JP4226244B2 - 防虫脱臭剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衣類等の繊維製品を害虫から守るとともに、繊維製品やその周囲雰囲気の臭を軽減することを目的とした防虫脱臭剤に関する。
【0002】
【従来技術】
従来から、衣類等の繊維製品を害虫から守るために用いられる防虫剤としては様々な仕様のものが検討されてきた。その中には脱臭剤や乾燥剤を併用したものがあり、例えば、脱臭剤として活性アルミナ、防虫剤として粉状のジクロルベンゼンを用い、これらを乾燥剤と共に通気性のある袋状不織布シート間に封入した防虫脱臭乾燥シートに係るものが知られている。
【0003】
このようなジクロルベンゼンや樟脳等を有効成分とした防虫剤にあっては、有効成分が昇華することで周囲雰囲気に当該防虫剤の臭いが拡散するので、脱臭剤を併用しても目的とする効果がほとんど得られないという問題があった。
【0004】
ところが、防虫剤の有効成分としてほとんど臭いのないピレスロイド系化合物が開発され上記のような問題が解消されたことから、近年になって防虫剤と脱臭剤とを併用して防虫効果と共に周囲雰囲気の臭を除去することについての検討が種々なされている。例えば、消臭脱臭と害虫防除の両機能を同時に発揮できるものとして、活性炭、シリカゲル等からなる消臭脱臭剤とピレスロイド系防虫剤をシート状基材に担持させた防虫消臭脱臭シートが知られている。
【0005】
しかし、活性炭、シリカゲル等の脱臭剤は、その脱臭作用が主として物理的吸着に基づくものであるため、揮散された防虫成分までも吸着するという欠点を有しており、脱臭、防虫の両機能が同時に発揮されるものとは言い難く、これにかわる有効な手段については未だ十分に検討されてはいないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような状況を鑑みてなされたものであり、防虫および脱臭の両機能を同時に発揮することができる防虫脱臭剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、脱臭ないし消臭剤としての寒水砂は揮散性防虫成分を実質的に吸着することがなく、従って寒水砂を揮散性防虫成分と併用することにより、防虫および脱臭の両機能を同時に発揮させることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の構成により達成されるものである。
【0008】
(1)揮散性防虫成分と寒水砂を併用したことを特徴とする防虫脱臭剤。
(2)揮散性防虫成分と寒水砂が別々の包装材に収納されている(1)記載の防虫脱臭剤。
(3)揮散性防虫成分がピレスロイド系化合物である(1)又は(2)記載の防虫脱臭剤。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において寒水砂は脱臭成分として作用するものである。寒水砂は炭酸カルシウム(CaCO3)を主成分とする六方晶系の結晶構造をとるものからなり、方解石(CALCITE:カルサイト)を粒径0.3mm〜30mm程度の粒状としたものを用いることができる。本発明にあっては脱臭効果を満足させるために、寒水砂は約0.5〜20mmの粒状のものを用いることが好ましい。
【0010】
寒水砂は粒状であることからそのまま用いるよりは包装材に収納して用いるのがよく、例えば不織布、織布、紙等から作られた通気性の袋;網袋;通気孔等の開口を設けた容器等の通気性包装材が挙げられる。
【0011】
寒水砂の使用量は、タンスなどの適用空間の単位体積(リットル)当り0.01〜50gとなるように設定し、上記の包装材に収納するのが好ましい。また寒水砂には、福島、茨木、山口等から産出される白色石灰石から得られるもの、さらには赤、青、黄、緑、紫、茶、黒等に着色されたもの等を用いることができる。
【0012】
本発明において揮散性防虫成分としては、害虫の防除、駆除、忌避などのために使用されている揮散性の薬剤が使用可能であり、例えば有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系、アミド系の各種殺虫剤、昆虫成長調節剤、植物精油、テルペン系化合物、アルコール系化合物等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明において使用可能な害虫防除剤の具体例を一般名あるいは商品名等にて以下に示す。
