JP4226143B2 - 触媒燃焼装置及びその燃焼制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に発熱源や暖房用などに用いられる、気体燃料または液体燃料を触媒燃焼させる触媒燃焼装置において、特に高温耐久性の向上と可変燃焼量幅の拡大技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料に対して酸化活性を有する触媒体を用いてその表面で触媒反応を行う触媒燃焼装置は従来より多数提案されているが、その燃焼方式には図1に示すような予混合気型の構成が一般的であった。
【0003】
図1に示す従来の予混合気型では、1の燃料供給バルブから供給された燃料ガスは、2の空気供給バルブより供給された空気と予混合室3で混合され、予混合気入口4から予熱バーナ5に送られる。予混合気は、点火装置6により点火され、予熱バーナ5に火炎を形成する。火炎により生じた高温の排気ガスは燃焼室7内に設けられた触媒体8を加熱しながら通過し、排気口9より排出される。触媒体8が昇温され、触媒活性温度となると、一旦燃料供給バルブ1により燃料の供給を停止し、予熱バーナ5に形成された火炎を消滅させる。その後、直ちに燃料を再供給することにより、触媒燃焼を開始する。触媒体8は高温状態となり、触媒体8上流に対向する位置に設けられたガラス10を通して輻射放熱するとともに、排気ガスとして放熱することで加熱、暖房や乾燥を行っていた。上記予混合気型では、常に空気過剰率(燃料の完全酸化反応に必要な理論空気量に対する実空気量の比)1以上の予混合気が触媒体8に供給され、触媒体8は過剰な酸素が存在する雰囲気で使用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の触媒燃焼装置では、触媒体の反応中心位置で常に酸素が共存する高温雰囲気が形成され、触媒成分の熱劣化が避けられないものであった。一般的に燃焼用触媒としてはPt,Pd,Rhなどの白金族系金属が耐熱性や反応活性の点から用いられることが多いが、800〜900℃にも至る高温では、貴金属粒子の凝集や蒸散などによる活性点の減少により、長時間安定した燃焼性能を得ることが困難であった。予混合気型の触媒燃焼装置では、活性低下によって反応中心位置が触媒体の下流側へと移行し、完全燃焼が維持できなくなったり、上流側表面からの輻射熱を利用するものでは使用時間の増加とともに輻射熱量が低下することにもなる。
【0005】
本発明は、このような従来の触媒燃焼装置の高温耐久性の問題と可変燃焼量幅の狭さを考慮し、高温耐久性の向上と可変燃焼量幅の拡大を実現できる触媒燃焼装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、上流側に設けられた、燃料と空気の混合気入口と、下流側に設けられた排ガス出口と、多数の連通孔を有する基材に酸化触媒を担持させた第一の触媒体が配置された一次燃焼室と、前記一次燃焼室の下流側に設けられた、混合気または空気の二次供給口と、その二次供給口の下流に設けられ、第二の触媒体が配置された二次燃焼室とを備え、
燃焼する際、燃焼初期に前記二次燃焼室の第二の触媒体が所定温度未満の場合、前記一次燃焼室の空気過剰率は、1以上として燃焼し、
前記二次燃焼室の第二の触媒体が所定温度以上に昇温すると、前記一次燃焼室の空気過剰率は、1未満として燃焼し、
前記第一の触媒体の酸化触媒は、PtもしくはRh、またはPtもしくはRhを主体とする材料で構成され、
前記第一の触媒体は、CeO2またはZrO2の一方あるいは両者を主成分として含む触媒燃焼装置である。
又、第2の本発明は、前記所定温度とは、前記二次燃焼室における燃料成分が酸化される割合が、あるいは排ガス中における可燃成分濃度が、所定のレベルとなる温度である第1の本発明の触媒燃焼装置である。
又、第3の本発明は、前記第二の触媒体は、多数の連通孔を有する基材に酸化触媒を担持させたものである、第1または2の本発明の触媒燃焼装置である。
又、第4の本発明は、前記第一の触媒体の酸化触媒がPtを主体とする材料で構成され、前記第二の触媒体がPdを主成分とした材料で構成され、前記所定温度を500℃とする第3の本発明の触媒燃焼装置である。
又、第5の本発明は、前記二次燃焼室に供給する空気は、前記二次燃焼室の排気ガスにより加熱されることにより予熱されることを特徴とする第1〜4のいずれかの本発明の触媒燃焼装置である。
又、第6の本発明は、前記混合気入口から供給される混合気の空気過剰率は、前記燃料の供給量の減少とともに減少させることを特徴とする第1〜4のいずれかの本発明の触媒燃焼装置である。
又、第7の本発明は、前記混合気入口から供給される混合気の燃料の供給量は実質上一定として空気量のみ増減させるとともに、少なくともその増減量相当分の空気を前記二次供給口から供給することを特徴とする第1〜4のいずれかの本発明の触媒燃焼装置である。
又、第8の本発明は、前記第一の触媒体の基材の熱伝導率が10W/m・℃以上であることを特徴とする第1〜4のいずれかの本発明の触媒燃焼装置である。
又、第9の本発明は、前記PtまたはPtを主体とする酸化触媒を担持させた触媒体は、PtまたはPtを主体とする酸化触媒層と、RhまたはPdを主体とする酸化触媒層とが積層して設けられていることを特徴とする第1の本発明の触媒燃焼装置である。
又、第10の本発明は、前記PtまたはPtを主体とする酸化触媒層に対して積層される前記RhまたはPdを主体とする酸化触媒層は、下流側に部分的に設けられていることを特徴とする第9の本発明の媒燃焼装置である。
又、第11の本発明は、前記燃焼する際、前記一次燃焼室の空気過剰率を1未満として燃焼する方法として、
