JP2005330387A - アンカー固定用の接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 カプセルを必要としない自立式のアンカー固定用の接着剤において、その接着剤に含まれている溶剤成分等が大気中に揮散することを防止する。
【解決手段】 未硬化のラジカル硬化型樹脂を含むコア部の表面に対して、前記ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含む硬化剤層が被覆されているアンカー固定用の接着剤であって、前記硬化剤層の表面に対して樹脂製のコーティング層が被覆されていることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。前記コーティング層を形成している樹脂は、透明性あるいは半透明性の樹脂であることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。前記コーティング層を形成している樹脂は、セラック樹脂、アクリル系樹脂、及びセルロース系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
【選択図】 図1
【解決手段】 未硬化のラジカル硬化型樹脂を含むコア部の表面に対して、前記ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含む硬化剤層が被覆されているアンカー固定用の接着剤であって、前記硬化剤層の表面に対して樹脂製のコーティング層が被覆されていることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。前記コーティング層を形成している樹脂は、透明性あるいは半透明性の樹脂であることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。前記コーティング層を形成している樹脂は、セラック樹脂、アクリル系樹脂、及びセルロース系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えばコンクリート床面等に穿設された孔に対してアンカーを固定する際に用いられる接着剤の技術に関する。
コンクリート床面にドリル等によって孔を穿設した後に、その孔の内部に接着剤を充填してから打ち込む方式のアンカー(いわゆる接着アンカーと呼ばれるもの)はよく知られている。この接着アンカーに用いられる接着剤としては、例えば、孔の内部に直接注入する注入式のものや、カプセル内に封入されるとともにそのカプセルが破壊されることで硬化反応を開始するカプセル方式のものが知られている。前者のタイプでは、孔の内部に接着剤を注入する作業が極めて煩雑である。後者のタイプでは、接着剤を収容するカプセルを作製するために余計な材料費がかかる上に、カプセルの破片によって接着剤の混合が阻害されるという問題がある。そこで、従来、これら2つの問題を一挙に解決することのできる技術として、特許文献1に記載のアンカー固定用の接着剤(固定要素固着用材)が提案されている。
特許文献1に記載のアンカー固定用の接着剤によれば、未硬化のラジカル硬化型樹脂を含むコア部の表面に対して、前記ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含む硬化剤層が被覆されている。つまり、接着剤の断面を見たときに、内層側にはラジカル硬化型樹脂を含む層が配置しており、外層側には硬化剤を含む層が配置した形態となっている。コンクリート床面に穿設された孔に対して、この接着剤が充填されてからアンカー(ないしはアンカーボルト)が打ち込まれると、この接着剤に対してアンカーの回転や振動などの物理的な力が作用するので、ラジカル硬化型樹脂とその硬化剤との混練混和が行われる。これにより、ラジカル硬化型樹脂とその硬化剤との硬化反応が促進されるので、コンクリート床面に対してアンカーを強力に固定することができる。この場合、アンカー固定用の接着剤は、ラジカル硬化型樹脂とその硬化剤のみによって自立形状を保っているので、これらの樹脂及び硬化剤を収容するためのプラスチック製のカプセル等が不要である。このカプセルが廃されたアンカー固定用の接着剤のことを、以下では、「自立式」のアンカー固定用の接着剤と呼ぶことにする。
特許文献1に記載されたアンカー固定用の接着剤(自立式のアンカー固定用の接着剤)によれば、従来必要であったカプセルが不要であるという利点が得られるものの、接着剤の表面が外部の雰囲気中に露出した状態であり、ラジカル硬化型樹脂に含まれている揮発性の溶剤成分等が時間の経過とともに大気中に揮散してしまうという問題が本発明者らによって新たに発見された。
そこで本発明は、カプセルを必要としない自立式のアンカー固定用の接着剤において、その接着剤に含まれている溶剤成分等が大気中に揮散することを防止することを目的とする。
そこで本発明は、カプセルを必要としない自立式のアンカー固定用の接着剤において、その接着剤に含まれている溶剤成分等が大気中に揮散することを防止することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下の(1)〜(7)に記載した発明である。
(1)未硬化のラジカル硬化型樹脂を含むコア部の表面に対して、前記ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含む硬化剤層が被覆されているアンカー固定用の接着剤であって、前記硬化剤層の表面に対して樹脂製のコーティング層が被覆されていることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
(2)上記(1)に記載のアンカー固定用の接着剤であって、コーティング層を形成している樹脂は、透明性あるいは半透明性の樹脂であることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
(3)上記(1)または上記(2)に記載のアンカー固定用の接着剤であって、コーティング層を形成している樹脂は、セラック樹脂、アクリル系樹脂、及びセルロース系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
(4)上記(1)から上記(3)のうちいずれか1項に記載のアンカー固定用の接着剤であって、コーティング層の厚みが0.1μm以上1.0mm以下の範囲にあることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
(5)上記(1)から上記(4)のうちいずれか1項に記載のアンカー固定用の接着剤であって、コア部の表面と硬化剤層との間には、ラジカル硬化型樹脂と硬化剤との反応生成物からなる中間層が形成されるとともに、前記中間層の厚みが0.1μm以上2.0mm以下の範囲にあることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
(6)上記(1)から上記(5)のうちいずれか1項に記載のアンカー固定用の接着剤であって、コア部を構成する組成物の粘度が10Pa・s以上2000Pa・s以下の範囲にあることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
(7)上記(1)から上記(6)のうちいずれか1項に記載のアンカー固定用の接着剤であって、コア部に含まれるラジカル硬化型樹脂は、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ビニルウレタン樹脂、及びビニルエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
(1)未硬化のラジカル硬化型樹脂を含むコア部の表面に対して、前記ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含む硬化剤層が被覆されているアンカー固定用の接着剤であって、前記硬化剤層の表面に対して樹脂製のコーティング層が被覆されていることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
(2)上記(1)に記載のアンカー固定用の接着剤であって、コーティング層を形成している樹脂は、透明性あるいは半透明性の樹脂であることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
(3)上記(1)または上記(2)に記載のアンカー固定用の接着剤であって、コーティング層を形成している樹脂は、セラック樹脂、アクリル系樹脂、及びセルロース系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
(4)上記(1)から上記(3)のうちいずれか1項に記載のアンカー固定用の接着剤であって、コーティング層の厚みが0.1μm以上1.0mm以下の範囲にあることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
(5)上記(1)から上記(4)のうちいずれか1項に記載のアンカー固定用の接着剤であって、コア部の表面と硬化剤層との間には、ラジカル硬化型樹脂と硬化剤との反応生成物からなる中間層が形成されるとともに、前記中間層の厚みが0.1μm以上2.0mm以下の範囲にあることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
(6)上記(1)から上記(5)のうちいずれか1項に記載のアンカー固定用の接着剤であって、コア部を構成する組成物の粘度が10Pa・s以上2000Pa・s以下の範囲にあることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
(7)上記(1)から上記(6)のうちいずれか1項に記載のアンカー固定用の接着剤であって、コア部に含まれるラジカル硬化型樹脂は、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ビニルウレタン樹脂、及びビニルエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
本発明によれば、カプセル等を必要としない自立式のアンカー固定用の接着剤において、その接着剤に含まれている溶剤成分等が大気中に揮散することを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係るアンカー固定用の接着剤10の斜視図である。図2は、図1に示す接着剤10のA−A線断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係るアンカー固定用の接着剤10は、カプセルを必要としないで自身の形状を保つことのできる自立式のアンカー固定用の接着剤である。図2に示すように、この接着剤10は、未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有するコア部12の表面に対して、前記ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含む硬化剤層14が被覆されている。つまり、この接着剤10の断面を見たときには、内層側にコア部12が配置しており、そのコア部12の外層側に硬化剤層14が配置した形態となっている。
なお、図1では、アンカー固定用の接着剤10が略円柱状に形成されている例を示しているが、このような形態に限定する趣旨ではない。接着剤10は、例えば、球状、ブロック状、棒状など、その他の形状に形成されたものであってもよい。
