JP4217081B2 - サンドイッチ成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、コンテナ等の容器状をしたサンドイッチ成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油資源の枯渇化やこれ以上の地球環境の悪化を招かないように、昨今は、不要になった樹脂成形品をそのまま焼却処分するのではなくできるだけリサイクルするように努力されている。
【0003】
そこで、本発明の発明者らは、たとえば、小さな商品などをまとめて収容するとともに、収容状態で積み上げた状態で搬送できる通い容器として一般に使用されているコンテナと称される樹脂成形品を、サンドイッチ成形法(特許文献1〜3参照)を用いて成形すれば樹脂のリサイクル化が図れるのではないかと考えた。
すなわち、サンドイッチ成形法によれば、表面材として用いることができないリサイクル樹脂材料をコア材として用い、表面となるスキン材をバージンの樹脂等を用いればよいと考えた。
【0004】
一方、リサイクル樹脂を利用した成形品の場合、エコマークおよびグリーン購入の対象になるためには、リサイクル樹脂が40%以上含まれていることが必要になる。
しかし、図6に示すような、略矩形の底110と、4つの側壁120とを有し、底11
0にゲート(図示せず)が配置されるとともに、側壁120の外面に沿って底110から側壁上端まで延びる複数の側壁補強リブ130が設けられるコンテナ100や、図7に示すように、底210に沿って格子状に底補強リブ220が設けられたコンテナ200などを、従来の単一樹脂製コンテナと同様に成形した場合、コア材の量を多くすると、キャビティの樹脂最終充填部でコア材がスキン材を突き破って表面に露出し、商品としての価値がさがってしまうという問題がある。したがって、従来の形状のコンテナでは、エコマークやグリーン購入の対象になるような商品にならない。
【0005】
そこで、本発明の発明者らは、研究の結果、コア材によるスキン材のつき破りの原因は、上記のように側壁補強リブ130や底補強リブ220を備えた成形品の場合、キャビティの側壁補強リブ130や底補強リブ220にあたる部分が他の部分よりその厚みが厚く、フローリーダーとして役目を果し、図8に示すようにコア材300が、キャビティKの側壁補強リブ(あるいは底補強リブ)形成部310の根元部分に優先的に流れてしまうためであること、特に、底補強リブ220の場合、ゲートGからコンテナ200の長手方向に直線的に延びる底補強リブのうち、樹脂の流れに略平行に近いゲート近傍の数本の底補強リブ220の影響が大きいことを知見して、さらに鋭意検討を重ねた結果本発明を完成するに到った。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−47623号公報
【特許文献2】
特開平10−211633号公報
【特許文献3】
特開平11−105071号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みて、キャビティの補強リブ形成部の基部にコア材が優先的に流れるのを防止して、コア材の充填量を増やしても、最終充填部でのコア材によるスキン材の突き破りを防止できるサンドイッチ成形品を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のサンドイッチ成形品(以下、「請求項1の成形品」と記す)は、略矩形の底と、4つの側壁を有し、側壁面に沿って底から側壁上端まで延びる複数の側壁補強リブが設けられ、キャビティの底形成部側に設けられたゲートからキャビティ内にコア材及びスキン材が射出されて得られるサンドイッチ成形品であって、前記各側壁補強リブにおいて、少なくとも樹脂の最終充填部近傍に位置する側壁補強リブは、側壁面の上下方向において、リブ幅が、一部で側壁の肉厚の1.5倍以下となされ、残部で側壁の肉厚の1.5倍を越えるものとなされていることを特徴としている。
【0009】
本発明の請求項2に記載のサンドイッチ成形品(以下、「請求項2の成形品」と記す)は、略矩形の底と、4つの側壁を有し、側壁面に沿って底から側壁上端まで延びる複数の側壁補強リブが設けられ、キャビティの底形成部側に設けられたゲートからキャビティ内にコア材及びスキン材が射出されて得られるサンドイッチ成形品であって、前記各側壁補強リブにおいて、少なくとも樹脂の最終充填部近傍に位置する側壁補強リブが、底からコンテナ上端方向に垂直に立ち上がる下部垂直部と、この下部垂直部の上端から底に対して水平方向に延びる水平部と、下部垂直部からずれた位置で水平部から底に対して垂直に立ち上がる上部垂直部とからなるクランク状に形成されていることを特徴としている。
