以下、添付図面を参照しながら、本発明における炊飯器の好ましい一実施例を説明する。
まず、図1に基づき、本発明の一例である炊飯器の構成について説明する。同図において、1は炊飯器の外郭をなす本体で、この本体1は、その上面と上側面を構成する上枠2と、側面を構成するほぼ筒状の外枠3とにより形成され、外枠3の底部開口を覆う底板4が設けられている。そして、上枠2や底板4は、PP(ポリプロピレン)などの合成樹脂で形成される一方で、外枠3は清掃性や外観品位を向上させるために、例えばステンレスなどの金属部材で形成される。また、上枠2の上面内周部から一体に垂下させて形成されるほぼ筒状の鍋収容部6と、この鍋収容部6の下面開口を覆って設けられ、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂で形成される内枠8とにより、後述する鍋11を収納する有底筒状で非磁性材料からなる鍋収容体9が形成される。
前記鍋収容体9内には、米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の鍋11が着脱自在に収容される。この鍋11は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材料とした鍋本体12と、この鍋本体12の外面の側面下部から底面部にかけて接合されたフェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体13とにより構成される。鍋11の側面中央から上部に発熱体13を設けないのは、鍋11の軽量化を図るためである。また、鍋11の上端周囲には、その外周側に延出する円環状のフランジ部14が形成されている。なお、鍋収容部6の外周には加熱手段を設けない構成となっている。
前記内枠8は、鍋11の発熱体13に対向して位置しているが、この内枠8の外面の発熱体13に対向する側面下部および底面部には、鍋11の特に底部を電磁誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル16が設けられている。この加熱コイル16は、鍋収容体9の外周囲には設けられていない。そして、この加熱コイル16に高周波電流を供給すると、加熱コイル16から発生する交番磁界によって鍋11の発熱体13が発熱し、鍋11ひいては鍋11内の水や米などの被炊飯物が加熱されるようになっている。
また、内枠8の底部中央部には、鍋11の底部外面と弾発的に接触するように、鍋温度検出手段としての温度センサ21が配置され、鍋11の温度を検知し、加熱コイル16による鍋11の底部の加熱温度を主に温度管理するようになっている。
前記鍋収容体9の上端には、鍋11の側面上部、特にフランジ部14を加熱するためのコードヒータ26が、鍋11のフランジ部14の下側に位置して円環状に配置されている。このコードヒータ26は電熱式ヒータからなり、鍋収容体9の上端に載置するようにして取り付けられた熱放散抑止部材としてのヒータリング27上に保持されると共に、コードヒータ26を上から覆うようにしてヒータリング27に取り付けられ、かつ熱伝導性に優れた例えばアルミ板からなる固定金具と放熱部とを兼用する金属板29を備えて、フランジヒータを構成している。この金属板29は、炊飯器本体1と蓋体31との隙間に対向して位置している。そして、前記金属板29の上面に鍋11のフランジ部14の下面が載置し、これにより、鍋11が本体1の上枠2に吊られた状態で、鍋収容体9内に収容されるようになっている。したがって、鍋11とこの鍋11が収容された鍋収容体9の上端との間における隙間がほとんどない構成になる。しかも、鍋11のフランジ部14は、外形がコードヒータ26と同等以上の大きさに形成されており、これにより、コードヒータ26が鍋11のフランジ部14で上から覆われるようになっている。但し、図示していないが、鍋11の持ち手部(フランジ部14)は非接触にし、部分的に隙間を形成することで、鍋11の外面に水が付着した状態で炊飯したときに、当該隙間から蒸気が排出されるようにしてある。
蓋体31は、その上面外郭を形成する例えばプラスチック製の外蓋32と、外蓋32の上面部を覆う三次元形状の金属蓋33と、蓋体31の内面である下面を形成する放熱板34と、外蓋32および放熱板33を結合させて蓋体31の骨格を形成する蓋ベース材としての外蓋カバー35とを主たる構成要素としている。外蓋カバー35に設けられる放熱板34は金属製であり、例えば、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした材料からなっている。また、前記蓋体31の内部にあって、放熱板34の上面には、蓋加熱手段としての蓋ヒータ36が設けられている。この蓋ヒータ36は、コードヒータなどの電熱式ヒータや、電磁誘導加熱式による加熱コイルでもよい。
