JP4210163B2 - 編み工程終了時に物品を取り外し且つ移送する装置を備えた、特に靴下類品の爪先部の閉じ処理を自動化するダブルシリンダ式靴下類丸編機及びその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、編み工程終了時に物品を取り外し且つ移送する装置を備えた、特に靴下類品(靴下、ストッキング等)の爪先部の閉じ処理を自動化するダブルシリンダ式靴下類丸編機及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
公知の通り、従来の製造方法においては、筒型の物品、特に靴下類品は一般に円形の製造機で製造され、軸方向の両端部を開口した状態でこの製造機から取り外されていた。従って完成品を得るためにはこれらの物品に続いて縫製又は環状縫合を施し、一端を閉じて靴下類品の爪先部を構成する必要があった。
【0003】
物品の軸方向端部を閉じる作業は時間と労力がかかり、また関連してコストもかかる余分な工程であるため、近年では物品の一端を製造機上で直接閉じるか、又は製造機から縫製若しくは環状縫合機械への物品の移送を自動化し、これにより物品の全体的な製造コストを低減する方法が考案され、改良されつつある。
【0004】
物品の軸方向端部を製造機上で直接閉じる方法は、物品を閉じるのに必要な時間に製造機が次の物品の製造を行うことができないため、編機の生産能力を大きく損なうという欠点がある。
【0005】
物品を製造機から環状縫合又は縫製の機械へ自動的に移送し、これにより製造機の外部において物品の軸方向端部を閉じる方法は、物品を製造機から取り外した後に製造機が製造を再開できるという利点があり、従って編機の生産能力を損なう度合いは比較的低い。しかしながら、製造機から物品を取り外す際に相当な時間を要し、その間は製造が中断されるため、この方法にあっても編機の生産性は大きく損なわれる。
【0006】
【特許文献1】
特願平8−27599号(特開平8−246301号公報)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の意図は、編機の生産能力を損なわないため、又は損なう度合いを最小限に抑えるために編機の生産を中断する時間を低減することのできる、編み工程終了時に物品を取り外し且つ移送する装置を備えた、特に靴下類品の爪先部の閉じ処理を自動化するダブルシリンダ式靴下類丸編機を提供することにより、上述の問題を解決することにある。
【0008】
この意図の範囲において、本発明の目的は、ハイゲージの靴下類品の場合であっても靴下類品の爪先部を正確に閉じることのできるダブルシリンダ式靴下類丸編機を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、満足のいくコスト内で筒型の物品、特に靴下類品をダブルシリンダ式丸編機から縫製機へ自動的に移送する方法を提供することにある。
【0010】
本発明の更に別の目的は、安定性が高く正確な作業を行う、編み工程終了時に物品を取り外し且つ移送する装置を備えるダブルシリンダ式靴下類丸編機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の意図、ならびに以下に明らかとなる上述及び他の目的は、次のような編機により達成される。即ち、垂直方向の軸を有する下部針シリンダと、該下部針シリンダの上方に同軸に配置された上部針シリンダとを備えており、前記両針シリンダは自軸回りに回転すべく駆動可能である、編み工程終了時に物品を取り外し且つ移送する装置を備えたダブルシリンダ式靴下類丸編機であって、前記上部針シリンダ内へ上方から挿入可能であり、物品を編機から取り外すために前記上部針シリンダから上方に取り外し可能である取外し機構と、該取外し機構に備えられ、前記上部針シリンダ内にて上方に吸引されて向きが反転した物品の最終端近傍領域を把持することが可能な第1把持手段と、前記上部針シリンダの上方に配置され、物品を前記取外し機構から取り外して前記最終端部を閉じる縫製機へ供給する移送機構とを更に備えており、前記取外し機構は、それぞれ同軸である垂直方向の軸を有し、該軸回りに回転しつつ一体に結合される中空の内部シリンダ、中空の中間シリンダ及び中空の外部シリンダを備え、該中間シリンダの下端に前記第1把持手段を設けてあり、前記取外し機構は、前記第1把持手段が物品の前記最終端近傍領域を把持する前に物品の向きを反転させるために物品を前記上部針シリンダ内において上方に吸引する手段として、前記中空の内部シリンダ内に同軸に配置され、内部シリンダに剛結合された上部吸引管を有しており、前記取外し機構をその軸回りの所定の角度位置に配置すべく、前記取外し機構をその自軸回りの回転運動を制御しつつ移動させる手段を備えており、前記取外し機構は、自軸回りに回転しつつ前記上部針シリンダ内へ挿入され結合することが可能であり、また回転して前記上部針シリンダの角度位置に対する針シリンダの軸回りの所定の角度位置において前記上部針シリンダと連結可能であることを特徴とする靴下類丸編機である。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、全般的に符号1で示される本発明に係るダブルシリンダ式靴下類丸編機は、垂直方向の軸3を有する下部針シリンダ2と、該下部針シリンダ2の上方に同軸に配置された上部針シリンダ4とを有する。
【0013】
