JP4218156B2 - 熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法および熱可塑性樹脂シートの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法および熱可塑性樹脂シートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂シートに表面異物のない表面特性に優れた熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法と、該方法を用いた熱可塑性樹脂シートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂シートを製造するにあたり、必要となる熱可塑性樹脂の延伸・加熱などを行うに際には、一般に該熱可塑性樹脂をロールに接触させながら加熱・延伸・搬送・冷却・成形をすることなどが行われている。
【0003】
しかしながら、このように熱可塑性樹脂がロールに接するときの問題点は、該熱可塑性樹脂シート表面に存在している極僅かな該樹脂のモノマー、オリゴマ−などの低分子化合物、分解物、ブリードアウト物、添加物、変性物などで代表される異物が、熱可塑性樹脂シートと接触したロール、特に加熱されたロールに該異物付着し、経時でさらに多くの異物が接触ロール表面に析出するようになり、これがフィルム表面に転写移行したり、擦り傷の原因になったりするという欠点があった。そこでこのように汚染されたロールを清浄化するために、いったん製膜を止めてロールをふき取ることや、製膜中で汚れたロールを布などで清浄にしたり、さらに該樹脂シート表面に粘着性を有したロールを接触させたり、水中に入れて機械的撹拌や超音波などの外力を利用したジェット水洗などが行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方法は効率が悪いばかりか、充分に該シートをクリーン化できず、このためにシートに傷や異物が存在したまま製膜・加工処理しなければならなかったのである。
【0005】
上述した点に鑑み、本発明の目的は、表面欠点のない、高品質な熱可塑性樹脂シートを生産性良く製造することを可能とする熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法を提供すること、また、該清浄方法を用いた熱可塑性樹脂シートの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述した問題に鑑み、鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。すなわち、以下のいずれかの清浄方法である。
1) 熱可塑性樹脂シート表面にある異物を、転写ロールに接触させて転写移行させる清浄方法であって、該転写ロールの表面温度が該樹脂のガラス転移温度近傍に加熱されていることを特徴とする熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
2) 熱可塑性樹脂シート表面にある異物を、転写ロールに接触させて転写移行させる清浄方法であって、該転写ロールが50〜160℃に加熱されていることを特徴とする熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
【0007】
また、本発明の熱可塑性樹脂シートの製造方法は、熱可塑性樹脂シートを製造するに際して、上述した本発明の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法を用いて、熱可塑性樹脂シート表面にある異物を除去しつつ行うことを特徴する熱可塑性樹脂シートの製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法と該清浄方法を用いた熱可塑性樹脂シートの製造方法に関して、好ましい実施の形態を説明する。
【0009】
本発明において、熱可塑性樹脂とは、加熱によって流動性を示す樹脂であり、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ビニルポリマー、およびそれらの混合体・変性体などから選ばれた樹脂が代表的なものであり、中でも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などが好ましく、特にポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましいものである。
【0010】
ポリエステルとは、分子主鎖中にエステル結合を有する高分子化合物であり、通常、ジオールとジカルボン酸とからの重縮合反応により合成されることが多いが、ヒドロキシ安息香酸で代表されるようなヒドロキシカルボン酸のように自己縮合するような化合物を利用してもよい。ジオール化合物の代表的なものとしては、HO(CH2 )nOHで表されるエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキセングリコール、さらにジエチレンギリコール、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等で代表されるエーテル含有ジオールなどであり、それらの単独または混合体などである。
【0011】
