JP4210804B2 - 同期整流型dc−dcコンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は同期整流型DC−DCコンバータ、特に起動時等において出力電圧が不安定なときの同期整流回路の誤動作の防止を図った同期整流型DC−DCコンバータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
低出力電圧のDC−DCコンバータの出力整流回路には従来から一般にショットキ・バリア・ダイオード(SBD)等のダイオード整流器が使用されているが、ダイオード整流器の順方向電圧のために導通時の電力損失が大きくなり、効率低下の原因となっている。このため、出力整流回路に導通時の電気抵抗が低くかつ順方向電圧のないMOS-FET等のスイッチング素子を同期整流器として使用して、効率の改善を図った同期整流型DC−DCコンバータが提案されている。例えば、図4に示す同期整流型DC−DCコンバータは、バッテリ又はコンデンサ入力型整流回路等の直流電源1と、直流電源1の両端に直列接続されたトランス2の1次巻線2a及び主スイッチング素子としてのMOS-FET3と、トランス2の1次巻線2aと逆極性で磁気結合される2次巻線2bと直列に接続された同期整流用スイッチング素子としての同期整流用MOS-FET4と、トランス2の2次巻線2b及び同期整流用MOS-FET4の直列接続回路の両端に接続された平滑回路としての平滑コンデンサ5とを備えている。トランス2の2次巻線2bの上端と同期整流用MOS-FET4のドレイン端子との間には抵抗6、7及びダイオード8が直列に接続され、トランス2の2次巻線2bの上端と同期整流用MOS-FET4のソース端子との間には抵抗9、10及びダイオード11が直列に接続されている。また、抵抗7及びダイオード8の接続点と同期整流用MOS-FET4のソース端子との間には抵抗12が接続されている。抵抗6、7の接続点の電圧V1及び抵抗9、10の接続点の電圧V2はそれぞれコンパレータ13の反転入力端子及び非反転入力端子に入力されて比較され、コンパレータ13の比較出力端子からパルス信号V3が出力される。コンパレータ13の出力信号V3はドライブ回路14を介して同期整流用MOS-FET4のゲート端子に同期整流制御信号VG2として付与され、同期整流用MOS-FET4がオン・オフ動作される。即ち、抵抗6、7、9、10、12及びダイオード8、11及びコンパレータ13及びドライブ回路14は同期整流用MOS-FET4の同期整流制御回路15を構成する。
【0003】
また、平滑コンデンサ5の両端とMOS-FET3のゲート端子との間には、平滑コンデンサ5の両端に接続される負荷16に供給される直流出力電圧VOに応じてMOS-FET3のゲート端子に付与する制御パルス信号VG1のパルス幅を制御することによりMOS-FET3のオン・オフ期間を制御する定電圧制御回路17が設けられている。定電圧制御回路17は、出力電圧値を規定する基準電圧VR1を発生する基準電源18と、直流出力電圧VO及び基準電源18の基準電圧VR1を比較してその差分に応じた電圧を出力する誤差増幅器19と、誤差増幅器19の出力により駆動される発光部20a及び発光部20aの光出力に応じて自身に流れる電流を制御する受光部20bからなるフォトカプラ20と、MOS-FET3のゲート端子に付与する制御パルス信号VG1のパルス幅をフォトカプラ20の受光部20bに流れる電流に応じて制御するPWM変調回路21とから構成されている。PWM変調回路21は、フォトカプラ20の発光部20aの光出力が増加して受光部20bに流れる電流が増加し、受光部20bのコレクタ−エミッタ間の電圧が低下するときに制御パルス信号VG1のパルス幅を狭める動作をし、フォトカプラ20の発光部20aの光出力が減少して受光部20bに流れる電流が減少し、受光部20bのコレクタ−エミッタ間の電圧が上昇するときに制御パルス信号VG1のパルス幅を広げる動作をする。
【0004】
