JP4198290B2 - 架橋重合体成形物の塗膜形成方法 - Google Patents

架橋重合体成形物の塗膜形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、メタセシス重合性モノマーをメタセシス重合触媒系の存在下で重合と同時に成形を行って得た架橋重合体成形物に対し、塗料を塗装する際の塗装方法に代表される塗膜形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有歪環状オレフィンが、メタセシス重合触媒系によって開環重合することは公知であり、ジシクロペンタジエンのような安価に得られるメタセシス重合性モノマーを用い、メタセシス重合触媒系が主触媒成分と活性化剤成分との2成分とからなり、かかる2つの成分を含有するモノマーの反応性溶液を混合後、直ちに成形用鋳型に流し込み、その中でバルク重合を行い、重合と成形を一段でおこなう方法が提案されている。(例えば特開昭58−129013号公報。)このような方法により、安価な成形用鋳型を用いて架橋重合体成形物が得られるため、広範な用途に使用されている。
【0003】
このような架橋重合体成形物は、用途により、外観上や耐久性の向上のために、あるいは成形物中に残留する微量のモノマー成分が成形物外へ揮発することにより生じる臭気を減らすために、全体あるいは部分の表面を塗装して用いられており、近年、より過酷な条件での使用に耐えうるような、より耐久性に優れ、塗膜剥れなどの不良の発生が少ない塗膜を有するこのような架橋重合体成形物の塗装製品が望まれている。
【0004】
このような架橋重合体成形物の表面は、一般に成形直後には塗料や接着剤への密着性が不十分で塗膜が剥がれやすいが、架橋重合体成形物中に炭素−炭素2重結合を含むために空気、熱、光などの諸要因により酸化等の反応を受けやすく、空気中に放置すると、塗料や接着剤の密着性が十分高められることが知られている。
【0005】
従って、かかる架橋重合成形体を塗装して満足すべき塗膜密着性を得るには、成形後に空気中にしかるべき期間にわたって保管した後に、塗装することが必須条件と考えられている。保管する時間は、光の当たり具合などにもよるが、一般には1〜2日間を要する。
【0006】
しかしながら、生産現場に於いて、十分満足できる塗装を施した架橋重合成形体を得るために、このように長時間にわたって成形体を保管することが難しく、市場からは成形直後すぐにでも塗装を行ないたいという要望が強い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、かかるメタセシス架橋重合体成形物の優れた塗膜形成製品を得るために鋭意検討を行った。その結果、塗膜形成を行う際にこのようなメタセシス架橋重合体成形物の表面を空気酸化させないでも、すなわち成形直後にでも、耐久性の優れた塗膜形成製品を得ることができる塗膜形成材料を見出したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本願発明は次のとおりである。
【0009】
1. メタセシス重合触媒系の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液(溶液A)とメタセシス重合触媒系の活性化剤成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液(溶液B)とを混合し、金型内において架橋重合せしめることによって得られた架橋重合体成形物に対し、塗膜を形成する際に、その塗膜が塩素化ポリプロピレンを主成分とするものである、架橋重合体成形物の塗膜形成方法。
【0010】
本願発明における架橋重合体成形物は、メタセシス重合触媒系の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液A(溶液A)とメタセシス重合触媒系の活性化剤成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液B(溶液B)とを混合し、その原料混合液を金型内に注入し、その金型内において重合および架橋反応せしめることによって得られる。もしくは、溶液Aと溶液Bとにさらにメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液Cを第三成分として混合してもよい。
【0011】
かかるメタセシス重合性環状オレフィンとしては、メタセシス重合性シクロアルケン基を分子中に1〜2個含有するものが使用される。好ましくはノルボルネン骨格を分子中に少なくとも1つ有する化合物である。
【0012】
