JP4228049B2 - アルミ加工工場におけるアルカリ性廃液のリサイクル方法 - Google Patents

アルミ加工工場におけるアルカリ性廃液のリサイクル方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
アルミ加工工場におけるアルカリ性廃液のリサイクル方法に関し、特に、アルミ加工工場の押し出し成型用ダイスの洗浄に使用したアルミニウム成分を含む高濃度のアルカリ性廃液の経済的なリサイクル方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アルミ加工工場で生じる表面処理工程でのエッチングおよび押し出し成型ダイスの洗浄は高温度の苛性ソーダを用いて行われている。その中で、表面処理工程での苛性ソーダのリサイクル技術はほぼ完成しているが、より効率の良い処理技術が望まれている。一方、押し出し成型ダイスの洗浄苛性ソーダは高濃度のため、リサイクルが困難なことから高額な費用をかけ化学的処理を行い廃棄している。
【0003】
アルミ加工工場の苛性ソーダ廃液から苛性ソーダをリサイクルする従来の一方法として、苛性ソーダ廃液を冷却することで水酸化アルミニウムを晶析装置で結晶として析出させ、廃液中のアルミニウムを分離除去し、苛性ソーダを再生してリサイクルすることが行われている。この廃液を冷却する方法では、晶析装置を安定して運転するため結晶核の発生を強制的に行わせるか、または種晶を添加しなければならない。ところが、分離除去されるアルミニウムの量は、その溶解度から限界があり、非効率な運転がなされている。
【0004】
一方、アルミニウムを含むアルカリ性廃液の処理でなく、アルミナの結晶を析出分離させる方法として、アルコールやアセトンや蔗糖などを加える方法が知られている。
その一つに、バイヤー法で得られるアルミン酸溶液からアルミナを再生するのにメタノールやエタノールを使用して沈殿速度を速めて分離する方法がある(例えば、特許文献1)。このアルミナの再生方法では、アルミン酸溶液に添加塔で蒸気相のアルコールを溶解させた後、攪拌槽においてアルコール水溶液を加えて沈殿速度を早めている。
そのほか、アルミン酸ナトリウム溶液から水酸化アルミニウムの所定の形状の結晶を得る晶析方法として、アルコールやアセトンを加える方法(例えば、特許文献2)、蔗糖や各種の糖類等の有機物を加える方法(例えば、特許文献3)が知られている。
上記従来の処理技術は、アルミン酸ナトリウム溶液からの水酸化アルミニウムの分離除去であり、水酸化アルミニウムの結晶形状を制御する技術である。
【0005】
高濃度のアルミニウム含有苛性ソーダ廃液でも、苛性ソーダ水溶液を水で希釈すれば、その低いT−NaOHの濃度でのT−Alの溶解量となるので、希釈によりその系の水酸化アルミニウム(Al(OH)3)を晶析させることが可能である。しかし、希釈した苛性ソーダ水溶液を濃縮してダイスの洗浄等の高濃度の苛性ソーダで行う処理に再循環するには、濃縮のための設備費、運転費が高くなり、経済性が問題であり、実設備とすることができない。
【0006】
本発明において、T−NaOH、又はトータル苛性ソーダとは、全苛性ソーダともいい、液中の全Na成分をNaOHに換算したものである。例えば後記する滴定法により式(1)から求めることができる。同様に、T−Alとは、トータルアルミニウムともいい、液中の晶析したAl(OH)3を除いた全アルミニウム分を意味する。例えば後記する滴定法により式(2)から求めることができる。また、後出の「F−NaOH」とは、フリー苛性ソーダ、遊離苛性ソーダともいいい、液中で遊離する苛性ソーダのことである。これも後記の滴定法により式(3)から求めることができる。
【0007】
【特許文献1】
英国特許第123184号明細書
【特許文献2】
特開昭63−215509号公報(請求項23)
【特許文献3】
特開平6−279022号公報(請求項1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1の蒸留塔等処理する方法では、攪拌槽以外の塔における水酸化アルミニウムの析出の問題が生じないようにしなければならず、運転上で制御が複雑になるという問題がある。特にアルカリ濃度の高い、例えばトータル苛性ソーダが150g/リットル(T−NaOH 150g/l)を越えるような、アルカリ廃水においてはそのまま適用できなかった。
