JP4200585B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関するものである。更に詳しくは、本発明は、ポリオルガノシロキサンを含有する熱可塑性樹脂組成物であって、耐衝撃性、耐熱性等の機械的特性に優れる熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂の加工性、あるいは、熱可塑性樹脂成形品の表面潤滑性、衝撃強度、難燃性、表面光沢を改良する目的で、熱可塑性樹脂にポリオルガノシロキサンを添加することが行われている。また、近年、非ハロゲン系、非リン系化合物を用いた難燃化組成物として、ポリオルガノシロキサンを含有するポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂組成物が提案されている。しかしながら、一般的に熱可塑性樹脂とポリオルガノシロキサンの相溶性は良好ではなく、熱可塑性樹脂とポリオルガノシロキサンを単純に溶融混練等の方法で混合した場合、耐衝撃強度、耐熱性等の機械的特性の物性バランスが悪くなり、また十分な難燃性が得られないという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、耐衝撃性、耐熱性等の機械的特性に優れる熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、熱可塑性樹脂とポリオルガノシロキサンからなる組成物の機械的特性について鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂、特定の構造を有するグラフト共重合体及び特定の構造を有するポリオルガノシロキサンから得られる組成物が上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の(A)、(B)及び(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物に係るものである。
(A):熱可塑性樹脂
(B):上記の(A)又は(A)と相溶もしくは部分相溶する熱可塑性樹脂(ただし、ポリフェニレンエーテル系樹脂は除く。)とポリオルガノシロキサンとが結合してなるブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体
(C):下記一般式(1)の構造単位及び下記一般式(2)の構造単位の両構造単位を含有するポリオルガノシロキサン
(式中R1、R2及びR3は、独立して、アルキル基又はアリール基を表す。)
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の成分(A)は、熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂としては、非晶性ポリマー、結晶性ポリマー、液晶性ポリマーなどが含まれる。具体的には、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アルケニル芳香族系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアリレーンスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂なとをあげることができる。これらのうち、耐熱性、衝撃強度、剛性及び難燃性等の物性バランスの観点から、ポリフェニレンエーテル系樹脂が特に好ましい。
【0006】
ポリフェニレンエーテル系樹脂とは、下記一般式(3)で示されるフェノール化合物の一種又は二種以上を酸化カップリング触媒を用い、酸素又は酸素含有ガスで酸化重合せしめて得られる(共)重合体である。
(式中、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ水素原子、炭化水素基又は置換炭化水素基から選ばれたものであり、そのうち必ず1個は水素原子である。)上記一般式におけるR4、R5、R6、R7及びR8の具体例としては、水素、メチル、エチル、n−又はiso−プロピル、pri−、sec−又はt−ブチル、ヒドロキシエチル、フェニルエチル、ベンジル、ヒドロキシメチル、カルボキシエチル、メトキシカルボニルエチル、シアノエチル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、アリルなどがあげられる。
上記一般式の具体例としては、フェノール、o−、m−又はp−クレゾール、2,6−、2,5−、2,4−又は3,5−ジメチルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,3,5−、2,3,6−又は2,4,6−トリメチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、チモール、2−メチル−6−アリルフェノールなどがあげられる。更に、上記一般式以外のフェノール化合物、たとえば、ビスフェノール−A、レゾルシン、ハイドロキノン、ノボラック樹脂のような多価ヒドロキシ芳香族化合物と上記一般式で示されるフェノール化合物とを共重合体の原料としてもよい。これらの化合物の中では、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、
3−メチル−6−t−ブチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールが好ましい。
フェノール化合物を酸化重合せしめる際に用いる酸化カップリング触媒は、特に限定されるものではなく、重合能を有する如何なる触媒でも使用できる。