これらの具体例としては、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、シクロペンタジエン−メチルシクロペンタジエン共二量体、5−エチリデンノルボルネン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン、エチレンビス(5−ノルボルネン)などを挙げることができこれらの混合物も使用することができる。特にジシクロペンタジエンまたはそれを50モル%以上、好ましくは70モル%以上含む混合物が好適に用いられる。また、必要に応じて、酸素、窒素などの異種元素を含有する極性基を有するメタセシス重合性環状オレフィンを共重合モノマーとして用いることができる。
【0013】
モノマー液A(溶液A)中に含有する触媒成分としては、タングステン、レニウム、タンタル、モリブデンなどの金属のハライドやアンモニウムなどの塩類が用いられるが、特にタングステン化合物が好ましい。
【0014】
かかるタングステン化合物としては、タングステンヘキサハライド、タングステンオキシハライドなどが好ましく、より具体的にはタングステンヘキサクロライド、タングステンオキシクロライドなどが好ましい。また、有機アンモニウムタングステン酸塩なども用いることができる。
【0015】
かかるタングステン化合物は、直接モノマーに添加すると、直ちにカチオン重合を開始することが分かっており好ましくない。従って、かかるタングステン化合物は不活性溶媒、例えばベンゼン、トルエン、クロロベンゼンなどに予め懸濁し、少量のアルコール系化合物および/またはフェノール系化合物を添加することによって可溶化させて使用するのが好ましい。さらに上述した如き好ましくない重合を予防するために、タングステン化合物1モルに対し、約1〜5モルのルイス塩基またはキレート化剤を添加することが好ましい。かかる添加剤としてはアセチルアセトン、アセト酢酸アルキルエステル類、テトラヒドロフラン、ベンゾニトリルなどを挙げることができる。
【0016】
極性モノマーを用いる場合には、前述の如く、そのものがルイス塩基である場合があり、上記の如き化合物を特に加えなくてもその作用を有している場合もある。
【0017】
前述の如くして、触媒成分を含むモノマー液A(溶液A)は、実質上充分な安定性を有することになる。
【0018】
一方、モノマー液B(溶液B)中に含有する活性化剤成分としては、周期律表第I〜第III族の金属のアルキル化物を中心とする有機金属化合物、特にテトラアルキル錫、アルキルアルミニウム化合物、アルキルアルミニウムハライド化合物が好ましく、具体的には塩化ジエチルアルミニウム、ジ塩化エチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジオクチルアルミニウムアイオダイド、テトラブチル錫などを挙げることができる。これら活性化剤成分としての有機金属化合物をモノマーに溶解することにより、モノマー液B(溶液B)が形成される。
【0019】
基本的には前記溶液Aおよび溶液Bを混合し、金型内に注入することによって、架橋重合体成形物を得ることができるが、上記組成のままでは、重合反応が非常に速く開始されるので、成形金型に十分流れ込まない間に硬化が起こることもあり、問題となる場合が多い。従って、活性調節剤を用いることが好ましい。
【0020】
かかる調節剤としては、ルイス塩基類が一般に用いられ、なかんずく、エーテル類、エステル類、ニトリル類などが用いられる。具体例としては安息香酸エチル、ブチルエーテル、ジグライムなどを挙げることができる。
【0021】
かかる調節剤は一般的に、有機金属化合物の活性化剤の成分の溶液(溶液B)の側に添加して用いられる。前述と同様にルイス塩基を有するモノマーを使用する場合には、それに調節剤の役目を兼ねさせることができる。
【0022】
メタセシス重合触媒系の使用量は、例えば触媒成分としてタングステン化合物を用いる場合は、上記原料モノマーに対するタングステン化合物の比率は、モル基準で約1,000対1〜15,000対1、好ましくは1,500対1〜2,500対1であり、また、活性化剤成分はアルキルアルミニウム類を用いる場合には、上記原料モノマーに対するアルミニウム化合物の比率は、モル基準で約100対1〜10,000対1、好ましくは200対1〜1,000対1が用いられる。
【0023】
さらに上述した如き、マスク剤や調節剤については、実験によって上記触媒系の使用量に応じて、適宜、調節して用いることができる。
【0024】
この架橋重合体の成形物には、実用に当ってその特性を改良または維持するために更にその目的に応じた各種添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、エラストマー、充填剤、強化剤、酸化防止剤、熱安定剤、顔料、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、難燃化剤、発泡剤、軟化剤、粘着付与剤、可塑剤、離型剤、防臭剤、香料または増量剤が挙げられ、これらは単独のみならず2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0025】