アルミン酸ナトリウム溶液にアルコールやアセトン等の有機溶剤を加えて水酸化アルミニウムを晶析させる特許文献2の方法は、アルミニウム含有アルカリ性溶液の再生ではなく、水酸化アルミニウムの分離除去に関するものである。しかも、水酸化アルミニウムの結晶形状を制御するための方法である。これもアルカリ濃度の高いアルカリ廃水においては非効率な運転をしなければならず、廃水で実用化するには課題があった。
水酸化アルミニウムを晶析させる特許文献3の方法も、特許文献2と同様な領域での所定の結晶形状のものを得る方法である。特許文献2と同様、経済性等の点で廃液に適用するには課題があり、廃液では実用化されていなかった。
特に、押し出し成型ダイスの洗浄プロセスで使用する苛性ソーダ溶液の濃度は高く、その廃液はT−NaOHが200g/l以上で、多くの場合は400g/lと高く、効率的な処理技術は確立されていない。各種リサイクル法を含む環境関連法案が制定された現在も、大量に出る苛性ソーダ廃液の効率的で経済的な処理技術はアルミ業界では重要な研究課題であった。
【0009】
そこで、発明者らは、このような従来技術の有する問題点に鑑みて、晶析技術を基盤として学術的基礎研究を数年間にわたり行ってきた。そして、有機溶剤が貧溶媒として水と同様又はそれ以上の希釈の効果が得られるか否かを検討した。また、発明者等は、添加した水溶液の活動度がアルミニウムを溶解させた苛性ソーダ溶液中の水酸化アルミニウムの晶析に大きく影響することを見出した。
そして、上記知見に基づき、新たな苛性ソーダのリサイクル技術を開発し、効率の良いプロセスを可能とし、本発明をするに至った。
【0010】
本発明の目的は、アルミ加工工場の押し出し成型用ダイスの洗浄に使用したアルミニウム成分を含むアルカリ性廃液から水酸化アルミニウムを高効率で晶析分離し、高濃度のアルカリ性溶液をリサイクルするための方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために請求項1に係る発明のアルミ加工工場におけるアルカリ性廃液のリサイクル方法は、アルミ加工工場で発生する高濃度のアルカリ性廃液に、その水に対してモル比が0.5〜2.5の割合で貧溶媒の水溶性有機溶剤を添加し、水酸化アルミニウムの溶解度を減少させることにより過飽和度を増加させ、水酸化アルミニウムを晶析させ、該水酸化アルミニウムを前記アルカリ性廃液から分離除去した後、該アルカリ性廃液から前記水溶性有機溶剤を分離して該水溶性有機溶剤を再使用すると共に、前記水酸化アルミニウムおよび前記水溶性有機溶剤を分離して再生したアルカリ性溶液を再使用することを特徴とする。
【0012】
このようにアルカリ性廃液に貧溶媒である水溶性有機溶剤を添加することにより、アルカリ性廃液中の水酸化アルミニウムの溶解度が減少し、過飽和状態となり、種晶なしでも結晶を析出させることができる。この結晶を析出する速度は、冷却、水による希釈等による晶析に比べて速く、効率的に分離できるので装置の小型化が図れ、経済性に優れた処理ができる。
晶析が進行したら、下層の水酸化アルミニウム濃厚層を除いた後、上層の水酸化アルミニウム希釈層を晶析装置から排出し、この希釈層排液から水溶性有機溶剤を蒸留、膜分離等により分離し、水溶性有機溶剤が分離されたアルカリ性廃液の希釈層排液は加工工場でアルカリ性溶液として再使用する。有機溶剤の溶解により水酸化アルミニウムの溶解度を低減するので、加える有機溶剤の量を変えて再使用するアルカリ性溶液中のアルミニウムの濃度を1.5wt%以下の低濃度にできる。また、設備として晶析装置、固液分離装置、蒸留装置等のありふれた簡単な装置で構成することができると共に、運転費用を低減することができる。
【0013】
本発明において、貧溶媒となる水溶性有機溶剤としては、メチルアルコールのほかエチルアルコール、アセトン、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化メチレン等があげられる。また、偏心因子の面からすると、それが1.8ア0.2のものが水と同等又はそれ以上有効である。沸点が低くて高濃度の苛性ソーダ溶液にまで溶解し、水溶液から分離しやすいメチルアルコールがより好ましい。
【0014】