図1は、本実施の形態に係るアンカー固定用の接着剤10の斜視図である。図2は、図1に示す接着剤10のA−A線断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係るアンカー固定用の接着剤10は、カプセルを必要としないで自身の形状を保つことのできる自立式のアンカー固定用の接着剤である。図2に示すように、この接着剤10は、未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有するコア部12の表面に対して、前記ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含む硬化剤層14が被覆されている。つまり、この接着剤10の断面を見たときには、内層側にコア部12が配置しており、そのコア部12の外層側に硬化剤層14が配置した形態となっている。
なお、図1では、アンカー固定用の接着剤10が略円柱状に形成されている例を示しているが、このような形態に限定する趣旨ではない。接着剤10は、例えば、球状、ブロック状、棒状など、その他の形状に形成されたものであってもよい。
(コア部について)
コア部12は、未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有している。前記ラジカル硬化型樹脂としては、特に限定しないが、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ビニルウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂等を用いることができる。この中では、特に、エポキシアクリレート樹脂、あるいは不飽和ポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの樹脂のうち2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
コア部12は、未硬化のラジカル硬化型樹脂を含有している。前記ラジカル硬化型樹脂としては、特に限定しないが、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ビニルウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂等を用いることができる。この中では、特に、エポキシアクリレート樹脂、あるいは不飽和ポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの樹脂のうち2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
コア部12を構成する組成物としては、上述のラジカル硬化型樹脂に加えて、反応性モノマーを混合して使用することもできる。かかる反応性モノマーとしては、スチレンモノマー、メチル(メタ)アクリルレート、エチル(メタ)アクリルレート、エチレングリコールジメタクリレート、シクロヘキシルフタレート、n−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルレート、ベンジル(メタ)アクリルレート、フェノキシエチル(メタ)アクリルレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリルレート、トリメタアクリル酸トリメチロールプロパン、マレイン酸ジメチル、イソボルニル(メタ)アクリルレート、ブタンジオール(メタ)アクリルレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ−ジエトキシ)]フェニルプロパン等を用いることができる。
ラジカル硬化型樹脂、あるいはこれに上記の反応性モノマーを加えた成分は、コア部12を構成している組成物全体の重量に対して、好ましくは、20〜60重量%の範囲で使用される。
ラジカル硬化型樹脂、あるいはこれに上記の反応性モノマーを加えた成分は、コア部12を構成している組成物全体の重量に対して、好ましくは、20〜60重量%の範囲で使用される。
また、コア部12を構成している組成物中には、ラジカル硬化型樹脂の硬化促進剤を含めることができる。かかる硬化促進剤としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−P−トルイジン、N,N−ジヒドロキシプロピル−P−トルイジン、N,N−ジヒドロキシエチル−P−トルイジン等の芳香族アニリン類、ナフテン酸コバルト等の金属石鹸類、バナジルアセチルアセトネート等のキレート化合物等を用いることができる。これらの硬化促進剤は、ラジカル硬化型樹脂に対して、例えば、0.1〜5重量%の範囲で添加される。
また、コア部12を構成している組成物中には、そのコア部12自体に対して塑性や粘性を付与することのできる添加剤等を含めることができる。具体的には、珪酸、炭酸カルシウム、石膏、ガラスフレーク、マイカ、火山灰、シラス、シラスマイクロバルーン、コンクリート粉、ガラスマイクロバルーン、中空状ガラス、フライアッシュ等の無機化合物、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、PVA、アラビアゴム、微結晶性セルロース、アミロース、アミロペクチン等の多糖類を含めることができる。また、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、シリカエーロゲル、有機改質粘土、クレー、シリカパウダー、酢酸セルロース、セピオライト、アエロジル(商品名、日本アエロジル社製)、チクソゲル(商品名、横浜化成社製)等のチクソトロピー付与剤を含めることができる。本発明においては、これらの添加剤を2種類以上組み合わせて使用することもできる。好ましくは、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、珪酸カルシウムを使用することができる。特に好ましくは、二酸化ケイ素を使用することができる。これらの添加剤を含めることによって、ラジカル硬化型樹脂を含むコア部12に対して塑性や粘性を付与できるので、接着剤10をプラスチック製のカプセル等に収容しなくとも、接着剤10の形状が略一定に保たれる。このような添加剤は、好ましくは、ラジカル硬化型樹脂に対して300重量%以下の範囲で使用される。より好ましくは、ラジカル硬化型樹脂に対して5〜50重量%の範囲で使用される。
