図面を参照して、本発明による真空処理装置の実施の形態を記載する。その真空処理装置1は、図1に示されているように、搬送室2と複数の処理室3−1〜3−6とロード室4とアンロード室5とを備えている。ロード室4とアンロード室5はロードロック室として構成されている。搬送室2は、内部を環境から密閉する容器であり、その内部が水平方向に平行であるx方向に長くなるように形成されている。処理室3−1〜3−6は、それぞれ、内部を環境から密閉する容器である。処理室3−1〜3−6は、それぞれ、製膜を行う場合に、プラズマを用いて例えばSiH4などの材料ガスをラジラルに分解し、内部に支持される基板にその半導体などの薄膜を製膜する。
処理室3−1は、搬送室2を隔てて処理室3−4の反対側に配置されている。処理室3−2は、搬送室2を隔てて処理室3−5の反対側に配置されている。処理室3−3は、搬送室2を隔てて処理室3−6の反対側に配置されている。各処理室3−i(i=1、2、3、…、6)は、基板を垂直方向より同一方向へ傾斜させて支持するようになっている。すなわち、右側処理室3−1〜3−3と、左側処理室3−4〜3−6の基板搬送に伴う取り合い位置関係は、搬送室2を隔てて面対称の関係にあるため、基板は同一方向への垂直より傾斜のままで右側処理室3−1〜3−3と左側処理室3−4〜3−6へと搬入と搬出をして処理することができる。なお、処理室3−iは、製膜以外の真空処理をするものであってもかまわないで、たとえば、スパッタリング、ドライエッチング、熱処理に例示される真空または減圧雰囲気で基板もしくは製膜済基板を処理するものであってもかまわない。
複数の処理室3−1〜3−6と搬送室2とロード室4とアンロード室5は、ステンレス系材料により形成されることが、耐食性と部材強度を満足する点で好ましい。処理室3−1〜3−6は、更に、非磁性または弱磁性材料であるステンレス系材料(例えばSUS304)により形成されることがプラズマ発生を阻害しない点で好ましい。なお、複数の処理室3−1〜3−6と搬送室2とロード室4とアンロード室5は、真空雰囲気での処理内容や設計的考慮により他材質(例えばアルミニウム合金や表面をメッキ処理した鉄系材料など)も使用可能である。
各処理室3−i(i=1,2,3,…,6)は、ゲート弁7−iを備えている。ゲート弁7−iは、搬送室2と処理室3−iとの間に介設され、搬送室2の内部と処理室3−iの内部とを接続するゲートを閉鎖し、または、開放する。搬送室2は、真空雰囲気に保持され、ゲート弁7−iは、インターロック制御が設けられている。そのインターロック制御は、各処理室3−iの内部が真空雰囲気になっているときにのみゲート弁7−iを開放するように制御し、搬送室2を経由しての処理室間のコンタミを抑制している。さらに、処理室3−1は、搬送室2やゲート弁7−iの取り合い寸法や基板搬送に係る各種基準寸法が、処理室3−2、3−3と同様に構成されている。処理室3−4は、搬送室2やゲート弁7−iの取り合い寸法や基板搬送に係る各種基準寸法が、処理室3−5、3−6と同様に構成され、処理室3−1と面対称に構成されている。
ロード室4は、内部を環境から密閉する容器であり、ゲート弁11とローダ大気側挿入装置12とゲート弁13とを備えている。ゲート弁11は、搬送室2とロード室4との間に介設され、搬送室2の内部とロード室4の内部とを閉鎖し、または、開放する。ゲート弁11は、インターロック制御が設けられている。そのインターロック制御は、ロード室4が真空雰囲気になっているときにのみゲート弁11を開放するように制御し、搬送室2を経由してのロード室4のベントガスのコンタミを抑制している。ゲート弁13は、大気圧環境とロード室4との間に介設されている。ゲート弁13は、ロード室4の内部が大気圧環境のときに開放し、ロード室4の内部が真空雰囲気のときに閉鎖する。
ローダ大気側挿入装置12は、図2に示されているように、持ち上げ機構18−1と基板搬送機構18−2とを備えている。持ち上げ機構18−1は、ロード室4の入口に専用に設置され、水平位置にある基板を傾斜位置に持ち上げる。このような持ち上げ機構18−1は、特開2002−167036号公報に詳細に示されている。基板搬送機構18−2は、ロード室4の入口に専用に設置され、傾斜位置にある基板をy方向に移動する。基板搬送機構18−2は、後述する基板搬送装置6におけるB架台33とC架台34と同様な構造で構成され、基板をy方向に移動してロード室4内部にと搬入する。すなわち、ローダ大気側挿入装置12は、ロード室4の独自の処理作業を行うことに並行して、持ち上げ機構18−1を用いて水平位置にある基板を傾斜位置に持ち上げて、基板を基板搬送機構18−2に受け渡しておいてある状態で、ゲート弁13が大気圧環境とロード室4の内部とを開放しているときに、基板搬送機構18−2により、傾斜位置にある基板を大気圧環境からロード室4の内部に搬入する。
