JP4216431B2 - エチレン系重合体製造用触媒、その製造方法及びエチレン系重合体の製造方法 - Google Patents
エチレン系重合体製造用触媒、その製造方法及びエチレン系重合体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエチレン系重合体製造用触媒およびその触媒を使用するエチレン系重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、3価有機クロム化合物を用いる新規なエチレン系重合体製造用触媒およびその触媒を用いるエチレン系重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機クロム化合物を無機酸化物固体に担持して得られるエチレン系重合体製造用触媒は、クロム化合物を無機酸化物固体に担持後、空気または酸素などの非還元性雰囲気中で賦活活性化を行なうことにより得られるいわゆるフィリップス触媒とは異なり、水素による分子量調節が可能であること、得られるエチレン系重合体の分子量分布が狭いことなど、独自の性能を有することはよく知られている。例えば、ビス(シクロペンタジエニル)クロム(II)をシリカなどに担持したいわゆるクロモセン触媒(特公昭45-40902号、特公昭50-32110号、特公昭49-21433号、特公昭50-68985号、特公昭52-31226号、特公昭58-25323号、特公昭56-15807号、特公平5-5841号、特公平6-96612号、特表平8-512339号)、ジクメンクロム(0)をシリカなどに担持した触媒(特公昭47-16647号、特開昭57-133103号)、ビス(インデニル)クロム(II)またはビス(フルオレニル)クロム(II)をシリカなどに担持した触媒(特公昭55-8086号)、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2−メチルペンタジエニル)クロム(II)をシリカなどに担持した触媒(特開平3-93804号)、π−アリルクロム(II)をシリカなどに担持した触媒(特公昭47-13002号、特公昭47-26429号)、テトラネオペンチルクロム(IV)をシリカなどに担持した触媒(特公昭51-8757号)、テトラキス(ビシクロヘプチル)クロム(IV)をシリカなどに担持した触媒(特開昭47-16590号)、オクタキス(アルキルシリル)テトラクロム(II)複核錯体をシリカなどに担持した触媒(特開昭61-57606号)などが挙げられる。これらの触媒において用いる有機クロム化合物は、そのクロム原子の価数が0価、2価または4価のものであり、3価の有機クロム化合物を用いる例は少ない。
【0003】
3価有機クロム化合物を無機酸化物固体に担持して得られるエチレン系重合体製造用触媒としては、トリス(ビシクロヘプチル)クロム(III)をシリカに担持した触媒(特開昭47-17753号)がある。この触媒の場合、3価有機クロム化合物であるトリス(ビシクロヘプチル)クロム(III)は熱および/または光に対して不安定で分解しやすく、シリカに担持して触媒とした後でも活性の経時劣化を起こして保管ができず、安定した品質の触媒およびエチレン系重合体を得るのが難しい。またシクロペンタジエニルクロム(III)ヒドロカルビル化合物をシリカなどの無機担体上に担持した成分とアルキルアルミニウム化合物からなる触媒(特許第2759016号公報、特開平7-502783号、WO96-27621、WO96-23006)が知られている。この触媒の場合、経時劣化はしにくいものの、触媒当たりの活性およびクロム原子当たりの活性が非常に低く、工業的に用いるには経済性が非常に悪くコストがかかる。また、得られるポリマー中の触媒残分が多いために、製品が着色し、劣化が促進されるなどの悪影響を及ぼす。さらにこの触媒は、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンが共重合しにくいため、エチレン系重合体の密度が制御が困難であり、非常に限定された高い密度の製品しか製造できないという大きな欠点を有する。従って上記の3価有機クロム化合物を無機酸化物固体に担持して得られるエチレン系重合体製造用触媒は実用的に問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は上記問題点を解消し、3価有機クロム化合物を用いる触媒であって、経時劣化を起こさず、活性が向上し、α−オレフィンと共重合するエチレン系重合体製造用触媒およびその触媒を用いるエチレン系重合体の効率的製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、特定の3価有機クロム化合物および無機酸化物固体から成る触媒、あるいは特定の3価有機クロム化合物、無機酸化物固体および有機アルミニウムから成る触媒を用いることによって前記課題を解決した。
すなわち、本発明は、
1) 一般式(1)
【化8】
(式中、R1、R2及びR3は同一でも異なってもよく、各々水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基または炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数1〜18のアルキル基または炭素原子数6〜18のアリール基で置換されたシリル基を表わすが、R1〜R3は同時に水素原子を表わさない。またR1〜R3のうち2つが連結されて環を形成していてもよい。)
で示される3価有機クロム化合物および無機酸化物固体からなるエチレン系重合体製造用触媒、
2) 一般式(1)で示される3価有機クロム化合物を無機酸化物固体に担持して得られる前記1記載のエチレン系重合体製造用触媒、
3) 一般式(1)で示される3価有機クロム化合物を無機酸化物固体に対し、クロム原子として0.01〜10%担持させて得られる前記2記載のエチレン系重合体製造用触媒、
4) 一般式(1)で示される3価有機クロム化合物が、一般式(3)
【化9】
(式中、R5およびR6は同一でも異なってもよく、各々水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基または炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数1〜18のアルキル基または炭素原子数6〜18のアリール基で置換されたシリル基を表わすが、R5およびR6は同時に水素原子を表わさない。またR5およびR6が連結されて環を形成していてもよい。)
で示される3価有機クロム化合物である前記1記載のエチレン系重合体製造用触媒、
5) 一般式(3)で示される3価有機クロム化合物が、一般式(4)
【化10】
(式中、R7およびR8は同一でも異なってもよく、炭素原子数1〜18のアルキル基または炭素原子数6〜18のアリール基を表わす。またR7およびR8が連結されて環を形成していてもよい。)