本発明において、コア部12を構成する組成物の粘度は、10Pa・s以上2000Pa・s以下の範囲であることが好ましい。なお、ここでいう「粘度」とは、20℃の条件で測定したときの粘度のことである。コア部12の中心部近傍と表層部近傍とでは粘度が異なる場合もあり得るが、ここでいう「粘度」とは、コア部12を構成する組成物の粘度を単独で20℃の条件で測定したときの値である。したがって、ここでいう「粘度」の意味は極めて明確である。コア部12を構成している組成物の粘度は、例えば、B型粘度計、E型粘度計、L型粘度計、R型粘度計、H型粘度計でのJIS K6833(粘度測定)あるいはこれに準じた粘度測定法によって測定することができる。
コア部12を構成する組成物の粘度が10Pa・s未満であると、例えば射出成形機や押出成形機等によってコア部12を成形した場合にコア部12が自身の形状を一定に維持することができなくなる。また、コア部12を構成する組成物の粘度が2000Pa・sよりも大きくなると、孔に接着剤10を充填してアンカーを打ち込んだ際における回転抵抗が高くなるとともに、コア部12に含まれるラジカル硬化型樹脂とその硬化剤との混合が良好に行われなくなる。
コア部12を構成している組成物の粘度を10Pa・s以上2000Pa・s以下の範囲に調整するためには、上述した二酸化ケイ素等の各種の添加剤の量を調整すればよい。
コア部12を構成する組成物の粘度が10Pa・s未満であると、例えば射出成形機や押出成形機等によってコア部12を成形した場合にコア部12が自身の形状を一定に維持することができなくなる。また、コア部12を構成する組成物の粘度が2000Pa・sよりも大きくなると、孔に接着剤10を充填してアンカーを打ち込んだ際における回転抵抗が高くなるとともに、コア部12に含まれるラジカル硬化型樹脂とその硬化剤との混合が良好に行われなくなる。
コア部12を構成している組成物の粘度を10Pa・s以上2000Pa・s以下の範囲に調整するためには、上述した二酸化ケイ素等の各種の添加剤の量を調整すればよい。
また、コア部12を構成している組成物中に、アンカーの固定強度を高めるための骨材類を含めることができる。このような骨材としては、特に限定しないが、マグネシアクリンカー、ガラス、セラミックス等の人工骨材、あるいは、硅石、大理石、御影石、珪砂、石英等の天然の無機系骨材等を使用することができる。また、硬質塩化ビニルのような硬質プラスチック製の有機系骨材を使用することもできる。
(硬化剤層)
本発明に係るアンカー固定用の接着剤10では、未硬化のラジカル硬化型樹脂を含むコア部12の表面に対して、前記ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含む硬化剤層14が被覆される。
前記硬化剤としては、例えば、キュメンパーオキサイド等のハイドロオキサイド類、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、過酸化ベンゾイル等のジアシルパーオキサイド類、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物、及びこれらの有機過酸化物をフタル酸ジシクロヘキシル等の有機物や、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の無機物で希釈したものも使用できる。好ましくは、パーオキサイド系硬化剤であり、より好ましくは、ジアシルパーオキサイド類であり、さらに好ましくは、過酸化ベンゾイル、及び過酸化ベンゾイルを希釈剤で希釈したものである。本発明においては、これらの各種硬化剤のうち2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明に係るアンカー固定用の接着剤10では、未硬化のラジカル硬化型樹脂を含むコア部12の表面に対して、前記ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含む硬化剤層14が被覆される。
前記硬化剤としては、例えば、キュメンパーオキサイド等のハイドロオキサイド類、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、過酸化ベンゾイル等のジアシルパーオキサイド類、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物、及びこれらの有機過酸化物をフタル酸ジシクロヘキシル等の有機物や、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の無機物で希釈したものも使用できる。好ましくは、パーオキサイド系硬化剤であり、より好ましくは、ジアシルパーオキサイド類であり、さらに好ましくは、過酸化ベンゾイル、及び過酸化ベンゾイルを希釈剤で希釈したものである。本発明においては、これらの各種硬化剤のうち2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