かかるポリフェニレンエーテル系樹脂の製造法は、たとえば米国特許第3306874号公報、同第3306875号公報及び同第3257357号公報並びに特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、特開平1−304119号公報等に記載されている。
【0007】
本発明におけるポリフェニレンエーテル系樹脂の具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ブチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロペニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジラウリル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メトキシ−6−エトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−ステアリルオキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(3−メチル−6−t−ブチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレンエーテル)及びこれらの重合体を構成する繰り返し単位の複数種を含む各種共重合体をあげることができる。共重合体の中には2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5,6−テトラメチルフェノール等の多置換フェノールと2,6−ジメチルフェノールとの共重合体等も含む。これらポリフェニレンエーテル系樹脂のうちで好ましいものはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)及び2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体である。
【0008】
本発明で使用できるポリフェニレンエーテル系樹脂は、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が0.3〜0.7dl/gのものが好ましく、更に好ましくは0.36〜0.65dl/gであり、最も好ましくは0.40〜0.6dl/gである。該固有粘度が、低すぎると燃焼時の無滴下の達成が困難となる場合があり、一方該固有粘度が、高すぎると成形加工性が低下する場合がある。
本発明で用いるポリフェニレンエーテル系樹脂は、上記重合体、共重合体に対し、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン及びビニルトルエン等のスチレン系化合物をグラフトさせて変性した共重合体でもよい。
【0009】
本発明の成分(B)は、上記の(A)又は(A)と相溶する熱可塑性樹脂(ただし、ポリフェニレンエーテル系樹脂は除く。)とポリオルガノシロキサンとが結合してなるブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体である。
ここで(A)と相溶もしくは部分相溶する熱可塑性樹脂というのは、(A)である熱可塑性樹脂と溶融混練、溶液ブレンド等の方法で混合した場合、(A)である熱可塑性樹脂のガラス転移温度をシフトさせる熱可塑性樹脂を示す。ガラス転移温度は、公知の方法、たとえば、示差走査熱量測定、動的粘弾性測定等の方法にて測定される。
【0010】
(A)が(A−1)ポリフェニレンエーテル系樹脂である場合、(B)としては(B−1)ビニル芳香族化合物とポリオルガノシロキサンとが結合してなるブロック共重合体及び/又はグラフト共重合体が機械的特性改良の観点から望ましい。このような共重合体は、たとえば乳化重合によって製造することができる。まず、ビニル重合性官能基を有するポリオルガノシロキサンのラテックスを調整し、次にビニル芳香族化合物の単量体を重合させることによってグラフト共重合体が得られる。
ビニル芳香族化合物は、下記の一般式(4)であらわされる化合物から誘導できる。これらの化合物は第三炭素原子を有する置換基を含まないものとする。かかるビニル芳香族化合物としてはスチレンが好適である。
(式中、R9及びR10は炭素原子数1〜6のアルキル及びアルケニル基ならびに水素よりなる郡から選択され、R11及びR12はハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基及び水素よりなる郡から選択され、R13及びR14は水素原子及び炭素原子数1〜6のアルキル基及びアルケニル基よりなる郡から選択されるか、又はR13及びR14はヒドロカルビル基と鎖状結合してナフチル基を形成する。)
【0011】
本発明の成分(C)は、前記一般式(1)の構造単位及び前記一般式(2)の構造単位の両構造単位を含有するポリオルガノシロキサンである。
一般式(1)及び一般式(2)におけるR1、R2及びR3は、独立して、アルキル基又はアリール基である。アルキル基及びアリール基のうち好ましいものは、それぞれメチル基とフェニル基である。
本発明のポリオルガノシロキサンは、ポリオルガノシロキサンの一般的な製造方法に従って製造される。たとえば、ジオルガノジクロロシランとモノオルガノトリクロロシランを加水分解して部分的に縮合したポリオルガノシロキサンを形成し、更にトリオルガノクロロシランと反応させることによって反応を終了させる。ポリオルガノシロキサン製造原料中の塩素は、加水分解反応時に塩酸となり液々抽出によって除かれるので、ポリオルガノシロキサン成分中には含有されない。
【0012】