で示される3価有機クロム化合物である前記4記載のエチレン系重合体製造用触媒、
6) 一般式(1)
【化11】
(式中、R1〜R3は前記1の記載と同じ意味を表わす。)で示される3価有機クロム化合物、無機酸化物固体および一般式(2)
【化12】
(式中、複数存在するR4は同一でも異なってもよく、各々炭素原子数1〜18のアルキル基を表わし、複数存在するXは、同一でも異なってよく、各々ハロゲン原子、アルコキシ基、シロキシ基、または水素原子を表わし、nは1〜3の整数である。)
で示される有機アルミニウムからなるエチレン系重合体製造用触媒、
7) 一般式(1)で示される3価有機クロム化合物を無機酸化物固体に担持後、得られた固体触媒成分を一般式(2)で示される有機アルミニウムと反応させて得られる前記6記載のエチレン系重合体製造用触媒、
8) 一般式(1)で示される3価有機クロム化合物を無機酸化物固体に対し、クロム原子として0.01〜10%担持させ、得られた固体触媒成分を一般式(2)で示される有機アルミニウムとアルミニウム原子/クロム原子のモル比が1〜1000の割合になるように反応させて得られる前記7記載のエチレン系重合体製造用触媒、
9) 一般式(1)で示される3価有機クロム化合物が、一般式(3)
【化13】
(式中、R5およびR6は前記4の記載と同じ意味を表わす。)
で示される3価有機クロム化合物である前記6記載のエチレン系重合体製造用触媒、
10) 一般式(3)で示される3価有機クロム化合物が、一般式
(4)
【化14】
(式中、R7およびR8は前記5の記載と同じ意味を表わす。)
で示される3価有機クロム化合物である前記9記載のエチレン系重合体製造用触媒、
11) 前記1ないし5のいずれかに記載のエチレン系重合体製造用触媒を用いることを特徴とするエチレン系重合体の製造方法、および
12) 前記6ないし10のいずれかに記載のエチレン系重合体製造用触媒を用いることを特徴とするエチレン系重合体の製造方法を用いることを特徴とするエチレン系重合体の製造方法を提供する。
【0006】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の方法で使用する第一の触媒成分は、一般式(1)で示される3価有機クロム化合物である。
【化15】
【0007】
式中、R1、R2、R3は各々水素原子または炭素原子数1〜18のアルキル基または炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数1〜18のアルキル置換シリル基または炭素原子数6〜18のアリール置換シリル基であり、同一であっても異なっていてもよいが、R1〜R3は同時に水素原子を表わさない。またR1〜R3のうち2つが連結されて環を形成していてもよい。
【0008】
R1、R2、およびR3が表わすアルキル基としてはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、ジメチルフェニルメチル、メチルジフェニルメチル、トリフェニルメチルなどが、アリール基としてはフェニル、トリル、キシリル、メシチル、ナフチル、インデニルなどが、アルキル置換シリル基としてはトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリt−ブチルシリル、トリシクロヘキシルシリル、などが、アリール置換シリル基としてはトリフェニルシリル、トリトリルシリル、トリキシリルシリル、トリメシチルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、R1〜R3のうち2つが連結されて環を形成している場合には、シクロペンチル、シクロヘキシル、2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラシクロペンチル、2,2,6,6−テトラメチル−2,6−ジシラシクロヘキシルなどが挙げられる。
【0009】
一般式(I)で示される3価有機クロム化合物の具体例としては、
トリス[ビス(アルキル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(アリール)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(アルキル置換シリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(アリール置換シリル)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(アルキル)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(アリール)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(アルキル置換シリル)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(アリール置換シリル)メチル]クロム(III)
などが挙げられ、さらに具体的には、
トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(トリメチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリエチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(トリエチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリn−プロピルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(トリn−プロピルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリイソプロピルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(トリイソプロピルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリn−ブチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(トリn−ブチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリイソブチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(トリイソブチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリt−ブチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(トリt−ブチルシリル)メチル]クロム(III)、