前記一次燃焼室の空気過剰率を変動させて、前記触媒体の近傍に設けられた温度検知部により前記触媒体の温度が最高となる空気過剰率を判定しておき、前記空気過剰率より低い空気過剰率領域で前記一次燃焼室の燃焼を行うことを特徴とする第1の本発明の触媒燃焼装置である。
【0007】
又、第12の本発明は、上流側に設けられた、燃料と空気の混合気入口と、下流側に設けられた排ガス出口と、多数の連通孔を有する基材に酸化触媒を担持させた第一の触媒体が配置された一次燃焼室と、前記一次燃焼室の下流側に設けられた、混合気または空気の二次供給口と、その二次供給口の下流に設けられ、第二の触媒体が配置された二次燃焼室とを備えた触媒燃焼装置の燃焼制御方法であって、
燃焼する際、燃焼初期に前記二次燃焼室の第二の触媒体が所定温度未満の場合、前記一次燃焼室の空気過剰率は、1以上として燃焼し、
前記二次燃焼室の第二の触媒体が所定温度以上に昇温すると、前記一次燃焼室の空気過剰率は、1未満として燃焼し、
前記第一の触媒体の酸化触媒は、PtもしくはRh、またはPtもしくはRhを主体とする材料で構成され、
前記第一の触媒体は、CeO2またはZrO2の一方あるいは両者を主成分として含む触媒燃焼装置の燃焼制御方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明及び本発明に関連する発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図2は本発明に関連する発明の第一の実施の形態の要部断面図であり、その構成を作用とともに説明する。すなわち、1の燃料供給バルブから供給された燃料ガスは、空気供給バルブ2より供給された空気と予混合室3で混合され、混合気入口4から予熱バーナ5に送られる。混合気は、点火装置6により点火され、予熱バーナ5に火炎を形成する。火炎により生じた高温の排気ガスは一次燃焼室11内に設けられた、PtもしくはRh、またはPtもしくはRhを主体とする酸化触媒を多数の連通孔を有する基材に担持させた、一次燃焼室としての第一の触媒体12を加熱しながら通過し、二次混合気または空気の供給部13から供給される混合気と混合され、下流の二次燃焼室14を通過し、排気口9より排出される。第一の触媒体12が昇温され、燃料に対する触媒活性温度となると、一旦燃料供給バルブ1により燃料の供給を停止し、予熱バーナ5に形成された火炎を消滅させる。その後、直ちに燃料を再供給することにより、触媒燃焼を開始するようになっている。第一の触媒体12は高温状態となり、第一の触媒体12上流に対向する位置に設けられたガラス10を通して輻射放熱するとともに、排気ガスとして放熱することで加熱、暖房や乾燥を行う。
【0009】
ここで、所定の条件を満足する場合、予混合室3に供給される燃料ガスと空気からなる混合気の空気過剰率は1未満となっており、第一の触媒体12においては空気がやや不足する条件、すなわち還元雰囲気となっている。したがってここでの燃焼排ガスは、未燃焼の燃料ガス、部分酸化生成物としてのCO、H2、各種炭化水素と、完全燃焼生成物のCO2と水とN2が含まれたものとなっている。この第一の触媒体12通過後の排ガスに対して、二次混合気または空気の供給部13から空気が供給される。空気の量は、二次燃焼室14で完全燃焼させるために二次燃焼室14の入口で空気過剰率1以上とすることが望ましい。図2に示す構成のように、二次燃焼室14内には炎口15が設けられており(炎口15等で二次燃焼室が構成される)、ここに着火して(着火手段は特に図示せず)火炎を形成すると、未燃焼生成物や部分酸化生成物も完全燃焼され、排気口9からはクリーンな完全燃焼排ガスが放出されることになる。
【0010】
なお、予熱バーナ5上に火炎を形成するのと同時に炎口15にも火炎を形成し、即座に未燃焼生成物や部分酸化生成物の完全燃焼を実現することが可能となる。また、二次混合気または空気の供給部13からは、空気のみの供給でもよいが、空気過剰な燃料と空気の混合気を供給してもよく、二次燃焼室14での完全燃焼を維持するのに必要十分な燃料を追加供給することも可能である。
【0011】
この条件で使用される第一の触媒体12に担持される触媒成分は、少なくとも、PtもしくはRh、またはPtもしくはRhを主体とする酸化触媒であることが望ましく、この場合には熱劣化の抑制と可変燃焼量幅の拡大が同時に得られる。ここで、Pt又はRhを主体とするという意味は、少なくとも主に触媒反応に寄与する活性成分としてPt又はRhが含まれているということを意味する。
【0012】
また、本発明に関連する発明及び以下の本発明では、第一の触媒体に供給されるガスの空気過剰率λが1未満であるということを、空気過剰率λを燃焼量一定条件下で変動させて、触媒上流の最高温度(上流温度で代表されることが多い)が最も高くなる位置を空気過剰率が1近傍であるものと判定し、それよりも空気過剰率が低くなる領域で燃焼させるようにしている。通常PtまたはPtを主体とする酸化触媒を用いた触媒燃焼では、燃焼量一定で空気過剰率λを変動させると、触媒最高温度は図5に示すように空気過剰率λ=1近傍で最も高くなるため、適宜空気過剰率λを変化させ、触媒上流温度を図2に示す温度センサ20等でモニターする操作を組み入れることにより、空気過剰率λを1未満に制御することが可能となる。なお、この構成に関する詳細な効果は後述する。
(実施の形態2)
発明にかかる実施の形態は、基本構成と作用は実施の形態1と同様であるが、二次燃焼室14の内部構成が異なる。したがってその構成の相違点を中心に作用とともに説明する。図3は、本発明第二の実施の形態の要部断面図である。二次燃焼室14には、セラミックスハニカムにPdを担持した、二次燃焼室としての第二の触媒体16を設置しており、その上流面近傍には電気ヒータ17が添装されており、またその近傍には温度センサ18が設置されている。