また、硬化剤層14を構成している組成物中には、その硬化剤層14自体に対して塑性や粘性を付与することのできる添加剤等を含めることができる。具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、PVA、アラビアゴム、微結晶性セルロース、アミロース、アミロペクチン等の多糖類、酢酸ビニル等である。また、石膏、粘土、珪酸ソーダ、珪酸カルシウム等も使用できる。さらに、各種接着剤、好ましくはアクリル系接着剤を使用することができる。本発明においては、これらの添加剤のうち2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
また、硬化剤層14を構成している組成物中には、硫酸カルシウム等の適当な充てん剤を含めることもできる。例えば、繊維状、粉体状、粒状、チップ状あるいはフレーク状の硫酸カルシウムを含めることができる。このような充てん剤を含めることにより、硬化剤層14の強度の向上や成形性の向上を図ることができる。
また、硬化剤層14を構成している組成物中には、必要に応じて着色剤を添加することもできる。これにより、アンカー固定用の接着剤10に対して着色を施すことができるので、例えば用途やサイズの異なる複数種類の接着剤10を作製した場合であっても、これらの接着剤10の識別が容易になる。
また、硬化剤層14を構成している組成物中には、アンカーの固定強度を高めるための骨材類を含めることもできる。このような骨材としては、特に限定しないが、マグネシアクリンカー、ガラス、セラミックス等の人工骨材、あるいは、硅石、石英等の天然の無機系骨材を使用することができる。また、硬質塩化ビニルのような硬質プラスチック製の有機系骨材を使用することもできる。
本発明において、硬化剤層14中に含める硬化剤としては、過酸化ベンゾイル等のパーオキサイド系硬化剤を使用することが好ましい。また、硬化剤層14に塑性や粘性を付与するための添加剤としては、アクリル系接着剤を使用することが好ましい。また、硬化剤層14中に含める充てん剤としては、硫酸カルシウムを使用することが好ましい。
また、硬化剤層14を構成している組成物中には、必要に応じて着色剤を添加することもできる。これにより、アンカー固定用の接着剤10に対して着色を施すことができるので、例えば用途やサイズの異なる複数種類の接着剤10を作製した場合であっても、これらの接着剤10の識別が容易になる。
また、硬化剤層14を構成している組成物中には、アンカーの固定強度を高めるための骨材類を含めることもできる。このような骨材としては、特に限定しないが、マグネシアクリンカー、ガラス、セラミックス等の人工骨材、あるいは、硅石、石英等の天然の無機系骨材を使用することができる。また、硬質塩化ビニルのような硬質プラスチック製の有機系骨材を使用することもできる。
本発明において、硬化剤層14中に含める硬化剤としては、過酸化ベンゾイル等のパーオキサイド系硬化剤を使用することが好ましい。また、硬化剤層14に塑性や粘性を付与するための添加剤としては、アクリル系接着剤を使用することが好ましい。また、硬化剤層14中に含める充てん剤としては、硫酸カルシウムを使用することが好ましい。
コア部12の表面に対して硬化剤層14を被覆するためには、特に限定はしないが、例えば、塗布、噴霧、侵漬、型成形等の手段を用いることができる。例えば、有機溶剤等に溶解させることで液状化された硬化剤を、スプレーガン等によってコア部12の表面に噴霧することにより被覆することができる。あるいは、有機溶剤等に溶解させることで液状化された硬化剤中に、コア部12の全体を侵漬させることによって被覆することができる。あるいは、粉体状に加工された硬化剤を、コア部12の表面にまぶすようにして被覆することもできる。あるいは、成形型の中央にセットしたコア部12の周囲に、ペースト状に調整した硬化剤を充填することによって被覆することができる。これらの手段を用いることにより、コア部12の表面に対して硬化剤層14をほぼ均一の厚みに被覆することができる。
(中間層)
図2に示すように、コア部12の表面と硬化剤層14との間(界面近傍)には、コア部12に含まれるラジカル硬化型樹脂と硬化剤層14に含まれる硬化剤との反応生成物からなる中間層16が形成されている。この中間層16は、コア部12と硬化剤層14とを互いに隔離しており、コア部12に含まれるラジカル硬化型樹脂と硬化剤層14に含まれる硬化剤との硬化反応が開始するのを防止している。これにより、接着剤10が充填された孔に対してアンカーが打ち込まれるまでの間は、その孔に充填された接着剤10に含有されているラジカル硬化型樹脂を未硬化の状態に維持することができる。
図2に示すように、コア部12の表面と硬化剤層14との間(界面近傍)には、コア部12に含まれるラジカル硬化型樹脂と硬化剤層14に含まれる硬化剤との反応生成物からなる中間層16が形成されている。この中間層16は、コア部12と硬化剤層14とを互いに隔離しており、コア部12に含まれるラジカル硬化型樹脂と硬化剤層14に含まれる硬化剤との硬化反応が開始するのを防止している。これにより、接着剤10が充填された孔に対してアンカーが打ち込まれるまでの間は、その孔に充填された接着剤10に含有されているラジカル硬化型樹脂を未硬化の状態に維持することができる。
