JP4216247B2 - 光ファイバの処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光ファイバの処理方法に関するものである。
光ファイバをケーブル化してなる光ファイバケーブルを敷設した後、光ファイバの波長1400nm帯における損失が増大して、光ファイバの伝送特性が劣化することがある。
このような光ファイバの伝送特性の劣化を抑制するために、あらかじめ光ファイバを水素または重水素に曝す光ファイバの処理方法が適用されている。
しかしながら、光ファイバを水素に曝す処理方法(水素処理)を行うと、光ファイバの波長1383nm付近における初期損失が増大するという問題がある。一方、光ファイバを重水素に曝す処理方法(重水素処理)を行うと、このような問題は生じない。このようなことから、目的に応じて水素処理または重水素処理を選択して施す必要がある。
光ファイバに重水素処理を施す場合、密閉可能な処理容器内に重水素ガスを含有するガス(以下、「重水素含有ガス」と略す。)を流し込み続けて、処理容器内の雰囲気を重水素含有ガスで置換する方法(例えば、特許文献1参照。)や、処理容器内を減圧してから処理容器内に重水素含有ガスを充填し、処理容器内の雰囲気を重水素含有ガスで置換する方法(例えば、特許文献2参照。)などが提案されている。後者の方法では、重水素含有ガスの回収を可能としている。
また、光ファイバに水素処理を施すための方法としては、IEC60794−3に規定されている水素試験方法が挙げられる。その水素試験方法は、光ファイバを、波長1240nmにおける損失が0.03dB/km以上に増加するまで、室温で水素ガスを1%含む雰囲気、もしくは水素ガス100%の雰囲気に曝す方法である。しかしながら、この水素試験方法では、具体的な処理方法(処理条件)については規定されていない。
光ファイバに重水素処理を施す場合、処理容器内に重水素含有ガスを流し込み続ける方法を用いると、処理容器内が所定の重水素濃度に達するまで重水素含有ガスを捨てながら、処理を施すこととなる。そのため、重水素処理を施す毎に、処理容器内の重水素濃度を一定とすることができる。
しかしながら、製造効率を向上するためには、一度に条長の長い光ファイバに処理を施さなければならず、それに伴って、光ファイバに処理を施すための処理容器の容積が大きくなる。処理容器の容積が大きくなるに従って、処理容器内の雰囲気を置換するために必要とされる重水素含有ガスの量が増大し、費用も増大してしまう。
一方、処理容器内を減圧してから処理容器内に重水素含有ガスを充填する方法を用いると、処理容器内を完全に真空にすることは難しいため、処理の度に処理容器内に残留した空気が重水素含有ガスと混合し、処理回数を重ねるに従って、回収される重水素含有ガス中の重水素濃度が低くなる。
重水素含有ガス中の重水素濃度が低くなると、光ファイバ内に重水素が十分に浸透するまでに長時間を要するだけでなく、重水素処理が不十分になるおそれがある。そのため、重水素処理の不良を防止するためには、光ファイバに重水素処理を施す際に、重水素濃度の管理が必要となる。
そこで、重水素濃度を測定する手段としては、例えば、可燃性ガス検知器、オプティカルガス濃度計などが挙げられる。空気ベースの重水素含有ガスを用いた場合、このような測定器により重水素濃度を測定することが可能である。なお、ここでは、ガスの組成比が大気と同様のものを空気という。
しかしながら、重水素含有ガスに空気が混入して、ガスの組成比が大気とは異なってしまうと、上記のような測定器により、正確に重水素濃度を測定することができなくなる。可燃性ガス検知器のような燃焼式濃度計では、重水素を燃焼させて、そのときに発生する熱量により重水素濃度を算出するため、ベースとなるガスが空気以外の窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスである場合には、燃焼不良となり正確に測定できない。
また、オプティカルガス濃度計のような光学式濃度計では、重水素含有ガスの比屈折率より重水素濃度を算出するため、ベースとなるガスの組成比が変動する場合には、正確に重水素濃度を測定することができない。
また、重水素含有ガスに含まれる重水素ガスの分子を分析することにより、重水素濃度を測定することは可能であるが、測定に時間がかかるために、製造コストが嵩むので好ましくない。
特開2003−137580号公報 特開2004−226979号公報
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、重水素含有ガスのベースとなるガスが空気以外のガスであっても、また、ベースとなるガスの組成比が変動しても重水素濃度を正確に管理することができる光ファイバの処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、光ファイバを収容した処理容器内に重水素含有ガスを導入して、前記光ファイバを重水素含有ガス雰囲気に曝す重水素処理工程を備えた光ファイバの処理方法であって、前記重水素処理工程において、前記処理容器内の重水素含有ガス中の重水素濃度の初期値Aと、前記処理容器の周囲の雰囲気中の酸素の濃度Bと、前記処理容器内の重水素含有ガス中の酸素の濃度Cとから、以下の式:(重水素処理中の処理容器内の重水素濃度D)=(処理容器内の重水素含有ガス中の重水素濃度の初期値A)×(1−処理容器内の重水素含有ガス中の酸素の濃度C/処理容器の周囲の雰囲気(空気)中の酸素の濃度B)に基づいて、重水素処理中の前記処理容器内の重水素濃度Dを算出し、該算出された重水素濃度Dに基づいて、前記処理容器内の重水素濃度を制御する光ファイバの処理方法を提供する。
