JP4201627B2 - 深孔切削具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガンドリルシステムに適用されるドリルやリーマなどの深孔切削具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
深孔加工システムとして、ガンドリルシステム、BTAシステム、エジェクタシステムなどが知られているが、比較的小径の深孔加工には簡単な構成のガンドリルシステムが汎用されている。
【0003】
ガンドリルシステムとして、一般的に例えば特許文献1或いは同2に掲げる従来技術を挙げることができる。この構造を図7の(A)によって説明すると、中空筒状で外面に長手方向に沿う断面V字状の凹溝34を形成したシャンク軸31の先端にドリルヘッド32を一体的に固着し、そのシャンク軸31の中空部内をクーラントCの供給通路33、凹溝を切屑Sの排出溝34としたガンドリル30を用い、深孔加工時に、高圧のクーラントCを供給通路33を通してドリルヘッド32の先端側より吐出させ、被加工物Wの切削孔H内で発生した切屑Sを当該クーラントCと共に排出溝34を通して外部に排出するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】
特公昭59−12405号公報
【特許文献2】
実開昭60−53416号公報
【0005】
上記のガンドリルシステムに使用されるガンドリルとしては、同(b)の断面図に示すように、シャンク軸31の中空部内をクーラントCの供給通路33a,33bを形成すると共に、該シャンク軸31の切除断面がシャンク軸心Oを中心として略90度のV字状をなすようにして軸方向略全域に切除してクーラントの排出溝34を形成しており、このようにクーラントの排出溝34の排出面積を大きく取りクーラントの排出能力を余裕を持って設けるようにしている。その反面、シャンク軸31の軸心付近に形成されるクーラントCの供給通路33a,33bの断面積を強度上の理由から余り大きく取ることができず、それがために、例えクーラントの排出面積を大きく取ってその排出能力を上げても、クーラントCの供給能力に限界があるため、結局のところ、被加工物Wの切削孔H内で発生した切屑Sを当該クーラントCと共に排出溝34を通して外部に排出する排出能力に一定の限界があった。
【0006】
しかも、前述のように、シャンク軸31の断面積の略4分の1をその軸心Oを中心として切除してクーラントの排出溝34の断面積は大きく取るようになっているため、シャンク軸31の軸心付近に形成されるクーラント供給通路33a,33bは、図示のようにシャンク軸31の軸心Oを避けて小径の単数又は複数の貫通通路33a,33bとならざるを得ず、これがためにシャンク軸31の長さが1.5メートルを超えると孔明け加工において貫通通路33a,33bの直進性を維持することが困難で、その製作面で問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の課題に鑑みなされたものであり、クーラントの供給通路とクーラントの排出溝の形成あるいはシャンク軸の構造に工夫を凝らすことにより、シャンク軸の充分な強度の確保と同じく精度良好な製作の容易性を確保し、併せてクーラントによる切屑の排出能力を向上させることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、実施形態に示す参照符号を付して示すと、外周部にはクーラントの排出溝1が設けられ内部にはクーラントの供給通路2が設けられたシャンク軸3と、シャンク軸3の先端部に切削ヘッド4を備える深孔切削具であって、前記シャンク軸3に同心に略軸方向全域に貫通孔7が設けられて該貫通孔7が上記クーラントの供給通路2を形成し、シャンク軸3の外周壁の一部が前記貫通孔7を避けて略軸方向全域に直線状に切除さて該切除部8が上記クーラントの排出溝1を形成し、該シャンク軸3と切削ヘッド4とはねじ結合により着脱可能に設けられ、該ねじ結合部13の外径よりも前記切除部8に面する部分8aを径大に形成することでねじ結合部13と切除部8との間に隔壁6を形成し、該隔壁6によって前記ねじ結合部13と前記切除部8とが互いに遮断されてなることを特徴とする構成からなるものである。
【0009】
請求項1に係る発明によれば、まず、シャンク軸3に同心に略軸方向全域に貫通孔7が設けられて、該貫通孔7を利用して、これをクーラントの供給通路2としたため、該供給通路の製作が容易である。なお、このシャンク軸3は、後述のように複数のシャンク軸部材9が互いにねじ結合されて形成される場合以外に、長尺の一本のシャンク軸からなる場合にも適用されることは勿論である。
【0010】
製作上において、中実丸軸部材の中心部を穿孔して貫通孔7を形成する場合にあっても、中実丸軸部材の同心(軸心)に貫通孔7を形成する際に、中実丸軸部材と孔明け工具との相対回転によって孔明け作業を行うことが可能であり、このため中実丸軸部材が1.5メートルを超える長尺部材であっても直進性の優れたクーラント供給通路である貫通孔を形成することができ、精度良好な深孔切削具を容易に製作することができる。
【0011】