【0010】
トリス[1,1−ビス(トリメチルシリル)エチル]クロム(III)、
トリス[1,1−ビス(トリメチルシリル)プロピル]クロム(III)、
トリス[1,1−ビス(トリメチルシリル)−2−メチルプロピル]クロム(III)、
トリス[1,1−ビス(トリメチルシリル)ブチル]クロム(III)、
トリス[{ビス(トリメチルシリル)フェニル}メチル]クロム(III)、
トリス[{ビス(トリメチルシリル)シクロヘキシル}メチル]クロム(III)、
【0011】
トリス[1,1−ビス(トリエチルシリル)エチル]クロム(III)、
トリス[1,1−ビス(トリエチルシリル)プロピル]クロム(III)、
トリス[1,1−ビス(トリエチルシリル)−2−メチルプロピル]クロム(III)、
トリス[1,1−ビス(トリエチルシリル)ブチル]クロム(III)、
トリス[{ビス(トリエチルシリル)フェニル}メチル]クロム(III)、
トリス[{ビス(トリエチルシリル)シクロヘキシル}メチル]クロム(III)、
【0012】
トリス[1,1−ビス(トリn−プロピルシリル)エチル]クロム(III)、
トリス[1,1−ビス(トリn−プロピルシリル)プロピル]クロム(III)、
トリス[1,1−ビス(トリn−プロピルシリル)−2−メチルプロピル]クロム(III)、
トリス[1,1−ビス(トリn−プロピルシリル)ブチル]クロム(III)、
トリス[{ビス(トリn−プロピルシリル)フェニル}メチル]クロム(III)、
トリス[{ビス(トリn−プロピルシリル)シクロヘキシル}メチル]クロム(III)、
【0013】
トリス[1,1−ビス(トリイソプロピルシリル)エチル]クロム(III)、
トリス[1,1−ビス(トリイソプロピルシリル)プロピル]クロム(III)、
トリス[1,1−ビス(トリイソプロピルシリル)−2−メチルプロピル]クロム(III)、
トリス[1,1−ビス(トリイソプロピルシリル)ブチル]クロム(III)、
トリス[{ビス(トリイソプロピルシリル)フェニル}メチル]クロム(III)、
トリス[{ビス(トリイソプロピルシリル)シクロヘキシル}メチル]クロム(III)、
【0014】
トリス(ジt−ブチルメチル)クロム(III)、
トリス(トリt−ブチルメチル)クロム(III)、
トリス(ジt−ヘプチルメチル)クロム(III)、
トリス(トリt−ヘプチルメチル)クロム(III)、
トリス(4,4,6,6−テトラn−プロピル−5−ノニル)クロム(III)、
トリス(4,4,5,6,6−ペンタn−プロピル−5−ノニル)クロム(III)、
トリス(2,6−ジメチル−3,5−ジイソプロピル−4−ヘプチル)クロム(III)、
トリス(2,6−ジメチル−3,4,5−トリイソプロピル−4−ヘプチル)クロム(III)、
【0015】
トリス(2,2,3,5,5−ペンタメチル−3−ペンチル)クロム(III)、
トリス(3−エチル−2,2,5,5−テトラメチル−3−ペンチル)クロム(III)、
トリス(3−イソプロピル−2,2,5,5−テトラメチル−3−ペンチル)クロム(III)、
トリス(3−n−プロピル−2,2,5,5−テトラメチル−3−ペンチル)クロム(III)、
トリス(3−フェニル−2,2,5,5−テトラメチル−3−ペンチル)クロム(III)、
トリス(3−シクロヘキシル−2,2,5,5−テトラメチル−3−ペンチル)クロム(III)、
トリス(4−メチル−2,2,5,5−テトラエチル−4−ヘプチル)クロム(III)、
トリス(2,2,4,5,5−ペンタエチル−4−ヘプチル)クロム(III)、
トリス(4−イソプロピル−2,2,5,5−テトラエチル−4−ヘプチル)クロム(III)、
トリス(4−フェニル−2,2,5,5−テトラエチル−4−ヘプチル)クロム(III)、
トリス(4−シクロヘキシル−2,2,5,5−テトラエチル−4−ヘプチル)クロム(III)、
トリス(1−フェニルエチル)クロム(III)、
トリス(1−トリルエチル)クロム(III)、
トリス(1−キシリルエチル)クロム(III)、
トリス(1−メシチルエチル)クロム(III)、
トリス(2−フェニル−2−プロピル)クロム(III)、
トリス(2−トリル−2−プロピル)クロム(III)、
トリス(2−キシリル−2−プロピル)クロム(III)、
トリス(2−メシチル−2−プロピル)クロム(III)、
トリス(ジフェニルメチル)クロム(III)、
トリス(ジトリルメチル)クロム(III)、
トリス(ジキシリルメチル)クロム(III)、
トリス(ジメシチルメチル)クロム(III)、
トリス(1,1−ジフェニルエチル)クロム(III)、
トリス(1,1−ジトリルエチル)クロム(III)、
トリス(1,1−ジキシリルエチル)クロム(III)、
トリス(1,1−ジメシチルエチル)クロム(III)
【0016】
トリス(1−トリメチルシリルシクロヘキシル)クロム(III)、
トリス(1−トリエチルシリルシクロヘキシル)クロム(III)、
トリス(1−トリブチルシリルシクロヘキシル)クロム(III)、
トリス(1−トリフェニルシリルシクロヘキシル)クロム(III)、
トリス(1−t−ブチルシクロヘキシル)クロム(III)、
トリス(1−トリエチルメチルシクロヘキシル)クロム(III)、
トリス(1−トリブチルメチルシクロヘキシル)クロム(III)、
トリス(1−トリフェニルメチルシクロヘキシル)クロム(III)、
【0017】
トリス(1−トリメチルシリルシクロペンチル)クロム(III)、
トリス(1−トリエチルシリルシクロペンチル)クロム(III)、
トリス(1−トリブチルシリルシクロペンチル)クロム(III)、
トリス(1−トリフェニルシリルシクロペンチル)クロム(III)、
トリス(1−t−ブチルシクロペンチル)クロム(III)、
トリス(1−トリエチルメチルシクロペンチル)クロム(III)、
トリス(1−トリブチルメチルシクロペンチル)クロム(III)、
トリス(1−トリフェニルメチルシクロペンチル)クロム(III)、
【0018】
トリス(トリフェニルメチル)クロム(III)、
トリス(トリメチルシリルジフェニルメチル)クロム(III)、
トリス(トリエチルシリルジフェニルメチル)クロム(III)、
トリス(トリブチルシリルジフェニルメチル)クロム(III)、
トリス(トリフェニルシリルジフェニルメチル)クロム(III)、
トリス(t−ブチルジフェニル)クロム(III)、
トリス(1,1−ジフェニル−2,2−ジメチル−1−プロピル)クロム(III)、
トリス(1,1−ジフェニル−2,2−ジエチル−1−ブチル)クロム(III)、
トリス(1,1,2,2,2−ペンタフェニル−1−エチル)クロム(III)、
【0019】
トリス(ビストリメチルシリルフェニルメチル)クロム(III)、
トリス(ビストリエチルシリルフェニルメチル)クロム(III)、
トリス(ビストリブチルシリルフェニルメチル)クロム(III)、
トリス(ビストリフェニルシリルフェニルメチル)クロム(III)、