本発明は、光ファイバを収容した処理容器内に水素含有ガスを導入して、前記光ファイバを水素含有ガス雰囲気に曝す水素処理工程を備えた光ファイバの処理方法であって、前記水素処理工程において、前記処理容器内の水素含有ガス中の水素濃度の初期値αと、前記処理容器の周囲の雰囲気中の酸素の濃度βと、前記処理容器内の水素含有ガス中の酸素の濃度γとから、以下の式:(水素処理中の処理容器内の水素濃度δ)=(処理容器内の水素含有ガス中の水素濃度の初期値α)×(1−処理容器内の水素含有ガス中の酸素の濃度γ/処理容器の周囲の雰囲気(空気)中の酸素の濃度β)に基づいて、水素処理中の前記処理容器内の水素濃度δを算出し、該算出された水素濃度δに基づいて、前記処理容器内の水素濃度を制御する光ファイバの処理方法を提供する。
上記の光ファイバの処理方法において、前記処理容器を密閉容器とすることが好ましい。
上記の光ファイバの処理方法において、前記密閉容器内を減圧した後に前記処理を行うことが好ましい。
本発明の光ファイバの処理方法によれば、光ファイバの処理に用いられるガスの濃度管理が必要な場合であって、濃度測定器の能力などにより直接濃度測定ができない場合であっても、処理容器内の被測定ガスに混入した酸素濃度を測定し、その酸素濃度から容易に被測定ガスの濃度を算出することができる。したがって、被測定ガスの濃度を知るために、わざわざ被測定ガスを採取して、ガスクロマトグラフィなどの複雑な分析装置を用いて被測定ガスの分析を行う必要がなく、その場で被測定ガスの濃度を容易に知ることができる。ゆえに、本発明の光ファイバの処理方法は、コストおよび時間の節約をすることができるため、製造上好ましい処理方法である。
以下、本発明を実施した光ファイバの処理方法について詳細に説明する。
本発明の光ファイバの処理方法では、まず、光ファイバの製造過程において、光ファイバ内に生成する、非架橋酸素空孔(Non−Bridging Oxygen Hole Center、以下「NBOHC」と略すこともある。)を消滅させるために、光ファイバに重水素処理または水素処理を施す(第一の実施形態から第四の実施形態)。
図1は、本発明に係る光ファイバの処理方法で用いられる光ファイバの処理装置の一例を示す概略構成図である。
図1中、符号1は光ファイバの処理装置、1aは反応槽、1bはガス導入口、1cはガス導入用開閉バルブ、1dはガス供給用配管、1eは排気口、1fは排気用開閉バルブ、1gは排気用ポンプ、1hは差圧計、2は光ファイバ、3はボビンをそれぞれ示している。
この例の光ファイバの処理装置1は、反応槽1aを少なくとも備えている。この反応槽1aは、内部に光ファイバ2を収容できる密閉可能な容器であり、0.1kPa程度の真空状態や、常圧〜250kPa以下の加圧状態に耐えられる耐圧性や密封性を有するものである。
また、反応槽1aのガス導入口1bには、ガス導入用開閉バルブ1cを介してガス供給用配管1dが接続されており、このガス供給用配管1dから反応槽1a内に重水素含有ガスを供給できるようになっている。
ここで、重水素含有ガスとは、重水素ガス単独または重水素ガスを含有する混合ガスのことである。
反応槽1aの排気口1eには、排気用開閉バルブ1fを介して排気用ポンプ1gが接続されており、この排気用ポンプ1gによって反応槽1a内の重水素含有ガスなどを排気できるようになっている。
反応槽1aには、差圧計1hが設けられ、反応槽1a内の圧力が測定できるようになっている。この差圧計1hの測定値に基づいて、重水素含有ガスの供給量を調整し、反応槽1a内を所定の圧力の重水素含有ガス雰囲気としたり、あるいは、排気用ポンプ1gの始動、停止を行い、反応槽1a内を所定の圧力の減圧雰囲気とすることができるようになっている。
また、反応槽1aには、ヒータや冷却機構などの温度調整手段や、温度計、温度調整部を有し、内部温度を調整して反応槽1a内を40℃以下の恒温状態とすることができるようになっている。
なお、反応槽1aは、ガス導入用開閉バルブ1cの代わりに、ガス流量の調整が可能な電磁弁などが備えられ、反応槽1a内に供給する重水素含有ガスの供給量を調整できるものであってもよい。
次に、図1を参照して、本発明に係る光ファイバの処理方法の第一の実施形態(NBOHCの消滅)について説明する。
この実施形態の光ファイバの処理方法では、第一工程として、以下に示されたように光ファイバ2を減圧雰囲気に曝す。
まず、所定の長さの光ファイバ2を、ボビン3に巻き回す。
次いで、ボビン3に巻回された光ファイバ2を、処理装置1の反応槽1a内に静置する。