下部針シリンダ2及び上部針シリンダ4は支持機構5により軸3回りに回動可能に支持されており、図示のように、軸3回りの回転動作を伴って移動することができる。
【0014】
また図示のように、下部針シリンダ2及び上部針シリンダ4は物品に張力を与える装置を有している。この物品引張り装置は、下部針シリンダ2内に同軸に配置された下部吸引管6(以下、簡潔に「下部管」と呼ぶ)を備えている。該下部管6は軸3回りに回転する下部針シリンダ2と剛接合されており、稼動時には下部針シリンダ2に対し軸3に沿った方向に移動することができる。
【0015】
より詳細には、下部管6は下部針シリンダ2内に、軸方向に摺動可能に支持されており、またその下端近傍において空圧シリンダ7のピストンのステム7aと連結されている。空圧シリンダ7は編機の支持機構5に支持されており、軸の一本は軸3に平行な方向に向けられている。ステム7aと下部管6の間にはベアリング8が、下部管6を軸3回りに回転可能とすべく好適に配置されている。
【0016】
空圧シリンダ7の行程は下部管6を、その上端が下部針シリンダ2の上端の直下と合致する下降位置と、その一部が上部針シリンダ4内に進入する上昇位置との間を摺動させることが可能な距離としてある。
【0017】
下部管6内にはプラグ状の部材9が同軸に収納されている。このプラグ状部材9は稼動時において下部針シリンダ2の方向へ下部管6に対して軸3方向に移動することができる。より詳細には、プラグ状部材9は、編機の支持機構と連結された空圧シリンダ11のピストン10のステム10aの上端に固定されている。
【0018】
空圧シリンダ11が作動することにより、プラグ状部材9は、以下に明らかとなるように、下部針シリンダ2内に完全に収納されて前記下部針シリンダ2の上端からは下方に離間された状態である休止位置から、軸3に沿って、上部針シリンダ4内に配置された上部吸引管12(以下、簡潔に「上部管」と呼ぶ)の下端と係合する状態である作動位置へ移動することができる。
【0019】
空圧シリンダ11のピストン10は、空圧シリンダ11が排気したときプラグ状部材9を下降させるスプリング13とは逆に上方へ移動することができる。
【0020】
上部管12は、これも物品引張り装置の一部をなすものであって、上部針シリンダ4の上方に同軸に配置されており、その下端が上部針シリンダ4内に進入している。
【0021】
上部管12の周囲には張力管15が配置され、張力管15は図示のように、稼動時にはその下端が上部針シリンダ4の下端と水平又はそれより高い位置となる上昇位置から、軸3に沿って、その下端が下部針シリンダ2内のプラグ状部材9の周囲に進入する下降位置へ移動することができる。
【0022】
張力管15は、図示のように、全般的に符号16で示される空圧装置により作動する。空圧装置16は実質的に、ピストン18を有する空圧シリンダ17で構成されており、ピストン18はその軸方向の両端がケーブル又はベルト19の両端と連結されている。ケーブル又はベルト19は軸が水平である二つのプーリー20a及び20bの周囲に巻かれ、プーリー20aと20bとの間に延びる前記ケーブルの一部は張力管15の側面で垂直に配置されている。前記ケーブルの一部はベアリング21を介して張力管15と連結されており、空圧シリンダ17の作動により張力管15が軸方向に上方向又は下方向に並進運動を行うようになしてある。
【0023】
尚、下部管6は稼動時に吸引手段と連結させることができ、同様に上部管12も吸引手段と連結させることができ、必要な場合に下部管6及び上部管12の内部に部分的な真空状態を発生させることができる。
【0024】
ダブルシリンダ式編機の構成については、従来のダブルシリンダ式丸編機に物品引張り装置を組み合わせることにより構成可能であるため、これ以上の説明を省略する。例えば、本願出願人による特許文献1に開示されたダブルシリンダ式編機にて構成することが可能である。
【0025】
本発明に係る編機は編み工程終了時に物品を取り外し且つ移送する装置を備えている。
【0026】
前記取外し移送装置は、全般的に符号22で示される取外し機構と、全般的に符号23で示される移送機構とを備えている。
【0027】
取外し機構22は上部針シリンダ4内に上方から挿入することができ、第1把持手段24を備えている。該第1把持手段24は製造中の物品25の最終端近傍領域を把持することができ、また物品25を編み工程終了時に取り外すため上部針シリンダ4から上方へ取り外すことができる。
【0028】
移送機構23は上部針シリンダ4の上方に配置されており、以下に明らかとなるように取外し機構22から物品25を取り外し、物品25の最終端部を閉じることのできる縫製機へ送るべくなされている。
【0029】
取外し機構22はその内部に上部管12を有し、該上部管12は上述のように稼動時には吸引手段と結合されて吸引手段を構成する。このように、取外し機構22は物品25を前記上部管12内において上方に吸引して物品25の向きを半転させる、物品25の吸引手段を備えている。
【0030】
図2に示すように、取外し機構22は実質的に、中空の外部シリンダ31(以後簡潔に「外部シリンダ」と呼ぶ)、中空の中間シリンダ32(以後簡潔に「中間シリンダ」と呼ぶ)及び中空の内部シリンダ33(以後簡潔に「内部シリンダ」と呼ぶ)を備え、これらは同軸であって、軸3と一致するそれぞれの軸回りに回動可能に支持機構34により支持されている。前記支持機構34は実質的に上部ヘッド35及び下部ヘッド36により構成され、これらのヘッドは図示しない垂直のロッドと取外し機構22の上側部分を囲むハウジング26とにより互いに連結されている。上部ヘッド35及び下部ヘッド36は垂直のガイド用支柱37により摺動可能に支持されており、ガイド用支柱37は上部針シリンダ4の上方に配置された編機の支持機構に固定されている。
