JP4192771B2 - 静電荷像現像用磁性トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法等を利用して画像の形成がなされる電子複写機、レーザービームプリンター等における静電潜像を現像するために用いられる静電荷像現像用磁性トナーに関する。
従来、電子写真感光体や静電記録体などの静電荷像担持体上に形成された静電潜像を現像する方法としては、大別して、微細トナーが電気絶縁性液体に分散さた液体現像剤を用いる方法(湿式現像法)および結着樹脂中に着色剤あるいは磁性粉体等が分散されたトナーを用いる方法(乾式現像法)の二方法が知られている。乾式現像法では、キャリア粒子とトナーとからなる二成分系現像剤を用いる方法およびトナーのみからなる一成分系現像剤(通常は磁性トナー)を用いる方法が知られている。
これら乾式現像法に用いられる静電荷像現像用トナーは、通常、スチレン系樹脂あるいはポリエステル系樹脂などを結着樹脂として用い、これに染料、顔料、磁性体などの着色剤を混練し、冷却した後、粉砕、分級工程を経て製造される。
磁性トナーの着色剤としては通常マグネタイト、フェライト等の磁性粉を用いられている。磁性粉には適当な磁気特性(飽和磁化、残留磁化、保持力など)と着色力が要求され、大部分はマグネタイト(四三酸化鉄:Fe34)が使用されている。(例えば非特許文献1参照)
静電荷像現像用トナーの粒径は、通常1〜30μm程度の平均粒径を有する。また、二成分系現像剤で用いられるキャリア粒子としては、必要により疎水性樹脂で被覆された、鉄粉、フェライト、マグネタイトなどが用いられる。
上記の如き静電荷像現像用トナーは、現像される静電潜像の極性に応じて、正または負の電荷を保持することが必要とされる。静電荷像現像用トナーに電荷を保持させるには、トナー成分である結着樹脂、上述した着色剤などの摩擦帯電性を利用することもできるが、これのみでは通常帯電量が小さく、また極性も安定しないため、現像によって得られる画像はカブリ易く、また不鮮明なものとなる。このため、トナーに望ましい帯電特性を付与するため、さらに荷電制御剤と呼ばれる物質がトナーに添加されるのが一般的である。
従来の荷電制御剤の代表的な例としては、トナーに正帯電性を与えるものとして、例えばニグロシン系染料やトリアリールメタン系染料のような塩基性染料、第四級アンモニウム塩、有機錫オキサイド、アミノ基を有するポリマー等の電子供与性物質が、またトナーに負帯電性を与えるものとして、例えばモノアゾ染料の金属錯体、含クロム有機染料(銅フタロシアニングリーン、含クロムモノアゾ染料)のごとき含金属染料があげられる。
電子写真複写機あるいはプリンターの感光体として、有機感光体を用いるものが多く、この有機感光体を用いる複写機などの現像剤として、正帯電性トナーが用いられている。しかし、この正帯電性トナーを製造するために用いられる正帯電性荷電制御剤は親水性のものが多く、高湿条件では帯電量の低下を招きやすく、一方高湿条件下で帯電量が低下しないものは、低湿下で帯電量が不必要に高くなるという問題を有するものが多い。例えば、トリアリールメタン系染料は、常温常湿下では優れた正帯電性を示すが、高温高湿下では帯電量の低下を招きやすく、またトナー成分の選択によっては低温低湿下で帯電が不均一となる場合もある。また、第4級アンモニウム塩は、帯電付与能力が低く、高温高湿下では複写枚数を重ねるにしたがって、画像濃度の低下がみられることがある。
これに対して、ニグロシン染料は、高い帯電性能を有し、比較的優れた荷電制御剤であるが、トナー樹脂に対する分散性が悪く、均一に分散しにくく、またその製造法によって帯電性能や熱的性能などが大きく異なることなどから、複写枚数を重ねるにしたがって、画像濃度の低下が起こるとか、カブリが発生し易くなる、あるいは機内のトナー飛散の問題が起こるなど、荷電制御剤として要求される条件を十分に満足させるものを得ることは難しい。これら問題を解決するため、ニグロシン染料をレーキ化する、あるいは酸変性する等の技術(例えば特許文献1参照)が提案されているが、このような処理を行った場合、トナー中への荷電制御剤の分散性あるいはトナーの流動性の低下を引き起こすことがある。
また、ニグロシン染料は原料として、ニトロベンゼン、アニリンを用いるものであることから、製造されたニグロシン染料においても残存物として微量のアニリン、ニトロベンゼンが含まれているのが現状である。これらの残存物は、画像上のカブリ、トナー補給時の画像濃度低下、機内飛散等トナーの特性に悪影響を与えるだけでなく、加熱放置による品質が悪化する問題や環境に対しても好ましいものではなくできる限り除去した上で使用することが好ましい。(例えば特許文献2、3参照)
しかしながらアニリン、ニトロベンゼンを除去する工程が多数にわたり製法が煩雑になり、現実的にトナー用荷電制御剤として使用するにはコストの点において困難であった。
「電子写真技術の基礎と応用」コロナ社、1988年6月15日、P.475 特開平3−131868号公報 特開平6−230611号公報 特開2002−311652号公報
このように、ニグロシン染料は比較的優れた荷電制御剤であるが、種々の問題も有している。これらの問題を解決し、帯電量が十分に高く、現像時の温度および湿度依存性が少なく、使用前の熱ストレスによるトナー特性の劣化がなく、結着樹脂に対する分散性が良好で、現像特性に優れ、かつ持続性も優れた正帯電性磁性トナーが求められている。
本発明の目的は、上記問題を有しない優れた特性を有する正帯電性の静電荷像現像用磁性トナー、即ち、トナーとキャリア間、トナーと現像スリーブの如きトナー担持体との摩擦帯電量が高く、安定して、温度、湿度による影響を受けず、品位の安定したトナー画像を形成することができる正帯電性の静電荷像現像用磁性トナーを提供することである。
