JP4205172B2 - ワクチンアジュバントとしての神経成長因子 - Google Patents
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Description
本発明は、ワクチンの分野に関するものである。
背景技術の説明
人間、家畜及びペットには、病気を予防するために、また病気を軽くするためにワクチンを投与する。ワクチンを投与すると抗体が産生されるのだが、これはワクチン中に含まれていた抗原物質に特異的に結合することができる血清蛋白である。この液性応答は、抗体産生プラスマ細胞のクローンを得るために、Bリンパ球の特異細胞集団を選択し、これを繁殖させ、分化させることから成り立っている。
抗体産生はワクチン投与後数週間内にピークに達し、以後徐々に減少してゆく。血清蛋白は絶えず代謝回転しているので、抗体産生が減少すると抗体の循環レベルも相応に減少する。しかし患者が同一の抗原に再び接すると、新しい応答カーブは初回のものより迅速かつ強力に開始する。これを二次免疫反応、ブースター反応、既往反応といい、健康な患者では初回のワクチン投与の時よりもはるかに抗体レベルは高くなり、また抗原に対する抗体の親和力も強くなる。抗体合成率の上昇は、抗体産生プラスマ細胞の数が増加した結果である。免疫化されていない患者のリンパ節にはこの細胞はあまり見当たらず、ほとんどは小さなリンパ球ばかり存在する。しかし健康な患者を一回免疫化するとプラスマ細胞は全リンパ球細胞の3%を占めるようになり、二回目の免疫化後には30%にもなるのである。
二次免疫応答の原因は、免疫記憶だと言われている。つまり、健康な生体は以前に接した抗原を「記憶」することができ、血清中の特異的抗体の量が一度は非常に低いレベルまで下がったとしても、同一の抗原に再び接した時にはより速く、より効果的に反応するのである。
老化、栄養失調、薬物中毒、アルコール中毒、糖尿病やエイズのような疾病などの特別な条件下では免疫不全が起こり、免疫応答は消滅し、ワクチンの効果も低下してしまう。ゆえに、ワクチン技術の改善、特に老人や免疫不全患者のためのワクチン技術の向上が必要になってくる。
発明の要旨
本発明は、ワクチン効果を高める薬剤学的配合を使用する、ワクチン投与の方法に関する。この薬剤学的配合とは、免疫不全の動物に、未知の病原体に対する抗体の産生を促す刺激を与えることのできる、免疫応答誘因ワクチンを指す。同薬剤学的配合にはワクチン効果を高める量の神経成長因子(NGF)も含まれ、これは動物体内で、ワクチンへの応答としての抗体の産生を高め、また抗体の親和力も強めるものである。ワクチンとNGFは別々に投与しても良いし、同時に投与しても構わない。好ましい方法は、免疫不全の動物に対して、未知の病原体に対する抗体を産生を促す刺激を与えることのできる免疫応答誘因ワクチンを、一回目の用量投与し、その後1週間から2ヶ月の間隔をあけて、同動物に(1)ワクチンに対する応答として抗体の産生を高める神経成長因子(NGF)を、効果的な量投与するか、または(2)動物体内でのワクチンの効果を高めるために、同ワクチンのブースター用量を効果的な量のNGFと共に投与することである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に基づいて処理した成年マウスの抗体産生を、対照標準と比較しながら示したグラフである。
図2は、本発明を使用して高められた老年マウスの抗体産生を、対照標準と比較しながら示したグラフである。
図3は、若年マウスと老年マウスの抗体産生を示したグラフである。
図4は、ワクチン投与後3ヶ月目における、本発明に基づいて処理された老年マウスの高められた抗体産生を、対照標準と比較しながら示したグラフである。
好適な態様の詳細な説明
神経成長因子は、神経系の成長に関与するのみではなく、免疫生理学においても重要な役割を担っていることが偶然に発見された。生体と化学的構造物(抗原)との接触の記憶(メモリ)を留めるリンパ球であるBメモリ細胞は、NGFを産生し、分泌し、細胞表面受容体を通してNGFを結合し、その生物学的なメッセージに応答し(同一細胞による産生と応答のオートクライン回路)、はるかに寿命の短い他のリンパ節細胞とは異なり、何年も、あるいは生体の寿命が尽きるまで生存し続けることができる。
特に理論的な後ろ盾はないのだが、NGFはBメモリ細胞の生存を維持している以外に、Bメモリ細胞の前駆細胞に良好に働きかけることによってBメモリ細胞の繁殖にも影響を与えていると考えられている。メモリ細胞は、推計学的にはアポプトーシス(細胞自滅)によって死ぬべき運命にあった幹細胞が、NGF産生能力を獲得することによって生ずるらしく、こうなると成熟メモリ細胞段階への分化を持続させるオートクライン回路が引き起こされ、成熟メモリ細胞が生存できるようになる。ゆえに、動物に外部からNGFを投与すると、メモリ細胞の数が増加するのである。メモリ細胞のプールが大きいほど、個体は抗原に対してより強力な、そしてより持続性のある保護を与えられることになる。このような状況改善は、老化などの免疫不全条件下、多くの免疫応答が消滅している場合に顕著に認められる。NGFはBメモリ細胞数を増加させ、Bメモリ細胞上の表面抗体の親和力を高めるので、極めて低濃度の抗原でも認識できるように免疫システムの能力を向上させるのである。
本発明は、免疫反応によって抗体を形成することのできる動物、即ち人間、家畜、ペット等の哺乳類や、家禽のような鳥類に利用することができる。
人間は、老化とともに免疫応答も弱まり、親和力の低い免疫応答が優勢になってくるために、ワクチン効果も低下してくる。よって、本発明は45歳以上、特に50歳以上の人に利用するのが好ましい。
さらに本発明は、シクロスポリンなどの抗拒否剤の投与のために免疫不全になっている、移植手術を受けた患者にも利用できる。
本発明は、全ての既知のワクチンに対して使用可能であり、その例としてはインフルエンザワクチン、ヘモフィルスインフルエンザワクチン、A型、B型、C型肝炎ウイルスワクチン、結核ワクチン、帯状ヘルペスウイルスワクチン、サイトメガロウイルスワクチン、肺炎球菌肺炎ワクチン、髄膜炎菌髄膜炎ワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、狂犬病ワクチン、ヘリコバクターピロリワクチン、ポリオワクチン、痘瘡ワクチンが挙げられる。
本発明は、これから開発されるであろうエイズウイルスワクチンなどの、将来もたらされるあらゆるワクチンにも利用できるものと思われる。
一般的にワクチンは、1×10-9gから1×10-3gの範囲内、特に1×10-8gから1×10-4gの範囲内の用量で投与される。
ワクチン効果を高めるNGFの投与量は、一般的に患者の体重に対して0.001-100mg/kg、より好ましくは0.1-10mg/kg、特に好ましくは0.3-3mg/kgである。
本発明の第一点は、NGFはワクチン投与の前及び/または投与と同時に投与されるということである。
本発明では、NGFを二度目(ブースター)のワクチンとともに投与すると、特に効果的である。二度目のブースターワクチンは、一度目のワクチン投与後1週間から2ヶ月の期間内、好ましくは10日から45日の期間内、さらに好ましくは10日から30日の期間内、本実施例によれば10日から20日の期間内に投与される。
ひとつの実施例では、二度目のワクチン投与の数日前、特に好ましくは約3―4日前に患者にNGFを投与している。特に好ましい実施例では、NGFは二度目のワクチンと同時に投与された。
NGFとワクチンは、適当な方法で投与すればよく、注射、点滴、経口などが挙げられる。特に好ましい実施例では注射を用いた。
ひとつの実施例では、患者の体内に、NGF遺伝子コードを持つベクターが挿入された筋芽細胞を取り入れた。この場合、患者の体内の筋芽細胞が産生するNGFが、免疫システム効果を高めている。
ワクチンとNGFを同時に投与する場合には、両者を含有するひとつの混合物として投与することができる。
ワクチン及び/またはNGFを含有する混合物には、一種類以上の薬剤学的に適当な担体及び、場合によっては治療用成分が含まれていても構わない。注射または点滴に適した処方は、必要に応じて抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、または患者の血液と処方剤を等張に保つ溶質を含有する水性または非水性の滅菌注射溶液や、懸濁剤または濃化剤を含有する水性または非水性の滅菌懸濁液を含んでいても良い。処方剤は1回分用量または数回分用量の容器、例えば密封アンプル等に入れ、使用直前に注射用水などの滅菌液体担体を加えるだけで使用できるように、凍結乾燥状態で貯蔵する。
