JP4217581B2 - ポリスルホン系高分子のハロメチル化体の製造法 - Google Patents

ポリスルホン系高分子のハロメチル化体の製造法 Download PDF

Info

Publication number
JP4217581B2
JP4217581B2 JP2003362415A JP2003362415A JP4217581B2 JP 4217581 B2 JP4217581 B2 JP 4217581B2 JP 2003362415 A JP2003362415 A JP 2003362415A JP 2003362415 A JP2003362415 A JP 2003362415A JP 4217581 B2 JP4217581 B2 JP 4217581B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aromatic polysulfone
formula
aromatic
polymer
structural unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003362415A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005126532A (ja
Inventor
雅裕 濱田
省吾 川上
昭人 今
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Kayaku Co Ltd filed Critical Nippon Kayaku Co Ltd
Priority to JP2003362415A priority Critical patent/JP4217581B2/ja
Publication of JP2005126532A publication Critical patent/JP2005126532A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4217581B2 publication Critical patent/JP4217581B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

本発明は,芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体の製造法に関する。本発明は,より詳細には,ホルムアルデヒドのアセタール化物とハロゲン化剤を併用して,芳香族ポリスルホン系高分子中の芳香環にハロメチル基を導入する方法に関する。
ポリエーテルスルホン(製品名:スミカエクセル,住友化学工業),ポリスルホン(製品名:ユーデル,ソルベイアドバンスドポリマーズ)などの芳香族ポリスルホン系樹脂は,耐久性,加工性に優れ,エンジニアリングプラスチックとして限外ろ過膜や逆浸透膜などに広く用いられている。
これらの芳香族ポリスルホン系樹脂にペンダント基としてハロメチル基を任意の量導入できれば,新たな機能を発現させることができる。例えば,ハロメチル基含有芳香族ポリスルホンをグラフトするか,または適当な架橋剤で架橋することにより,耐溶剤性を向上させたり,ハロメチル基を4級アンモニウム塩に変換することによりイオン交換能を付与し,イオン交換材料として用いることなどができる。
芳香族ポリスルホン系高分子の芳香環にハロメチル基を導入する方法としては,現在クロロメチルメチルエーテルをクロロメチル化剤として用い,ルイス酸を触媒として反応させる方法が唯一実用的な方法として知られている。
例えば,ポリスルホン(Udel)をジクロロエタンに溶解し,クロロメチルメチルエーテルをクロロメチル化剤,塩化亜鉛を触媒として用いることのより,ポリスルホンのクロロメチル化体を得る方法が特許文献1,特許文献2には記載されている。また,テトラクロロエタン中で,クロロメチルメチルエーテルと無水塩化スズを用いることにより,ポリスルホンのクロロメチル化体を得る方法も知られている(特許文献3,特許文献4,特許文献5)。
しかしながら,クロロメチルメチルエーテルは非常に優れたクロロメチル化剤ではあるものの,クロロメチルメチルエーテルは職業安全保険機構(Occupational Safety and Health Administration)により高度に発ガン性を有するものとして指定されているものである。したがって,工業的に芳香族ポリスルホンのクロロメチル化体を製造する場合の原料としては不適であり,好ましくはクロロメチルメチルエーテルを用いない製造法の確立が求められている。
芳香環のハロメチル化反応としては,濃塩酸中でパラホルムアルデヒドと塩化水素ガスを作用させる方法が知られているが,芳香族ポリスルホンなどの疎水性高分子の場合は反応性が低く,この方法で芳香族ポリスルホン系高分子のクロロメチル化を行うことは難しい。特に大量に高分子にハロメチル基を導入することはできない。