また、本発明の目的は、複写枚数が増加しても摩擦帯電量が安定した、カブリの発生、機内へのトナー飛散がない正帯電性静電荷像現像用磁性トナーを提供することである。
また、本発明の目的は、ニグロシンベースとキシレン樹脂とを混合してなる組成物である荷電制御剤と特定のカーボンブラックを含み、かつ荷電制御剤、磁性体がトナー中に均一に分散した、画像濃度が高く、カブリの発生のない鮮明な画像を形成することができる正帯電性の静電荷像現像用磁性トナーを提供することである。
さらに、本発明の目的は、トナー貯蔵時の熱ストレスによるトナー特性の劣化のない、荷電制御剤を含有する正帯電性の静電荷像現像用磁性トナーを提供することである。
本発明者等は、鋭意検討した結果、ニグロシンベースとキシレン樹脂とを混合して得られる組成物を荷電制御剤と特定のBET比表面積を有する磁性体をトナー中に用いることにより、上記目的が達成できることを見出して、本発明に至ったものである。
すなわち、第1の発明は、少なくとも結着樹脂、磁性体、荷電制御剤を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、ニグロシンベースとキシレン樹脂とを混合してなる組成物を荷電制御剤として含有し、かつ磁性体の窒素吸着法によるBET比表面積が3.0〜9.0m2/gであることを特徴とする静電荷像現像用磁性トナーである。
また、第2の発明は、荷電制御剤中のアニリンの含有量が100ppm以下であり、かつニトロベンゼンの含有量が50ppm以下であることを特徴とする上記第1の発明の静電荷像現像用磁性トナーである。
また、第3の発明は、キシレン樹脂の数平均分子量が800〜1800であることを特徴とする上記第1又は2の発明の静電荷像現像用磁性トナーである。
また、第4の発明は、ニグロシンベースとキシレン樹脂との混合比率が20:80〜70:30であることを特徴とする上記第1〜3のいずれかの発明の静電荷像現像用磁性トナーである。
また、第5の発明は、磁性体の嵩密度が0.15〜0.40g/cm3であることを特徴とする上記第1〜4のいずれかの発明の静電荷像現像用磁性トナーである。
以上述べたように、ニグロシンベースとキシレン樹脂とを混合してなる組成物である荷電制御剤と特定の物性を有する磁性体を静電荷像現像用磁性トナーの材料として用いることにより、荷電制御剤と磁性体が均一に分散された静電荷像現像用磁性トナーを得ることができる。本発明の静電荷像現像用磁性トナーは、荷電制御剤中にアニリン、ニトロベンゼンをほとんど含まないこと、この荷電制御剤と併用して特定のBET比表面積を有する磁性体を併用して用いることにより、初期から良好な画像濃度を有しカブリのない複写画像を得ることができると共に多数枚の複写を重ねた場合にも画像濃度の低下は見られない。また、本発明の静電荷像現像用磁性トナーは加熱経時変化もなく、市販するまであるいは購入後のトナーの貯蔵時、あるいは輸送時などにおける加熱ストレスによる特性変化のない、良好なトナーを得ることができる。また、本発明の荷電制御剤、磁性体は分配性が良好であるため、分級微粉を再利用することが容易となり、省資源化およびトナー製造時のコストの低減に多いに寄与するものである。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の荷電制御剤は、従来公知のニグロシンベースとキシレン樹脂とを混合することによって得られる。
ニグロシンベースは、原料としてアニリン、アニリン塩酸塩を塩化鉄、鉄及び塩酸の存在下にニトロベンゼンで160℃〜180℃で酸化して反応させることにより粗製ニグロシンを得た後に、アルカリ水溶液を加えて中和し、染料アニリン層を分取し、その後アルカリでベース化処理し、水洗、ろ過し、乾燥、粉砕して製造される。ニグロシン染料はベース化されることにより、水に不溶性とされ、湿度の影響を受け難くなる。ここで得られるニグロシンベースは、アニリン含有量が2000ppm〜4000ppm程度、ニトロベンゼン含有量が200〜500ppm程度である。
ここでニグロシンベースは30μm以下に粉砕されていることが好ましい。30μmよりも大きいとキシレン樹脂中に均一に分散させることが困難になってしまう。
また、本発明においては市販のニグロシンベースを使用することもできる。具体的にはオリエント化学社製のボントロンN−01、N−07、ニグロシンベースEX、中央合成化学社製のCHUO CCA−1等が使用できる。
ニグロシンベース中にニトロベンゼンが多く残留していると、ニグロシンベース内に分極による電荷が蓄えられ、凝集しやすくなって、結着樹脂中へのニグロシンベースの分散性、分配性の低下を来たしてしまう。これはニトロベンゼンが比誘電率が高いことが原因によるものである。そのためニグロシンベース中のニトロベンゼンは除去することが重要である。
ニグロシンベース中のニトロベンゼンは、ニグロシンベースをアルコール中に溶解させ洗浄することにより除去することができる。使用するのに好ましいアルコールとしては、容易に溶媒除去できることを考慮すればメタノール、エタノール等を用いることが好ましい。これによりニグロシンベース中のニトロベンゼン含有量は50ppm以下に低減することができる。アルコールで除去処理、洗浄を行なった後にろ過、乾燥、場合によっては粉砕、解砕すればよい。
また市販のニグロシンベース中のニトロベンゼンを除去する場合は、上記と同様にアルコール中にニグロシンベースを溶解せしめ同様に処理すればよい。