添加の方法としては、予め原料液に混ぜることも、また第3液として重合直前に混合することも、またあるいは予め成形金型内に充填して置くこともでき、添加剤の種類により適した方法が選択される。特にガラス繊維などの補強剤は、金型内に予めセットしそこに混合した液を注入するのが一般的である。
【0026】
また、環状オレフィンの反応射出成形法による成形物は、他の重合体をモノマー溶液状態の時に添加しておいて得ることができる。かかる重合体添加剤としてはエラストマーが、成形物の耐衝撃性を高めることおよび溶液の粘度を調節する上で効果がある。かかる目的に用いられるエラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロックゴム、スチレン−イソプレン−スチレントリブロックゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、エチレンプロピレン−ジエン−ポリマー、ニトリルゴムなど広範なエラストマーを挙げることができる。
【0027】
本願発明の成形物を成形するための金型の材質としては、スチール、鋳造あるいは鍛造のアルミニウム、亜鉛合金などの鋳造や溶射、ニッケルや銅などの電鋳および樹脂などが挙げられる。また、型の構造は成形時に型内に発生する圧力が数kg/cm2と他の成形方法に比べて極めて低いので簡単なもので十分であり、従って他の成形方法に比べて安価に作ることができる。
【0028】
本願発明における成形品表面の表面張力は、JISK6768に記載されたホルムアミド/エチレングリコールモノエチルエーテル混合液とホルムアミド/水混合液による評価方法により評価される。あるいは液滴の接触角を測定して評価する液滴法などの方法が挙げられる。これら諸法の中で、ホルムアミド/エチレングリコールモノエチルエーテル混合液あるいはホルムアミド/水混合液による評価方法が簡便であり好ましい。本願発明に言う表面張力は、この方法で測定したものである。
【0029】
研究の結果、本願発明に係る塩素化ポリプロピレンを主成分とする塗膜を形成させた場合には、成形直後の架橋重合体成形物上に塗膜を形成させた場合にも優れた密着力が得られることが判明した。
【0030】
この理由は定かでないが、本願発明に係る架橋重合体成形物に存在する二重結合が塩素ガスと常温で直接容易に反応することから知られるように、塩素を含む特定構造の塗膜形成物質が、本願発明に係る架橋重合体成形物と特殊な親和性を有していることが原因であろうと推測されている。
【0031】
一般に本願発明の架橋重合体成形物は、成形直後の表面張力は32×10-3N/mを示す。しかし、溶液Aと溶液Bとの組成を種々変更した場合には、この値よりも小さい表面張力を示すこともあり得る。そして、本願発明に係る架橋重合体成形物がこのような32×10-3N/mやそれより低い表面張力を有する場合においても、本願発明に係る塩素化ポリプロピレンを主成分とする塗膜は優れた密着力が得られることが明らかになった。
【0032】
なお、かかる表面張力の好適な範囲としては、52×10-3N/m以下であることがより好ましい。52×10-3N/mを超える場合には、塗膜の成形品表面への密着性が悪化し、塗膜剥れ等の不良が発生する傾向が認めらる場合があるからである。成形後、本願発明の架橋重合体成形物を空気中に長時間にわたって保管するとこの値に到達する場合がある。ただし、通常の場合には空気酸化は密着性悪化の原因にはならない。
【0033】
なお、ここで、本願で言う「塗膜」とは、一般的に塗装、スプレー、電着等公知の方法で形成される膜を意味し、通常の塗装によって得られる塗料による膜のほか、プライマーとし塗布される場合、消臭のため等の目的で形成されるコーティング膜を含むものである。
【0034】
本願発明の架橋重合体成形物の表面を被覆する塗膜形成のためには、塩素化ポリプロピレンを主成分とする塗料に代表される、塗膜形成材料が使われる。
【0035】
これらの塗膜形成材料には、主成分となる塩素化ポリプロピレン樹脂成分に対し、顔料や染料などの着色成分、溶剤、さらには可塑剤、分散安定剤、紫外線吸収剤、防かび剤、増粘剤などの副資材を含有させることができる。
【0036】
塩素化ポリプロピレンの塩素含有率は10重量%以上が望ましく、15重量%以上がより望ましい。
【0037】
代表的な塩素化ポリプロピレンとしては、塩素含有率が35重量%以下のものが有利に使用でき、ポリプロピレンを四塩化炭素などの溶液または懸濁液とし、均一にこの範囲の塩素含有率まで塩素化して製造される。通常、多少のゴム弾性を示し、ほぼ透明で有機溶剤に良く溶ける熱可塑性樹脂である。主として、ポリプロピレンの接着剤、貼り合わせ剤、印刷インキ、ペイント用ビヒクルなどに使われている。