更に、シャンク軸3に同心に貫通孔7を形成し、この貫通孔7をクーラント供給通路2となすため、クーラント供給通路2を大径に形成することが可能となり、それだけクーラントの供給能力を向上させることができる。このように、クーラント供給通路2を大径に形成しても、後述のようにシャンク軸3が外周壁を一部切除して形成されるクーラント排出溝1の断面積を出来るだけ小さくとることによって、必要充分な軸強度を確保することができる。
【0012】
そして、シャンク軸3の外周壁の一部を前記貫通孔7を避けて、即ち貫通孔7に連通しないようにして略軸方向全域を切除して、この切除部8をクーラント及び切屑の排出溝1となしたため、製作上からはシャンク軸3の一部を軸方向に切削するだけでよいからその製作が容易である。
【0013】
そしてまた、シャンク軸3の外周壁の一部を前記貫通孔7を避けて切除することによって、該切除部8の底部は貫通孔7に同心の凸円弧面をなし、従って、該切除部8は前記凸円弧面8aとシャンク軸3の一部を切除した切除端面8b,8cとに囲繞された空隙部によって形成され、該切除部8は大径に形成された貫通孔7の外側に形成されるため、従来のシャンク軸の軸心を通る断面V字状のクーラント排出溝の断面積にくらべて、その断面積が小さくなるが、上述のようにクーラントの供給通路2のクーラント供給能力が向上することと相まって、クーラントの排出溝の断面積が多少小さくなっても、むしろクーラントの流速が速くなり、切屑の排出能力が格段に向上させことができる。
【0014】
また、本発明にあっては、前記シャンク軸3と切削ヘッド4とはねじ結合により着脱可能に設けられなるため、切削ヘッド4がシャンク軸3から着脱可能に設けられることによって、切削ヘッド4あるいはシャンク軸3の摩耗や欠損等で何れか一方を取り替える必要がある場合に、従来の切削ヘッドとシャンク軸との一体のものに比べて、摩耗や欠損した上記部品のみを交換すればよいからそれだけ修理費用が安価につく。
【0015】
更にはドリリングとリーミングのように他の切削作業に切り換えたりする場合には、この切削ヘッド4のみを交換し、シャンク軸3を継続使用することができる。
【0016】
このように切削ヘッド4がシャンク軸3がねじ結合によって連結されるようになっているため、両者の連結構造が簡単で安価に製作することが可能であり、且つ摩耗や欠損時の何れか一方の部品の交換作業を容易に行うことができる。
【0017】
特に本発明にあっては、前記シャンク軸3と切削ヘッド4とが着脱可能に設けられるねじ結合されるねじ結合部13と、クーラント排出溝1を形成する前記切除部8とは、前記ねじ結合部13の外径よりも前記切除部8に面する部分8aを径大に形成することでねじ結合部13と切除部8との間に形成された隔壁6によって互いに遮断されることを特徴とする。
本発明では、前述のように、シャンク軸3の外周壁には、その一部を略軸方向全域に直線状に切除されてクーラントの排出溝1である切除部8が形成され、且つ切削ヘッド4にもクーラント排出溝1である切除部8が設けられるから、切削ヘッド4とシャンク軸3とにわたって形成されるねじ結合部13の一部をも切除して、該ねじ結合部の一部にクーラントを通過させるための切除部8が形成されなければならない。
【0018】
この場合に、切削ヘッド4とシャンク軸3とをねじ結合するねじ結合部13の一部を切除してクーラント排出溝である切除部を形成しても、両者のねじ結合力に何ら影響がないため、両者のねじ結合部に形成される切除部がクーラント排出溝としての役割はある程度果たすことができるが、しかし頻繁の使用中、長期の使用中に、クーラントと共に排出される切屑が前記ねじ結合部を形成する雄ねじと雌ねじとの隙間に噛みこんで、該ねじ結合部を損傷したり、或いはねじ結合部に噛み込んだ切屑が滞留してクーラント排出溝の排出能力を減退させ、更には該滞留した切屑によって切刃である超硬チップを損傷させ、切削性能や切削効率を減退させる恐れが多分にあった。
【0019】
これに対して、本発明によれば、前記シャンク軸3と切削ヘッド4とにわたってねじ結合すねじ結合部13と、クーラント排出溝1を形成する前記切除部8とは、前記ねじ結合部13の外径よりも前記切除部8に面する部分8aを径大に形成することでねじ結合部13と切除部8との間に形成された隔壁6によって互いに遮断されているため、クーラント排出溝1からクーラントと共に排出される切屑は、隔壁6に遮断されてねじ結合部13に侵入することが物理的になく、それがために長期にわたって良好な排出能力を持つクーラント排出溝としての役割を果たし、安定して使用することができるという顕著な効果を奏する。
【0020】
また請求項2に係る発明は、前記シャンク軸3は、複数のシャンク軸部材9からなり、各シャンク軸部材9は互いに着脱可能にねじ結合され、該ねじ結合部10と前記切除部8とは隔壁6によって互いに遮断されてなる請求項1に記載の構成からなるものである。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、シャンク軸3が複数の互いにねじ結合された複数のシャンク軸部材9からなるため、各シャンク軸部材9として長さの異なる複数本を用意しておけば、その交換によってシャンク長さを変更でき、もって基端部側のドライバ部16を有するシャンク軸部材9Aを交換することなく、適用する削孔深さに応じた適正なシャンク長さを設定できると共に、このシャンク軸部材9の損耗、折損、変形等を生じた際には、該シャンク軸部材9のみを交換して継続使用できる。