前記本体1を構成する上枠2の後方には、蓋体31と連結する連結部としてのヒンジ部38が設けられる。このヒンジ部38には、炊飯器の正面から見て左右方向に一対の孔39が設けられていると共に、例えばねじりコイルバネなどで形成した付勢手段としてのヒンジバネ40が、その内部に収納される。一方、外蓋カバー35の後方にも、前記ヒンジ部38に設けた孔39と対向するようにヒンジ受部としての外蓋カバーヒンジ孔(図示せず)が設けられる。そして、このヒンジ孔とヒンジ部38の孔39に共通して、棒状のヒンジシャフト41を挿通することで、本体1と蓋体31がヒンジシャフト41を支点として開閉自在に軸支される。さらに、前記ヒンジバネ40の一端と他端が、外蓋カバー35と外枠2にそれぞれ引掛けられることで、蓋体31は常時開方向に付勢されている。
外蓋カバー35に設けたヒンジ受部の略反対側に位置して、当該外蓋カバー35の前方には係合部としてのクランプ44を設ける。このクランプ44は、図2にも示すように、蓋体31の内部に設けたクランプシャフト45を中心として、外蓋カバー35に対し回転自在に軸支される。なお、クランプシャフト45は、その軸が蓋体31の水平左右方向にほぼ沿って配置される。蓋体31の前方上面には、蓋開ボタン46が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン46の下側に、前記クランプ44の基端部44Aが配置される。また蓋体31の内部には、前記クランプ44の基端部44Aを蓋開ボタン46側に付勢するバネなどのクランプ付勢手段(図示せず)が設けられており、これにより蓋開ボタン46を常時上方に押し上げようとする力が作用する。
クランプ44は、蓋開ボタン46に当接する基端部44Aの他に、外蓋カバー35の下面にあるクランプ用孔48から下方に突出する垂下部44Bと、クランプ44の実質的な先端部に相当し、垂下部44Bの下端を起点として、そこから本体1の内方に延出する係合部44Cとにより構成される。これらの垂下部44Bや係合部44Cは、クランプ44の下側にあって左右一対に設けられる。クランプ44の回転中心となるクランプシャフト45は、垂下部44Bの上端に沿うように配置されており、係合部44Cは本体1のほぼ前後方向に遥動するようになっている。
一方、上枠2に設けたヒンジ部38の略反対側に位置して、当該上枠2の前方には本体クランプ部としてのクランプ受け50が配設される。このクランプ受け50は、前記クランプ44の係合部44Cが当接するほぼ水平な被係合面50Aが形成されている。また、クランプ44の先端部に位置する係合部44Cは、クランプ受け50の下方から被係合面50Aに向けて当接するようになっており、クランプ受け50の下方には、係合部44Cの遥動を妨げないような空間51が形成される。さらに上枠2の上面部には、蓋体31を本体1側に閉じたときに、係合部44Cが当接しながら空間51に入り込むようなテーパー面を有する案内口52が、空聞51に連通して設けられる。この案内口52は、前記クランプ用孔48に対向してそれぞれ配設される。前記クランプ44,クランプシャフト45およびクランプ受け50は、蓋体31を開状態に保持するクランプ機構53に相当する。
55は、放熱板34の外側すなわち下側に設けられる内蓋組立体である。この内蓋組立体55は、鍋11の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有し、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属性の内蓋56と、鍋11と内蓋56との間をシールするために、当該内蓋56の外縁上部全周に設けられ、蓋パッキン57と内釜の内圧力を調整する調圧部58とを備えている。環状に形成された蓋パッキン57は、蓋体31を閉じた時(蓋閉時)に、鍋11のフランジ部14上面に当接して、この鍋11と内蓋56との間の隙間を塞ぎ、鍋11から発生する蒸気を密閉するものである。また、前記内蓋56の外周部には、内蓋組立体55を蓋体31に装着したときにのみ、前記クランプ付勢手段の弾性力をクランプ44に作用させるフック部(図示せず)を形成した環状のパッキンベース59が固定されており、パッキンベース59と内蓋56とにより挟まれて蓋パッキン57が固定されている。これにより、内蓋56と蓋パッキン57はパッキンベース59で一体化され、内蓋組立体55が蓋体31の下面から着脱可能に設けられており、炊飯毎に洗うことが可能となっている。蓋パッキン57の構成詳細については後述する。
そして、内蓋組立体55を蓋体31に装着した状態で、蓋体31に対し当該蓋体31を閉じようとするカを加えると、クランプ44の係合部44Cが案内口52のテーパー面に当接し、そこからクランプ44はクランプ付勢手段の弾性力に抗して、クランプシャフト45を中心として一方向に回転する。やがて、クランプ44の係合部44Cが案内口52のテーパー面を乗り越えると、それまでの係合部44Cと案内口52のテーパー面との当接状態が解除されるので、クランプ付勢手段の弾性力により、クランプ44がそれまでとは逆方向に回転して元の位置に復帰し、クランプ44の係合部44Cはクランプ受け50の被係合面50Aに当接して、蓋体31が本体1に係合保持される。
また、蓋体31を閉塞した状態で蓋開ボタン46を押動すると、クランプ44の係合部44Cとクランプ受け50の被係合面50Aとの係合を解除する方向に、クランプ44がクランプシャフト45を中心に回転し、蓋体31がヒンジバネ40のカで自動的に開く。一方、内蓋組立体55を蓋体31に取付けていない場合には、パッキンベース59に設けたフック部がクランプ付勢手段に作用しなくなって、蓋開ボタン46を常時上方に押し上げようとする力がクランプ44に働かなくなるので、蓋体31を閉塞しても、蓋体31が本体1に係合保持されないようになっている。
