JP3870746B2 - 熱可塑性樹脂シートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、品質良好な熱可塑性樹脂シートを安価に生産性よく製造する熱可塑性樹脂シートの製造方法であり、高速製膜にも好適な熱可塑性樹脂シートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂シートの製造方法としては、例えばブロッキング防止剤として無機粒子を含有した熱可塑性樹脂を溶融押出しし、静電印加キャスト法によって溶融シートを回転冷却体に密着させて冷却して非晶質の未配向シートを得、該シートを1軸または2軸方向に延伸処理する方法が一般に採られている。この一連のシート製造工程のなかでも、特に溶融シートを冷却固化させて非晶質の未配向シートを得るキャスティング工程はシートの品質や製膜速度を決定づける重要な工程である。
【0003】
例えばポリエステル樹脂シートの場合では、溶融シートと冷却媒体との静電密着力の限界から、結晶性の低い、透明で表面平滑なシートが得られる最高速度は、60m/分程度より速くすることが出来ず、ポリアミド樹脂シートの場合も同様に50m/分程度よりも速くすることができず生産性向上に限度があった。
【0004】
そこで、静電印加キャスト法において、溶融シートと回転冷却体との密着性を向上させて冷却速度を高めるために、例えばポリエステル樹脂では溶融時の体積比抵抗を低下させる手法が種々提案されている。例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を含有させることで樹脂の溶融時の体積比抵抗を低下させてキャスティング速度を向上させる方法が特公昭53−40231号公報で提案され、また、スルホン酸4級ホスホニウム塩を含有させてキャスティング速度を向上させる方法が特公平7−5765号公報で提案されている。
【0005】
さらに特公昭48−14784号公報および特公昭48−29311号公報では冷却体表面に電気絶縁層を設ける方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この様な従来の方法では、次のような欠点が存在した。すなわち、熱可塑性樹脂の溶融時の体積比抵抗を低下させても、それだけでは、電極から与えられた電荷のほとんどが溶融シートから回転冷却体へと流れ出てしまうので、溶融シートと回転冷却体との間に有効な密着力を発生させることは困難である。また、適正な溶融時の体積比抵抗に調整した熱可塑性樹脂を用いたにしても静電印加キャストによる最高速度は80m/分程度にすぎなかった。
【0007】
また、回転冷却体の表面に電気絶縁層を設けた方法では、電気絶縁層自身に電荷が蓄積されやすく、電気絶縁層に電荷が蓄積されればもはや溶融シートとの密着性が望めなくなる。さらに電気絶縁層は一般的に熱伝導性にも劣り、溶融シートを十分に急冷固化することが困難である。
【0008】
本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を解消し、品質に優れた熱可塑性樹脂シートを高い生産性でもって製造することができる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述した問題に鑑み、鋭意検討した結果、特定の範囲の体積比抵抗値を有する表面被膜を形成した回転冷却体を用い、これに熱可塑性樹脂をシート状に溶融押出し、静電印加することによって前記問題が解決できることを見出し本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂シートの製造方法は、熱可塑性樹脂を口金からシート状に溶融押出し、該シートに静電荷を印加させながら回転冷却体に密着させて冷却固化する熱可塑性樹脂シートの製造方法において、該回転冷却体として、表面に体積比抵抗が1010 11 Ω・cmの範囲であるシリコーン樹脂からなる被膜を有した回転冷却体を用いることを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造方法である。
【0011】
本発明の製造方法によれば、回転冷却体との密着による冷却工程における溶融シートの冷却速度が大幅に高められ、80〜120m/分という高速度でのキャスティングが可能となる。さらに、溶融シートと回転冷却体との密着力が高まることで、高速度キャストにおいてもシートに欠点が発生することなく、さらにフィルム長手方向の厚みむらも良化させることができるのである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施の形態を説明する。