【0013】
上記構成において、定常燃焼時には実施の形態1と同様に、未燃焼成分を含む排ガスが第二の触媒体16に至り、ここで火炎を形成せずに触媒燃焼させることが可能となり、窒素酸化物の生成もなく、また希薄な可燃物濃度でも確実に酸化浄化することが可能となる。また、第二の触媒体16近傍に電気ヒータ17を添装して加熱することにより、第二の触媒体16を常時活性温度以上に維持することが可能となる。特に炭化水素成分の中でも反応しにくいメタンが燃料成分や未燃焼成分として存在する場合には、図6に示すメタン酸化活性の温度依存性からも推測されるように、第二の触媒体16を500℃程度以上に維持することが必要となるが、この電気ヒータ17によって、第一の触媒体12での燃焼量に関わりなくその第二の触媒体16の温度を制御できることから、常にクリーンな排ガスを確保することができる。このような加熱手段は本実施の形態のように電気加熱に限定されるものでなく、第二の触媒体16の上流近傍に別途形成される火炎加熱手段を用いてもよい。
【0014】
また、上記加熱手段を用いずに、低燃焼量時などのように、第二の触媒体が500℃以下になり、浄化作用が不十分、すなわち燃焼率が95%以下となるような条件下では、空気過剰率を1以上として完全燃焼させることも可能である。
【0015】
また、一次燃焼室11に供給される混合気の空気過剰率λを変化させて反応する燃料の割合を制御することにより、第一の触媒体12の温度制御をするとともに第二の触媒体16を500℃以上に保持して二次燃焼を電気ヒータ17無しに実現することも可能となる。すなわち、低燃焼量すなわち燃料供給速度が小さく第一の触媒体12および第二の触媒体16の温度が低くなる条件の場合に、一次燃焼室11に対する混合気の空気過剰率λを意図的に低下させ、一次燃焼室11における未燃焼分の割合を増加させ、それによって二次燃焼室14において燃焼する量を増加させることにより、第二の触媒体16の温度を高く維持することができる。また同様の効果は、燃焼量一定のままで一次燃焼室11における空気過剰率λを増加させるとともに、少なくとも一次燃焼室11における増量相当分の空気を二次燃焼室14に減少供給することによっても得ることができる。あるいは、空気過剰率λを減少させるとともに、少なくとも一次燃焼室11における減少相当分の空気を二次燃焼室14に追加供給することによっても得ることができる。すなわち、一次燃焼室1における空気過剰率λを比較的小さくなるように制御すると、第一の触媒体12の温度は比較的低温となり、未燃成分量は第二の触媒体16で完全燃焼されるようになり、第二の触媒体16の温度は高温に維持されることになる。一方、一次燃焼室11における空気過剰率λが比較的大きくなるように制御すると、第一の触媒体12の温度が比較的高温となり、第二の触媒体16も排ガスによって加熱されるため、第二の触媒体16の温度も500℃以上に保持することができる。
【0016】
これらの操作は実施の形態1にも適用することが可能である。また、第一の触媒体12の火炎予熱時など、第二の触媒体16が十分に昇温していない場合には、二次混合気または空気の供給部13から空気を追加供給して1以上としても、未燃焼成分を十分浄化することができない。そこで、第二の触媒体16が浄化作用に十分な温度に至るまでの間は、電気ヒータ17や別途設ける加熱バーナなどで予熱したり、あるいは予混合室3に供給する混合気の空気過剰率を1以上として、予熱バーナ5での完全燃焼火炎で加熱するなどの手段を用いることにより、燃焼初期からの完全浄化が可能となる。
【0017】
ここで、上記浄化作用に十分な温度とは、少なくとも触媒でCOが95%以上酸化されるか、排ガス中に含まれるCO濃度が50ppm以下となる温度(約200℃以上)であり、好ましくは燃料成分が95%以上酸化されるか、排ガス中に含まれる可燃成分濃度が1000ppm以下となる温度(約500℃以上)である。
【0018】
なお、本実施の形態には第二の触媒体16にPdを主体とする触媒を用いたが、空気過剰条件下でのメタン、CO,H2の酸化活性に優れる、白金族系金属を無機酸化物に担持した触媒、遷移金属触媒、あるいは複合酸化物触媒などいずれから選択しても構わない。
【0019】
なお、この構成に関する詳細な効果は後述する。
(実施の形態3)
本実施の形態は、基本構成と作用は実施の形態2と同様であるが、二次燃焼室14、あるいは前記二次燃焼室14から排気口9に至る沿道に排熱回収部19を設けている点で構成が異なる。したがってその構成の相違点を中心に作用とともに説明する。図4は、本発明第三の実施の形態の要部断面図である。前記二次燃焼室14から排気口9に至る沿道に設けられた排熱回収部19は、二次燃焼室14から得られる熱および排気ガスに含まれる熱を回収すると同時に二次混合気または気の供給部13から供給される空気または混合気を予熱し、第二の触媒体16の加熱に必要とする熱量を大幅に低減することが可能となる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例7、及び本発明に関連する発明の実施例1〜6、8〜10について述べる。
(実施例1)セラミックス製ハニカム(材質コージライト、400セル/inch2、壁厚0.15、φ50、長さ20)を、1000℃で1時間予備焼成したCe/BaO・Al23粉末100g、硝酸アルミニウム9水塩10g、水130g、Ptジニトロジアンミン塩水溶液をPt換算で2g、を加えてなるウォッシュコートスラリーAに含浸し、乾燥後、500℃で焼成して、Pt3g/L(ハニカム嵩容積)相当担持することにより、第一の触媒体12を形成した。
【0021】