ジカルボン酸化合物の代表的なものとしては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、及びそれらの混合体などである。代表的なポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびこれらの共重合体、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)などを挙げることができ、中でもポリエチレンテレフタレート(PET)とポリエチレンナフタレート(PEN)およびこれらの共重合体が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体が好ましい。
【0012】
これらの高分子化合物の繰替し単位は、好ましくは80以上、より好ましくは120以上であるのがよい。固有粘度としては、オルトクロルフェノール(OCP)中での測定値として、好ましくは0.4(dl/g)以上、より好ましくは0.55(dl/g)以上であるのがよい。もちろん、これらのポリエステル樹脂には、各種の添加剤、例えばすべり材、ブロッキング防止剤、増量剤、安定剤、酸化防止剤、粘度調整剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、あるいは液晶ポリエステルなどの樹脂を併用することができる。
【0013】
また、本発明において、ポリアミド樹脂とは、主鎖中にアミド結合を有する高分子化合物であり、代表的なものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン7、ポリメタ/パラキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド/イソフタラミドおよびそれらの関連共重合体、混合体などから選ばれたポリアミド化合物などがある。本発明の場合、中でも、ナイロン6およびその共重合体、ナイロン66およびその共重合体が好ましいポリアミドである。さらに、これらのポリアミドに柔軟ナイロンや、結晶化し難いナイロン化合物を添加しておくと、キャストでの結晶化防止や、得られた品質の低温柔軟性などを付与できるのでで好ましい。
【0014】
さらに、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂としては、分岐構造を実質的に含まない直鎖状のPPS化合物が良い。
【0015】
また、ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、メチルペンテンポリマー(MPP)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、酢酸ビニルポリマー(EVA)、およびそれらの各種共重合体などを用いることができる。
【0016】
なお、これらの該熱可塑性樹脂シートを溶融押出するときには、溶融樹脂シートに静電荷を印加しながら冷却密着固化させてシート製造することが、結晶化抑制や厚み均質化の点、さらには急冷キャスティングドラム面の汚れ防止などの点で好ましい。
【0017】
また、本発明に用いられる樹脂の室温での体積固有抵抗値としては、好ましくは106 Ωcm以上、1018Ωcm以下、より好ましくは109 Ωcm以上、1015Ωcm以下のものである。従って、比較的抵抗値の低い範囲の抵抗値を持つ熱可塑性樹脂シートにより有効なものであると言えるが、必ずしもこれに限定されることはない。
【0018】
本発明において、熱可塑性樹脂シート表面にある異物を除去し清浄化するには、該熱可塑性樹脂シートを転写ロールに接触させて該異物を転写移行させてシート表面を清浄化するものである。
【0019】
ここで、異物とは、樹脂モノマー・オリゴマ−などの低分子化合物、分解物、ブリードアウト物、添加物、変性物などで代表される化合物であるが、もちろん熱可塑性樹脂の断片、切子、削れ粉や、一般に言う酸化珪素、塵灰などの浮遊異物なども含まれるものである。
【0020】
転写ロールの表面材質としては、ステンレス(SUS)、セラミック、クロム・ニッケルなどのメッキ加工、サンドブラスト加工などの材質のものが一般的なものとして用いることができるが、特別にこれらに限定されるものではなく、シリコンゴムライニング、EPTゴムライニング、あるいは熱硬化性樹脂などの有機樹脂コーティング加工されたものを用いることでもよい。
【0021】
転写ロールの表面粗さについては、特に限定はされないが、本発明者らの知見によれば、表面が平滑であるよりも、多少は粗面化された表面、例えば、Ry値として0.5〜3μm程度に粗面化された表面の方が、異物の転写効率(被転写シート上にある異物総数に対して一回の転写ロール接触で移行する異物数の割合)が良いので好ましい。
【0022】
さらに、シート製造工程中における転写ロールの表面温度としては、該樹脂のガラス転移温度近傍に加熱されているのが転写率が高くて好ましいが、必ずしもこれに限定されず、室温程度であってもよい。また、加熱温度を高くしすぎると、転写ロールの表面粗さがシートに転写する傾向が出てくるので好ましくない場合がある。加熱は、熱媒加熱、電気抵抗加熱あるいは電磁誘導加熱等のいずれでもよく、適宜な加熱方法を用いることができる。
【0023】
転写ロールの直径は、特に限定されることはないが、使い易さ、転写効率、異物の除去率などから、このましくは100mm以上、より好ましくは150〜1000mm程度の大径ロールであることが好ましい。
【0024】
該転写ロールは、自由回転ロールでも、トルク補給回転ロールでも、また駆動ロールでも良いが、機能が加熱・冷却や転写・除去などの多数の機能を有したロールであるために、強制駆動方式が好ましい。
【0025】
該樹脂シート表面の異物を転写ロールに効率的に移行転写させるために、上述転写効率値としては、70%以上と高いものであることが好ましい。このためには、転写ロールに接している樹脂シートの背面から静電荷を印加させるのが良いが、必ずしもこれに限定されず、機械的なニップ方式であってもよい。
