性水(電解生成酸性水)が生成され、かつ、陰極側電解室R2ではアルカリ性水(電解生成アルカリ性水)が生成される。
【0025】
生成された電解生成酸性水は、一方の供給管路23aを経て調製槽10cに供給され、かつ、生成された電解生成アルカリ性水は、他方の供給管路23bを経て調製槽10cに供給される。この間、一方の供給管路23aを流動する電解生成酸性水は、除去処理装置10eから有効塩素成分の除去処理を受け、有効塩素成分を実質的に含有しない状態となって調製槽10cに供給され、同時に供給される電解生成アルカリ性水と合体して、本発明に係る養殖用水が調製される。調製槽10cで生成された養殖用水は収容槽10dに供給される。収容槽10dに収容されている養殖用水は、適宜の場所に搬送されて各種の海洋生物の養殖に利用される。なお、養殖用水を収容する収容槽10dを、養殖槽として直接利用することもできる。
【0026】
当該製造装置による養殖用水の製造では、濾過された清浄な海水を有隔膜電解槽10bで有隔膜電解するが、有隔膜電解においては、各電極に対する印加電圧を2.0V〜4.0Vの範囲とし、電解電流を4A〜30Aに制御して行う。当該電解により、陽極側電解室R1では酸性水(電解生成酸性水)が生成され、陰極側電解室R2ではアルカリ性水(電解生成アルカリ性水)が生成される。これらの電解生成水の特性は、電解条件によって異なる。電解条件が上記した範囲では、電解生成酸性水にあっては、pHが6.0〜3.0、有効塩素成分の成分濃度が35mg/L〜210mg/Lで、菌類が検出されない酸性水である。また、電解生成アルカリ性水にあっては、pHが8.5〜10.5で、電解電流が25A以上という高い場合には細菌が検出されないアルカリ性水であり、電解電流が25A未満の場合には菌類がわずかに検出されるアルカリ性水である。
【0027】
有隔膜電解にて生成された電解生成アルカリ性水は、何等の処理にも付すことなく養殖用水の調製に使用されるが、電解生成酸性水にあっては、電解生成酸性水中の有効塩素成分を除去するための除去処理に付される。除去処理では、適宜の手段で行うことができる。例えば、紫外線照射手段(日光照射、UVランプ装備)、加熱手段、バブリング手段等のいずれか1または複数を組合わせて採用することができる。
【0028】
図2〜図4には、電解生成水が含有する有効塩素成分の経時的な残留状態を示している。これらのうち、図2は、異なるpHの電解生成酸性水(pH2.7、pH5.0)、および、電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水を合体させて調製した電解生成水(pH9.0)の室温で開放した状態での有効塩素成分の残留量の経時的な変化を示している。電解生成水がいずれのpHの状態を呈していても、有効塩素成分の残留量は経時的に低下するが、pHが低い電解生成水ほど有効塩素成分の経時的な除去効率がよい。従って、養殖用水の製造での有効塩素成分の除去は、電解生成アルカリ性水と合体する前の電解生成酸性水の状態で行うことが有利である。
【0029】
図3は、電解生成酸性水(pH5.0)を異なる温度(10℃、25℃、40℃)に保持した状態での有効塩素成分の残留量の経時的な変化を示している。電解生成酸性水は、いずれの温度に保持されていても、有効塩素成分は経時的に除去されるが、保持温度が高いほど有効塩素成分の経時的な除去効率がよい。従って、電解生成酸性水中の有効塩素成分の除去手段としては、電解生成酸性水を加熱する手段が有利な手段の一つであるということができる。
【0030】
図4は、電解生成酸性水(pH5.0)を室温で密閉した状態で、異なる光の下(遮光下、蛍光灯下、直射日光下)での有効塩素成分の残留量の経時的な変化を示している。電解生成酸性水は、いずれの光の下に保持されていても、有効塩素成分は経時的に除去されるが、直射日光下では、有効塩素成分の経時的な除去効率がよい。従って、電解生成酸性水中の有効塩素成分の除去手段としては、電解生成酸性水を紫外線照射、日光照射する手段が有利な手段の他の一つであるということができる。
【0031】