Warshawskyらは,クロロメチルメチルエーテルの代わりにクロロメチルオクチルエーテルやブロモメチルオクチルエーテルを用いてポリスルホンのハロメチル化を行っている(非特許文献1)。しかし,この場合ハロメチルオクチルエーテルは一般に入手しにくく,高価なため,工業的な原料としては好ましくない。
Wrightらは,ジメトキシメタンと塩化チオニルとの反応によりクロロメチル化剤を系中で発生させ,ポリスチレンのクロロメチル化を行っている(非特許文献2)。また,イソモノオレフィンとビニリデン置換芳香族モノマーとを含むコポリマーを同様の方法でハロメチル化している報告もある(特許文献6)。
また,特定の構造を有するポリマーをハロゲン含有ルイス酸触媒及びメタノールの存在下で,アセチルハライドとジメトキシメタンを反応させて,クロロメチルメチルエーテルを発生させてハロゲンアルキル化ポリマーを製造する方法も報告されている(特許文献7)。
特開平04−227833号公報(第3−4頁) 特許第3165725号公報 特開平02−245035号公報(第5頁) 特開平03−146525号公報(第9頁) 特開平06−73123号公報 特開平08−319311号公報 特開平10−87817号公報 A.Warshawsky,N.Kahana,A.Deshe,H.E.Gottlieb,R.A.Yellin,J.Polyme.Sci.,PartA,Pilym.Chem.,28,2885−2905(1990) Wright,Macromolecules,24,5879−5880(1991)
本発明の目的は,クロロメチルメチルエーテルを用いない,安全で安価であり工業的に実施可能な,芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは,上記課題を克服するべく鋭意研究を行った結果,反応系中でクロロメチル化剤を発生させることにより,クロロメチルメチルエーテルを使用しないでも芳香族ポリスルホン系高分子のクロロメチル化体を合成できることを見出した。
すなわち本発明は、
(1)触媒の存在下ホルムアルデヒドのアセタール化物とハロゲン化剤を併用してハロメチル化を行うことを特徴とする芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体の製造法、
(2)芳香族ポリスルホン系高分子が下記式(IX)
Figure 0004217581
(式中、Yは単結合、または下記式
Figure 0004217581
で表わされる基、Rはメチル基もしくはトリフルオロメチル基を表わす。)
で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンである上記(1)に記載の製造方法、
(3)芳香族ポリスルホン系高分子が下記式(I)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンであり,芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体が下記式(II)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンである上記(1)に記載の製造方法、
Figure 0004217581
Figure 0004217581
(式中、Xはフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子のいずれかを表す。また,a,bはそれぞれ独立に0から4の整数を表し,同時に0になることはない。)
(4)芳香族ポリスルホン系高分子が下記式(III)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンであり,芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体が下記式(IV)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンである上記(1)に記載の製造方法、
Figure 0004217581
(式中、Rはメチル基もしくはトリフルオロメチル基を表わす。)
Figure 0004217581
(式中、X’はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子のいずれかを表し,Rはメチル基もしくはトリフルオロメチル基を表わす。また,a’,b’,c’,d’はそれぞれ独立に0から4の整数を表し,同時に0になることはない。)
(5)芳香族ポリスルホン系高分子が下記式(V)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンであり,芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体が下記式(VI)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンである上記(1)に記載の製造方法、
Figure 0004217581
Figure 0004217581