【0031】
内部シリンダ33は上部管12に剛接合されており、ベアリング14を介して上部ヘッド35により、またベアリング38を介して下部ヘッド36により軸3回りに回動可能に前記上部管と共に支持されている。上部ヘッド35は空圧シリンダ39のステム39aに連結され、空圧シリンダ39はその本体が、ガイド用支柱37の一本と剛接合されたブロック40に、軸3と平行な軸を有するように固定されている。空圧シリンダ39を作動させることにより、即ち稼動時において、外部シリンダ31、中間シリンダ32及び内部シリンダ33、ならびに上部管12及び作動装置16を含む張力管15からなる機構が軸3に沿って並進運動を行う。
【0032】
三本のシリンダ31、32、33により構成される前記機構は、軸3回りに回動する際に、上部針シリンダ4と連結することができる。より詳細には、内部シリンダ33はフランジ41を有し、該フランジ41は中間シリンダ32及び外部シリンダ31の外部にまで突出し、またフランジ41には歯42が固定されている。歯42は、取外し機構22が上部針シリンダ4内に挿入されたとき、上部針シリンダ4と剛接合されたフランジ43内に軸3回りの所定の角度位置に設けられたシート部43aと係合する。
【0033】
前記シリンダ31、32、33は、軸3回りの回転動作において、一部のみ図示されているタブ又は他の種類の回転結合部材により結合している。更に、中間シリンダ32は内部シリンダ33に対し軸方向に移動することができる。より詳細には、中間シリンダ32はその上端に少なくとも一つの延長部32aを有し、この延長部はフランジ41に形成された対応する通路を通ってベアリング44の内輪に固定されている。
【0034】
ベアリング44の外輪は空圧シリンダ45のピストンのステム45aに連結され、空圧シリンダ45は軸3と平行な軸を有して支持機構34に取り付けられている。第1把持手段24は、中間シリンダ32の下端に固定され先端が下方に向けられたパンチ針46を備えている。
【0035】
中間シリンダの作動手段を構成する空圧シリンダ45が作動することにより、中間シリンダ32は以下に明らかとなるように物品25を把持するため、パンチ針46の先端が内部シリンダ33の下端より高い位置に来る休止位置からパンチ針46の先端が内部シリンダ33の下端より低い位置に来る作動位置への行程を往復すべく内部シリンダ33に対し軸3に沿って並進運動を行う。
【0036】
外部シリンダ31は、その下端がパンチ針46の先端の位置と略一致する上昇位置からその下端がパンチ針46の先端より低い位置に来る下降位置へ移動すべく、中間シリンダ32に対して軸方向に移動することができる。
【0037】
中間シリンダ32と外部シリンダ31との間には弾性手段が介在し、この弾性手段は、図示された実施の形態において、外部シリンダ31の行程を下降位置から上昇位置へと変更するばね付ピストン47により構成される。
【0038】
尚、外部シリンダ31の円筒状の内壁には肩部48が軸方向に形成されており、肩部48は取外し機構22が上部針シリンダ4に挿入されたとき、対応して上部針シリンダ4の円筒状内壁に肩部48に形成された受け部49に係止されるべくなしてある。更に、前記外部シリンダ31の円筒状の内壁には、中間シリンダ32の円筒状内壁に軸方向に形成された肩部51に係止されて、取外し機構22が上部針シリンダ4内に収納されたとき中間シリンダ32の下方への行程を制限する受け部50が形成されている。
【0039】
第1把持手段24は物品25の直径方向に対向する二つの領域を把持することが可能な少なくとも二対の把持具を有している。同一の対の把持具は互いに離間しており、従って物品25の、同一の対の二つの把持具の間に位置する部位は開放されている。
【0040】
図示された実施の形態において、第1把持手段はパンチ針46により構成されており、中間シリンダ32の下端において直径方向に対向する領域に配置された少なくとも二対のパンチ針が設けられている。同じ対のパンチ針は互いに離間しており、従って物品25の、同一の対の二つのパンチ針の間に位置する部位は開放されている。更に、外部シリンダ31には、これらの領域に外部シリンダ31の下端を起点として直径方向に対向する二つの領域に配置された二つの通路52a、52bが形成されており、後に詳述する移送機構23の第2把持手段53が物品25を把持すべくなしてある。
【0041】
物品25が第1把持手段24に把持される前に物品25を固定するための第1手段が備わることが好ましい。この第1固定手段は物品25の、第1把持手段24が把持する領域よりも物品25の軸寄りの領域を固定する。
【0042】
より詳細には、上述の第1固定手段はプラグ状部材9を備え、このプラグ状部材9は物品25が固定のために上部管12内へ吸引されている間、空圧シリンダ11のピストン10の作動により上部管12の下端と係合すべくなしてある。
【0043】
プラグ状部材9は、上述のように空圧シリンダ11の作動により軸方向に動くことができるので、取外し機構22が上部針シリンダ4の上端から取り外される際に取外し機構22の上方への動きに少なくとも部分的に追随して、又は一体に動くべくなされてある。