【0013】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂については特に限定されなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどに代表されるポリエステル樹脂、ナイロン6,ナイロン66、ナイロン610,ナイロン12、ポリメタ/パラキシリレンアジパミドなどに代表されるポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂およびこれらの共重合体や他の樹脂とのブレンド物をあげることができるが、溶融押出可能であればこれらに限定されるものではない。
【0014】
本発明では、特に好ましく用いられる熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6等のポリアミド樹脂などがある。もちろん、これらの熱可塑性樹脂には各種の添加剤、例えばブロッキング防止剤、増量剤、安定剤、酸化防止剤、減粘・増粘剤、その他樹脂を添加することもできる。
【0015】
本発明の製造方法では、体積比抵抗が1010 11 Ω・cmの範囲であるシリコーン樹脂を被膜として表面に有した回転冷却体上に溶融シートを押出し、該シートの上方に設置された電極への電圧印加により該シートを荷電させ、回転冷却体に密着させることが必要である。回転冷却体の表面部分へ形成させる被膜材料の体積比抵抗が10Ω・cm未満である場合、電極から溶融シートへ注入された電荷が回転冷却体を通してアースへ流れてしまい、溶融シートが十分に帯電できなくなるため回転冷却体との密着性が不十分となってしまう。一方、回転冷却体の表面部分へ形成させる被膜材料の体積比抵抗が10 11 Ω・cmを越える場合、該被膜自体が帯電してしまい溶融シートとの間に静電密着力が働かなくなる方向なので、本発明の効果が得られない。
【0016】
熱可塑性樹脂の種類や熱可塑性樹脂の溶融時の体積比抵抗値にもよるが、回転冷却体表面の被膜材料の体積比抵抗値は1010 11 Ω・cmの範囲がより好ましく、さらには10〜1011Ω・cmの範囲が特に好ましい。
【0017】
上記した回転冷却体表面被膜は、先に述べた電気特性を持ち得て、かつ溶融シートとの接触に耐えうる耐熱性があるシリコーン樹脂からなるワニスで構成される。かかるシリコーンワニスで構成したことにより、耐熱性に優れ、かつ薄い被膜が形成できるために熱伝導性にも優れ、回転冷却体表面の被膜として好ましく用いることができたものである。さらにかかるワニスは、カーボンブラックなどの導電性粒子を添加することで被膜としての体積比抵抗値を任意の値に調整することができ、製造する熱可塑性樹脂シートの種類に適した被膜を回転冷却体表面に形成させることができる。
【0018】
回転冷却体表面への被膜の形成は、かかるシリコーンワニス回転冷却体表面へ塗布した後、加熱して該ワニスを硬化させることで形成させることができる。
【0019】
回転冷却体表面の被膜の厚みは、特に限定されないが、溶融シートを効率的に冷却するためには1〜500μmの範囲が好ましく、特に5〜100μmの範囲が好ましい。
【0020】
上述したシリコーン樹脂の被膜に適した素材は、炭素鋼などの通常の金属等に比較して一般的に熱伝導率が低くく、このような被膜を回転冷却体上に厚く形成させた場合には溶融した熱可塑性樹脂シートが回転冷却体上にて十分冷却されない場合がある。溶融シートが十分冷却されない場合、シートと回転冷却体が粘着したり、得られたシートの結晶化が進んで透明性・延伸性が劣ったり、平面性や厚みむらが悪くなる。
【0021】
そこで被膜の熱伝導率を被膜の厚みで除した値が500W/(m2・℃)以上であることが溶融シート冷却の観点から好ましく、さらには1000W/(m2・℃)以上であることが好ましい。
【0022】
回転冷却体表面の被膜の表面粗さは特に限定はされないが、表面が平滑な熱可塑性樹脂シートを得るためにはその表面粗さRyは3μm未満であることが好ましく、特に1μm未満が好ましい。
【0023】
回転冷却体自体は金属製のドラムが好ましく、その内部には表面温度を制御するために熱媒を通液する流路を設けることが好ましい。この流路に温度制御した熱媒を流すことによってドラム表面温度を特定の温度に保つことができ、溶融シートを結晶化させることなく冷却させることができるようになる。
【0024】
回転冷却体はアースに接地しておくことが好ましいが、必要に応じて電気抵抗を介してアースに接地してもかまわない。