(式中、X’’はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子のいずれかを表す。また,a’’,b’’,c’’,d’’はそれぞれ独立に0から4の整数を表し,同時に0になることはない。)
(6)芳香族ポリスルホン系高分子が下記式(VII)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンであり,芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体が下記式(VIII)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンである上記(1)に記載の製造方法、
Figure 0004217581
Figure 0004217581
(式中、X’’’はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子のいずれかを表す。また,a’’’,b’’’,c’’’はそれぞれ独立に0から4の整数を表し,同時に0になることはない。)
(7)ホルムアルデヒドのアセタール化物がホルムアルデヒドジメチルアセタールである上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の製造方法、
(8)ハロゲン化剤がハロゲン化チオニル、ハロゲン化ホスホリル及びハロゲン化リンからなる群から選ばれる少なくとも一種である上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の製造方法、
(9)ハロゲン化剤が塩化チオニルである上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の製造方法、
(10)触媒がルイス酸である上記(1)〜(9)のいずれか一項に記載の製造方法、
(11)反応系において、ハロメチル化剤の発生が0〜30℃、且つハロメチル化反応を50〜80℃で行う事を特徴とする上記(1)〜(10)のいずれか一項に記載の製造方法、
(12)ハロメチル化を、式(IX)におけるYが単結合であるときはニトロベンゼン中で、また、Yが式(Ya)、式(Yb)または(Yc)であるときはテトラクロロエタン中で行う上記(2)または(7)〜(11)のいずれか一項に記載の製造方法、
に関する。
本発明の方法を用いれば,反応系中でハロメチル化剤を発生させることにより,ハロメチルメチルエーテルを使用しないでも芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体を合成できることが可能である。これは,低コストで,安全に芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体を製造する方法として非常に有用である。
本発明において,芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化は,ホルムアルデヒドのアセタール化物とハロゲン化剤を併用し,系中でハロメチル化剤を発生させ,これにルイス酸などの触媒を作用させることにより行われる。
本発明のハロメチル化法は,全ての芳香族ポリスルホン系樹脂に適用できる。好ましい芳香族ポリスルホン系樹脂としては例えば,前記式(IX)で示される芳香族ポリスルホン系樹脂があげられる。より具体的には前記式(I)で示される芳香族ポリスルホンは,一般名ポリエーテルスルホン,製品名スミカエクセル(住友化学工業)として市販されている。
また、前記式(III)で表される芳香族ポリスルホンの1つである下記式(III’)で示される芳香族ポリスルホンは,一般名ポリスルホン,製品名ユーデル(ソルベイアドバンストポリマーズ)として市販されている。
Figure 0004217581
また、前記式(V)で示される芳香族ポリスルホンは,一般名ポリフェニルスルホン,製品名ラーデルR(ソルベイアドバンストポリマーズ)として市販されている。
さらに前記式(VII)で示される芳香族ポリスルホンは一般名ポリエーテルエーテルスルホンとして市販されている。これらの樹脂は市販品として容易に入手可能であり、本発明のハロメチル化法により,容易に対応するハロメチル化体を得ることができる。
また,本発明のハロメチル化法は,上記市販品以外の他の任意の芳香族ポリスルホン系高分子に適用でき,それらとしては特公昭62−28169公報や特開平10−21943に記載されているようなジハロフェニルスルホンとビスフェノールのアルカリ金属塩との重縮合によって得られる芳香族系ポリスルホン共重合体等が挙げられる。それらとしては具体的にはジクロロフェニルスルホンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンのカリウム塩との重縮合から得られる下記式(III'')で示される芳香族ポリスルホンが挙げられる。
Figure 0004217581
本発明のハロメチル化反応に用いられるホルムアルデヒドのアセタール化物としては,一般式R'OCH2OR''(ここでR',R''は独立に炭素数1〜8のアルキル基を表わす)で表わされる化合物であり、反応性の面から特に一般式R'OCH2OCH3(ここでR'は炭素数1〜8、好ましくは1〜4アルキル基を表わす)で表わされるメトキシアルコキシメタンが好ましい。