当該製造装置による養殖用水の製造では、有効塩素成分を除去処理された電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水を合体させて養殖用水を調製する。目的とする養殖用水は、海水と同等の特性を有するものである。従って、本発明に係る養殖用水の調製は、基本的には、一旦分割した電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水とを互いに合体させるものであって、pHが原水である海水と同等となることを一つの目安とする。具体的には、除去処理済みの電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水との合体比率は、100:80〜80:100の範囲である。
【0032】
このように調製された養殖用水は、pHおよび組成共に原水である海水と同等で、有効塩素成分が残留しないが滅菌状態にあるものである。当該養殖用水は、海洋生物の良好な養殖環境を形成するための養殖用水として最適なものである。
【0033】
【実施例】
本実施例では、図1に示す製造装置を小型化した実験装置を使用して、海水を原水とする養殖用水の製造実験を試みた。原水として採用した海水は、水温10℃で、pHが8.1、電導度が47.1、菌数が104CFU/mLのものである。
【0034】
(海水の有隔膜電解):本実験では、濾過した海水(被電解水)の有隔膜電解槽への供給流量を4.0L/minに設定して、印加電圧を調整して各種の電解電流の下で有隔膜電解を行って、海水を電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水とに分割した。各電解電流の下で生成される各電解生成酸性水および電解生成アルカリ性水について、pH、有効塩素成分量および菌数を測定した。得られた結果を表1および表2に示す。但し、有効塩素成分の測定は、o−トリジン吸光光度法 により行い、菌類の測定は、標準寒天を使用する一般生菌数の測定法 によって行った。
【0035】
【表1】
Figure 0004231272
【0036】
【表2】
Figure 0004231272
【0037】
表1は、電解生成酸性水の特性を示すものであり、表1を参照すると、電解生成酸性水にあっては、下記の特性を有することが認められる。すなわち、異なる電解電流(5A〜25A:印加電圧と関連)の下では、pHおよび有効塩素成分共に異なり、pHについては電解電流の増大に応じてpHが漸次低くなり、有効塩素成分については電解電流の増大に応じて漸次多くなる。但し、これらの各電解生成酸性水中の菌類については、全く検出されない。
【0038】
表2は、電解生成アリカリ性水の特性を示すものであり、表2を参照すると、電解生成アルカリ性水にあっては、下記の特性を有することが認められる。すなわち、異なる電解電流(5A〜25A:印加電圧と関連)の下ではpHが異なり、電解電流の増大に応じてpHが漸次高くなる。、菌類については、電解電流の増大に応じて漸次少なくなり、電解電流が高い場合(例えば25A)には、菌類は検出されない。但し、これらの各電解生成アルカリ性水中の有効塩素成分については、全く検出されない。
【0039】
(電解生成酸性水の有効塩素成分の除去):本実験では、海水を有隔膜電解して分割された電解生成酸性水を40℃に加熱する手段、および、電解生成酸性水を室温の密閉状態で直射日光を照射する手段を採用し、これらの手段に付した場合における、有効塩素成分の残留量の経時的な変化を測定した。得られた結果を、加熱する手段については図3のグラフ1に、直射日光を照射する手段について図4のグラフ1に示す。但し、各除去処理に供した電解生成酸性水は、電解電流15Aで電解して生成されたpHが5.0で、有効塩素成分の残留量(濃度)が111.6mg/Lのものである。
【0040】
各グラフを参照すると、加熱手段および日光照射手段を使用する除去処理によれば、室温で開放状態に放置する場合に比較して極めて短時間で、電解生成酸性水中の有効塩素成分を除去し得ることを確認できる。
【0041】