【0025】
本発明の熱可塑性樹脂シートの製造方法では、回転冷却体表面の被膜材料、つまりシリコーン樹脂の体積比抵抗値よりも熱可塑性樹脂の溶融時における体積比抵抗値が小さいことが好ましく、10〜1011Ω・cmの範囲が好ましい。さらに回転冷却体表面のシリコーン樹脂被膜の体積比抵抗が溶融時における熱可塑性樹脂の体積比抵抗の10倍以上であることが好ましい。このような組み合わせとすることにより、静電印加電極から与えられた電荷は溶融シートから回転冷却体へと逃げ出しにくくなり、溶融シート中に電荷が貯まりやすくなる。この結果、溶融シートに蓄積される電荷が多くなることで、冷却体との間により強力な密着力が発生し、より速度の高いキャスティングが可能となる。具体的には80〜120m/分というキャスティングが可能になるのである。さらに溶融シートと回転冷却体との密着力が向上することにより、得られるシートの長さ方向の厚みむらを良化させることもできる。
【0026】
本発明の製造方法では、電圧印加用電極としては従来から採用されている電極を用いることができ、例えばワイヤー状電極またはテープ状電極を用いることができる。これらの電極を用いてもキャスティング速度を効果的に向上させることができるからである。
【0027】
本発明の製造方法によって回転冷却体に密着させつつ冷却する方法により得られる熱可塑性樹脂シートは、キャスティングに引き続き、更に延伸および/または熱処理を行うことができる。熱可塑性樹脂シートの延伸は、縦一軸延伸、横一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸など、各種方法によっておこなうことができ、特に逐次二軸延伸法が好ましい。通常は二軸延伸することによって機械的バランスのとれたシートを得ることができる。
【0028】
熱可塑性樹脂シートの延伸は、周速度の異なるロール間で行う方法や、クリップによってシートを把持し、該クリップ間隔を変更するテンター方式で行うことができる。延伸倍率は特に限定されないが、一方向へ2〜6倍延伸することが好ましい。
【0029】
次に、本発明による熱可塑性樹脂シートの製造方法を、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を例としてより具体的に示す。
【0030】
原料として用いるPET樹脂は、必要に応じて他の化合物類、例えば、他の熱可塑性樹脂や酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋熱可塑性、架橋ポリスチレン、マイカ、タルク、カオリンなどの無機、有機化合物、エチレンビスステアリルアミド、イオン性高分子化合物アイオノマー等の有機化合物等が添加ブレンドされていてもよく、また、いったん溶融させた原料、さらには熱可塑性樹脂シートからの回収原料などを混合していてもよい。
【0031】
このようなPET原料を乾燥・脱水した後、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機などの溶融押出機に供給し、分子量(例えば固有粘度[η])を極力低下させないように窒素気流下あるいは真空下で溶融押出する。なお、この際、原料中の異物を除去するためには、溶融樹脂を適宜のフィルター(例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網等)で濾過しながら押出すことが好ましい。
【0032】
押出機で濾過され押し出された溶融樹脂はTダイ型口金へ導かれる。
【0033】
かくして溶融シートを口金から押し出して、キャストドラム(回転冷却体)上に密着させるのであるが、溶融シートの上部付近にワイヤ状電極を設置し、この電極に直流高電圧を印加してキャスティングする。なお、キャスティングドラム表面には体積比抵抗が1010 11 Ω・cmであるシリコーンワニスをあらかじめコーティングしておく。
【0034】
かくして得られたキャストシートは必要に応じて延伸処理をおこなうが、例えば逐次二軸延伸法であれば、キャストシートをまず予熱ロールによってTg以上に加熱し、周速度の異なるロールによって長手方向へ2〜4倍延伸し、冷却ロールによってシートを冷却する。次いで長手方向へ延伸されたシートをテンター式横延伸機に導き、シート両端をクリップによって把持しつつ熱風によってシートをTg以上に加熱する。両端クリップの幅を広げることでシートを横方向へ2〜4倍延伸し、さらに必要に応じて熱風によってシートを熱処理する。
[物性の測定法]
次に本発明で使用した測定法について以下に述べる。
1.キャスト密着性