【0044】
また、物品25が第1把持手段24に把持される前に物品25を固定する第2手段が備わることが望ましい。この第2固定手段は物品25の、第1把持手段24が把持する領域と第1固定手段が固定する領域との間に位置する領域を固定する。
【0045】
前記第2固定手段は下部管6を有し、この下部管6は空圧シリンダ7の作動により軸3方向に並進運動が可能なため、内部シリンダ33の下端と係合することができる。
【0046】
内部シリンダ33の下端は下部管6の上端側の物品25を有効に固定できる形状となっている。
【0047】
尚、内部シリンダ33の下端はその外周部に沿って異なる形状に形成し、物品25がその外周部に沿ってさまざまな形状を有していても内部シリンダ33と下部管6との間で正確に固定されるようにすることができる。例えば、靴下類品の場合、内部シリンダ33の下端を異なった形状とし、例えば爪先部のような、編まれた生地の余剰が生じる領域であっても正確に把持できるようにすることが可能である。
【0048】
下部管6は、空圧シリンダ7の作動により、取外し機構22が上部針シリンダ4から上方へ取り外される際に取外し機構22の上方への動きに少なくとも部分的に追随して、又は一体に移動することができる。従って、その上方への動きの少なくとも一部において物品25の固定を維持することができる。
【0049】
上述のように、取外し機構22、特に外部シリンダ31、中間シリンダ32及び内部シリンダ33により構成された機構は、軸3回りに回転しつつ、歯42が軸3回りの所定の角度位置に形成されたシート部43aと係合することにより上部針シリンダ4と結合される。これにより、後の縫製作業により閉じられるべき物品の開口部の側端に略合致する部品の特定の領域をパンチ針46が確実に把持することになる。靴下類品の場合、前記の領域は閉じられるべき爪先部の開口部の両端に相当する。
【0050】
歯42をシート部43aに正確に係合させ、また取外し機構22を移送機構23に対し正しく配すべく、支持機構34に対する軸3回りの制御された回転運動により取外し機構22を作動させる手段が備えられている。この作動手段はモータ55を有し、このモータ55は支持機構34に取り付けられ、その出力軸は内部シリンダ33の延長部と係合するギア56に連結されている。モータ55は電動式モータであって、例えば回転角度を制御することが可能なステップモータ又はブラシレスモータが用いられる。前記モータは、取外し機構22が上部針シリンダ4に挿入される間、歯42とシート部43aとが確実に合致するよう、軸追随式の電子制御システムにより針シリンダ2及び4を作動させるモータに連結してもよい。内部シリンダ33の角度位置、即ちシリンダ31、32、33により構成される機構の角度位置は、公知の種類のセンサ57により直接制御することもできる。
【0051】
パンチ針46の数は必要に応じ変更してもよいが、物品25の直径方向に対向する二つの領域を把持するための二対のパンチ針は最低限必要である。極端な例として、軸3の周囲全体に環状にパンチ針46を配置してもよいが、図示のように、物品25の第2把持手段53により把持されるべき領域、即ち物品25の直径方向に互いに対向する二つの領域を把持することのできる二対のパンチ針の間に位置する領域を物品25から解放しておくにはより少ない数のパンチ針46を配置するだけでよい。
【0052】
移送機構23は稼動時において、即ち選択的且つ意図的な作動に際し、上部針シリンダ4から上方へ取り外される位置における取外し機構22の下端より下方に第2把持手段53が物品25を保持している状態である物品25の把持位置と、物品25が上部針シリンダ4から側方へ取り外される移送位置との間を、略水平な移送方向58に移動することができる。
【0053】
より詳細には、移送機構23は支持機構60に取り付けられ、この支持機構60は水平なガイドバー61に摺動可能に取り付けられている。支持機構60は更に、水平で互いに平行な軸を有する一対のプーリー63a及び63bに巻かれている歯付きベルト62の一部に固定されている。プーリーの一つ、図示された実施の形態におけるプーリー63bは電動モータの出力軸に連結され、この電動モータは支持機構60をガイドバー61に沿って一方向又は他方向に摺動させるべく作動する。
【0054】
更に、支持機構60は互いに対して相対移動可能な多数の部品から構成されている。具体的には、支持機構60はベルト62に固定されガイドバー61に沿って並進運動のみ可能な摺動部材64を有している。この摺動部材64は水平軸65回りに回転できる状態で、第2把持手段53を支持する支持部材66を支持している。前記支持部材66には、軸65と一致する軸を有し、摺動部材64側の軸65回りに回転可能にベアリング68を介して支持されているスリーブ67が形成されている。このスリーブ67にはピニオン69が係合しており、またラック70も係合しており空圧シリンダ71により作動する。空圧シリンダ71が作動することにより支持部材66が回転し、従って以下に明らかとなるように第2把持手段53が軸65回りに回転して第2把持手段53に固定された物品25を反転させる。
【0055】
移送機構23の第2把持手段53は、それぞれ第1把持具54a、第2把持具54bと呼ぶ二つの把持具を有し、これらの把持具は前記支持部材66に取り付けられ、ガイドバー61に沿って支持部材66と共に移動することができる。