【0010】
本発明の請求項3に記載のサンドイッチ成形品(以下、「請求項3の成形品」と記す)は、請求項2の成形品において、各側壁補強リブにおいて、少なくとも樹脂の最終充填部近傍に位置する側壁補強リブは、リブ幅がその少なくとも一部で側壁の肉厚の1.5倍以下であることを特徴としている。
【0011】
本発明の請求項4に記載のサンドイッチ成形品(以下、「請求項4の成形品」と記す)は、略矩形の底と、4つの側壁を有し、キャビティの底形成部側に設けられたゲートからキャビティ内にコア材及びスキン材が射出されて得られる、底に沿って格子状に底補強リブが設けられているサンドイッチ成形品であって、ゲートから側壁までの距離が長い方向に延びる底補強リブのうち、ゲートの近傍に設けられる複数本の底補強リブは、リブ幅が、その少なくとも一部において底の肉厚の1.3倍以下になされているか、または、リブがその少なくとも一部において除去されているとともに、残りの底補強リブのリブ幅が底の肉厚の1.5倍を越えたものとなされていることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1および図2は、本発明にかかるサンドイッチ成形品の実施の形態であるコンテナの第1の形態をあらわしている。
【0013】
図1に示すように、このコンテナ1aは、側壁2に設けられた側壁補強リブ3aが底4からコンテナ上端方向に垂直に立ち上がる下部垂直部31と、この下部垂直部31の上端から底4に対して水平方向に延びる水平部32と、下部垂直部31からずれた位置で水平部32から底4に対して垂直に立ち上がる上部垂直部33とを備えるクランク状(または鉤状)に形成されている。
また、図2に示すように、底4に沿って同じ幅の長手方向底補強リブ41と短手方向底補強リブ42とが等ピッチで直交して格子状に設けられている。図2中、Gはゲートである。
【0014】
このコンテナ1aは、側壁補強リブ3aがクランク状に形成されているので、キャビティの底形成部側から側壁補強リブ形成部に入り込んだコア材は、下部垂直部31にあたる部分の基部を他の部分より優先的にコンテナの上端側へ流れようとするが、水平部32にあたる部分で一旦その流れが抑えられる。したがって、コア材の量を多くしてもスキン材がコア材よりもはやく最終充填部まで達し、コア材によるスキン材の突き破りを防止できる。
すなわち、エコマークやグリーン購入の対象となるコンテナをサンドイッチ成形によって得ることができる。
【0015】
図3は、本発明にかかるサンドイッチ成形品の実施の形態であるコンテナの第2の形態をあらわしている。
図3に示すように、このコンテナ1bは、側壁補強リブ3bが、底4に対してコンテナ1bの上端まで垂直に立ち上がるとともに、下部34の幅が側壁2の肉厚の1.5倍以下になっていて、上部35の幅が1.5倍を越える大きさになっている以外は、上記のコンテナ1aと同様になっている。
【0016】
このコンテナ1bは、以上のように、側壁補強リブ3bの下部34の幅が、側壁2の肉厚の1.5倍以下になっているので、成型時にキャビティの側壁補強リブ形成部の基部に沿って流れようとするコア材の量が制限される。したがって、コア材の充填量を多くしても、最終充填部でコア材がスキン材層を突き抜けるということを防止できる。
すなわち、エコマークやグリーン購入の対象となるコンテナをサンドイッチ成形によって得ることができる。
【0017】
図4は、本発明にかかるサンドイッチ成形品の実施の形態であるコンテナの第3の形態をあらわしている。
図4に示すように、このコンテナ1cは、底4に沿って同じ幅の長手方向底補強リブ43,44と短手方向底補強リブ45とが直交して格子状に設けられているが、コンテナ1cの長手方向に直線的に延びる長手方向底補強リブ43,44のうち、ゲートGを中心にして底4の短手方向の1/4幅以内の部分に位置する長手方向底補強リブ44がゲートGからゲートGと側壁2の下端との中間位置までしか設けられていない以外は、図6のコンテナ100と同様になっている。
【0018】