【0022】
また、前記シャンク軸3は、複数のシャンク軸部材9からなり、各シャンク軸部材9は互いにねじ結合され、該ねじ結合部10と前記切除部8とは隔壁6Bによって互いに遮断されてなるため、請求項1で述べたように、該隔壁6Bによって、クーラント排出溝Iからクーラントにと共に排出される切屑は、隔壁6に遮断されてねじ結合部13に侵入することが物理的になく、それがために長期にわたって良好な排出能力を持つクーラント排出溝としての役割を果たし、安定して使用することができるという顕著な効果を奏する。
【0023】
また請求項3に係る発明は、前記シャンク軸部材9の両側のねじ結合部10の一方が雄ねじ5d、他方が雌ねじ5bを構成すると共に、このシャンク軸部材9と切削ヘッド4とのねじ結合部13が、当該シャンク軸部材9相互のねじ結合部10と同一寸法形状に設定されてなる請求項2に記載の構成からなるもである。
【0024】
請求項3に係る発明によれば、必要に応じて複数本のシャンク軸部材9をねじ結合部10において結合したり、シャンク軸部材9に切削ヘッド4をねじ結合部13において結合して所用の切削加工を施すことが可能となる。
【0025】
また請求項4に係る発明は、前記シャンク軸3の外周のクーラントの排出溝1は、軸に直交する方向の切断面の深さL1はシャンク軸半径の1/2乃至1/4の割合であり、周方向には全周の略1/3乃至1/5の長さL2の割合に形成されてなる請求項1〜3の何れかに記載の構成からなるもである。
【0026】
請求項4に係る発明によれば、クーラントの排出溝1は、シャンク軸3の外周壁の一部が切除された部分6に形成されるものであるが、その部分の径方向の深さ、即ちシャンク軸3の外周壁を切除した切除端面8b,8cの深さL1とシャンク軸3の周方向の外周壁の切除量L2を上記の範囲内に自在に設定することができ、これによってクーラントの排出能力、従って、被加工物Wの切削孔H内で発生した切屑Sの排出能力を自在に調整することができる。
【0027】
また請求項5に係る発明は、切削ヘッド4には、シャンク軸3側のクーラントの供給通路2側に連通して単数又は複数のクーラントの吐出口15が設けられてなる請求項1〜4の何れかに記載の構成からなるものである。
【0028】
切削ヘッド4には切刃である超硬チップが取り付けられるようになっているため、そのヘッド本体4aには中心部から略90°の断面V字状の開口部が形成されなければならず、これがために、他の部分に形成するようなの前述の切除部8からなる供給通路2を形成することができない。これがために、この発明にあっては、シャンク軸3側のクーラントの供給通路2側に連通して単数又は複数のクーラントの吐出口15が設けられてなるため、ヘッド本体4aにはその中心部から略90°の断面V字状の開口部を形成することができ、なおかつ切屑やクーラントの排出能力を妨げることはない。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る深孔切削具の好適実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0030】
本発明の一実施形態であるガンドリルは、図1(A)〜(C)に示すように、ドライバ部16を備えた基部シャンク軸部材9Aと、その先端に一端側をねじ結合部10でねじ結合して同軸状に着脱可能に連結された中間部シャンク軸部材9Bと、この中間部シャンク軸部材9Bの他端側にヘッド部シャンク軸部材9Cを同じくねじ結合部13でねじ結合して同軸状に着脱可能に連結されたドリリング用の切削ヘッドであるドリルヘッド4とで構成されている。なお、図1(A)のBで囲んだ部分は、図1(B)に、またCで囲んだ部分は、図1(C)に拡大して示す。
【0031】
基端部側のシャンク軸部材9Aは、図2(A)〜(D)で詳細に示すように、シャンク軸3に同心に略軸方向全域に貫通孔7が設けられて該貫通孔7がクーラントの供給通路2を形成し、シャンク軸3の外周壁の一部が前記貫通孔7を避けて略軸方向全域に直線状に切除されて該切除部8が上記クーラントの排出溝1Aを形成してなる。
【0032】
基部シャンク軸部材9Aを、長尺な中実丸軸部材を用いて形成する場合に、例えば1.5メートルを超える中実丸軸部材の中心部に孔明け作業を行う場合に、孔明け作業具と中実丸軸部材を相対回転させながら孔明け作業を行うことができるから、直進性の良好な基部シャンク軸部材9Aを容易に製作することができる。なお、シャンク軸部材9Aの基端部には回転駆動力を受ける太径のドライバ部16が同軸状に切削加工によって一体形成されている。
【0033】
また、図2の(D)に示すように、基部シャンク軸部材9Aの外周壁の一部が貫通孔7を避けて略軸方向に切除されて切除部8を形成することによって切除部8の底面には貫通孔7の外周面の一部が露出することになり、この貫通孔7の露出した外周面8aと前記切除部の切除端面8b,8cとに囲繞されて切除部8が形成され、該切除部8がクーラントの排出溝1Aを形成することになる。
【0034】