光ファイバ2としては、石英ガラスなどからなるものであれば特に限定されず、いかなるものでも適用可能である。
次いで、真空ポンプからなる排気用ポンプ1gを作動した後、排気用開閉バルブ1fを開き、反応槽1a内の空気を排気して反応槽1a内、すなわち、光ファイバ2を収容した空間内を減圧雰囲気とし、光ファイバ2を減圧雰囲気に曝す。
次いで、第二工程として、第一工程の後に、以下に示すように光ファイバ2を重水素含有ガス雰囲気に曝す。
次いで、排気用開閉バルブ1fを閉じた後、温度調整手段(図示略)や、温度計(図示略)、温度調整部(図示略)によって、反応槽1a内の温度を調整して40℃以下の恒温状態とする。
次いで、ガス導入用開閉バルブ1cを開き、重水素含有ガスを反応槽1a内の減圧雰囲気中に供給する。そして、反応槽1a内が所定の圧力となるまで重水素含有ガスを供給して、反応槽1aの光ファイバ2を収容した空間内を、重水素含有ガスで置換した後、ガス導入用開閉バルブ1cを閉じて反応槽1a内を密封し、この反応槽1a内において、光ファイバ2を、重水素含有ガス雰囲気に曝す。
以上により、光ファイバ2を、重水素含有ガス雰囲気に曝し、光ファイバ2をなす石英ガラス中のNBOHCと、重水素(D)を反応させて重水酸基(−OD)とすることにより、水酸基(−OH)の生成を阻止することができる。これにより、光ファイバ2の吸収波長帯域を、水酸基の吸収波長帯域である1.38μm帯から、重水酸基の吸収波長帯域である1.87μm帯、すなわち、光通信波長帯域以外に移動させることができる。ゆえに、石英ガラス中の水酸基に起因する吸収損失による光ファイバ2の伝送特性の劣化を抑制できる。
また、この実施形態の光ファイバの処理方法によれば、光ファイバ2が収容された反応槽1a内を減圧雰囲気とし、この状態の反応槽1a内に重水素含有ガスを供給することによって、反応槽1a内での重水素含有ガスの拡散速度が高められる。このため、光ファイバ2がボビン3に巻回された状態であっても、重水素含有ガスは、巻回された光ファイバ2間の微小な隙間を通り、速やかにボビン3の巻き芯近傍にまで行き渡ることになる。したがって、ボビン3の巻き芯近傍の光ファイバ2と重水素含有ガスとの接触確率を高めることができる。ゆえに、光ファイバ2の全長に渡って、十分に(均等に)重水素処理を施すことができる。
NBOHCは、容易に重水素と結合し、重水酸基となるため、NBOHCと重水素とが結合し重水酸基となる反応(NBOHCを消滅させる反応)は、NBOHCと重水素ガスとの接触確率によって大きく左右される。
この実施形態の光ファイバの処理方法では、上述のように、ボビン3の巻き芯近傍の光ファイバにおいて、光ファイバ2と重水素含有ガスとの接触確率を高めることができ、これによりNBOHCと重水素との反応速度を高めることができる。
したがって、ボビン3に巻回された光ファイバ2の全域に渡ってNBOHCと重水素との反応速度を高めることができることになり、低濃度の重水素含有ガスを用い、暴露時間を短時間としても、光ファイバの全域に渡ってNBOHCを消滅させることができる。
次に、実験結果をもとに、この実施形態の光ファイバの処理方法について詳細に説明する。
図2は、ボビン3に巻回された光ファイバ2のNBOHCの消滅遅延時間と、上記の第一工程における減圧雰囲気の圧力との関係を示す図である。
図2中、菱形の符号は、第二工程において、混合ガス雰囲気における重水素ガスの分圧を0.5kPaとした場合の結果を示し、丸印の符号は、混合ガス雰囲気における重水素ガスの分圧を1.0kPaとした場合の結果を示す。
ここで、NBOHCの消滅遅延時間とは、ボビン3に巻回された光ファイバ2において、最下層に位置する光ファイバ2のNBOHCの消滅時間と、最上層に位置する光ファイバ2のNBOHCの消滅時間との差、すなわち最上層に位置する光ファイバ2のNBOHCの消滅時間に対する最下層に位置する光ファイバ2のNBOHCの消滅時間の差である。
上記の最下層に位置する光ファイバ2とは、ボビン3に巻回された光ファイバ2のうち、ボビン3の巻き芯に直接巻かれた部分(光ファイバ2)である。一方、最上層に位置する光ファイバ2とは、ボビン3に巻回された光ファイバ2のうち、最表層に位置する部分(光ファイバ2)である。
NBOHCの消滅遅延時間が短いほど、最下層に位置する光ファイバ2のNBOHCの消滅時間が短く(NBOHCを消滅させる反応が早く)、最上層に位置する光ファイバ2のNBOHCの消滅時間に近い値であることになる。このため、ボビン3に巻回された光ファイバ2の全域に渡ってNBOHCを消滅させるために必要となる時間が短いことを意味する。
光ファイバ2のNBOHCの消滅時間とは、以下の方法により測定された結果である。
所定の時間、重水素ガスに曝された光ファイバ2について、NBOHCの吸収波長である0.63μmの光吸収量を測定し、この光吸収量からNBOHCの残存量を測定する。
そして、重水素含有ガスへの光ファイバ2の暴露時間に対するNBOHCの残存量の経時変化を求め、このNBOHCの残存量の経時変化をもとにして、NBOHCを完全に消滅させるために必要となる重水素含有ガスへの暴露時間を推定し、NBOHCの消滅時間とする。