またニグロシンベースの製造工程の途中においてニトロベンゼンを除去することも可能であり、製造工程の簡略化、コストの低減には好ましい工程である。前記ニグロシンベースの製造工程で、アルカリでベース化処理を行い、水洗した後に、アルコールを添加してニグロシンベース中のニトロベンゼン除去を行い、ろ過、乾燥、場合によっては粉砕、解砕の工程を経ればよい。
本発明で使用することのできるキシレン樹脂は、下記化学式で示される熱可塑性キシレン樹脂を用いることが好ましい。キシレン樹脂中の−OH基は本発明の荷電制御剤のアニリン含有量を低減する上で重要な官能基となるものである。
すなわち、ニグロシンベース中に残存しているアニリンは、キシレン樹脂中の−OH基と反応することにより、第3級アミンの構造をつくる。これによりニグロシンベース中のアニリンはキシレン樹脂と反応することにより、本発明の荷電制御剤中のアニリン含有量は100ppm以下に低減されるのである。また第3級アミンの存在は耐水性、耐油性の改善に大いに有用である。
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これより本発明で使用することのできるキシレン樹脂の水酸基価(OH価)は100〜200(mgKOH/g)であることが好ましく、より好ましくは110〜170(mgKOH/g)である。水酸基価が100(mgKOH/g)よりも小さいと未反応のアニリンが残存する場合があり、荷電制御剤中のアニリン含有量が100ppmを超えてしまう。また水酸基価が200(mgKOH/g)よりも大きいと、−OH基が過剰に存在するため、水分の影響を受けやすくなり、荷電制御剤として環境安定性が低下してしまい、高温高湿下での帯電量の低下による機内飛散、かぶりの増加、低温低湿下での過度の帯電量上昇等の問題が生じてしまう。
また平均分子量は800〜1800のものを用いることが好ましく、より好ましくは1000〜1400である。この範囲において使用することによりニグロシンベースを良好に分散させることができる。平均分子量が800以下になってしまうとニグロシンベースの分散不良を起こしやすく、また平均分子量が1800よりも大きくなってしまうと、軟化温度が高くなり、高温下でのニグロシンベースとの混合が必要になったり、生産性が悪くなってしまう。
具体的に好ましいキシレン樹脂としてはは三菱ガス化学社製ニカノールHP−100、HP−70、HP−150等の熱可塑性キシレン樹脂があげられる。
これらのニグロシンベースとキシレン樹脂とを混合することにより本願発明の組成物を得ることができる。混合する方法としては、(1)キシレン樹脂に可溶な溶媒中に溶解させた上でニグロシンベースを添加して溶液中で混合する方法、(2)混練機等を用いてキシレン樹脂を溶融させた状態でニグロシンベースを添加して混合する方法等がある。具体的には以下のようになる。
(1)ニグロシンベースとキシレン樹脂を溶媒に溶解し、溶媒の沸点温度近傍で1〜2時間加熱しながら混合を行なった後、溶媒を除去し、水中に排出を行い、ろ過、水洗、乾燥を行い組成物を得る。ここでニグロシンベース中のアニリンは、キシレン樹脂と反応し、一部にアミン変性されたキシレン樹脂が生成することにより、アニリンが除去され得られる組成物は残存するアニリンをほとんど含まないものとなる。ここで得られる組成物はキシレン樹脂中にニグロシンベースが分散した状態である。また必要ならば粉砕工程を経て所望の粒度にして組成物を荷電制御剤とすればよい。
ここで具体的に使用する溶媒としては、キシレン樹脂とアニリンの双方を溶解するものであれば使用可能であるが、中でもプロピレングリコールモノメチルエーテルの如きセロソルブ系の溶媒を用いることが好ましい。
(2)ニグロシンベースとキシレン樹脂を加熱ニーダー、バンバリーミキサー、等の混練機に投入して十分に混合し、キシレン樹脂の軟化温度以上の温度で溶融混練を行なう。これによりキシレン樹脂中にニグロシンベースが分散する。このときにニグロシンベース中に含まれるアニリンはキシレン樹脂と反応し、一部にアミン変性されたキシレン樹脂が生成することにより、アニリンが除去され得られる組成物は残存するアニリンをほとんど含まないものとなる。ここで得られる組成物はキシレン樹脂中にニグロシンベースが分散した状態である。さらにこの組成物を粗砕、粉砕して所望の粒度に調整することにより組成物を荷電制御剤とすればよい。
ニグロシンベースとキシレン樹脂との混合比率は、20:80〜70:30の範囲であれば良好な荷電制御剤を得ることができる。ニグロシンベースの比率が20よりも小さくなってしまうと荷電制御剤として良好な正電荷を付与することが困難となり、またニグロシンベースの比率が70を超えてしまうと残存するアニリンの除去が困難となり、荷電制御剤中のアニリン量が100ppmよりも大きくなってしまう場合がある。
本発明の静電荷像現像用磁性トナーにおける荷電制御剤の使用量は、使用する結着樹脂の種類により異なるが、通常、結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、より好ましくは0.8〜3重量部である。また、荷電制御剤の粒径は、体積平均粒径で30μm以下であればよく、2μm以上15μm以下であることがより好ましい。2μmよりも小さいとトナーに過度の帯電量上昇を引き起こしてしまい使用が困難になる。また15μmよりも大きいとトナー中に均一に分散、配合を行なうことが困難になってしまう場合がある。