【0038】
なお、ここで言う塩素含有率とはポリプロピレン中の水素原子を塩素原子で置換した割合いを意味し、塩素化ポリプロピレンの全重量に対する当該置換塩素原子の重量割合い(重量%)で表わされるものである。
【0039】
また、「塩素化ポリプロピレンを主成分とする」とは、塗膜形成成分にある固形分中において当該塩素化ポリプロピレンが40重量%以上であることを意味する。60重量%以上であることがより望ましい。
【0040】
塩素化ポリプロピレンは、例えば、我国では、日本製紙株式会社、東洋化成株式会社、山陽化成株式会社から市販されている。
【0041】
そして、この塩素化ポリプロピレンを主成分とする塗膜形成材料としては大日本塗料(株)のプラニットL#543、L#45やプラニットTSが知られている。
【0042】
本願発明の塩素化ポリプロピレンを主成分とする塗膜形成材料は、プライマー塗料として使い、架橋重合体成形物の表面に5〜20μmの厚みに被覆するだけで十分に本願発明の効果を発揮することができる。この上を被覆するトップコート塗料としては、一般に良く使われるウレタン系塗料などが良い。
【0043】
かかる塗膜形成材料の塗膜形成方法は使用する塗膜形成材料の通常の塗布方法によれば良く、一般にはスプレー塗布あるいはローラーや刷毛塗りであり、場合によっては塗膜形成材料中に浸漬し、塗布することもできる。
【0044】
なお、塗膜形成に先立って、本願発明に係る架橋重合体成形物の表面を洗剤やアルコール等の液状有機物で清拭することも本願発明の範囲に含まれる。
【0045】
本願発明の塗膜形成材料をプライマーとして使用する場合は、塗布後、5〜10分自然乾燥させた後、トップコートを塗布するのが良い。
【0046】
これ以上長い乾燥時間を取っても本願発明のプライマーの性能を発揮させるためには支障はないが、乾燥時間は塗膜形成工程の生産性を考えて決められるので、時間を長くすることは好まれない。
【0047】
また、加熱乾燥、熱風乾燥、真空乾燥などを行っても良い。塗膜形成架橋重合体成形物のユーザーへの出荷形態として、プライマーを塗布するだけで出荷する場合がある。この時も溶剤の除去が主たる目的で乾燥を行うが、その方法は使用する塗膜形成材料の通常の方法によれば良く、一般には自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、真空乾燥などが例示される。
【0048】
【実施例】
以下実施例を挙げて本願発明を説明する。なお、実施例は説明のためのものであって、本願発明はこれらに限定されない。
なお、以下の例では塗膜形成材料による塗膜形成の例として、塗料による塗装を採用した。
【0049】
[参考例1]
(モノマー液)
(溶液Aの調製)
六塩化タングステン28重量部を窒素気流中下で乾燥トルエン80重量部に添加し、次いでt−ブタノール1.3重量部をトルエン1重量部に溶解した溶液を加え1時間撹拌し、次いでノニルフェノール18重量部およびトルエン14重量部よりなる溶液を添加して5時間窒素パージ下撹拌した。さらにアセチルアセトン14重量部を加えた。副生する塩化水素ガスを追い出しながら窒素パージ下に一晩撹拌を継続し、重合用触媒溶液を調製した。
【0050】
次いで、精製ジシクロペンタジエン(純度99.7重量%、以下同様)95重量部、精製エチリデンノルボルネン(純度99.5重量%、以下同様)5重量部よりなるモノマー混合物に対し、エチレン含有70モル%のエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン重合ゴム3重量部、酸化安定剤としてエチル社製エタノックス702を2重量部加えた溶液に上記重合用触媒溶液をタングステン含量が0.01M/リットルになるように加えて触媒成分を含有するモノマー液(溶液A)を調製した。
【0051】
(溶液Bの調製)
精製ジシクロペンタジエン95重量部、精製エチリデンノルボルネン5重量部よりなるモノマー混合物に対し、エチレン含有70モル%のエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン重合ゴム3重量部を溶解した溶液に、トリオクチルアルミニウム85、ジオクチルアルミニウムアイオダイド15、ジグライム100のモル割合で混合調製した重合用活性化剤混合液をアルミニウム含有が0.03M/リットルになる割合で添加し、活性化剤成分を含有するモノマー液B(溶液B)を調製した。
【0052】
[参考例2]
(成形)
成形用アルミニウム金型を使用し、キャビティ型を90℃、コア型を60℃に加熱し型を閉じた後、この中へRIM(反応射出成形)成形機を利用してミキシングヘッド中で溶液Aと溶液Bとを50:50の重量比で衝突混合し注入した。液注入充填後5分で型を開き、厚さ3mmx幅500mmx長さ500mmの架橋重合品成形板を作成した。
【0053】
[実施例1]