アルカリ性廃液の水に対して貧溶媒となる水溶性有機溶剤の添加量をモル比で0.5以上としたのは、0.5未満の添加では、貧溶媒効果が小さくなるからである。また、添加量がモル比で2.5を越えると、添加量の増加による水酸化アルミニウムの溶解量減少の効果が小さく、経済性が悪くなるからである。
この有機溶剤の添加の効果は、図1に示すメチルアルコール水溶液の活動度とメチルアルコールのモル分率の関係から知ることができる。すなわち、メチルアルコールのモル分率で約0.25より少ないと、水とメチルアルコールの活動係数の違いが大きくなり、水酸化アルミニウムの溶解度を減少させる効果が小さくなるので有効でない。また、メチルアルコールがモル分率で約0.70より多くなっても、メチルアルコール添加による水とメチルアルコールの活動係数の変化が大きくないので効率的でない。このように、メチルアルコール水溶液の活動度からすると、メチルアルコールのモル分率は0.25〜0.75(モル比で約0.35〜3)、再生等の経済性などを加味すると、水に対するメチルアルコールのモル比が0.5〜2.5の割合が好ましい。
なお、図1の上記活動度は、R.C. Reid, J.M. Prausnitz and B.E. Poling著 'The Properties of Gases and Liquids ' (4th Ed. McGraw-Hill, New York (1978))のUNIFAC法による推算値である。
【0015】
また、請求項2に係るアルミ加工工場におけるアルカリ性廃液のリサイクル方法は、前記アルカリ性廃液が溶液1リットル当たりトータル苛性ソーダを200〜500g含み、前記アルカリ性廃液を再生して得た苛性ソーダ溶液を前記アルカリ性廃液の発生工程に使用する。
アルミ加工工場において発生するトータル苛性ソーダが200〜500g/lと濃度の高い苛性ソーダ廃液を経済的に再生して、高濃度の苛性ソーダ溶液を使用する工程に循環使用することができる。
【0016】
本発明における、アルカリ性廃液には、水酸化リチウム、苛性ソーダ、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の単独又は混合した廃液が含まれる。
【0017】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のアルミ加工工場におけるアルカリ性廃液のリサイクル方法において、前記貧溶媒の水溶性有機溶剤をメチルアルコールとした。
このように、水溶性有機溶剤として入手しやすく水溶液の分離等の取り扱いが比較的容易なメチルアルコールを使用することで、水酸化アルミニウムの溶解度を短時間で減少させることができる。その結果、アルカリ性廃液の再生の設備を小形で安価にすることができると共に、運転費も安価にできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を説明する。
まず、アルミ加工工場において発生するアルカリ性廃液の水に対して、貧溶媒の水溶性有機溶剤としてメチルアルコールをモル比で0.35〜3の範囲の所定量を、均一に溶解するように制御しながら加える。次いで、所定時間結晶を成長させると共に分離層を形成し、結晶濃厚層と結晶希釈層とに分離する。次いで、結晶希釈層の排液から有機溶剤を分離し、高アルカリ性溶液を得てこれをアルカリ性水溶液として押し出し成形金型の洗浄に循環使用する。
【0019】
本発明において処理されるアルカリ性廃液は、陽極酸化処理等の表面処理で用いられた苛性ソーダやアルミニウム材の押出加工に用いるダイス等の加工治具に付着したアルミニウム成分の溶解に使用した高濃度の苛性ソーダ、水酸化カリウム等の水溶液である。エッチング処理や陽極酸化処理等の表面処理で用いられる苛性ソーダの濃度(T−NaOH)は、通常は50〜100g/l程度であり、押出加工に用いるダイス等に付着したアルミニウム成分の溶解に使用する苛性ソーダの濃度は200〜450g/l程度である。
【0020】
アルミニウムの苛性ソーダ水溶液への溶解度のメチルアルコール等の貧溶媒の水溶性有機溶剤による影響は、苛性ソーダ溶液のトータル アルミニウム(T−Al)の濃度を変えた水溶液にメチルアルコールを水1モルに対して0.35から3モル加えて、所定時間後のTーAl量を測定することにより調べた。
【0021】