上記ホルムアルデヒドのアセタール化物の具体的な例としては、ホルムアルデヒドジメチルアセタール,ホルムアルデヒドメチルエチルアセタール,ホルムアルデヒドメチルプロピルアセタール,ホルムアルデヒドメチルブチルアセタール,ホルムアルデヒドメチルペンチルアセタール,ホルムアルデヒドメチルヘキシルアセタール,ホルムアルデヒドメチルヘプチルアセタール,ホルムアルデヒドメチルオクチルアセタール,トリオキサン,1,3−ジオキサンなどが挙げられるが、特にホルムアルデヒドジメチルアセタールが好ましい。
本発明のハロメチル化反応に用いられるハロゲン化剤としては、塩化チオニルまたは臭化チオニル等のハロゲン化チオニル,塩化ホスホリルまたは臭化ホスホリル等のハロゲン化ホスホリル,三塩化リンまたは五塩化リンなどのハロゲン化リン等を挙げることができ,これらの中でハロゲン化チオニル好ましく、特に塩化チオニルが好ましい。
本発明のハロメチル化反応に用いられるホルムアルデヒドのアセタール化物とハロゲン化剤との使用割合は、芳香族ポリスルホン系樹脂にハロゲノメチル基を導入できれば特に制限はないが、ハロゲン化剤に対して(ハロゲン化剤に使用されるハロゲン原子を基準にして)モル割合で、ホルムアルデヒドのアセタール化物を過剰に使用するのが好ましく、塩化チオニル等の一価のハロゲン化剤の時、1:1〜3、好ましくは1:1.01〜1.8である。
本発明のハロメチル化反応の触媒としては,非常に広範囲のルイス酸を用いることができる。具体的な例としては,塩化スズ等のハロゲン化スズ,塩化亜鉛等のハロゲン化亜鉛,塩化チタンの等のハロゲン化チタン,塩化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム,フッ化ホウ素等のハロゲン化ホウ素,塩化鉄等のハロゲン化鉄が挙げられる。特に,塩化スズが好ましい。
本発明のハロメチル化反応は,好ましくは有機溶媒中,均一系で行われる。溶媒としては,クロロホルム,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン,テトラクロロエタン,クロロベンゼン,ニトロベンゼン,ジオキサン,テトラヒドロフランなど広範囲の溶媒を用いることができる。特に,テトラクロロエタン,ニトロベンゼンが好ましい。また,溶解性の低い芳香族ポリスルホンに対しても,高分子を有機溶媒中に膨潤させて本発明のハロメチル化法を行うことにより,ハロメチル化体を得ることができる。本発明の反応においては化合物により溶媒を変えるのが好ましく、例えば式(IX)におけるYが単結合(式(I)の化合物)であるときはニトロベンゼン中で、また、Yが式(Ya)のとき(式(VII)の化合物)、式(Yb)であるとき(式(V)の化合物)、または(Yc)(式(III)の化合物)であるときはテトラクロロエタン中で行うのが好ましい。
本発明のハロメチル化反応は前記芳香族ポリスルホン系高分子をハロメチル化できれば反応温度等の条件は特に制限はないが、通常、前記アセタールとハロゲン化剤の反応により、ハロメチル化剤を発生させる工程、次いで、該ハロメチル化剤で前記高分子をハロメチル化する工程の2段階の反応からなるので2段階の反応温度で行うのが好ましい。例えば、最初の工程(ハロメチル化剤の発生)は通常50℃以下、好ましくは0〜30℃で行い、第2の工程(樹脂のハロメチル化反応)は30〜100℃、好ましくは50〜80℃で行うことが好ましい。より具体的には、芳香族ポリスルホン系高分子の溶液にホルムアルデヒドのジメチルアセタール化物、ハロゲン化剤、ルイス酸触媒を0〜30℃で加え、十分にクロロメチル化剤が発生するまで撹拌した後に、緩やかに反応温度を上げ、50〜80℃で反応を行うことが望ましい。このとき、試薬濃度、反応温度、反応時間を適宜コントロールすることにより、芳香族ポリスルホン高分子に望みの量のハロメチル基を導入することができる。例えば、ポリマーユニット1単位に1つのハロメチル基を導入する場合、原料ポリマーと反応試剤の物質量比は、ポリマーユニット1単位に対して、ホルムアルデヒドアセタール化物とハロゲン化剤が各々1〜30部であることが望ましく、さらに好ましくは各々1〜5部である。
本発明の好ましい形態での、クロロメチル化芳香族ポリスルホン系高分子の製造方法の一例は下記の通りである。
すなわち、芳香族ポリスルホン系高分子を適当な有機溶媒に5〜20wt%の濃度で溶解させ、溶液を30℃以下に保ったまま、ジメトキメタン、塩化チオニルを加える。次に塩化スズの溶液を温度上昇に注意しながら滴下し、発熱しなくなったのを確認した後に加温し、ゆっくりと温度を上昇させる。望みの量ハロメチル基が導入するまで反応させた後、メタノール中に反応溶液を添加して高分子を取り出し、乾燥させてクロロメチル化芳香族ポリスルホンを得る。
得られたハロメチル化芳香族ポリスルホン系高分子の分析は、NMR分光分析法によって行うことができる。例えば、クロロメチル化ポリエーテルスルホンでは、塩素原子とともに同一の炭素に結合している2つのベンジルプロトン(Ar−CH2−Cl)のケミカルシフトは4.8ppm付近に認められ、さらに芳香族環上のプロトンとの積分比からクロロメチル基の導入率(構造単位当たりのクロロメチル基の導入された割合)を求められる。