(成形直後の架橋重合品成形板の表面張力評価)
参考例2で得られた成形板の表面を、成形直後に、JISK6768に記載されたホルムアミド/エチレングリコールモノエチルエーテル混合液による評価方法により評価した結果、表面張力は32×10-3N/mであった。
【0054】
(塩素化ポリプロピレンを主成分とする塗料による塗布)
その後、直ちに、塩素含有率が23重量%の塩素化ポリプロピレンを主成分とする塗料である大日本塗料(株)のプラニットL#543をシンナーP20で60重量%に希釈し、塗料を調製した。この塗料をスプレー塗布し、風乾の後、80℃で30分間乾燥した。
【0055】
(塗膜特性評価)
得られた塗膜の膜厚は15μmであった。得られた塗膜の耐久性の評価は、▲1▼塗装後3日間経過したサンプル、および▲2▼40℃の温水に10日間浸漬後、取り出し、表面に付着した水分を拭き取った後25℃湿度50%で1時間放置したサンプル、の2種類のサンプルを用い、JISK5400に記載された方法に準じて塗膜に1mm2の桝目100個の格子パターンの切り込みを入れた後、粘着テープを押し付け、これを剥がす際の塗膜の剥れの有無により、評価を行った(以下碁盤目テストと呼ぶ)。また、温水に10日間浸漬したサンプルについては塗膜の膨れの有無についても評価を行った。
【0056】
碁盤目テープ法の評価の結果、塗装後3日間経過したサンプル、温水に10日間浸漬したサンプル、いずれもJISK5400に準じた評価で、はがれ無しで、10点であった。また、温水に10日間浸漬したサンプルの塗膜の膨れも無かった。
【0057】
[実施例2]
大日本塗料(株)のプラニットL#543の代わりに、塩素含有率が20重量%の塩素化ポリプロピレンを主成分とする塗料であるプラニットTSを使った以外は実施例1と同様に行った。得られた塗膜の膜厚は15μmであった。
塗膜特性評価を実施例1と同様に行った結果、碁盤目テストは10点であり、塗膜の膨れもなかった。
【0058】
[実施例3]
参考例2で得られた成形板を窓ガラス越しに直射日光があたる場所に5日間放置し、表面張力が53×10-3N/mのサンプルを得た。
その後、実施例1と同様の塗装を行った。ただし、得られた塗膜の膜厚は9μmであった。実施例1と同様の塗膜特性評価を行った結果、碁盤目テストは10点であり、塗膜の膨れもなかった。
【0059】
[実施例4]
実施例1と同様の成形板に実施例1と同様の塩素化ポリプロピレンを主成分とする塗料を、実施例1と同様にして、塗布し1分間の風乾の後、ウレタン系塗料である大橋化学(株)のポリナール#800をスプレー塗布した。2分間の風乾の後、80℃で30分間乾燥した。なお、得られた塩素化ポリプロピレン系塗料の塗膜の膜厚は9μm、ウレタン系塗料の塗膜の膜厚は35μmになった。
塗膜特性評価を実施例1と同様に行った結果、碁盤目テストは10点であり、塗膜の膨れもなかった。
【0060】
[実施例5]
実施例1と同様の成形直後の成形板を使った。塩素含有率が25重量%の塩素化ポリプロピレンをトルエン中に20重量%含む日本製紙(株)のスーパークロン822をさらにキシレンで10重量%にまで希釈した。この溶液をスプレー塗布し、1分間風乾の後、80℃で30分間乾燥した。得られた塗膜の膜厚は10μmであった。
塗膜特性評価を実施例1と同様に行った結果、碁盤目テストは10点であり、塗膜の膨れもなかった。
【0061】
[比較例1]
参考例2で得られた成形板を成形直後に、ウレタン系塗料の大橋化学(株)のポリナール#800をスプレー塗布した。2分間風乾の後、80℃で30分間乾燥した。得られた塗膜の膜厚は35μmであった。
塗膜特性評価を実施例1と同様に行った結果、塗装後3日間経過したサンプルの碁盤目テストは4点であった。また、温水に10日間浸漬したサンプルでは、碁盤目テストは0点であり、多数の塗膜の膨れが観察された。
【0062】
【発明の効果】
本願発明によれば、メタセシス架橋重合体成形物に塗膜を形成する際に、塩素化ポリプロピレンを主成分とする塗料を塗布することにより、従来の成形・塗装工程の生産性を上げ、従来品に比べ耐久性に優れた塗装製品を短期間に提供できる。

Claims (1)

  1. メタセシス重合触媒系の触媒成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液(溶液A)とメタセシス重合触媒系の活性化剤成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモノマー液(溶液B)とを混合し、金型内において架橋重合せしめることによって得られた架橋重合体成形物に対し、塗膜を形成する際に、その塗膜が塩素化ポリプロピレンを主成分とするものである、架橋重合体成形物の塗膜形成方法。
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