使用されるNGFはレシピエントに適合していることが望ましく、ヒトNGFはヒトがレシピエントの場合に使用することが好ましい。本発明は自然の(自然に生じた)NGF、自然のNGFに対応する、つまり自然のNGFのアミノ酸配列を有するか、または自然のNGFのものに本質的に似た生物学的活性アミノ酸配列を有するか、または自然のNGFのものを短縮した型のアミノ酸配列を有する、合成NGFや組み替えNGF、さらには置換、削除、延長、その他の修飾を施した、NGFの生物活性に本質的に似た生物活性を示すアミノ酸配列を有する、生物学的に活性な類似体に利用することができる。
本発明を実施例1によってさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限るものではない。
実施例1
雌の老年マウス(>5ヶ月)C57/BL6を10匹ずつ2グループ用意し、1匹当たり0.1mgの(4-ヒドロキシ-5-ヨード-3-ニトロ-フェニル)アセチル-ウシ血清アルブミン(NIP-BSA)(Reth et al, 1987)を0.1mlのリン酸塩緩衝塩水(PBS)に溶解し、さらに0.1mlのフロイント完全アジュバントに懸濁したものを使用して免疫化した。21日後、ひとつのグループのマウスに、1匹当たり50μgのマウス顎下腺より既知の方法で精製された神経成長因子NGFを注射した。もうひとつのグループのマウスには、同量の予め加熱(72℃で20分間)して不活性化した精製NGFを注射した。さらに4日後、両グループのマウスにそれぞれ前回と全く同じNGFによる処置を施し、同時に全てのマウスに0.1mgのNIP-BSAをフロイント不完全アジュバントに混ぜたブースターワクチンを投与した。その4日後、それぞれのマウスから眼窩後方神経叢穿刺により0.4mlの血液を採取し、抗BSA抗体を血清標本にBSAを追加することによって中和した。NIP特異IgG滴定はELISA(酵素免疫吸着法)で評価した。プレートをNIP-BSA(PBS中35μg/ml)で覆い、1%のBSAを含有するPBSで飽和させ、0.05%(v/v)のTween-20を含有するPBSで洗浄し、37℃で1時間、一連のマウス血清希釈液とともに培養した。免疫化していないマウスの血清を対照標準として使用した。結合したIgは、アルカリ性フォスファターゼに結合したヤギ抗マウスIgGを添加して検出した。最終反応は、NPP(Sigma)置換溶液とともに培養することにより発色させ、405nmでの吸光度を測定した。結果は、下の表A、図1及び図2に示した。
図1及び2より、老年マウスにおいてはNGF処理が血清NIP-特異IgGの滴定量を著しく増加させているが、若年マウスの応答には何ら影響を与えていないことが判る。
NGF処理を施したマウスと対照標準のマウスの産生した特異IgGの、抗原NIP-BSAに対する親和力を、デキストランにNIP-BSAをカップリングしたものをセンサーチップとして用い、BIAコアマシンで分析した。この実験の結果より、抗原に対するIgGの親和力は、若年マウスと比較すると老年マウスでははるかに低くなっており、メモリ細胞の成熟状態に欠陥があることが解った。しかし、老年マウスにNGF処置を施すと、親和力の高いIgGを産生することが再び可能になり、液性免疫応答の量のみならず質までも改善されることが解った(データは未公開)。
この簡単なNGF投与が、ワクチン投与後長期間経過しても特異IgGの滴定量を高く維持することができるかを確認するために、同一のグループの老年マウスから、NIP-BSAのブースター投与後3ヶ月目に、血液標本を採取した。NIP特異IgGの血清滴定は、ELISAで測定した。図4より、NGF処置を施したマウスは、ブースター投与後長期間経過しても極めて高いNIP-特異IgG滴定値を示すことが解った。
これらの結果より、一次応答後の、Bメモリ細胞が成熟する時に、1回NGFを投与するだけで老年マウスの液性免疫応答の量も質も改善されることが解った。この時点でのNGF処置は、自分自身ではサイトカインを産生することのできなくなった、老年マウスのBメモリ細胞の生存を促す。これとは対照的に、若年マウスにおいては、メモリリンパ球は十分なNGFを自分で産生し、生存することができるので、NGF処置は効果が見られない。さらにこれらのデータは、液性免疫応答の損傷を特徴とする、一次または二次免疫不全の条件(癌、エイズ、慢性的な炎症等)下では、NGFの投与が役に立つことを示唆している。
本発明を実施例2でさらに説明する。
実施例2
要旨
神経成長因子(NGF)の産生を、培養中のヒトTリンパ球、Bリンパ球、及びマクロファージについて評価した。NGFは、基本的には表面にp140πλ-Aとp75NGFR分子を発現し、効率良くサイトカインを結合し、取り入れることのできるB細胞のみによって産生された。内因性NGFを中和すると、bcl-2蛋白が消滅し、表面IgGまたはIgAを有する休眠中のリンパ細胞、つまりメモリ細胞の一部がアポプトーシスによって死滅してしまった。しかし、表面IgM/IgDを有する「処女」のBリンパ細胞には、影響はなかった。生体に中和用の抗NGF抗体を投与すると、破傷風毒素、ニトロフェノール、砒酸塩などで免疫化したマウスの特異IgGの滴定量は著しく減少し、表面IgG及びIgAのB細胞数が激減した。
はじめに
初めて解明できた細胞間の情報伝達信号として、約30年程前に報告され、特徴づけられた神経成長因子(NGF)(Levi-Montalcini, 1987;Cohen, 1960)は、ニュートロフィンという名称で知られる、ニューロン細胞の調節された発達と生存のためには欠かせない蛋白質の一種である(Brade, 1990)。交感神経系及び知覚神経系のニューロンの生存を維持するNGFの役割は、既に数十年前に確認されている(Levi-Montalcini, Angeletti, 1966, 1968)。近年では、これら初期の見解が、前脳基底野コリン作働性細胞を含む中枢神経系ニューロンにも適用されるようになった(Johnson et al., 1986; Shelton, Reichardt, 1986)。NGFは他のニュートロフィン同様に、神経膠細胞や希突起膠等の神経システムの補助細胞によって産生され、主にパラクリン回路を形成することによってニューロンの分化過程を調節していると考えられている(Ernfors et al., 1990, Hofer et al., 1990)。
NGF、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニュートロフィン-3(NT-3)、及びNT4/5などのニュートロフィンは、標的細胞に対して標的細胞の表面にある受容体を通して影響を与えている。つまり、受容体がリガンドを結合し内部に取り入れると、適応応答である一連の生化学的反応が引き起こされるのである(Barde, 1990参照)。標的細胞の表面には、リガンドとの親和力の低い(Kα1nM)受容体と親和力の高い(Kα20pM)受容体の、2つのニュートロフィン結合部位が存在する。これら受容体の分子的性質が、最近特徴づけられた(Meakin, Shooter, 1992)。p75NGFRと呼ばれる75kDaグリコプロテインは、どのニューロンとも同様な親和力で、低親和力結合を媒介する(Chao, 1994)。trkチロシンキナーゼ受容体族に属し、ニュートロフィンとは高い親和力で結合する蛋白質は、高親和力結合に関与している。p140πλ-AはNGFと結合し、p140πλ-BはBDNFと、p140πλ-CはNT-3及びNT-4/5とそれぞれ結合する(Barbacid, 1994)。p75NGFRとp140πλ-AはNGF結合ヘテロダイマーを形成しないので、これら二種類の受容体はそれぞれ異なる信号を標的細胞に送っているものと思われる(Jing et al., 1992)。p75NGFRが、腫瘍壊死因子受容体I及びII、リンパ細胞表面抗原CD30, CD40, OX40及びFas/Apo-1表面抗原などの、アポプトーシスを防いだり媒介したりする分子に構造的に相同であることは、興味深い(Raffioni et al., 1993を参照)。