図4に示す同期整流型DC−DCコンバータの主回路の動作は次の通りである。定電圧制御回路17内のPWM変調回路21から制御パルス信号VG1が付与され、MOS-FET3がオン状態からオフ状態になると、MOS-FET3のドレイン−ソース間の電圧VDS1が直流電源1の直流入力電圧Eに略等しくなる。このとき、トランス2の2次巻線2bに逆起電力が発生して2次側回路に電流I0が流れ、電流I0の最大値からVS/LS(VS:2次巻線2bの電圧、LS:2次巻線2bのインダクタンス)の比率で徐々に減少して行く。2次側回路に流れる電流I0により、同期整流制御回路15内の抵抗6、7及び抵抗9、10のそれぞれの接続点に電圧V1、V2が発生し、これらの電圧V1、V2がコンパレータ13の反転入力端子及び非反転入力端子にそれぞれ入力される。このときの電圧V1、V2の関係はV1<V2であるので、コンパレータ13からドライブ回路14を介して同期整流用MOS-FET4のゲート端子に付与される同期整流制御信号VG 2は高レベルとなる。これにより、同期整流用MOS-FET4がオン状態となり、トランス2の2次巻線2bから同期整流用MOS-FET4及び平滑コンデンサ5を介して負荷16に直流出力が供給される。
2次側回路に流れる電流I0が略0となり、コンパレータ13の反転入力端子及び非反転入力端子にそれぞれ入力される電圧V1、V2の関係がV1>V2になると、コンパレータ13からドライブ回路14を介して同期整流用MOS-FET4のゲート端子に付与される同期整流制御信号VG2が高レベルから低レベルとなる。これにより、同期整流用MOS-FET4がオン状態からオフ状態となり、同期整流用MOS-FET4のオン期間中に充電された平滑コンデンサ5の電荷が負荷16に供給される。また、PWM変調回路21からMOS-FET3のゲート端子に付与される制御パルス信号VG1が低レベルから高レベルとなり、MOS-FET3がオフ状態からオン状態となると、MOS-FET3のドレイン−ソース間の電圧VDS1が略0Vとなり、直流電源1からトランス2にエネルギが蓄積される。
【0005】
また、図4に示す同期整流型DC−DCコンバータの定電圧制御動作は次の通りである。例えば、負荷16が軽負荷状態となり直流出力電圧VOが上昇すると、誤差増幅器19の出力電圧が増加してフォトカプラ20の発光部20aの光出力が増加する。これに従って、フォトカプラ20の受光部20bに流れる電流が増加し、受光部20bのコレクタ−エミッタ間の電圧が低下する。これにより、PWM変調回路21からMOS-FET3のゲート端子に付与される制御パルス信号VG1のパルス幅が狭くなり、MOS-FET3のオン期間が短くなるので直流出力電圧VOが低下する。前記とは逆に、負荷16が過負荷状態となり直流出力電圧VOが低下すると、誤差増幅器19の出力電圧が減少してフォトカプラ20の発光部20aの光出力が減少する。これに従って、フォトカプラ20の受光部20bに流れる電流が減少し、受光部20bのコレクタ−エミッタ間の電圧が上昇する。これにより、PWM変調回路21からMOS-FET3のゲート端子に付与される制御パルス信号VG1のパルス幅が広くなり、MOS-FET3のオン期間が長くなるので直流出力電圧VOが上昇する。以上の動作により、図4に示す同期整流型DC−DCコンバータの直流出力電圧VOが一定値に制御され、負荷16に定電圧の直流出力が供給される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図4に示す従来の同期整流型DC−DCコンバータでは、起動時等で負荷16に供給される直流出力電圧VOが十分に立ち上がらず不安定な場合、同期整流制御回路15内のコンパレータ13の反転入力端子及び非反転入力端子にそれぞれ入力される電圧V1、V2の差が小さく、コンパレータ13から出力される信号の電圧レベルが不安定になる。そのため、例えば図4に示すようなフライバック方式の同期整流型DC−DCコンバータでは、MOS-FET3がオン状態のときのトランス2へのエネルギ蓄積時間において、コンパレータ13から高レベルの電圧信号がドライブ回路14を介して同期整流用MOS-FET4のゲート端子に付与されて同期整流用MOS-FET4がオン状態となる等の誤動作を生じることがある。したがって、起動時等で出力電圧が安定しない場合において同期整流回路の誤動作が生じ、同期整流型DC−DCコンバータの信頼性が著しく低下する欠点があった。
【0007】