前記放熱板34には、蓋体31の特に内蓋56の温度を検知する蓋温度検知手段として、蓋ヒータ51による内蓋56の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ61(図4参照)が設けられていている。また、蓋体31の上面後方寄り部には、蓋体31の上面側から着脱可能な蒸気口62が設けられる。蒸気口62と前記調圧部58は蓋体31の内部で連通しており、これらの蒸気口62や調圧部58により、鍋11内で発生した蒸気を外部へ放出するための蒸気排出機構が形成される。
次に、調圧部58およびその周辺の構成を、図3を参照しながら説明する。前記調圧部58は、調圧用の調圧弁65と、調圧弁65を保持する調圧弁ホルダー66と、調圧弁65を覆うドーム状の調圧弁カバー67とにより構成される。調圧弁65は耐食性に優れた材料で、ある程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレスからなるボールであってもよい。調圧弁ホルダー66は、球状の調圧弁65を載置する台座部69と、調圧弁65の下方に配置され、鍋11と連通してこの鍋11内の蒸気を排気する連通孔70とを有する。連通孔70は、鍋11と内蓋56とを連通させるためのもので、この連通孔70を通過する蒸気が、蒸気口62から外部に放出されるようになっている。また、調圧弁65は台座部69に載置された状態で、連通孔70を塞ぐようになっており、連通孔70の開口面積と調圧弁65の重量とにより、鍋11内の圧力を調整することができる。
内蓋56の適所には、前記調圧弁ホルダー66の台座部69が挿通可能な挿入孔72が形成されると共に、前記台座部69の下側には、この台座部69よりも径大なフランジ部73が形成される。これにより、調圧弁ホルダー66を内蓋56の挿入孔72に向けて下側から挿通すると、フランジ部73が挿入孔72の周囲部下面に当接する。そして、調圧弁ホルダー66を内蓋56の挿入孔72に差し込み、調圧弁65を調圧弁ホルダー66に保持した状態で、調圧弁ホルダー66の上方から調圧弁カバー67を被せることで、内蓋56に調圧部58が組立てられる。このとき、調圧弁ホルダー66と調圧弁カバー67は爪嵌合により取付け固定されてもよいし、ネジやリベットなどの止着部材で取付け固定されてもよい。本実施例では、内蓋56の挿入孔72の周囲部が調圧弁ホルダー66と調圧弁カバー67とにより扶持されるので、挿入孔72を露出させない構造とすることができる。
調圧弁カバー67は、調圧弁65の移動範囲を規制するためのもので、連通孔70から放出する蒸気を蒸気口62に導く複数の孔(図示せず)が設けられている。なお、前記フランジ部73の側面には溝部74が形成され、ここに調圧弁ホルダー66と内蓋56とをシールする環状パッキン75が嵌着される。
77は、調圧弁ホルダー66の下部に設けられる調圧弁フィルターである。この調圧弁フィルター77は、調圧弁ホルダー66の下側開口を覆うように形成され、第2の連通孔に相当する複数の孔78を設けた平板状の中央部79と、中央部79の側部両側より外方に向かい対極に延長した腕部80と、断面がコ字形状で、腕部80の外縁に形成される係合部としての嵌合部81と、中央部79の下面より突出し、孔78を通過する蒸気の進入経路に対してほぼ垂直に配置される縦リブ82とからなる。中央部79に設けた複数の孔78は、腕部80の略中央に位置する縦リブ82で左右に分断される。この縦リブ82は、腕部80の端にまで延びていてもよいし、腕部80の途中にまで延びていてもよいが、要は孔78を有する範囲内に少なくとも設けることとする。
一方、前記調圧部ホルダー66のフランジ部73には、外方への延出部84が数箇所(実施例では2箇所)設けられている。当該延出部84と内蓋56の下面との間には、前記嵌合部81の先端部が入り込む隙間に相当する凹部85が形成される。この凹部85は調圧弁フィノレター77との嵌合部となり、これにより調圧弁フィルター77が調圧弁ホルダー66に対し着脱自在に配設される。
内蓋56には、調圧弁フィルター77の装着時に、この調圧弁フィルター77に弾発的に当接する弾性部材としてのゴム87が設けられる。このゴム87は、調圧部ホルダー66のフランジ部73に形成したゴム収容室89に装着され、内蓋56と調圧弁ホルダー66の延出部84とにより形成される隙間(凹部85)に臨んで配置される。調圧弁フィルター77の嵌合部81には、その略中央部にゴム87との当接部である凸部90が設けられており、調圧弁フィルター77を装着する途中で、この凸部90とゴム87が高さ方向で当たる位置関係となっている。
前記内蓋組立体55には、その他に鍋11内の圧力が何らかの要因で設定値以上である異常圧力に昇圧すると、ばねに抗して弁体95を押し上げ、孔96を開放して鍋11の内圧を下げる安全弁97が設けられる。調圧部58および安全弁97は、内蓋56を外蓋カバー35の下側に取付けたときに、蒸気口62の入口側に臨んで設けられる。