NGFをマウスの顎下腺から精製した報告が初めてなされて以来(Levi-Montalcini, 1987)、この因子は神経細胞以外の、例えばケラチン細胞(Di Marco et al., 1993)、や平滑筋細胞(Ueyama et al., 1993)などの数種の細胞によっても産生されうることが明らかになった。また、trkプロト癌遺伝子の発現型が、単核細胞(Ehrard et al., 1993a)やTリンパ細胞(Ehrard et al., 1993b)などの免疫細胞にも見られることが報告された。これらより、ニュートロフィン、特にNGFは神経システム以外でも重要な役割を果たしている、と考えられる。
上記の2点、及びサイトカインの受容体も含む一連の表面受容体と、p75NGFRが構造的に相同である事実、また自己免疫病の患者においてはNGFのプラスマレベルが上昇しているという観察結果(Dicou et al., 1993; Bracci-Laudiero et al., 1993; L.B.-L, L.A., E.G., 及びG. Rasi, 未発表)に鑑み、NGF及び/またはその受容体は、免疫システム細胞により発現されるのかどうかを調べることにした。その結果、NGFは基本条件の下ではヒトのBリンパ細胞によって合成、分泌され、B細胞には構造的に両方の受容体鎖p75NGFR及びp140πλ-Aが発現されていることが解った。さらに、内因性NGFはオートクライン回路で表面の表現型がBメモリ細胞である細胞の生存能力を維持し、生体におけるNGFの中和は二次液性免疫応答を消滅させることも解った。
結果
正常な免疫担当細胞によるNGFの産生
様々な生理学的な状況におけるNGFのプラスマレベルを評価する研究を通して、慢性的な肝臓疾患その他の自己免疫性条件に置かれた患者においては、サイトカインの量が極めて多いことに気が付いた。免疫担当細胞が関与しているとすれば、どの種類がNGFの産生に携わっているかを決定するために、正常な末梢血液または扁桃単核細胞(MNC)をT細胞、B細胞、および単核細胞に分画した。これらを、適当な刺激を与えた状態と与えない状態で培養し、その後NGFの合成と分泌の生化学的な証拠を求めた。その結果、B細胞のみがNGFを産生し、このNGF産生は黄色ブドウ球菌コーワン-1に刺激されると増加することが判った(a)。免疫ブロット法によると、抗NGF抗体を含有するBリンパ細胞の調整培地に大きな帯が現れたが、非免疫性IgG含有培地には現れなかった(データは未公開)。代謝標識B細胞の上澄み液を使った免疫沈降反応では、還元条件でMγ13kDaに、非還元条件ではMγ26kDaに単一の大きな帯が現れた。が、これらの帯は無標識NGFを過剰に加えることによって失われた。B細胞の溶解物及び上澄みの運動性を調べたところ、NGFは貯蔵されてはいないことが解った(データは未公開)。B細胞から得られた結果とは対照的に、Tリンパ細胞または単核細胞では、刺激を与えた後でもNGFの産生は認められなかった。つい最近の報告では、T細胞クローンもNGFを産生するそうだが(Ehrard et al., 1993b)、そのような細胞は(異なった最低20人のドナーの細胞を分析した結果によると)正常の末梢血液や扁桃標本にはほとんど見られないので、B細胞の産生のみに着目した。
B細胞は濃度勾配により分画し、高密度の分画は休眠中の、低密度の分画は生体中で活性化された細胞として扱った。両集団とも効率的にNGFを産生していた(活性化細胞集団の産生率の方が、休眠中の細胞集団の産生率よりも60%高かった)。次に、休眠中のB細胞に、ヒト免疫グロブリン鎖の恒常領域に対する抗体にインターロイキン−4を加えたもの(anti-μ+IL-4)、またはSACというB細胞に対して活性な2つの刺激のうちいずれかを与えたところ、前者は表面に(s)IgM+を有する細胞のみを活性化したのに対し、後者は全てのBリンパ細胞を活性化した(Romagnani et al., 1982)。anti-μ+IL-4刺激は無効であり、SACはNGFの合成と分泌を著しく強化することが明らかになった。同様の培地の上澄みをELISAで分析したところ、anti-μ+IL-4刺激を与えられた細胞、または全く刺激を与えられなかった細胞ではNGFの産生は徐々に減少していったが、SACで刺激した細胞ではNGF産生は著しく増加していた。ところが細胞の繁殖を誘因するという意味においては両刺激ともに有効で、刺激指数はanti-μ+IL-4で>10、SACで>20だった。これらの結果より、anti-μ+IL-4ではなくSACがNGF産生への代謝経路を引き起こしていることが解った。もうひとつの解釈としては、anti-μ+IL-4に通常応答するリンパ球はほとんどが処女sμ+δ+細胞であるが、これはsIg架橋のせいでNGF産生に関与しない(または関与できない)のに対して、SACに応答するリンパ球、つまりsγ+及びsα+(sα+/γ+)表現型を有する細胞集団はNGF産生に関与しており、サイトカインは、後者の細胞グループに特異的な機能プログラムの中に組み込まれていることが伺われる。
正常なヒト免疫担当細胞におけるNGF受容体分子の発現
NGFがBリンパ球で産生されることが観察されたので、B細胞にはNGF受容体も存在し、オートクラインフィードバック回路が形成されているかどうかを調べてみることにした。この目的のために、末梢血液T細胞、B細胞、及び単核細胞を使用して、神経システムの細胞で見られた2種類のNGF結合分子、p140πλ-A(trk)及び75NGFRが発現されているかどうかを調べた。細胞溶解物を特異抗体を使用してウエスタンブロット法で分析したところ、いずれのタイプの細胞もtrk分子を有していた。75NGFRは、B細胞のみが産生しているのが興味深かった。さらに、FACS法により、75NGFRの鎖に対する抗体と、trk分子中の細胞外サイトカイン結合領域に対するモノクロナル抗体Tmg 13.1とで、同じ細胞を染色してみた(Eager, 1991)。免疫化学的アプローチの結果と一致して、二重染色が認められたのはB細胞のみであり、T細胞と単核細胞はTmg13.1でのみ染色された(データは未公開)。
Bリンパ球に両受容体の鎖が同時に発現されているのは、神経細胞に典型的な状態であり、Bリンパ球が、サイトカインから伝達される信号に完璧に応答できるよう装備されていることを示している。ゆえに、リンパ球におけるNGFの機能的な役割を知るのに適当なデータを得るためには、B細胞に注目するのが妥当である。
サイトカインの結合と、サイトカインの機能的な効果を分析するために、扁桃Bリンパ球を小さな細胞と大きな細胞に分け、平衡結合評価法を用いて、両細胞グループのNGFを結合し取り入れる能力を調べた。休眠中および生体内で活性化されたB細胞のいずれも、効果的に125I-NGFを取り入れていた(データは未公開)。大きな休眠細胞では、125I-NGFの飽和カーブとスカッチャード転換が観察された。大きな細胞は期待通りに2種類の結合部位を持っており、神経細胞で得られたデータに符合して、Kα30pM(30,000部位/細胞)及びKα1nM(106結合部位/細胞)であった。意外なことに、小さな休眠B細胞を同様に分析したところ、両受容体の鎖は明らかに発現され、またサイトカインも効率的に取り入れられていたにも関わらず、極めて高濃度の125I-NGFとともに培養した後でも飽和結合は観察されなかった(データは未公開)。この矛盾は、オートクライン回路が作働している場合にはしばしば発生する状況なのだが(Cozzolino et al., 1989; Cozzolino et al., 1990)、内因性のリガンドが既に受容体部位を占めていた可能性を示唆するものである。そのため、結合評価を行なう前に、精製した小さなBリンパ球を緩衝液でpH3.0に調整した培養液で短時間(4℃で60秒間)処理し、次に通常の媒質で洗浄した。この条件では、高親和力及び低親和力(Kα170pM及び1nM)の受容体が、それぞれ90,000及び106結合部位/細胞の割合で検出された。さらに、これら受容体部位が、オートクライン回路が存在するゆえに、確かにNGFによって占められいるという仮定を支持するために、酸性pH溶出液(対照標準としては中性pH溶出液)をSDS-PAGEに通し、ブロット分析し、特異抗NGF抗体で染色した。サイトカインは、酸性溶出液にのみ検出された。これらの結果は全て、Bリンパ球には完全に機能する2種類のNGF受容体が発現されていることを確認するものである。
B細胞中の内因性NGF中和の効果
