JP4223407B2 - 固定要素固着用材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、アンカー筋等の固定要素固着用材に関し、特に、コンクリート等の母材に、ボルト、異形棒鋼、インサート金物等の固定要素を後付けする際に使用する固定要素を固着するのに使用する、ラジカル硬化型樹脂と硬化剤との複合体に関する。
背景技術
一般に、コンクリート壁等に、ボルト、異形棒鋼等の固定要素を固着するには、次のような方法が行われている。すなわち、先ずドリルによりコンクリート等の母材に所定の穴を穿設して、該穴内に接着剤入りのカプセルを挿入し、その後、ボルト等を埋込み機で打撃を加えつつ回転させながら埋め込むとともにカプセルを破壊して、穴内に接着剤の流出と硬化を生じさせることにより、ボルトを穴に固着する。
このような固定要素の固着に用いられる固着剤は、通常、ガラス製あるいは合成樹脂製のカプセル状の容器にラジカル硬化型樹脂と硬化剤とが互いに隔離された状態で封入されて構成されている。そして、ボルトの埋め込みの際に容器が破壊されることにより、ラジカル硬化型樹脂の主剤と硬化剤とが混合されるようになっている。当該カプセルにおいて、樹脂と硬化剤とのこのような隔離状態を形成するには、従来、容器を二重構造とし、内側容器に硬化剤を充てんし、外側容器に、硬化型樹脂の主剤や骨材等を充てんしたものがある。また、硬化剤を棒状や粒状等に成形し、この成形体をカプセルに充填し、その後、このカプセルにラジカル硬化型樹脂を充てんしたものがある。
しかしながら、二重構造の容器の場合、容器コスト及び内側容器への硬化剤の充てん時の作業性が悪い。また、硬化剤を棒状などの成形体とした場合には、容器内への骨材の充てん工程の効率化に問題がある。さらに、硬化剤の成形体を粒状体にしたりしても、カプセル製造工程における充てん作業の効率化は依然として困難である他、破壊性及び混合性の問題は充分に解決されない。
発明の開示
そこで、本発明では、ラジカル硬化型樹脂と硬化剤との新規な複合形態を備えることにより、固定要素の固着に不用な構成要素を排除することができる固定要素固着用材を提供することを目的とする。また、本発明は、固定要素固着用剤の製造工程を簡略化することができる、固定要素固着用材を提供することを目的とする。
本発明者らは、新規な複合形態を検討し、未硬化のラジカル硬化型樹脂を所定形状が付与された固形のユニットとすることにより、上記した従来の課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)固定要素固着用材であって、
未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有するコア部と、
このコア部の表層側の全部を構成し、当該ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含有する硬化剤相、とを備え、
前記コア部の未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有する内相は、20℃において50Pa・s以上200Pa・s以下の粘度を有し、
前記コア部と前記硬化剤相とが接触する界面近傍には、前記コア部に含まれる未硬化ラジカル硬化型樹脂と前記硬化剤相に含まれる硬化剤とが反応した結果物である硬化したラジカル硬化型樹脂の相が存在しており、
前記コア部は、それ自体備える形状を維持可能な保形性ないし強度を備え、前記硬化剤相は、前記コア部の外表面に噴霧、塗布、又は浸漬により付与されて、当該コア部の表面を覆う外皮状となっており、容器を備えていない、固定要素固着用材。
(2) 前記コア部と前記硬化剤相とをそれぞれ備える二以上の分割体を形成可能に備えられる分割部を備える、請求項1に記載の固定要素固着用材。
(3)固定要素固着用材の製造方法であって、
以下の工程:
(a)未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有する組成物の表面に、当該ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を供給し、その後、所定形状を付与する工程と、
(b)前記(a)工程において得られる成形体の表面に、当該ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を供給する工程を備え、
前記組成物は、20℃において10Pa・s以上200Pa・s以下の粘度を有し、
前記(a)工程の形状付与時において、得ようとする成形体を分割可能とする分割部を備えるように形状付与する、方法。
(4)前記ラジカル硬化型樹脂は、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、アクリルウレタン樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂である、(3)に記載の方法。
(5)(3)または(4)に記載の方法によって製造される、固定要素固着用材。
【発明の実施の形態】
本発明の固定要素固着用材は、未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有し、所定形状を有する固形の第1のユニットを備えている。さらに、当該ラジカル硬化型樹脂の硬化剤成分を含有する第2のユニットとを備えている。
本発明の固定要素固着用材においては、未硬化のラジカル硬化型樹脂が所定形状を有する固形の第1のユニットとして備えられている。このため、従来これを内蔵し、あるいは被包するのに要していた外皮状の容器を備える必要がなくなっている。例えば、当該ラジカル硬化型樹脂の硬化剤は、粉末あるいは所定形状を有する固体として、あるいは液体などの各種形態で当該第1のユニットに付随させれば足りる。
さらに、かかる固定要素固着用材の形態は、全く新しくしかも画期的な固着用材の製造方法を提供する。