【0013】
ピレスロイド系殺虫剤としては、例えばピレトリン、アレスリン、dl・d−T80−アレスリン、d・d−T80−アレスリン、バイオアレスリン、フタルスリン、レスメトリン、d−T80−フラメトリン、ペルメトリン、フェノトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、d・d−T80−プラレトリン、テフルスリン、トランスフルトリン、シペルメトリン、シフェノトリン、フェンプロパトリン、フェンフルスリン、テラレスリン、ネオピナミンフォルテ、エトフェンプロックス、イミプロトリン、エムペンスリン、S−1264(住友化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0014】
有機リン系殺虫剤としては、例えば一般名DDVP、ダイアジノン、スミチオン、バイテックス等が挙げられる。カーバメート系殺虫剤としては、例えばプロポクサー、カルバリル等が挙げられる。
【0015】
これらの防虫成分には、通常用いられている効力増強剤、揮散率向上剤等の各種添加剤を任意に添加することができる。効力増強剤としては、例えばピペロニルブトキサイド、N−プロピルイゾーム、MGK−264、サイネピリン222、サイネピリン500、リーセン384、IBTA、IBTE、S421等を、揮散率向上剤としては、例えばフエネチルイソチオシアネート、ハイミツクス酸ジメチル等がそれぞれ挙げられる。
【0016】
テルペン類の化合物としては、例えばα,β−ピネン、α,β−テレピンオール、シドレン、シダロール、カンフェン、カジネン、カンファー、リモネン、シネオール、メントール、ジュージン、サビネン、ヒノキチオール、リナロール、テルペンアルコール類、テルペンエーテル類,テルペンクロライド類などが挙げられる。アルコール系化合物としては、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール等が挙げられる。
【0017】
これらの中でも防虫効果に優れ、また安全性も高いピレスロイド系化合物を用いるのが好ましい。
【0018】
その他の防虫成分として、芳香族化合物、ヒノキ科植物体の精油、マツ科植物体の精油、スギ科植物体の精油、クスノキ科植物体の精油、ミカン科植物体の精油、フトモモ科植物体の精油、シソ科植物体の精油等が挙げられる。
【0019】
芳香族化合物としては、例えばオイゲノール、アネトール、サフロール、ヒノキオール、スギオール、ヒノキフラボン等が挙げられる。
ヒノキ科植物体の精油としては、例えばヒノキ油、シーダー油、レッドシーダー油、ビャクシン油、アスナロ油、イトスギ油、クロベ油、ヒバ油等が挙げられる。
【0020】
マツ科植物体の精油としては、例えばアビエス油、テレピン油、米松油などが挙げられる。スギ科植物体の精油としては、例えばスギ油等が挙げられる。クスノキ科植物体の精油としては、例えば樟脳油、芳樟、サッサフラス油などが挙げられる。ミカン科植物体の精油としては、例えばレモン油、橙油、ベルガンモット油等が挙げられる。フトモモ科植物体の精油としては、例えば丁子油、ユーカリ油等が挙げられる。シソ科植物体の精油としては、例えばハッカ油等が挙げられる。
【0021】
これらの薬剤は、単独または複数を組み合わせて用いてもよく、その使用量(濃度)は薬剤の種類や揮散性等を考慮して、適宜、所望の効果を奏するように決定すればよい。
【0022】
さらに上記の薬剤には、例えば3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル−チオ−ジ−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、フェニル−β−ナフチルアミン、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、α−トコフェロール、アスコルビン酸、エリソルビン酸等の安定剤を適宜配合してもよい。
【0023】
上記薬剤は溶液形態に調製された上で、そのまま使用するか、適切な担体に保持させて(例えば吸液性基材に含浸させて)、粉状ないし顆粒状、ブロック状、マット、シート等の形態で使用される。また、上記薬剤はゲル形態でも使用することができる。
【0024】