そこで、本発明は起動時等で出力電圧が安定しないときの同期整流回路の誤動作を防止できる同期整流型DC−DCコンバータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による同期整流型DC−DCコンバータは、直流電源(1)の両端に直列に接続されたトランス(2)の1次巻線(2a)及び主スイッチング素子(3)と、トランス(2)の2次巻線(2b)に直列に接続された同期整流用スイッチング素子(4)と、2次巻線(2b)及び同期整流用スイッチング素子(4)の直列回路の両端に接続された平滑回路(5)とを備える。平滑回路(5)の出力電圧に応じて主スイッチング素子(3)をオン・オフ制御することにより、トランス(2)の2次巻線(2b)から平滑回路(5)を介して負荷(16)に定電圧の直流出力を供給する。この同期整流型DC−DCコンバータは、基準電圧(VR2)を発生する基準電源(22)と、トランス(2)の2次側回路に流れる電流(I0)により同期整流用スイッチング素子(4)をオン・オフ制御する比較手段(13)と、同期整流用スイッチング素子(4)に並列に接続されて同期整流用スイッチング素子(4)のオフ時に整流動作を行う整流素子(4a)と、平滑回路(5)の出力電圧と基準電源(22)の基準電圧(VR2)とを比較して、平滑回路(5)の出力電圧が基準電源(22)の基準電圧(VR2)未満のとき、同期整流用スイッチング素子(4)をオフ状態とすると共に、平滑回路(5)の出力電圧が前記基準電源(22)の基準電圧(VR2)以上のとき、前記比較手段(13)により同期整流用スイッチング素子(4)をオン・オフ制御させるコンパレータ(23)とを備える。
起動時等に、平滑回路(5)の出力電圧が基準電源(22)の基準電圧(VR2)未満のとき、コンパレータ(23)は、同期整流用スイッチング素子(4)をオフ状態として、同期整流用スイッチング素子(4)に並列に接続される整流素子(4a)により整流動作が行われる。平滑回路(5)の出力電圧が基準電圧(VR2)以上になると、コンパレータ(23)は、比較手段(13)により同期整流用スイッチング素子(4)をオン・オフ制御させて、同期整流用スイッチング素子(4)による整流動作が行われる。このように、平滑回路(5)の出力電圧が基準電圧(VR2)未満となる起動時等の出力電圧が安定しないときに、同期整流用スイッチング素子(4)が動作しないため、同期整流回路の誤動作を防止できる。
本発明の実施形態では、整流素子(4a)は、同期整流用スイッチング素子(4)に内蔵されている。この場合は、同期整流用スイッチング素子(4)に並列に整流素子を外付けする必要がないので、部品点数を削減できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による同期整流型DC−DCコンバータの一実施形態を図1に基づいて説明する。但し、図1では図4に示す箇所と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の同期整流型DC−DCコンバータは、図1に示すように、基準値としての起動電圧値を規定する基準電圧VR2を発生する基準電源22と、平滑コンデンサ5から負荷16に供給される直流出力電圧VOを基準電源22の基準電圧VR2と比較して直流出力電圧VOが基準電圧VR2以上となるときに高レベル信号を出力するコンパレータ23と、コンパレータ13の比較出力信号及びコンパレータ23の比較出力信号の論理積信号をドライブ回路14に出力するANDゲート24とから成る比較手段としての比較回路25を図4に示す同期整流制御回路15内に追加し、図4に示す同期整流用MOS-FET4のドレイン−ソース端子間に並列に接続される整流素子として同期整流用MOS-FET4内に存在する寄生ダイオード4aを使用したものである。その他の回路構成は、図4に示す同期整流型DC−DCコンバータと略同一である。
【0010】
次に、図1に示す同期整流型DC−DCコンバータの起動時における主回路の動作について説明する。起動時において、平滑コンデンサ5から負荷16に供給される直流出力電圧VOは比較回路25内のコンパレータ23の非反転入力端子に入力され、これと同時に反転入力端子に入力される基準電源22の基準電圧VR2と比較される。このときの直流出力電圧VOは立ち上がりが不十分で安定せず、基準電源22の基準電圧VR2よりも低いため、コンパレータ23の比較出力端子から低レベル信号が出力される。コンパレータ23からの低レベル信号はコンパレータ13の比較出力信号V3と共にANDゲート24に入力され、これらの論理積信号がANDゲート24からドライブ回路14に出力される。このとき、ANDゲート24から出力される論理積信号は低レベルとなるから、同期整流制御回路15からドライブ回路14を介して同期整流用MOS-FET4のゲート端子に付与される同期整流制御信号VG2は低レベルとなる。したがって、同期整流用MOS-FET4はオフ状態であり、このときの2次側回路の整流動作は同期整流用MOS-FET4内の寄生ダイオード4aを介して行われる。