すなわち、未硬化のラジカル硬化型樹脂を、予め所定形状を有する固形の第1のユニット(コア部ともいう。)として準備し、この第1のユニットに対して、各種形態の硬化剤を供給することのみで、未硬化のラジカル硬化型樹脂とその硬化剤とを備える固定要素固着用材を構成することができる。すなわち、従来必須工程であった、未硬化のラジカル硬化型樹脂をなんらかの容器に対して充てんする工程を完全に排除することができる。さらに、この製造方法によれば、第1のユニットに所望の形状を付与することにより、多様な形態の固着用材を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1のユニット)
第1のユニットは、未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有する組成物(以下、単に未硬化樹脂組成物という。)を含有している。すなわち、第1のユニットは、本固着用材の使用時に硬化反応により固着性を発揮する有効量の、例えば、アンカー等を固定用孔に固着させるのに有効量の未硬化ラジカル硬化型樹脂を含有している。ラジカル硬化型樹脂としては、特に限定しないが、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、アクリルウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を包含する。特に、ラジカル硬化型樹脂の中でも、エポキシアクリレート樹脂及び/又は、不飽和ポリエステル樹脂とすることが好ましい。ラジカル硬化型樹脂としては、上記したラジカル硬化型樹脂を1種類あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
未硬化樹脂組成物には、これらのいずれかのラジカル硬化型樹脂に加えて、反応性モノマーを混合して使用することもできる。かかる反応性モノマーとしては、スチレンモノマー、メチル(メタ)アクリルレート、エチル(メタ)アクリルレート、エチレングリコールジメタクリレート、シクロヘキシルフタレート、n−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルレート、ベンジル(メタ)アクリルレート、フェノキシエチル(メタ)アクリルレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリルレート、トリメタアクリル酸トリメチロールプロパン、マレイン酸ジメチル、イソボルニル(メタ)アクリルレート、ブタンジオール(メタ)アクリルレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ−ジエトキシ)]フェニルプロパン等がある。
これらのラジカル硬化型樹脂、あるいはこれに反応性モノマーを加えた成分(以下、これらを主剤ともいう。)とは、当該組成物中、好ましくは、100重量%未満の範囲で使用される。より好ましくは、20重量%以上60重量%以下である。
また、当該組成物には、ラジカル硬化型樹脂の硬化促進剤を含めることができる。かかる硬化促進剤としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−P−トルイジン、N,N−ジヒドロキシプロピル−P−トルイジン、N,N−ジヒドロキシエチル−P−トルイジン等の芳香族アニリン類、ナフテン酸コバルト等の金属石鹸類、バナジルアセチルアセトネート等のキレート化合物等がある。これらの硬化促進剤は、ラジカル硬化型樹脂に対して、例えば、0.1重量%以上5重量%以下の範囲で添加されていることが好ましい。
また、当該組成物には、当該組成物を固形化し固形物として形成維持させるために好ましい添加剤を含有している。具体的には、珪酸、炭酸カルシウム、石膏、ガラスフレーク、マイカ、火山灰、シラス、シラスマクロバルーン、コンクリート粉、ガラスマクロバルーン、中空状ガラス、フライアッシュ等の無機化合物、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、PVA、アラビアゴム、微結晶性セルロース、アミロース、アミロペクチン等の多糖類を使用できる。また、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、シリカエーロゲル、有機改質粘土、クレー、シリカパウダー、酢酸セルロース、セピオライト、アエロジル(商品名、日本アエロジル社製)、チクソゲル(商品名、横浜化成社製)等のチクソトロピー付与剤が挙げられる。本発明においては、これらの添加剤を1種類あるいは2種類以上組み合わせて使用できる。好ましくは、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、珪酸カルシウムを好ましく使用できるが、特に、二酸化ケイ素が好ましい。
かかる添加剤は、ラジカル硬化型樹脂に対して300重量%以下の範囲で使用することが好ましいが、より好ましくは、5〜50重量%の範囲で使用する。
また、未硬化樹脂組成物中に、骨材を含有させることもできる。使用する骨材としては、特に限定しないが、マグネシアクリンカー又はガラス、セラミックス等の人工骨材、あるいは、硅石、大理石、御影石、珪砂、石英等の天然の無機系骨材が使用できる。また、硬質塩化ビニルのような硬質プラスチック製の有機系骨材であってもよい。好ましくは、当該ユニット中の骨材は、得られる固形ユニットにおいて全体的に分散されるような形態および/またはサイズが選択されている。
さらに、未硬化樹脂組成物には、必要に応じて着色剤を添加することもできる。着色により、第1ユニットが外部に露出され、視認されるようにして複合化された場合、容易に複合体に製品識別性等を付与することができる。