【0056】
更に、二つの把持具54a、54bは支持部材66に対して略垂直方向にも移動可能であり、これにより各々の把持具の爪部が外部シリンダ31の下端から進入する。
【0057】
第1把持具54aの内側の、即ち第1爪部72aは支持部材66に固定され、支持部材66と固定して移送方向58に動くようになっている。一方、前記第1把持具54aの他方の、即ち第2爪部73aは空圧シリンダ75aのピストン74aに連結され、空圧シリンダ75aは爪部73aを爪部72aに向かって、又は離れるように動かすべく作動する。
【0058】
同様に、第2把持具54bも第1爪部72bを有し、第1爪部72bは支持部材66の一部の部位66aと剛接合されて移送方向58に並進運動を行う。第2把持具54bの他方の第2爪部73bは空圧シリンダ75bのピストン74bに連結され、空圧シリンダ75bは爪部73bを爪部72bに向かって、又は離れるように動かすべく作動する。第1把持具の爪部72a、73aは爪部73aを作動させる空圧シリンダ75aと共に別の空圧シリンダ77aのピストン76aに取り付けられており、この空圧シリンダ77aは垂直方向の軸を有し第1把持具54aを上昇及び下降させることができる。この空圧シリンダ77aの本体は支持部材66に直接取り付けられている。
【0059】
また同様に、第2把持具54bの爪部72b、73bは爪部73bを作動させる空圧シリンダ75bと共に別の空圧シリンダ77bのピストン76bに取り付けられており、この空圧シリンダ77bは垂直方向の軸を有し第2把持具54bを上昇及び下降させることができる。第2把持具54bを上昇及び下降させる空圧シリンダ77bは支持部材66の一部の部位66aに取り付けられている。
【0060】
部位66aは移送方向58と平行な方向に摺動可能に支持部材66に形成され、移送方向58と平行であり水平な軸を有するねじ付シャフト78により、スリーブ67内に同軸に挿入されているブッシュ80に形成された雌ねじ部79と螺合する。ブッシュ80はスリーブ67内で軸方向には固定されているが回転可能であり、スリーブ67はピニオン69に剛接合されている。ブッシュ80は歯付きプーリー81と剛接合され、歯付きプーリー81は歯付きベルト82を介して電動モータ83の出力軸と連結される。この電動モータ83はブッシュ80を軸65回りに回転させるべく作動する。ブッシュ80はシャフト78とねじで螺合してあるため、ブッシュ80が回転することにより支持部材66の一部の部位66aが並進運動を行ない、従って第2把持具54bも移送方向58と平行に第1把持具54aに対して並進運動を行う。第2把持具54bが第1把持具54aに対して移送方向58と平行に移動することにより、物品25は把持具54a、54bに把持されたとき引き伸ばされ、以下に明らかとなるように物品25の把持具に把持された領域が平坦となる。
【0061】
移送機構23は、移送方向58に沿ったその行程の少なくとも一部において、簡単のため一部のみ図示された公知の種類の縫製機の送りガイド84の上方に配置され、本ダブルシリンダ式編機から側方への並進運動を行う間に、縫合されるべき物品25の軸方向端部を前記送りガイド84に挿入する機能を有している。
【0062】
本発明に係る、編み工程の終了時に物品を取り外し且つ移送する装置を有する編機の動作は次の通りである。
【0063】
尚、説明の明瞭性を高めるため本発明に係る編機の動作を靴下類品の製造について説明するが、本編機は軸方向端部を閉じるべき物品であれば他の物品にも適用可能である。
【0064】
靴下類品はトップから、即ち縫合して閉じるべき軸方向端部又は爪先部と反対側に位置する軸方向端部から製造を始めることとする。
【0065】
尚、従来の製法において広く行われているように、靴下類品は編み工程の最後に爪先部に何列かのステッチが施され、これにより縫合すべき爪先部が縫製機の送りガイド84に正確に挿入され、縫合工程ではこれらのステッチは除去される。
【0066】
編機が物品25の編み工程を終了しつつあるとき、取外し機構22が軸3回りに回転する上部針シリンダ4に挿入され結合される。
【0067】
物品25は上部管12内に吸引され、これにより物品25は反転される(図3参照)。
【0068】
好ましくは、編機がステッチの最終列の編み工程を終了しつつあるとき、空圧シリンダ11が作動することによりプラグ状部材9が上部管12の下端と係合するべく移動し、これにより物品25を固定する。尚、この動作は、プラグ状部材9、上部管12及び張力管15から構成される物品引張り装置の介在を必要とする場合には、これに先行する工程において行うことも可能である。
【0069】
続いて空圧シリンダ7が作動して下部管6を上昇させ、これにより内部管33の下端と係合して物品25が更に固定される(図4参照)。この時点で、空圧シリンダ45が作動して中間シリンダ32を下降させ、これによりパンチ針46が物品25を貫通する(図5参照)。
【0070】
尚、パンチ針46が物品25を貫通するのは、物品25がプラグ状部材9と上部管12とにより内部シリンダ33と下部管6との間に固定されている間であって、且つ物品25に編機の針がまだかかっている間である。このようにして、パンチ針46は物品25を確実に貫通する。中間シリンダ32の下降移動は外部シリンダ31の受け部50により制限され、外部シリンダ31は受け部49により止められる。中間シリンダ32が下降すると、中間シリンダ32と外部シリンダ31との間に配置されているばね付ピストン47に負荷が発生する。