基部シャンク軸部材9Aの基部側には、図2の(A)に示すように、基端側の大径なドライバ部16の付近まで切除部8であるクーラント排出溝1Aが長手方向に沿って形成されると共に、基部シャンク部材9Aの先端側には接続軸部5aが設けてあり、この接続軸部5aの先端側に角ねじにて構成される雄ねじ5bが刻設されている。しかして、排出溝1Aは、図2(D)に示すように、基部シャンク軸部材9Aの外周側に形成される切除部8は、シャンク軸9Aのシャンク軸心Oを中心として略90°の開きをなす周方向長さL2で該切除端面8b,8cの厚み幅L1分が欠いた形になっている。
【0035】
ここで、本発明の特徴とする点あるが、基部シャンク軸部材9Aの切除部8に面する部分8aは図2(A)〜(C)に示すように、後述の隔壁6の端面6bが当接する段面6aとなるために、図2(A)に示すように接続軸部5aの周面より若干量d肉厚に形成されている。即ち、雄ねじ5bの外径よりも径大になるように肉厚に形成されている。そして後述のように基部シャンク軸部材9Aに中間部シャンク軸部材9Bがねじ結合されたときに、該ねじ結合部10(図1(A)〜(C)参照)が隔壁6によって切除部8から隔離されるようになっている。
【0036】
また、ドライバ部16には基端から中間位置に達する中心孔16aが形成され、この中心孔16aの内底から基部シャンク軸部材9Aの接続軸部5aの雄ねじ5bの先端面に至る貫通孔7であるクーラント供給通路2が形成されている。
【0037】
上述のように、排出溝1Aである切除部8は、図2(D)に示すように、基部シャンク軸部材9Aの外周側に形成される切除部8は、シャンク軸心Oを中心として略90°の開きをなす周方向長さL2で該切除端面8a,8bの厚み幅L1分が欠いて形成されるため、排出溝1Aの排出断面積は、上記周方向長さL2と厚み幅L1との割合で決定されることになり、この排出溝1Aの排出断面積によってクーラントの排出能力が決定されることになる。
【0038】
中間部シャンク部材9Bは、前述の基部シャンク部材9Aと同一外径の丸筒状であり、図3(A)〜(D)で詳細に示すように、シャンク軸3に同心に略軸方向全域に貫通孔7が設けられて該貫通孔7がクーラントの供給通路2を形成し、シャンク軸3の外周壁の一部が前記貫通孔7を避けて略軸方向全域に直線状に切除されて該切除部8が上記クーラントの排出溝1Bを形成してなる。
【0039】
そして、中間部シャンク部材9Bの一端側には前述の基部シャンク部材9A、に形成した接続軸部5a内に密に嵌入し得る外径の接続筒部5cを有し、この接続筒部5cの奥行側に前記接続軸部5aの雄ねじ5bに螺合する角ねじからなる雌ねじ5dが刻設されると共に、他端側には基部シャンク軸部材9Aの接続軸部5aと同一寸法形状の接続軸部5aが形成され、その先端側に角ねじからなる雄ねじ5bを刻設されている。
そして、この点も本発明の特徴とする点であるが、中間部シャンク軸部材9Bの切除部8に面する部分8aは図3(A),(B)及び(D)に示すように、中間部シャンク軸部材9Bの一端部の接続筒部5c及びその奥行側の雌ねじ5d並びに他端部の接続軸部5a及びその先端側の雄ねじ5bからなるねじ結合部10,13の外径よりも径大に形成されて、その接続筒部5cの内径並びに接続軸部5aの外径と上記切除部8に面する部分8aとの間に図3(A)に示すように若干量の肉厚部dか形成され、これがねじ結合部10,13と切除部8とが連通しないように遮断する、即ち隔離するための隔壁6を形成するようになっている。これによって、後述のように、中間部シャンク軸部材9Bにこれに結合される他の中間部シャンク軸部材9Bがねじ結合されたときに、一端部の隔壁6の端面6b(図中(A)の右端面)が他端部の段面6a(図中(A)の左端面)に当接して該ねじ結合部10,13(図1(A)参照)が隔壁6によって切除部8から隔離されるようになっている。
【0040】
そしてシャンク軸3に形成した貫通孔7であるクーラント供給通路2は、その一端部が雌ねじ5dの直前に至り、他端部が雄ねじ5bの先端面に至るまで設けられている。
【0041】
しかして、排出溝1Bは、図3(C)に示すように、中間部シャンク軸部材9Bの外周側に形成される切除部8は、シャンク軸心Oを中心として略90°の開きをなす周方向長さL2で該切除端面8b,8cの厚み幅L1分が欠いた形になっており、しかして、基部側シャンク部材9Aと中間部シャンク軸部材9Bとは、図1(A),(C)に示すように、両者の連結状態、つまり基部シャンク部材9Aの端面から突出するように形成した接続軸部5aに中間部シャンク軸部材9Bの外周側に形成した接続筒部5cを一杯に嵌入螺合して、両者の端面に密接した状態で、両者の排出溝1A,1B同士がずれなく直線的に連なると共に、基部側シャンク部材9Aに形成した貫通孔7であるクーラント供給通路2と中間部シャンク軸部材9Bに形成した貫通孔7であるクーラント供給孔2とが連通するように設定されており、これによってシャンク軸3が形成されることになる。
【0042】
ドリルヘッド4は、図4(A)〜(D)で詳細に示すように、基端側にヘッド部シャンク軸部材9Cが形成され、該軸部材9Cに接続筒部5cが形成され、この接続軸部5cの奥行側に前記中間部シャンク部材9B側の前記接続軸部5aの雄ねじ5bに螺合する角ねじからなる雌ねじ5bが刻設されると共に、雌ねじ5bの奥端面に設けた中実のドリル本体4bには、切刃を形成する超硬チップ17を取り付ける必要があるため、軸心を中心として約90°に開いた断面V字状の排出溝4cが形成され、この排出溝4cの一側に臨むように超硬チップ17がロー付けなどによって取り付けられる。該排出溝4cは、クーラント排出溝1Cであるヘッド部シャンク軸部材9Cに設けた切除部8に当然のことながら連通している。