【0026】
樹脂シートに静電荷を印加させるには、例えば、直流または交流電源から電極を通して静電荷を供給することで行い得る。該電極の形状は、ワイヤー、ブレード、テープ状、バンド状あるいは針状など各種の形状のものを特に限定されずに用いることができるが、本発明の場合、静電荷が集中するテープ状、バンド状、あるいは針状のものなどが好ましいものである。用いられる電圧は5〜25Kv程度、電流としては0.1から20mA程度である。
【0027】
電極先端とシートまでの間隔・距離としては3〜30mm程度が好ましい。印加する位置は、シートが転写ロールに接している間であればいつでも良いが、接し始める点に印加する方が転写率が良い。また、転写ロールが複数本ある場合は、それぞれに静電荷を印加しても良い。また、転写ロール自身が帯電している帯電ロールであっても良い。
【0028】
このようにして転写ロールに異物を付着させると、転写ロールが経時で汚れてくるので、熱可塑性樹脂シートが接していない部分の転写ロール表面にガーゼ、布あるいは不織布などの布を接触させて該転写ロールの表面を常に清浄に保つようにすることが大切である。
【0029】
また、他の転写ロールのクリーン化方法として、熱可塑性樹脂シートが接していない転写ロール表面部分に、コロナ放電、常圧プラズマ処理などの放電処理により転写ロールの表面を清浄に保つこともできる。特に、常圧大気中プラズマ処理が効率・スペースなどの点で好ましい。もちろん、清浄する布や放電電極は、該転写ロールの幅方向に周期的にトラバースすることが好ましい。
【0030】
次に、本発明における熱可塑性樹脂シート表面の洗浄方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに用いた例として、より具体的に示す。
【0031】
原料としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂または必要に応じて他の化合物を添加ブレンドした原料、例えば、液晶ポリマーや他のポリエステル樹脂、さらに酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、マイカ、タルク、カオリンなどの無機化合物、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、エチレンビスステアリルアミド、イオン性高分子化合物アイオノマー等の有機化合物等を添加した原料、いったん溶融させた回収原料などを混合した原料などを準備し、これを乾燥・脱水した後、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機などの溶融押出機に供給し、分子量、例えば固有粘度[η]を極力低下させないように窒素気流下、あるいは真空下で溶融押出する。もちろん、溶融温度は、該ポリエステル樹脂の融点(Tm)以上であることが普通であるが、いったん、該樹脂の融点(Tm)以上で溶融させた後に該融点Tm以下、該溶融結晶化温度(Tmc)以上に冷却する、いわゆる過冷却状態で押出を行うこともできる。このような過冷却状態での押出は、該樹脂の熱分解・ゲル化を減少させる効果があるばかりか、低分子量オリゴマーの生成も少なくなるために、ドラム汚れも少なくなりキャストしやすくなるという効果もある。
【0032】
次に、原料中の異物を除去するために、溶融樹脂を適宜なフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網等で濾過しながら押出する。かくして溶融されたポリエステル樹脂を成型用のTダイ、コートハンガーダイ、フィッシュテイルダイ、Lダイ、リングダイなどの任意の口金から押出し成形するのである。
【0033】
このとき、口金から溶融樹脂シートを鉛直方向へ押出されるようにするのが口金スジ解消や安定キャストには好ましい。さらに好ましくは、口金ランド方向も鉛直方向に向いていることが良い。また、口金とキャストドラムの位置関係は特には限定しないが、口金がキャスティングドラムの頂上に位置するよりも、シートの進行方向の上、さらに好ましくは鉛直方向がドラムの接線になる様な位置の方が厚み均質性、表面無欠点などにとっては好ましい。このためにも口金形状は烏口タイプの先端の尖ったものが好ましい。
【0034】
なお、口金から溶融シートを押出すときのドラフト比(=口金リップ間隔/押出されたシート厚み)は、好ましくは3以上、より好ましくは5〜20範囲とすることにより、厚みむらの小さい、平面性の良いシートが得られやすい。かくして溶融されたポリエステル樹脂をカラス口形状の口金から押出し、該溶融シートに5〜15kv程度に負極に帯電印加したワイアー電極で、該溶融樹脂シートを冷却媒体であるキャスティングドラムに密着させて急冷する。
【0035】
かくして得られた熱可塑性樹脂シート表面には、PET樹脂のオリゴマーや異物、さらにはPETの切り子などの異物などの付着していることが多いが、このようにシート上に乗った異物を、転写ロールに効率よく転写移行させるのである。このために、転写ロールを50〜160℃程度に加熱したり、転写ロール材質として表面粗さの大きなクロムメッキロールを用いたり、さらにシートが転写ロールに接している間に静電荷を印加したりするのである。もちろん、転写ロールの経時で汚れてくるのでシートの接していない転写ロール部分をガーゼや常圧プラズマ処理、コロナ処理などを用いて転写ロールを常時清浄に保つのである。
【0036】