トリス(ジt−ブチルフェニルメチル)クロム(III)、
トリス[ビス(ジメチルフェニルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(ジメチルフェニルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(ジフェニルメチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(ジフェニルメチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリフェニルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[トリス(トリフェニルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス(2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラシクロペンチル)クロム(III)、
トリス(2,2,6,6−テトラメチル−2,6−ジシラシクロヘキシル)クロム(III)
などが挙げられる。
【0020】
これらの中でも
トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリエチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリn−プロピルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリイソプロピルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリn−ブチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリイソブチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリt−ブチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス(ジt−ブチルメチル)クロム(III)、
トリス(ジt−ヘプチルメチル)クロム(III)、
トリス(4,4,6,6−テトラn−プロピル−5−ノニル)クロム(III)、
トリス(2,6−ジメチル−3,5−ジイソプロピル−4−ヘプチル)クロム(III)、
トリス(1−フェニルエチル)クロム(III)、
トリス(1−トリルエチル)クロム(III)、
トリス(1−キシリルエチル)クロム(III)、
トリス(1−メシチルエチル)クロム(III)、
トリス(ジフェニルメチル)クロム(III)、
トリス(ジトリルメチル)クロム(III)、
トリス(ジキシリルメチル)クロム(III)、
トリス(ジメシチルメチル)クロム(III)、
トリス[ビス(ジメチルフェニルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(ジフェニルメチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリフェニルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス(2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラシクロペンチル)クロム(III)、
トリス(2,2,6,6−テトラメチル−2,6−ジシラシクロヘキシル)クロム(III)
が好ましく、とりわけ中でも
トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリエチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリn−プロピルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリイソプロピルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリn−ブチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリイソブチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリt−ブチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(ジメチルフェニルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(ジフェニルメチルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス[ビス(トリフェニルシリル)メチル]クロム(III)、
トリス(2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラシクロペンチル)クロム(III)、
トリス(2,2,6,6−テトラメチル−2,6−ジシラシクロヘキシル)クロム(III)
が好ましい。
【0021】
本発明で使用する無機酸化物固体は、周期律表第2、4、13または14族の金属の酸化物である。具体的には、マグネシア、チタニア、ジルコニア、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、リン酸アルミニウムまたはこれらの混合物等が挙げられる。リン酸アルミニウムは形式上はリン酸塩であるが、酸化物としての性質を有する。これらの中で好ましいのはシリカ−アルミナ、およびシリカである。
【0022】
これらの無機酸化物固体の特性としては、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは200〜800m2/g、細孔体積が0.5〜3.0m2/g、好ましくは0.7〜2.5m2/g、平均粒径が10〜200μm、好ましくは30〜150μmの範囲のものが用いられる。
【0023】
無機酸化物固体は、使用される前に予め吸着した水分を除去し、焼成しておくことが望ましい。無機酸化物固体の焼成は、通常モレキュラーシーブ流通下、乾燥した窒素ガス気流中で、4)〜6)に記載したように触媒と有機アルミニウムを反応させる場合には100℃〜900℃、好ましくは200℃〜800℃の温度範囲で、1)〜3)に記載したように触媒と有機アルミニウムを反応させない場合には400℃〜900℃、好ましくは450℃〜850℃、さらに好ましくは500℃〜800℃の温度範囲で、30分〜48時間、好ましくは2時間〜36時間、さらに好ましくは5時間〜24時間行なわれる。充分な量の窒素ガスを供給し無機酸化物固体を流動状態において乾燥させることが好ましい。また、チタネート類やフッ素含有塩類等を添加して焼成し、得られるエチレン系重合体の分子量分布や共重合性を制御する公知の方法を併用してもよい。