中間層16は、ラジカル硬化型樹脂を含むコア部12の表面に対して、そのラジカル硬化型樹脂の硬化剤を例えば2段階で供給することにより形成することができる。例えば、コア部12の表面に対して少量の硬化剤を供給することで薄い皮膜状の中間層16を形成した後に、その中間層16の上から残りの硬化剤を供給することで硬化剤層14を被覆する。これにより、中間層16を間に挟んでコア部12及び硬化剤層14が層状に配置した多層構造のアンカー固定用の接着剤10を得ることができる。勿論、コア部12の表面に対して硬化剤を1段階で供給した場合であっても、コア部12と硬化剤層14との間に薄い皮膜状の中間層16を形成することができる。中間層16の厚みは、コア部12の表面に供給する硬化剤の量や濃度によって制御することができる。
本実施の形態に係るアンカー固定用の接着剤10において、中間層16の厚みは、0.1μm以上2.0mm以下の範囲であることが好ましい。中間層16の厚みが0.1μm未満である場合には、コア部12と硬化剤層14との隔離が不十分となり、コア部12に含まれるラジカル硬化型樹脂と硬化剤層14に含まれる硬化剤との反応を完全に防ぐことができなくなる。中間層16の厚みが2.0mmよりも大きい場合には、孔に接着剤10を充填してアンカーを打ち込んだ際に、この中間層16の破片によってラジカル硬化型樹脂とその硬化剤との混合が阻害されてしまう。
(コーティング層)
図2に示すように、本実施の形態に係るアンカー固定用の接着剤10では、硬化剤層14のさらに外側の表面に対して樹脂製のコーティング層18が被覆されている。このコーティング層18が被覆されることによって、コア部12(もしくは硬化剤層14)に含まれている有機溶剤等の揮発性物質が大気中に揮散するのを防止することができる。
図2に示すように、本実施の形態に係るアンカー固定用の接着剤10では、硬化剤層14のさらに外側の表面に対して樹脂製のコーティング層18が被覆されている。このコーティング層18が被覆されることによって、コア部12(もしくは硬化剤層14)に含まれている有機溶剤等の揮発性物質が大気中に揮散するのを防止することができる。
コーティング層18に用いられる樹脂としては、コア部12に含まれている有機溶剤等の揮散を防止できる樹脂であれば特に限定はしないが、例えば、セラック樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等を使用することができる。これらの樹脂のうち2種以上を組み合わせて使用することもできる。これらの樹脂の中では、セラック樹脂を使用することが特に好ましい。セラック樹脂は天然由来の成分からなるので、アンカー固定用の接着剤10を例えば素手で取り扱う際にも皮膚への影響が小さいからである。
また、コーティング層18に用いられる樹脂としては、透明あるいは半透明の樹脂を使用することが好ましい。コーティング層18が透明あるいは半透明であると、その内側の硬化剤層14の状態が透けて見えるので、硬化剤層14に含まれる硬化剤の劣化等を目視により確認することができる。
また、コーティング層18に用いられる樹脂中には、樹脂以外のその他の成分、例えば、有機溶剤、着色剤、顔料等が含有されていてもよい。
また、コーティング層18に用いられる樹脂としては、透明あるいは半透明の樹脂を使用することが好ましい。コーティング層18が透明あるいは半透明であると、その内側の硬化剤層14の状態が透けて見えるので、硬化剤層14に含まれる硬化剤の劣化等を目視により確認することができる。
また、コーティング層18に用いられる樹脂中には、樹脂以外のその他の成分、例えば、有機溶剤、着色剤、顔料等が含有されていてもよい。
コーティング層18の厚みは、0.1μm以上1.0mm以下の範囲であることが好ましい。コーティング層18の厚みが0.1μm未満である場合には、コア部12(もしくは硬化剤層14)に含まれる有機溶剤等の揮発物質の揮散を十分に防止することができなくなる。コーティング層18の厚みが1.0mmよりも大きい場合には、孔に接着剤10を充填してアンカーを打ち込んだ際に、このコーティング層18の破片によってラジカル硬化型樹脂とその硬化剤との混合が阻害されてしまう。
硬化剤層14の表面にコーティング層18を被覆するためには、特に限定しないが、例えば、塗布、噴霧、侵漬等の手段を用いることができる。例えば、加熱により溶融して液状化された樹脂を、刷毛やスプレーガン等を用いて硬化剤層14の表面に被覆することができる。あるいは、加熱により溶融して液状化された樹脂の中に、コア部12及び硬化剤層14が一体化された成型物を侵漬させることによって被覆することができる。これらの手段を用いることにより、硬化剤層14の表面に対してコーティング層18をほぼ均一の厚みに被覆することができる。なお、コーティング層18の厚みは、硬化剤層14の表面に樹脂を塗布する回数、硬化剤層14の表面に樹脂を噴霧する回数、樹脂の中に成型物を侵漬させる回数、樹脂の濃度や粘度等によって制御することが可能である。
硬化剤層14の表面に樹脂製のコーティング層18を被覆することによって、以下に示す作用効果が達成される。
(1)コア部12に含まれているラジカル硬化型樹脂にはスチレンモノマーなどの有機溶剤が添加される場合がある。これにより、ラジカル硬化型樹脂がある程度の流動性を持ったものとなり、孔の内部にアンカーを打ち込んだ際に、ラジカル硬化型樹脂とその硬化剤との混練混和が良好に行われる。しかしながら、アンカー固定用の接着剤10が大気中に放置されて、コア部12に含まれている有機溶剤等が大気中に揮散してしまった場合には、ラジカル硬化型樹脂が乾燥して流動性を失った状態となり、孔の内部にアンカーを打ち込んだ際に、ラジカル硬化型樹脂とその硬化剤との混合が良好に行われなくなる。ラジカル硬化型樹脂とその硬化剤との混合が良好に行われないと、アンカーを固定するための接着力が十分に得られなくなる。