上記の第一工程において、減圧雰囲気の圧力は、0.01kPa以上、75kPa以下が好ましく、0.01kPa以上、50kPa以下がより好ましい。減圧雰囲気の圧力を0.01kPa以上、75kPa以下とすることにより、重水素含有ガスの拡散速度を高めることができ、ボビン3などに巻回された光ファイバ2の全域に渡って重水素含有ガスを行き渡らせることができる。このため、ボビン3の巻き芯近傍の光ファイバ2において、NBOHCと重水素ガスとの接触確率を高めることができ、NBOHCと重水素ガスとの反応(NBOHCを消滅させる反応)を促進できる。
以上により、最下層に位置する光ファイバ2のNBOHCの消滅時間を短くすることができ、これにより、図2に示されたように、NBOHCの消滅遅延時間が大幅に低減することになる。
また、NBOHCと重水素ガスとの接触確率を高めることができるため、第二工程において低濃度の重水素含有ガスを用い、暴露時間を短時間としても、光ファイバ2の全域に渡ってNBOHCを消滅させることができる。
特に、減圧雰囲気の圧力が0.01kPa以上、50kPa以下の場合、NBOHCの消滅遅延時間が0時間となり、最下層に位置する光ファイバ2も、最上層に位置する光ファイバ2と同等の反応速度で、NBOHCと重水素とを反応させ、NBOHCを消滅させることができる。
また、上記の第二工程において、光ファイバ2を、重水素ガスの分圧が0.1kPa以上、5kPa以下の重水素含有ガスに曝すことが好ましい。これにより、ボビン3などに巻回された光ファイバ2の全域に渡って、NBOHCを消滅させるために十分な濃度の重水素ガスを行き渡らせることができる。
重水素ガスの分圧が0.1kPa未満の場合、重水素ガスの濃度が低く、光ファイバ2の全域に渡って、NBOHCを消滅させることが難しくなるため、好ましくない。また、重水素ガスの分圧が5kPaよりも高い場合、高濃度の重水素ガスを必要とし、製造コストが高くなるため、好ましくない。
また、第二工程において、光ファイバ2が収容された反応槽1aに重水素含有ガスを供給して反応槽1a内の圧力を10.1kPa以上、203kPa以下とし、この圧力範囲内の重水素含有ガスに光ファイバ2を曝すことが好ましい。
これにより、反応槽1a内での重水素含有ガスの拡散速度が高められ、重水素含有ガスを、速やかにボビン3の巻き芯近傍にまで行き渡らせることができ、NBOHCと重水素との反応速度を高めることができる。
光ファイバ2が曝される反応槽1a内の重水素含有ガスの圧力が、10.1kPa未満の場合、反応槽1a内での重水素含有ガスの拡散速度が低く、NBOHCを消滅させる反応に長時間を必要とするため好ましくない。
また、光ファイバ2が曝される反応槽1a内の重水素含有ガスの圧力が、203kPaよりも高い場合、高い耐圧性を有する反応槽1aを使用する必要があり、安全面などを考慮すると反応槽1aの取り扱いが困難となるため、好ましくない。
また、第二工程において、光ファイバ2を重水素含有ガスに曝す暴露時間は、1日以内であることが好ましい。これにより、ボビン3に巻回された光ファイバ2の全域に渡ってNBOHCを消滅させることができる。
また、第二工程において、反応槽1a内の温度を40℃以下の恒温に調整した状態で、光ファイバ2を重水素含有ガスに曝すことが好ましく、これにより、石英ガラス中のNBOHCと重水素との反応を活発に行うことができ、短時間でNBOHCを消滅させることができる。
反応槽1a内の温度が40℃よりも高い場合、光ファイバ2の表面被覆樹脂層が熱により変質してしまうため、好ましくない。
図3は、本発明に係る光ファイバの処理方法で用いられる光ファイバの処理装置の他の例を示す概略構成図である。
この例の光ファイバの処理装置4は、反応槽4aと、重水素貯蔵槽4bと、この反応槽4aと重水素貯蔵槽4bとを接続する配管4cとから概略構成されている。
反応槽4aは、その内部(第1空間)に光ファイバ2を収容できる密閉可能な容器であり、0.1kPa程度の真空状態や常圧〜250kPa以下の加圧状態に耐えられる耐圧性や密封性を有する。
重水素貯蔵槽4bは、その内部(第2空間)に重水素含有ガスを貯蔵できるタンクであり、反応槽4aと同様に0.1kPa程度の真空状態や常圧〜250kPa以下の加圧状態に耐えられる耐圧性や密封性を有する。
重水素貯蔵槽4bのガス導入口4dには、ガス導入用開閉バルブ4fを介してガス供給用配管4gが接続されており、このガス供給用配管4gから反応槽4a内に重水素含有ガスを供給できるようになっている。
反応槽4aと重水素貯蔵槽4bには、それぞれガス導入排出用開口部4h,4iが設けられている。これらガス導入排出用開口部4h,4iに、開閉バルブ4j,4kを介して配管4cが接続されており、この1本の配管4cによって反応槽4aと重水素貯蔵槽4bとが接続されている。
そして配管4cの内部(第3空間)を流路として、反応槽4aと重水素貯蔵槽4bのうちいずれか一方から他方に向かって重水素含有ガスを流すことができるようになっている。配管4cの経路途中には、切替バルブ4nが設けられ、この切替バルブ4nには、排気用配管4pとガス送気手段4qが接続されている。