【0043】
そして、ヘッド部シャンク軸部材9Cに中間部シャンク軸部材9Bを結合したときに中間部シャンク軸部材9Bに形成した貫通孔7である供給通路2に連通して当該ヘッド本体4bの先端面4dに至る2本のクーラント供給孔6c,6cが穿設され、当該先端面4dに両クーラント供給孔6c,6cの開口部である吐出口15,15が開いている。また、排出溝4cを外れた外周部の二箇所にガイドパッド18が固着されている。
【0044】
しかして、このドリルヘッド4は、図1(A),(B)に示すように、そのヘッド部シャンク部材9Cに形成した接続筒部5c及び雌ねじ5dを中間部シャンク軸部材9Bの接続軸部5a及び雄ねじ5bに一杯に嵌入螺合して、両者を密接接合した状態で、排出溝4cおよび1Cが中間部シャンク軸部材9Bの排出溝1Bにずれなく直線的に連なると共に、ドリルヘッド4側のクーラント供給通路2が中間部シャンク軸部材9Bのクーラント供給孔2に連通するように設定されている。なお、ドリルヘッド4の接続軸部5cと中間部シャンク軸部材9Bの接続軸部5cとは同一寸法形状になっている。
【0045】
なお、中間部シャンク軸部材9B及びヘッド部シャンク軸部材9Cの接続筒部5c,5c、ならびにこれらに各々対応する中間部シャンク軸部材9B及び基部シャンク軸部材9Aの接続軸部5a,5aとは、同一長さで且つ略同じ内外径のパイロット部として、接続軸部5a,5aに接続筒部5c,5cが円滑に嵌入して正確に同芯状態に螺合できるように構成されている。
【0046】
このようなガンドリルにあっては、シャンク軸3として通常150〜500mm程度の長さのものが使用されるが、このような範囲で長さの異なる複数本の中間部シャンク軸部材9B…を用意しておく。また、上記実施形態では切削ヘッドとしてドリルヘッド4を例示したが、例えばミリングヘッド等の他の切削作業に用いる切削ヘッドとしても、ドリルヘッド4と同様に基端側にヘッド部シャンク部材9Cを形成して、これに雌ねじ5dを有する接続筒部5cと、外周面に全長に排出溝4c,1Cを設けたものを用意することが推奨される。
【0047】
このガンドリルにあっては、まず、 特に本発明にあっては、前記シャンク軸3と切削ヘッド4とが着脱可能に設けられるねじ結合されるねじ結合部13と、クーラント排出溝1を形成する前記切除部8とは隔壁6によって互いに遮断されることを特徴とする。
【0048】
前述のように、シャンク軸3の外周壁には、その一部を略軸方向全域に直線状に切除されてクーラントの排出溝1である切除部8が形成され、且つ切削ヘッド4にもクーラント排出溝1である切除部8が設けられるから、例えば、一般的に考えて、切削ヘッド4とシャンク軸3とにわたって形成されるねじ結合部13の一部をも切除して、該ねじ結合部の一部にクーラントを通過させるための切除部8が形成されなければならない。
【0049】
この場合に、切削ヘッド4とシャンク軸3とをねじ結合するねじ結合部13の一部を切除してクーラント排出溝である切除部を形成しても、両者のねじ結合力に何ら影響がないため、両者のねじ結合部に形成される切除部がクーラント排出溝としての役割はある程度果たすことができるが、しかし頻繁の使用中、長期の使用中に、クーラントと共に排出される切屑が前記ねじ結合部を形成する雄ねじと雌ねじとの隙間に噛みこんで、該ねじ結合部を損傷したり、或いはねじ結合部に噛み込んだ切屑が滞留してクーラント排出溝の排出能力を減退させ、更には該滞留した切屑によって切刃である超硬チップを損傷させ、切削性能や切削効率を減退させる恐れが多分にある。
【0050】
これに対して、本発明によれば、図5に示すように、ねじ結合部10,13を形成する接続軸部5a及び雄ねじ5b並びに接続筒部5c及び雌ねじ5dを何ら切除することなく、これらのねじ結合部10,13と、クーラント排出溝1を形成する前記切除部8とは隔壁6によって互いに遮断するようにした。
【0051】
これがために、クーラント排出溝1からクーラントと共に排出される切屑は、隔壁6に遮断されてねじ結合部13に侵入することが物理的になく、それがために長期にわたって良好な排出能力を持つクーラント排出溝としての役割を果たし、安定して使用することができるという顕著な効果を奏する。
【0052】
また、本発明の実施形態によれば、シャンク軸3に同心に略軸方向全域に貫通孔7が設けられて、該貫通孔7を利用して、これをクーラントの供給通路2としたため、該供給通路の製作が容易である。なお、このシャンク軸3は、後述のように複数のシャンク軸部材9が互いにねじ結合されて形成される場合以外に、長尺の一本のシャンク軸からなる場合にも適用されることは勿論である。
【0053】
製作上において、中実丸軸部材の中心部を穿孔して貫通孔7を形成する場合にあっても、中実丸軸部材の同心(軸心)に貫通孔7を形成する際に、中実丸軸部材と孔明け工具との相対回転によって孔明け作業を行うことが可能であり、このため中実丸軸部材が1.5メートルを超える長尺部材であっても直進性の優れたクーラント供給通路である貫通孔を形成することができ、精度良好な深孔切削具を容易に製作することができる。