【0024】
[触媒の調製]
本発明の触媒は、3価有機クロム化合物と無機酸化物固体を化学的に反応させて調製する。具体的には、
(A)予め合成した3価有機クロム化合物を無機酸化物固体に担持させて触媒とする方法、
(B)無機酸化物固体存在下で3価有機クロム化合物を合成後担持する方法のいずれの方法で行なっても良いが、(A)の方法が好ましい。
【0025】
(A)の方法において、一般式(1)で示される3価有機クロム化合物の合成方法としては、三塩化クロムのような三ハロゲン化クロム、または三塩化クロムのテトラヒドロフラン錯体CrCl3・3THFを、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒中で、例えばビス(トリメチルシリル)メチルリチウムのようなアルキルアルカリ金属塩と、アルキルアルカリ金属/クロムモル比=3となるように反応させて得るのが一般的である。その際、たとえば三塩化クロムとビス(トリメチルシリル)メチルリチウムとの反応の場合にはハロゲン化アルカリ金属として塩化リチウムが析出するが、ろ過によりこの析出塩を除去し、さらに再結晶等の操作により目的とする3価有機クロム化合物を単離する。単離せずに、上記ハロゲン化アルカリ金属除去後、減圧下エーテル系溶媒を除去し、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンのような不活性炭化水素溶媒に溶解し3価有機クロム化合物の生成物としてもよい。
【0026】
3価有機クロム化合物を無機酸化物固体に担持するにあたっては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどのような不活性炭化水素中で行なう。無機酸化物固体あたりの溶媒量は任意の量を用いることができる。
無機酸化物固体に対するクロム原子の担持量は0.01〜10%、好ましくは0.03〜5%、反応温度は−78℃〜溶媒の沸点、好ましくは−20℃〜60℃、反応時間は10分〜48時間、好ましくは30分〜24時間である。
担持反応後、溶媒を減圧下で除去する方法、またはろ過によって分離する方法により流動性の良い触媒が得られる。
【0027】
本発明においては、上記触媒をさらに一般式(2)
【化16】
(式中、R4は炭素原子数1〜18のアルキル基、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、シロキシ基、水素原子であり、同一であっても異なっていてもよく、nは1〜3を示す。)で示される有機アルミニウムと反応させて用いることもできる。
【0028】
一般式(2)で示される有機アルミニウムとしては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、ジアルキルアルミニウムアルコキシド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムジアルコキシド、ジアルキルアルミニウムハイドライド、シロキシアラン等が挙げられる。
【0029】
トリアルキルアルミニウムの具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等が挙げられ、中でもトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。
【0030】
ジアルキルアルミニウムハライドの具体例としては、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられ、中でもジエチルアルミニウムクロライドが好ましい。
【0031】
ジアルキルアルミニウムアルコキシドの具体例としては、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムイソプロポキシド、ジメチルアルミニウムn−ブトキシド、ジメチルアルミニウムイソブトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムイソプロポキシド、ジエチルアルミニウムn−ブトキシド、ジエチルアルミニウムイソブトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムイソプロポキシド、ジイソブチルアルミニウムn−ブトキシド、ジイソブチルアルミニウムイソブトキシド、ジn−ヘキシルアルミニウムエトキシド、ジn−ヘキシルアルミニウムイソプロポキシド、ジn−ヘキシルアルミニウムn−ブトキシド、ジn−ヘキシルアルミニウムイソブトキシド等が挙げられ、中でもジエチルアルミニウムエトキシドが好ましい。
【0032】
アルキルアルミニウムジハライドの具体例としては、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド等が挙げられ、中でもエチルアルミニウムジクロライドが好ましい。
【0033】
アルキルアルミニウムジアルコキシドの具体例としては、メチルアルミニウムジメトキシド、メチルアルミニウムジエトキシド、メチルアルミニウムジイソプロポキシド、メチルアルミニウムジn−ブトキシド、メチルアルミニウムジイソブトキシド、エチルアルミニウムジエトキシド、エチルアルミニウムジイソプロポキシド、エチルアルミニウムジn−ブトキシド、エチルアルミニウムジイソブトキシド、イソブチルアルミニウムジエトキシド、イソブチルアルミニウムジイソプロポキシド、イソブチルアルミニウムジn−ブトキシド、イソブチルアルミニウムジイソブトキシド、n−ヘキシルアルミニウムジエトキシド、n−ヘキシルアルミニウムジイソプロポキシド、n−ヘキシルアルミニウムジn−ブトキシド、n−ヘキシルアルミニウムジイソブトキシド等が挙げられ、中でもエチルアルミニウムジエトキシドが好ましい。
【0034】
ジアルキルアルミニウムハイドライドの具体例としては、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジn−ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジn−ヘキシルアルミニウムハイドライド等が挙げられ、中でもジエチルアルミニウムハイドライドが好ましい。
【0035】
3価有機クロム化合物を無機酸化物固体に担持した触媒に有機アルミニウムを反応させる方法としては、
(C)触媒に有機アルミニウムを担持する方法、および
(D)モノマーの存在または不存在下重合時に有機アルミニウムを接触させる方法が好ましい。担持または重合時に接触させる有機アルミニウムの量は、アルミニウム原子とクロム原子のモル比が1〜1000、好ましくは5〜300となる量が用いられる。
【0036】
