JP4225888B2 - 分析用チップ及びその調製方法。 - Google Patents
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Description
従来、このような析用チップは、チップ基板の上に、多数の試料すなわち検体や検出用試薬などの機能性分子をスポット状に固定することにより作製されているが、分析作業の効率化のために、単位面積当たりのスポットの数を増加させることが求められている。
そこで、特許文献2では、チップ基板に多数の微細な貫通孔を有する薄膜部材を積層して、チップ基板の表面に高さ3〜500μmの枠体を形成する方法が提案されている。
しかしながら、背の高い枠体で囲まれていると、枠体の底部までは不活性処理液や洗浄液が届き難いため、機能性分子を固定化した後の不活性化処理や洗浄が十分に行えず、非特異的な反応が起きて分析精度が低下するという問題がある。また、この分析用チップを用いて分析するに際し、固定化された機能性分子の底部にまで検体や試料に到達し難いので、底部では反応が十分に行われず、1スポットあたりの機能性分子の量が多くなったにもかかわらず、分析感度はそれほど高まらないという問題もある。
本発明は、機能性分子の固定化に際しては枠体のもたらす利点を享受し、しかも分析に際しては枠体のもたらす弊害を回避する方法を提供しようとするものである。
すなわち、本発明の要旨は、チップ基板と、この上に剥離可能に積層されていて且つ貫通孔を有する薄膜部材であって、圧着により基板に容易に積層、密着でき、かつ基板から容易に除去できる樹脂からなる部材とを有しており、該貫通孔とチップ基板表面とが協働して蛋白質、ペプチド、低分子化合物、核酸、糖、糖鎖、あるいは脂質である試料を収容するための凹部を形成している積層体の該凹部に、試料を含有する溶液を供給して試料をチップ基板表面に固定化したのち、該薄膜部材を除去することを特徴とする分析用チップの調製方法に存する。
チップ基板の形状は、特に限定されないが、平板状が好ましく、その厚さは、通常0.5〜5mm程度である。
回折格子としては、深さ10〜100nm程度の複数の溝が、溝と溝の間隔200〜2000nm程度で並列して刻まれたものが挙げられる。
金属としては、表面プラズモン波を誘起しうるものであればよく、金、銀、銅、アルミニウムおよびこれらを含む合金などが挙げられる。なかでも、感度や安価な点では銀が好ましく、安定性の面では金が好ましい。金属層は、蒸着、スパッタリング、メッキ、その他のコーティングなどによって形成され、その厚さは通常20〜300nm、好ましくは30〜160nm程度である。
機能性分子は、金、などの金属、ポリスチレンなどの高分子ポリマーなどからなる粒径1nm〜100μm程度の粒子に担持されていてもよい。
薄膜部材を剥離した後は、常法により洗浄して夾雑物を除去したり、有機高分子物質の層で非特異的な反応が起こるのを防ぐため、有機高分子物質の層に存在する官能基を不活性化したりする。不活性化は官能基がカルボキシル基の場合には、エタノールアミンなどのブロッキング剤を1モル/リットル程度の割合で含有する水溶液に15分間程度浸漬させることにより行うことができる。本発明では固定化された機能性分子の洗浄や有機高分子物質の官能基の不活性化の際には、機能性分子間に隔壁が存在しないので、洗浄や不活性化が妨げられることがない。
(1)表面にアミノ基を有する基板の作製
60mlの水に、システアミン塩酸塩34mgを溶かした溶液に、大きさが2.5cm×2.5cmの金被覆グレーティングチップ(平板状のポリカーボネート製の基体の表面に、溝ピッチ約870nm、溝深さ約40nmの凸凹形状を形成し、この凸凹形状の表面に金を厚さ約80nmとなるように蒸着したセンサチップ)を浸漬し、室温で20分間保持したのち、センサチップを蒸留水で洗浄した。この処理は、金被覆された基板表面に、金−硫黄結合を介してアミノ基を導入するものである。