本発明方法によって得られるハロメチル化体におけるクロロメチル基の導入率は原料の芳香族ポリスルホン系高分子の種類、ハロメチル化反応における条件等により異なるので一概には言えないが、通常1%程度から最高は構造単位に含まれるベンゼン環数×100%まで可能であるが、通常10%以上、好ましくは20%以上であり、芳香族ポリスルホン系高分子の種類の種類によっては50%以上が好ましく、より好ましくは100%以上である。上限は上記したように(構造単位に含まれるベンゼン環数)×100%まで可能であるが、実用的には(構造単位に含まれるベンゼン環数)×70%程度まで、より好ましくは(構造単位に含まれるベンゼン環数)×60%程度まであり、芳香族ポリスルホン系高分子の種類の種類によっては(構造単位に含まれるベンゼン環数)×50%程度までであり、更に場合によっては(構造単位に含まれるベンゼン環数)×40%程度までである。
例えば、式(I)の芳香族ポリスルホンの場合のハロメチル基の導入率は10%〜60%程度、好ましくは15〜50%程度であり、式(III)の芳香族ポリスルホンの場合のハロメチル基の導入率は10%〜350%程度、好ましくは50〜300%程度であり、より好ましくは100〜250%程度あり、式(V)の芳香族ポリスルホンの場合のハロメチル基の導入率は10%〜200%程度、好ましくは20〜150%程度であり、より好ましくは30〜100%程度ある。
なお、前記式(II)のa,b、(IV)のa’,b’,c’、(VI)のa’’,b’’,c’’及び(VIII)のa’’’,b’’’,c’’’において、それぞれは0〜4の整数で、少なくともいずれか1つは0でないとなっているが、これはあくまでハロメチル基の導入された単位構造を示したものであり、ハロメチル化体がすべてこの構造単位からなることを示すものではない。
こうして得られるハロメチル化芳香族ポリスルホンは、例えば、側鎖のハロメチル基をチオアシル基で置換し、さらにスルホン酸へと誘導することによってイオン交換樹脂として用いることができ、耐熱性イオン交換材料として有用である。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(クロロメチル化ポリエーテルスルホンの合成)
温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた500mlフラスコに、ニトロベンゼン300mlとポリエーテルスルホン(商品名;スミカエクセルPES7600p、前記式(I))30gを仕込み、この溶液に室温でホルムアルデヒドジメチルアセタール10gと塩化チオニル15gを加えた。さらに無水塩化スズ10gを加え、60℃で16時間反応させた。こうして反応させたポリマーをメタノールで析出させ、これをろ過回収した。メタノールで繰り返し粉砕洗浄した後、80℃で乾燥してクロロメチル化ポリエーテルスルホンを35g得た。得られたポリマーのプロトンNMRより、4.8〜4.9ppm付近にクロロメチル基のベンジルプロトンのピークが認められ、これの積分比から求めたクロロメチル基導入率は繰り返し単位あたり33%であった。
(クロロメチル化ポリスルホンの合成)
温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた200mlフラスコに、テトラクロロエタン75mlとポリスルホン(商品名;ユーデル、前記式(III’))10gを仕込み、この溶液に室温でホルムアルデヒドジメチルアセタール21gと塩化チオニル29gを加えた。さらに無水塩化スズ1mlを加え、60℃で2時間反応させた。こうして反応させたポリマーをメタノールで析出し、これをろ過回収した。メタノールで繰り返し洗浄した後、80℃で乾燥してクロロメチル化ポリスルホンを11g得た。得られたポリマーのプロトンNMRより、4.5〜4.6ppm付近にクロロメチル基のベンジルプロトンのピークが認められ、これの積分比から求めたクロロメチル基導入率は繰り返し単位あたり185%であった。
(クロロメチル化ポリフェニルスルホンの合成)
温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた500mlフラスコに、テトラクロロエタン280mlとポリフェニルスルホン(商品名;ラーデルR、前記式(V))30gを仕込み、この溶液に室温でホルムアルデヒドジメチルアセタール40gと塩化チオニル40gを加えた。さらに無水塩化スズ2mlを加え、60℃で2.5時間反応させた。こうして反応させたポリマーをメタノールで析出し、これをろ過回収した。メタノールで繰り返し洗浄した後、80℃で乾燥してクロロメチル化ポリフェニルスルホンを34g得た。得られたポリマーのプロトンNMRより、4.6〜4.7ppm付近にクロロメチル基のベンジルプロトンのピークが認められ、これの積分比から求めたクロロメチル基導入率は繰り返し単位あたり62%であった。