当該未硬化樹脂組成物は、粘度(20℃)が10Pa・s以上200Pa・s以下であることが好ましい。当該粘度が10Pa・s未満であると、一般的な樹脂吐出機械にて当該組成物を吐出させた場合に、吐出物の寸法安定性が低すぎて形状を維持できない。特に、吐出後に硬化剤組成物を付与した所定形状を付与する場合にあっても、吐出された組成物の寸法安定性が低すぎて形状が不安定となり所望形状を得ることができにくくなる。また、200Pa・sを超えると、結果として固着用材における前記ラジカル硬化型樹脂の量に対する硬化剤の占める割合が過剰となってしまい(特に、コア部の表層側に被膜状に硬化剤相を備える形態の固着用材においてこの傾向が顕著である。)、未反応の硬化剤が樹脂硬化物中に存在することとなり、物性が低下する恐れが生じるとともに、固定要素に対する回転抵抗が大きくなりすぎる問題もある。
一方、当該範囲内であると、樹脂組成物を所定量吐出し、硬化剤の付与にて成形する段階において、樹脂組成物の寸法安定性が良好であり、所望の形状を得ることができる。また、固定要素の施工の際にも、破壊された硬化剤と骨材とをラジカル硬化型樹脂組成物に混合させるのに好ましい粘度となっているため、良好な混合性を得ることができる。なお、当該粘度は、より好ましくは50Pa・s以上であり、また、より好ましくは、100Pa・s以下である。最も好ましくは、50Pa・s以上100Pa・s以下である。
未硬化樹脂組成物の粘度は、B型粘度計、E型粘度計、L型粘度計、R型粘度計、H型粘度計でのJIS K6833(粘度測定)あるいはこれに準じた粘度測定法によって測定することができる。粘度は0.5rpmでの見掛け粘度がη0.5で表される。例えば、L型粘度計(ビスコテック製ビスコベーシックL型)を用いて試料量10.0gにて測定することができる。未硬化樹脂組成物の粘度は、例えば、ラジカル硬化型樹脂主剤に添加する充てん材や骨材の添加量にて制御することができる。これらの添加物の配合比率を高くすることにより、高い粘度を得ることができる。
また、未硬化樹脂組成物のチキソトロピー係数は、1.1以上5.0以下であることが好ましい。当該範囲内であると、未硬化樹脂組成物の成形の段階で、寸法安定性に優れたものを製造することができ、結果として所定形状の樹脂組成物を得ることができる。
チキソトロピー係数が1.1未満であると、未硬化樹脂組成物の成形時、経時的に型崩れが生じ、樹脂と硬化剤とが反応して硬化するまでの間(典型的には20〜30分)の間に変形してしまい、所望の形態での成形体を得ることができない。また、5.0を超えると、結果として固着用材における前記ラジカル硬化型樹脂の量に対する硬化剤の占める割合が過剰となってしまい(特に、コア部の表層側に被膜状に硬化剤相を備える形態の固着用材においてこの傾向が顕著である。)、未反応の硬化剤が樹脂硬化物中に存在することとなり、物性が低下する恐れが生じる。また、固定要素に対する回転抵抗が大きくなりすぎ、施工作業性が低下してしまう。なお、チキソトロピー係数は、2.0以上であることがより好ましく、4.0以下であることがより好ましい。特に好ましくは、2.0以上4.0以下である。
チキソトロピー係数は、具体的には、B型粘度計、E型粘度計、L型粘度計、R型粘度計、H型粘度計でのJIS K6833(6.3粘度)あるいはこれに準じた粘度測定法によって測定することができる。例えば、L型粘度計(ビスコテック製ビスコベーシックL型)を用いて試料量10.0gとし、回転数1rpmと10rpmの見掛け粘度η1とη10との比η1/η10 で表すことができる。
未硬化樹脂組成物は、上記した範囲の粘度又はチキソトロピー係数を備えることが好ましいが、より好ましくは、上記した範囲の粘度とチキソトロピー係数との双方とを備える。具体的には、粘度(20℃)が10Pa・s以上200Pa・s以下(より好ましくは50Pa・以上100Pa・s以下)であり、及び/又はチキソトロピー係数が1.1以上5.0以下(より好ましくは2.0以上4.0以下)である。
未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有する第1ユニットは、所定の形状が付与された固形ユニットであれば足り、硬度、粘度や形状等を問わない。
また、当該第1のユニットは、第1のユニットの全体に骨材を含有させる形態とすることもできる。
(第2のユニット)
第2のユニットには、第1のユニットに含まれる未硬化のラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含む組成物(以下、単に、硬化剤組成物という。)を含有している。
硬化剤としては、例えば、キュメンパーオキサイド等のハイドロオキサイド類、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、過酸化ベンゾイル等のジアシルパーオキサイド類、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物、及びこれらの有機過酸化物をフタル酸ジシクロヘキシル等の有機物や、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の無機物で希釈したものも使用できる。好ましくは、パーオキサイド系硬化剤であり、特に好ましくは、ジアシルパーオキサイド類であり、さらに好ましくは、過酸化ベンゾイル、及び過酸化ベンゾイルを希釈剤で希釈したものである。
本発明においては、これらの各種硬化剤を1種あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
さらに、硬化剤組成物には、硬化剤を含有して所定形状を付与させるための添加剤(成形剤)を含有させることができる。具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、PVA、アラビアゴム、微結晶性セルロース、アミロース、アミロペクチン等の多糖類、酢酸ビニル等である。さらに、各種接着剤、好ましくはアクリル系接着剤を使用することができる。