25mlの水に、1.25gのポリアクリル酸(分子量50,000)(ポリサイエンス社製)と24mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)を溶解させた。溶液のpHを2.2に調整した後、この溶液2.5mlに、上記(1)で得たアミノ化された基板を浸漬し、1時間反応させた。反応終了後、チップを蒸留水で洗浄した。この処理は、金表面上のアミノ基とポリアクリル酸のカルボキシル基をEDCにより縮合させて、アミド結合を形成させるものである。
上記(2)で得たポリアクリル酸で覆われた基板を、N−ヒドロキシスクシイミド(NHS)を0.1M及びEDCを0.4Mの濃度で含有する溶液に室温で10分間浸漬した後、蒸留水で洗浄し、カルボキシル基を活性化させた。
大きさ2.5cm×2.5cm、厚さ0.5mmのシリコンラバーに直径0.5mmの貫通孔を100個あけ、薄膜部材を作製した。基板表面の半分に、この薄膜部材を積層し、残りの半分には薄膜部材を積層せずそのままにした。
マウスIgG(ランパイアバイオロジカルラボラトリー社製)を100μg/mlとなるように酢酸緩衝液(10mM、pH5.0)に溶解させた溶液を、スポッタ(Packard社製「BioChip ArrayerTM」)を用いて、薄膜部材を積層した基板表面上では、貫通孔に注入した。貫通孔1箇所当たりの溶液量は70nlであった。(実施例1)
また、薄膜部材を積層していない基板表面上では、直径0.5mmとなるようにスポッタで基板に直接スポットした。1スポットあたりの溶液量は17.5nlであった。(比較例1)
15分間反応させた後、薄膜部材を剥離し、基板全体を1モル/リットルのエタノールアミン水溶液に浸漬した後、乾燥し、リガンド(マウスIgG)の固定化された分析用チップを製造した。得られた分析用チップをSPR測定装置(HTS Biosystems Inc.社製「FLEX CHIPSTM Kinetic Analysis System」)に装着し、リガンド(マウスIgG)の固定化に伴う共鳴角の変化量を測定した。なお、リガンド(マウスIgG)を注入した部分と注入しない部分の測定を行い、その差を固定化に伴う変化量とした。結果を表−1に示す。
SPR測定装置に装着された分析用チップに、アンチ−マウスIgG(イムノプローブ社製)を切断して得たアンチ−マウスFab.を10μg/ml、HEPESを10mM、NaClを10mM及びEDTA−2Naを3mMで含有する溶液を、流速500μl/minで8分間流し、37℃で反応させた。
この溶液の注入後に、角度スキャングを行いながら反射光の強度を測定し、リガンドを固定させた基板表面の共鳴角に対する共鳴角の差から、蛋白質固定化に伴う共鳴角変化の値を算出した。結果を表−1に示す。
試料を収容するための凹部を有する積層体において、チップ基板表面の洗浄、官能基の活性化反応あるいは不活性化反応、機能性分子と検体との相互作用反応などの凹部底面を構成するチップ基板での反応への枠体の影響を検討するためのモデル実験として、基板表面の活性化処理を、枠体を積層する前(参考例1)又は後(参考例2)に行い、リガンドの付着量から活性化処理が枠体によってどのくらい妨害されるかを比較した。
大きさが2.5cm×2.5cmの金被覆グレーティングチップ(平板状のポリカーボネート製の基体の表面に、溝ピッチ約870nm、溝深さ約40nmの凸凹形状を形成し、この凸凹形状の表面に金を厚さ約80nmとなるように蒸着したセンサチップ)を、16−メルカプトヘキサデカノイックアシッドを5mMとなるようにエタノールに溶解した溶液に浸漬し、2時間程度反応させた後、蒸留水で洗浄することにより、C16膜が基板上に形成され分析用チップを作製した。
次に、実施例1の(3)と同様にして、カルボキシル基を活性化させた後、実施例1と同様に、薄膜部材を積層した後、貫通孔にマウスIgGを注入した。
得られた分析チップ用をSPR装置に装着し、リガンド(マウスIgG)の固定化に伴う共鳴角の変化量を測定した。また、標準偏差を平均値で割った値(CV)を求めた。結果を表−2に示す。
参考例1で作製したC16膜が基板上に形成された分析用チップに、実施例1と同様に、薄膜部材を積層した後、実施例1の(3)と同様にして、カルボキシル基を活性化させ、貫通孔にマウスIgGを注入した。
得られた分析用チップをSPR装置に装着し、リガンド(マウスIgG)の固定化に伴う共鳴角の変化量を測定した。また、標準偏差を平均値で割った値(CV)を求めた。結果を表−2に示す。