B細胞はNGFを産生し、高親和力と低親和力を示す受容体を発現しているという上記のデータは、オートクライン回路が存在するという仮定を支持するものである。この回路のもたらす機能を理解するために、内因性NGFを中和することによってB細胞の特性にどのような影響が及ぶかを評価した。この目的のためには、NGFを中和する抗体、またはNGFアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用した。まず抗NGF抗体を、休眠中の末梢血液または扁桃Bリンパ球をanti-μ+IL-4またはSACで刺激してから、これらの細胞を、従来の3H-チミジン取り込み評価法でテストした。両刺激ともに、対照標準の未免疫化抗体の存在下では活発な応答を引き起こした。ところが抗NGF抗体存在下では、anti-μ+IL-4に対する応答には何ら変化はなかったのだが、SACに対する応答は20−30%も減少した(表1)。これは、B細胞のSACに対する繁殖応答に、NGFが関与していることを示している。次に、最適以下の用量の刺激を与え、外因性の組み替えNGFを添加してみたのだが(表1)、3H−チミジン取り込み量を増加させることはできなかった(データは未公開)。このことは、サイトカインは成長因子として機能しているのではないことを示している。低濃度の生体内未活性化B細胞の自発的な繁殖を抗NGF抗体が抑えられないことも(データ未公開)、前記の考察と一致する。このanti-μ+IL-4及びSACを使用した刺激実験により、有糸***促進物質には様々な細胞集団が応答しており、この細胞集団はNGF産生の観点に加え、NGF利用の観点からも機能的に区別されることが解った。この考察を深めるために、休眠中の扁桃Bリンパ球をpanningにより、sμ+δ+細胞とsγ+及びsα+細胞(sγ+/α+)に分け、anti-μ+IL-4及びSACで刺激した。表1より、SACに応答するsμ+δ+細胞の繁殖は、抗NGF抗体の中和からは全く影響を受けていないことが解る。anti-μ+IL-4に対する応答としてのsγ+/α+細胞の繁殖は、予想通りきわめて弱かったが(データ未公開)、SACに対する応答は極めて活発だった。そして、抗NGF抗体存在下では、SAC刺激を与えても3H−チミジン取り込み量は>80%も減少した(p<0.0001)。この結果とNGF産生実験の結果を合わせると、サイトカインはsγ+/α+細胞には重要であっても、sμ+δ+細胞には必要ではないことが解る。
上記のデータは、休眠中のsμ+δ+細胞及びsγ+/α+細胞に与えるNGFの影響について、さらなる考察を促す。NGFは、試験管内のB細胞の成長を促進することはできない事実(表1)と、NGFはニューロン細胞の生存を維持している(NGF不在では、この細胞はアポプトーシスで自滅してしまう)という周知の特性を考慮すると、NGFは休眠中のsμ+δ+細胞またはsγ+/α+細胞の生存率を高めているのではないか、という推察が成り立つ。このことを確認するために、扁桃から精製したこれらの細胞集団を、抗NGF抗体またはNGFアンチセンスオリゴヌクレオチドとともに、期間を変えて培養し、断片/完全DNAの割合を、アポプトーシスを起こす細胞のパーセンテージの尺度として記録した。sμ+δ+細胞では、抗NGF抗体で処理した場合も、対照標準の未免疫化IgG(またはセンスオリゴヌクレオチド)で処理した場合も、アポプトーシスの割合は同じ値であった。ところが、sγ+/α+細胞では抗NGF抗体、オリゴヌクレオチドのいずれで処理した場合でも、60時間後のアポプトーシス細胞の割合は>60%であるのに対し、対照標準培地においては、その割合は<20%であった(p<0.0001)。このタイプの細胞のアポプトーシスの運動性は、sμ+δ+細胞のそれよりもはるかに遅く、試験管内における両タイプの細胞の潜在的な生命力に大きな差があることが解った。
これら一連の実験によって、sγ+/α+細胞にとっては、内因性のNGFは、中和されると細胞のアポプトーシスをもたらすので、オートクライン生存因子であると言えるが、sμ+δ+細胞にとってはそうではなく、sγ+/α+細胞のみがサイトカインを同化することができることを示唆している。この考察を確認するためにELISAを用いて、精製した細胞集団のNGF産生を分析した。その結果、sγ+/α+細胞はsμ+δ+細胞の少なくとも8倍のNGFを産生することが確認された(409 19pg/107細胞対51 4pg/107細胞; n=9)。
サブクラス間の機能的な違いはNGFの産生よりはむしろNGFの利用に基づくものではないかどうかを確認するために、アポプトーシスへ導く経路で重要な決定因子の役割を果たしている蛋白質bcl-2の転換を調べた(Korsmeyer, 1992)。精製した休眠中のsγ+/α+細胞集団及びsμ+δ+細胞集団を抗NGF抗体または対照標準抗体とともに18時間培養し、溶解し、細胞内のbcl-2蛋白含有量を分析した。内因性NGFの中和によって、sγ+/α+細胞のbcl-2蛋白質は完全に消滅したが、sμ+δ+細胞のbcl-2蛋白含有量は何ら影響を受けなかった。これより、NGFの利用に関してサブクラス間に大きな違いがあることが解った。
抗NGF抗体による生体内のBメモリ細胞の消耗
sμ+δ+表現型は処女B細胞に対応し、sγ+/α+表現型細胞は、Bメモリ細胞も含めてIgの恒常領域のクラススイッチを既に経験したリンパ球であることから(Kishimoto, Hirano, 1989; Sprent, 1994)、オートクラインNGFはBメモリ細胞の生存因子である、という仮説を立て、これを確認するために、生体で、周知のハプテン特異システムであるニトロフェノール-BSA(NP)、アルソネートKLH(Ars)、または複合(モザイク)抗原システム破傷風毒素(TT)を分析した。まず、ヒトのB細胞とネズミのB細胞は、NGF合成(ネズミでは、sγ+/α+細胞、sμ+δ+細胞がそれぞれ234±21, 28±3pg/107細胞を合成)、NGF受容体発現(ネズミの非分画sIg+細胞は、1細胞につき4,800の高親和力の(Kα=135pM)、106の低親和力の(Kα=1.1nM)結合部位を有する)、及び生体内の細胞生存に及ぼすサイトカインの重要な機能(抗NGF抗体で中和後、sγ+/α+細胞では70%のDNA断片が認められた)などの観点から、本質的に類似していることを確認した。それぞれ20匹ずつのBALB/cまたはC57BL/6マウスのグループを適当な抗原で免疫化し、40日後10匹には抗NGFIgGを1回分、他の10匹には対照標準として未免疫化IgGを注射した。さらに48時間後、全てのマウスにそれぞれ同じ抗原をブースター投与し、さらに4日後、全マウスを殺し、ELISAを用いて抗原特異IgMとIgGのプラスマ濃度を計測した。抗NGF抗体を投与したマウスは、抗原特異IgGのレベルが対照標準投与のマウスよりも低くなった(p<0.001)。これに対して、抗原特異IgMの濃度には特に差がなかったことから、処女B細胞が抗原に接することで新しく形成された、二度目の「一次」応答は影響を受けなかったことが解る。この結論を支持するために、さらに2グループのマウスを、抗NGFIgGまたは対照標準IgGで処理し、48時間後にTTで免疫化し、さらに1週間後、殺してTT特異性IgMのプラスマレベルを計測したところ、両グループに統計学的な差は認められなかった(抗NGFIgGで処理したネズミは0.275±0.032 Abs 405任意の単位で、対照標準のネズミは0.284±0.041)(データ未公開)。
上記の結果は試験管内の実験で得られたデータと一致して、抗NGF抗体はアイソタイプがスイッチしたBメモリ細胞のほとんどを死滅させ、二次液性応答を消滅させることを示している。この考察を支える直接的な証拠を得るために、2グループの正常な成年マウスを、それぞれ抗NGFIgGまたは対照標準IgGで処理し、3日後に脾臓細胞を分離し、B細胞サブクラスの比率をフローサイトメトリ法で計測した。抗NGFIgG処理マウスでは対照標準と比較するとsγ+/α+細胞のパーセンテージは著しく減少していたのに対し、sμ+δ+細胞のパーセンテージでは両グループにほとんど差は見られなかった。これら一連の実験の結果、NGFは生体内においてもBメモリ細胞の維持に影響を与えていることが解った。
NGFはBリンパ球のスイッチ因子ではない