本発明においては、これらの添加剤1種類あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。
硬化剤組成物には、これらの他に、適当な充てん剤も含めることができる。例えば、繊維状体、粉状体、粒状体、チップあるいはフレーク状体である。これらの充てん剤は、第2ユニットの成形性や強度の向上に寄与することができる。
さらに、当該組成物には、必要に応じて着色剤を添加することもできる。着色により、第2のユニットが外部に露出され視認されるように複合化した場合、容易に複合体に製品識別性等を付与することができる。
第2のユニットは、硬化剤を含有する相(硬化剤相)を有すれば足り、固形であっても液状(流動性を有する状態)であってもよい。固形の場合には、第1のユニットの表層側の少なくとも一部を構成する被膜状等の形態を採る硬化剤層とすることもできる。このような第2のユニットとしては、例えば、所定の外表面を有する物体の外表面に硬化剤を含む当該ユニット用の組成物を塗布あるいは噴霧等により付与して外皮状に形成されたユニットであってもよい。
また、第2のユニットが第1のユニットの表層側の少なくとも一部を構成する場合(典型的には、第1のユニットの表面に硬化剤組成物を付与して形成される硬化剤相である。)に付与する場合、硬化剤を90%以上含有する硬化剤組成物とすることができる。例えば、硬化剤(好ましくは、過酸化ベンゾイル等のパーオキサイド系硬化剤)20重量%以上60重量%以下(好ましくは約35重量%)、成形材(好ましくはPVA)0.1重量%以上3.0重量%以下(好ましくは2重量%以下)、充てん剤(好ましくは硫酸カルシウム)40重量%以上80重量%以下(好ましくは約63重量%)を含有することが好ましい。
(固定要素固着用材)
第1のユニットと第2のユニットは、固定要素固着用複合体において、未硬化のラジカル硬化型樹脂と硬化剤とが、使用されるまでの間、硬化反応性を有するよう隔離されている。第1のユニットと第2のユニットの接触部分において、硬化したラジカル硬化型樹脂層を備えていることが好ましい。特に好ましくは、第1のユニット中に含まれるラジカル硬化型樹脂が硬化した樹脂層である。
当該硬化樹脂層は、第1のユニットが第2ユニットと接触する表面、好ましくは第1のユニットの表面の全体に備えられている。かかる樹脂層は、例えば、第1ユニット形成後に、その表面に、硬化剤を付与して第1ユニットの表面側を硬化させることにより形成することができる。
また、第1のユニットと第2のユニットとは、使用時において、第1のユニットに含まれる未硬化のラジカル硬化型樹脂と第2のユニットに含まれる硬化剤とがよく接触し、ラジカル硬化型樹脂が良好に硬化するように複合化されることが好ましい。このためには、例えば、第1のユニットの表面側の少なくとも一部、好ましくは大部分、より好ましくはおおよそ全体を構成する被膜状に第2のユニットを備えるようにすることができる。
図1に固定要素固着用材の形態を例示する。
図1に示す第1の形態の固着用材1においては、第1のユニット2が棒状形態を有しており、第2のユニット4は、当該棒状体の外表面の一部あるいは全部を覆うような外皮形態を有し、全体として棒状形態を有している。このような形態の固着用材において、第1のユニットはコア部を構成しているということができる。また、第2のユニットは、第1のユニットの表層側の少なくとも一部を構成する硬化剤相を構成しているということができる。
このような形態によれば、未硬化ラジカル硬化型樹脂と硬化剤との好ましい量的比率を得られやすい。また、破壊時における混合均一性も確保されやすい。また、棒状体のサイズを、通常使用されている固着用材のサイズにおおよそ一致させることにより、そのまま、固着用材として使用できる。例えば、断面積を約0.1〜28cm2とし、長さ、5〜500mm(通常は50〜60mm)とすることができる。
次に、上記第1の形態について、さらに説明する。
このようなコア部と硬化剤相との組み合わせからなる固定要素固着用材においては、コア部は、所定の形状を有する固形ユニットであれば足り、硬度、粘度や形状等を問わないが、好ましくは、コア部は、それ自体備える形状を維持可能な保形性ないし強度を備えている。具体的な形状は、棒状体、球状、不定形状等を挙げることができる。
硬化剤相は、特にその存在形態を問わないが、好ましくは、コア部の表面を覆う外皮状であり、より好ましくは、コア部の外表面のおおよそ全体を覆う外皮状である。
なお、コア部は、骨材との関係においては、コア部の全体に骨材を含有させる形態の他、コア部の中心側に骨材を内包するように形成することもできる。
本発明の固着用材においては、第1ユニット全体の重量に対して、硬化剤が1〜70重量%であることが好ましい。1重量%未満であると、硬化剤が少なすぎて十分なラジカル硬化型樹脂の硬化状態が得られない。70重量%を超えると、硬化した樹脂の成形性や強度に問題が生じやすくなる。より好ましくは10〜30重量%であり、当該範囲は、特に、過酸化ベンゾイル等のパーオキサイド系硬化剤において好ましい。また、未硬化ラジカル硬化型樹脂の重量(反応性モノマーを含む)に対して、硬化剤重量が1〜10重量%であることが好ましい。
図2(A)及び(B)に示す固着用材91は、複数個の固着用材(一つの穿孔に対応する)91aが分離可能に一体化された形態となっている。連結形態は特に限定しないで、分割部96を備えて使用時に固着用材91aを容易に分離できる形態を採用することができる。図2(A)に示す固着用材91は、棒状の固着用材91aを横に配列して固着用材91a間に分割部を有している。また、図2(B)に示す固着用材91は、棒状の固着用材91aの長さ方向に分割部96を有し、分割可能ないしあるいは個々の固着用材がタンデムに連結された状態となっている。このような固着用材91は、使用本数が多い固着用材にあっては、好ましい流通・供給形態である。