【0071】
この時点で、編機の針は物品25の製造を終え、最後に形成したステッチ列を解放する。続いて空圧シリンダ39が作動して取外し機構22を上部針シリンダ4から上方へ取り外す動作を開始する。取外し機構22の上方への移動行程の一部においては、下部管6が取外し機構22に追随し、これにより物品25の固定を維持する。同様に、上方への移動行程の一部において、プラグ状部材9が取外し機構22に追随し、上部管12内での物品25の固定を維持する。
【0072】
尚、取外し機構22の上方への移動が開始された時点では、外部シリンダ31はばね付ピストン47の作用により受け部49と接したままであるが、取外し機構22の他の部分は上昇している。このため、外部シリンダ31の下端はパンチ針46の端の下方へ次第に下降し、パンチ針46の外側に位置する物品25の辺縁部を下方に屈曲させ、これにより物品25を取り外す際に前記辺縁部が編機の他の部品と接触しないよう保護する(図6、図7参照)。
【0073】
取外し機構22の上方への移動は、取外し機構22は上部針シリンダ4から上方へ完全に離脱するまで続く。尚、取外し機構22の上部針シリンダ4からの離脱、及びプラグ状部材9の上部管12からの離脱により、取外し機構22及びプラグ状部材9は軸3周りの回転に連動しなくなる。従って、取外し機構22は上部針シリンダ4から上方へ離脱すると、軸3回りのいかなる角度位置もとることができる。このため、モータ55が作動して取外し機構22を軸3回りの所定の角度位置に配置する。この所定の角度位置とは、外部シリンダ31の通路52a、52bを移送機構23に取り付けられた把持具54a、54bと一致させる角度である。
【0074】
このとき、ベルト62の動きにより、把持具54a、54bは爪部73a、73bが爪部72a、72bから離間された状態で取外し機構22の下端の下方に移動する(図8、図9参照)。下降位置に配されていた把持具54a、54bはシリンダ77a、77bのピストン76a、76bの作動により上昇し、物品25に爪部72a、72bが挿入される。
【0075】
次いで、シリンダ75a、75bのピストン74a、74bが作動して爪部73a、73bを爪部72a、72bに向けて移動させ、物品25の通路52a、52bに位置する領域が把持される(図10参照)。
【0076】
このときシリンダ77a、77bのピストン76a、76bの作動により把持具54a、54bは下降し、同時に中間シリンダ32は空圧シリンダ45の作動により外部シリンダ31と共に上昇する。これにより物品25は把持具54a、54bに固定された状態で取外し機構22から確実に離脱する。
【0077】
把持具54a、54bはベルト62の動きにより移送方向58に編機の側方へと離間し、これにより物品25は上部管12から取り外される(図11参照)。
【0078】
物品25が把持具54a、54bにより取り外されると、取外し機構22は再度下降して上部針シリンダ4に挿入され、歯42がシート部43aに係合する。歯42はモータ55の作動によりシート部43aに対し正しく位置決めされる。
【0079】
把持具54a、54bが編機から離れる動作の間、ラック70も作動し、把持具54a、54bを水平軸65回りに回転させ、これにより物品25を反転させ、辺縁部即ち縫合すべき端部が上方を向くように物品25の向きを変える。同時に、又は移送機構23がガイドバー61に沿ってダブルシリンダ式編機から離れる動作中のどの時点でも良いが、モータ83が作動してブッシュ80を回転させ、これにより第2把持具54bを第1把持具54aから離間させ、物品25の把持具54a、54bに把持された領域に張力を作用させる。これにより、把持具間で伸張される二つの辺縁部の相対移動により、物品が平坦となる。
【0080】
ガイドバー61に沿った移送機構23の並進運動の最終段階において、物品25の把持具54a、54bに把持された端部の近傍部位が縫製機の送りガイド84に挿入される(図12参照)。
【0081】
このとき物品25は把持具54a、54bから解放され、簡単のため図示されていない、縫製機に装備された公知の手段により縫製機の送りガイド84に沿って送られる。
【0082】
尚、下部管6がプラグ状部材9と共に下部針シリンダ2内に戻った後、即ち取外し機構22が上部針シリンダ4からの物品25の取外し作業を完了していない時点において、編機は作動を再開し、次の物品の製造を始めることができる。この段階で製造される物品には、下部管6の吸引作用により張力を与えることができる。
【0083】
【発明の効果】
このように、物品の軸方向端部を閉じるため製造機から縫製機へ物品を自動的に移送する機能を有する、現在市販されている編機には非生産的な時間が存在するのに対し、編機が稼動していない時間を大幅に低減することができる。
【0084】
実際に、製造が完了した物品を移送する工程のゆえに編機が次の物品の製造に取り掛かれずにいる時間を大幅に低減することにより、生産性を全く損なわなくなるか、最小限度に損なうのみとするため、本発明に係る編み工程終了時に物品を取り外し且つ移送する装置を備えた編機は、意図する目的を完全に達成することがわかる。
【0085】
このように考案された物品を取り外し且つ移送する装置を備えた編機に対しては種々の修正や変更が可能であるが、そのすべては添付の請求の範囲に包含されるものであり、すべての詳細な点は他の技術的に等価な要素と置き換え可能である。