前記担体(吸液性基材など)としては、例えばケイ酸、カオリン、活性炭、ベントナイト、珪藻土、タルク、炭酸カルシウム、陶磁器等の鉱物質粉末;木紛、大豆紛、小麦粉、澱粉等の植物質粉末;シクロデキストリン等の包摂化合物等が挙げられる。さらに、トリシクロデカン、シクロドデカン、パラジクロロベンゼン、ナフタリン、樟脳、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサン、トリメチレンオルボルネン等の昇華性担体を用いることもできる。
【0025】
また、マット状、フィルム状またはシート状の担体を使用する場合には、例えば無機質粉末、木質粉末、天然繊維、生分解性樹脂等の素材から作製された担体(吸液性基材など)が使用可能であり、具体的には、例えば無機質成形物の他、前記木質粉末、天然繊維、生分解性樹脂粉末もしくは繊維等の1種または2種以上をバインダーで所定形状に成形したもの、さらに紙、フェルト、不織布、石綿等が挙げられる。
【0026】
上記無機質成形物の具体例としては磁気多孔質、グラスファイバー、石綿等の無機繊維を石膏やベントナイト等の結合剤で固めたものや、カオリン、活性白土、タルク、ケイソウ土、クレー、パーライト、石膏、ベントナイト、アルミナ、シリカ、アルミナシリカ、チタニウム、ガラス質火山岩焼成粉末、ガラス質火山灰焼成粉末等の鉱物質粉末を、単体または木粉、炭粉、活性炭等と共に、バインダー、例えばデキストリン、でんぷん、アラビアゴム、合成糊、CMC等で固めたものを例示できる。
【0027】
また、天然繊維としては、例えばパルプ、綿、羊毛、絹のほか、レーヨン、アセテート等の再生繊維や半合成繊維等が挙げられる。
生分解性樹脂としては、例えばポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ(β―ヒドロキシ酪酸)等が挙げられる。
【0028】
防虫成分を基材に担持させるには、防虫成分の揮散性が損なわれない限りは、いかなる方法であってもよく、例えば防虫成分を溶解ないし分散させた液を基材に含浸、塗布、噴霧させるほか、バインダーにて基材表面に防虫成分を揮散可能に固着させるなどの方法が挙げられる。
【0029】
また揮散性防虫成分を上記担体に保持させるに際して、水道水、精製水、イオン水等の水;ナフテン、白灯油、パラフィン等の炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−オクタノール、1−ドデカノール、ラウリルアルコール、セタノール、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;アセトン、アセトフェノン等のケトン類;ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;アジピン酸ジオクチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル等のエステル類;キシレン;クロルセン;クロロホルム;シリコーンオイル等の溶剤、さらにソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンモノオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリポリオキシエチレンアルキルエーテル、デカグリセリンモノオレート、ジオレイン酸プロピレングリコール、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリルアルコール、ポリビニルピロリドン、ラノリン脂肪酸等の界面活性剤;低級アルコール、多価アルコール等の乳化・分散剤の1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
揮散性防虫成分の使用量は、タンスなどの適用空間の単位体積(リットル)当り0.05 〜20mgとなるように設定し、上記の担体に保持させて、又は上記の包装材に収納する等して用いるのが好ましい。
【0031】
さらに本発明の効果を奏する限り、殺菌成分、防黴成分、防腐成分、香料、着色料等を併用してもよい。
殺菌剤および/または防黴剤としては、例えばイルガサンDP300、ダウシルS−13、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ヒノキチオール、プリベンドールA4、プリベンドールA3、チアベンダゾール(TBZ)、ジオキシンなどが挙げられる。
【0032】