98は、蓋体31の内部に設けられ、前記調圧弁65を動かして蓋体31の密閉度すなわち鍋11の内圧を調節する圧力調節手段としてのソレノイドである。このソレノイド98は、より具体的には、調圧弁65側に突出する可動部としてのプランジャ99が、前記調圧部58を構成する調圧弁カバー67の側部開口に臨むように、蓋体31の内側に横設される。そして本実施例では、ソレノイド98の非通電状態において、プランジャ99を進出位置に保持し、調圧弁65を連通孔70から退避する一方で、通電状態においてプランジャ99を退避させて、調圧弁65を連通孔70に自重で転動させ、鍋11内に圧力を投入するものである。なお、ソレノイド98の通電/非通電状態におけるプランジャ99の位置は、本実施例と逆であってもよい。
前記本体1の前部には操作パネル101が設けられている。この操作パネル101の内側には時間や選択したメニューを表示するLCD102や、他にいずれも図示しないが、現在の行程を表示するLEDや、炊飯を開始させたり、メニューを選択させるためのスイッチなどを配置した基板が配設される。操作部に相当する操作パネル101はボタン名などを表示するもので、電子部品である制御手段にほこりや水が付着することも防止している。なお、操作パネル101を蓋体31の正面側に設けてもよい。
111は、本体1の内部前方に設けられた加熱制御手段である。この加熱制御手段111は、加熱手段である加熱コイル16を駆動させるための発熱素子(図示せず)を基板に備えて構成される。この加熱コイル16を駆動する素子は、加熱コイル16の発振と共に加熱されるが、動作状態を保証する使用条件温度を有するので、一定温度以下で使用する必要がある。そのために、加熱コイル16を駆動する素子は、例えばアルミニウムのような熱伝導性の良好な材料で構成されるフィン状の放熱器112に熱的に接続され、冷却手段である冷却ファン113から発する風を放熱器112に当てて熱を奮うことにより、使用条件温度内で素子を駆動するようにしている。
冷却ファン113は、加熱制御手段111に取り付けられた放熱器112の下方、若しくは側部に配置されている。また、本体1の底部若しくは側部には、冷却ファン113から発し、加熱制御手段111に取り付けられた放熱器112から熱を奪って温かくなった風を、本体1の外部へ排出するための孔(図示せず)が複数設けられている。加熱制御手段111は製品内部すなわち本体1内に収納されるが、鍋11の外周囲のどの位置に配置してもよい。また、本体1の底部若しくは側部に設けた孔も、どの位置に配置してもよい。しかし、近年は製品の小形化設計が求められている背景もあり、加熱制御手段111や冷却ファン113と、温かな風を排出する孔114は、鍋11をはさんで略反対位置に配置するのが好ましい。
本体1の内部には、電源プラグ(図示せず)を巻き取るためのコードリール116が設けられる。また117は、本体1の両側部を跨ぐように設けられた運搬用の回転可能なハンドルである。
次に制御系統について、図4を参照しながら説明する。同図において、111は前述の加熱制御手段で、これは前記鍋温度センサ21および蓋温度センサ61からの各温度情報を受信して、炊飯時および保温時に鍋11の底部を加熱する加熱コイル16と、鍋11の側部を加熱するコードヒータ26と、蓋体31を加熱する蓋ヒータ36とを各々制御するものである。特に本実施例の加熱制御手段111は、鍋温度センサ21の検出温度に基づいて主に加熱コイル16が制御されて鍋11の底部を温度管理し、蓋温度センサ52の検出温度に基づいて主に蓋ヒータ26が制御されて放熱板34ひいては内蓋56を温度管理するようになっている。加熱制御手段111は、自身の記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、被調理物の調理加熱を制御する調理制御手段を備えており、ここでは炊飯時に前記鍋11内の被調理物を炊飯加熱する炊飯制御手段120と、保温時に銅11内のご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段121とをそれぞれ備えている。
122は、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、加熱コイル16に所定の高周波電流を供給する高周波インバータ回路などを内蔵した加熱コイル駆動手段である。またこれとは別に、加熱制御手段111の出力側には、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、放熱板34や内蓋56を加熱するように蓋ヒータ36を駆動させる蓋ヒータ駆動手段123と、コードヒータ26をオンにするコードヒータ駆動手段124と、ソレノイド98をオンまたはオフにするソレノイド駆動手段125が各々設けられる。前記炊飯制御手段120による炊飯時、および保温制御手段121による保温時には、鍋温度センサ21と蓋温度センサ61からの各温度検出により、加熱コイル16による鍋11の底部への加熱と、コードヒータ26による鍋11の側面への加熱と、蓋ヒータ36による蓋体31ヘの加熱が行なわれるように構成する。また、前記炊飯制御手段120による炊飯が終了し、銅11内の被調理物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段121による保温に自動的に移行し、鍋温度センサ21の検知温度に基づき、加熱コイル16やコードヒータ26による鍋11への加熱を調節することで、ご飯を所定の保温温度(約70℃〜76℃)に保温するように構成している。