【0086】
実際には、使用される材料ならびにその寸法は、製造の要件及び技術上の条件により如何なるものも採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による編機において、物品を取り外し且つ移送する装置の一部の、前記装置が作動する前の状態を示す軸方向の略断面図である。
【図2】取外し機構がその作動位置にあり、編機の上部針シリンダに完全に挿入された状態を示す軸方向の略断面図である。
【図3】図1の細部の拡大図である。
【図4】図2において物品の取外し機構が作動の第1段階にある状態を示す編機の詳細図である。
【図5】図3及び図4において取外し機構が作動の第2段階にある状態を示す編機の詳細図である。
【図6】取外し機構が作動の第3段階にある状態を示す編機の詳細図である。
【図7】図3乃至図6において取外し機構が作動の第4段階にある状態を示す編機の詳細図である。
【図8】移送機構の部分断面側面図である。
【図9】図8において移送機構が作動の第1段階にある状態を示す細部拡大図である。
【図10】図9において移送機構が作動の第2段階にある状態を示す詳細図である。
【図11】図9及び図10において移送機構が作動の第3段階にある状態を示す詳細図である。
【図12】図8乃至図11において移送機構が作動の第4段階にある状態を示す詳細図である。
【符号の説明】
2 下部針シリンダ
3 軸
4 上部針シリンダ
6 下部吸引管
9 プラグ状部材
22 取外し機構
23 移送機構
24 第1把持手段
31 外部シリンダ
32 中間シリンダ
33 内部シリンダ
53 第2把持手段
54a,54b 把持具
66 支持部材
72a,72b 第1爪部
73a,73b 第2爪部
84 送りガイド
Claims (21)
- 垂直方向の軸を有する下部針シリンダと、該下部針シリンダの上方に同軸に配置された上部針シリンダとを備えており、前記両針シリンダは自軸回りに回転すべく駆動可能である、編み工程終了時に物品を取り外し且つ移送する装置を備えたダブルシリンダ式靴下類丸編機において、
前記上部針シリンダ内へ上方から挿入可能であり、物品を編機から取り外すために前記上部針シリンダから上方に取り外し可能である取外し機構と、該取外し機構に備えられ、前記上部針シリンダ内にて上方に吸引されて向きが反転した物品の最終端近傍領域を把持することが可能な第1把持手段と、前記上部針シリンダの上方に配置され、物品を前記取外し機構から取り外して前記最終端部を閉じる縫製機へ供給する移送機構とを更に備えており、
前記取外し機構は、それぞれ同軸である垂直方向の軸を有し、該軸回りに回転しつつ一体に結合される中空の内部シリンダ、中空の中間シリンダ及び中空の外部シリンダを備え、該中間シリンダの下端に前記第1把持手段を設けてあり、
前記取外し機構は、前記第1把持手段が物品の前記最終端近傍領域を把持する前に物品の向きを反転させるために物品を前記上部針シリンダ内において上方に吸引する手段として、前記中空の内部シリンダ内に同軸に配置され、内部シリンダに剛結合された上部吸引管を有しており、
前記取外し機構をその軸回りの所定の角度位置に配置すべく、前記取外し機構をその自軸回りの回転運動を制御しつつ移動させる手段を備えており、
前記取外し機構は、自軸回りに回転しつつ前記上部針シリンダ内へ挿入され結合することが可能であり、また回転して前記上部針シリンダの角度位置に対する針シリンダの軸回りの所定の角度位置において前記上部針シリンダと連結可能である
ことを特徴とする靴下類丸編機。 - 前記第1把持手段は物品の直径方向に対向する二つの領域を把持することが可能な少なくとも二対の把持具を有し、各対の二つの把持具は物品の、それらの間に位置する部位を開放すべく互いに離間しており、前記移送機構は物品の、各対の二つの把持具の間に位置する開放された部位を把持する第2把持手段を有することを特徴とする請求項1に記載の靴下類丸編機。
- 物品を、前記第1把持手段に把持される前に前記取外し機構に固定する第1固定手段を更に備え、該第1固定手段は物品の、前記第1把持手段に把持される領域より軸寄りの領域を固定することができることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の靴下類丸編機。
- 物品を、前記第1把持手段に把持される前に前記取外し機構に固定する第2固定手段を更に備え、該第2固定手段は物品の、前記第1把持手段に把持される領域と前記第1固定手段に固定される領域との間に位置する領域を固定することができることを特徴とする請求項3に記載の靴下類丸編機。
- 前記第1把持手段は前記中空の中間シリンダの軸方向下端に、先端を下方に向けて連結されたパンチ針を有し、前記中空の中間シリンダを前記中空の内部シリンダに対して軸方向に移動させて、パンチ針の先端が前記内部シリンダの軸方向下端より高い位置に来る休止位置と、パンチ針の先端が物品を把持するため前記中空の内部シリンダの軸方向下端より低い位置に来る作動位置との間を往復させる手段が備えられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の靴下類丸編機。
- 前記中空の外部シリンダは、その軸方向下端がパンチ針の先端の位置と略一致する上昇位置から、その軸方向下端がパンチ針の先端より低い位置に来る下降位置へ移動するように、前記中空の中間シリンダに対して軸方向に移動することができ、前記中空の外部シリンダの行程を前記下降位置から前記上昇位置へ変更する弾性手段が備えられていることを特徴とする請求項5に記載の靴下類丸編機。