香料としては、例えばじゃ香、竜延香、アビエス油、アルモンド油、ページル油、パーチ油、カヤブチ油、シトロネラ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、レモン油、レモングラス油、ナツメッグ油、ハッカ油、オレンジ油、テレピン油、セイジ油などの天然香料、ピネン、リモネン、リナロール、ゲラニオール、シトロネラール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、アネトール、オイゲノール、アルデヒド、シトラール、シトロネラール、ワニリン、カルボン、ケトン、メントン、アセトフェノン、クマリン、シネオール、エチルアセテート、オクチルアセテート、プロピオン酸ブチル、イソ酪酸イソプロピル、カプロン酸アリル、安息香酸エチル、桂皮酸メチル、サリチル酸メチルなどの人造香料等が挙げられる。
【0033】
本発明の防虫脱臭剤の態様としては、寒水砂20〜400gを不織布等からなる1または2以上の通気性収納袋に収納し、一方、エムペンスリン等の揮散性防虫成分100〜1000mgを紙に保持させてシート状とした防虫シートをプラスチックフィルム等の非通気性のカバーで被覆した後、これらを支持部材にて支持した防虫脱臭剤が1例として挙げられる。
【0034】
図1はこのような態様の1例を示しており、揮散性防虫成分を紙などのフィルムまたはシート状の基材に含浸保持させた防虫シート1と、寒水砂20を収納した不織布からなる2つの脱臭袋2、2とが支持体3に取り付けられている。脱臭袋2、2は防虫シート1の両側に配置されている。また、防虫シート1は取り外し可能な非通気性のカバー4で被覆されている。支持体3の上部には、タンスなどの収納庫内に吊り下げるためのフック5が設けられる。
【0035】
支持体3への防虫シート1およびカバー4の取り付けは、図2に示すように、支持体3と一体に形成された挟着片6と支持体3とで挟着することによって行われる。このとき、カバー4のみを取り外しできるように、防虫シート1は上部に設けた孔21に挟着片6または支持体3の内面に設けた突起(図示せず)を挿通させ、カバー4の上端はこの突起の下方に位置するように構成されている。
【0036】
挟着片6と支持体3とは、一方に設けた係止用の爪部7を他方に設けた被係止用の孔部に係止させることによって、防虫シート1およびカバー4を介して互いに当接される。また、挟着片6と支持体3とを一体に連結する連結部8は中央部に折り曲げ可能な薄肉部が形成されており、さらにフック5の基端部が回動自在に取り付けられている。
【0037】
挟着片6には、図1に示すように、防虫成分の使用期限を表示するためのインジケーター窓9が取り付けられている。このインジケーター窓9は、内部にトリシクロ[3,3,1,13,7]デカン、イソプロピルトリオキサンなどからなる昇華型タブレットとインジケーター機能をスタートさせるための取り外し可能なシール10とが取り付けられている。なお、インジケーター窓9の取り付け位置は、外部から視認できる位置である限りは、とくに限定されない。
【0038】
また、脱臭袋2,2は、上部に設けた孔11を利用して支持体3に設けた係止用突起12に引っ掛け、支持体3と一体に形成された被係止部13を係止用突起12に向かって折り曲げて、被係止部13の挿通孔に挿通させ、突起12の先端に設けた爪(図示せず)を挿通孔の外縁部に係止させて固定する。
【0039】
このようにして防虫シート1、カバー4および脱臭袋2,2を支持体3に取り付けた後、これらを紙などで作られた外箱14内に収容する。外箱14の下部には、全周にわたって切り離し用のミシン目15が形成されている。
【0040】
容器を組み立てるには、図2に示すように、防虫シート1、カバー4および脱臭袋2、2を支持体3に取り付けた後、支持体3を外箱14内に収容し、蓋部16に設けた開口17からフック5を突出させ、蓋部16を折り曲げて、先端の舌部18を差し込み口19に差しこみ、必要なら接着して、外箱14の組み立てを完了する。
【0041】
使用時には、図3に示すように、切り離し用のミシン目15にて外箱14の下部を切り離して、外箱14の底部を開口させ、ついで防虫シート1のカバー4を下に引っ張って防虫シート1を露出させる。さらに、インジケーター窓9のシール10を引き抜いてインジケーター機能をスタートさせる。この状態でフック5にて容器をタンスなどのバーに吊り下げる。
【0042】