平滑コンデンサ5から負荷16に供給される直流出力電圧VOが十分に立ち上がり、基準電源22の基準電圧VR2以上になると、コンパレータ23の比較出力端子から高レベル信号が出力される。この高レベル信号はコンパレータ13の比較出力信号V3と共にANDゲート24に入力され、これらの論理積信号がANDゲート24からドライブ回路14に出力される。このとき、ANDゲート24から出力される論理積信号はコンパレータ13からの比較出力信号V3となるから、同期整流制御回路15からドライブ回路14を介して同期整流用MOS-FET4のゲート端子に付与される同期整流制御信号VG2は通常時と同様である。したがって、同期整流用MOS-FET4がオン・オフ制御され、通常時と略同様に2次側回路の整流動作が行われる。なお、図1に示す同期整流型DC−DCコンバータの通常時における主回路の動作並びに定電圧制御動作は先述の図4に示す場合と略同様であるので説明は省略する。
【0011】
本実施形態の同期整流型DC−DCコンバータでは、起動時において平滑コンデンサ5から負荷16に供給される直流出力電圧VOが基準電源22の基準電圧VR2より低いときは、比較回路25の出力信号により同期整流用MOS-FET4をオフ状態にして同期整流用MOS-FET4内の寄生ダイオード4aにより整流動作が行われる。平滑コンデンサ5から負荷16に供給される直流出力電圧VOが基準電源22の基準電圧VR2以上になると、比較回路25の出力信号により同期整流用MOS-FET4がオン・オフ制御され整流動作が行われる。したがって、起動時において平滑コンデンサ5から負荷16に供給される直流出力電圧VOが基準電源22の基準電圧VR2より低いときは同期整流用MOS-FET4が動作しないため、起動時等で直流出力電圧VOが安定しない場合における同期整流回路の誤動作を防止できる。また、本実施形態では、同期整流用MOS-FET4のドレイン−ソース端子間に並列に接続される整流素子として同期整流用MOS-FET4に内蔵された寄生ダイオード4aを使用したので、同期整流用MOS-FET4のドレイン−ソース端子間に整流ダイオード等を外付けする必要がなく、そのため部品点数を削減できる。
【0012】
図1に示す実施形態の同期整流型DC−DCコンバータは変更が可能である。例えば、図2に示す実施形態の同期整流型DC−DCコンバータは、図1に示す同期整流型DC−DCコンバータにおいて、コンパレータ23の比較出力端子を直列抵抗26を介してコンパレータ13の反転入力端子に接続し、コンパレータ23の非反転入力端子に基準電源22を接続し、コンパレータ23の反転入力端子と平滑コンデンサ5の一端とを接続してANDゲート24を省略したものである。即ち、図2に示す実施形態では、基準電源22及びコンパレータ23及び直列抵抗26により比較回路25が構成されている。その他の回路構成は、図1に示す同期整流型DC−DCコンバータと略同一である。
【0013】
図2に示す同期整流型DC−DCコンバータでは、起動時において平滑コンデンサ5から負荷16に供給される直流出力電圧VOが基準電源22の基準電圧VR2より低いときは、比較回路25内のコンパレータ23から高レベル信号が出力され、直列抵抗26を介してコンパレータ13の反転入力端子に入力される。このとき、コンパレータ13から出力される信号V3が低レベルとなるので、ドライブ回路14を介して同期整流用MOS-FET4のゲート端子に付与される同期整流制御信号VG2は低レベルとなる。このため、同期整流用MOS-FET4はオフ状態であり、このときの2次側回路の整流動作は同期整流用MOS-FET4内の寄生ダイオード4aを介して行われる。平滑コンデンサ5から負荷16に供給される直流出力電圧VOが基準電源22の基準電圧VR2以上になると、比較回路25内のコンパレータ23から低レベル信号が出力される。このとき、コンパレータ13の反転入力端子に抵抗6、7の接続点の電圧V1が入力されると共にコンパレータ23から直列抵抗26を介して低レベル信号が入力され、非反転入力端子に抵抗9、10の接続点の電圧V2が入力されるので、コンパレータ13の比較出力端子から通常時と同様の信号が出力される。このため、ドライブ回路14を介して同期整流用MOS-FET4のゲート端子に通常時と略同様の同期整流制御信号VG2が付与されて同期整流用MOS-FET4がオン・オフ制御され、通常時と略同様に2次側回路の整流動作が行われる。したがって、図2に示す実施形態の同期整流型DC−DCコンバータにおいても図1に示す実施形態の場合と略同様の効果が得られる。特に、図2に示す実施形態ではANDゲート等の論理回路が不要となるので、図1に示す実施形態に比較して部品コストを低減できる利点がある。