キャストドラム(回転冷却体)上で、空気などの噛み込みや垂れ下がり、その他何らかのキャスト欠点が認められない場合を○、何らかの欠点が肉眼で認められる場合を×とした。
2.キャスト表面性
キャストされたシート表面10m2以上に光を当て、その反射光を肉眼で見てクレーターなどの表面凹凸が認められるかどうかで判定する。判定基準は、全く表面に凹凸が見られない場合を○、表面に凹凸があるが、深さが0.1μm未満と浅く、延伸によって消失する場合を△、全面に凹凸が見られる場合を×とした。
3.溶融熱可塑性樹脂の体積比抵抗
熱可塑性樹脂を真空乾燥後、内径50mmの試験管に入れ、窒素雰囲気下で溶融した後、溶融樹脂中に一対の銅製電極を挿入し、熱可塑性の種類に応じた溶融シート押出時の温度(例えば、下記の実施例のPET樹脂シートの場合では280℃、ナイロンでは260℃)で直流電圧を印加し、次式によって溶融熱可塑性樹脂の体積比抵抗[ρ]を求めた。単位はΩ・cmである。
[ρ]= V×S/(I×D)
ここで、Vは印加電圧(V)、Sは電極面積(cm2)、Iは電流値(A)、Dは電極距離(cm)である。
4.ドラム表面被膜素材の体積比抵抗
第一の金属製電極表面に、セラミック素材の場合には厚み200μmの被膜を、樹脂ワニスの場合には厚み5μmの被膜を形成し、該被膜表面に導電性ペーストを介して第二の金属製電極を貼り付け、直流電圧を印加し、次式によって体積比抵抗[ρ]を求めた。単位はΩ・cmである。
[ρ]= V×S/(I×D)
ここで、Vは印加電圧(V)、Sは電極面積(cm2)、Iは電流値(A)、Dは被膜厚さ(cm)である。
5.厚みムラ(%)
アンリツ製フィルムシックネステスタKG601Aおよび電子マイクロメーターK306Cを用い、幅30mm、長さ40mにサンプリングしたフィルムを連続的に厚み測定する。厚み最大値TMAX(μm)、厚み最小値TMIN(μm)から変動幅RをR=TMAX−TMINで求め、平均厚みTAVE(μm)から厚みムラ(%)=R/TAVE×100として求めた。
6.熱伝導率測定
被膜をサンプリングし、(株)リガク製 レーザーフラッシュ法熱伝導率測定装置LF/TCM−FA8510Bを用いて測定した。
【0035】
実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
参考例1
回転冷却体として、直径1.5mのキャスティングドラムを用いた。該キャスティングドラムの胴体は炭素鋼からなり、その表面に三酸化クロムをプラズマ溶射法によって溶射した。溶射した三酸化クロム層は、表面粗度が0.5S未満となるように、被膜としての厚みが50μmとなるように研磨した。なお、三酸化クロムの溶射によって得られる被膜の体積比抵抗は1010Ω・cmであった。
【0036】
熱可塑性樹脂として、280℃での体積比抵抗が5×108Ω・cmであるPET樹脂を用いた。PET樹脂を乾燥した後、通常の溶融押出機に供給して280℃で溶融し、10μmカットの繊維燒結金属フィルターを通過させて濾過した後、Tダイ口金から280℃で溶融押出した。
【0037】
溶融シートは、キャスティングドラム上へ押し出され、さらに溶融シート上部で溶融シートから5mm離れた位置に、直径0.15mmのタングステン製ワイヤー電極を配置し、+8KVの正極直流電圧を印加してキャスティングを行った。キャスティングドラム内には冷却水を通水し、表面温度を25℃に調整した。
【0038】
このようにしてキャスティングした結果、キャスト密着性が良好であるキャスティングシートを速度100m/分という高速度で製造することができた。得られたキャスティングシートの密着性は○、キャスト表面性も○であった。キャストフィルムの厚みむらは1%と良好であった。
【0039】
続いて、このキャスティングシートをロール式長手方向延伸機で延伸温度92℃で3.5倍延伸した後30℃以下に冷却した。ロール延伸終了後、続いて該長手方向延伸シートの両端をクリップで把持しながらテンタに導き、延伸温度100℃に加熱された熱風雰囲気中で幅方向に3.3倍延伸した後、200℃で熱固定したところ、厚さ25μmの二軸延伸熱可塑性樹脂シートが、破れることなく安定な状態で約350m/分という高速で巻取り製膜できた。結果を表1に示す。
比較例1
キャスティングドラム表面を体積比抵抗が1.9×10−5Ω・cmである厚み50μm、表面粗さRyが0.1μmのハードクロムメッキとする以外は参考例1と同様の条件でキャスティングを行った。100m/分のキャスティングでは溶融シートの幅などが全く安定せず、70m/分まで速度を低下させたがキャスト密着性は×、キャスト表面性も×であった。結果を表1に示す。