すなわち、このコンテナ1cは、ゲートGを中心にして底4の短手方向の1/4幅以内の部分に位置する長手方向底補強リブ44がゲートGからゲートGと側壁2の下端との中間位置までしか設けられていないので、キャビティの長手方向底補強リブ44形成部に入り込んだコア材は、その側壁2側の端部までしか優先的に流れない。したがって、コア材の充填量を多くしても、最終充填部でコア材がスキン材層を突き抜けるということを防止できる。
なお、キャビティの残りの長手方向底補強リブ43形成部は、樹脂の流れ方向に対して、傾きがあるため、コア材がこの長手方向底補強リブ43形成部の基部を優先的に流すような作用は少なく、長手方向底補強リブ44のようにリブ長さを短くする必要はない。
【0019】
図5は、本発明にかかるサンドイッチ成形品の実施の形態であるコンテナの第4の形態をあらわしている。
図5に示すように、このコンテナ1dは、底4に長手方向底補強リブ46,47と短手方向底補強リブ48とが直交して格子状に設けられているが、コンテナ1dの長手方向に直線的に延びる長手方向底補強リブ46,47のうち、ゲートGを中心にして底4の短手方向の1/4幅以内の部分(図に鎖線で囲む部分)に位置する長手方向底補強リブ47の幅が全長にわたって底4の肉厚の1.3倍以下になっていて、長手方向底補強リブ46および短手方向底補強リブ48の幅が底4の肉厚の1.5倍を越えている以外は、図6のコンテナ100と同様になっている。
【0020】
すなわち、このコンテナ1dは、コンテナ1dの長手方向に直線的に延びる長手方向底補強リブ46,47のうち、ゲートGを中心にして底4の短手方向の1/4幅以内の部分(図に鎖線で囲む部分)に位置する長手方向底補強リブ47の幅が全長にわたって底4の肉厚の1.3倍以下になっているので、ゲートから射出充填されたコア材が長手方向底補強リブ47の基部を優先的に流れるという現象を防止できる。したがって、コア材の充填量を多くしても、最終充填部でコア材がスキン材層を突き抜けるということを防止できる。
【0021】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、ゲートが一点であったが、2点以上としても構わない。
また、上記のコンテナ1cでは、底4の長手方向底補強リブ44がゲートGからゲートGと側壁2との中間位置まで設けられていたが、強度的に問題がなければ、長手方向底補強リブ44をすべてなくしても構わない。
【0022】
上記のコンテナ1dでは、長手方向底補強リブ47の幅が全長にわたって底4の肉厚の1.3倍以下になっていたが、部分的になっていても構わない。
上記の実施の形態では、底補強リブが側壁と平行か側壁に直交していたが、底の対角線に平行にあるいは直交するように設けるようにしても構わない。
【0023】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と対比させつつ詳しく説明する。
【0024】
(実施例1)
各部が以下に示す寸法である図1および図2に示すコンテナを、色の異なるポリプロピレンを用いてコア材の充填量を40%となるように設定して、1点ゲートで成形したところ、最終充填部においてもコア材によるスキン材の突き破りは見られなかった。
大きさ:縦600mm×横300mm×高さ200mm、
側壁の肉厚:2.0mm
側壁補強リブの幅(上部垂直部、下部垂直部、水平部):3.5mm
側壁補強リブの高さ:20mm
底の肉厚:2.0mm
底補強リブの格子ピッチ:12mm
底補強リブの幅:3.2mm
底補強リブの高さ:10mm
【0025】
(比較例1)
各部の寸法が、上位実施例1と同様で、側壁補強リブがクランク状になっていない図6に示すコンテナを、実施例1と同様にして成形したところ、最終充填部およびその近傍でコア材によるスキン材の突き破りが見られた。
【0026】
(実施例2)
各部が以下に示す寸法である図3に示すコンテナを、色の異なるポリプロピレンを用いてコア材の充填量を40%となるように設定して1点ゲートで成形したところ、最終充填部においてもコア材によるスキン材の突き破りは見られなかった。
大きさ:縦600mm×横300mm×高さ200mm、
側壁の肉厚:2.0mm
側壁補強リブの下から2/3部分までの幅:2.5mm
側壁補強リブの上から1/3部分までの幅:3.5mm
側壁補強リブの高さ:20mm
底の肉厚:2.0mm
底補強リブの格子ピッチ:12mm
底補強リブの幅:3.2mm