有機アルミニウムを担持する場合には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどのような不活性炭化水素中で行なう。触媒あたりの溶媒量は任意の量を用いることができる。担持反応温度は−78℃〜溶媒の沸点、好ましくは−20℃〜60℃、また反応時間は10分〜48時間、好ましくは30分〜24時間である。担持反応後、溶媒を減圧下で除去する方法、またはろ過により分離する方法によって流動性の良いさらさらの粉末とした後に重合に用いることができるし、溶媒を除去せずにそのまま重合反応器に導入することもできる。
【0037】
本発明の触媒を用いて本発明のエチレン系重合体の製造を実施するには、スラリー重合、溶液重合のような液相重合法、あるいは気相重合法などで行なうことができる。液相重合法は通常炭化水素溶媒中で実施されるが、炭化水素溶媒としてはプロパン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素の単独または混合物が用いられる。気相重合法は不活性ガス共存下にて、流動床、撹拌床等の通常知られる重合法を採用でき、場合により重合熱除去の媒体を共存させる、いわゆるコンデンシングモードを採用することもできる。液相または気相重合における重合温度は、一般には0〜300℃であり、実用的には20〜200℃である。反応器中の触媒濃度およびエチレン圧は重合を進行させるのに十分なものであれば任意の濃度および圧力でよい。また、分子量調節のために重合系内に水素などを共存させることができる。
【0038】
さらに、必要に応じて、エチレンと共に、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどのα−オレフィンを単独または2種類以上反応器中に導入して共重合させることもできる。また、反応器を一つ用いてエチレン系重合体を製造する単段重合だけでなく、分子量分布を広げるために少なくとも二つの反応器を連結させて多段重合を行うこともできる。
本発明の方法を実施することによって、経時劣化を起こさず、活性が高く、α−オレフィンと共重合する3価有機クロム化合物を用いる触媒において、エチレン系重合体を効率よく得ることができる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において採用した物性測定方法は以下の通りである。
a)ハイロードメルトフローレート
JIS K−7210(1996年版)の表1、条件7に従い、温度190℃、21.6Kg荷重における測定値をHLMFRとして示した。
b)密度
JIS K−7112(1996年版)に従い測定した。
【0040】
実施例1:
(1)ビス(トリメチルシリル)メチルリチウム(Li[CH(SiMe3)2])の合成
J. Chem. Soc. Dalton, 2268 (1976)に記載された方法に従って、ビス(トリメチルシリル)メチルリチウムを合成した。すなわち、予め窒素で置換した200mlのフラスコに、金属リチウム1.10g(158mmol)を入れ、ジエチルエーテル40mlを加えスラリーとした。氷浴で0〜3℃に冷却後、ビス(トリメチルシリル)クロロメタン(Aldrich社製)5.01g(5.6ml、25.7mmol)をジエチルエーテル10mlに希釈した溶液を滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温まで戻し、さらに還流下12時間撹拌した。その後副生した塩化リチウムの沈殿と過剰の金属リチウムをグラスフィルターでろ過して除去した。得られた溶液のアルキルリチウム濃度は0.533mol/リットルであった。
【0041】
(2)トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]クロム(III)(Cr[CH(SiMe3)2]3)の合成
J. Chem. Soc. Dalton, 734 (1977)に記載された方法に従って、トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]クロム(III)を合成した。すなわち、予め窒素で置換した100mlのフラスコに、無水三塩化クロム0.48g(3.03mmol)(ナカライテスク製)を入れ、ジエチルエーテル50mlを加えスラリーとした。ドライアイス−アルコール浴で冷却後、上記(1)で合成したビス(トリメチルシリル)メチルリチウムのジエチルエーテル溶液17.1ml(9.09mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温まで戻し2時間撹拌した。塩化リチウムの沈殿が生成した。その後、減圧下溶媒を完全に除去し、得られた濃緑色の塊にヘキサン80mlを加えこれを溶解し、遠心分離後上澄み溶液だけを集めた。溶液のクロム濃度を測定すると、0.0538mol/リットル、2.80g/リットルであった。
【0042】
(3)触媒の調製
予め窒素で置換した100mlのフラスコに、200℃で24時間焼成した富士シリシア社製CARiACT P−3グレードのシリカ(平均粒径35μm、比表面積720m2/g、細孔体積1.2cm3/g)3.0gを入れ、ヘキサン30mlを加えスラリーとした。上記(2)で得られた3価有機クロム化合物のヘキサン溶液2.15ml(クロム原子担持量=0.20%)を添加し、45℃で2時間撹拌した。引き続き、トリエチルアルミニウム(東ソー・アクゾ社製)の1.0mol/リットル−ヘキサン溶液0.58ml(アルミニウム原子/クロム原子モル比=5)を添加し、45℃で2時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、さらさらの自由流動性(free flowing)の触媒を得た。
【0043】
(4)重合
充分に窒素置換した1.5リットルのオートクレーブにイソブタン0.6リットルおよび(3)で得た触媒0.12gを仕込み、内温を100℃まで昇温した。ついでエチレンを圧入し、エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、1時間重合を行なった。ついで内容ガスを系外に放出して重合を終結させた。120gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間、エチレン1MPa当たりの重合活性は710g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は18,600g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0044】
実施例2