このような形態の固着用材においては、コア部と硬化剤相とが接触する界面近傍には、コア部に含まれる未硬化ラジカル硬化型樹脂と硬化剤相に含まれる硬化剤とが反応した結果物である、硬化したラジカル硬化型樹脂が含まれている。このような硬化したラジカル硬化型樹脂を含む相(結合相)は、コア部の表層に硬化剤を付与して、コア部の表層側に硬化剤を存在させることにより、コア部の未硬化のラジカル硬化型樹脂と硬化剤とが接触することにより、当該接触部位において、未硬化ラジカル硬化型樹脂と硬化剤とが反応することにより形成されるため、とくに、その存在形態を特定しない。
本形態の固着用材における隔離状態は、コア部と硬化剤相との界面近傍に生成される硬化したラジカル硬化型樹脂によって確保されている。
図2にも示したように、コア部と硬化剤相とを備える本形態の固定要素固着用材91においては、その一部に、コア部と硬化剤相とをそれぞれ備える二以上の分割体91aを形成可能な分割部96を備えることができる。このような分割部96は、周囲よりも応力集中させやすい脆弱部とすることができる。例えば、容易に手で折ったり、外部から適当な器具で衝撃を付与するなどして分割あるいは破壊できるような脆弱部とすることができる。このような分割部96は、例えば、分割しようとする境界部分において、固着用材の断面積を周囲より小さく形成する、ライン状の凹部を形成する、衝撃を付与する器具を設置しやすい凹部などを形成する、などの各種形態を採ることができる。必要に応じて、分割使用に適した形態を採用することができる。分割部96が凹状の場合には、凹状部のもっとも深い部分は、コア部にまで到達していることが好ましい。なお、当該分割部は、固着用材を使用に先だって分割して使用するのに用いる他、分割部を備える状態の固着用材を固着用穴に挿入したときに、ボルト等のアンカー装着により、容易に固着用材を破壊させることを意図する。すなわち、当該意図において、分割部は、固着用材の破壊性や樹脂と硬化剤との混合性を向上させることができる。当該意図においては、分割部は、破壊性向上、混合性向上を図るような部位及び形状で形成されることが好ましい。このため、複数個の脆弱部で構成することが好ましく、長さ方向に渡って、複数個に固着用材を分断可能に脆弱部を設けることがより好ましい。
特に、本形態の固着用材においては、コア部の重量に対して、硬化剤が1重量%以上70重量%以下であることが好ましい。1重量%未満であると、硬化剤が少なすぎて十分なラジカル硬化型樹脂の硬化状態が得られない。70重量%を超えると、硬化した樹脂の成形性や強度に問題が生じやすくなる。より好ましくはコア部の重量に対して1重量%以上20重量%以下であり、当該範囲は、特に、過酸化ベンゾイル等のパーオキサイド系硬化剤において好ましい。また、未硬化ラジカル硬化型樹脂の重量(反応性モノマーを含む)に対して、硬化剤重量が1重量%以上30重量%以下であることが好ましい。
(複合化方法)
次に、第1のユニットおよび第2のユニットがいずれも固形の場合の複合化について説明する。この場合、所定形状を付与した後に、複合化することもできるし、また、固形体の一方のユニットに他方のユニット用の組成物を付与して、複合化することもできる。
例えば、図1に示す複合形態の場合には、内側に存在されるユニット(図1の場合には第1のユニット)を予め得て、その後に他方のユニットが付与される。具体的には、内部側ユニットを押出成形やそのほか成形方法によって成形し、場合によっては、成形後に切断および/または再成形して所望の形態とした後に、外皮側ユニットを構成する組成物を付与することによって得られる。外皮側ユニット組成物は、内部側ユニットの外表面に付与しやすい形態であればよい。例えば、塗布や噴霧によるのであれば、適当な流動性を備えた組成物とし、浸漬によるのであれば、それに適した媒体を添加した組成物とする。外皮側ユニット用組成物としては、特に、接着性を備えることが好ましく、例えば、各種接着剤、好ましくはアクリル系接着剤を含めることができる。
内部側ユニットに付与された外皮側ユニット用組成物は、通常、乾燥、必要あれば加熱等されて一体化される。
次に、特に、第1のユニットをコア部として有し、第2のユニットをコア部の表層側の少なくとも一部を構成する硬化剤相として備える形態の固着用材を製造するための他の方法について説明する。図3及び図4には、当該他の製造方法として2種類の方法を例示している。
この方法においては、未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有する組成物の表面に、当該ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を供給し、その後、所定形状を付与する工程を経ることが好ましい。このような形状付与工程、すなわち、成形前の未硬化ラジカル硬化型樹脂組成物(成形前駆体)の表面に硬化剤組成物を供給し、その後成形する工程によれば、コア部と硬化剤相とからなる複合形態を一挙に得ることができる。また、容易に、任意の形状を固着用材に付与することができる。
コア部を得るためには、既に説明したように、成形用に配合された未硬化樹脂組成物を使用することが好ましい。特に好ましくは、成形剤を含んだ未硬化樹脂組成物を用いる。当該組成物は、成形前において、適当な流動性等を付与するために水等の媒体を添加することができる。
組成物の各種成分を混合、混練することにより未硬化樹脂組成物を調製する。この未硬化樹脂組成物に形状を付与するのに先だっては、適当な大きさに分割することが好ましい。すなわち、本固着用材の最終形態あるいは本固着用材の最終包装形態(複数個が分割可能に連結された形態など)に応じた分量に分割することが好ましい。分割手段は特に問わずに、適度に増粘された本組成物を分割できる手段であれば採用することができる。