本発明の静電荷像現像用磁性トナーにおいては、荷電制御剤として、ニグロシン染料とともに、トナーに正帯電性を付与することのできる他の荷電制御剤を補助的に用いることもできる。このような荷電制御剤としては、従来からトナーに正帯電性を付与することができることが知られた公知の荷電制御剤であればいずれのものであってもよいが、その中でも、第四級アンモニウム塩化合物、トリフェニルメタン系の塩基性染料が好ましい。
また本発明の静電荷像現像用磁性トナーに用いることのできる磁性体の種類としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄または二価金属と酸化鉄との化合物、鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金の粉体及びこれらの混合物があげられる。中でもマグネタイト(四三酸化鉄:Fe34)が好ましいものである。また通常結着樹脂の100重量部に対し、5〜120重量部、好ましくは60〜100重量部の添加量がよい。
本発明の静電荷像現像用磁性トナーにおいて用いることができる磁性体としては、窒素吸着法によるBET比表面積が3.0〜9.0m2/gであることが必要である。より好ましくは4.0〜8.0m2/gである。磁性体のBET比表面積は、結着樹脂中への分散性、分配性を決める重要な特性である。特にキシレン樹脂とニグロシンベースとを混合して得られた荷電制御剤の良好な帯電性、結着樹脂への良好な分散性、分配性を維持しながら、かつ良好な発色性、色再現性を得る上で重要である。
BET比表面積の値が9.0m2/gよりも大きい値となってしまうと、磁性体の抵抗が下がり、トナーの帯電量が低下し、画像上のカブリが増加したり、トナーの機内飛散を引き起こす危険性がある。また磁性体を結着樹脂中に均一に分散、分配させることが困難になる。またBET比表面積の値が3.0m2/gよりも小さい値になってしまうと、画像に十分な着色を行うことができず、また高抵抗になり過度の帯電量の上昇が生じ、画像濃度低下等の欠陥が生じてしまう。
本発明の磁性トナーに用いる磁性体のBET比表面積測定は、乾燥した状態の磁性体サンプルを、気体吸着法(流動法)である、ユアサアイオニクス社製、マルチソーブ12を用いて行った。キャリアガスとしては窒素−ヘリウムの混合ガスを用いた。そして脱着ピークの値からBET比表面積を算出した。
また、本発明の磁性トナーにおいて使用する磁性体は上記特性に加えて、吸油量の数値も重要な特性であり、吸油量が20〜35ml/100gであることが好ましい。この範囲であれば、結着樹脂中への磁性体の分散、分配を好ましく施すことができる。
更に嵩密度の値も0.15〜0.40g/cm3の範囲であることが好ましく、結着樹脂中への磁性体の分散、分配を好ましく施すことができる。
ここで吸油量は、磁性体試料5gに煮アマニ油を滴下し、混合しながら全体が固い均一なパテ状の固まりとなるまでに消費した煮アマニ油の量により得られるものである。
吸油量(ml/100g)=[煮アマニ油消費量(ml)/試料重量(g)]x100
また、嵩密度はホソカワミクロン社製パウダーテスター(PT−E)を用いて振幅1mm、篩い時間3分にて測定を行った。
本発明の静電荷像現像用磁性トナーの構成成分としては、上記本発明の荷電制御剤、磁性体以外に、トナーを構成する公知の材料である、結着樹脂が用いられる。また着色剤として、磁性体に加えてカーボンブラックや従来公知の顔料、染料を併用して用いることもできる。静電荷像現像用磁性トナーには、更に必要に応じ離型剤、滑剤、流動性改良剤、研磨剤、導電性付与剤、画像剥離防止剤等が内添または外添される。
本発明の静電荷像現像用磁性トナーに用いられる結着樹脂は、従来静電荷像現像用トナーの結着樹脂として公知のものであればいずれも用いることができる。使用することのできる結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその誘導体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体などのスチレン−スチレン誘導体共重合体;スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタクリル酸系共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などがあげられる。
これらのなかでも、スチレン単重合体、スチレン−スチレン誘導体共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタクリル酸系共重合体が特に好ましいものである。
スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタクリル酸系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチルなどがあげられる。
また架橋されたスチレン系共重合体も好ましい結着樹脂である。架橋されたスチレン系共重合体を製造するためにスチレンと共に用いられるコモノマーとしては、上記スチレン誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどの二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;例えば、マレイン酸、マレイン酸メチル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチルなどの二重結合を有するジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなどのエチレン系オレフィン類;例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチル
エーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;等のビニル単量体が単独もしくは2種以上用いられる。
架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどの二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。これら架橋剤は、他のモノマー成分100重量部に対し、0.01〜5重量部程度、より好ましくは0.03〜3重量部程度の量で用いられる。
また、結着樹脂は、GPCにより測定される分子量分布で3×103〜5×104の領域に少なくともひとつのピークを有し、105以上の領域に少なくとも一つのピークあるいはショルダーを有するスチレン系共重合体が定着性の点から好ましい。このような分子量分布を有する結着樹脂は、平均分子量が異なる二種以上の樹脂を混合することによって製造することができるし、上記架橋剤を用いて架橋樹脂とすることにより製造することもできる。
なお、上記GPCによる分子量分布は、例えば次の条件で測定される。またキシレン樹脂についても同様に測定することができる。
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、THFに溶解した試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。なお、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良い。例えば、昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKguardcolumnの組み合わせをあげることができる。
また測定用サンプルは以下のようにして作成する。すなわち、試料をTHF中に入れ、数時間放置した後、充分に振とうし、試料の合一体がなくなるまでTHFと良く混合し、さらに12時間以上静置する。この時、THF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルタ(ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製等が利用できる)を通過させたものをGPC測定用サンプルとする。また、サンプル濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
なお、ビニル重合体の製造に当たっては重合開始剤が用いられるが、重合開始剤としては、従来公知のものの何れも用いることができる。重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート、ジターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、アゾイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなどが通常好ましく用いられる。開始剤のビニルモノマーに対する使用割合は、0.2〜5重量%が一般的である。重合温度は、使用するモノマーおよび開始剤の種類に応じ適宜選定される。
また、ポリエステル樹脂も本発明の静電荷像現像用トナーの結着樹脂として使用することは可能である。ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェニールA、ビスフェノール誘導体等のジオール類、グリセリン、ソルビット、ソルビタン等の多価アルコール類が挙げられる。
酸成分としては二価のカルボン酸として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;またさらに炭素数16〜18のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸またはその無水物等が挙げられ、三価以上のカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられる。
好ましいアルコール成分は、前記一般式1で表されるビスフェノール誘導体であり、好ましい酸成分はフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはその無水物、コハク酸、n−ドデセニルコハク酸またはその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸類、トリメリット酸またはその無水物等のトリカルボン酸類である。
さらに、加圧定着方式を用いる場合には、圧力定着トナー用結着樹脂の使用が可能であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチレン、ポリウレタンエラストマー、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、線状飽和ポリエステル、パラフィンなどがあげられる。
本発明の静電荷像現像用磁性トナーの粒径は、重量平均粒径が1〜30μm、好ましくは3〜15μmであることが望ましい。特に、5μm以下の粒径を有するトナー粒子が12〜60個数%含有され、8〜12.7μmの粒径を有するトナー粒子が1〜33個数%含有され、16μm以上の粒径を有するトナー粒子が2.0重量%以下含有され、トナーの重量平均粒径が4〜12μmであるものが、現像特性の上からはより好ましい。なお、トナーの粒度分布測定は、例えばコールターカウンターを用いて測定することができる。
