JP4199336B2 - 内視鏡の管路切換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡に設けられた吸引操作弁等のような内視鏡の管路切換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡の管路切換装置は一般に、流体管路の途中に接続されたシリンダ内にピストンを軸線方向に進退自在に嵌挿して、シリンダ内でピストンを進退させることによって流体管路の接続状態を切り換えるようになっている。
【0003】
そのようなピストンの外周部には、シリンダの内周面との間をシールするためにOリングが装着され、Oリングを用いることができない部分には、ゴム製シール部材がライニングにより成形固着されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
内視鏡は検査に使用した後は必ず洗浄消毒等を行う必要があり、その際には、管路切換装置のシリンダからピストンを取り外して、シリンダ内とピストンを洗浄する。
【0005】
そして、洗浄後には再びピストンをシリンダに装着することになるが、シール部材はピストンとシリンダとの間で押し潰されて圧縮された状態に取り付けられるので、ピストンの作動性を確保するためには、ピストンを取り付ける度にシール部材に潤滑剤を塗布する必要があり、取り扱いが甚だ面倒であった。
【0006】
そこで、Oリングとして潤滑剤を含浸させたOリングを用いれば毎回の潤滑剤塗布が不要となるのであるが、ピストンにライニングされたシール部材の場合は、潤滑剤を含浸させると、ピストンに対する固着力がなくなってしまうので、潤滑剤を含浸させるわけにいかない。
【0007】
そこで本発明は、ピストンをシリンダに装着する度にシール部材に潤滑剤を塗布する必要がなくて、取り扱いが簡単な内視鏡の管路切換装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の管路切換装置は、流体管路の途中に接続されたシリンダ内にピストンが軸線方向に進退自在に嵌挿され、上記シリンダ内で上記ピストンを進退させることによって上記流体管路の連通状態が切り換わるようにした内視鏡の管路切換装置であって、上記ピストンの外周部に固着されて上記シリンダの内周面に密接するシール部材を有するものにおいて、潤滑剤が含浸された潤滑用Oリングを、上記ピストンの進退によって上記シール部材が接触する上記シリンダの内周面の領域に接触するように、上記ピストンの外周部に装着したことを特徴とする。
【0009】
なお、上記シール部材がシリコンゴム製であり、上記潤滑用Oリングにシリコンオイルが含浸されていてもよい。
また、上記ピストンの外周部に上記シリンダの内周面に密接するシール用Oリングが装着されていて、そのシール用Oリングにも潤滑剤が含浸されていてもよい。
【0010】
その場合、上記潤滑用Oリングの潤滑剤含浸率の方が上記シール用Oリングの潤滑剤含浸率より大きいとよく、上記シール用Oリングが上記潤滑用Oリングより上記シリンダの奥寄りの位置に配置されていてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図3は内視鏡の全体的構成を示しており、可撓管によって外装された挿入部1の基端には操作部2が連結され、その上半部に吸引管路切換装置3が配置されている。
【0012】
吸引管路切換装置3のシリンダ31は、吸引管4,5の途中に接続されており、その一方の吸引管4の端部は図示されていない外部吸引器に接続され、他方の吸引管5の端部は挿入部1の先端に開口している。7はその先端開口、8は鉗子挿入口、9は送気送水切換装置である。
【0013】
図1は吸引管路切換装置3を示しており、シリンダ31は操作部2内に配置されていて、外方に向けて開口する状態に、固定ナット32によって操作部2に固定されている。33はシール用のOリングである。
【0014】
そして、外部吸引器に至る吸引管4の端部がシリンダ31の中間部分の側壁面に開口形成され、挿入部1の先端に至る吸引管5の端部がシリンダ31の底端部に開口接続されている。
【0015】
ピストン34は、シリンダ31内に軸線方向に進退自在に嵌挿されていて、その先側の半部はシリンダ31から前方に突出している。そして、ピストン34の頭部には接続環35を介して操作ボタン36が取り付けられている。
【0016】
操作ボタン36の中央位置には、例えば赤色のプラスチックで形成された指標軸37が、外面からその突端面が見えるように、接続環35と操作ボタン36との間に挟み込まれて固定されている。