組成物の分割後の形態は特に問わない。不定形状であっても、ある程度形状が付与されていてもよい。最終形状でないことが好ましい。さらに、表面が粘着性であっても、流動状であってもよい。未硬化樹脂組成物は、固着用材の使用時における硬化反応性や強度などを維持するためには、保形剤などをできるだけ低含有量にしておくことが好ましい。したがって、硬化剤組成物の供給工程に導入する未硬化樹脂組成物は、小さい外力による塑性変形を許容する粘弾性あるいは流動性を保持していることが好ましい。換言すれば、当該組成物に対して硬化剤組成物の供給による表面硬化の完了によって初めて所定以上の外力が付与されても塑性変形せずに保形できる程度の粘弾性あるいは流動性を有していることが好ましい。未硬化樹脂組成物の粘弾性や流動性は、使用する成形手段や形状により異なってくる。
例えば、押出しないし吐出により一定断面形状の連続体を形成し、その後所定長さに切断することによって、一定分量に未硬化樹脂組成物の分割を行うことができる。
次いで、この最終成形前の未硬化樹脂組成物(成形前駆体)の表面に、この組成物に含まれる未硬化のラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含有する組成物を供給する。好ましくは、組成物の表面全体に付与する。供給形態は特に限定しない。噴霧、散布、ディッピング等適宜選択し採用することができる。
このように未硬化樹脂組成物の表面に硬化剤組成物を供給することにより、未硬化樹脂組成物表面において未硬化のラジカル硬化型樹脂と硬化剤とによる樹脂の硬化反応が生じてラジカル硬化型樹脂が生成する。この硬化したラジカル硬化型樹脂により、硬化剤含有組成物が、未硬化樹脂組成物の表面に良好に一体化される。また、この硬化膜は、同時に、未硬化樹脂組成物の表面より内側にある未硬化のラジカル硬化型樹脂の硬化反応性を維持させることができる。
さらに、成形前の未硬化樹脂組成物に対する硬化剤組成物の供給により、粘弾性や流動性を備える未硬化樹脂組成物であっても、一定形状の付与が可能な状態とすることができる。したがって、本方法によれば、未硬化樹脂組成物に対し、硬化剤組成物を供給後、各種形状付与手段を用いて、所望の形状を付与すると同時に、未硬化樹脂組成物と硬化剤組成物とを一体化して一挙に成形体(固着用材)を得ることができる。
なお、硬化剤組成物による供給による成形と同時に固着用材の製造が完結される必要はない。複数の固着用材に対応する大きさのものを一旦成形後に、これを適当な手段で分割することで最終的な固着用材を得ることもできる。その場合には、分割により新たに露出した未硬化樹脂組成物部位に、再度硬化剤組成物を供給しておくことが好ましい。
また、成形後には、放置あるいは積極的に送風及び/又はまたは加熱により乾燥工程を実施することが好ましい。また、かかる乾燥工程は、同時に硬化反応を進行させ、ひいては完結させる養生工程とすることもできる。かかる乾燥及び/又は加熱の実施により、形状を安定化させることもできる。
また、得られた成形体に対して、さらに、硬化剤組成物を供給して、硬い硬化剤相を付与することもできる。このときに供給される硬化剤組成物は、既に付与した硬化剤組成物よりも成形剤を相対的に多く含有させることが好ましい。また、このときに供給される硬化剤組成物の形態は特に限定しないが、既にコア部は成形されているので、液状の硬化剤組成物を用いることができる。液状の硬化剤組成物を用いることにより、ディッピングや浸漬や液体のスプレーなどの効率的な供給方法を採用することが容易となる。
具体的な成形方法としては、各種形態を採り得る。硬化剤組成物を付与後に用いるのに適した形状付与手段は、転圧、プレス成形等である。なお、硬化剤組成物を供給後直ちに、あるいは硬化剤組成物を供給しながら成形することもできるが、硬化剤組成物供給後、一定時間をおいて、硬化をある程度進行させておいて形状付与工程に供することもできる。
例えば、図3に示す工程では、未硬化樹脂組成物の表面に硬化剤組成物を供給した状態であって成形前の前駆体102を、コンベアで回転させながら搬送し、所定寸法の間隙に形成したプレス部位104を通過させることによって、所定の直径の柱状体106に成形して、コア部と硬化剤相とを備える固着用材としている。なお、成形方法は、かかる転圧方法に限らず、通常のプレス成形も採用することができる。
また、図4に示す工程では、未硬化樹脂組成物202を、周面が対向状に配置され、回転する2個の成型用ローラー204間に配置し、当該部位にて、回転するローラー204間に組成物を回転させながら保持することにより、組成物202を成形する。そして、成形に際して、この組成物202の表面に対して、硬化剤組成物206を供給することにより、回転するローラー204間に保持された組成物202の表面を固化させ、結果として、柱状体の第1のユニットないし固着用材を成形することができる。成型用ローラー204は、断面は略円形あるいは円形であることが好ましい。略円形あるいは円形の場合、円柱状体を容易に得ることができる。
この方法では、組成物202は、回転するローラー204の軸方向に徐々に延長されることになる。したがって、この方法によれば、丈寸法(長さに相当することが多い)が安定した第1のユニットないし固着用材を得ることができる。また、同時に断面積も安定しており、結果として、全体的に均一な形状の第1のユニットないし固着用材を得ることができる。
硬化剤組成物206の供給時期あるいは供給部位は、特に限定しないが成形工程当初は、組成物202の前記ローラー204の軸方向に沿う周面を主体に硬化剤組成物206を供給することが好ましい。換言すれば、延長する両端部には、硬化剤組成物206を供給しないことが好ましい。その後、おおよそ所望の長さになったとき、あるいはそれよりも前段階であってある程度延長されたときにおいて、特に、その延長されたあるいは延長されつつある組成202物の延長する端部(端面)に硬化剤組成物206を供給することにより、延長する端部を固化し、端部位置及び形状を規制することができるようになる。なお、この方法においては、組成物の延長する方向の両端、すなわち、得ようとする大きさの円柱状体の底面と頂面に対応する部位に遮蔽部材208を配置して、延長する組成物が接触してそれ以上に延長しないようにすることができる。この遮蔽部材208は、成形しようとする組成物の形状の寸法(長さであることが多い)を決定することができ、しかも、その接触面の形状により、組成物202の端部形状も付与することができる。特に、延長端部に硬化剤組成物202を付与した後において、当該遮蔽部材208に端部を接触させることにより、効果的に組成物202の長さ、端部形状を規制することができる。なお、遮蔽部材208は、成形工程の最終段階のみならず、当初からあるいはその成形工程の一部においても、成形しつつ且つ組成物202の端部の伸張を規制するのに適宜用いることができる。