しかしながら、本実施の形態に係るアンカー固定用の接着剤10によれば、硬化剤層14の表面に樹脂製のコーティング層18が被覆されているので、コア部12(あるいは硬化剤層14)に含まれる有機溶剤等の揮発物質の揮散を防止することができる。これにより、例えばアンカー固定用の接着剤10を大気中に長期間放置した場合であっても、コア部12に含まれるラジカル硬化型樹脂が適度な流動性を失うことがないので、ラジカル硬化型樹脂とその硬化剤との混合が良好に行われるようになり、アンカーを固定するための十分な接着力が得られるようになる。
しかしながら、本実施の形態に係るアンカー固定用の接着剤10によれば、硬化剤層14の表面に樹脂製のコーティング層18が被覆されているので、コア部12(あるいは硬化剤層14)に含まれる有機溶剤等の揮発物質の揮散を防止することができる。これにより、例えばアンカー固定用の接着剤10を大気中に長期間放置した場合であっても、コア部12に含まれるラジカル硬化型樹脂が適度な流動性を失うことがないので、ラジカル硬化型樹脂とその硬化剤との混合が良好に行われるようになり、アンカーを固定するための十分な接着力が得られるようになる。
(2)本実施の形態に係るアンカー固定用の接着剤10によれば、硬化剤層14の表面に樹脂製のコーティング層18が被覆されているので、接着剤10がコーティング層18により防護された状態になっており、外部からの振動や衝撃に対して従来よりも変形し難くなっている。これにより、接着剤10が輸送時や使用時等に変形して不良品となることを防止できる効果がある。
(3)本実施の形態に係るアンカー固定用の接着剤10によれば、硬化剤層14の表面に樹脂製のコーティング層18が被覆されているので、製品の表面を平滑にすることができる。したがって、接着剤10からなる製品の表面に型番や製造年月日、社名ロゴ等を印刷し易いという効果がある。また、これらの印刷が明瞭でかつ消えにくくなるという効果もある。また、製品の表面に着色等を施すことができるので、製品の意匠性を高めることができるという効果もある。
(4)本実施の形態に係るアンカー固定用の接着剤10によれば、硬化剤層14の表面にコーティング層18が被覆されているので、硬化剤層14に含まれている硬化剤が、例えば太陽光に由来する紫外線を受けて分解するのを防止できる効果が得られる。なお、コーティング層18による紫外線防止の効果を高めるためには、コーティング層18の内部に紫外線吸収物質を含めることもできる。
(5)さらに、本実施の形態に係るアンカー固定用の接着剤10によれば、硬化剤層14の表面にコーティング層18が被覆されているので、取り扱い時や輸送時における摩擦や衝撃、摩耗等から硬化剤層14を保護することができる。これにより、硬化剤層14やその内部のコア部12に含まれている有効成分(ラジカル硬化型樹脂、硬化剤等)が失われるのを防止できるという優れた効果がある。
本実施例では、以下に記載する仕様にてアンカー固定用の接着剤を作製した。作製した接着剤について、(1)曲げ強度試験、(2)揮散防止性能評価試験、(3)アンカー固定強度評価試験を行った。
(コア部の組成)
接着剤のコア部に含有されるラジカル硬化型樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂(スチレンモノマーを6重量%含有)を使用した。この不飽和ポリエステル樹脂に対し、コア部に塑性を付与するための添加剤として、二酸化ケイ素を添加した。また、アンカーの固定強度を高めるための骨材として、焼成骨材(セラミックスボール)を添加した。コア部全体におけるこれらの配合割合は、ラジカル硬化型樹脂:添加剤:骨材=30:5:65(重量比)である。
接着剤のコア部に含有されるラジカル硬化型樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂(スチレンモノマーを6重量%含有)を使用した。この不飽和ポリエステル樹脂に対し、コア部に塑性を付与するための添加剤として、二酸化ケイ素を添加した。また、アンカーの固定強度を高めるための骨材として、焼成骨材(セラミックスボール)を添加した。コア部全体におけるこれらの配合割合は、ラジカル硬化型樹脂:添加剤:骨材=30:5:65(重量比)である。
(硬化剤層の組成)
硬化剤層に含有される硬化剤として、BPO(ベンゾイルパーオキサイド)を使用した。このBPOに対し、充填剤として硫酸カルシウムを添加した。硬化剤層全体におけるこれらの配合割合は、BPO:硫酸カルシウム=35:65(重量比)である。
硬化剤層に含有される硬化剤として、BPO(ベンゾイルパーオキサイド)を使用した。このBPOに対し、充填剤として硫酸カルシウムを添加した。硬化剤層全体におけるこれらの配合割合は、BPO:硫酸カルシウム=35:65(重量比)である。
(コーティング層の組成)
コーティング層を形成する樹脂として、エタノールで希釈したセラック樹脂を使用した。配合割合は、エタノール:セラック樹脂=85:15である。
コーティング層を形成する樹脂として、エタノールで希釈したセラック樹脂を使用した。配合割合は、エタノール:セラック樹脂=85:15である。
(1)曲げ強度試験
上記の仕様にて作製したアンカー固定用の接着剤について、曲げ強度試験を実施した。この曲げ強度試験では、コーティング層の厚みが0.1mmから0.15mm、製品寸法が外径10mm×長さ80mmの円柱状に作製された接着剤を使用した。この曲げ強度試験では、JIS K 7171に規定されている曲げ特性の試験方法に準じて計5回の測定を行った。また、比較例として、樹脂製のコーティング層が被覆されていない接着剤について、同様に曲げ強度試験を行った。曲げ強度試験の結果を[表1]に示す。
上記の仕様にて作製したアンカー固定用の接着剤について、曲げ強度試験を実施した。この曲げ強度試験では、コーティング層の厚みが0.1mmから0.15mm、製品寸法が外径10mm×長さ80mmの円柱状に作製された接着剤を使用した。この曲げ強度試験では、JIS K 7171に規定されている曲げ特性の試験方法に準じて計5回の測定を行った。また、比較例として、樹脂製のコーティング層が被覆されていない接着剤について、同様に曲げ強度試験を行った。曲げ強度試験の結果を[表1]に示す。