このテストは次のように行った。
まず、T−NaOH及びF−NaOHの濃度は、アルミの押出加工ダイス洗浄廃液に水又は苛性ソーダを加えて水への苛性ソーダの溶解量を変えて調整する。また、T−Alの濃度は、アルミニウムを溶解するか、苛性ソーダ溶液や水で希釈する等により調整する。
次に、種晶としてT−Alの3wt%相当の水酸化アルミニウム結晶を添加して、有機溶剤添加なしの試料を調整する。それと同時に、種晶なしでメチルアルコールを水に対してモル比で0.35〜3の範囲で添加量を変えた試料を調整する。そして、常温で72時間放置して結晶懸濁液とした後、サンプル液をろ過して結晶を取り除き,ろ液中のT−Al、T−NaOH及びF−NaOHを求めた。
【0022】
なお、苛性ソーダ溶液中のT−NaOH及びT−Alを求めるには、ろ液から試料を採り、それを純水で10倍に希釈し、それを5mlとり純水100mlを加えた後、指示薬としてフェノールフタレイン液を加えて1N−HCl(Aml)を溶液が赤から白になるまで滴下する。次に、10wt%のKF水溶液を30mlを加えて溶液を白から赤に変える。次に、1N−HCl(Bml)を滴下して溶液を赤から白に変える。
そして、T−NaOH(g/l)とT−Al(g/l)とF−NaOHとはそれぞれ次の(1)、(2)及び(3)式により求める。
【0023】
T−NaOH(g/l)=8.0×A×f (1)
T−Al(g/l) =1.8×B×f (2)
F−NaOH(g/l)=8.0(A−B/3)×f (3)
但し、f=1とする。
【0024】
上記のようにして求めたF−NaOHとT−Alの関係について、苛性ソーダ溶液に種晶をT−Alの3wt%加えた場合、及び種晶を加えずに苛性ソーダ溶液の水に対してメチルアルコールをモル比で0.5と2.5の割合で添加した場合について図2に示す。
この図2から、アルミニウム含有苛性ソーダ水溶液に水溶性有機溶剤としてメチルアルコールをモル比で0.5〜2.5の割合で加えることにより、苛性ソーダ溶液中のT−Alが水酸化アルミニウムの晶析により減る。このように、種晶を用いないでも水酸化アルミニウムの溶解度が下がること、すなわち、水酸化アルミニウムの過飽和度が増加することが解る。
なお、アルミニウム含有苛性ソーダ水溶液にメチルアルコールをモル比で0.35,3の割合で加えた場合も、それぞれ0.5又は2.5のモル比で加えた場合とほとんど同じであった。このことから、アルミニウム含有苛性ソーダ水溶液にメチルアルコール等の水溶性有機溶剤を適量加えると、効果的に溶液中のT−Alを減らし、水酸化アルミニウムの過飽和度を減らし、水酸化アルミニウムの結晶を多く得ることができる。このことから、アルミニウム含有アルカリ性廃液においても、これにメチルアルコールを添加して水酸化アルミニウムを晶析分離することによりT−Alの少なくなったアルカリ性廃液を得、このアルカリ性廃液から有機溶剤を分離することによって高濃度のアルカリ性溶液を再生でき、アルカリ性廃液の発生工程にアルカリ性溶液を循環使用できる。
【0025】
なお、アルミニウム成分を溶解したアルカリ性廃液に、前記のような貧溶媒となる水溶性有機溶剤の所定量を添加し、水酸化アルミニウム結晶の溶解度を減少させて過飽和度を増加させると共に、晶析させる速度を次のように制御する。
水酸化アルミニウムの晶析の温度はメチルアルコール等の水溶性有機溶剤の蒸発を抑制するように、溶液の沸点以下に維持する。また、結晶の成長速度は、過飽和度の関数であることから、過飽和生成速度を制御することにより行う。すなわち、水溶性有機溶剤の添加速度は、結晶粒径を調整するか否かにより適宜に行う。結晶の粒径を大きくするには、水溶性有機溶剤の添加速度をゆっくりさせ、結晶の成長速度を遅くすれば良い。逆に、速く晶析させるには、結晶の成長速度を速くするように、水溶性有機溶剤の添加速度を速くする。
【0026】
次いで、晶析する水酸化アルミニウム結晶が下層に沈殿して水酸化アルミニウムの結晶が濃厚となった下層の濃厚液と水酸化アルミニウム結晶が希釈となった上層の希釈廃液とに分離する。濃厚液を抽出することにより水酸化アルミニウム結晶をアルカリ性廃液から分離する。
【0027】