Claims (11)

  1. 触媒の存在下ホルムアルデヒドのアセタール化物と、ハロゲン化チオニル、ハロゲン化ホスホリル及びハロゲン化リンからなる群から選ばれる少なくとも一種のハロゲン化剤を併用してハロメチル化を行うことを特徴とする芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体の製造法。
  2. 芳香族ポリスルホン系高分子が下記式(IX)
    Figure 0004217581
    (式中、Yは単結合、または下記式
    Figure 0004217581
    で表わされる基、Rはメチル基もしくはトリフルオロメチル基を表わす。)
    で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンである請求項1に記載の製造方法。
  3. 芳香族ポリスルホン系高分子が下記式(I)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンであり,芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体が下記式(II)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンである請求項1に記載の製造方法。
    Figure 0004217581
    Figure 0004217581
    (式中、Xはフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子のいずれかを表す。また,a,bはそれぞれ独立に0から4の整数を表し,同時に0になることはない。)
  4. 芳香族ポリスルホン系高分子が下記式(III)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンであり,芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体が下記式(IV)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンである請求項1に記載の製造方法。
    Figure 0004217581
    (式中、Rはメチル基もしくはトリフルオロメチル基を表わす。)
    Figure 0004217581
    (式中、X’はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子のいずれかを表し,Rはメチル基もしくはトリフルオロメチル基を表わす。また,a’,b’,c’,d’はそれぞれ独立に0から4の整数を表し,同時に0になることはない。)
  5. 芳香族ポリスルホン系高分子が下記式(V)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンであり,芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体が下記式(VI)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンである請求項1に記載の製造方法。
    Figure 0004217581
    Figure 0004217581
    (式中、X’’はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子のいずれかを表す。また,a’’,b’’,c’’,d’’はそれぞれ独立に0から4の整数を表し,同時に0になることはない。)
  6. 芳香族ポリスルホン系高分子が下記式(VII)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンであり,芳香族ポリスルホン系高分子のハロメチル化体が下記式(VIII)で表わされる構造単位を有する芳香族ポリスルホンである請求項1に記載の製造方法。
    Figure 0004217581
    Figure 0004217581
    (式中、X’’’はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子のいずれかを表す。また,a’’’,b’’’,c’’’はそれぞれ独立に0から4の整数を表し,同時に0になることはない。)
  7. ホルムアルデヒドのアセタール化物がホルムアルデヒドジメチルアセタールである請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. ハロゲン化剤が塩化チオニルである請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 触媒がルイス酸である請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 反応系において、ハロメチル化剤の発生が0〜30℃且つハロメチル化反応を50〜80℃で行う事を特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. ハロメチル化を、式(IX)におけるYが単結合であるときはニトロベンゼン中で、また、Yが式(Ya)、式(Yb)または(Yc)であるときはテトラクロロエタン中で行う請求項2または7〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
JP2003362415A 2003-10-22 2003-10-22 ポリスルホン系高分子のハロメチル化体の製造法 Expired - Fee Related JP4217581B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003362415A JP4217581B2 (ja) 2003-10-22 2003-10-22 ポリスルホン系高分子のハロメチル化体の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003362415A JP4217581B2 (ja) 2003-10-22 2003-10-22 ポリスルホン系高分子のハロメチル化体の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005126532A JP2005126532A (ja) 2005-05-19
JP4217581B2 true JP4217581B2 (ja) 2009-02-04