次に、セラミックス製ハニカム(材質コージライト、400セル/inch2相当、壁厚0.15、φ20、長さ10)を、1000℃で1時間予備焼成した活性アルミナ粉末100g、硝酸アルミニウム9水塩10g、水130g、Pdジニトロジアンミン塩水溶液をPd換算で2g、 を加えてなるウォッシュコートスラリーBに含浸し、乾燥後、500℃で焼成して、Pd3g/L相当担持することにより、第二の触媒体16を形成した。次に、図3に示す触媒燃焼装置に上記で得た第一の触媒体12および第二の触媒体16を装着した。燃料に都市ガス13Aを用い、一次燃焼室11に供給される予混合気の空気過剰率λを0.95とした。供給13からの予混合気又は空気の供給については、二次燃焼室14へ予混合気又は空気を供給13から追加した後の混合気の総合の空気過剰率λが1.2となるようにした。第二の触媒体16は、電気ヒータ17を制御することにより、定常時に500℃以上となるように設定されている
(実施例2)金属製ハニカム(材質FeCrAl、400セル/inch2相当、壁厚0.15、φ50、長さ20)を、実施例1で用いたものと同様のウォッシュコートスラリーAに含浸し、乾燥後、500℃で焼成して、Pt3g/L相当担持することにより、第一の触媒体12を形成した。次に、図3に示す触媒燃焼装置に、上記で得た第一の触媒体12と実施例1と同様にして得た第二の触媒体16を装着した。一次燃焼室11に供給される予混合気の空気過剰率の制御、二次燃焼室14に供給される空気供給量の制御、および第二の触媒体16に対する温度制御は実施例1と同様に行った。
(実施例3)実施例1と同様に、第一の触媒体12を形成した。次に図2に示す触媒燃焼装置に第一の触媒体12を装着した。一次の混合気の空気過剰率は実施例1と同様に0.95とした。炎口15から二次燃焼室14へ供給される都市ガスの燃焼量は40kcal/hとし、都市ガスと空気からなる二次の混合気の空気過剰率は、一次燃焼室11からの排気ガスと混合されて総合してλ=1.2となるように設定した。
(実施例4)実施例1と同じ構成の触媒燃焼装置を用い、一次燃焼室11においては、図12、図13に示すように燃焼量が小さくなるほど空気過剰率λが小さくなるように燃料供給量および空気供給量を制御した。二次燃焼室14には、二次燃焼室14入口で一次排ガスと混合された後の総合の空気過剰率λが1.2となるように空気供給量を制御した。
(実施例5)実施例1と同じ構成の触媒燃焼装置を用い、一次燃焼室11に供給される都市ガス13Aを400kcal/h一定とし、一次燃焼室11に供給される空気量を増減させた。二次燃焼室14には、二次燃焼室14入口で一次排ガスと混合された後の総合の空気過剰率λが1.2となるように空気供給量を制御した。
(実施例6)実施例1と同じ構成の触媒燃焼装置を用い、都市ガス13Aの供給量が180kcal/h未満の場合には一次燃焼室11に供給される混合気の空気過剰率λが1.2となるように空気量を制御し、180kcal/h以上では空気過剰率λが0.95となるように、かつ二次燃焼室14では二次燃焼室14入口で一次排ガスと混合された後の総合の空気過剰率λが1.2となるように空気供給量を制御した。
(実施例7)実施例1と同じ構成の触媒燃焼装置を用い、温度センサ18が第二の触媒体16の上流温度が200℃になるのを検知するまでは、都市ガス13A=400kcal/h、空気過剰率λ=1.2の条件下で形成された火炎によって第一の触媒体12を予熱し、200℃になるのを検知した後は、一次燃焼室11に供給される空気過剰率λが0.95となるように空気供給量を制御した。定常時の一次燃焼室11に供給される予混合気の空気過剰率の制御、二次燃焼室14に供給される空気供給量の制御、および第二の触媒体16に対する温度制御は実施例1と同様に行った。
(実施例8)セラミックス製ハニカム(材質コージライト、400セル/inch2相当、壁厚0.15、φ50、長さ20)を、実施例1で用いたのと同様のウォッシュコートスラリーAに含浸し、乾燥後、500℃で焼成して、Pt2g/L相当担持し、次いで実施例1で用いたものと同様のウォッシュコートスラリーBに含浸、乾燥後、500℃で焼成することにより、図7に示すようなPd1g/L相当をPt担持層上に積層担持させた第一の触媒体12を形成した。次に、図3に示す触媒燃焼装置に上記で得た第一の触媒体12および実施例1と同様にして得た第二の触媒体16を装着した。一次燃焼室11に供給される予混合気の空気過剰率の制御、二次燃焼室14に供給される空気供給量の制御、および第二の触媒体16に対する温度制御は実施例1と同様に行った。
(実施例9)セラミックス製ハニカム(材質コージライト、400セル/inch2相当、壁厚0.15、φ50、長さ20)を、実施例1で用いたのと同様のウォッシュコートスラリーAに含浸し、乾燥後、500℃で焼成して、Pt2.8g/L相当担持し、次いで実施例1で用いたものと同様のウォッシュコートスラリーBに上記ハニカム面の一端部を含浸させ、乾燥後、500℃で焼成することにより、図8に示すようなPd0.2g/L相当をPt担持層上に部分的に(端面より約3mmの位置まで)積層担持させた第一の触媒体12を形成した。次に、図3に示す触媒燃焼装置に上記で得た第一の触媒体12および実施例1と同様にして得た第二の触媒体16を装着した。一次燃焼室11に供給される予混合気の空気過剰率の制御、二次燃焼室14に供給される空気供給量の制御、および第二の触媒体16に対する温度制御は実施例1と同様に行った。なお、Pdの代わりにRhでもかまわない。