表1に示すように、硬化剤層の表面に樹脂製のコーティング層を被覆したアンカー固定用の接着剤では、コーティング層が被覆されていない接着剤と比較して、曲げ強度が約30%向上する結果となった。この結果より、コーティング層を被覆したアンカー固定用の接着剤は、振動や衝撃等を受けた場合でも変形し難く、例えば製品の輸送時等にも不良品が発生しにくいことが判明した。
(2)揮散防止性能評価試験
上記の仕様にて作製したアンカー固定用の接着剤について、揮散防止性能評価試験を行った。この揮発防止性能評価試験では、コーティング層の厚みが0.05から0.06mm、製品寸法が外径9.5mm×長さ120mmの円柱状に作製された接着剤を使用した。この揮発防止性能評価試験では、接着剤を50℃の環境下に10日間放置し、コア部及び硬化剤層に含まれている揮発性の溶剤成分等が揮散することによって、接着剤の重量がどのくらい変化するのか測定を行った。また、比較例として、樹脂製のコーティング層が被覆されていない接着剤について、同様に揮散防止性能評価試験を行った。揮散防止性能評価試験の結果を[表2]に示す。
上記の仕様にて作製したアンカー固定用の接着剤について、揮散防止性能評価試験を行った。この揮発防止性能評価試験では、コーティング層の厚みが0.05から0.06mm、製品寸法が外径9.5mm×長さ120mmの円柱状に作製された接着剤を使用した。この揮発防止性能評価試験では、接着剤を50℃の環境下に10日間放置し、コア部及び硬化剤層に含まれている揮発性の溶剤成分等が揮散することによって、接着剤の重量がどのくらい変化するのか測定を行った。また、比較例として、樹脂製のコーティング層が被覆されていない接着剤について、同様に揮散防止性能評価試験を行った。揮散防止性能評価試験の結果を[表2]に示す。
表2に示すように、硬化剤層の表面に樹脂製のコーティング層を被覆したアンカー固定用の接着剤では、コーティング層が被覆されていない接着剤と比較して、接着剤の重量の減少量が約1/4に低減されるという結果となった。この結果より、コーティング層を被覆したアンカー固定用の接着剤は、コア部及び硬化剤層に含まれている溶剤成分等が揮散しにくいために、アンカーを固定するための強固な接着力を長期間にわたって維持できることが判明した。
10 接着剤
12 コア部
14 硬化剤層
16 中間層
18 コーティング層
12 コア部
14 硬化剤層
16 中間層
18 コーティング層
Claims (7)
- 未硬化のラジカル硬化型樹脂を含むコア部の表面に対して、前記ラジカル硬化型樹脂の硬化剤を含む硬化剤層が被覆されているアンカー固定用の接着剤であって、
前記硬化剤層の表面に対して樹脂製のコーティング層が被覆されていることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。 - 請求項1に記載のアンカー固定用の接着剤であって、
コーティング層を形成している樹脂は、透明性あるいは半透明性の樹脂であることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。 - 請求項1または請求項2に記載のアンカー固定用の接着剤であって、
コーティング層を形成している樹脂は、セラック樹脂、アクリル系樹脂、及びセルロース系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。 - 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のアンカー固定用の接着剤であって、
コーティング層の厚みが0.1μm以上1.0mm以下の範囲にあることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。 - 請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載のアンカー固定用の接着剤であって、
コア部の表面と硬化剤層との間には、ラジカル硬化型樹脂と硬化剤との反応生成物からなる中間層が形成されるとともに、前記中間層の厚みが0.1μm以上2.0mm以下の範囲にあることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。 - 請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載のアンカー固定用の接着剤であって、
コア部を構成する組成物の粘度が10Pa・s以上2000Pa・s以下の範囲にあることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。 - 請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載のアンカー固定用の接着剤であって、
コア部に含まれるラジカル硬化型樹脂は、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ビニルウレタン樹脂、及びビニルエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなることを特徴とするアンカー固定用の接着剤。
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- 2004-05-20 JP JP2004150433A patent/JP2005330387A/ja active Pending
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