【0054】
更に、シャンク軸3に同心に貫通孔7を形成し、この貫通孔7をクーラント供給通路2となすため、クーラント供給通路2を大径に形成することが可能となり、それだけクーラントの供給能力を向上させることができる。このように、クーラント供給通路2を大径に形成しても、後述のようにシャンク軸3が外周壁を一部切除して形成されるクーラント排出溝1の断面積を出来るだけ小さくとることによって、軸強度を必要充分に確保することができる。
【0055】
そして、シャンク軸3の外周壁の一部を前記貫通孔7を避けて、即ち貫通孔7に連通しないようにして略軸方向全域を切除して、この切除部8をクーラント及び切屑の排出溝1となしたため、製作上からはシャンク軸3の一部を軸方向に切削するだけでよいからその製作が容易である。
【0056】
そしてまた、シャンク軸3の外周壁の一部を前記貫通孔7を避けて切除することによって、該切除部8の底部は貫通孔7に同心の凸円弧面をなし、従って、該切除部8は前記凸円弧8aとシャンク軸3の一部を切除した切除端面8b,8cとに囲繞された空隙部によって形成され、該切除部8は大径に形成された貫通孔7の外側に形成されるため、従来のシャンク軸の軸心を通る断面V字状のクーラント排出溝の断面積にくらべて、その断面積が小さくなるが、上述のようにクーラントの供給通路2のクーラント供給能力が向上することと相まって、クーラントの排出溝の断面積が多少小さくなっても、むしろクーラントの流速が速くなり、切屑の排出能力が格段に向上させことができる。
【0057】
また本実施形態のガンドリルによれば、シャンク軸3が基部側シャンク部材9Aと独立部材である中間部シャンク軸部材9Bとから構成されているから、シャンク軸部材9Bとして長さの異なるものを交換することによってシャンク長さを変更でき、もって同じ基部側シャンク部材9Aを用いて適用する削孔深さに応じた適正なシャンク長さに設定することが可能となる。従って、従来のようにシャンク長さが数段階に異なる複数種の深孔切削具を用意する場合に比較して、備品コストが大幅に低減される。また、経時的なシャンク側の損耗、ならびに使用中におけるシャンク側の突発的な折損や変形の殆どは、切削負荷による捩れ応力が集中し易いシャンク中間部で生起するが、本発明の実施形態のガンドリルでは、該捩れ応力の集中部分が概して中間部シャンク軸部材9Bになるため、傷んだ中間部シャンク軸部材9Bのみを新品と交換することにより、傷みにくいが構造的及びサイズ的に製作コストの高い基部シャンク部材9Aを長期にわたって継続使用でき、これによって保全コストも大きく低減できる。
【0058】
更に、本実施形態のガンドリルにあっては、中間部シャンク軸部材9Bの一端側が雄ねじ5bを有する接続軸部5a、他端側が雌ねじ5dを有する接続筒部5cを構成し、基部側シャンク部材9Aと中間部シャンク軸部材9Bの接続軸部5a,5a、ならびに中間部シャンク軸部材9Bとドリルヘッド4のヘッド部シャンク部材9Cの接続筒部5c,5cが同一寸法形状に設定されているから、複数本の中間部シャンク軸部材9B…を直線状に連結したり、中間部シャンク軸部材9Bを介さずに基部にドライバ部16を備えた長尺な一本のシャンク軸3に対してドリルヘッド4を直接に連結することも可能であり、複数本の中間部シャンク軸部材9B…の連結によって極端に長い削孔にも対応できる一方、逆に一本の長尺なシャンク軸3へのドリルヘッド4の直接連結によって比較的に短い削孔にも対応できる。
【0059】
一方、ドリルヘッド4の切刃である超硬チップ17の消耗や折損を生じた際は、該ドリルヘッド4のみを取り替えるだけでよく、基部シャンク部材9A及び中間部シャンク軸部材9Bをそのまま継続使用でき、段取り替えに際しても該ドリルヘッド4のみをねじ込み交換するだけでよいため、簡単に短時間で作業を行えて生産効率が向上し、また、ドリリングとリーミングのように他の切削作業に切り換える場合にも、対応する種類の切削ヘッドだけを用意しておけばよいので、備品コストを低減できると共に交換作業も短時間で容易に行える。
【0060】
また、本実施形態では、中間部シャンク軸部材9Bと基部シャンク部材9A及びドリルヘッド4のヘッド部シャンク部材9Cとの各ねじ結合部における雄ねじ5b及び雌ねじ5dを角ねじにて構成しているので、高い結合強度が得られると共に、螺合部に隙間が生じ難いため、ねじ係合部からのクーラントの漏れが防止される。
【0061】
なお、上記実施形態では、基部シャンク軸部材9A及び中間部シャンク軸部材9Bの一端部を接続軸部5a及び雄ねじ5bとし、中間部シャンク軸部材9Bの他端部を接続筒部5c及び雌ねじ5dとし、ヘッド部シャンク軸部材9Cの一端部を接続筒部5c及び雌ねじ5dとしているが、これとは反対に基部シャンク軸部材9A及び中間部シャンク軸部材9Bの一端部を接続筒部5c及び雌ねじ5dとし、中間部シャンク軸部材9Bの他端部を接続軸部5a及び雄ねじ5bとし、ヘッド部シャンク軸部材9Cの一端部を接続筒部5a及び雌ねじ5bとし、これによってねじ結合部10,13を形成するようにしてもよい。また、実施形態の説明ではドリルヘッド4に切刃を形成する超硬チップ17をロウ付けした例を示したが、図6に示すように、ドリルヘッド4の如き切削ヘッド全体を工具鋼にて構成し、その先端に切刃を直接形成したものと、シャンク軸3とを着脱可能に結合したり、前記超硬チップ8をドリルヘッド4にねじ止めしたりする構成も採用可能である。更に、各部材9A,9B,9Cの排出溝1(1A,1b,1C)の周方向長さL2は、V字状断面の開き角が90°のものを例示したが、略90°〜130°の範囲の適当な開き角に設定することもできる。