また、CVは、数値が大きいほど、リガンドの付着量にばらつきがあることを示す。参考例2は、枠体の内部に入る活性化液の量が、貫通孔ごとに異なるため、結果として参考例1に比べてリガンドの付着量にばらつきが生じたものと考えられる。
これより、枠体は各種の処理を妨げとなることが推察される。
2 薄膜部材
3 貫通孔
3a 凹部
4 有機高分子物質の被覆層
Claims (17)
- チップ基板と、この上に剥離可能に積層されていて且つ貫通孔を有する薄膜部材であって、圧着により基板に容易に積層、密着でき、かつ基板から容易に除去できる樹脂からなる部材とを有しており、該貫通孔とチップ基板表面とが協働して蛋白質、ペプチド、低分子化合物、核酸、糖、糖鎖、あるいは脂質である試料を収容するための凹部を形成している積層体の該凹部に、試料を含有する溶液を供給して試料をチップ基板表面に固定化したのち、該薄膜部材を除去することを特徴とする分析用チップの調製方法。
- 薄膜部材の除去を積層体から薄膜部材を剥離することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の分析用チップの調製方法。
- 薄膜部材がシリコンラバーからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の分析用チップの調整方法。
- チップ基板が多孔性基板であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の分析用チップの調製方法。
- チップ基板の表面部が金属で被覆された回折格子に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の分析用チップの調製方法。
- チップ基板の表面が試料と結合してこれを固定化し得る官能基を有する有機高分子物質で被覆されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の分析用チップの調製方法。
- 薄膜部材の厚さが1〜2000μmであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の分析用チップの調製方法。
- 積層体が複数の凹部を有しており、かつ1個の凹部の底面積が0.5×10-10〜7mm2であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の分析用チップの調製方法。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の方法により調整された分析用チップ。
- チップ基板と、この上に剥離可能に積層されていて且つ貫通孔を有する薄膜部材であって、圧着により基板に容易に積層、密着でき、かつ基板から容易に除去できる樹脂からなる部材とを有しており、該貫通孔とチップ基板表面とが協働して蛋白質、ペプチド、低分子化合物、核酸、糖、糖鎖、あるいは脂質である試料を収容するための凹部を形成している積層体からなることを特徴とする分析用チップ基板。
- 薄膜部材がシリコンラバーからなることを特徴とする請求項10に記載の分析用チップ基板。
- 薄膜部材の厚さが1〜2000μmであることを特徴とする請求項10又は11に記載の分析用チップ基板。
- 薄膜部材が複数の貫通孔を有しており、かつ1個の貫通孔の開孔部面積が0.5×10-10〜7mm2であることを特徴とする請求項10ないし12のいずれかに記載の分析用チップ基板。
- チップ基板が多孔性基板であることを特徴とする請求項10ないし13のいずれかに記載の分析用チップ基板。
- チップ基板の表面部が金属で被覆された回折格子に形成されていることを特徴とする請求項10ないし14のいずれかに記載の分析用チップ基板。
- チップ基板の表面が試料と結合してこれを固定化し得る官能基を有する有機高分子物質で被覆されていることを特徴とする請求項10ないし15のいずれかに記載の分析用チップ基板。
- 請求項10ないし16のいずれかに記載の分析用チップ基板に用いる剥離可能な薄膜部材。
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