本発明の磁性トナーは前記述べたように、更に必要に応じて離型剤、滑剤、流動性改良剤、研磨剤、導電性付与剤、画像剥離防止剤等のトナーの製造に当たり使用されている公知の添加剤を内添、あるいは外添することができるが、これら添加剤の例としては、離型剤としては、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、パラフィンワックスなどのワックス状物質があげられ、これらは通常0.5〜5重量%程度の量でトナー中に加えられる。
また、滑剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛などが、流動性改良剤としては、乾式法あるいは湿式法で製造したシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪素アルミニウム共酸化物、珪素チタン共酸化物およびこれらを疎水性化処理したものなどが、研磨剤としては窒化珪素、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、タングステンカーバイド、炭酸カルシウムおよびこれらを疎水化処理したものなどが、導電性付与剤としてはカーボンブラック、酸化スズなどがあげられる。また、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素含有重合体の微粉末は、流動性、研磨性、帯電安定性などの点から好ましいものである。
なお、本発明の磁性トナーにおいては、外添剤として疎水化処理されたシリカ、疎水化処理された酸化アルミニウム、疎水化処理された珪素アルミニウム共酸化物あるいは疎水化処理された珪素チタン共酸化物微粉体を外添剤として用いることが好ましい。シリカ微粉体の疎水化処理としては、シリコーンオイルやジクロロジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザンなどのシランカップリング剤による処理等があげられる。また、ブローオフ法により測定したときに、鉄粉キャリアに対してプラスのトリボ電荷を有する正帯電性のシリカを用いることが好ましい。この正帯電性のシリカを得るためには、側鎖に窒素原子を少なくとも1つ有するオルガノ基を有するシリコーンオイル、あるいは窒素含有のシランカップリング剤で処理すればよい。疎水化処理されたシリカ微粉体の使用量は、現像剤重量当り、0.01〜10%、好ましくは0.03〜5%である。
本発明の磁性トナーは、従来から公知のトナーの製造方法を用いて製造することができる。一般的には、上述したようなトナー構成材料を、ボールミル、ヘンシェルミキサーなどの混合機により充分混合したのち、熱ロールニーダー、一軸あるいは二軸のエクストルーダーなどの熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化後、ハンマーミルなどの粉砕機を用いて機械的に粗粉砕し、次いでジェットミルなどにより微粉砕した後、分級する方法が好ましい。しかし、トナーの製造法はこの方法に限られるものではなく、結着樹脂溶液中に他のトナー構成材料を分散した後、噴霧乾燥する方法、所謂マイクロカプセル法によりトナーを製造する方法、結着樹脂を形成する単量体に所定材料を混合し、乳化あるいは懸濁重合を行いトナーを得る重合法トナー製造法など他の方法も任意に採用することができる。
さらに、必要に応じ、分級されたトナーと外添剤をヘンシェルミキサー等の混合機を用いて十分に混合し、篩い工程を経て、本発明の静電荷現像用トナーを製造することができる。
本発明の磁性トナーは、キャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。本発明の磁性トナーとともに用いることのできるキャリアとしては、従来公知のキャリアであればいずれであってもよい。使用することができるキャリアとしては、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のような磁性粉体等、あるいはこれらの表面を樹脂などで処理したものが挙げられる。キャリア表面を被覆する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、フッ素含有樹脂、シリコーン含有樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂など、あるいはこれらの混合物があげられる。これらのなかでは、スペントトナーの形成が少ないためフッ素含有樹脂、シリコーン含有樹脂が特に好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の態様はこれらの実施例に限定されるものではない。
[ニグロシンベースの製造例1]
アニリン、アニリン塩酸塩を塩化鉄、鉄及び塩酸の存在下にニトロベンゼンで160〜180℃で酸化、反応させることにより粗製ニグロシンを得た。さらに粗製ニグロシンを中和した後にアニリン、水酸化ナトリウム溶液を加えベース化処理を行い、スクリューデカンタの遠心分離によりニグロシンと水酸化鉄の沈殿物に分離し、水酸化鉄の沈殿物を除去した後、得られた液を水洗した。水洗後、残存するニトロベンゼンを除去するために、さらにメタノールを添加して60℃に加熱しながら攪拌、洗浄した後、ろ過、乾燥を行い、ジェットミルにて平均粒径7μmに粉砕を行ないニグロシンベース1を得た。またニトロベンゼンの含有量は50ppmで、アニリンの含有量は2500ppmであった。
[ニグロシンベースの製造例2]