これにより、防虫シート1から防虫成分が揮散して防虫効果が得られると共に、脱臭袋2,2内に収容された寒水砂20によりタンス等の収納庫内の悪臭を除去することができる。
この例に示すように、揮散性防虫成分と寒水砂とを別々の通気性のある包装材に収納した状態とすることにより、防虫・脱臭の両機能を十分に発揮することができる。
【0043】
防虫シートに代えて、担体(基材)に揮散性防虫成分を保持させた粒状物等を不織布等からなる通気性袋に収納したものを使用してもよい。また、支持部材に支持される寒水砂入り通気性袋および防虫シートまたは防虫成分入り通気性袋はそれぞれ1つに限定されるものではなく、2個またはそれ以上の個数のものを使用してもよい。
通気性袋を使用する場合、2室またはそれ以上の室に仕切られた収納袋を使用し、防虫成分および寒水砂を別々の室に収容してもよい。
【0044】
本発明の実施態様は上記の例に限られるものではなく、本発明の効果を損なわない限り、揮散性防虫成分と寒水砂を同じ担体に保持させてシート状としたり、両者を例えば粉状ないし粒状物の形態で混合して使用することもできる。
【0045】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
(1) 脱臭成分による吸着量の評価
表1に記載した脱臭成分1.6gを不織布の袋に収納したものと、10mm×30mmのコースター紙に24mgのエムペンスリンを含浸させたものとを、底面積約530cm2、高さ35cmの容器内に吊るし、蓋をして密封し40℃条件下に置いた。
1週間後に脱臭成分に吸着されたエムペンスリンをソックスレイ抽出にて抽出し、ガスクロマトグラフにて吸着量を分析した。そして、エムペンスリンの総揮散量に対する脱臭成分への吸着量の割合から吸着率(%)を求めた。その結果を表1に併せて示す。
【表1】
表1から、寒水砂はエムペンスリンの吸着率が0%であり、他の脱臭成分と比べてエムペンスリンを吸着しない作用に優れていることがわかった。一方、これとは別に行った脱臭試験の結果、寒水砂のホルムアルデヒドおよびイソ吉草酸に対する脱臭(消臭)効果は、約17時間経過後でベントナイトおよびゼオライトと同等か、それ以上であった。
【0047】
(2) 防虫効果の評価
(検体の調製)
図1〜3に示すような形態からなる防虫脱臭剤(実施例)を作製した。防虫成分としてはエンペンスリン600mgを50mm×180mmのパルプ製含浸体に保持させ、その両側に寒水砂を100mgずつ収納した2つの脱臭袋を配置した。
一方、比較のために、エンペンスリン650mgを125mm×55mmのシートに含浸させた市販の防虫剤(比較例)を使用した。
(試験方法)
模擬タンス(容積500Lのダンボール箱)の中に10着のスーツを吊るし、さらに左右5着ずつのスーツの中央に実施例または比較例にかかる検体を吊るした状態で25℃の条件下においた。そして、左端から1,5,6,10着目のスーツの襟、裾、背中の3ヶ所にイガ10匹(30日齢幼虫)と羊毛を入れたナイロンメッシュ袋を設置した。また模擬タンス床面3ヶ所にも、同様にナイロンメッシュ袋を設置した。以上の条件によるイガの致死率(%)を経時的に調べた。その結果、実施例の防虫脱臭剤は比較例と同等の防虫効果を2ヶ月間持続して発揮していることが確認された。
【0048】
【発明の効果】
本発明の防虫脱臭剤によれば、脱臭成分としての寒水砂は揮散性防虫成分を吸着することがないので、防虫、脱臭の両機能を同時に発揮することができ、それによって衣類等の繊維製品を害虫から守るなどの防虫作用を発揮しつつ、繊維製品やその周囲雰囲気の臭を軽減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防虫脱臭剤の一使用態様を示す斜視図である。
【図2】図1の使用態様にかかる容器の組み立て方法を示す説明図である。
【図3】 (a)〜(c)は図1の使用態様にかかる容器の使用方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1…防虫シート、2…脱臭袋、4…カバー、5…フック、6…挟着片、15…ミシン目、20…寒水砂
Claims (2)
- 揮散性防虫成分であるエムペンスリンと寒水砂とを併用したことを特徴とする防虫脱臭剤。
- 揮散性防虫成分であるエムペンスリンと寒水砂が別々の包装材に収納されている請求項1記載の防虫脱臭剤。
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