実施例1(3)において、トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]クロム(III)の担持反応終了後、減圧下で溶媒を除去し、自由流動性の固体成分を得た後、この固体成分0.12gをオートクレーブに投入し、重合時にトリエチルアルミニウムをアルミニウム原子/クロム原子モル比=5になるようにエチレンの加圧によって添加して重合を行なった。その結果、118gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は700g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は18,300g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0045】
実施例3
実施例1(3)において、200℃で24時間焼成した富士シリシア社製CARiACT P−3グレードのシリカの代わりに650℃で24時間焼成したCARiACT P−3グレードのシリカを用いた以外は、全て実施例1と同様に触媒を調製し、重合を行なった。その結果、104gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は620g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は16,100g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0046】
実施例4
実施例1(3)において、200℃で24時間焼成した富士シリシア社製CARiACT P−3グレードのシリカの代わりに、650℃で24時間焼成した富士シリシア社製CARiACT P−3グレードのシリカにトリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]クロム(III)を担持させ、その後、有機アルミニウムを添加せずに減圧下で溶媒を除去して触媒とした以外は全て実施例1と同様に触媒を調製し、重合を行なった。その結果、102gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は610g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は15,900g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0047】
実施例5
実施例1(3)において、トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]クロム(III)の溶液の添加量を5.37ml(クロム原子担持量=0.50%)、トリエチルアルミニウムの添加量を1.44ml(アルミニウム/クロムモル比=5)とした以外は、全て実施例1と同様に触媒を調製し、重合を行なった。その結果、183gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は1,090g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は11,300g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0048】
実施例6
実施例1(3)において、200℃で24時間焼成した富士シリシア社製CARiACT P−3グレードのシリカの代わりに、650℃で24時間焼成した富士シリシア社製CARiACT P−3グレードのシリカを用い、トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]クロム(III)の溶液の添加量を5.37ml(クロム原子担持量=0.50%)とし、クロム化合物の担持後に有機アルミニウムを添加せずに減圧下で溶媒を除去して触媒とした以外は、全て実施例1と同様に触媒を調製し、重合を行なった。その結果、195gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は1,160g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は12,100g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0049】
実施例7
実施例1の重合において、水素を0.5MPa導入した以外は、全て実施例1と同様に重合を行なった。その結果、102gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は610g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は15,800g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0050】
実施例8
実施例4の触媒を用い、水素を0.5MPa導入した以外は、全て実施例1と同様に重合を行なった。その結果、76gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は450g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は11,700g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0051】
実施例9:気相重合
Eur. Polym. J., Vol. 21, 245 (1985)に記載されているのと同様の、流動床型式の垂直振動型反応器(容量150cm3、直径50mm、振動速度420回/分(7Hz)、振動距離6cm)を作り気相重合を行なった。
予め窒素置換した反応器に、実施例1(3)で得た触媒100mgを窒素雰囲気下でアンプルに封入したものを入れ、97℃まで加熱してから0.5MPaのエチレンを圧入した後、振動を開始してアンプルを割ることによって重合を開始した。
反応器内のエチレンの圧力を維持するように、フレキシブル継手を経由して必要に応じてエチレンを送給した。100℃で1時間、重合反応を行なったのちエチレン送給を中止し、反応器を室温まで冷却せしめ、ガス抜きし、内容物を取り出した。その結果、33gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は660g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は17,200g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0052】
実施例10
実施例4の触媒を用い、実施例9と同様にして気相重合を行なった。その結果、28gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は560g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は14,600g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0053】
実施例11