切替バルブ4nとしては、少なくとも3方向に接続部を有し、1方向の接続部から他の2方向の接続部のいずれか一方への流路の切り替えが可能なものを適用できる。切替バルブ4nとしては、例えば、3方弁や3方向電磁バルブなどが挙げられる。
また、ガス送気手段4qとしては、スクロール型真空ポンプや、ダイアフラム型ドライ真空ポンプなどの加圧減圧両用型ポンプを適用できる。
以下、本明細書中、配管のうち、切替バルブ4nから反応槽4aのガス導入排出用開口部4hまでの経路を反応槽側配管4rと言い、切替バルブ4nから重水素貯蔵槽4bのガス導入排出開口部4iまでの経路を重水素貯蔵槽側配管4sと言う。
この実施形態では、切替バルブ4nによって、反応槽側配管4r、重水素貯蔵槽側配管4s、排気用配管4pのうち1経路から、他の2方向の経路のいずれか一方への経路の切り替えが可能であり、かつ、ガス送気手段4qによって、切り替えられた2つの経路のうち、一方の方向から他方の方向へガスを送気できるようになっている。
反応槽4aには、差圧計4tが設けられ、反応槽4a内の圧力が測定できるようになっており、この測定値に基づいてガス送気手段4qを用いて、重水素含有ガスの供給量を調整して反応槽4a内を所定の圧力の重水素含有ガス雰囲気としたり、反応槽4a内を所定の圧力の減圧雰囲気とすることができるようになっている。
また、反応槽4aには、ヒータや冷却機構などの温度調整手段(図示略)や、温度計(図示略)、温度調整部(図示略)が備えられ、内部温度を調整して反応槽4a内を40℃以下の恒温状態とすることができるようになっている。
次に、図3を参照して、本発明に係る光ファイバの処理方法の第二の実施形態について説明する。
この実施形態の光ファイバの処理方法では、第一工程として、以下に示されたように光ファイバ2を減圧雰囲気に曝す。
まず、反応槽4a内に、ボビン3に巻回された光ファイバ2を静置する。反応槽4a内の温度を調整して40℃以下とする。そして、反応槽側配管4rと排気用配管4pとが接続された状態となるように切替バルブ4nを切り替える。
次いで、反応槽側配管4rの開閉バルブ4jを開き、ガス送気手段4qによって、反応槽4a内の空気を排気用配管4pへ排気し、反応槽4a内、すなわち光ファイバ2を収容した第1空間内を減圧雰囲気とし、光ファイバ2を減圧雰囲気に曝す。
次いで、第二工程として、第一工程の後に、以下に示されたように光ファイバ2を重水素含有ガス雰囲気に曝す。
あらかじめ重水素貯蔵槽4b内に、所定の濃度の重水素ガスを含む重水素含有ガスが所定の圧力で充填された状態としておく。
次いで、反応槽側配管4rの開閉バルブ4jを閉じた後、反応槽側配管4rと重水素貯蔵槽側配管4sとが接続された状態となるように切替バルブ4nを切り替える。そして、反応槽側配管4rの開閉バルブ4jと重水素貯蔵槽側配管4sの開閉バルブ4kを開け、配管4cを介して反応槽4aと重水素貯蔵槽4bとが繋がった状態とする。
このようにすることにより、重水素貯蔵槽4bの重水素含有ガスは、配管4cの内部(第3空間)を流路として、減圧雰囲気の反応槽4aに流れる。
次いで、反応槽4a内が所定の圧力となったら、反応槽側配管4rの開閉バルブ4jと重水素貯蔵槽側配管4sの開閉バルブ4kを閉じて反応槽4a内を密封し、この反応槽4a内において、光ファイバ2を重水素含有ガス雰囲気に曝す。
以上により、光ファイバ2を重水素含有ガスに曝し、石英ガラス中のNBOHCと重水素とを結合させて重水酸基とし、NBOHCを消滅させることができる。
次いで、反応槽側配管4rと重水素貯蔵槽側配管4sとが接続された状態となるように切替バルブ4nを切り替える。開閉バルブ4j,4kを開け、反応槽4aと重水素貯蔵槽4bとが配管4cを介して繋がった状態とし、ガス送気手段4qを作動させ、反応槽4a内の重水素含有ガスを重水素貯蔵槽4bに送り出し、反応槽4a内を真空状態とする。
次いで、反応槽側配管4rの開閉バルブ4jを閉じ、反応槽4a内に大気を導入後、この反応槽4a内から光ファイバ2を取り出す。
以上により、一度使用した重水素含有ガスを排気せずに、重水素貯蔵槽4bに貯めておき、別の光ファイバ2の重水素処理に利用できる。
図4は、光ファイバの処理装置4を用いて、重水素含有ガスを繰り返し使用して光ファイバ2を処理したときの重水素含有ガス中の重水素ガスの分圧の変化を示す図である。
光ファイバの処理装置4を用いた場合、30回繰り返し重水素処理を行っても、重水素の分圧の維持率は70%以上であり、十分重水素処理を行える濃度であった。
このように、重水素含有ガスを繰り返し使用でき、この重水素ガスに係るランニングコストを大幅に低減でき、安価に重水素処理が可能となる。
次に、図1を参照して、本発明に係る光ファイバの処理方法の第三の実施形態について説明する。
この実施形態の光ファイバの処理方法は、重水素処理によりNBOHCを消滅させた光ファイバに、敷設後の損失の増大を抑制するために施されるものである。
この実施形態の光ファイバの処理方法では、まず、所定の長さの光ファイバ2を、ボビン3に巻き回す。
次いで、ボビン3に巻回された光ファイバ2を、処理装置1の反応槽1a内に静置する。