【0062】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、外周部にはクーラントの排出溝が設けられ内部にはクーラントの供給通路が設けられたシャンク軸と、シャンク軸の先端部に切削ヘッドを備える深孔切削具であって、前記シャンク軸に同心に略軸方向全域に貫通孔が設けられて該貫通孔が上記クーラントの供給通路を形成し、シャンク軸の外周壁の一部が前記貫通孔を避けて略軸方向全域に直線状に切除されて該切除部が上記クーラントの排出溝を形成し、該シャンク軸と切削ヘッドとはねじ結合により着脱可能に設けられた深孔切削具において、該ねじ結合部と前記切除部とは隔壁によって互いに遮断されてなるために、クーラント排出溝からクーラントにと共に排出される切屑は、隔壁に遮断されてねじ結合部に侵入することが物理的になく、それがために長期にわたって良好な排出能力を持つクーラント排出溝としての役割を果たし、安定して使用することができるという顕著な効果を奏する。
【0063】
また本発明によれば、シャンク軸に同心に略軸方向全域に貫通孔が設けられて、該貫通孔を利用して、これをクーラントの供給通路としたため、該供給通路の製作が容易である。なお、このシャンク軸は、後述のように複数のシャンク軸部材が互いにねじ結合されて形成される場合以外に、長尺の一本のシャンク軸からなる場合にも適用されることは勿論である。
【0064】
製作上において、中実丸軸部材の中心部を穿孔して貫通孔を形成する場合にあっても、中実丸軸部材の同心(軸心)に貫通孔を形成する際に、中実丸軸部材と孔明け工具との相対回転によって孔明け作業を行うことが可能であり、このため中実丸軸部材が1.5メートルを超える長尺部材であっても直進性の優れたクーラント供給通路である貫通孔を形成することができ、精度良好な深孔切削具を容易に製作することができる。
【0065】
更に、シャンク軸に同心に貫通孔を形成し、この貫通孔をクーラント供給通路となすため、クーラント供給通路を大径に形成することが可能となり、それだけクーラントの供給能力を向上させることができる。このように、クーラント供給通路を大径に形成しても、後述のようにシャンク軸が外周壁を一部切除して形成されるクーラント排出溝の断面積を出来るだけ小さくとることによって、軸強度を必要充分に確保することができる。
【0066】
そして、シャンク軸の外周壁の一部を前記貫通孔を避けて、即ち貫通孔に連通しないようにして略軸方向全域を切除して、この切除部をクーラント及び切屑の排出溝となしたため、製作上からはシャンク軸の一部を軸方向に切削するだけでよいからその製作が容易である。
【0067】
そしてまた、シャンク軸の外周壁の一部を前記貫通孔を避けて切除することによって、該切除部の底部は貫通孔は貫通孔に同心の凸円弧面をなし、従って、該切除部は前記凸円弧面とシャンク軸の一部を切除した切除端面とに囲繞された空隙部によって形成され、該切除部は大径に形成された貫通孔の外側に形成されるため、従来のシャンク軸の軸心を通る断面V字状のクーラント排出溝の断面積にくらべて、その断面積が小さくなるが、上述のようにクーラントの供給通路のクーラント供給能力が向上することと相まって、クーラントの排出溝の断面積が多少小さくなっても、むしろクーラントの流速が速くなり、切屑の排出能力が格段に向上させことができる。
【0068】
更に、ドリルヘッドの切刃である超硬チップの消耗や折損を生じた際は、該ドリルヘッドのみを取り替えるだけでよく、基部シャンク部材及び中間部シャンク軸部材をそのまま継続使用でき、段取り替えに際しても該ドリルヘッドのみをねじ込み交換するだけでよいため、簡単に短時間で作業を行えて生産効率が向上し、また切刃の消耗に伴う再研磨や交換についてもドリルヘッドだけを取り外して単独で取り扱えるから、それらの作業を容易に行え、更にドリリリングとリーミングのように他の切削作業に切り換える場合にも、対応する種類の切削ヘッドだけを用意しておけばよいので、備品コストを低減できると共に交換作業も短時間で容易に行える。
【0069】
請求項2に係る発明によれば、シャンク軸が複数の互いにねじ結合された複数のシャンク軸部材からなるため、各シャンク軸部材として長さの異なる複数本を用意しておけば、その交換によってシャンク長さを変更でき、もって基端部側のドライバ部を有するシャンク軸部材を交換することなく、適用する削孔深さに応じた適正なシャンク長さを設定できると共に、このシャンク軸部材の損耗、折損、変形等を生じた際には、該シャンク軸部材のみを交換して継続使用できる。
【0070】
また、前記シャンク軸は、複数のシャンク軸部材からなり、各シャンク軸部材は互いにねじ結合され、該ねじ結合部と前記切除部とは隔壁によって互いに遮断されてなるため、請求項1で述べたように、該隔壁によって、クーラント排出溝からクーラントにと共に排出される切屑は、隔壁に遮断されてねじ結合部に侵入することが物理的になく、それがために長期にわたって良好な排出能力を持つクーラント排出溝としての役割を果たし、安定して使用することができるという顕著な効果を奏する。