市販のニグロシンベースCCA−1(中央合成化学社製)をメタノール中に溶解し60℃に加温しながら30分間攪拌しニトロベンゼンの除去を行なった。さらにメタノールで洗浄を行ない、ろ過、乾燥を行い、ジェットミルにて平均粒径6μmに粉砕を行ないニグロシンベース2を得た。またニトロベンゼンの含有量は40ppm、アニリンの含有量は2000ppmであった。
上記ニグロシンベース1〜2の特性値をまとめると表1のとおりである。
Figure 0004192771
[荷電制御剤製造例1]
プロピレングリコールモノメチルエーテル3000g中にキシレン樹脂(三菱ガス化学社製HP−100:平均分子量1200)を600g添加して十分に混合、溶解した。これに上記で得られたニグロシンベース1を400g加えた後に、液温を70〜80℃に保ちながら2時間攪拌、混合を行なった。さらに溶媒の沸点以上(120℃)に温度を上げ、プロピレングリコールモノメチルエーテルを除去した。更に水で洗浄を行い、乾燥した後に、サンプルミルで粉砕を行い750gの組成物を得た。(平均粒径7.5μm)これを荷電制御剤1とする。
荷電制御剤1に含まれるアニリン含有量及びニトロベンゼン含有量をガスクロマトグラフにて分析したところ、アニリン含有量は25ppm、ニトロベンゼン含有量は10ppmであった。
[荷電制御剤製造例2〜6、8]
表2に示す条件であること以外は、荷電制御剤製造例1と同様にして荷電制御剤2〜6を得た。また荷電制御剤8はキシレン樹脂を用いる代わりに、ロジン無水マレイン酸樹脂(荒川化学社製マルキード樹脂NO.33)を用いる以外は、荷電制御剤1と同様に得られた荷電制御剤である。得られた荷電制御剤の特性値を表2に示す。
Figure 0004192771
[荷電制御剤製造例7]
キシレン樹脂(三菱ガス化学社製HP−100)600g、上記で得られたニグロシンベース400gを加圧ニーダを用いて140℃にて30分混合、混練を行なった。取り出し、冷却した後にサンプルミル及びジェットミルにて粉砕を行い700gの組成物を得た。(平均粒径7.7μm)これを荷電制御剤7とする。荷電制御剤7に含まれるアニリン含有量及びニトロベンゼン含有量をガスクロマトグラフにて分析したところ、アニリン含有量は50ppm、ニトロベンゼン含有量は20ppmであった。
なお、実施例および比較例におけるニグロシン中のニトロベンゼン含有量、ア
ニリン含有量は、いずれもガスクロマトグラフ アジレント(旧ヒューレットパッカード)6890型を用い、カラムとしてHP−INNOWAXを用いて測定された。
スチレン−アクリル酸nブチル共重合体 100重量部
磁性体1(マグネタイト) 70重量部
荷電制御剤1 2.5重量部
低分子量ポリプロピレンワックス 2.5重量部
をヘンシェルミキサーで予備混合した後、二軸加熱混練機に投入し、混練、押し出されてきたものを室温で冷却し、ハンマーミルで粗粉砕してチップ状の粉砕物(以下「チップ」という。)を得た。次いで、これをジェットミル粉砕機で微粉砕し、分級機に導き、10μmに平均粒度を有する部分をトナー用微粉末として取り出して、分級トナー(トナー母粒子)を得た。
ニグロシンベースの結着樹脂中への分配性を調べるため、所定量のチップ、分級されたトナー母粒子および分級微粉を所定量のクロロホルムに溶解し、上澄み液の吸光度(波長:567nm)を測定し、検量線の値からチップ中、分級されたトナー母粉体中および分級微粉中の荷電制御剤中のニグロシンベースの含有量を求めた。ニグロシベースの含有量は、各々0.56%、0.56%、0.58%であった。
なお、検量線は、ニグロシンベースの添加量を0.5〜2.5重量部とし、磁性体の添加量を40重量部、ポリプロピレンワックスを1.4重量部、残りを結着樹脂であるスチレン−アクリル酸nブチル共重合体として、全体の量が100重量部となるようにすることを除き上記実施例と同様にして磁性トナーを作成し、これらトナーの所定量をクロロホルムの所定量に溶解し、実施例同様にして上澄み液の吸光度(波長:567nm)を測定し、吸光度の値を添加量の値と関連付けてプロットすることにより作成した。上澄み液を形成する場合、調整した液を磁石上に放置することにより磁性粉を十分に沈殿させることができる。
磁性トナー中の磁性体含有量は、空気中で燃焼させて残さを求めることにより簡単に求めることができる。残さ率からおおよその磁性体含有量を算出できるが、更に正確に算出するには酸化物による重量増加分の割合を考慮して算出すれば良い。
例えばマグネタイトの場合は、残さ物はFe2 3になるため、これよりFe2 3で換算してもとのマグネタイト(Fe3 4、即ちFe O・Fe2 3 )含有量を算出することができる。すなわちFe2 3含有量中のFe含有量を求め、更にFe3 4の量に換算すれば良い。予め磁性体そのものの組成分析を行うことによって元の磁性体の組成を確認して、更に該磁性体の酸化物の状態を把握すれば良い。
例えばマグネタイトを含有する磁性トナーサンプルをるつぼに5g程度秤量し、電気炉を700℃に設定し空気中に2時間程放置して完全燃焼させ、冷却放置後残さ分の重量を測定することにより残さ率[%]が求められる。そのとき残さとして得られたものはFe2 3 であるためこれをFe3 4 に換算して含有量を求めれば良い。このときFe2 3 の残さが40%であるとき、Fe3 4に換算して求めた数値は40.6%となる。すなわちFe2 3の分子量は159.7であり、うちFeの原子量が55.85であるからFe2が占める原子量は111.7である。これよりFe2 3 中のFeの割合は69.9%である。残さ率の69.9%がFe含有量となる。またFe3 4は分子量が231.55であり、うちFeの原子量が167.55であるから、Feの割合は72.4%である。残さ率の72.4%がFe含有量となる。ここで残さ率40%中のFe量は29.4%(40x0.699)であり、これをFe3 4量に換算すると40.6%(29.4÷0.724)の含有量として求めることができる。