- 前記第1固定手段は前記複数の針シリンダと同軸に配置されたプラグ状部材を有し、前記プラグ状部材は稼動時において、前記下部針シリンダ内に収納されて前記上部吸引管の下端から下方に離間された状態である休止位置から、前記物品を前記上部吸引管と前記プラグ状部材との間に固定するために前記上部吸引管の下端と係合する状態である作動位置へ、前記複数の針シリンダの軸に沿って移動することを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の靴下類丸編機。
- 前記プラグ状部材は、前記取外し機構の上方への移動行程の少なくとも一部における物品の固定を維持するために前記取外し機構と一体に軸方向に、前記取外し機構の上方への動きに少なくとも部分的に追随して移動することを特徴とする請求項7に記載の靴下類丸編機。
- 前記第2固定手段は前記下部針シリンダ内に同軸に収納された下部吸引管を有し、前記下部吸引管は、物品を前記中空の外部シリンダの下端と前記下部吸引管の上端との間に固定すべく、前記中空の内部シリンダの下端と係合又は分離するように下部針シリンダに対し軸方向に移動することを特徴とする請求項4乃至請求項8のいずれかに記載の靴下類丸編機。
- 前記下部吸引管は、前記取外し機構の上方への移動行程の少なくとも一部における物品の固定を維持するために前記取外し機構に一体に軸方向に、前記取外し機構の上方への動きに少なくとも部分的に追随して動くことを特徴とする請求項9に記載の靴下類丸編機。
- 前記移送機構は稼動時において、上部針シリンダから上方へ取り外される位置における前記取外し機構の下端より下方に前記第2把持手段が物品を保持している状態の物品の把持位置と、物品が上部針シリンダから側方へ取り外される移送位置との間の行程を、略水平な移送方向に動くことを特徴とする請求項2乃至請求項10のいずれかに記載の靴下類丸編機。
- 前記移送機構の行程の少なくとも一部に沿って、前記移送機構が動く行程の下方に縫製機の送りガイドが備えられ、前記移送機構が前記物品把持位置から前記移送位置へ移動する間に物品の一部が前記送りガイドに挿入されることを特徴とする請求項11に記載の靴下類丸編機。
- 前記移送機構の第2把持手段は、稼動時において前記移送方向に動く支持部材に取り付けられた一対の把持具を有することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の靴下類丸編機。
- 前記一対の把持具は稼動時において、各把持具の爪部を前記中空の外部シリンダの下端から進入させるべく支持部材に対して略垂直に移動することを特徴とする請求項13に記載の靴下類丸編機。
- 前記一対の把持具のうち一方の把持具は稼動時において、前記一対の把持具に把持されている物品の領域を広げるために他方の対の把持具から離間する方向に動くことを特徴とする請求項14に記載の靴下類丸編機。
- 前記一対の把持具の各把持具は互いに対向する第1爪部と第2爪部とを有し、一方の爪部は稼動時において、前記第1把持手段の各対の二つの把持手段の間の物品の開放された部位を把持又は解放するために、他方の爪部に向かって又はそれから離間するように動くことを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の靴下類丸編機。
- 前記一対の把持具は稼動時において、物品を前記取外し機構から取り外した後に反転させるため、前記移送方向と平行な略水平な軸回りに回転することを特徴とする請求項13乃至請求項16のいずれかに記載の靴下類丸編機。
- 前記中空の外部シリンダは、前記一対の把持具が物品を把持できるよう、その下端を起点とする、直径方向に対向する二つの領域に配置された二つの通路を有することを特徴とする請求項13乃至請求項17のいずれかに記載の靴下類丸編機。
- 筒状の物品をダブルシリンダ式丸編機から縫製機へ自動的に移送する方法において、
物品の最終端部に最後のステッチ列の形成を行う物品製造の最終工程と、
上部針シリンダ内に物品を吸引する工程と、
前記上部針シリンダから上方へ取り外すことが可能な取外し機構を前記上部針シリンダ 内に上方から挿入し、物品製造の前記最終工程が終了する前に物品の最終端近傍を把持する工程と、
物品を製造した編機の針から物品を取り外す工程と、
前記取外し機構により物品を前記上部針シリンダから上方へ取り外す工程と、
前記上部針シリンダの上方に配置された移送機構により物品の最終端部を把持する工程と、
物品を前記取外し機構から分離し、前記移送機構により物品の最終端近傍領域を前記縫製機の送りガイドに挿入する工程とを含み、
前記編機は、物品の前記上部針シリンダからの取外しが完了する前に次の物品の製造開始にむけて始動する
ことを特徴とする方法。 - 前記移送機構が物品を把持した後、物品の前記移送機構に把持された部分に張力を付与することにより物品の前記最終端部を平坦化することを特徴とする請求項19に記載の方法。
- 物品を前記移送機構により把持し前記取外し機構から分離した後、物品を反転してその最終端部を他の部分より上方に配置することを特徴とする請求項19又は請求項20に記載の方法。
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