そして、水酸化アルミニウム濃厚液から水酸化アルミニウムの結晶を脱水することにより回収する。水酸化アルミニウム濃厚液から水酸化アルミニウム結晶を分離した後の水溶性有機溶剤を含んだアルカリ性廃液は、水溶性有機溶剤を補充して晶析にそのまま用いるか、精製してアルミの押出加工ダイスのアルミの溶解処理に循環使用する。アルカリ性廃液からの有機溶剤の除去は、溶解した有機溶剤を蒸留、膜分離等の方法により分離することにより行う。
【0028】
上記の本発明の方法を実施するアルカリ性廃液のリサイクル装置の1例としては、晶析装置、固液分離装置、溶剤回収装置で構成されたものが用いられる。
【0029】
晶析装置は、廃液に溶解しているアルミニウムを水酸化アルミニウムとして晶析させることが容易なように、有機溶剤供給装置、撹拌装置を設ける。また、晶析した水酸化アルミニウムを凝集沈殿させ、水酸化アルミニウムスラッジ濃厚液を取り出すように抜出管を設ける。アルカリ性廃液を攪拌装置で攪拌しながら有機溶剤供給装置から有機溶剤を添加し、水酸化アルミニウムの過飽和度を高めて水酸化アルミニウム結晶を晶析させる量を多くする。
【0030】
抜出管にはポンプを設け、スラッジ濃厚液を固液分離装置に供給するようにする。また、晶析装置の水酸化アルミニウム濃厚層の上部に形成された上澄み層はアルミニウムの濃度が低く、遊離苛性ソーダの濃度が高くなっている。この上澄み層の溶液は上澄液抜出管で取り出す。
【0031】
晶析装置の操作温度の制御は、しなくても差し支えなく、常温で容易にアルカリ性廃液から水酸化アルミニウム結晶を晶析させることができる。また、低沸点有機溶剤を用いることで、この有機溶剤の蒸発により晶析の操作温度を下げるように働く。
【0032】
固液分離装置は、遠心分離器、ろ過装置等が適用でき、結晶粒が小さくて特殊な装置を使用しなければならないというようなことがない。そのため装置が簡単で安価にできる。
溶剤回収装置は、蒸留操作を行うことができる、通常の棚段塔、充填塔等が適用できる。これらの装置で容易に設計でき、通常の溶剤の処理における注意で足り、コストダウンが可能である。
【0033】
【発明の効果】
本発明のアルカリ性廃液リサイクル方法によれば、水酸化アルミニウムの過飽和度を高めることができ、アルミニウム含有アルカリ性溶液から容易に水酸化アルミニウムを晶析除去できることから、アルミ加工工場の押し出し成形ダイスの洗浄で発生する高濃度のアルカリ性廃液を循環使用することができる。即ち、リサイクル時代に則した方法である。また、本発明によれば、運転時において種晶の添加が不要であり、それだけ結晶の処理装置を小さくでき、コストダウンができる。
本発明の請求項3に係るリサイクル方法によれば、水酸化アルミニウムの過飽和度を高めることができ、アルミ加工工場の押し出し成形ダイスの洗浄で発生する高濃度のアルカリ性廃液を循環使用することができる。しかも、有機溶剤の分離が容易で、それだけ設備費、運転費を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メチルアルコール水溶液の活動度を示すグラフである。
【図2】F−NaOHと溶解T−Alの関係をメチルアルコール(有機溶剤)を添加した場合と添加しない場合との相違を示すグラフである。

Claims (3)

  1. アルミ加工工場で発生する高濃度のアルカリ性廃液にその水に対してモル比が0.5〜2.5の割合で貧溶媒の水溶性有機溶剤を添加し、水酸化アルミニウムの溶解度を減少させることにより過飽和度を増加させ、水酸化アルミニウムを晶析させ、該水酸化アルミニウムを前記アルカリ性廃液から分離除去した後、該アルカリ性廃液から前記水溶性有機溶剤を分離して該水溶性有機溶剤を再使用すると共に、前記水酸化アルミニウムおよび前記水溶性有機溶剤を分離して再生したアルカリ性溶液を再使用することを特徴とするアルミ加工工場におけるアルカリ性廃液のリサイクル方法。
  2. 前記アルカリ性廃液が溶液1リットル当たりトータル苛性ソーダを200〜500g含み、前記アルカリ性廃液を再生して得た苛性ソーダ溶液を前記アルカリ性廃液の発生工程に使用する請求項1に記載のアルミ加工工場におけるアルカリ性廃液のリサイクル方法。
  3. 前記貧溶媒の水溶性有機溶剤をメチルアルコールとした請求項1又は2に記載のアルミ加工工場におけるアルカリ性廃液のリサイクル方法。
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