次いで、排気用開閉バルブ1fを閉じた後、温度調整手段(図示略)や、温度計(図示略)、温度調整部(図示略)によって、反応槽1a内の温度を調整して40℃以下の恒温状態とする。
次いで、ガス導入用開閉バルブ1cを開き、重水素含有ガスを反応槽1a内に供給し、この反応槽1a内の重水素含有ガス雰囲気中の重水素濃度が一定となるように制御しながら、反応槽1a内において、光ファイバ2を、重水素含有ガス雰囲気に曝す。
この実施形態では、上記の重水素処理工程において、まず、反応槽1aの周囲の雰囲気(空気)中の酸素の濃度Bを測定する。次に、反応槽1a内の重水素含有ガス中の酸素の濃度Cを測定する。
これらの測定結果と、反応槽(処理容器)1a内の重水素含有ガス中の重水素濃度の初期値Aとから、重水素処理中の反応槽1a内の重水素濃度Dを、下記の式(1)によって算出する。算出された重水素濃度Dに基づいて、反応槽1a内の重水素濃度を、反応槽1a内の光ファイバ2の重水素処理を十分に行うために必要とされる濃度に保つ。すなわち、反応槽1a内の重水素濃度が重水素処理に必要とされる濃度に達していない場合には、ガス導入用開閉バルブ1cを開き、重水素含有ガスを反応槽1a内に供給する。一方、反応槽1a内の重水素濃度が重水素処理に必要とされる濃度を超えている場合には、ガス導入用開閉バルブ1cを閉じて、重水素含有ガスを反応槽1a内に供給するのを停止する。
(重水素処理中の処理容器内の重水素濃度D)=(処理容器内の重水素含有ガス中の重水素濃度の初期値A)×(1−処理容器内の重水素含有ガス中の酸素の濃度C/処理容器の周囲の雰囲気(空気)中の酸素の濃度B) (1)
反応槽1aの周囲の雰囲気(空気)中の酸素の濃度B、および、反応槽1a内の重水素含有ガス中の酸素の濃度Cを測定するためには、酸素濃度計が用いられる。酸素濃度計としては、例えば、TORAY社製LC−750や、YOKOGAWA社酸素濃度計OX61などが用いられる。
このように、反応槽1aの周囲の雰囲気(空気)中の酸素の濃度B、および、反応槽1a内の重水素含有ガス中の酸素の濃度Cを測定することにより、反応槽1a内に混入した空気の量を算出し、その算出値から、現在の反応槽1a内の重水素濃度を算出することができる。重水素処理のように、光ファイバの処理に用いられるガスが可燃性ガス(重水素)であると、爆発などの危険性があるため、従来の燃焼式濃度計や光学式濃度計を用いた重水素濃度の測定は管理上好ましくない。そこで、ベースとなるガスとして重水素含有ガスを使用する場合、反応槽1a内の重水素含有ガスに混入した空気、特に酸素の濃度を測定することにより、現在の反応槽1a内の重水素濃度を算出する。なぜならば、重水素濃度が低くなる原因は、重水素処理時に反応槽1a内の重水素含有ガスに混入する空気にあるからである。したがって、反応槽1a内の重水素含有ガスに混入した空気(酸素)の量(濃度)を知ることができれば、現在の重水素反応槽1a内の重水素濃度を知ることができる。
以上により、この実施形態の光ファイバの処理方法によれば、爆発などの危険性がなく、安全に、反応槽1a内のベースとなるガス(重水素含有ガス)の組成比が変動しても、重水素濃度を正確に管理することができる。
また、この実施形態の光ファイバの処理方法では、反応槽1aを密閉容器とすることが好ましい。反応槽1aを密閉容器とすれば、反応槽1a内において光ファイバ2の重水素処理を行う前に、反応槽1a内を減圧雰囲気とすることができる。
さらに、この実施形態の光ファイバの処理方法では、反応槽1a内を減圧雰囲気とした後、光ファイバ2の重水素処理を行うことが好ましい。
ここで、この実施形態において、反応槽1a内を減圧雰囲気とした後、光ファイバ2の重水素処理を行う方法について説明する。
光ファイバ2を、処理装置1の反応槽1a内に静置した後、真空ポンプからなる排気用ポンプ1gを作動した後、排気用開閉バルブ1fを開き、反応槽1a内の空気を排気して反応槽1a内、すなわち、光ファイバ2を収容した空間内を減圧雰囲気とし、光ファイバ2を減圧雰囲気に曝す。
次いで、反応槽1a内の温度を調整して40℃以下の恒温状態とした後、ガス導入用開閉バルブ1cを開き、重水素含有ガスを反応槽1a内の減圧雰囲気中に供給する。そして、反応槽1a内が所定の圧力となるまで重水素含有ガスを供給して、反応槽1aの光ファイバ2を収容した空間内を、重水素含有ガスで置換した後、ガス導入用開閉バルブ1cを閉じて反応槽1a内を密封し、この反応槽1a内において、光ファイバ2を、重水素含有ガス雰囲気に曝す。
このように、光ファイバ2が収容された反応槽1a内を減圧雰囲気とし、この状態の反応槽1a内に重水素含有ガスを供給することによって、反応槽1a内での重水素含有ガスの拡散速度が高められる。このため、光ファイバ2がボビン3に巻回された状態であっても、重水素含有ガスは、巻回された光ファイバ2間の微小な隙間を通り、速やかにボビン3の巻き芯近傍にまで行き渡ることになる。したがって、ボビン3の巻き芯近傍の光ファイバ2と重水素含有ガスとの接触確率を高めることができる。ゆえに、光ファイバ2の全長に渡って、十分に(均等に)重水素処理を施すことができる。
また、この光ファイバの処理方法の第三の実施形態は、被測定ガスが重水素以外の水素、窒素をはじめとする酸素以外の気体についても適用することができる。