この定量分析にてトナー母粒子、分級微粉及び微粉砕前のトナーチップの残さ率を求めることにより、磁性体のトナー中への分配性を数値化することができる。トナー母粒子、分級微粉及びトナーチップ中の磁性体含有量の差がほとんどなく等しければ分配性は良好であることがわかる。一方トナー母粒子と分級微粉中の磁性体含有量の差が大きいものは分配不良を起こしていることが確認できる。
これにより求められたチップ中、分級されたトナー母粉体中および分級微粉中の磁性体の含有量は、39.9%、39.8%、40.0%であった。
[実施例2〜9、比較例1〜5]
荷電制御剤1、磁性体1を、表2、3に記載の各荷電制御剤、磁性体とすることを除き、実施例1と同様に行い、チップ中、分級されたトナー母粒子中および分級微粉中のニグロシンベースの含有量、磁性体の含有量を求めた。結果を表4に示す。
Figure 0004192771
Figure 0004192771
表4から、本発明の荷電制御剤(1〜7)と磁性体(1〜4)を組み合わせて得られたトナー(実施例1〜9)は、チップ中、分級されたトナー母粒子中および分級微粉中のいずれにおいてもニグロシンベースの含有量、磁性体含有量が配合時の添加量と同じであり、このことから結着樹脂への分配性が良好であることがわかる。
これに対し、上記組み合わせを満足しないトナー(比較例1〜5)におけるニグロシンベースの含有量、磁性体含有量は、トナー母粒子中で配合時の添加量より少なく、一方分級微粉中では多くなり、いずれもニグロシンベースと磁性体の分配性が悪いことがわかる。
分配性の悪化は、ニグロシンベース中のニトロベンゼン量、アニリン量、及び磁性体の比表面積に起因するものと推測される。そして良好な分配性を得るためには、荷電制御剤の特性、磁性体の特性の双方とも重要なものである。そして片方が悪くても良好な分配性を得ることができない。また磁性体の比表面積が大きい場合は画像の品質が悪化する。
荷電制御剤中のニグロシンベースと磁性体の分配性が悪いと、分級微粉を再度原料に戻して再利用する際に安定した品質のトナーを得ることができないため、分級微粉の再利用ができないこととなる。
さらにこれらのトナー母粉体100重量部に対し、疎水性シリカ(アエロジルR972)0.3重量部、タングステンカーバイト(日本新金属社製WC−10)0.5重量部を加え、ヘンシェルミキサーで混合した後、このトナーの加熱経時変化を調べた。(実施例1〜9、比較例1〜5)
加熱経時変化の試験は、トナーを50℃の乾燥機中に3日間(72時間)放置して加熱劣化を促進させた後、市販の複写機(キヤノン社製複写機 NP3050)を用いて、23℃、50RHの環境条件下、10,000枚の連続実写を行うことによった。初期および10,000枚複写時の画像濃度は各々1.41および1.42であり、また初期および10,000枚複写時のカブリは各々0.6および0.7で特に変化はなかった。さらに、10,000枚複写後におけるトナー粒子の機内飛散はなく、得られた画像の汚れもなかった。
なお、カブリはフォトボルトにて、反射率を測定することにより行った。1.5%以下が良好な値である。
また、トナーの機内飛散は、複写機の転写チャージャー上に飛散トナーが存在するか否かを確認することにより行った。転写チャージャー上にトナー飛散がみられる場合、これに伴う画像汚れが発生する。
Figure 0004192771
表5から、加熱劣化促進試験後のトナーを用いて現像した場合、本発明のトナー(実施例1〜9)および比較トナー(比較例1〜5)は画像濃度においては格別の差はでない一方、本発明のトナーでは、加熱劣化促進試験後においても10,000枚複写時にカブリの発生、トナーの機内飛散はみられないのに対し、比較トナーは複写の初期からカブリがみられ、またトナーの機内飛散があり、画像汚れがみられた。この加熱劣化は、多量のニトロベンゼンおよびアニリンの存在によりニグロシン染料の均一分散性が悪くなっていること、及び磁性体の均一分散性が悪くなっていることによるものと推測される。

Claims (5)

  1. 少なくとも結着樹脂、磁性体、荷電制御剤を含有する静電荷像現像用磁性トナーにおいて、ニグロシンベースとキシレン樹脂とを混合してなる組成物を荷電制御剤として含有し、かつ磁性体の窒素吸着法によるBET比表面積が3.0〜9.0m2/gであることを特徴とする静電荷像現像用磁性トナー。
  2. 荷電制御剤中のアニリンの含有量が100ppm以下であり、かつニトロベンゼンの含有量が50ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用磁性トナー。
  3. キシレン樹脂の数平均分子量が800〜1800であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用磁性トナー。
  4. ニグロシンベースとキシレン樹脂との混合比率が20:80〜70:30であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用磁性トナー。
  5. 磁性体の嵩密度が0.15〜0.40g/cm3であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用磁性トナー。
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