【0071】
請求項3に係る発明によれば、シャンク軸が複数の互いにねじ結合された複数のシャンク軸部材からなるため、各シャンク軸部材として長さの異なる複数本を用意しておけば、その交換によってシャンク長さを変更でき、もって基端部側のドライバ部を有するシャンク軸部材を交換することなく、適用する削孔深さに応じた適正なシャンク長さを設定できると共に、このシャンク軸部材の損耗、折損、変形等を生じた際には、該シャンク軸部材のみを交換して継続使用できる。
【0072】
請求項4に係る発明によれば、クーラントの排出溝は、シャンク軸の外周壁の一部が切除された部分に形成されるものであるが、その部分の径方向の深さ、即ちシャンク軸の外周壁を切除した切除端面の深さとシャンク軸の周方向の外周壁の切除量を請求項4に記載した範囲内に自在に設定することができ、これによってクーラントの排出能力、従って、被加工物の切削孔内で発生した切屑の排出能力を自在に調整することができる。
【0073】
請求項5に係る発明によれば、切削ヘッドには切刃である超硬チップが取り付けられるようになっているため、そのヘッド本体には中心部から略90°の断面V字状の開口部が形成されなければならず、これがために、他の部分に形成するようなの前述の切除部からなる供給通路を形成することができない。これがために、この発明にあっては、シャンク軸側のクーラントの供給通路側に連通して単数又は複数のクーラントの吐出口が設けられてなるため、ヘッド本体にはその中心部から略90°の断面V字状の開口部を形成することができ、なおかつ切屑やクーラントの排出能力を妨げることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態であるガンドリルを示し、(A)は全体構成を示す部分省略正面図、(B)は(A)の仮想線円B内の拡大図、(C)は(A)の仮想線円C内の拡大図である。
【図2】 同実施形態のガンドリルに用いる基部シャンク軸部材を示し、(A)は全体構成を示す部分省略正面図、(B)は(A)のBーB線方向から見た側面図、(C)は(A)のC−C線の矢視断面図、(D)は(A)のうDーD線矢視断面図である。
【図3】 同実施形態のガンドリルに用いる中間部シャンク軸部材を示し、(A)は全体構成を示す部分省略正面図、(B)は(A)のBーB線矢視断面図、(C)は(A)のCーC線矢視断面図、(D)は(A)のDーD線矢視断面図である。
【図4】 同実施形態のガンドリルに用いる切削ヘッドを示し、(A)は全体構成を示す部分省略正面図、(B)は先端から見た側面図、(C)は(A)のC−C線の断面図、(D)は基端から見た側面図である。
【図5】 本発明の作用を説明するための要部断面図である。
【図6】 本発明の他の実施形態を示すガンドリルの正面図である。
【図7】 (a)および(b)は、従来から使用されているガンドリルシステムの概略構成とそれに用いるガンドリルの断面図である。
【符号の説明】
1 クーラントの排出溝
2 クーラントの供給通路
3 シャンク軸
4 切削ヘッド
6 隔壁
7 貫通孔
8 切除部
9 シャンク軸部材
9A 基部シャンク軸部材
9B 中間部シャンク軸部材
9C ヘッド部シャンク軸部材
10 ねじ結合部
5b 雄ねじ
5d 雌ねじ
13 ねじ結合部
Claims (5)
- 外周部にはクーラントの排出溝が設けられ内部にはクーラントの供給通路が設けられたシャンク軸と、シャンク軸の先端部に切削ヘッドを備える深孔切削具であって、前記シャンク軸に同心に略軸方向全域に貫通孔が設けられて該貫通孔が上記クーラントの供給通路を形成し、シャンク軸の外周壁の一部が前記貫通孔を避けて略軸方向全域に直線状に切除されて該切除部が上記クーラントの排出溝を形成し、該シャンク軸と切削ヘッドとはねじ結合により着脱可能に設けられ、該ねじ結合部の外径よりも前記切除部に面する部分を径大に形成することでねじ結合部と切除部との間に隔壁を形成し、該隔壁によって前記ねじ結合部と前記切除部とが互いに遮断されてなることを特徴とする深孔切削具。
- 前記シャンク軸は、複数のシャンク軸部材からなり、各シャンク 軸部材は互いに着脱可能にねじ結合され、該ねじ結合部と前記切除部とは隔壁によって互いに遮断されてなる請求項1に記載の深孔切削具。
- 前記シャンク軸部材の両側のねじ結合部の一方が雄ねじ、他方雌ねじを構成すると共に、このシャンク軸部材と切削ヘッドとのねじ結合部が、当該シャンク軸部材相互のねじ結合部と同一寸法形状に設定されてなる請求項2に記載の深孔切削具。
- 前記シャンク軸の外周のクーラントの排出溝は、軸に直交する方 向の切断面の深さがシャンク軸半径の1/2乃至1/4の割合であり、周方向には全周の略1/3乃至1/5の長さの割合になるよう形成されてなる請求項1〜3の何れかに記載の深孔切削具。
- 切削ヘッドには、シャンク軸側のクーラントの供給通路と連通し て単数又は複数のクーラントの吐出口が設けられてなる請求項1〜4の何れかに記載の深孔切削具。
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