比較例2
キャスティングドラム表面に体積比抵抗が1015Ω・cmであるアルミナを溶射し、厚み100μm、表面粗さRy0.5μmの被膜を形成し、参考例1と同様にキャスティングした。
【0040】
100m/分のキャスティングでは溶融シートの幅などが安定せず、80m/分まで速度を低下させたがキャスト密着性は×、キャスト表面性は△であった。結果を表1に示す。
実施例1
カーボンブラックを混合した体積比抵抗が1011Ω・cmである耐熱性シリコーンワニスをキャスティングドラム表面にコーティングし、加熱することで硬化させた。硬化後研磨を行い、表面粗さRy0.1μm、厚み1μmの被膜を形成させた。
【0041】
参考例1と同様にキャスティングを行ったところ、120m/分のキャスティングが可能であった。結果を表1に示す。
実施例2
熱可塑性樹脂として、260℃での体積比抵抗が2×106Ω・cmであるナイロン6樹脂を用い、実施例1と同様のキャスティングドラムを用いて製膜テストを行った。
【0042】
100m/分でキャスティングしたシートは、ロール式長手方向延伸機で延伸温度55℃で3倍延伸した後30℃以下に冷却した。ロール延伸終了後、続いて該長手方向延伸シートの両端をクリップで把持しながらテンタに導き、延伸温度100℃に加熱された熱風雰囲気中で幅方向に3倍延伸後、150℃で熱固定したところ、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂シートが、破れることなく安定な状態で約300m/分という高速で巻取り製膜できた。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0003870746
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、キャスティング速度を著しく高めること、概ね80m/分以上に高めることができ、さらにフィルム長手方向の厚みむらも良好な高品質なシートを生産できるので、品質に優れた熱可塑性樹脂シートを高い生産性でもって製造することができる。

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂を口金からシート状に溶融押出し、該シートに静電荷を印加させながら回転冷却体に密着させて冷却固化する熱可塑性樹脂シートの製造方法において、該回転冷却体として、表面に体積比抵抗が1010 11 Ω・cmの範囲であるシリコーン樹脂からなる被覆を有した回転冷却体を用いることを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  2. 該被膜の厚みが1〜500μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  3. 該被膜として、該被膜の熱伝導率を該被膜の厚みで除した値が500W/(m・℃)以上のものを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  4. 回転冷却体表面の被膜の表面粗さRyが3μm未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  5. 熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂および/またはポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  6. 溶融時における熱可塑性樹脂の体積比抵抗が10〜1011Ω・cmの範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  7. 回転冷却体表面の被膜の体積比抵抗が溶融時における熱可塑性樹脂の体積比抵抗の10倍以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  8. 静電荷の印加がシートの上方に設置された電圧印加用電極を用いておこなわれるものであって、該電圧印加用電極が、ワイヤー状またはテープ状の電極であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  9. 回転冷却体との密着により冷却固化された熱可塑性樹脂シートを更に延伸および/または熱処理することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
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