(実施例10)セラミックス製ハニカム(材質コージライト、400セル/inch2相当、壁厚0.15、φ50、長さ20)を、500℃で1時間予備焼成したZrO2粉末100g、水100g、Ptジニトロジアンミン塩水溶液をPt換算で2g、を加えてなるウォッシュコートスラリーCに含浸し、乾燥後、500℃で焼成して、Pt3g/L(ハニカム嵩容積)相当担持することにより、第一の触媒体12を形成した。次に、図3に示す触媒燃焼装置に上記で得た第一の触媒体12および実施例1と同様にして得た第二の触媒体16を装着した。一次燃焼室11に供給される予混合気の空気過剰率の制御、二次燃焼室14に供給される空気供給量の制御、および第二の触媒体16に対する温度制御は実施例1と同様に行った。
(比較例1)実施例1と同様にして得たPtを担持した触媒体8を図1に示す構成の触媒燃焼装置に装着した。空気過剰率λ=1.2一定とした。
(比較例2)セラミックス製ハニカム(材質コージライト、400セル/inch2相当、壁厚0.15、φ50、長さ20)を、1000℃で1時間予備焼成したCe/BaO・Al23粉末100g、硝酸アルミニウム9水塩10g、水130g、Pdジニトロジアンミン塩水溶液をPd換算で2g、 を加えてなるウォッシュコートスラリーDに含浸し、乾燥後、500℃で焼成して、Pd3g/L相当担持することにより、触媒体8を形成した。次に、比較例1と同様に図1に示す構成の触媒燃焼装置に上記で得た触媒体8を装着した。比較例1と同様に空気過剰率λを1.2に設定した。
(比較例3)比較例2における触媒体8と同様に形成した第一の触媒体12、および実施例1と同様に形成した第二の触媒体16を図3に示す構成の触媒燃焼装置に装着した。一次燃焼室11に供給される予混合気の空気過剰率の制御、二次燃焼室14に供給される空気供給量の制御、および第二の触媒体16に対する温度制御は実施例1と同様に行った。
(比較例4)セラミックス製ハニカム(材質コージライト、400セル/inch2相当、壁厚0.15、φ50、長さ20)を、1000℃で1時間予備焼成したCe/BaO・Al23粉末100g、硝酸アルミニウム9水塩10g、水130g、Pdジニトロジアンミン塩水溶液をPd換算で0.7g、Ptジニトロジアンミン塩水溶液をPt換算で1.3g加えてなるウォッシュコートスラリーEに含浸し、乾燥後、500℃で焼成して、Pd1g/L、Pt2g/L相当を同時担持することにより、第一の触媒体12を形成した。次に実施例1と同様に第二の触媒体16を形成した。次に、図3に示す構成の触媒燃焼装置に上記で得た第一の触媒体12および第二の触媒体16を装着した。一次燃焼室11に供給される予混合気の空気過剰率の制御、二次燃焼室14に供給される空気供給量の制御、および第二の触媒体16に対する温度制御は実施例1と同様に行った。(比較例5)実施例2における第一の触媒体12と同様に形成したPtを担持した触媒体8を用い、図1に示す構成の触媒燃焼装置に装着した。空気過剰率λ=1.2と一定とした。
【0022】
上記実施例1〜10および比較例1〜5において、流れ方向の触媒層温度分布、触媒燃焼を開始するまでの予熱時間、予熱後および定常時の排ガス成分、および燃焼継続可能な最低燃焼量(低温限界燃焼量)等を調べた。流れ方向の触媒層温度分布は熱電対を走査することによって測定した。また、予熱時間は所定時間予熱後、再度混合気を供給し、触媒燃焼の開始の可否によって判断した。また、排ガス成分はHC(全炭化水素)−CO−CO2メータによって測定した。また、低温限界燃焼量は実施例1〜3、6〜9、比較例1〜4は空気過剰率λを一定とし、燃焼量を変化させて燃焼継続を6時間確認して判断した。実施例4は前記記載の方法で燃焼量を変化させた。燃焼寿命試験は、実施例1、2、9、10および比較例1〜4について行った。実施例1、9および比較例1〜4では燃焼量(都市ガス供給量)400kcal/h条件下で、実施例1、2、10および比較例5は550kcal/h条件下で行った。触媒上流温度の経時変化は輻射温度計によって測定した。
[触媒上流温度経時変化]
図9、図10に実施例1、2、9、10および比較例1〜5の、各条件下における燃焼寿命試験最高1000時間までの触媒上流温度の経時変化を示す。図9は、燃焼量400kcal/h条件下における結果である。空気過剰率1.2条件下で試験を行った比較例1、2では、初期より急激に上流温度の低下が観測され、顕著な劣化が見られた。比較例2では約100時間経過後から触媒温度の上昇と下降を繰り返す、Pdに固有の(または特徴的な)振動現象が観察された。一方、空気過剰率1未満で第一の触媒体12を燃焼させた実施例1、9では、初期の触媒上流温度が1050℃と高温であるのにも関わらず、活性変化はわずかであり、還元状態ではPtが劣化しにくいことが判明した。しかしながらPdを主体とする第一の触媒体12を用いて空気過剰率1未満で試験を行った比較例3では、500時間までに触媒上流温度が極端に低下した。同様にその他の単独貴金属触媒粒子について試験したが、空気過剰率1未満における耐熱寿命の改善効果についてはPtが最も好ましかった。また、Rhについては、本実施例における空気過剰率λ=0.95の条件下ではPtに劣るが、さらに低い空気過剰率条件下では、Ptと同等の耐熱寿命性能を示した。本発明及び本発明に関連する発明にはPtもしくはRh、またはPtもしくはRhを主体とする酸化触媒を燃焼室に用いることで空気過剰率が1未満における改善効果が得られるものといえる。また、PtとPdを混合した比較例4はPdよりも耐久性に劣る結果となった。
【0023】
図10は、燃焼量を550kcal/hまで増加させた時の実施例1、2、10および比較例5における燃焼寿命試験結果を示している。コージライト製ハニカムを用いた実施例1、10では初期の触媒上流温度は1150℃に達した。実施例1では1000時間までに触媒上流温度は約100℃の低下したのに対し、実施例10では、約50℃の低下を示すのみであった。実施例1ではPtの担体にCe・Ba添加Al23を用いているのに対し、実施例10ではZrO2を用いている相違がある。この理由については現在明らかではないが、PtとZrO2の相互作用が関係あるものと推測される。同様の効果はPtの担体にCeO2を用いた場合にも見られた。また、金属製ハニカムを用いた実施例2および比較例5の場合には、初期の触媒上流温度はコージライト製ハニカムの場合と比較して約150℃低下した1000℃であった。比較例5では触媒上流温度は約850℃まで低下したのに対して、実施例2における触媒上流温度は初期と変化がなく、約1000℃を維持した。コージライトに比較して熱伝導性に優れた耐酸化性金属製ハニカムを用い、それにPtを主体とした触媒を担持し、空気過剰率1未満で燃焼させることにより、より高い燃焼負荷(単位面積あたりの燃料供給量)で燃焼させることが可能となることがわかった。
[触媒層の流れ方向の温度分布]
また、実施例1と実施例2における、触媒層の流れ方向の温度分布(550kcal/h条件下、および実施例1については400kcal/h条件下も図示)を図11に示す。第一の触媒体12の基材に金属製ハニカムを用いた実施例2では、コージライト製ハニカムを用いた実施例1に比べて温度分布が緩やかであった。すなわち、金属製ハニカムを用いることにより、コージライト製ハニカムに比べて最高温度の局所的高温化抑制しつつ、下流温度を高温化する事が出来る。第二の触媒体16の最高温度は、第一の触媒体12における下流温度の影響を直接的に受けるため、第二の触媒体の温度を500℃以上に保つためには、本発明に関連する発明の実施例2のように、第一の触媒体の基材として、この分野で汎用されるコージライト(1〜2W/m・℃)に比較して、本発明の実施例2で用いたような、金属などの熱伝導率が10W/m・℃以上の、熱伝導率が高い材料を用いることが有効であることが示された。金属ハニカム用の基材には、比較的耐酸化性に優れたAlを3%以上含むフェライト系ステンレスが好ましく、同様に熱伝導性がコージライト基材よりも高く、純アルミナ焼結体よりも耐熱衝撃性が高いSiCなどのセラミックス基材を用いてもよい。
[予熱時間]
表1には、燃焼量250kcal/h条件下、触媒燃焼を開始するのに要する最低の予熱時間を調べた結果を示す。
【0024】
【表1】
Figure 0004226143
実施例1では、第一の触媒体12と触媒体8が同じ組成である比較例1に比べて大幅に予熱時間が短縮された。第一の触媒体12が予熱される速度は大差ないか、あるいは実質燃焼量は比較例1のほうが高いのにも関わらず、還元雰囲気によって触媒上での反応性が向上し、より短時間で触媒燃焼の開始が可能となったものと推測される。また、実施例8、9のように、Pt層とPd層を積層した第一の触媒体12を用いた場合は、さらに大幅に短縮された。比較例3の結果からわかるように、Pd単独では、実施例1のPtに比べて、還元雰囲気でもより短持間で触媒燃焼を開始することが可能であった。燃焼寿命については前記のようにPd単独の比較例3、あるいはPtとPdが同一層内に存在する比較例4では充分でなく、したがって本発明に関連する発明の実施例8、9のようにPd層をPt層と積層して設けた第一の触媒体12を還元雰囲気で用いることにより、長寿命化および予熱時間の短縮化が可能となる。同様の効果はRhを用いた場合でも見られた。また、図8に示すように、Pd層またはRh層は温度が低く劣化が過小となる下流側に部分的に設けるほうが、燃焼寿命的にもコスト的にも有利となる。
[低温限界燃焼量]
次に本発明に関連する発明の実施例1、2および比較例1、2、3において低温限界燃焼量を測定した結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
Figure 0004226143
本発明に関連する発明の実施例1および比較例3では、低温限界燃焼量が最も小さかった。これは空気過剰率の減少により流速が小さくなるとともに、それ以上にPtやPdが還元的に活性化されている、あるいは燃焼機構が異なっているためと考えられる。同様に金属基材を用いた実施例2でも同様の構成で空気過剰率λ=1.2条件下の比較例4に比べて格段に低温限界が低温化した。すなわち、空気過剰率1未満で燃焼させることによりTDRが拡大できるものと考えられる。
【0026】
次に本発明に関連する発明の実施例1と実施例4について比較する。実施例4では図12に示すように一次燃焼室11入口における空気過剰率が燃焼量の低下とともに低下するように制御されているため、低燃焼量になるほど未燃焼成分の割合が増加し、第二の触媒体16で燃焼する。そのため、実施例1に比較して低い燃焼量では第一の触媒体12の上流温度は低下し、第二の触媒体16の温度は上昇した。このような制御を用いることにより、ヒータなどの加熱手段を用いることなく、未燃焼成分やCOの浄化が可能となった。低温限界燃焼量は、実施例4では実施例1と比較して触媒上流温度が低下するにもかかわらず、実施例1と同じく60kcal/hであった。これは、実施例4では、実施例1よりも60kcal/hにおける一次燃焼室11入り口における空気過剰率が低くなるように制御されているため、燃焼率および触媒上流温度は低下するが、図13に示すように、低温限界燃焼量も空気過剰率λの減少に伴い低下するためである。
【0027】
実施例5では、燃焼量を400kcal/hと略一定であり、空気過剰率を変化させて第一の触媒体12における実質燃焼量および触媒温度を制御しているため、第一の触媒体12と第二の触媒体16の最高温度は、空気過剰率λに応じて図14に示すように変化した。第二の触媒体16は、500℃以上に昇温されているため、空気過剰率の変化に伴う未燃焼成分やCOの排出は見られず、実施例4と同様に外部の加熱手段を用いずにクリーンな燃焼を行うことが可能となった。
【0028】
実施例6では、第一の触媒体12の最高温度は、図15に示す燃焼量依存性を示したが、それに伴う未燃焼成分やCOの発生は観察されなかった。実施例6では、第一の触媒体12の最高温度が850℃以下になる燃焼量180kcal/h未満では、一次の混合気の空気過剰率λが1.2となるように制御されているため、第二の触媒体16の最高温度が500℃以下でも排ガスはクリーンであった。貴金属触媒の劣化は温度の影響を大きく受ける。850℃以下ではPtの熱劣化も大幅に抑制されるため、空気過剰率λが1以上であっても燃焼寿命についての問題は軽減される。一方、180kcal/h以上になると、第二の触媒体16の最高温度は未燃焼成分の浄化を十分に行うことができる500℃以上となっているため、実施例6の方法をもちいても実施例1の特徴を活かしつつ、加熱手段を持ちいることなくクリーンな排ガスを得ることができ、触媒の高温耐久性の高い触媒燃焼装置を構成することができる。なお、実施例6では180kcal/hを境として空気過剰率を変化させたが、この値は装置の構成にしたがって、同様の主旨が達成できれば任意に設定できる。
[CO排出量]
図16には、実施例1、3、7および比較例1における第一の触媒体12の予熱時から予熱後触媒燃焼を開始するまでのCOの排出量の変化を示している。実施例1では第二の触媒体16をCOを十分に酸化する温度(約200℃)まで予熱してから予熱バーナ5に着火するとCOは浄化されるが、この操作を加えないと比較的多量のCOの発生が見られた。したがって結果的に第二の触媒体16を予熱する時間を加えなくてはならなかった。比較例1は空気過剰率λ=1.2で形成される火炎のため、着火時わずかにCOの排出が見られるのみであるが、前記のように触媒燃焼開始可能な状態になるまでには時間を要した。実施例3では予熱バーナ5に着火されるのと同時に炎口15にも火炎が形成されるため、COの排出量は比較例1に比べてやや増加するのみであった。実施例7では、火炎予熱は空気過剰率λ=1.2で行われるため、立ち上げ時のCOの排出は通常の火炎燃焼のレベルと同じであり、かつ触媒燃焼開始時にはすでに第二の触媒体16が200℃に到達したことを温度センサ1が検知し、空気過剰率0.95に設定されることになるため、速やかに触媒燃焼が開始された。上記のように実施例7の構成をとることにより、速やかにかつCOの排出量を極力抑制しながら触媒燃焼を開始することができた。なお、温度センサ1が検知する温度は最低限COが酸化される温度以上であればよく、500℃程度など温度を高く設定してスリップするメタン等の酸化を行ってもよい。
[定常燃焼時におけるCO排出量]
また、表3には、実施例1〜6、8、9および比較例1、3、5の場合の250kcal/h条件下定常燃焼時におけるCOの排出量について示した。
【0029】
【表3】
Figure 0004226143
いずれの場合も定常時のCOは通常の火炎燃焼に比べて微量であり、第二の触媒体16が有効に作用していることが確認された。
【0030】
なお、上記実施の形態3で記載したように、二次混合気または空気に対し、燃焼排ガスにより予熱する機構を設けると、実施例1などのような場合に第二の触媒体16を予熱するのに必要な電力を大幅に減少させることが可能となった。また、実施例4の場合は、第一の触媒体12での燃焼量を増加させることができるため、低温限界燃焼量をさらに低下させることが可能である。
【0031】
なお、本実施例ではハニカム構造体に担持した触媒について述べたが、構造体の形状は、その他のいかなる形態の構造体でも同様の効果が発揮される。
【0032】
また、本実施例1などでは一次燃焼室11に供給される混合気の空気過剰率λを0.95で一定値制御したが、空気過剰率1未満で触媒燃焼できる範囲であればどの値に設定しても問題はない。また、二次燃焼室14に供給される混合気の総合の空気過剰率λは、1.2に設定したが、目的の達せられる空気過剰条件(好ましくはλ>1)であればよい。また、拡散空気などで十分に可燃排ガス成分が酸化可能な場合は総合の空気過剰率λ≦1であってもよい。
【0033】
また、本構成は燃焼量一定条件下で空気過剰率λを変化させ、触媒最高温度が極大を示す位置から空気過剰率を判断するようになっているが、それ以外に第一の触媒体の排ガス中のH2、CO、炭化水素濃度などを化学的に検知する機構などを用いても対応可能となる。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明より明かなように、本発明によれば、800℃以上の燃焼条件下における燃焼用触媒の劣化を抑制するとともに、TDR(可変燃焼量幅)が大きく、かつ排ガスがクリーンな触媒燃焼装置とそれに用いる燃焼用触媒の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の触媒燃焼装置の要部断面図を示す。
【図2】 本発明に関連する発明の一実施の形態における触媒燃焼装置の要部断面図を示す。
【図3】 本発明の実施の形態における触媒燃焼装置の要部断面図を示す。
【図4】 本発明の他の実施の形態における触媒燃焼装置の要部断面図を示す。
【図5】 本発明に関連する発明の実施の形態1に示す、燃焼量一定条件下における触媒上流温度の空気過剰率λ依存性を示す。
【図6】 本発明の一実施例に用いた第二の触媒のメタン酸化活性の温度依存性を示す。
【図7】 実施例8に用いた第一の触媒体の断面図を示す。
【図8】 実施例9に用いた第一の触媒体の断面図を示す。
【図9】 本発明に関連する発明の実施例および比較例の寿命試験中の触媒上流温度の経時変化を示す。