特に前記コードヒータ26による加熱について補足説明すると、炊飯後にご飯の温度が約100℃から約73℃の保温温度に低下するまでと、約73℃の保温安定時に、コードヒータ26を発熱させて、蓋体31と本体1との隙間の空聞に金属板29から熱放射して、この隙間からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、鍋11のフランジ部14を加熱する。また、保温時にご飯を再加熱するあつあつ再加熱を実行している期間にもコードヒータ26により鍋11のフランジ部14を加熱し、ご飯の加熱により発生する水分が鍋11の内面上部に結露することを防止するように構成している。
次に、上記構成についてその作用を説明する。鍋11内に被調理物である米および水を入れて、炊飯制御手段120による炊飯を開始すると、鍋温度センサ21による鍋11の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル16とコードヒータ26で鍋11の底部と側面部をそれぞれ加熱し、鍋11内の水温を約45〜60℃に15〜20分間保持するひたし炊きが行なわれる。このひたし炊き中は、ソレノイド98をオン状態にして、プランジャ99を退避させている。
その後、加熱コイル16により鍋11を強加熱し、被調理物への沸騰加熱を行なう。この沸騰加熱時に鍋11の底部の温度が90℃以上になり、蓋体31の温度が90℃以上で安定(温度上昇率検知)したら、鍋11内が沸騰状態になったものとして、それまでよりも加熱量を低減した沸騰継続加熱に移行する。沸騰加熱の途中で、炊飯制御手段120はソレノイド98をオフ状態にして、プランジャ99を進出位置に保持させ、調圧弁65を連通口70から退避させる。これにより、調圧部58は密閉せずに鍋11の内外を連通させた開放状態となり、鍋11はほぼ大気圧に維持される。なお、上述の蓋体31の温度が90℃以上で安定したことは、蓋温度センサ61からの検出温度の温度上昇率により検知される。また、この沸騰検知において、鍋温度センサ21と蓋温度センサ61とにより、鍋11の底部および蓋体31がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に鍋11内が沸騰したことを精度よく検知できる。
また、前記鍋11の底部,鍋11の側面部または蓋体31のいずれかが120℃以上の通常ではあり得ない検知温度になったら、加熱制御手段111は何らかの異常があると判断して炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。逆に、前記鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃以上になって所定時間(例えば5分)経過しているのに、それ以外の鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃未満で低い状態の場合、この温度の低い状態の鍋温度センサ21または蓋温度センサ61が、何らかの理由(汚れや傾きや接触不良など)で温度検知精度が悪化していると判断し、同様に炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を序止する切状態にするか、むらしに移行するか、保温を行ない、これに対処する。
沸騰継続に移行すると、炊飯制御手段120は蓋ヒータ36による蓋加熱を開始させる。ここでの蓋加熱は、内蓋56の温度が100〜110℃になるように、蓋温度センサ61の検知温度により管理される。また沸騰継続加熱に移行したら、炊飯制御手段120はソレノイド98を周期的にオン・オフさせる。この沸騰継続加熱では、操作パネル101により選択したメニューに応じて、ソレノイド98の通断電タイミングを変えるのが好ましい。これにより、銅11に通じる調圧部58の密閉度を、選択したメニューに応じて最適なものに可変することができる。そして、鍋11の底部が所定の温度上昇を生じたら、炊き上げを検知して、むらしに移行する。むらし中は蓋温度センサ61の検出温度による温度管理によって蓋ヒータ36を通断電し、内蓋56への露付きを防止すると共に、ご飯が焦げない程度に高温(98〜100℃)が保持されるように、鍋11の底部の温度を管理する。むらしは所定時間(15〜20分)続けられ、むらしが終了したら保温制御手段121による保温に移行する。
保温になると、加熱コイル16にて鍋11の底部と側面下部を加熱すると共に、鍋11内に収容するご飯の温度よりも僅かに高く、蓋ヒータ36により蓋体31の下面を加熱し、さらに鍋11の側面をコードヒータ26でご飯が乾燥せず、かつ露が多量に付着しないように温度管理する。鍋11内のご飯の温度は70〜76℃に温度保持されるが、この保温時においても、鍋温度センサ21や蓋温度センサ61が相互に異常に高かったり、あるいは異常に低かったりした場合には、異常を検知してこの異常加熱を防止する。