【0014】
また、図3に示す実施形態の同期整流型DC−DCコンバータは、図1に示す同期整流型DC−DCコンバータにおいて、コンパレータ23の比較出力端子を直列抵抗26を介してトランジスタ27のベース端子に接続し、トランジスタ27のエミッタ端子を同期整流用MOS-FET4のソース端子と平滑コンデンサ5との接続点に接続し、トランジスタ27のコレクタ端子をコンパレータ13の比較出力端子に接続し、コンパレータ23の非反転入力端子に基準電源22を接続し、コンパレータ23の反転入力端子と平滑コンデンサ5の一端とを接続してANDゲート24を省略したものである。即ち、図3に示す実施形態では、基準電源22及びコンパレータ23及び直列抵抗26及びトランジスタ27により比較回路25が構成されている。その他の回路構成は、図1に示す同期整流型DC−DCコンバータと略同一である。
【0015】
図3に示す同期整流型DC−DCコンバータでは、起動時において平滑コンデンサ5から負荷16に供給される直流出力電圧VOが基準電源22の基準電圧VR2より低いときは、コンパレータ23から直列抵抗26を介してトランジスタ27のベース端子に高レベル信号が出力される。このとき、トランジスタ27がオン状態となり、トランジスタ27のコレクタ端子からコンパレータ13の比較出力端子に出力される信号が低レベルとなるので、ドライブ回路14を介して同期整流用MOS-FET4のゲート端子に付与される同期整流制御信号VG2は低レベルとなる。このため、同期整流用MOS-FET4はオフ状態であり、このときの2次側回路の整流動作は同期整流用MOS-FET4内の寄生ダイオード4aを介して行われる。平滑コンデンサ5から負荷16に供給される直流出力電圧VOが基準電源22の基準電圧VR2以上になると、コンパレータ23から直列抵抗25を介してトランジスタ27のベース端子に低レベル信号が出力される。このとき、トランジスタ27がオフ状態となるので、トランジスタ27のコレクタ端子からは何も出力されない。このため、コンパレータ13の比較出力端子からドライブ回路14を介して同期整流用MOS-FET4のゲート端子に通常時と略同様の同期整流制御信号VG2が付与されて同期整流用MOS-FET4がオン・オフ制御され、通常時と略同様に2次側回路の整流動作が行われる。したがって、図3に示す実施形態の同期整流型DC−DCコンバータにおいても図1に示す実施形態の場合と略同様の効果が得られる。特に、図3に示す実施形態ではANDゲート等の論理回路が不要となるので、図2に示す実施形態と同様に図1に示す実施形態に比較して部品コストを低減できる利点がある。更に、図3に示す実施形態では比較回路25内のトランジスタ27のオン又はオフによりコンパレータ13の出力信号V3を低レベル信号又は通常時と略同様の信号の何れかに切り替えるので、図2に示す実施形態に比較して動作が確実である利点がある。
【0016】
本発明の実施態様は前記の各実施形態に限定されず、更に種々の変更が可能である。例えば、上記の各実施形態では同期整流用MOS-FET4のドレイン−ソース端子間に並列に接続される整流素子として同期整流用MOS-FET4に内蔵の寄生ダイオード4aを使用した形態を示したが、寄生ダイオード4aの効果が期待できない場合には同期整流用MOS-FET4のドレイン−ソース端子間に通常の整流用ダイオードを並列に接続すればよい。また、上記の各実施形態では同期整流型DC−DCコンバータの直流出力電圧VOの定電圧制御方式として、制御パルス信号の周波数を一定にしてパルス幅を制御するPWM(パルス幅変調)方式を採用したが、制御パルス信号のオン期間を一定にしてオフ期間を制御するPFM(パルス周波数変調)方式を採用することも可能である。この場合、上記の実施形態におけるPWM変調回路21の代わりに、フォトカプラ20の発光部20aの光出力が増加して受光部20bに流れる電流が増加し、受光部20bのコレクタ−エミッタ間の電圧が低下するときに制御パルス信号出力のオフ期間を広げる動作をし、フォトカプラ20の発光部20aの光出力が減少して受光部20bに流れる電流が減少し、受光部20bのコレクタ−エミッタ間の電圧が上昇するときに制御パルス信号出力のオフ期間を狭める動作をするPFM変調回路を使用すればよい。