続いて、このように、異物を取り除いたシートをロール式長手方向延伸機にてロールを用いてTg以上に加熱して1.5〜7倍程度延伸するのである。次いで、幅方向延伸のためにテンター式幅方向延伸機に導かれ、シート両端をクリップによって把持し熱風によってシートをTg以上に加熱し、両端クリップの幅を広げることでシートを横方向へ2〜8倍延伸する。さらに長手方向に強度の強いシートにするために長手方向に再度ロール延伸する。このとき、キャスト後のシートに行ったように該シートの表面を転写ロールで異物を除去してから再延伸するのが良い。このときの延伸温度は樹脂のTgよりも30〜80℃高温で延伸するのがよい。さらに必要に応じて熱風によってシートを樹脂の融点以下の温度で熱処理しても良い。
【0037】
上述した本発明の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法を用いて、高品質な熱可塑性樹脂シートを生産性良く製造することが可能となる。
【0038】
特に、本発明によれば、高品質な熱可塑性樹脂シートを、10〜500m/分の製膜速度で巻き取り製造することを可能にするものであり、中でも特に、100m/分以上の高速度、例えば、400m〜500m/分近辺で巻き取り製造することも可能となり、工業的意義は大きいものである。
【0039】
かくして得られたシートは、表面欠点を問題とする光学用、磁気記録媒体用、電気絶縁用、その他一般工業用などに広く利用できる。
【0040】
【物性の測定法】
次に本発明で使用した測定法について以下に述べる。
1.ポリエステル樹脂の固有粘度[η]
25゜Cで、o−クロルフェノールを溶媒として次式より求めた。
【0041】
[η]= lm[ηsp/c]
比粘度ηspは、相対粘度ηrから1を引いたものである。
【0042】
cは、濃度である。単位はdl/gで表わす。
2.ポリエステルの熱特性
セイコー電子工業製DSC RDC220型を用い、ポリエステルを20mg秤量し、窒素ガス雰囲気下20℃/分の速度で昇温して300℃になった時点でクエンチし、再度20℃/分の速度で300℃まで昇温しながらガラス転移点(Tg)、結晶化発熱ピーク温度(Tcc)、融点(Tm)を測定した。300℃に到達した後、さらに20℃/分の速度で降温させ、結晶化発熱ピーク温度(Tmc)を測定した。
3.体積固有抵抗R(Ωcm)
ガードの付いた主電極電極と対電極間にシートを挟み込み、この電極に直流電圧を印加し、次式からRを求める。
【0043】
R=印加電圧V×主電極面積S/(測定電流i×シート厚みD)
【0044】
【実施例】
実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
【0045】
実施例1
熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)(固有粘度[η]=0.65、Tgは70℃、冷結晶化温度Tccは128℃、融点Tmは265℃、Tmcは215℃、添加剤として平均粒径0.25μmの酸化珪素粒子を0.1wt含有、285℃での溶融比抵抗109Ωcm)を用いた。該PET樹脂の含水率が10ppm以下になるように乾燥した後、従来から知られているスクリュー径250mmのタンデム押出機に供給して285℃で溶融した後に270℃に冷却した後、10μmカットの繊維燒結金属フィルターを通過させて濾過し、これをカラス口タイプの幅2200mmのTダイ口金に導入し、溶融体シートの着地点としてはドラムの頂上より回転方向である前方に押出し(前方キャスト)、この溶融シートにバンド状の電極から静電荷を印加させながらを、直径2m、面長250mm、表面がクロムメッキされた表面粗度0.1Sのドラム上に100m/minで密着させ冷却させた。
【0046】
このようにして押出キャスティングした結果、高速でのキャスト密着性は良好であり、得られたシートの表面性も良好であった。かくして得られたキャストシートは90μm、幅1950mmであり、厚みむらの小さい、平面性の優れた、表面欠点のない、非晶性のシートであった。
【0047】
かくして得られた熱可塑性樹脂シート表面には、PET樹脂のオリゴマーや異物などの異物などの付着しているので、この異物を、該シート速度と同速で強制駆動回転している転写ロールに転写移行させて、被延伸シート表面を清浄にするのである。このために表面粗さRyとして0.8μmの大きな表面粗さを有するクロムメッキ材質の転写ロール(外径300mm)を、65℃に静電誘導加熱し、該シート(65℃での比抵抗1016Ωcm)が転写ロールに接する瞬間にワイヤー状電極からシート表面に静電荷を印加し、密着力を上げることで転写効率を90%以上に上げるのである。もちろん転写ロールの経時で汚れてくるのでシートの接していない転写ロール表面部分を、幅方向にトラバースするガーゼでふき取りながら転写ロールを常時清浄に保つ。
【0048】
このようにして押出シート表面を清浄にした後に、該押出シートをロール式長手方向延伸機で延伸温度88℃で3倍延伸後、ガラス転移温度Tg以下に冷却した。続いて該長手方向延伸シートの両端をクリップで把持しながらテンタに導き、延伸温度93℃に加熱された熱風雰囲気中で幅方向に4.0倍延伸後、150℃で定長熱固定した。
【0049】
かくして得られた二軸延伸熱可塑性樹脂シート表面には、PET樹脂のオリゴマーや異物以外にPETそのものなどの異物が付着しているので、さらにこの異物を、該二軸延伸シート速度と同速で強制駆動回転している転写ロールに転写移行させて、被延伸シート表面を清浄にするのである。このために表面粗さRyとして1.5μmの大きな表面粗さを有するセラミックロールからなる転写ロール(外径420mm)を、145℃に静電誘導加熱し、該延伸シートが転写ロールに接する瞬間にワイヤー状電極からシート表面に静電荷を印加し、密着力を上げることで転写効率として70%以上に上げるのである。もちろん、転写ロールの経時で汚れてくるのでシートの接していない転写ロール表面部分を、幅方向に常圧プラズマ処理器をトラバースさせて異物を分解・飛散させて、転写ロールを常時清浄に保つのである。