実施例1の重合において、1−ヘキセン10mlをエチレンで加圧導入し、共重合を行なった以外は、全て実施例1と同様に重合を行なった。その結果、106gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は630g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は16,400g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0054】
実施例12
実施例1の重合において、実施例4の触媒を用い、1−ヘキセン10mlをエチレンで加圧導入し、共重合を行なった以外は、全て実施例1と同様に重合を行なった。その結果、81gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は480g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は12,500g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0055】
実施例13
実施例1の触媒2gを窒素雰囲気下で10mlのガラスアンプルに封入し、50℃の恒温槽中で2週間保管した。その後恒温槽から取り出し、全て実施例1と同様に重合を行った。その結果、118gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は700g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は18,300g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。実施例1の場合と同様の性能であり、経時劣化は起こさなかった。
【0056】
比較例1
特開昭47-17753号に記載の方法に従って、4−カンフィルリチウムと三塩化クロムのテトラヒドロフラン錯体との反応により、トリス(4−カンフィル)クロム(III)を合成した。トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]クロム(III)の代わりに、この化合物のヘキサン溶液をクロム原子担持量が1.0%になるようにシリカに添加した以外は全て実施例1と同様の条件で触媒を調製し重合を行なった。その結果、105gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は630g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は3,300g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0057】
比較例2
比較例1の触媒2gを窒素雰囲気下で10mlのガラスアンプルに封入し、50℃の恒温槽中で2週間保管した。その後恒温槽から取り出し、全て実施例1と同様に重合を行った。その結果、5.7gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は34g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は880g/mmol−Cr・hr・MPaであった。比較例1の場合に比べ、熱による経時劣化を起こして著しく活性が低下し、物性測定を行なえなかった。
【0058】
比較例3
特許第2759016号公報に記載の方法に従って、(η5−ペンタメチルシクロペンタジエニル)(ジメチル)(テトラヒドロフラン)クロム(III)Cp*CrMe2(THF)を合成した。トリス[ビス(トリメチルシリル)メチル]クロム(III)の代わりに、この化合物のヘキサン溶液をクロム原子担持量が0.5%になるようにシリカに添加した以外は全て実施例1と同様の条件で触媒を調製し重合を行なった。その結果、12gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は71g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は740g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。
【0059】
比較例4
比較例3の触媒を用い、1−ヘキセン10mlをエチレンで加圧導入して共重合を行った以外は全て実施例1と同様の条件で重合を行なった。その結果、13gのポリエチレンが得られた。触媒1g当たり、重合時間1時間当たりの重合活性は77g/g・hr・MPaであった。また、クロム原子1ミリモル当たり、重合時間1時間当たり、エチレン1MPa当たりの重合活性は800g/mmol−Cr・hr・MPaであった。物性測定結果を表1に示す。比較例3の場合と比べ、密度がほとんど変化しておらず、共重合性が著しく低いことがわかる。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
従来の3価有機クロム化合物を用いる触媒に比べて、本発明の触媒は経時劣化を起こさず、活性が著しく向上し、α−オレフィンも共重合することにより、エチレン系重合体を効率よく工業的に有利に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のエチレン系重合体製造用触媒調製のフローチャート図である。
Claims (8)
- 一般式(4)で示される3価有機クロム化合物を無機酸化物固体に担持して得られる請求項1記載のエチレン系重合体製造用触媒。
- 一般式(4)で示される3価有機クロム化合物を無機酸化物固体に対し、クロム原子として0.01〜10%担持させて得られる請求項2記載のエチレン系重合体製造用触媒。
- 一般式(4)で示される3価有機クロム化合物を無機酸化物固体に担持後、得られた固体触媒成分を一般式(2)で示される有機アルミニウムと反応させて得られる請求項4記載のエチレン系重合体製造用触媒。
- 一般式(4)で示される3価有機クロム化合物を無機酸化物固体に対し、クロム原子として0.01〜10%担持させ、得られた固体触媒成分を一般式(2)で示される有機アルミニウムとアルミニウム原子/クロム原子のモル比が1〜1000の割合になるように反応させて得られる請求項5記載のエチレン系重合体製造用触媒。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載のエチレン系重合体製造用触媒を用いることを特徴とするエチレン系重合体の製造方法。
- 請求項4ないし6のいずれかに記載のエチレン系重合体製造用触媒を用いることを特徴とするエチレン系重合体の製造方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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