次に、図1を参照して、本発明に係る光ファイバの処理方法の第四の実施形態について説明する。
この実施形態の光ファイバの処理方法は、水素処理によりNBOHCを消滅させた光ファイバに、敷設後の損失の増大を抑制するために施されるものである。
この実施形態の光ファイバの処理方法では、まず、所定の長さの光ファイバ2を、ボビン3に巻き回す。
次いで、ボビン3に巻回された光ファイバ2を、処理装置1の反応槽1a内に静置する。
次いで、排気用開閉バルブ1fを閉じた後、温度調整手段(図示略)や、温度計(図示略)、温度調整部(図示略)によって、反応槽1a内の温度を調整して40℃以下の恒温状態とする。
次いで、ガス導入用開閉バルブ1cを開き、水素含有ガスを反応槽1a内に供給し、この反応槽1a内の水素含有ガス雰囲気中の水素濃度が一定となるように制御しながら、反応槽1a内において、光ファイバ2を、水素含有ガス雰囲気に曝す。
この実施形態では、上記の水素処理工程において、まず、反応槽1aの周囲の雰囲気(空気)中の酸素の濃度βを測定する。次に、反応槽1a内の水素含有ガス中の酸素の濃度γを測定する。
これらの測定結果と、反応槽(処理容器)1a内の水素含有ガス中の水素濃度の初期値αとから、水素処理中の反応槽1a内の水素濃度δを、下記の式(2)によって算出する。算出された水素濃度δに基づいて、反応槽1a内の水素濃度を、反応槽1a内の光ファイバ2の水素処理を十分に行うために必要とされる濃度に保つ。すなわち、反応槽1a内の水素濃度が水素処理に必要とされる濃度に達していない場合には、ガス導入用開閉バルブ1cを開き、水素含有ガスを反応槽1a内に供給する。一方、反応槽1a内の水素濃度が水素処理に必要とされる濃度を超えている場合には、ガス導入用開閉バルブ1cを閉じて、水素含有ガスを反応槽1a内に供給するのを停止する。
(水素処理中の処理容器内の水素濃度δ)=(処理容器内の水素含有ガス中の水素濃度の初期値α)×(1−処理容器内の水素含有ガス中の酸素の濃度γ/処理容器の周囲の雰囲気(空気)中の酸素の濃度β) (2)
反応槽1aの周囲の雰囲気(空気)中の酸素の濃度β、および、反応槽1a内の水素含有ガス中の酸素の濃度γを測定するためには、酸素濃度計が用いられる。酸素濃度計としては、例えば、TORAY社製LC−750や、YOKOGAWA社酸素濃度計OX61などが用いられる。
このように、反応槽1aの周囲の雰囲気(空気)中の酸素の濃度β、および、反応槽1a内の水素含有ガス中の酸素の濃度γを測定することにより、反応槽1a内に混入した空気の量を算出し、その算出値から、現在の反応槽1a内の水素濃度を算出することができる。水素処理のように、光ファイバの処理に用いられるガスが可燃性ガス(水素)であると、爆発などの危険性があるため、従来の燃焼式濃度計や光学式濃度計を用いた水素濃度の測定は管理上好ましくない。そこで、ベースとなるガスとして水素含有ガスを使用する場合、反応槽1a内の水素含有ガスに混入した空気、特に酸素の濃度を測定することにより、現在の反応槽1a内の水素濃度を算出する。なぜならば、水素濃度が低くなる原因は、水素処理時に反応槽1a内の水素含有ガスに混入する空気にあるからである。したがって、反応槽1a内の水素含有ガスに混入した空気(酸素)の量(濃度)を知ることができれば、現在の水素反応槽1a内の水素濃度を知ることができる。
以上により、この実施形態の光ファイバの処理方法によれば、爆発などの危険性がなく、安全に、反応槽1a内のベースとなるガス(水素含有ガス)の組成比が変動しても、水素濃度を正確に管理することができる。
また、この実施形態の光ファイバの処理方法では、反応槽1aを密閉容器とすることが好ましい。反応槽1aを密閉容器とすれば、反応槽1a内において光ファイバ2の水素処理を行う前に、反応槽1a内を減圧雰囲気とすることができる。
さらに、この実施形態の光ファイバの処理方法では、反応槽1a内を減圧雰囲気とした後、光ファイバ2の水素処理を行うことが好ましい。
ここで、この実施形態において、反応槽1a内を減圧雰囲気とした後、光ファイバ2の水素処理を行う方法について説明する。
光ファイバ2を、処理装置1の反応槽1a内に静置した後、真空ポンプからなる排気用ポンプ1gを作動した後、排気用開閉バルブ1fを開き、反応槽1a内の空気を排気して反応槽1a内、すなわち、光ファイバ2を収容した空間内を減圧雰囲気とし、光ファイバ2を減圧雰囲気に曝す。
次いで、反応槽1a内の温度を調整して40℃以下の恒温状態とした後、ガス導入用開閉バルブ1cを開き、水素含有ガスを反応槽1a内の減圧雰囲気中に供給する。そして、反応槽1a内が所定の圧力となるまで水素含有ガスを供給して、反応槽1aの光ファイバ2を収容した空間内を、水素含有ガスで置換した後、ガス導入用開閉バルブ1cを閉じて反応槽1a内を密封し、この反応槽1a内において、光ファイバ2を、水素含有ガス雰囲気に曝す。