【0050】
さらに、この二軸延伸されたシートを再度長手方向に延伸するために予熱温度96℃、延伸温度155℃に加熱されたロール上で1.5倍長手方向の延伸を行った。このとき、ロール上でのシートの滑りは無く、シート表面にも擦り傷、掻き傷などは皆無であった。
【0051】
さらに、このシートを熱処理するためにクリップで把持してテンターで200℃、および130℃で熱固定し、厚さ6μmの二軸配向ポリエステルシートを安定な状態で約450m/分という高速で巻取り製膜した。
【0052】
かくして得られたシートは、表面欠点が全く無い平面性の優れたシートであった。
比較例1
2回の長手方向のロール延伸をする前の転写ロールへの接触をやめる以外は実施例1と全く同様にして二軸延伸シートを製膜した。
【0053】
その結果、二軸延伸シート表面には異物の付着のみならず、擦り傷・掻き傷などの表面欠点が多く存在し、光学用途などには使用できない表面欠点の多いシートであった。
【0054】
【発明の効果】
熱可塑性樹脂シート表面の異物をロール延伸する前に、転写ロールに効率よく転写させることにより、表面欠点のない、高品質なシートを生産性良く製造することができる。
【0055】
このようにして製造されたシートは、工業材料、磁気材料、包装材料などとして好ましく使用することができる。

Claims (15)

  1. 熱可塑性樹脂シート表面にある異物を、転写ロールに接触させて転写移行させる清浄方法であって、該転写ロールの表面温度が該樹脂のガラス転移温度近傍に加熱されていることを特徴とする熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
  2. 熱可塑性樹脂シート表面にある異物を、転写ロールに接触させて転写移行させる清浄方法であって、該転写ロールが50〜160℃に加熱されていることを特徴とする熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
  3. 該異物が、該樹脂のモノマー、オリゴマ−などの低分子化合物、分解物、ブリードアウト物、添加物、あるいは変性物であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
  4. 該転写ロール表面材質が、クロムメッキ、ステンレス(SUS)、サンドブラスト加工SUS、セラミックなどから選ばれた材質であることを特徴とする請求項1、2または3記載の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
  5. 該転写ロールに接した熱可塑性樹脂シートの背面から静電荷を印加することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
  6. 該転写ロール自身が帯電している帯電ロールであることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
  7. 熱可塑性樹脂シートの両面に静電荷を印加するか、両面に帯電ロールを接触させることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
  8. 該転写ロールに熱可塑性樹脂シートが接していない部分に布状物を接触させて該転写ロールの表面を常に清浄に保つことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
  9. 該転写ロールに熱可塑性樹脂シートが接していない部分にコロナ放電、プラズマ処理などの放電処理を施すことにより、該転写ロールの表面を常に清浄に保つことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
  10. 該清浄する布や該放電電極を、該転写ロールの幅方向に周期的にトラバースすることを特徴とする請求項8または9記載の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
  11. 該熱可塑性樹脂シートを溶融押出するときに静電荷を印加しながら冷却密着することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
  12. 熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンスルフィドから選ばれた樹脂であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法。
  13. 熱可塑性樹脂シートを製造するに際して、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載の熱可塑性樹脂シート表面の清浄方法を用いて、熱可塑性樹脂シート表面にある異物を除去しつつ行うことを特徴する熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  14. 熱可塑性樹脂シートを、10〜500m/分の製膜速度で巻き取り製造することを特徴する請求項13記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  15. 熱可塑性樹脂シートを、100m/分以上の高速度で巻き取り製造することを特徴する請求項13記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
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