(養殖用水の調製):本実験では、最後に、有効塩素成分を除去された電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水とを合体させて養殖用水を調製し、合体比の異なる各養殖用水の特性を調べた。調製実験で採用した電解生成酸性水は、上記した電解生成酸性水の有効塩素成分の除去実験で処理された電解生成酸性水である。また、調製実験で採用した電解生成アルカリ性水は、当該電解生成酸性水の生成時に、有隔膜電解槽の陰極側電解室で生成された電解生成アルカリ性水であって、pHが10.3で、菌類の量(濃度)が102CFU/mLのものである。また、合体比は、電解生成酸性水100mL当たりの電解生成アルカリ性水の量(mL)である。
【0042】
【表3】
Figure 0004231272
【0043】
表3を参照すると、両電解生成水の合体比(電解生成アルカリ性水/電解生成酸性水)が(80/100〜120/100)の範囲にある場合には、調製された養殖用水には有効塩素成分は、表1に示す電解生成酸性水中の有効塩素成分に比較して極めて少なく、養殖用水にとって傷害になることはない。また、養殖用水からは、菌類は検出されなかった。調製された養殖用水のpHについては、原水である海水pH(8.1)と同程度にするには、両電解生成水の合体比を(80/100〜90/100)の範囲にすることが好ましい。なお、養殖用水中の有効塩素成分については、図2〜図4に示す有効塩素成分の含有量が零または極微量の電解生成酸性水を採用すれば、有効塩素成分を含有しない養殖用水を調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係る養殖用水の製造装置を模式的に示す全体構成図である。
【図2】異なるpHの電解生成酸性水を室温下で放置した状態での有効塩素成分の残留量の経時的変化を示すグラフである。
【図3】電解生成酸性水を異なる温度に保持した状態での有効塩素成分の残留量の経時的変化を示すグラフである。
【図4】電解生成酸性水を異なる光下に保持した状態での有効塩素成分の残留量の経時的変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10a…濾過器、10b…有隔膜電解槽、10c…調製槽、10d…収容槽、10e…除去装置、21…海水の供給管路、22…被電解水の供給管路、23a…電解生成酸性水の供給管路、23b…電解生成アルカリ性水の供給管路、24…調製液の供給管路、25…排水管路、R1…陽極側電解室、R2…陰極側電解室。

Claims (4)

  1. 海洋生物の孵化、育苗、生育に使用する養殖用水であり、当該養殖用水は、海水を被電解水とする有隔膜電解にて陽極室側に生成される電解生成酸性水と陰極室側に生成される電解生成アルカリ性水とを合体してなるもので、前記電解生成酸性水は有効塩素成分を除去された状態で前記電解生成アルカリ性水と合体していて、海水の組成に近似しかつ海水のpHに同等または近似し減菌状態にあることを特徴とする海洋生物の養殖用水。
  2. 請求項1に記載の海洋生物の養殖用水を製造する養殖用水の製造方法であり、当該製造方法は、海水を有隔膜電解すること、同有隔膜電解にて陽極室側に生成された電解生成酸性水中の有効塩素成分を除去処理すること、有効塩素成分を除去された電解生成酸性水に前記有隔膜電解にて陰極室側に生成される電解生成アルカリ性水を合体することからなることを特徴とする海洋生物の養殖用水の製造方法。
  3. 請求項2に記載の海洋生物の養殖用水の製造方法において、前記有隔膜電解にて陽極室側に生成された電解生成酸性水中の有効塩素成分を除去処理する手段として、紫外線照射手段、バブリング手段、加熱手段、中和剤付加手段の1または複数の手段を採用することを特徴とする海洋生物の養殖用水の製造方法。
  4. 請求項1に記載の海洋生物の養殖用水を製造する養殖用水の製造装置であり、当該製造装置は、海水を被電解水とする有隔膜電解槽と、同有隔膜電解槽の陽極室側に生成される電解生成酸性水を収容する収容槽と、同収容槽に収容される電解生成酸性水中の有効塩素成分を除去処理するための除去処理手段と、有効塩素成分を除去処理された酸性水に前記有隔膜電解にて陰極室側に生成される電解生成アルカリ性水を合体して養殖用水を調製する調製槽を備えていることを特徴とする海洋生物の養殖用水の製造装置。
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