このように、光ファイバ2が収容された反応槽1a内を減圧雰囲気とし、この状態の反応槽1a内に水素含有ガスを供給することによって、反応槽1a内での水素含有ガスの拡散速度が高められる。このため、光ファイバ2がボビン3に巻回された状態であっても、水素含有ガスは、巻回された光ファイバ2間の微小な隙間を通り、速やかにボビン3の巻き芯近傍にまで行き渡ることになる。したがって、ボビン3の巻き芯近傍の光ファイバ2と水素含有ガスとの接触確率を高めることができる。ゆえに、光ファイバ2の全長に渡って、十分に(均等に)水素処理を施すことができる。
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
(実験例)
図1に示した光ファイバの処理装置と同様の装置を用いて、光ファイバに重水素処理を施した。
光ファイバの重水素処理を繰り返し、その時の反応槽内の重水素濃度をオプティカル濃度計(理研計器社製、FI−21)により測定し、反応槽内の酸素濃度を酸素濃度計(TORAY社製、LC−750H)により測定し、反応槽内の重水素のガスクロマトグラフィ分析を行った。
なお、重水素ガスは、ベースとなるガスとして、窒素ガスを用いた。
測定結果を図5に示す。
なお、図5において、重水素濃度(計算値)とは、本実験例において測定した反応槽内の酸素濃度と、上記の式(1)とから算出した値である。また、重水素濃度(分析値)とは、本実験例においてガスクロマトグラフィ分析により得られた値である。さらに、酸素濃度(測定値)とは、本実験例において測定した反応槽内の酸素濃度の値である。
図5の結果から、酸素濃度計により測定した反応槽内の酸素濃度の値から、上記の式(1)を用いて、反応槽内の重水素濃度を求めることによって容易に、ガスクロマトグラフィ分析により反応槽内の重水素を分析した場合と同様に、重水素濃度を測定することができることが確認された。
本発明の光ファイバの処理方法は、重水素、水素以外のその他の処理ガスを用いるときにも適用できる。
光ファイバの処理装置の一例を示す概略構成図である。 非架橋酸素中心の消滅遅延時間と、第一工程における減圧雰囲気の圧力との関係を示す図である。 本発明の光ファイバ処理装置の一例を示す概略構成図である。 重水素含有ガスを繰り返し使用して光ファイバを重水素処理したときの重水素含有ガス中の重水素ガスの分圧の維持率と処理回数との関係を示す図である。 本発明の実験例における重水素濃度の測定結果を示すグラブである。
符号の説明
1,4・・・光ファイバの処理装置、1a,4a・・・反応槽、1b・・・ガス導入口、1c・・・ガス導入用開閉バルブ、1d・・・ガス供給用配管、1e・・・排気口、1f・・・排気用開閉バルブ、1g・・・排気用ポンプ、1h,4t・・・差圧計、2・・・光ファイバ、3・・・ボビン、4b・・・重水素貯蔵槽、4c・・・配管、4d・・・ガス導入口、4f・・・ガス導入用開閉バルブ、4g・・・ガス供給用配管、4h,4i・・・ガス導入排出用開口部、4j,4k・・・開閉バルブ、4n・・・切替バルブ、4p・・・排気用配管、4q・・・ガス送気手段、4r・・・反応槽側配管、4s・・・重水素貯蔵槽側配管。

Claims (4)

  1. 光ファイバを収容した処理容器内に重水素含有ガスを導入して、前記光ファイバを重水素含有ガス雰囲気に曝す重水素処理工程を備えた光ファイバの処理方法であって、
    前記重水素処理工程において、前記処理容器内の重水素含有ガス中の重水素濃度の初期値Aと、前記処理容器の周囲の雰囲気中の酸素の濃度Bと、前記処理容器内の重水素含有ガス中の酸素の濃度Cとから、以下の式:(重水素処理中の処理容器内の重水素濃度D)=(処理容器内の重水素含有ガス中の重水素濃度の初期値A)×(1−処理容器内の重水素含有ガス中の酸素の濃度C/処理容器の周囲の雰囲気(空気)中の酸素の濃度B)に基づいて、重水素処理中の前記処理容器内の重水素濃度Dを算出し、該算出された重水素濃度Dに基づいて、前記処理容器内の重水素濃度を制御することを特徴とする光ファイバの処理方法。
  2. 光ファイバを収容した処理容器内に水素含有ガスを導入して、前記光ファイバを水素含有ガス雰囲気に曝す水素処理工程を備えた光ファイバの処理方法であって、
    前記水素処理工程において、前記処理容器内の水素含有ガス中の水素濃度の初期値αと、前記処理容器の周囲の雰囲気中の酸素の濃度βと、前記処理容器内の水素含有ガス中の酸素の濃度γとから、以下の式:(水素処理中の処理容器内の水素濃度δ)=(処理容器内の水素含有ガス中の水素濃度の初期値α)×(1−処理容器内の水素含有ガス中の酸素の濃度γ/処理容器の周囲の雰囲気(空気)中の酸素の濃度β)に基づいて、水素処理中の前記処理容器内の水素濃度δを算出し、該算出された水素濃度δに基づいて、前記処理容器内の水素濃度を制御することを特徴とする光ファイバの処理方法。
  3. 前記処理容器を密閉容器とすることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバの処理方法。
  4. 前記密閉容器内を減圧した後に前記処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の光ファイバの処理方法。
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