底補強リブの高さ:10mm
【0027】
(実施例3)
比較例1のコンテナの長手方向に直線的に延びる底補強リブのうち、ゲートの両側3本ずつの長手方向底補強リブの幅を2.0mmとした以外は、比較例1と同様にコンテナを成形したところ最終充填部においてもコア材によるスキン材の突き破りは見られなかった
。
【0028】
(実施例4)
比較例1のコンテナの長手方向に直線的に延びる底補強リブのうち、ゲートの両側3本ずつの長手方向底補強リブを側壁から1.50mmの部分なくした状態にした以外は、比較例1と同様にコンテナを成形したところ最終充填部においてもコア材によるスキン材の突き破りは見られなかった。
【0029】
【発明の効果】
本発明にかかるサンドイッチ成形品は、以上のように構成されているので、キャビティの補強リブ形成部の基部にコア材が優先的に流れるのを防止して、コア材の充填量を増やしても、最終充填部でのコア材によるスキン材の突き破りを防止できる。したがって、エコマークやグリーン購入の対象となる成形品を容易にサンドイッチ成形によって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるサンドイッチ成形品の実施の形態であるコンテナの第1の形態をあらわす斜視図である。
【図2】 図1のコンテナの底面図である。
【図3】 本発明にかかるサンドイッチ成形品の実施の形態であるコンテナの第2の形態をあらわす斜視図である。
【図4】 本発明にかかるサンドイッチ成形品の実施の形態であるコンテナの第3の形態をあらわす底面図である。
【図5】 本発明にかかるサンドイッチ成形品の実施の形態であるコンテナの第4の形態をあらわす底面図である。
【図6】 従来のコンテナの斜視図である。
【図7】 図6のコンテナの底面図である。
【図8】 コア材のキャビティ内での流れを説明する側壁補強リブ形成部の断面図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c、1d コンテナ(サンドイッチ成形品)
2 側壁
3a、3b、3c、3d 側壁補強リブ
4 底
41,43,44,46,47 長手方向底補強リブ
42,45,48 短手方向補強リブ
G ゲート
Claims (4)
- 略矩形の底と、4つの側壁を有し、側壁面に沿って底から側壁上端まで延びる複数の側壁補強リブが設けられ、キャビティの底形成部側に設けられたゲートからキャビティ内にコア材及びスキン材が射出されて得られるサンドイッチ成形品であって、
前記各側壁補強リブにおいて、少なくとも樹脂の最終充填部近傍に位置する側壁補強リブは、側壁面の上下方向において、リブ幅が、一部で側壁の肉厚の1.5倍以下となされ、残部で側壁の肉厚の1.5倍を越えるものとなされていることを特徴とするサンドイッチ成形品。 - 略矩形の底と、4つの側壁を有し、側壁面に沿って底から側壁上端まで延びる複数の側壁補強リブが設けられ、キャビティの底形成部側に設けられたゲートからキャビティ内にコア材及びスキン材が射出されて得られるサンドイッチ成形品であって、
前記各側壁補強リブにおいて、少なくとも樹脂の最終充填部近傍に位置する側壁補強リブが、底からコンテナ上端方向に垂直に立ち上がる下部垂直部と、この下部垂直部の上端から底に対して水平方向に延びる水平部と、下部垂直部からずれた位置で水平部から底に対して垂直に立ち上がる上部垂直部とからなるクランク状に形成されていることを特徴とするサンドイッチ成形品。 - 各側壁補強リブにおいて、少なくとも樹脂の最終充填部近傍に位置する側壁補強リブは、リブ幅がその少なくとも一部で側壁の肉厚の1.5倍以下である請求項2に記載のサンドイッチ成形品。
- 略矩形の底と、4つの側壁を有し、キャビティの底形成部側に設けられたゲートからキャビティ内にコア材及びスキン材が射出されて得られる、底に沿って格子状に底補強リブが設けられているサンドイッチ成形品であって、
ゲートから側壁までの距離が長い方向に延びる底補強リブのうち、ゲートの近傍に設けられる複数本の底補強リブは、リブ幅が、その少なくとも一部において底の肉厚の1.3倍以下になされているか、または、リブがその少なくとも一部において除去されているとともに、残りの底補強リブのリブ幅が底の肉厚の1.5倍を越えたものとなされていることを特徴とするサンドイッチ成形品。
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