更に、上記の各実施形態ではフライバック型の同期整流型DC−DCコンバータに本発明を適用した形態を示したが、フォワード型の同期整流型DC−DCコンバータにも本発明を適用することが可能である。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、起動時等で出力電圧が安定しない場合には同期整流用スイッチング素子がオフ状態であるため、起動時等において発生する同期整流回路の誤動作を防止して同期整流型DC−DCコンバータの信頼性を向上することが可能となる。また、電流共振型DC−DCコンバータのようにスイッチング周波数を上昇させて出力電圧を抑制する方式のスイッチング電源に同期整流回路を使用すると、出力電圧の低下に伴ってスイッチング周波数が上昇し、同期整流回路を構成する同期整流用スイッチング素子のドライブ回路の損失が増加する。しかしながら、本発明の同期整流回路においては、出力電圧が基準値未満まで低下すると同期整流用スイッチング素子のオン・オフ動作が停止し、同期整流用スイッチング素子と並列に接続された整流素子により整流動作が行われるので、同期整流用スイッチング素子のドライブ回路の損失を抑制できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による同期整流型DC−DCコンバータの一実施形態を示す電気回路図
【図2】 図1の変更実施形態を示す電気回路図
【図3】 図1のもう一つの変更実施形態を示す電気回路図
【図4】 従来の同期整流型DC−DCコンバータを示す電気回路図
【符号の説明】
1...直流電源、2...トランス、2a...1次巻線、2b...2次巻線、3...MOS-FET(主スイッチング素子)、4...同期整流用MOS-FET(同期整流用スイッチング素子)、4a...寄生ダイオード(整流素子)、5...平滑コンデンサ(平滑回路)、6,7...抵抗、8...ダイオード、9,10...抵抗、11...ダイオード、12...抵抗、13...コンパレータ、14...ドライブ回路、15...同期整流制御回路、16...負荷、17...定電圧制御回路、18...基準電源、19...誤差増幅器、20...フォトカプラ、20a...発光部、20b...受光部、21...PWM変調回路、22...基準電源、23...コンパレータ、24...ANDゲート、25...比較回路(比較手段)、26...直列抵抗、27...トランジスタ
Claims (2)
- 直流電源の両端に直列に接続されたトランスの1次巻線及び主スイッチング素子と、前記トランスの2次巻線に直列に接続された同期整流用スイッチング素子と、前記2次巻線及び前記同期整流用スイッチング素子の直列回路の両端に接続された平滑回路とを備え、前記平滑回路の出力電圧に応じて前記主スイッチング素子をオン・オフ制御することにより、前記トランスの2次巻線から前記平滑回路を介して負荷に定電圧の直流出力を供給する同期整流型DC−DCコンバータにおいて、
基準電圧を発生する基準電源と、
前記トランスの2次側回路に流れる電流により前記同期整流用スイッチング素子をオン・オフ制御する比較手段と、
前記同期整流用スイッチング素子に並列に接続されて前記同期整流用スイッチング素子のオフ時に整流動作を行う整流素子と、
前記平滑回路の出力電圧と基準電源の基準電圧とを比較して、前記平滑回路の出力電圧が前記基準電源の基準電圧未満のとき、前記同期整流用スイッチング素子をオフ状態とすると共に、前記平滑回路の出力電圧が前記基準電源の基準電圧以上のとき、前記比較手段により前記同期整流用スイッチング素子をオン・オフ制御させるコンパレータとを備えることを特徴とする同期整流型DC−DCコンバータ。 - 前記整流素子は、前記同期整流用スイッチング素子に内蔵された請求項1に記載の同期整流型DC−DCコンバータ。
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JP14440998A JP4210804B2 (ja) | 1998-05-26 | 1998-05-26 | 同期整流型dc−dcコンバータ |
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JP14440998A JP4210804B2 (ja) | 1998-05-26 | 1998-05-26 | 同期整流型dc−dcコンバータ |
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