上述の生体内におけるNGF中和実験の結果は、このサイトカインはBメモリリンパ球のオートクライン生存因子である、という仮説と一致する。しかし、NGFがCD40リガンド(Aruffo, et al., 1993)とともにIgMIgGクラススイッチを支配する機構に参加しているとしても、同じ結果が得られたはずである。しかしもしそうだとすれば、リンパ細胞の多クローン性集団を生体内で抗NGF抗体存在下分化させる時にはいつでも、IgM産生細胞の比率は高く、IgGまたはIgA産生細胞の量は小さくなくてはならないはずである。そこで、正常なヒト末梢血液単核細胞を、多クローン性分化を起こさせるためにポークウィード有糸***促進剤(Kishimoto, Hirano, 1989)とともに、陰性対照標準として抗NGFIgGまたは未免疫化IgGとともに、そして陽性対照標準として、遺伝子学的に組み立てられたCD40-gp39の相互作用を防ぐ分子である可溶CD40五量体(Fanslow et al., 1992)とともに、10日間培養した。ELISAでIgを計測したところ、抗NGF抗体はポークウィード***促進剤培地内のIgG及びIgAのレベルを明らかに下げたが、IgMのレベルも対照標準培地と比較すると20%下がっていた(表2)。これとは対照的に、CD40五量体は対照標準と比較するとIgG及びIgA分泌を抑制したが、IgMの分泌は促進された(表2)。
これらの実験により、観察された変化には別々のメカニズムが関与していると考えられる。実際、可溶性CD40五量体は、Igのクラススイッチを阻止し、細胞を未スイッチ状態に蓄積しゆく(つまりs’)。これに対して抗NGF抗体は、IgG及びIgA産性細胞を大幅に減少させてしまう。それぞれの前駆細胞が失われて(死んで)しまうのである。この結果は、s+またはs+細胞の減少はs−細胞の増加を伴わない、という上述の生体における実験結果と一致する。これらの結果をまとめると、正常なヒトまたはネズミのBリンパ細胞に対して、NGFは「スイッチ因子」として働きかけてはいない、と考えられる。
検討
多数の化学構造を厳密に区別し、これらとの接触の痕跡を、特異性と記憶によって保持し続ける能力こそが、免疫システムに顕著な特長である。分子的な観点から見た特異性は、T及びBリンパ細胞に発現された抗原受容体の生化学と遺伝学を広汎に研究することでおおよそ解明されてきたのだが、免疫記憶に関する知識はまだほとんど現象論に留まっている。特に、大半のリンパ球のような単一のメモリ細胞が、静止した状態で明確な特定の寿命を持っているのか、はたまた何年も生き続け、場合によっては生体とともに一生生き続けることができるのか、という点は解明されるべきであろう。いくつかの仮説が唱えられているが、有力な説は、抗原がリンパ器管内に長期間存在し、その結果、免疫細胞が継続的にゆっくりと繁殖を続け免疫記憶を維持する(Gray, 1993)、としている。しかし、抗原が、特にこれが蛋白質である場合、何年間も変化せずにいると考えるのは難しい(Sprent, 1994)。しかし、免疫記憶が非循環細胞によって極めて長期間保持されうることの証拠は発見されている(Schittek, Rajewsky, 1990)。しかし、この細胞の生存を可能にしている分子的なメカニズムは、まだ解明されていない。現時点では、Bメモリリンパ球はオートクライン生存因子であるNGFを産生する能力を有するので、発生すると、ニューロンに代表される表現型、Bizzozzeroの「永久細胞」の運命をたどる、と考えられている。
主要な見解によれば、抗NGFで中和することによって、精製休眠B細胞のsγ+/α+のNGF受容体が作働するのを妨げると、多量の細胞がアポプトーシスで死滅するので、このサイトカインは成長因子というよりは、むしろ生存因子として機能していることが伺われる。さらに、休眠中の分画していないB細胞をanti-μ抗体+IL-4で刺激すると、強い繁殖応答が引き起こされるのだが、NGF産生率は特に高くはならないし、外因性組み替えNGFを添加しても、繁殖は強化されなかったし、また抗NGF抗体も繁殖には何ら影響を与えなかった。また、SACで同じ細胞を刺激した場合には、NGFの分泌量は増加したが、外因性サイトカインを添加し、刺激を最適以下の用量使用しても、3H−チミジン取り込みを強化することはできなかった。これに符合して、低密度の生体内未活性化B細胞は多量のNGFを産生しているのだが、飽和量の抗NGF抗体を加えてもB細胞の繁殖を止めることはなかった。このサイトカインが成長因子であるならば繁殖は止められたはずであるので、NGFはむしろ生存因子であると見なすのが妥当であろう。
この結論は、リンパ球に対するNGF固有の成長刺激活性について、過去に出された報告とは相反するものである(Otten et al., 1989; Brodie, Gelfand, 1992)。しかし、我々の発見によれば、培地での低密度条件では基本的な繁殖が促され、外因性NGFの添加は試験管内で自然に死ぬ細胞[特に、IgA及びIgGを分泌する細胞(Kimata et al., 1991)]の数を減らした可能性があり、これを考慮すれば過去の報告もあらたな解釈ができるようになる。さらに、IL-3及び幹細胞因子(Stem Cell Factor)は、培養液中の休眠非循環リンパ造血幹細胞の長期間の生存を助けている事実(Katayama et al., 1993)からも解るように、成長因子と生存因子の違いは純粋に名目上のものなのである。
NGFはB細胞によって自発的に産生されているという発見により、NGFの「炎症性」機能が証明されたことになろう(Aloeet al., 1994)。つまり、NGFはおそらくパラクリンな方法で、このサイトカインに応答するために必要な受容体機構は装備しているがEhrhard, et al., 1993a)、自身ではNGFを産生することのできない(Santambrogio, et al., 1994)、マクロファージのような炎症部位の細胞の機能を援助しているのである。同様のことは、T細胞についても言える。この度の研究では、NGF受容体を発現しているT細胞のサブクラスについては、表現型の見地からも、また機能的な見地からも、正確な特徴づけは行なわなかったが、多分NGFには応答しているものと思われる。B細胞由来のNGFは、B細胞がT細胞に抗原を提示するという複雑な現象の中で、特に二次免疫応答が起こる際に、重要な役目を果たしているものと考えられる。事実、sIgG+Bメモリ細胞が抗原に対して最も高い親和力を示す受容体を発現しており(Siekevits et al., 1987; MacLennan, Gray, 1986)、それゆえ抗原の量が限られている場合には、抗原結合の競争において有利な立場に立つことになる。Bメモリ細胞のNGF分泌は、処女T細胞またはTメモリ細胞の正常な活性化のためには欠かせないものである。
本研究中に見出した重要な事実は、NGFを結合するtrk分子とp75NGFR分子の2種類の鎖が、ニューロン細胞の場合と同様に、Bリンパ球にも同時に発現されていることである。NGFは最初に分析されたサイトカインであるにも関わらず、NGFとそれぞれの受容体鎖との相互作用が引き起こす特異的な代謝経路についてはほとんど何も解っていないし、両方の鎖がリガンド1分子の結合に協力するのかどうかも知られていない。この点に関しては、相反する結果が報告されている(Jing et al., 1992; Benedettietal., 1993; Huber, Chao, 1995)。しかし、p75NGFRの発現型は、蛋白質が結合していないとニューロン細胞の死滅を引き起こし、NGFまたは単クーロン抗体が結合していれば細胞の死滅は阻止されることは解っている(Rabizadeh et al., 1993)。このことは、p75NGFR自身が生物学的な信号を送ることができることを示唆しており、これは、p75NGFRが、標的細胞にアポプトーシスを引き起こしたり、またこれを防いだりすることのできるTNFR I, TNFR II, Fas/Apo-1及びCD40などの一連の受容体鎖(Raffioni et al., 1993)と、構造的に相同であることと符合している。抗p75NGFRで処理しても何ら影響はないが、オートクラインNGFを中和するとB細胞は死滅する(原稿作成中)、という今回の発見は、受容体鎖が生存か死滅かという分岐点に働きかける信号の媒体であることを示しており、また上述の報告とも完全に一致するものである。興味深いことに、p75NGFRとCD40は構造的に相同であるにも関わらず、NGFはあきらかにIgのクラススイッチには関与していなかった。