また、蒸気むらしから保温に至る各行程での調圧部58の密閉度は、選択した調理コースに応じて変えるが、実質的な炊飯終了であるむらしの所定時間前になったら、ソレノイド98をオフにして調圧部58の密閉度を下げ、炊飯終了時に蓋体31を開けるのに支障がない程度に減圧する。
以下、本発明の特徴部である蓋パッキン57に関する細部の構成について、図5及び図6を参照しながら詳述する。
図5は、鍋収容部6に鍋11がない状態で蓋体31を閉塞したときの蓋パッキン57の位置関係を示す図であり、図6は、鍋収容部6に鍋11が実際にある状態で蓋体31を閉塞したときに、蓋パッキン57の形状が図5の状態からどのように変化するのかその変化の前後を示した図である。なお、図5及び図6は、クランプ44側を図示したものである。
内蓋56は、蓋面56aを底面(鍋11との対向面)とする皿状であり、その開口端部には外側に延出したフランジ状のベース取付部56bが形成されている。なお、ベース取付部56bの外周端縁は、若干下方へ垂下している。シール保持部材としてのパッキンベース59は、その中心孔に蓋面56aを挿通させた状態でベース取付部56bの下面に取り付けられており、このパッキンベース59と内蓋56とにより挟まれて蓋パッキン57が固定されている。蓋パッキン57は、例えばシリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材により環状に形成され、鍋11のフランジ部14の上面及び鍋11の内側面の両方に当接してこの鍋11と内蓋56との間の隙間を塞ぎ、鍋11内から発生する蒸気を密閉するシール部材となる。
蓋パッキン57は、パッキンベース59と嵌合する嵌合部120と、鍋11の内側面上部を密閉する第1シール部121と、フランジ部14の上面を密閉する第2シール部122とが環状に連続して、支点部123から三放射方向に突出するよう形成されている。嵌合部120は、支点部123から鍋11の内側へ向けて略水平に若干突出した後、上方へ略直角に折れ曲がり、さらにその先端部が外側へ鉤状に折れ曲がった形状になっている。蓋パッキン57を内蓋56及びパッキンベース59へ取り付けた際には、鉛直方向に沿う嵌合部120の側周部がパッキンベース59の内側面と内蓋56の外側面との間に挟持されると共に、鉤状の先端部がパッキンベース59の嵌合溝59aに嵌合,係止することとなる。第1シール部121は、支点部123から下方へ突出した形状になっている。この第1シール部121は、蓋体31を閉塞した状態で鍋11の内側面を密閉するものであるが、第1シール部121の基部121bの外径は、鍋11の内径よりも小さく設定されている。また、第1シール部121の先端部121aが鍋11内に入り易くするために、先端部121aの外径が上方に位置する基部121bの外径よりも更に小さい径となっており、第1シール部121は先端部121aへ向かうに従って鍋11の内側面との隙間124が大きくなるように鍋11の内側へやや反り返った形状となっている。すなわち、第1シール部121は、図5に示した常温条件下における初期状態では鍋11に当接しないような位置関係となるようにその外径が設計されている。第1シール部121は基部121bと先端部121aとの間が、滑らかに傾斜していてもよいし、屈曲していてもよい。また、第1シール部121は下方に位置する先端部121aに向かうに従って肉厚が薄くなる形状とするのが好ましい。第2シール部122は、支点部123から鍋11の外側へ向けて斜め上方向に若干突出した後、斜め下方向へ折れ曲がった形状となる、いわゆる「へ」の字状に形成されている。第2シール部122の長さは、蓋体31を閉塞したときに鍋11のフランジ部14と衝突する程度の長さとなっている。第1シール部121と第2シール部122とは、両者が連結する支点部123で各々の肉厚がほぼ同一となるように形成しておくのが好ましい。
パッキンベース59に内蓋56と蓋パッキン57を装着するには、まずパッキンベース59の中心孔に蓋パッキン57の嵌合部120を挿入し、嵌合部120の先端部をパッキンベース59の嵌合溝59aに嵌合させて、蓋パッキン57をパッキンベース59に取付ける。次に、内蓋56の蓋面56aをパッキンベース59及び蓋パッキン57の中心孔に挿入する。このようにして、パッキンベース59に内蓋56と蓋パッキン57が装着されるが、パッキンベース59と内蓋56とは、ネジにより固定しても良いし、内蓋56に凸状の爪を設け、爪を曲げて固定してもよい。いずれの場合も、蓋パッキン57はパッキンベース59と内蓋56との間で支持されることになる。
次に、蓋パッキン57の作用について詳述する。鍋収容部6に鍋11を入れて蓋体31を閉塞すると、蓋体31のクランプ44側では、まず第1シール部121の先端部121aが鍋11内径よりも小さい回転半径の軌跡上を移動しながら鍋11内に入り込む。第1シール部121は、鍋11の内径よりも小さく設定されると共に、鍋11の内側へやや反り返った形状となっているため、鍋11に接触することなく先端部121aをスムーズに鍋11内に入り込ませることができ、蓋体31の閉塞動作が重くなることはない。先端部121aを当該回転軌跡に沿って反り返らせることにより、第1シール部121をある程度長くしても回転半径が大きくなることはなく、仮に初期状態で基部121bと鍋11との間に隙間124がなくても先端部121aが鍋11の開口端部に引っ掛かることがないため、第1シール部121と鍋11の内側面との擦れを低減して蓋体31の閉塞動作をスムーズに行うことができる。
第1シール部121が鍋11内にある程度入り込むと、第2シール部122がフランジ部14に接触する。さらに蓋体31に対して閉塞方向へ力を加えると、第2シール部122は、先端がフランジ部14に押し当てられて支点部123付近の基部が弾性変形し、上方への変位が起こる。当該第2シール部122の変位により、第1シール部121へは、第2シール部122から支点部123を支点として鍋11に近づく方向である外方向きの引張力が作用する。これにより、第1シール部121の基部121bが外方へ弾性変形し、鍋11内面と接触した図6の状態へ第1シール部121が変位し、鍋11に対するシール効果が得られる。そのため、第2シール部122がフランジ部14に押し付けられた際の変位に伴う第1シール部121の変位量が隙間124以上の値に設定されていることが好ましい。一方で、第2シール部122の角部は当該弾性変形により上方へ変位するが、パッキンベース59の下面に設けられた押さえ部125に当接するため、押さえ部125から抗力を受けて止まる。この抗力により第2シール部122の先端部はフランジ部14に押さえつけられ、鍋11に対するシール効果が得られる。第1シール部121と第2シール部122の各々の肉厚は、支点部123でほぼ同一であるため第1シール部121と第2シール部122との結合力が強く、第2シール部122の弾性変形により第1シール部121が外方へ弾性変形し易くなっている。同図において、第1シール部121のうち基部121bを除いて先端部121aだけは鍋11内面と接触していないが、鍋11の加熱炊飯を行うと、当該加熱炊飯に伴う鍋11の内部圧力により、先端部121aが鍋11の内側面(第1シール部121が短い場合はフランジ部14)に密着し、鍋11が完全にシールされるに至る。
ところで、図6の状態は、炊飯開始前の状態を表したものであり、このとき鍋11内の温度は使用環境温度である。ここでいう使用環境温度とは、炊飯による加熱が行われていない状態における鍋11内の温度をいい、通常、炊飯器が設置された雰囲気温度(室温)と同じ温度となる。これに対して炊飯終了後では鍋11内の温度は常圧下で約100℃となる。この炊飯終了後では、蓋パッキン57は炊飯前後における温度差と蓋パッキン57に使用される材料の線膨張係数の積の分だけ外方へ膨張(膨出)することになる。炊飯容量に応じて鍋11のサイズは異なる。例えば3〜3.5合炊き、所謂ミニ釜の場合鍋内径は155〜180mmとする。仮に使用環境温度を常温25℃とすると、炊飯前後における温度差は100℃−25℃=75℃となる。また、シリコンゴムの膨張係数を0.0002cm/℃とする。このとき、膨張量は約2.4〜2.6mmとなる。同様にして、5.5合炊きの場合は鍋内径は186〜210mmとすると膨張量は約2.8〜3mmであり、10合炊きの場合は鍋内径は215〜240mmとすると膨張量は約3.3〜3.6mmとなる。第1シール部121に熱膨張が発生すると基部121bはパッキンベース59や内蓋56で固定されているので膨張の影響を受けないが、先端部121aは熱膨張の影響を受け外方へ広がり、第1シール部121全体を横からみると「ハ」の字状となる。これは、第1シール部121と鍋11の内側面の間にある隙間124を、少なくとも使用環境温度域では第1シール部121と鍋11の側面が接触しない程度の大きさに設定しておけば、仮に第2シール部122の変位に伴って第1シール部121が変位しなくても、炊飯時の熱膨張により第1シール部121が鍋11の内側面に自動的に密着し、シール効果が得られることを意味する。しかしながら、第1シール部121が熱膨張した状態で蓋体31を一旦開けた後、再度蓋体31を閉めようとすると、この「ハ」の字状になった第1シール部121が鍋11の内側面に擦れることにより摩擦力が生じ、蓋体31の閉塞動作が重くなってしまう。そこで、第1シール部121の先端部121aと鍋11内面との間に、当該熱膨張を考慮した大きさに設定された隙間124を設けることが望ましい。第1シール部121は、下方に向かい肉厚が薄くなる形状としておくことで、軽い力でも弾性変形するが、これを利用して熱膨張により広がっても鍋11の内面との摩擦力を低減させることができる。これは同時に、熱膨張により広がり易くなることにもなるが、逆にこの熱膨張を利用して第1シール部121を鍋11の内面と密着させ易くなり、良好なシール効果を得ることが可能となる。
以上のように本実施例では、本体1と、本体1に収容される鍋11と、内蓋56を具備する蓋体31と、鍋11と内蓋56との間を密閉するシール部材としての蓋パッキン57とを備えた炊飯器において、鍋11の側面を密閉する第1シール部121と、鍋11に設けたフランジ部14を密閉する第2シール部122とを蓋パッキン57に設け、第1シール部121は先端部121aへ向かうに従って鍋11の側面との隙間が大きくなるように形成されたものであることを特徴とする。
第1シール部121を先端部121aに向かうに従って鍋11の側面との隙間124が大きくなる様に設定することで、蓋体31の開閉動作時に第1シール部121の先端部121aは鍋11の内径よりも小さい回転半径で動作し、蓋パッキン57と鍋11の擦れを低減できる。また、炊飯終了時に熱膨張により第1シール部121の先端部121aが外方へ広がっても、鍋11との擦れを低減できる。以上により、スムーズに蓋体31の開閉動作が行なえる使い勝手のよい炊飯器を提供できる。
また本実施例の炊飯器では、隙間124は、少なくとも使用環境温度域では第1シール部121と鍋11の側面が接触しない大きさに設定されたものであることを特徴とする。
炊飯前の常温条件下では第1シール部121と鍋11の側面が接触しないため、蓋体31の開閉動作時に第1シール部121の先端部121aは鍋11の内径よりも小さい回転半径で動作し、蓋パッキン57と鍋11が擦れることがない。よって、炊飯前の蓋体31の開閉動作をスムーズにすることができる。
さらに本実施例の炊飯器では、隙間124の大きさは、常圧時の沸騰温度と使用環境温度の差と、蓋パッキン57の膨張係数との積で得られる値の近傍に設定されたものであることを特徴とする。
第1シール部121の先端部121aと鍋11の側面との隙間124を、常圧時の沸騰温度と使用環境温度の差と、蓋パッキン57の膨張係数との積で得られる値の近傍に設定することで、炊飯終了時に熱膨張による第1シール部121の先端部121aに生じる外方への広がりに合わせることができ、蓋体31の開閉動作による鍋11との擦れを極めて低減できる。よって、炊飯前後に渡って蓋体31の開閉動作をスムーズにすることができる。
また本実施例の炊飯器では、隙間124を第1シール部121全体と鍋11の側面とが接触しないように設け、第1シール部121と第2シール部122とは支点部123で結合され、第1シール部121は、第2シール部122がフランジ部14に押し付けられたときの力で外方へ付勢され、鍋11の側面と接触するものであることを特徴とする。
第1シール部121と鍋11の側面とが接触しないように隙間124を設け、第2シール部122がフランジ部14に押し付けられた後に、第1シール部121は外方へ付勢され、鍋11の側面と接触する構成とすることで、第1シール部121と鍋11の側面との間には隙間124があるが、蓋体31が完全に閉塞するときには第1シール部121が外方に広がり鍋11の側面に対してシール効果を得ることができる。よって、スムーズに蓋体31の開閉動作を行うことができ、かつ安定したシール性能が得られる。
さらに本実施例の炊飯器では、第1シール部121と第2シール部122は、支点部123で各々の肉厚が略同一であることを特徴とする。
第1シール部121と第2シール部122の各々の肉厚を、支点部123においてほぼ同一にすることで、第2シール部122がフランジ部14に押し付けられた際に第1シール部121が外方へ付勢されやすくなり、鍋11の側面に対して良好なシール効果を得ることができる。よって、第1シール部121の付勢力を高めて、鍋11の側面に対して良好なシール効果を得ることができる。
また本実施例の炊飯器では、第1シール部121は基部121bから先端部121aに向かうに従ってその肉厚が薄くなる形状であることを特徴とする。
第1シール部121の肉厚を基部121bから先端部121aに向かって薄くすることで軽い力で変形し易くなり、熱膨張により広がっても鍋11の側面との摩擦力を低減させることできる。また、熱膨張により広がり易くし、鍋11の側面と密着させ易くし、シール効果を得ることも可能とする。以上により、第1シール部121の先端部121aを動き易くして、摩擦力を低減させると同時に良好なシール効果をも得ることができる。
さらに本実施例の炊飯器では、隙間124は2mm以上又は4mm以下又は2〜4mmであることを特徴とする。
炊飯容量毎に設定された鍋11の内径に応じて隙間124の設定をかえることで、蓋体31の開閉動作をスムーズにすることができる。よって、炊飯容量が異なるシリーズ品に容易に対応することができる。
また本実施例の炊飯器では、本体1と蓋体31とを、蓋体31を開方向に付勢する付勢手段としてのヒンジバネ40を有する連結部としてのヒンジ部38で連結することにより、蓋体31を本体1に対して開閉自在とし、ヒンジ部38の略反対側に、本体1と蓋体31とを係合させて閉状態を保持する係合部としてのクランプ44を設けたことを特徴とする。
このような構成では、蓋体31の開閉動作時に最大の回転半径で動作するクランプ44側の第1シール部121の先端部121aであっても鍋11の内径よりも小さい回転半径で動作し、蓋パッキン57と鍋11の擦れを低減できる。よって、蓋体31の開閉時に蓋パッキン57と鍋11の側面との擦れが問題となる構成であっても、蓋体31の開閉動作をスムーズにすることができる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。蓋パッキン57の各部の形状は、上記実施例と同等の作用効果を奏するものであればどのような形状にしてもよい。また、例えばクランプ44側など第1シール部121と鍋11の内側面との擦れが特に問題となる部分にだけ、本発明に係る構造を採用してもよい。