【図10】 本発明に関連する発明の実施例および比較例の寿命試験中の触媒上流温度の経時変化を示す。
【図11】 本発明に関連する発明の実施例1、2における流れ方向の温度分布を示す。
【図12】 本発明に関連する発明の実施例1、4における燃焼量に対して制御される空気過剰率と触媒最高温度の関係を示す。
【図13】 空気過剰率と低温限界燃焼量との関係を示す。
【図14】 本発明に関連する発明の実施例5における第一の触媒体と第二の触媒体の最高温度の空気過剰率依存性を示す。
【図15】 本発明に関連する発明の実施例1、6および比較例1における触媒最高温度の燃焼量依存性を示す。
【図16】 本発明に関連する発明の実施例1、3、本発明の実施例7および比較例1における火炎予熱後に排出されるCO濃度の経時変化について示す。
【符号の説明】
1 燃料供給バルブ
2 空気供給バルブ
3 予混合室
4 混合気入口
5 予熱バーナ
6 点火装置
7 燃焼室
8 触媒体
9 排気口
10 ガラス
11 一次燃焼室
12 第一の触媒体
13 二次混合気または空気の供給
14 二次燃焼室
15 炎口
16 第二の触媒体
17 電気ヒータ
18 温度センサ
19 排熱回収部
20 温度センサ

Claims (12)

  1. 上流側に設けられた、燃料と空気の混合気入口と、下流側に設けられた排ガス出口と、多数の連通孔を有する基材に酸化触媒を担持させた第一の触媒体が配置された一次燃焼室と、前記一次燃焼室の下流側に設けられた、混合気または空気の二次供給口と、その二次供給口の下流に設けられ、第二の触媒体が配置された二次燃焼室とを備え、
    燃焼する際、燃焼初期に前記二次燃焼室の第二の触媒体が所定温度未満の場合、前記一次燃焼室の空気過剰率は、1以上として燃焼し、
    前記二次燃焼室の第二の触媒体が所定温度以上に昇温すると、前記一次燃焼室の空気過剰率は、1未満として燃焼し、
    前記第一の触媒体の酸化触媒は、PtもしくはRh、またはPtもしくはRhを主体とする材料で構成され、
    前記第一の触媒体は、CeO2またはZrO2の一方あるいは両者を主成分として含む触媒燃焼装置。
  2. 前記所定温度とは、前記二次燃焼室における燃料成分が酸化される割合が、あるいは排ガス中における可燃成分濃度が、所定のレベルとなる温度である請求項1記載の触媒燃焼装置。
  3. 前記第二の触媒体は、多数の連通孔を有する基材に酸化触媒を担持させたものである、請求項1または2に記載の触媒燃焼装置。
  4. 前記第一の触媒体の酸化触媒がPtを主体とする材料で構成され、前記第二の触媒体の酸化触媒がPdを主体とする材料で構成され、前記所定温度を500℃とする請求項3に記載の触媒燃焼装置。
  5. 前記二次燃焼室に供給する空気は、前記二次燃焼室の排気ガスにより加熱されることにより予熱されることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の触媒燃焼装置。
  6. 前記混合気入口から供給される混合気の空気過剰率は、燃料成分の供給量の減少とともに減少させることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の触媒燃焼装置。
  7. 前記混合気入口から供給される混合気の燃料成分の供給量は実質上一定として空気量のみ増減させるとともに、少なくともその増減量相当分の空気を前記二次供給口から供給することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の触媒燃焼装置。
  8. 前記第一の触媒体の基材の熱伝導率が10W/m・℃以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の触媒燃焼装置。
  9. 前記PtまたはPtを主体とする酸化触媒を担持させた触媒体は、PtまたはPtを主体とする酸化触媒層と、RhまたはPdを主体とする酸化触媒層とが積層して設けられていることを特徴とする請求項1記載の触媒燃焼装置。
  10. 前記PtまたはPtを主体とする酸化触媒層に対して積層される前記RhまたはPdを主体とする酸化触媒層は、下流側に部分的に設けられていることを特徴とする請求項記載の媒燃焼装置。
  11. 前記燃焼する際、前記一次燃焼室の空気過剰率を1未満として燃焼する方法として、
    前記一次燃焼室の空気過剰率を変動させて、前記触媒体の近傍に設けられた温度検知部により前記触媒体の温度が最高となる空気過剰率を判定しておき、前記空気過剰率より低い空気過剰率領域で前記一次燃焼室の燃焼を行うことを特徴とする請求項1記載の触媒燃焼装置。
  12. 上流側に設けられた、燃料と空気の混合気入口と、下流側に設けられた排ガス出口と、多数の連通孔を有する基材に酸化触媒を担持させた第一の触媒体が配置された一次燃焼室と、前記一次燃焼室の下流側に設けられた、混合気または空気の二次供給口と、その二次供給口の下流に設けられ、第二の触媒体が配置された二次燃焼室とを備えた触媒燃焼装置の燃焼制御方法であって、
    燃焼する際、燃焼初期に前記二次燃焼室の第二の触媒体が所定温度未満の場合、前記一次燃焼室の空気過剰率は、1以上として燃焼し、
    前記二次燃焼室の第二の触媒体が所定温度以上に昇温すると、前記一次燃焼室の空気過剰率は、1未満として燃焼し、
    前記第一の触媒体の酸化触媒は、PtもしくはRh、またはPtもしくはRhを主体とする材料で構成され、
    前記第一の触媒体は、CeO2またはZrO2の一方あるいは両者を主成分として含む触媒燃焼装置の燃焼制御方法。
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