ケラチノサイトやメラノサイト(Yaar et al., 1994; Di Marco et al., 1993)などのある種の細胞では、trkは細胞の繁殖を刺激する信号を媒体しているが、このことは、ニューロン細胞ではtrkが関与すると、ホスファチジルイノシトール-3キナーゼが活性化されることによって、アポプトーシスが阻止されるという現象(Yao, Cooper, 1995)とは対照的である。この違いは、ほとんどのサイトカイン受容体に見られるように、ここでも他の鎖が存在していて、それらがp75NGFRやtrkとともに複数鎖受容体コンプレックスを形成しているために生じた、と考えることができる。この仮説は、大きなB細胞集団と休眠B細胞集団が示すNGF結合親和力の、限定的ではあるが明確な相違をも説明してくれるものである(大きな細胞=30pM対 休眠細胞=170pM)。
表面Igアイソタイプ発現型に基づいて正常な休眠Bリンパ球を分類すると、2つの機能的に異なったサブクラスに分けることができる。つまり、sμ+δ+処女細胞とsγ+/α+メモリ細胞である(Kishimoto, Hirano, 1989)。我々はこの観点からNGFオートクライン回路の役割を理解しようと試み、このサイトカインはヒトにおいても、またネズミにおいてもメモリ細胞にとっての内因性生存因子である、という考察の手掛かりを幾つか発見した。まず第一に、処女細胞もメモリ細胞も、基本的には同レベルのNGF受容体を発現しているのだが、メモリ細胞は処女細胞の少なくとも8倍の量のNGFを産生していた。第二に、抗NGF抗体の中和はbcl-2蛋白質の消失を招き、その結果sγ+/α+細胞では大量のDNA断片が生じるが、sμ+δ+細胞においてはこれは顕著ではなかった。第三に、生体に抗NGF抗体を投与すると、二次抗原特異免疫応答は消滅したが、一次IgM応答には影響はなかった。そして最後に、正常な動物に一度抗NGF抗体を注射すると、Bリンパ球がスイッチしたアイソタイプであるメモリ細胞の比率が減少した。しかしこれらの発見は、2つの重要な点を指摘している。つまり、NGFの遺伝子発現が起こる成熟段階と、NGF、bcl-2間の相互関係の問題である。
sμ+δ+細胞も少量ではあるが検出可能な程度にはNGFを産生している事実から、機能的な特徴は未だこれから解明されなくてはならないB細胞の個体発生中の比較的早い段階で、既にNGF産生が起きていると思われる。しかし、B細胞サブクラスの量的な差を考慮すると、sμ+細胞にもIgM以外のIgを分泌する細胞を生み出すメモリリンパ球が含まれていると考えられる(Gray, 1993)。そうであるならば、我々が観察したsμ+細胞由来のNGFは、この種の細胞によって産生された可能性があり、その場合にはNGF遺伝子発現は、Igクラススイッチを司るのと同一の分子機構に結び付き、統制されているのであろう。
bcl-2は、ニューロン及びリンパ細胞、特にBメモリ細胞の生存の調節に決定的な役割を果たしている蛋白質で(Batistatou a et al., 1993; Hawkins, Vaux; 1994; Nunez et al., 1991)、休眠中のsIgG+またはsIgA+細胞に抗NGF抗体を使用して中和処理を施すと消滅してしまうのだが、NGF受容体鎖とこのbcl-2を結び付けている分子経路については、現時点ではほとんど何も解っていない。最近、活性酸素の一種、さらに一般的には、細胞内の酸化還元ポテンシャルの変化が、この経路に関与していると考えられる証拠が見つかった(Greenlund et al., 1995)。これに関連して、酸化窒素シンターゼを発現しているEBV-感染Bリンパ球では、酸化窒素の産生が低率のためにアポプトーシスが阻止されていることが示されたが(Mannicketal., 1994)、酸化窒素の産生が低率であることは、細胞内の酸化還元ポテンシャルの影響を受けや、また逆に酸化還元ポテンシャルの維持にも関与しているbcl-2の、代謝を調節しているチオール感知経路にさまざまなレベルで影響を与えていると思われる(Hockenbery et al., 1993)。Mosialos et al.がつい最近(1995)興味深い報告をしたのだが、それによると、TNF/Fas/NGF受容体族から送られてくる信号を変換する蛋白質の間には機能的な相互関係が存在する、という。TNFは細胞の酸化還元平衡に変化をもたらすのであるから(Ishii et al., 1992)、これらの蛋白質分子はNGFが引き起こす適応反応にも参加している可能性がある。我々は現在、B細胞にNGF中和を施して、この仮説の立証を研究しているところである。
考慮に値する証拠として、少なくともリンパ細胞においては、アポプトーシスも生存もいずれもオートクライン回路によって調節されており、我々のデータによれば、アポプトーシスにはFas/Apo-1及びそのリガンド(Brunner et al., 1995; Dhein et al., 1995; Ju et al., 1995)、生存にはNGFが関与していることを発見した。このような配備が存在すれば、細胞がいずれの経路をたどるにせよ、すべての分子的な必要条件は直ちに満たされることが保証されており、また我々にとっては、複雑な機能変化が秩序正しく行われているリンパ器官という部位を理解することが容易になる。リガンドを分泌したり、これを細胞外の受容体に結合したりするオートクライン回路は、「私的」な内分泌性回路とは異なり「公的」である、という事実は、両回路の機能は受容体拮抗作用または可溶性受容体によって調節されており、たったひとつのリンパ球の運命も、「社会的コントロール」という複雑な網で覆われていることを示している。この複雑さが、薬理学的アプローチで得られる動力学としばしば衝突するのはおもしろいことである。
実験の手順
細胞の分離と培地
ヒトTリンパ球は、E―ロゼット法で末梢血液単核細胞または扁桃細胞より分離した。単核細胞は、プラスチック製ペトリ皿に吸着させて分離した。Bリンパ球は、非T細胞集団よりCD-19で覆った磁石ビーズを用いて精製した。ネズミBリンパ球は、上記の方法で単核細胞より分離し、抗CD3∈単クローン性抗体(Boheringer Mannheim, Milano, Italy)を用いた陰性選択を2回行なって、脾臓細胞から分離した。フローサイトメトリで計測した細胞集団の純度は95%以上であった。ヒト及びネズミのB細胞は、Percoll密度勾配により、休眠細胞(高密度)と活性化細胞(低密度)とに分画した。フローサトメトリ評価によると、扁桃休眠B細胞中のsIgM+、sIgG+及びsIgA+の比率はそれぞれ65%、25%及び10%であった。
繁殖評価のためには、B細胞をRPMI 1640(GIBCO, Milano)媒質に106/mlの濃度で加え、10% v/vウシ胎児血清(FCS, Hyclone, Logan, UT)を追加し、72時間、5%CO2を含有する湿った空気中、96-wellプレートで培養した。加熱不活性化黄色ブドウ球菌コーワン1株(SAC, Boheringer Mannheim)は、最終希釈1:10,000に使用した。ヒトrIL-4(R&D, Minneapolis, MN)は100U/ml、ウサギ抗ヒト鎖は1g/ml、NGF(Boheringer Mannheim)は100ng/ml、中和用ヤギ抗NGF抗体[R&D, IMR-32神経芽細胞腫の細胞繁殖評価(Janet et al., 1995)では、100ng/mlのNGFに対する応答として、ND50=10μg/ml]または未免疫化ヤギIgGは10μg/mlの濃度で使用した。培養の最後12時間には、細胞に3H-チミジンの0.5Ciを適用し、β−シンチレーションを用いて数えた。
免疫グロブリン産生実験のためには、ヒト末梢血液単核細胞を、ポークウィード有糸***促進剤(GIBCO)を10g/ml、抗NGF抗体を10g/ml、未免疫化ヤギIgGを10g/ml、CD40-またはCD4-上澄み液(最終希釈度1:10)が存在する培地としない培地で、それぞれ12日間培養した。その後、上澄み液を採集し、ELISAを用いてIgG, IgA及びIgM産生を分析した。
NGF産生分析のためには、細胞(2×107)を107/mlの濃度で、血清を含まないRPMI-1640の中で、10%(v/v)のNutndoma(Sigma)を追加し、異なった期間、SAC(最終希釈度1:10,000)、フィトヘムアグルチニン(PHA-P, 1g/ml, GIBCO)、リポ多糖類(LPS 10g/ml, Sigma)が存在する場合と存在しない場合を作って培養し、生じた上澄み液をELISAで評価した。