本発明においては、前記の一般式(1)の構造単位及び下記一般式(2)の構造単位の両方を含有するポリオルガノシロキサンを用いる必要がある。一般式(1)の構造単位は枝分かれのない直鎖構造を与え、一般式(2)の構造単位は二次元又は三次元の網目構造又は枝分かれ構造を与える。一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位の比率は、3:1〜1:10程度が好ましい。一般式(2)で表される構造単位が過少であると難燃性が低下する場合がある。一方、一般式(2)で表される構造単位が過多であると、耐衝撃性等の機械的特性が悪化する場合がある。
【0013】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は上記の(A)、(B)及び(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物である。(B)の含有量は、(A)100重量部あたり0.1〜30重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.3〜20重量部である。(B)が過少であると(A)成分と(C)成分の相溶性が悪化する場合があり、機械的特性の低下を招く。一方(B)が過多であると難燃性が低下する場合がある。(C)の含有量は、(A)100重量部あたり0.5〜40重量部重量部であることが好ましく、更に好ましくは1〜30重量部である。(C)が過少であると難燃性に劣る場合があり、一方(C)が過多であると耐熱性に劣る場合がある。
【0014】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記の(A−1)、前記の(C)、下記の(D)及び下記の(E)を溶融混練して得られるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であってもよい。
(D−1)は、ビニル芳香族化合物である。ビニル芳香族化合物としては、前記(B−1)のところで説明したものが用いられる。ただし、(B−1)のビニル芳香族化合物と(D−1)のビニル芳香族化合物とは、同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
(D−2)は、α,β−不飽和環状無水物、α,β−不飽和ジカルボン酸、α,β−不飽和カルボン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及び2−ビニル置換−2−オキサゾリン類からなる群から選ばれる少なくとも一の単量体である。
α,β−不飽和環状酸無水物は下記の一般式(5)で表わし得る。
(式中、R15及びR16は一緒になって式(6)で表される結合を示し、R17は水素、ビニル又は1〜12個の炭素元素を有するアルキルもしくはアルケニルを示し、mは0〜約10の数である。)
α,β−不飽和環状酸無水物には無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水アコニット酸等が含まれる。好適なα,β−不飽和環状酸無水物は無水マレイン酸である。
α,β−不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、アコニット酸などをあげることができる。
α,β−不飽和カルボン酸は、下記の一般式(7)で表し得る。
(式中、R18及びR19は水素、ビニル又は1〜12個の炭素元素を有するアルキル若しくはアルケニルを示し、n及びpは0〜約10の数である。)。
α,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、ブテン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸などをあげることができる。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチルなどをあげることができる。メタアクリル酸エステルとしては、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸オクチルなどをあげることができる。
2−ビニル置換−2−オキサゾリン類は、下記の一般式(8)で表し得る。
(R20としては、水素、メチル基等が例示される。)
【0015】
本発明の(D)は、上記の(D−1)及び(D−2)を含有する共重合体であり、非変性共重合体、すなわち非ゴム変性共重合体及び耐衝撃性ゴム変性共重合体が含まれる。好ましくはスチレン−無水マレイン酸共重合体である。また、共重合の形態は、特に制限はなく、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等のいかなる形態であってもよい。
ビニル芳香族化合物とα,β−不飽和環状酸無水物とのゴム変性共重合体を製造するのに使用するゴムの例としては、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、天然ゴムなどがあげられ、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。当該共重合体中のゴム含量は25重量部以下、好ましくは15重量部以下である。
当該共重合体は、たとえば米国特許第2,971,939号公報、同第3,336,267号公報及び同第2,769,804号公報に記載された方法によって製造することができる。
(D)における(D−1)/(D−2)の重量比率は、99/1〜80/20が好ましく、更に好ましくは95/5〜90/10である。(D−1)が過少((D−2)が過多)であるとポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶性が悪くなり、物性の低下を招く場合があり、一方(D−1)が過多((D−2)が過少)であると(E)と反応性が低くなり機械的特性が低下する場合がある。
【0016】
成分(E)は、上記(D)の共重合体と反応し得る官能基を有するポリオルガノシロキサンである。該官能基としては、アミノ基、水酸基、フェノール基、エポキシ基、オキサゾリン基、カルボキシル基、アミド基、メタクリロキシ基、アルコキシ基、エステル基及びイミド基等が例示される。これらの官能基は、ポリオルガノシロキサンの末端あるいは側鎖に導入されたものである。なお、両末端以外は、前記の一般式(1)のみからなるものであっても、前記の一般式(1)及び(2)を含有するものであっても構わない。
【0017】
熱可塑性樹脂組成物が、(A−1)、(C)、(D)及び(E)を溶融混練して得られるものである場合の各成分の量比は以下のとおりである。(C)は(A−1)100重量部あたり0.5〜40重量部であることが好ましい。(C)が過少であると難燃性に劣る場合があり、一方(C)が過多であると耐熱性に劣る場合がある。(D)は(A−1)100重量部あたり0.1〜30重量部であることが好ましい。(D)が過少であると(A−1)成分と(C)成分の相溶性が悪化する場合があり、機械的特性の低下を招く。一方(D)が過多であると難燃性に劣る場合がある。(E)は(A−1)100重量部あたり0.2〜100重量部であることが好ましい。(E)が過少であると(A)成分と(C)成分の相溶性が悪くなり、耐衝撃性等の機械的特性の低下を招く場合があり、一方(E)が過多であると耐熱性が低下する場合がある。
【0018】
本発明の樹脂組成物は、前記の(A)、(B)、(C)の成分を溶融混練等の方法で混合して得られる。溶融混練方法の一例としては押出機等を用いて溶融混練する方法があげられるが、一般に行われている混練方法であれば特に制限を受けない。また、本発明の樹脂組成物は、(A−1)、(C)、(D)及び(E)を溶融混練しても得られる。この場合にも、一般に行われている方法であれば、特に制限を受けない。フィード方法は、材料を一括で投入する方法、材料の一部をサイドフィードする方法、予備混練物をフィードする方法が考えられるが、一括で投入する方法、(A−1)成分の一部又は全量と(D)成分の溶融混練物に(C)成分と(E)成分と(A−1)成分の残りを添加し溶融混練する方法、(A−1)成分の一部又は全量と(D)成分と(E)成分の溶融混練物に(C)成分と(A−1)成分の残りを添加し溶融混練する方法、あるいは、(D)成分とと(E)成分の溶融混練物に(A−1)成分と(C)成分とを添加し溶融混練する方法が好ましい。具体的には、単軸もしくは二軸の押出し機を用いて、各成分を一括で投入し混練する方法、複数のフィード口を有する単軸もしくは2軸の押出し機を用い、(A−1)成分の一部又は全量、(D)成分を溶融混練した後にそれよりも下流側のフィード口から、(C)成分及び(E)成分をフィードし溶融混練する方法又は(A−1)成分の一部又は全量、(D)成分及び(E)成分を溶融混練した後にそれよりも下流側のフィード口から、(C)成分をフィードし溶融混練する方法又は、(D)成分及び(E)成分を溶融混練した後にそれよりも下流側のフィード口から、(A−1)成分及び(C)成分をフィードし溶融混練する方法が例示される。
混練温度はPPEのガラス転移点(約210℃)以上であればよいが、好ましくは220〜400℃、より好ましくは230〜350℃の範囲である。
【0019】
本発明では、上記の必須成分に加えて、本発明の特徴及び効果を損わない範囲で必要に応じて他の付加的成分を添加しても構わない。たとえば、耐衝撃改良材として、スチレン系エラストマーやポリオレフィンが用いられる。ここで、スチレン系エラストマーは公知のものを用いることがでる。たとえばポリスチレン及びポリブタジエンセグメントをそれぞれ1以上有するスチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリスチレン及びポリイソプレンセグメントをそれぞれ1以上有するスチレン−イソプレン共重合体、ポリスチレン及びイソプレン−ブタジエンの共重合体をそれぞれ1つずつ以上有するブロック共重合体、又はこれらのイソプレン部やブタジエン部の不飽和部分が選択的に水素添加されたブロック共重合体、エチレン、プロピレン、ブテン、ジエン成分を共重合したポリオレフィンエラストマーにスチレンをグラフト重合したものである。
ポリオレフィンとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、更にはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などがあげられる。このなかで好ましい耐衝撃改良材はイソプレン部やブタジエン部の不飽和部分が選択的に水素添加されたスチレン系のブロック共重合体と、エチレン、プロピレン、ブテン、ジエン成分を共重合したポリオレフィンエラストマーにスチレンをグラフト重合したものである。また、(A)成分以外の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。(A)成分以外の熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等が例示される。
また、強化用、機能付与あるいは増量(コストダウン)等を目的に充填剤を添加して用いることができる。充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、アルミニウムやステンレスなどの強化用繊維及び金属のウィスカー、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、カオリン、硫酸マグネシウム、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、のような無機充填剤を用いることができる。更に、酸化防止剤、耐候性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、各種着色剤、帯電防止剤、離型剤等を添加することができる。