以上のような成形体前駆体に対して硬化剤組成物を供給して成形する方法によれば、硬化剤組成物を付与した状態で形状付与するため、成形性が向上している。このため、容易に各種形状を付与できる。結果として、固着用材の全体形状のみならず表面側においても各種形状を容易に付与することができる。すなわち、固着用材を分割可能とする凹状部などの脆弱部も容易に付与することができる。すなわち、複数個の固着用材を分割可能に連結した形態を採用することができる。連結形態は特に問わない。例えば、図2(A)に示すように、同一サイズの柱状体をその長さが一致するように整列させたような形態とすることができる。この場合、個々の柱状体に分割可能とする分割部96が、隣接する柱状成形部位間に形成されることになる。また、図2(B)に示すように長さ方向に分割可能とすることもできる。
また、形状付与時には、必要に応じて未硬化樹脂組成物及び/又は硬化剤組成物にたいして温度制御することができる。硬化反応を速やかに進行させる場合には当該硬化反応を加速することができる程度の温度に加熱することが好ましく、硬化反応を遅らせる場合には当該硬化反応を遅延させることができる程度の温度に冷却する。
このように形状付された成形体は、そのまま本発明の固着用材とすることもできるし、あるいは、さらに、その表面に硬化剤組成物を供給して本発明の固着用材とすることもできる。また、この成形体表面に、再度未硬化樹脂組成物を付与し、次いで硬化剤組成物を付与することにより、未硬化樹脂組成物相と硬化剤相との積層構造を形成することができる。
上記いずれの複合方法においても、第1のユニットと第2のユニットとが接触される。接触時において、第1のユニットと第2のユニットとの接触部位(含む接合部位)には、第1のユニット中に含まれるラジカル硬化型樹脂が硬化反応が発生する。これにより、当該接触部位には、硬化した当該ラジカル硬化型樹脂層が形成される。
なお、かかる硬化樹脂層は、複合化工程に先立って別途に第1のユニットの外表面に形成することもできる。あるいは第2のユニットの表面に未硬化樹脂組成を供給することによっても形成することができる。
以上説明したように、本発明によれば、固定要素固着用材の他、当該固着用材の構成要素である、第1のユニット、第1のユニットのための未硬化樹脂組成物、第2のユニット、第2のユニットのための硬化剤組成物が提供されるとともに、固着用材の製造方法も提供される。
本発明の固着用材によれば、未硬化のラジカル硬化型樹脂を含む固形の第1のユニットを備えるために、従来不可欠であった当該ラジカル硬化型樹脂のための容器及び容器への充てん作業を排除することができる。これにより、固定要素の固着には実質的に不用な構成要素を固着用材から排除される。
また、固着用材に対する容積率の大きい未硬化樹脂を成形体として第1のユニットとする場合には、固着用材の形態やサイズを第1のユニットにより提供されるので、様々な形態やサイズを提供するのが容易になる。
また、第2のユニットも固形である場合には、第1のユニットとの複合形態を採ることが容易であり、特に、第2のユニットを第1のユニットの表層側の少なくとも一部を構成する被膜状に形成することで、製造が容易でしかも混合性・硬化性に優れた固着用材を提供できる。
本発明の固着用材は、特に、アンカー等の強度用固定要素の固着に好適であり、経済性及び使用性に優れたアンカー筋の固着用材が提供される。
(実施例)
以下、本発明の一具体例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ラジカル硬化型樹脂である不飽和ポリエステル樹脂25gに、成形剤を4g及び焼成骨材60gを混合し、混練した未硬化樹脂組成物(JISK6833、L型粘度計、試料重量89g、20℃、粘度80Pa・s(回転数0.5rpm)、チキソトロピー係数η1/η10=3.0)を、所定の押し出し量で吐出し、長さ90mmで切断した後、その外表面にパーオキサイド類の粉末硬化剤5gを付与し、この組成物をコンベア上を回転移動させながら軽くプレスし、同時に長手方向の中間の位置に分割が可能となるような凹部を有するような円柱形状を付与し、その後2時間以上常温にて放置し、成形体を得た。その後、この成形体の表面に、パーキオサイド類の硬化剤10g、充填剤20gを混合して硬化剤組成物を調製し、さらに固形粉末のポバール1gを水30gに加熱溶解、常温放冷させたものを混合したスラリーを付与し、24時間乾燥後、固着用材とした。最終的に、外径は、直径10mm、長さは100mmで、中間の50mmの位置に分割可能な凹部を有する固着用材を得た。
(実施例2)
実施例1の固着用材につき、次の強度試験を行った。
圧縮強度21N/mm2のコンクリートブロックに直径14mm、深さ120mmの穿設を施す。
実施例2で調製した外径10mm、長さが100mmの固着用材を穿設穴に挿填した後、先端を45°に斜めカットしたM12全ねじボルトを電気ドリルに装着し、一定の長さまで回転させながら埋めこんだ。打設養生24時間後、油圧測定機により最大引き抜き荷重を測定した。3本の固着用材については、いずれも60kN以上であり良好な結果であった。
(実施例3)
実施例1で調製した固着用材外径10mm、長さは100mmで、中間部の凹部にて分割した固着用材について、次の強度試験を行った。