B細胞サブクラスの分離は、ウサギ抗ヒトIgMとウサギ抗ヒトIgDの組み合わせ(以後sμ+δ+という)、ウサギ抗ヒトIgGとウサギ抗ヒトIgAの組み合わせ(以後s+/+という)、またはヤギ抗ネズミIgMとIgDの組み合わせ、またはIgGとIgAの組み合わせで表面を覆ったプラスチック製ペトリ皿を使用し(Wysocki et al., 1978)、panning法で行なった。分離されたサブクラスの純度は、特異的なmAbsを用いたフローサイトメトリで評価したところ、常に>90%であった。活性化過程に続いてsIg受容体が反応を引き起こすという障害を避けるために、3回吸着を起こさせた後に、Igで覆った皿から回収された、相反する非吸着細胞集団(例えば大半がs+/+細胞である時のs−細胞)を使用して、すべての実験を繰り返した。
細胞の生存力とDNA分断の決定
5×106/mlの濃度のヒトまたはネズミのB細胞サブクラスを、NGFコード領域のヌクレオチド54-72(Primm, Milano, Italy)とともに、10μg/mlの抗NGFIgGか未免疫化IgG、または20μMのアンチセンスかセンスオリゴヌクレオチドの18量体を加えて培養し、5mM Tris、20mM EDTA及び0.5%(v/v)Triton X-100を用いて1:1.5(pH 8.0)に希釈し、氷上で15分間溶解させ、20分間27,000xgで遠心分離し、完全無傷のクロマチン(ペレット)をDNA断片(上澄み)より分離した。ペレットは、10mMのTris及び1mMのEDTAを含有する緩衝液(pH 8.0)5mlに再度懸濁した。DNA含有量は、ペレットと上澄みの標本を、ジフェニルアミン試薬(1.5%のジフェニルアミン酢酸溶液と10%のアセトアルデヒド)を用いて16時間、30℃で評価した(Burton, 1956)。両標本について、600nmでの光学密度を計測した。DNA分断の割合は、MacConkey et al.(1989)の方法で計算した。細胞の生存力は、トリパンブルー染料排除法によって評価した。
放射リガンド結合の研究
表面NGF受容体の分析のために、ヒト休眠扁桃B細胞またはネズミ脾臓B細胞を、pH3.0に調整したRPMI-1640媒質を用い、1分間氷の上で酸性処理し、PBSで洗浄した。酸性処理を施した休眠Bリンパ球及び生体内で活性化された大きなB細胞は、106/mlの濃度で、過剰量の無標識ヒトrNGFを使用する場合としない場合を作り、様々な濃度の125I-NGF(Amersham, Milano, 特異活性50Ci/g)中で、2時間4℃で培養した。次に細胞を洗浄し、結合された放射能をαγ-カウンターで計測した。特異結合は、実験を行なう度に計算し、集められたデータを、科学的プログラムを使用して分析した(Fig. P, Biosoft, Cambridge, UK)。放射リガンド取り込み実験のために、細胞を上述の通り、0.5nM 125I-NGFとともに、過剰量の無標識NGFを使用する場合としない場合を作って培養し、洗浄し、37℃で2時間培養し、グリシン緩衝液(pH 2.8)で処理し、溶解した。膜結合(酸性溶出液)及び細胞関連放射能は、αγ−カウンターで計測した。受容体結合内因性リガンドの検出のために、108の休眠B細胞から得られた中性pHの洗浄液及び酸性pHの溶出液を、TCAで濃縮し、ニトロセルロース上でブロットし、抗NGFIgGまたは未免疫化IgGで免疫染色した。
免疫化学的分析
ウエスタンブロット分析のために、2×107細胞を含有する上澄み液またはNP-40(PBS中で0.25%)を、TCAで沈降させ、エタノールで洗浄し、2―メルカプトエタノールLaemmli緩衝液で1:1に希釈した。標本は、SDS-PAGEに通し、ニトロセルロースフィルターに対してブロットし、適当な抗体[ヤギ抗NGF、ウサギ抗trk(Genzyme, Boston, MA)、ネズミ抗p75NGFR(Boheringer Mannheim)、ネズミ抗bcl-2(Santa Cruz Technology, Milano)]または未免疫化Igを用いて免疫染色した。抗原抗体複合体は、適当な2つ目の抗体を用いて可視化し、製造会社(Amersham)の指示に従ってECL検出システムにより検出した。内因性の標識づけと免疫沈降反応の実験用には、細胞を3回システイン抜きのRPMI-1640(GIBCO)で洗浄し、この同じ媒質に5%の透析済みFCS及び200Ci 35S-システイン(Amersham, 特異的活性800Ci/mM)を追加した培地で、107/mlの濃度で4時間、37℃で5%のCO2中、培養した。上澄みを取り除き、細胞を冷PBSで洗浄し、0.25%のNP-40と1mMのPMSFの混合物の中で溶解した。上澄み液と細胞溶解物は、100μg/mlヒトrNGFを使用する場合としない場合を作り、文献記載の方法(Cozzolino et al., 1990)で免疫沈降させた。免疫沈降反応物は、洗浄し、2―メルカプトエタノールを使用する場合としない場合を作りSDSLaemmli緩衝液で溶出し、15%のSDS-PAGEのスラブ上を通した。尚、このスラブは、Amplify(Amersham)で処理し、乾燥し、-70℃でHyperフィルムMP(Amersham)に晒したものである。
ネズミの免疫化と処理
p―アミノフェニルアルソン酸をジアゾ化し、40mgのハプテン対1gの蛋白質の比率でキーホールリンペットヘモシアニン(KLH,Calbiochem)にカップリングした。(4-ヒドロキシ-5-ヨード-3-ニトロフェニル)アセチル(NIP, Dr. D.Schilovichより贈呈、HSR, Milano)をReth et al., 1978の方法に従って、ウシ血清アルブミン(NIP-BSA)にカップリングした。生後6週間経った雌のBalb/cネズミ20匹ずつを2グループ用意し、0.1mlのTT溶液[15μg/ml(Anatetal, Biocine-Sclavo, Siena, Italy)]を皮下に、または0.1mgのArs-KLHを腹腔内に注射し、1グループ20匹のC57BL/6ネズミに、0.1mg NIP-BSAを腹腔内に注射した。40日間の準備期間の後、それぞれのグループの10匹にヤギ抗NGFIgG(500μg/ネズミ)、他の10匹に未免疫化ヤギIgG(500μg/ネズミ)を投与し、その48時間後、全てのネズミに同量の適当な抗体をブースター投与した。2回目の免疫化から4日後に、眼窩後方神経叢から採血した。TT、NIP-BSAまたはArs-KLHで免疫化した10匹ずつの別のグループのネズミを、ブースター投与直前の抗原特異IgGの尺度として利用した。
脾臓細胞のFACS分析のために、10匹ずつの成年BALB/cネズミのグループに、72時間以内に抗NGF抗体またはヤギIgGの注射(0.5mg/ネズミ)を2回行なった。その72時間後、ネズミを殺し、単核細胞を取り除いて脾臓細胞を得た。表面IgG+、IgA+及びIgM+脾臓細胞のパーセンテージは、特異的な抗体をもちいて、フローサイトメトリ法で決定した。
ELISA酵素免疫吸着法
NGFのELISA評価は、
が報告した方法に従って実施した。破傷風毒素特異IgGまたはIgM滴定の評価には、プレートをTT(10g/ml)を0.1Mのホウ酸緩衝液(pH 8.6)に加えた溶液50lで覆い、一晩4℃に放置した。NIPまたはArs特異IgGまたはIgM滴定の評価には、プレートをNIP-KLHまたはArs-BSA(PBS中35μg/ml)で覆った。免疫複合体の特異IgGまたはIgM滴定も、プレートをNIP-BSAまたはArs-KLHで覆って評価した。1%のBSAを含有するPBSで飽和し、0.05%(v/v)のTween 20を含有するPBSで洗浄した後、被覆したプレートを連続的に希釈度を変えたネズミの血清とともに、1時間37℃で培養した。未免疫化マウスの血清を陰性対照標準として使用した。結合Igは、アルカリ性フォスファターゼ結合ヤギ抗ネズミIgGまたはIgMを添加して検出した。最終反応は、NPP(Sigma)置換溶液を用いて培養し可視化し、405nmにおける吸光度を記録した。