【0020】
本発明の樹脂組成物の成形方法は射出成形、押出成形、圧縮成形、中空成形など、一般に行われている成形方法であれば特に問題はなく、得られる樹脂組成物の形状は何等限定されるものではなく、成形方法による制約を受けることはない。
また、得られた成形品は、難燃性が要求される用途、たとえば、フライバックトランス、偏向ヨーク、コネクター、リレーのハウジング、コイルボビン等の電気・電子部品用途、バッテリーケース等の電槽用途、現像タンク、ファン及びファンハウジング、OA機器のハウジング、OA機器のシャーシ、トレー等の機構部品用途等に使用することができる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
使用した略号の意味を示す。
PPE:ポリフェニレンエーテル樹脂(クロロホルム溶媒中、30℃で測定した固有粘度が0.46dl/gのポリ(2,6−ポリジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
SMA−1:無水マレイン酸含有量約8%のスチレン−無水マレイン酸共重合体(アーコ・ケミカル・ジャパン販売、「ダイラーク232」)
HIPS:ハイインパクトポリスチレン樹脂(日本ポリスチレン社製「H554」)
GPPS:ポリスチレン樹脂、(日本ポリスチレン社製「G690K」)
SEBS:水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(クラレ社製「SEPTON8006」)
SIP1:一般式(1)の構造単位を含有するポリオルガノシロキサン(本発明によるもの)(東レダウコーニング社製「SF8417」)
アミノ基含有(アミノ当量1800)
SIP2:一般式(1)及び(2)の構造単位を含有するポリオルガノシロキサン(本発明によるもの)(東レダウコーニング社製「DC3037」)
R:フェニル基 35mol%、メチル基 65mol%
【0022】
次に実施例における物性値等の評価方法を以下に示す。
(1)アイゾット衝撃強度
ASTM D256に規定された方法による。試験片の厚みは、3.2mmであり、ノッチ付きの衝撃強度を評価する。測定温度は、23℃である。
(2)熱変形温度
ASTM D646に規定された方法による。試験片の厚みは、6.4mmである。
(3)曲げ剛性
ASTM D790に規定された方法による。試験片の厚みは、3.2mmである。
【0023】
実施例1
表1に示す配合割合のPPE、SMA−1、HIPS、SEBSを、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数200rpmに設定した2軸混錬機(東芝機械製TEM50A)の第一フィード口からフィードした。同時に、同2軸混錬機の第一フィード口よりも下流側にある第二フィード口より表1に示す割合のPPE、SIP1及び、SIP2をフィードすることにより溶融混練を行い、ペレット化した。このペレットをシリンダー温度330℃、金型温度80℃で射出成形し、1.6mm厚及び3.2mm厚の試験片を作製した。評価結果を表1に示す。
比較例1
表1に示す配合割合の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
比較例2〜3
表1に示す配合割合の各成分を用い、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数70rpmに設定した2軸混錬機(東洋精機製20mmφ押出し機)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、耐衝撃性、耐熱性等の機械的特性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することができた。
Claims (4)
- 下記の(A−1)、(C)、(D)及び(E)を溶融混練して得られる熱可塑性樹脂組成物。
(A−1):ポリフェニレンエーテル系樹脂
(C):下記一般式(1)の構造単位及び下記一般式(2)の構造単位の両構造単位を含有するポリオルガノシロキサン
[式中、R 1 、R 2 及びR 3 は、独立してアルキル基又はアリール基を示す。]
(D):下記の(D−1)及び(D−2)を含有する共重合体
(D−1):ビニル芳香族化合物
(D−2):α,β−不飽和環状無水物、α,β−不飽和ジカルボン酸、α,β−不飽和カルボン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及び2−ビニル置換−2−オキサゾリン類からなる群から選ばれる少なくとも一の単量体
(E):上記(D)と反応し得る官能基を有するポリオルガノシロキサン(ただし、上記(C)を除く。) - 前記(E)の官能基は、アミノ基、水酸基、フェノール基、エポキシ基、オキサゾリン基、カルボキシル基、アミド基、メタクリロキシ基、アルコキシ基、エステル基及びイミド基からなる群から選ばれる少なくともいずれか一種である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(A−1)100重量部に対する、前記(C)の含有量は0.5〜40重量部であり、前記(D)の含有量は0.1〜30重量部であり、前記(E)の含有量は0.2〜100重量部である請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(D)中の前記(D−1)及び前記(D−2)の重量比率((D−1)/(D−2))は、99/1〜80/20である請求項1から3いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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