圧縮強度21N/mm2のコンクリートブロックに直径14mm、深さ60mmの穿設を施す。
実施例1で調製し、中間部にて分割した外径10mm、長さが50mmの固着用材を穿設穴に挿填した後、先端を45°に斜めカットしたM12全ねじボルトを電気ドリルに装着し、一定の長さまで回転させながら埋めこんだ。打設養生24時間後、油圧測定機により最大引き抜き荷重を測定した。3本の固着用材についての結果は、いずれも30kN以上であり良好な結果であった。
これらの結果から、実施例1で調製した固着用材は、固定強度、アンカーの剛性ともいずれも良好であり、また、安定した強度を発揮できることがわかった。
(実施例4)
ラジカル硬化型樹脂である不飽和ポリエステル系樹脂30gに、二酸化ケイ素(商品名:ニップシール、日本シリカ工業(株)製)5g、及び焼成骨材5gを混練した未硬化樹脂組成物(JIS K6833、L型粘度計、試料重量40.0g、20℃、粘度9Pa・s(回転数0.5rpm)、チキソトロピー係数η1/η10=1.0)を、所定の押し出し量で吐出し、長さ60mmで切断した後、その外表面にパーオキサイド系の粉末硬化剤5gを付与し、この組成物をコンベア上で回転させながら軽くプレスしたところ、表面の外皮膜が形成される前に型くずれがおき、養生2時間後には、断面が扁平した楕円状となり、所望とする円柱形状の成形体を得ることができなかった。
(実施例5)
ラジカル硬化型樹脂である不飽和ポリエステル系樹脂30gに、二酸化ケイ素(商品名:ニップシール、日本シリカ工業(株)製)100g、及び焼成骨材120gを混練した未硬化樹脂組成物(JIS K6833、L型粘度計、試料重量50.0g、20℃、粘度220Pa・s(回転数0.5rpm)、チキソトロピー係数η1/η10=5.5)を、所定の押し出し量で吐出し、長さ60mmで切断した後、その外表面にパーオキサイド系の粉末硬化剤5gを付与し、この組成物をコンベア上で回転させながら軽くプレスし、直径9mm×長さ60mmの成形体を得た。
この成形体を用いて次の試験を行った。
アンカーボルトD10、穿孔:直径11.5×長さ60mmにて、3本の成形体について固着試験を行ったところ、1本の試験体においては、アンカーを穴底まで埋め込むことができなかった。残りの2本の試験体については、アンカーの埋め込みはできたものの、アンカーの引き抜き強度は、それぞれ0.2kN、0.1kNとなり、樹脂組成物は明らかに硬化剤過剰による硬化不良が確認された。
また、アンカーの引き抜き強度については、通常20kN〜30kNに対して非常に低く、アンカーとして使用できない結果となった。
産業上の利用可能性
本発明の複合体によれば、固定要素の固着に不用な構成要素が排除された固着用材が提供される。また、本発明の製造方法によれば、固定要素固着用材の製造工程が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
図1
図1は、本発明の固着用材の一例を示す図である。
図2
図2(A)は、分割部を有する固着用材の一例を示す図である。
図2(B)は、分割部を有する固着用材の他の一例を示す図である。
図3
図3は、固着用材の製造方法の一例を示す図である。
図4
図4は、固着用材の製造方法の他の一例を示す図である。
Claims (5)
- 固定要素固着用材であって、
未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有するコア部と、
このコア部の表層側の全部を構成し、当該ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含有する硬化剤相、とを備え、
前記コア部の未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有する内相は、20℃において50Pa・s以上200Pa・s以下の粘度を有し、
前記コア部と前記硬化剤相とが接触する界面近傍には、前記コア部に含まれる未硬化ラジカル硬化型樹脂と前記硬化剤相に含まれる硬化剤とが反応した結果物である硬化したラジカル硬化型樹脂の相が存在しており、
前記コア部は、それ自体備える形状を維持可能な保形性ないし強度を備え、前記硬化剤相は、前記コア部の外表面に噴霧、塗布、又は浸漬により付与されて、当該コア部の表面を覆う外皮状となっており、容器を備えていない、固定要素固着用材。 - 前記コア部と前記硬化剤相とをそれぞれ備える二以上の分割体を形成可能に備えられる分割部を備える、請求項1に記載の固定要素固着用材。
- 固定要素固着用材の製造方法であって、
以下の工程:
(a)未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有する組成物の表面に、当該ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を供給し、その後、所定形状を付与する工程と、
(b)前記(a)工程において得られる成形体の表面に、当該ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を供給する工程を備え、
前記組成物は、20℃において10Pa・s以上200Pa・s以下の粘度を有し、
前記(a)工程の形状付与時において、得ようとする成形体を分割可能とする分割部を備えるように形状付与する、方法。 - 前記ラジカル硬化型樹脂は、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、アクリルウレタン樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂である、請求項3に記載の方法。
- 請求項3または請求項4に記載の方法によって製造される、固定要素固着用材。
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