休眠未分画(UF)Bリンパ球または精製細胞集団を48時間培養し、培養の最後の12時間には3H−チミジンを適用した。3重の培地についての3H−チミジン取り込みのデータを示した。SDは、常に10%未満だった。SACは、最終希釈度1:10,000の時に用いた。ヤギ抗NGF抗体または未免疫化ヤギIgGは、10g/mlの濃度で使用した。組み替えヒトNGFは、100ng/mlの濃度で、IL-4は、100U/mlの濃度で、多クーロン性ウサギ抗(抜け)は、1g/mlの濃度でそれぞれ使用した。
ヒトPBMNCは3×106細胞/mlの濃度で12日間、PWM(10g/ml)、ヤギ抗NGF抗体か未免疫化ヤギIgG(10g/ml)、またはCD40かCD4上澄み液(最終希釈度1:10)を使用する場合としない場合を作り、培養した。培養終了後、上澄みを採集し、特異抗体を用い、ELISAでIgA, IgG及びIgMを計測した。三重の培地について、Ig濃度のデータが示されている。SDは<15%だった。
実施例3
液性免疫の年齢に応じた変化は、抗体応答の量よりも質に影響を及ぼす。年齢に応じた抗体応答の質の変化には、抗体のアイソタイプがIgGからIgMに変わることと、抗体の高い親和力が低くなることが含まれる。老人では、ほとんどのワクチンに対する応答が損なわれており、また老人は感染されやすいという事実は、免疫の老齢化は免疫不全の状態をもたらす、という見解を支持するものである。この変化は主に、B細胞のアイソタイプの成熟とその周辺の親和力の成熟を司るT細胞の能力が損なわれることによってもたらされる、と考えられている。しかし、本実施例は、老年動物から得られたBメモリ細胞の生存能力が、NGFの産生が損なわれることによって弱められることを示している。Bメモリ細胞の成熟段階にNGFを投与すると、通常使用されているハプテンNIP-BSAで免疫化した老年マウスにおいて、特異高親和力IgGの産生が回復された。
結果及び検討
特異IgG産生は、NIPで免疫化した老年マウスにおいての大幅に抑制される。
10匹の老年雌マウスC57/BL6(生後>5ヶ月)のグループと、10匹の同種の若年雌マウス(生後≦8週間)を1グルーブずつ用意し、ネズミ1匹につき、0.1mgの(4-ヒドロキシ-5-ヨード-3-ニトロフェニル)アセチル-ウシ血清アルブミン(NIP-BSA)(Reth et al., 1978)を0.1mlのリン酸塩緩衝塩水(PBS)に加え、さらに0.1mlのフロイント完全アジュバントに懸濁したものを、腹腔内に注射して免疫化した。21日後、全てのマウスから眼窩後方神経叢穿刺により0.4mlの血液を採取し、血清標本にBSAを追加することによって、抗BSA抗体を中和した。NIP特異IgG及びIgMの滴定は、ELISAで評価した。図3より、NIPに対する特異IgGの応答には老年マウスと若年マウスの間に非常に大きな差があるが、ハプテンに対する特異IgM応答では、2グループ間にほとんど違いが認められなかったことが解る。これより、NIP特異高親和力免疫グロブリン(体性過変異、アイソタイプスイッチ)の産生を司る機構が、老年マウスでは損われていることが示された。
NGFは、Bメモリリンパ球のオートクラインな生存因子であることが報告された(Torcia et al., 1996)。NGF産生またはNGF利用性が欠損していることによりBメモリ細胞が多量に死滅するので、老年マウスにおいては免疫応答損失が生じるのかどうかを確認するために、我々は、10匹の老年ネズミと対照標準である10匹の若年ネズミの脾臓から、panning法でBメモリ細胞(sIgD-リンパ球)を分離した。細胞は、16時間37℃で培養し、上澄みを採集し、NGFをELISAで計測した。表3より、既知の報告(Torcia et al., 1996)に符合して、老年マウスより分離されたBメモリ細胞はNGFを産生することができないが、若年マウスのBメモリ細胞は、高レベルのサイトカインを産生していたことが解る。
NGF産生が損なわれている結果、老年マウスB細胞の生存カーブは、若年マウスのそれと比較すると短くなっている。
Claims (20)
- A)動物に、未知の病原体に対する抗体の産生を引き起こさせる能力を有する、免疫応答誘因ワクチン;及び
B)前記ワクチンに対する応答としての、動物による抗体の産生を強化する、ワクチン効果強化用量の神経成長因子(NGF);を含み、
C)前記動物は免疫不全であり、前記ワクチン及びNGFは、別々にまたは同時に投与することができる、
ことを特徴とする免疫不全動物のワクチン効果を高める薬剤学的配合物。 - 前記の動物とはヒトであり、前記のワクチンとは、インフルエンザワクチン、ヘモフィルスインフルエンザワクチン、A型、B型、C型肝炎ウイルスワクチン、結核ワクチン、帯状ヘルペスウイルスワクチン、サイトメガロウイルスワクチン、肺炎球菌肺炎ワクチン、髄膜炎菌髄膜炎ワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、狂犬病ワクチン、ヘリコバクターピロリワクチン、ポリオワクチン、及び痘瘡ワクチンである、請求の範囲第1項に記載の薬剤学的配合物。
- 前記ワクチンの量が1×10-9gから1×10-3gであり、NGFの量は0.001−100mg/kgである、請求の範囲第1項に記載の薬剤学的配合物。
- 前記ワクチンの量が1×10-8gから1×10-4gであり、NGFの量は0.1-10mg/kgである、請求の範囲の範囲第1項に記載の薬剤学的配合物。
- 前記NGFの量が0.3−3mg/kgである、請求の範囲第1項に記載の薬剤学的配合物。
- 前記のワクチン及びNGFを含有する混合物から成る、請求の範囲第1項に記載の薬剤学的配合物。
- 前記混合物が、薬剤学的に適当な担体を含有する、請求の範囲第6項に記載の薬剤学的配合物。
- A)動物に、未知の病原体に対する抗体の産生を引き起こさせる能力を有する、免疫応答誘因ワクチン;及び
B)前記ワクチンに対する応答としての、動物による抗体の産生を強化する、ワクチン効果強化用量の神経成長因子(NGF);
を含む、ワクチン投与のための薬剤学的配合物を製造するための、前記ワクチン及びNGFの使用であって、
C)前記動物は免疫不全であり、前記ワクチン及びNGFは、別々にまたは同時に投与することができ、また動物体内ではワクチン効果はNGFによって高められる、前記使用。 - 前記動物とはヒトであり、前記ワクチンとは、インフルエンザワクチン、ヘモフィルスインフルエンザワクチン、A型、B型、C型肝炎ウイルスワクチン、結核ワクチン、帯状ヘルペスウイルスワクチン、サイトメガロウイルスワクチン、肺炎球菌肺炎ワクチン、髄膜炎菌髄膜炎ワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、狂犬病ワクチン、ヘリコバクターピロリワクチン、ポリオワクチン、及び痘瘡ワクチンである、請求の範囲第8項に記載の使用。
- 前記ワクチンの量が1×10-9gから1×10-3gであり、NGFの量は0.001−100mg/kgである、請求の範囲第8項に記載の使用。
- 前記ワクチンの量が1×10-8gから1×10-4gであり、NGFの量は0.1−10mg/kgである、請求の範囲第8項に記載の使用。
- 前記NGFの量が0.3−3mg/kgである、請求の範囲第8項に記載の使用。
- 前記のワクチンをブースターワクチンとして投与する、請求の範囲第8項に記載の使用。
- 前記のNGFをブースターワクチン投与の3−4日前に投与する、請求の範囲第13項に記載の使用。
- 前記のNGFをワクチンの投与と基本的に同時に投与する、請求の範囲第13項に記載の使用。
- 前記ワクチンとNGFを注射によって投与する、請求の範囲第8項に記載の使用。
- 前記ワクチン投与が、
−免疫不全の動物に、未知の病原体に対する抗体の産生を引き起こさせる能力を有する、免疫応答誘因ワクチンの1回目の用量を投与し;
−この1回目の投与後、1週間から2ヶ月の期間内に、同動物に1)ワクチンに対する応答としての抗体の産生を強化する、ワクチン効果強化用量の神経成長因子(NGF)を投与するか、2)ワクチン効果を高めるために、ブースター用量のワクチンを、ワクチン効果強化用量の神経成長因子(NGF)とともに投与する、請求の範囲第8項に記載の使用。 - 前記期間が10−45日間である、請求の範囲第17項に記載の使用。
- 前記期間が10−30日間である、請求の範囲第17項に記載の使用。
- 前記期間が10−20日間である、請求の範囲第17項に記載の使用。
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