【0017】
ピストン34と操作ボタン36は、圧縮コイルスプリング38によって一体的に外方に向けて付勢されており、その圧縮コイルスプリング38の基端側を受ける受け筒39は、ピストン34が所定状態以上にシリンダ31内から抜け出すのを阻止するストッパになっている。
【0018】
その受け筒39に一体的にライニングされたゴム製の固定環40は、下端部の内周部分が固定ナット32の突端部に引っ掛かり係合して、ピストン34と操作ボタン36のユニットをシリンダ31に固定している。
【0019】
固定環40を弾性変形させて固定ナット32との係合を解けば、ピストン34をシリンダ31から外方に引き出すことができる。42,43は、ピストン34がシリンダ31に対して回転するのを規制するためにシリンダ31から突設されたピンと、そのピンが係合する縦溝である。
【0020】
ピストン34の奥側端部の外周部に形成された円周溝には、シリンダ31の内周面に密接してその部分をシールするためのシール用Oリング48が、着脱自在に取り付けられている。
【0021】
シール用Oリング48は、例えばシリコンゴム製であり、液体を含浸することができる多孔質の素材が用いられていて、潤滑剤としてシリコンオイルを含浸させてある。その含浸率は例えば5%であり、シリンダ31との密接によりオイルが滲み出さない程度である。
【0022】
ピストン34の軸線位置には、シリンダ31内に位置する部分に連通孔44が穿設されており、その連通孔44の一端側の開口44aはピストン34の奥側の端部に位置し、もう一方の端部の開口44bは、外部吸引器に接続された吸引管4のシリンダ31における接続開口に対応して、ピストン34の外周面に位置している。
【0023】
そのピストン外周面の開口44bの直径は吸引管4のシリンダ開口の直径とほぼ同寸法であり、その連通孔44の開口44bの周囲を囲むように、弾力性のあるゴム製の環状のシール部材50がピストン34に嵌め込まれていて、シリンダ31の内周面に密接している。
【0024】
シール部材50は潤滑剤を含浸しないシリコンゴムにより短い環状に形成されていて、その内径は連通孔44の内径とほぼ同寸法である。連通孔44の開口44bの内径は座ぐり状に太く形成されていて、その部分にシール部材50がライニングにより成形固着されている。
【0025】
ピストン34の外周部の、シール部材50より奥側であってシール部材50の近傍位置に形成された細い円周溝には、V−V断面を示す図5にも示されるように、潤滑剤が含浸された潤滑用Oリング60が着脱自在に装着されている。
【0026】
潤滑用Oリング60は、液体を含浸することができる多孔質のシリコンゴム製であり、潤滑剤としてシリコンオイルを含浸している。その含浸率は例えば10%である。
【0027】
潤滑用Oリング60はシリンダ31の内周面に密接して押し潰された状態になっており、ピストン34が軸線方向に進退することにより、含浸されているシリコンオイルが滲み出してシリンダ31の内周面に付着する。
【0028】
そして、潤滑用Oリング60とシール部材50とが接近して配置されているので、ピストン34が進退操作されたときの潤滑用Oリング60の移動範囲とシール部材50の移動範囲は大半が重複している。
【0029】
したがって、ピストン34が進退操作されると、シール部材50は、潤滑用Oリング60が接触してシリコンオイルが塗布されたシリンダ31の内周面の領域に接触し、シール部材50とシリンダ31の内周面との間の潤滑が行われる。
【0030】
ピストン外周面の開口44bは、図2に示されるように、ピストン34をシリンダ31内に押し込んだ状態の時に、外部吸引器に接続された吸引管4のシリンダ開口に対向するように形成されている。
【0031】
シリンダ31が押し込まれていない待機状態の位置では、図1に示されるように、ピストン外周面の開口44bは吸引管4のシリンダ開口とシリンダ31の口元との中間に位置し、ピストン34に形成された円周溝45が吸引管4のシリンダ開口に面している。
【0032】
その円周溝45は、ピストン34の側面を部分的に切除して形成された通気部46と、さらにその頭部寄りの位置に形成された通気孔47とを介して、大気と連通している。
【0033】
したがって、待機状態においては、それらを通じて大気が吸引管4に吸引されており、二つの吸引管4,5の間は、シール部材50と、ピストン34の奥側端部に装着されたOリング48によって閉塞されている。したがって、挿入部1に至る吸引管5側には吸引力は全く作用しない。