Family

ID=34642083

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003362415A Expired - Fee Related JP4217581B2 (ja) 2003-10-22 2003-10-22 ポリスルホン系高分子のハロメチル化体の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4217581B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008007761A (ja) * 2006-05-31 2008-01-17 Sumitomo Chemical Co Ltd ブロモ化芳香族化合物の製造方法
JP4757274B2 (ja) * 2007-04-23 2011-08-24 日本化薬株式会社 ポリエーテルスルホン系高分子電解質,固体高分子電解質膜,燃料電池,およびその製造方法
WO2010038306A1 (ja) 2008-10-03 2010-04-08 日本化薬株式会社 ポリエーテルスルホン系高分子電解質、固体高分子電解質膜、燃料電池、およびその製造方法
CN110586202A (zh) * 2019-09-24 2019-12-20 凯瑞环保科技股份有限公司 一种处理焦化废水用的阴离子交换树脂及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005126532A (ja) 2005-05-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS61221227A (ja) ポリ(アリールエーテルケトン)の改良製造方法
CN101426836A (zh) 芳香族化合物和磺化聚芳撑系聚合物
US7550551B2 (en) Brominated flame retardant
JP4217581B2 (ja) ポリスルホン系高分子のハロメチル化体の製造法
US9562004B2 (en) 2, 2′-bis (4-hydroxyphenyl) alkyl azides and process for the preparation thereof
EP0058938B1 (en) Polyesteramide and process for preparing the same
KR101732878B1 (ko) 폴리에테르에테르케톤 기반의 음이온 교환막, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 음이온 교환막 연료전지
KR101816188B1 (ko) 폴리에테르에테르케톤 계열의 공중합체, 이를 포함하는 연료전지용 음이온교환막 및 이의 제조방법
KR20190072919A (ko) 폴리아릴에테르케톤 및 이의 제조 방법
US5235020A (en) Process for preparation of poly(aryl ether) polymers by acyclic catalysts
Kricheldorf Aromatic polyethers
JP2018073651A (ja) 燃料電池用高分子電解質の製造方法
TW201125959A (en) Flame retardant halogenated aryl ether oligomer compositions and their production
JPH0341120A (ja) 芳香族ポリスルホン共重合体の製造方法
JP4681298B2 (ja) スルホアルキル基含有高分子の製造方法
JPH07118382A (ja) ポリエ−テル樹脂及びその製造方法
JPH07116288B2 (ja) 新規芳香族ポリエーテルスルホン共重合体及びその製造方法
JP7113480B2 (ja) 共重合体の製造方法
JP2517871B2 (ja) ビフェニルジカルボン酸ポリエステル類の製造法
JPS6228810B2 (ja)
KR20140057108A (ko) 폴리에테르술폰계 화합물 및 그 제조방법
JP3904473B2 (ja) 含フッ素アリールアミドエーテル重合体及びその製造方法
WO2017073672A1 (ja) 高分子電解質の製造方法
Yildiz et al. Perfectly alternating poly (arylene ether ketone sulfone)'s
Covarrubias Toward The Synthesis of Functionalized Poly (Ether Ether Ketone): Monitoring the meta-Fluorine Displacement in 3, 5, 4’-trifluorobenzophenone

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060407

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071031

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080408

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080528

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20080714

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080714

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081021

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081110

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111114

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111114

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111114

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141114

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees