電気炊飯器は、今や一般家庭において既に必需品の家電製品の一つとなっており、種々のタイプの炊飯器が使用されている。この炊飯器は、鍋内の圧力をほぼ常圧で炊飯するタイプのもの或いは所定の圧力に昇圧して炊飯するタイプのものがあり、近年は、後者の圧力式タイプが普及し始めて来ている。
この圧力式の炊飯器は、炊飯時に鍋内の被炊飯物を高温に加熱すると同時に、鍋内を大気圧以上に昇圧して炊飯するようになっている。そのために、蓋体にパッキンを装着して、炊飯時に鍋内の圧力を所定の値に保持するようになっている(例えば、下記特許文献1参照)。
図9を参照して、下記特許文献1に開示された炊飯器のシール構造を説明する。なお、図9Aは下記特許文献1に開示された炊飯器の縦断面図、図9Bは図9AのIXB部分の拡大図である。
この炊飯器30は、図9Aに示すように、上方に開口を有し有底の鍋31と、この鍋が収容される開口を有する炊飯器本体32と、この炊飯器本体に一端が取付けられて鍋31及び炊飯器本体32の開口を覆う開閉自在な蓋体33とを備え、蓋体33は、鍋の開口を覆う内蓋34と、この内蓋が着脱自在に装着される外蓋35とからなり、内蓋34に蓋パッキン36が固定部材37を介在して装着された構成となっている。
蓋パッキン36は、全体がドーナツ状の環状リングで形成されている。すなわち、図9Bにその一部を示すように、一端に固定部材37に固定される取付け部36a及び他端に鍋31開口の内壁面に当接してシールする第1のシールリング36bと、このシールリングの途中から外方へ所定長さ延設された第2のシールリング36cとを有し、弾性を有したシリコーンゴムで形成されている。取付け部36aには、後述する固定部材37の突起部37bが挿入される凹み穴360が形成されている。
固定部材37は、内蓋34の外周囲に装着される大きさの環状リングからなり、上面に鍋の外周縁が固定される固定部37aと、この上面の固定部から下方に突出した突起部37bとを有している。そして、蓋パッキン36は、間に固定部材37を介在させて内蓋34の外周縁に固定されている。
次に、この蓋パッキンの作用及び課題を説明する。
まず、内蓋34に蓋パッキン36が取付けられる。この蓋パッキン36が取付けられた内蓋34が外蓋35に取付けられる。次いで、内蓋34が取付けられた蓋体33で炊飯器本体32及び鍋31の開口が閉成される。この蓋体33の閉成により、蓋パッキン36の第1のシールリング36bが鍋31の内壁面に摺動しながら鍋内へ移動し、所定量移動すると、第2のシールリング36cが鍋フランジ31aに当接して停止されて、鍋31の開口が蓋パッキン36で覆われる。炊飯工程において、鍋31内が加熱されると、蓋パッキン36を構成するシリコーンゴムは、熱膨張してこの膨張により第1のシールリング36bが外側へ広がり、鍋31の内壁面に密着されて鍋開口が密閉シールされる。
ところが、この炊飯器は、炊飯終了後に鍋内が常圧まで減圧されるが、鍋内は炊き立てのご飯で内部温度が高温になっている。このため、蓋パッキン36の第1のシールリング36bは外側へ広がった状態、すなわち鍋の内壁面に密着された状態になっている。このため、蓋体33を開成しようとすると、蓋パッキン36の密着により、摩擦力が大きく作用し開成動作が重くなってしまう課題がある。
そこで、この課題を解決するためのシール構造が提案されている(例えば、下記文献2参照)。
図10を参照して、下記特許文献2に開示された炊飯器のシール構造を説明する。なお、図10は下記特許文献2に開示された炊飯器のシール構造の一部を拡大した拡大断面図である。この図10は図9AのIXB部分に対応した箇所となっている。
この炊飯器は、蓋パッキン41を備えたシール構造40となっている。すなわち、蓋パッキン41は、図10に示すように、鍋39の側面を密閉する第1シール部41aと、鍋39に設けたフランジ部39aを密閉する第2シール部41bとを有し、第1シール部41aは先端部41a’へ向かうに従って鍋39の側面との隙間Gが大きくなるように形成されている。この隙間Gは、少なくとも使用環境温度域において、第1シール部41aと鍋39の側面とが接触しない大きさに設定されている。
このシール構造40によると、蓋パッキン41の第1シール部41aは先端部41a’に向かうに従って鍋39の側面との隙間Gが大きくなる様に設定さているので、蓋体の開閉動作時に第1シール部41aの先端部41a’は、鍋の内径よりも小さい径で作動し、蓋パッキン41と鍋39の擦れが低減される。また、炊飯終了時に熱膨張により第1シール部41aの先端部41a’が外方へ広がっても、鍋39との擦れが低減できる。
特開2007−312867号公報(段落〔0036〕、図1)
特開2007−135829号公報(段落〔0064〕〜〔0066〕、図5、図6)
上記特許文献1に開示された炊飯器のシール構造によれば、炊飯終了後も蓋パッキンが鍋の内壁面に密着し続けて蓋体の開成動作が重くなってしまう課題がある。この課題は上記特許文献1に開示された炊飯器のシール構造により解決される。しかしながら、上記特許文献2のシール構造は、鍋内が加熱・昇圧されたときに第1シール部が鍋内壁面に密着されて密閉シールするので、炊飯工程の初期、例えば、加熱・昇圧されない吸水工程においは、第1シール部と鍋内壁面との間に所定の隙間が空いた状態になっている。なお、上記特許文献1のシール構造においても、吸水工程においては、鍋開口を密閉シールする必要がないこと及び蓋体の開閉を容易にするために、上記特許文献2のシール構造ほどの隙間ではないが、通常、シール部と鍋内壁面との間に若干の隙間を空けた非密閉状態に設計されている。
本発明者らは、炊飯器の開発・製品化に長年携わり、近年は、鍋内の圧力を大気圧以上に昇圧して炊飯する圧力式炊飯器において、吸水工程後の沸騰維持工程で圧力弁を一時開放して鍋内圧力を高圧から大気圧近傍まで低下させて、鍋内で米を激しく攪拌させる、いわゆる突沸現象を起こさせて炊飯する炊飯器を開発し製品化して、これらの技術に関する発明で既に数件の特許を取得している(例えば、特許第3851293号公報、特許第4094022号公報参照)。例えば、特許第3851293号公報に開示した圧力式の炊飯器は、炊飯工程の沸騰維持工程において、圧力弁を強制的に開放させて沸騰中の鍋内の圧力を大気圧近傍となるように一気に低下させることにより、鍋内に突沸現象を発生させて米粒を撹拌するように制御して炊飯するものである。しかしながら、この炊飯器は、吸水工程において、圧力弁を開放させた状態、すなわち鍋内を加圧しない状態で鍋内を加温していた。ところが、この吸水工程において、圧力弁を閉成するとともに所定の温度で加熱して鍋内を所定の圧力に昇圧したところ、米の含水率が上昇することを発見した。そして、この吸水工程において、鍋内の圧力を昇圧させる方法として、蓋体の密閉シールをより高くすれば効率よく簡単に昇圧できること、しかも、この圧力式炊飯器では沸騰維持工程で鍋内の圧力を上昇させているので、このメカニズムをそのまま利用し、既存の炊飯器で制御装置の制御方法を変更するだけで、吸水工程で昇圧できることに想到して、本発明を完成させるに至ったものである。なお、上記特許文献1、2の炊飯器のように隙間をあけた状態では吸水工程において昇圧させることができない。
そこで本発明は、上記の従来技術の課題を解決するともに上記の開発状況を踏まえてなされたもので、本発明の目的は、簡単な構成で被炊飯物の米に水を効率よく吸水させて美味しいご飯を炊飯できる炊飯器を提供することにある。
本発明の他の目的は、蓋体に装着するパッキンにおいて、特に、吸水工程において良好な密閉性を達成するとともに、蓋体の開閉作動をスムーズに行えるようにしたシール構造を備えた炊飯器を提供することにある。
本発明のまた他の目的は、これまでの炊飯器の構造を変更することなく、また新たな炊飯工程などを新設することなく、制御方法を変更するだけで、吸水工程で米の含水率を上げると共に吸水ムラを無くして美味しいご飯を炊き上げることができる炊飯器を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の炊飯器は、上方が開口し内部に被炊飯物が収容される鍋と、前記鍋が挿入される開口及び前記被炊飯物を加熱・調理する加熱手段が設けられた炊飯器本体と、前記炊飯器本体に前記鍋が挿入されて前記鍋開口を覆う蓋パッキンを有する開閉自在な蓋体と、前記加熱手段を制御して被炊飯物に水を吸水させる吸水工程を含む炊飯工程を実行する制御装置とを備えた炊飯器において、前記吸水工程において、前記鍋開口は前記蓋パッキンで密閉シールされて、前記制御装置は、前記鍋内を所定値に昇圧して被炊飯物の米に吸水させる制御を行うことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の炊飯器において、前記蓋パッキンは、前記鍋開口付近の内壁面に弾性接触する第1のシール部と、前記蓋体に取付ける取付け部と、前記第1のシール部と取付け部とを連結する連結部とを有する弾性部材で形成し、該蓋パッキンは、前記取付け部を前記蓋体に固定する固定部材に取付ける際に、前記連結部と固定部材の底面との間に比較的大きい隙間をあけ且つ前記炊飯器本体が前記蓋体で閉成されるときに前記第1のシール部が前記鍋開口の内壁面に摺動接触するように取付けて、前記鍋開口が密閉シールされることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の炊飯器において、前記蓋パッキンは、前記第1のシール部と前記連結部との連結部付近に、該付近から外方向へ所定長さ延設されて前記鍋開口に設けたフランジ部に弾性接触する第2のシール部が形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の炊飯器において、前記蓋体は、前記鍋開口を覆う内蓋と、前記内蓋が着脱自在に装着されて前記炊飯器本体に一端が枢支された外蓋とを有し、前記内蓋の周囲に前記蓋パッキンが装着されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の炊飯器において、前記制御装置は、前記吸水工程において、前記鍋内の圧力を1.05〜1.18気圧の範囲に昇圧制御することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の炊飯器において、前記制御装置は、前記鍋内の内圧を前記鍋内の炊飯量に応じて変更させることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1に記載の炊飯器において、前記蓋体には、前記鍋内の蒸気を外部へ放出させる蒸気放出穴と、前記蒸気放出穴を閉塞又は開成させる弁開閉機構とを設けて、前記制御装置は、前記吸水工程において、前記加熱手段を作動させるとともに、前記弁開閉機構で前記蒸気放出穴を閉塞して、前記鍋内の内圧を昇圧することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の炊飯器において、前記蒸気放出穴は、圧力弁で兼用し、前記弁開閉機構は前記圧力弁を強制的に開放状態にする圧力弁開放機構で兼用して、前記制御装置は、前記炊飯工程の沸騰維持工程において、前記鍋内を大気圧以上に昇圧して炊飯制御することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の炊飯器において、前記加熱手段は、前記鍋の底部を加熱する底部ヒータと、側部を加熱する側面ヒータ及び前記蓋体に設けて上方から加熱する上部ヒータとを有し、前記制御装置は、前記吸水工程において、少なくとも前記底部ヒータの加熱量を制御することを特徴とする。
本発明は、上記構成を備えることにより、以下の優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、吸水工程において、鍋開口が蓋パッキンで密閉シールされているので、鍋内の圧力を効率よく効果的、例えば省エネルギーで効率よく所定値に昇圧させることができる。すなわち、この吸水工程の昇圧により、被炊飯物の米に水を効率よく吸水させて米の含水率を上昇させることができる。鍋内を昇圧することにより、水や米にも圧力が掛かり、この圧力により水が米細胞壁を通過しやすくなり、より多くの水が米のデンプンに吸収される。また、米に圧力が掛かることにより米に小さな亀裂が入り、そこから米内部へ水が浸透して米細胞壁間の隙間を通って米の中心部にあるデンプンにまで水が供給されるので含水率が上昇する。さらに、鍋内での吸水のバラツキ、いわゆる吸水ムラをなくして美味しいご飯を炊飯できる。
請求項2の発明によれば、蓋パッキンは、固定部材の取付けられる取付け部の頂部付近が基点となって、第1のシール部は連結部を含めて自由端となり、連結部が第1のシール部の弾性変形に連動して移動できるようになる。これにより、蓋パッキンの柔軟性が増大し、第1のシール部が鍋開口の内壁面に柔らかいタッチで弾性接触されて密閉シールすることが可能になる。また、第1のシール部が鍋内壁面に密着した状態、例えば炊飯が終了し熱膨張により密着している状態にあっても、この柔軟性を利用して大きな力を加えることなくスムーズに蓋体が開成できる。
請求項3の発明によれば、第2のシール部が形成されているので、第1のシール部のシール効果に加えてさらに密閉シールを良好にできる。
請求項4の発明によれば、内蓋を備えた炊飯器において、上記の密閉シール効果を発揮させることができる。
請求項5の発明によれば、鍋内の圧力は、1.05〜1.18気圧の範囲に設定するので、米の表面を糊化させずに、しかも吸水ムラを生じさせることなく、効果的にしかも効率よく十分な水を米に吸水させることができる。なお、この圧力範囲は、実験によっても確認されたものである。
請求項6の発明によれば、炊飯量に応じて鍋内の内圧を変更することにより、米に効果的にしかも効率よく十分な水を吸水させることができる。
請求項7の発明によれば、吸水工程において、蓋パッキンでの密閉シールに加えて、蒸気放出穴を閉塞することにより、簡単に鍋内の圧力を昇圧することができる。
請求項8の発明によれば、蒸気放出穴は、圧力弁で兼用し、弁開閉機構は圧力弁を強制的に開放状態にする圧力弁開放機構で兼用することによって、既存の圧力式炊飯器の構造を変更することなく、また新たな炊飯工程などを新設することもなく、制御方法を変更するだけで、圧力式炊飯器において上記の作用効果を奏する炊飯をすることができる。
請求項9の発明によれば、加熱手段に、鍋の底部を加熱する底部ヒータと、側部を加熱する側面ヒータ及び蓋体に設けて上方から加熱する上部ヒータとを設けたので、制御装置は、吸水工程において、少なくとも底部ヒータの加熱量を制御することにより、鍋内の圧力を所定値に昇圧することができる。また、全ヒータの加熱量を制御すれば、より効率的に鍋内の圧力を所定値に昇圧することが可能になる。
図1〜図4を参照して、本発明の一実施例に係る炊飯器を説明する。なお、図1は本発明の一実施例に係る炊飯器の正面図、図2は図1の炊飯器の縦断面図、図3は図2の圧力弁開放機構の拡大図、図4は図2のIV部分の拡大図である。
炊飯器1は、図1、図2に示すように、米と水とを含む所定量の被炊飯物が収容される鍋10と、上方にこの鍋10が挿入される開口及び内部にこの鍋10内の被炊飯物を加熱する底部ヒータ5及び側面ヒータ6を有する炊飯器本体(以下、本体という)2と、この本体2の一側に枢支されて開口部を覆い閉塞状態に係止するロック機構21を有する蓋体11と、この蓋体11に装着されて鍋10内の圧力を調整する圧力弁13と、この圧力弁13を開放制御する圧力弁開放機構15と、炊飯のスタート、タイマー予約及び保温などの操作を行う表示操作部(図1参照)8と、この表示操作部8からの炊飯の開始信号に従って底部ヒータ5及び側面ヒータ6など及び圧力弁開放機構15を制御する制御装置9とを備えている。
この制御装置9には、記憶手段を設けて、この記憶手段には鍋10内の被炊飯物を所定温度に加熱すると共に、所定時間掛けて所定量の水分を被炊飯物に吸水させる吸水工程、この吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上げ加熱工程、この被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程、この沸騰維持工程後に被炊飯物を蒸らす蒸らし工程、この蒸らし工程後に炊き上がった炊飯物を所定温度で保温する保温工程等を順次実行する炊飯及び保温プログラムが記憶されている。これらの炊飯工程にのうち、立上げ加熱工程及び沸騰維持工程では、鍋内が大気圧以上、例えば1.1〜2.2気圧程度に昇圧されて炊飯工程が実行される。また、この記憶手段には、圧力値と炊飯量とを関連付けたデータが記憶されている。
本体2は、図1、図2に示すように、有底の箱型外部ケース3と、この外部ケースに収容されてその中に鍋10が収容される内部ケース4とからなり、外部ケース3と内部ケース4との間に隙間を形成して、この隙間に制御装置9を構成する制御回路基板等(図示省略)が配設されている。内部ケース4は、その底部4aに底部ヒータ5、側部4bに側面ヒータ6がそれぞれ装着されている。底部ヒータ5は、ドーナツ状に巻装した電磁誘導コイルが使用されている。側面ヒータ6は、電熱線を耐熱部材で覆ったヒータが使用されている。また、底部4aには、鍋底温度を検出するサーミスタ等からなる鍋底温度センサ7が設けられている。
この本体2は、図1に示すように、その正面2aに各種炊飯メニューを表示する表示パネル8a及びこの炊飯メニューを選択等する操作ボタンからなる表示操作部8が設けられている。
鍋10は、図2に示すように、米と水とからなる所定量の被炊飯物が投入される比較的深底の容器からなり、例えばアルミニウムとステンレスとのクラッド材で形成されている。
蓋体11は、図2に示すように、鍋10の開口部を閉蓋する内蓋12と、本体2の開口部全体を閉蓋する外蓋20等とで構成されている。この蓋体11は、一端が本体2の一端に枢軸11Aで枢支され、他端が本体2の他端にロック機構21により係止されるようになっている。また、この蓋体11には、鍋10内の圧力を検知する圧力検出手段26が設けられている。この圧力検出手段26は、圧力を電気信号に変換する圧力センサ27を有し、この圧力センサが蓋体11の外蓋20に設けられている。内蓋12には、その上部に圧力弁13、鍋10内の圧力が所定値以上の異常圧力に上昇したときに鍋10内の圧力を外部に逃がすための安全弁V1などが設けられている。圧力弁13は、図3に示すように、所定径の弁孔131が形成された弁座13aと、この弁孔131を塞ぐように弁座13a上に載置される金属製ボール14と、このボール14の移動を規制し弁座13a上に保持するカバー13bとで構成されている。この金属製ボール14は、所定の重さを有し、その自重により、弁孔131を閉塞する。この圧力弁13は、外蓋20に設けた圧力弁開放機構15により強制的に開放される。すなわち、後述する圧力弁開放機構15を構成するシリンダ15aに設けた電磁コイルへの励磁がないときは、プランジャ15bが突出しており金属製ボール14が押動されて弁孔131が開放されている。そして、電磁コイルへの励磁が行なわれると金属製ボール14の自重で弁孔131が閉塞される。
内蓋12は、図2に示すように、その外周に鍋10の開口部と接触して密閉シールする蓋パッキン18が装着されている。この蓋パッキン18は、図4にその一端部を示すように、取付け枠16に取付けられ垂下方向へ延びる取付け部18aと、鍋10の開口の内壁面10aと弾性接触してこの開口付近を密閉シールする第1のシール部18cと、取付け部18aと第1のシール部18cとを連結する連結部18bと、この連結部18bと第1のシール部18cとの結合部付近から外方向へ所定長さ延設されて鍋10のフランジ部10cに弾性接触する第2のシール部18dと、内部に取付け部18aの垂下壁面と対向し且つ内蓋12の垂直壁12aに沿って形成した大径の内部孔18Aとを有し、全体がドーナツ状をした環状リングからなり、耐熱性及び弾性を有する材料、例えばシリコーンゴムからなる一体成型体で形成されている。
取付け部18aは、連結部18bの一端から略垂直に所定長さL1立設されて、その頂部の一部が下方へ垂下されて、取付け部18aの一方の壁面との間に取付け枠16に引掛ける取付け溝181が設けられている。この取付け溝181は内部孔18Aの外周囲に形成されている。内部孔18Aは、取付け部18aの垂下壁面が内周壁面となって、内蓋12の垂直壁面との間に所定の隙間があく内径を有し、長さL1を有する筒状体となっている。この長さL1は、後述する取付け枠16の高さHより長く設定されている。連結部18bは、取付け部18aの下端から外方へ略直角に所定長さL2延設されて所定の肉厚を有する円盤状に形成されている。連結部18bの上面は、略平坦面18b’となっている。この長さL2は、任意の長さでよいが、この実施例では後述する取付け枠16の幅長より短長になっている。また、この連結部18bの他端からは、第1のシール部18c及び第2のシール部18dが分岐されている。
第1のシール部18cは、連結部18bの他端から下方へ所定長さL3垂下した断面視で舌状をなした筒状体で形成されている。すなわち、この第1のシール部18cの筒状体は、連結部18bに近い箇所の内径が大きく下方へ向かってその内径を若干小さくして、舌状部が筒状体の半径方向内外へ弾性変形可能になっている。この長さL3は、鍋10の内壁面に圧接接触されて密閉シールできる長さに設定されている。そして、鍋10の開口が蓋体11で閉成されたときに、この第1のシール部18cの先端部18c’が鍋10の開口入口付近の湾曲部10bから摺動接触しながら内方の内壁面10a側へ移動し、この移動により第1のシール部18cと鍋内壁面10aとが圧接されて密閉シールするようになっている。先端部18c’に所定角度のRを設けるのが好ましい。このRを設けることにより、挿入が容易になる。
第2のシール部18dは、連結部18bの他端から上方へ所定長さ延設され断面視で「へ字」状の鍔片で形成されている。すなわち、この断面が「へ字」状のフランジ片は、連結部18bから延びた上り傾斜部と、この傾斜部端の頂部と、この頂部から下降した下り傾斜部とを有し、弾性変形可能に形成されている。そして、蓋体11が閉成されたときに、この第2のシール部18dの下り傾斜部が鍋のフランジ部10cに摺動接触しながら外方へ移動してフランジに圧接される。
この蓋パッキン18は、取付け部18aの頂部付近が基点となって、第1のシール部18cは連結部18bを含めて自由端となっている。したがって、連結部18bが第1のシール部18cの弾性変形に連動して移動できるようにすることによって柔軟性が増大し、第1のシール部18cを鍋10の開口部に柔らかいタッチで弾性接触させて密閉シールすることが可能になる。また、第1のシール部18aが鍋内壁面10aに密着した状態、例えば炊飯が終了し熱膨張により密着している状態にあっても、この柔軟性を利用して大きな力を加えることなくスムーズに蓋体11を開成操作できる。連結部18bの移動は、蓋パッキン18を取付け枠16に装着する際に、連結部がこの取付け枠によってその移動が制限されないように所定の隙間G1をあけて取付けることによって可能になる。このように第1のシール部18cは、取付け部18aの頂部付近を基点にして、取付け部18a及び連結部18bが蓋パッキン18の半径方向の内外へ弾性変形が可能になる。一方、第2のシール部18dの山部が取付け枠16の底部に当接しているが、第1のシール部18cの弾性変形による密閉シール効果に影響を及ぼすものでない。
取付け枠16は、図2に示すように、蓋パッキン18の外径より若干大きい外径及び所定の高さHを有する略円盤状板体の内部に蓋パッキン18の内径より若干大きい内径の内部孔16Aを設けた、全体がドーナツ状の環状リング枠からなり、耐熱性及び所定の機械的強度を有する樹脂成型体で形成されている。
この取付け枠16の表面16aは、その一部が切除されて平坦面に形成されて、この平坦面に内蓋12の最外周端に設けた係止部121が嵌め込まれる第1の環状溝161と、内蓋12をネジ止めする雌ネジ穴162と、蓋パッキン18の取付け部18aの端部が嵌め込まれる第2の環状溝163が形成されている。この取付け枠16の高さHは、比較的低くして、蓋パッキン18の連結部18bとの間の隙間G1が拡大されるようになっている。この低い高さHは、環状リング枠を薄肉板で形成し或いは従来技術の固定部材37の突起部37b(図9参照)の底部の一部分を切除した成型体にすることにより簡単に形成できる。
内蓋12への蓋パッキン18の装着は、先ず、環状リング状の取付け枠16に蓋パッキン18を装着する。この装着は、蓋パッキン10の取付け溝181を第2の環状溝163を形成する一方の壁部への押込みにより行う。この装着により、蓋パッキン18は、図4に示すように、取付け部18aが取付け枠16の内部孔16Aに懸架された状態で固定される。連結部18bは取付け枠16の底部面16bとの間に比較的大きい隙間G1があいた状態、また、第2のシール部18dの山部は取付け枠16の底部面16bに当接される。次いで、蓋パッキン18を装着した取付け枠16を内蓋12の外周縁の下方、すなわち、取付け枠16の上面16aを外周縁の裏面に当接させて、外周縁に設けたネジ孔に雄ネジを螺合させてネジ止めする。このとき、外周端の係止部121を第1の環状溝161に嵌め込んでネジ止めする。
蓋パッキン18を取付けた内蓋12は、蓋体11、すなわち外蓋20に装着される。この蓋体11で本体2の開口が閉成されるとき、蓋パッキン18の第1のシール部18a外面と鍋10の内壁面10aとの間に形成される隙間G2は、略零或いはマイナス、すなわち、内壁面10aから外方へ少しずれた位置にあるように設定される。この状態にして、本体2の開口を蓋体11で閉成すると、この蓋パッキン18は、取付け部18aの頂部付近が基点となって、第1のシール部18cは連結部18bを含めて自由端となっているので、第1のシール部18cを鍋10の開口部に柔らかいタッチで弾性接触させて密閉シールすることが可能になる。したがって、蓋パッキン18が熱膨張しない状態でも、鍋10の開口部を密閉シールすることができる。特に、吸水工程においてこの密閉シールがなされると、鍋10内を昇圧する際に加熱しても、鍋10の内部からの蒸気漏れが殆ど無くなり、熱エネルギーの損失を最小限に抑えることができて昇圧できる。また、第1のシール部18aが鍋10の内壁面10aに密着した状態、例えば炊飯が終了し熱膨張により密着している状態にあっても、この柔軟性を利用して大きな力を加えることなくスムーズに蓋体を開成できる。
外蓋20には、図2に示すように、内蓋12、圧力弁13を強制的に開放させる圧力弁開放機構15、蓋ヒータ19、ロック機構21を解除する解除釦22などが設けられている。この外蓋20は、またその外面が化粧カバーで覆われている。蓋ヒータ19は、側面ヒータ6と同じような電熱線を耐熱部材で覆ったヒータが使用されている。この外蓋20には、蓋パッキン18を装着した内蓋12が着脱自在な結合手段により装着されるようになっている。この結合手段は、公知の手段を使用するので説明は省略する。
圧力弁開放機構15は、図2、図3に示すように、電磁コイルが巻回されたシリンダ15aと、このシリンダ内を電磁コイルの励磁により横移動して金属製ボール14を移動させるプランジャ15bと、このプランジャの先端に装着されたバネ体及び作動棹15b’とで構成されている。バネ体は伸張コイルバネとなっている。作動棹15b’は、弾力性を有するシール部材15cで支持されている。
この圧力弁開放機構15は、制御装置9によって開放制御される。すなわち、電磁コイルへの励磁がないときは、バネ体の伸張によりプランジャ15bが突出されて金属製ボール14が押動されて弁孔131が開放されている。制御装置9からの指令に基づいて電磁コイルが励磁されると、プランジャ15bがバネ体の伸張力に抗してシリンダ15a内へ引き込まれて、これまで作動棹15b’で金属製ボール14を押動していた押動力がなくなり金属製ボール14が弁座13aの傾斜によって横へ移動してボール自身の自重により弁孔131が閉塞される。また、また、この開放状態において、電磁コイルへの励磁がストップされると、再びバネ体の伸張力によって、プランジャ15bが突出して金属製ボール14を押動して弁孔131を開放させる。圧力弁13の上部には、弁孔131から噴出する蒸気の温度を測定する蒸気温度センサSが取付けられている。
この外蓋20には、図2に示すように、一端部に蓋体11のロック機構21を解除する解除釦22が設けられている。また、この外蓋20は、他端部の枢軸11A側に装着穴24を設けられている。この装着穴24は、おねば貯留キャップ25が着脱自在に挿入できる大きさを有する有底の凹み穴からなり、外蓋20を支えるフレーム23に形成されている。また、この装着穴24は、その底部に後述するおねば貯留キャップ25の吐出筒25aが圧入される装着穴24aが形成されている。この装着穴24aには、内部に環状シール部材が取付けられて、吐出筒25aの外周面と圧接されて鍋10内の蒸気が外部へ漏出しないようになっている。
おねば貯留キャップ25は、圧力弁13などから放出される蒸気などを吐出させる吐出筒25aと、うまみ成分のおねばを貯留する空室25bと、蒸気を外部へ放出する蒸気放出口25cとを有し、空室25bの底部には、貯留されたおねばを鍋10内に戻すおねば戻し弁V2が設けられている。なお、このうまみ成分のおねばは、圧力弁13から蒸気が噴出する際に、この蒸気と一緒に鍋内から圧力弁13を通して導出されて、この貯留キャップ25の空室25bに貯留される。この空室25bに貯留されたおねばは、所定量になると戻し弁V2が開成するとともに、内蓋12に設けた負圧弁(図示省略)の開成に従って鍋10内へ戻される。
圧力検出手段26は、内蓋12に設けた検知穴(図示省略)と、この検知穴に対応させて外蓋20に設けた圧力センサ27とを有し、この検知穴と圧力センサ27とは、鍋10内で発生する蒸気などが外部へ漏れないように弾性を有する筒状体28で弾性圧接されている。すなわち、内蓋12が外蓋20に装着されたときに、この筒状体28が検知穴と圧力センサ27とを弾性接触により繋ぎ、蒸気などが漏れないようになっている。なお、この圧力検出手段は、上記の手段に限定されず、例えば内蓋12の変移量、すなわち内蓋12が鍋内圧力の上昇によって持ち上がったときの変移量によって検知してもよく、他の任意の手段によって検知できるようにしてもよい。
次に、図5を参照して、制御装置9の構成を説明する。なお、図5はこの制御装置を構成する制御ブロック図である。
制御装置9は、種々の演算処理を行うCPU、各種データの記憶を行うROM及びRAMからなる記憶手段、選択された炊飯メニューを検出する炊飯メニュー検出回路、炊飯量判定手段、圧力弁の開閉時間が設定された弁開閉タイマー、圧力弁の開閉回数をカウントするカウンタと、鍋内の加熱温度及び加熱時間を制御する加熱制御回路、表示パネルに表示される表示画面を制御するための表示パネル制御回路、圧力弁開放機構を駆動させて圧力弁の開閉タイミングを制御する圧力弁開放機構駆動回路などを備えている。
記憶手段には、各種の炊飯メニューに対応した炊飯プログラムが記憶されている。この炊飯プログラムは、吸水工程、立上加熱工程、沸騰維持工程、蒸らし工程、追い炊き工程及びこれらの炊飯工程終了後の保温工程となっている。また、この記憶手段には、圧力値と炊飯量とを関連付けたデータが記憶されている。このデータは、図8Bに示すように、圧力P1、P2、P3に対して炊飯量大、中、小となっている。勿論、圧力P1〜P3を細分化して、この圧力に対応して炊飯量を細分化してもよい。この圧力値と炊飯量との関係は、実験により求められている。
この制御装置9には、表示操作部8のメニューキー81、スタートキー82、予約キー83、保温キー84等から各種の指令が入力される。同様に鍋底温度センサ7、蒸気温度センサS及び圧力センサ27などから、それぞれの検出値が入力される。また、この装置は、底部ヒータ5、側面ヒータ6及び蓋ヒータ19、表示パネル8a、圧力弁開放機構15などが接続されている。
主に図5〜8を参照して、炊飯量の判定及び炊飯工程を説明する。なお、図6は炊飯工程における鍋内の温度及び圧力変化、圧力弁制御、加熱ヒータ制御などを示すチャート図である。
表示パネル8aに表示された炊飯メニューから所定のメニューが選定されて、表示操作部8が操作されると、制御装置9は、選定された炊飯プログラムにしたがって、底部ヒータ5、側面ヒータ6及び圧力弁13を制御して、鍋10内の被炊飯物を所定温度に加熱すると共に、所定温度及び時間をかけて所定量の水分を被炊飯物に吸水させる吸水工程I、この吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上加熱工程II、この被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程III、この沸騰維持工程後に被炊飯物を蒸らす蒸らし工程IVを実行する。
吸水工程Iでは、制御装置9は、圧力弁13を閉成し、この状態で底部ヒータ5、側面ヒータ6及び上部ヒータ19の加熱量を制御して、鍋10内を所定の吸水温度、例えば60℃にして米に水を吸水させる。この圧力弁13が閉成された状態で加熱されると、鍋10内の圧力Pは、図8の表に示すように、炊飯量に対応した圧力曲線に沿って上昇する。
この吸水工程Iでは、鍋10の開口が蓋パッキン18で密閉シールされているので、鍋10内の圧力を効率よく効果的、例えば省エネルギーで効率よく所定値に昇圧させることができる。鍋10内の圧力が上昇すると、米の含水率が上昇することが確認された。すなわち、図2の鍋10内の計測する箇所を鍋底に近い底部A、この底部より上位の中間部B、この中間部より上方の上位部Cとして、各箇所の含水率を計測したところ、底部Aではa1、中間部Bはa2及び上部Cはa3となり、それらの平均値はaEとなった。この平均値は、昇圧しないものに比べて1.0%以上アップしていた。
したがって、吸水工程において、鍋内は所定温度に加温される共に内圧が上昇されて水が米に吸水されるので、吸水ムラを発生させることなく効果的にしかも効率よく十分な水を米に吸水させることができる。すなわち、鍋内を昇圧することにより、水や米にも圧力が掛かり、この圧力により水が米細胞壁を通過しやすくなり、より多くの水が米のデンプンに吸収される。さらに、米に圧力が掛かることにより米に小さな亀裂が入り、そこから米内部へ水が浸透して米細胞壁間の隙間を通って米の中心部にあるデンプンにまで水が供給されるので、含水率が上昇する。なお、この吸水工程において、鍋内圧力と炊飯量との関係を実験により求めた。その結果、これらの関係は、図7に示すように、炊飯量が少ないときは、圧力曲線X1のように、初期から急峻に立ち上がって高い圧力値P3で略一定値になり飽和し、また、炊飯量が多いときは、圧力曲線X3のように、立ち上がりが鈍く低い圧力値P1で略一定値で飽和し、更に、炊飯量がこれらの中間量のときは、その圧力曲線X2は、各圧力曲線X1、X3の間に位置して、中間の圧力値P2で略一定値で飽和した値となった。この圧力Pは、1.05〜1.18気圧の範囲であり、また各圧力曲線X1〜X3の炊飯量は、曲線X1は、0.5カップ、曲線X2は3.3カップ、曲線X3は5.5カップで、順に小、中、大の炊飯量となっている。そして、各圧力曲線X1〜X3で圧力値が略一定値(飽和)になった時点での米の含水率を計測したところ、図8Aの結果が得られて、この値は、昇圧しないものに比べて1.0%以上アップしていた。この鍋内圧力と炊飯量との関係は、予め、記憶手段に記憶されている。
この圧力値Pは、圧力センサ27によって検出される。この検出値が炊飯量判定手段に入力されて、記憶手段に記憶された炊飯量データと照合されて、炊飯量が判定される。
したがって、図7に示す各圧力曲線X1〜X3の安定した時点での圧力値は、圧力値と炊飯量とが1対1で対応しているので、この圧力値の検知により、炊飯量が簡単に正確に判定できて、しかもこの炊飯量の判定は初期水温の影響を受けることなく正確なものとなる。
次の立上げ加熱工程IIでは、この炊飯量にも基づいて加熱手段の加熱量が制御される。この工程では、鍋内が例えば1.2気圧に昇圧される。
この立上加熱工程IIでは、吸水工程Iで正確な炊飯量の判定がされているので、この立上加熱工程IIの初期からは正確な炊飯量に基づいて適切な電力量で加熱される。したがって、正確な炊飯量の判定によって、立上加熱工程IIの温度上昇度合いを自由に設定できるため、硬め、柔らかめなどの炊きわけレベルの差をつけ易くなる。したがって、お好みの炊飯特性、例えばお好みの硬さなどで美味しく炊き上げることができる。
さらに沸騰維持工程IIIでは、圧力弁13を強制的に1回乃至複数回開成させて沸騰中の鍋10内の圧力を大気圧近傍となるように一気に低下させる。この圧力弁13の開成により鍋10内には突沸現象が発生し米が激しく攪拌される。また、この圧力弁13の開成によって、鍋10内に生成されたうまみ成分のおねばがこの圧力弁13を通っておねば貯留キャップ25内に一時貯留される。この貯留キャップ25に貯留されたおねばは、所定量になると戻し弁V2が開成して、鍋10内へ戻される。
この炊飯工程が終了すると、表示操作部8からの指令により或いは自動的に保温工程へ移行する。この保温工程において、制御装置9は鍋10内を所定時間及び所定の保温温度で保温される。この時間帯において、制御装置9は、底部ヒータ5、側面ヒータ6及び蓋ヒータ19をそれぞれ間歇的にオン・オフ制御して、所定の保温温度、例えば70℃以上で保温制御する。この保温制御により鍋10の内壁への結露を少なくして最適な温度で保温される。
以上、本発明の一実施例の炊飯器を説明したが、この発明は、この圧力炊飯器に限定されるものではなく、通常の非圧力式の炊飯器にも適用できるものである。非圧力式炊飯器は、鍋内の蒸気を外部へ放出する蒸気放出穴が設けられているので、この蒸気放出穴にこの蒸気放出穴を開閉する開閉機構を設けることにより、上記作用効果を奏する炊飯器を構成できる。