【0034】
その状態から、図2に示されるように、指先で操作ボタン36を押してピストン34をシリンダ31内に押し込むと、シリンダ外周面の開口44bが吸引管4のシリンダ開口と対向する位置に来て、二つの吸引管4,5が連通孔44を介して連通し、先端開口7からの吸引が行われる。
【0035】
そのとき、ピストン34の先端側の連通孔44の端部開口44aの周囲はOリング48でシールされ、ピストン外周面の開口44bの周囲はシール部材50でシールされる。したがって、ピストン34の周辺から吸引管4への大気の吸い込みは全く発生しない。
【0036】
内視鏡の使用が済んだら、固定環40と固定ナット32の係合を外すことにより、図4に示されるように、ピストン34と操作ボタン36等をユニットとして一体的にシリンダ31から取り外すことができる。すると、環状のシール部材50がピストン34の外周面に大きく露出するので、その部分を容易に十分に洗浄することができる。
【0037】
そして、シリンダ31の内周面とピストン34とを洗浄、消毒したら、ピストン34をシリンダ31に差し込んで使用状態に組み付けるのであるが、シール用Oリング48はシリコンオイルを含浸しており、シール部材50には潤滑用Oリング60からシリコンオイルが与えられるので、シール用Oリング48及びシール部材50のいずれにもシリコンオイル等の潤滑剤を塗布する必要がない。
【0038】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば本発明を送気送水切換装置9に適用してもよい。その場合には、シール用Oリングのシリコンオイル含浸率を上述のようにシリコンオイルが滲み出さない程度にすることにより、観察窓に吹きつけられる空気又は水へのオイルの混入を防止することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、潤滑剤が含浸された潤滑用Oリングを、ピストンの進退によってシール部材が接触するシリンダの内周面の領域の一部に接触するように、ピストンの外周部に装着したことにより、潤滑用Oリングから滲み出してシリンダの内面に付着した潤滑剤がシール部材に付着して潤滑が行われるので、ピストンをシリンダに装着する度にシール部材に潤滑剤を塗布する必要がなく、日常の取り扱いが非常に簡単になる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の内視鏡の吸引管路切換装置の待機状態の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の内視鏡の吸引管路切換装置の吸引状態の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の内視鏡の側面略示図である。
【図4】本発明の実施の形態のピストンユニットの側面図である。
【図5】本発明の実施の形態の図1におけるV−V断面図である。
【符号の説明】
3 吸引管路切換装置
31 シリンダ
34 ピストン
48 シール用Oリング
50 シール部材
60 潤滑用Oリング
Claims (5)
- 流体管路の途中に接続されたシリンダ内にピストンが軸線方向に進退自在に嵌挿され、上記シリンダ内で上記ピストンを進退させることによって上記流体管路の連通状態が切り換わるようにした内視鏡の管路切換装置であって、上記ピストンの外周部に固着されて上記シリンダの内周面に密接するシール部材を有するものにおいて、
潤滑剤が含浸された潤滑用Oリングを、上記ピストンの進退によって上記シール部材が接触する上記シリンダの内周面の領域に接触するように、上記ピストンの外周部に装着したことを特徴とする内視鏡の管路切換装置。 - 上記シール部材がシリコンゴム製であり、上記潤滑用Oリングにシリコンオイルが含浸されている請求項1記載の内視鏡の管路切換装置。
- 上記ピストンの外周部に上記シリンダの内周面に密接するシール用Oリングが装着されていて、そのシール用Oリングにも潤滑剤が含浸されている請求項1又は2記載の内視鏡の管路切換装置。
- 上記潤滑用Oリングの潤滑剤含浸率の方が上記シール用Oリングの潤滑剤含浸率より大きい請求項3記載の内視鏡の管路切換装置。
- 上記シール用Oリングが上記潤滑用Oリングより上記シリンダの奥寄りの位置に配置されている請求項3又は4記載の内視鏡の管路切換装置。
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