アンロード室5は、内部を環境から密閉する容器であり、図1に示されているように、ゲート弁15とアンローダ大気側取出し装置16とゲート弁17とを備えている。ゲート弁15は、搬送室2とアンロード室5との間に介設され、搬送室2の内部とアンロード室5の内部とを閉鎖し、または、開放する。ゲート弁15は、インターロック制御が設けられている。そのインターロック制御は、アンロード室5が真空雰囲気になっているときにのみゲート弁15を開放するように制御し、搬送室2を経由してのアンロード室5のベントガスのコンタミを抑制している。ゲート弁17は、大気圧環境とアンロード室5との間に介設されている。ゲート弁17は、アンロード室5の内部が大気圧環境のときに開放し、アンロード室5の内部が真空雰囲気のときに閉鎖する。
アンローダ大気側取出し装置16は、図2に示されているように、基板搬送機構19−1と持ち下げ機構19−2とを備えている。基板搬送機構19−1は、アンロード室5の出口に専用に設置され、傾斜位置にある基板をy方向に移動する。基板搬送機構19−1は、後述する基板搬送装置6におけるB架台33とC架台34と同様な構造で構成され、基板をy方向に移動してアンロード室5内部から搬出する。持ち下げ機構19−2は、アンロード室5の出口に専用に設置され、傾斜位置にある基板を水平位置に下ろす。すなわち、アンローダ大気側取出し装置16は、ローダ大気側挿入装置12と逆の動作を行い、ゲート弁17が大気圧環境とアンロード室5の内部とを開放しているときに、基板搬送機構19−1により基板をアンロード室5の内部から大気圧環境に搬出し、ゲート弁17を閉じる。アンロード室5は独自の処理作業を行うことに並行して、アンローダ大気側取出し装置16は、持ち下げ機構19−2を用いて傾斜位置にある基板を水平位置に戻す。
搬送室2は、その内部に基板搬送装置6を備えている。基板搬送装置6は、x方向に平行に移動することができる。基板搬送装置6は、さらに、ゲート弁7−iが処理室3−iの内部と搬送室2の内部とを接続するゲートを開放しているときに、基板を処理室3−iから搬送室2に搬出し、基板を搬送室2から処理室3−iに搬入する。基板搬送装置6は、ゲート弁11がロード室4の内部と搬送室2の内部とを接続するゲートを開放しているときに、基板をロード室4から搬送室2に搬出する。基板搬送装置6は、さらに、ゲート弁15がアンロード室5の内部と搬送室2の内部とを接続するゲートを開放しているときに、基板を搬送室2からアンロード室5に搬入する。
工場内では、各機器のレイアウトの自由度を高め、各装置間の移載搬送を簡易化させるために、製品を直線上に移動させることが望まれている。真空処理装置は、ロード室4とアンロード室5とが搬送室2を隔てて対向している。基板は、ロード室4とアンロード室5とをその直線状に配置することにより、直線的に移動させることができ、好ましい。
真空処理装置1は、図2に示されているように、さらに、レール21−1〜21−6を備えている。レール21−1〜21−6は、それぞれ、水平方向に平行であり、かつ、x方向に垂直になるように真空処理装置1を支える地盤に配置され、すなわち、y方向に平行になるようにその地盤に配置されている。各レール21−iは、処理室3−iをy方向に移動可能に処理室3−iをその地盤に支持している。処理室3−iは、製膜処理するときに、基板を加熱したり、プラズマが発生したりすることにより処理室全体の温度が上がり易い。搬送室2は、昇温された基板を搬送することにより温度が上がる。このとき、処理室3−iと搬送室2とは、温度上昇速度も整定時温度も互いに異なる。真空処理装置1は、処理室3−iがy方向に移動可能に支持されることにより、搬送室2または処理室3−iが熱膨張するときに、処理室3−iが変形することを低減することができ、好ましい。
搬送室2は、複数の処理室部分22−1〜22−3とロード室部分24と蓋25とから形成され、複数の処理室部分22−1〜22−3とロード室部分24と蓋25とに分割可能である。処理室部分22−1は、処理室部分22−2、22−3と同様な取り合い構造に形成されている。処理室部分22−1は、搬送室2のうちの処理室3−1と処理室3−4とに接続されている部分である。処理室部分22−2は、搬送室2のうちの処理室3−2と処理室3−5とに接続されている部分である。処理室部分22−3は、搬送室2のうちの処理室3−3と処理室3−6とに接続されている部分である。ロード室部分24は、搬送室2のうちのロード室4とアンロード室5とに接続されている部分である。
蓋25は、矩形断面を持つ筒状の処理室部分22−1の一端を気密に閉鎖し、取外しが可能である。処理室部分22−1は、その他端が処理室部分22−2の一端に接続されている。処理室部分22−2は、その他端が処理室部分22−3の一端に接続されている。処理室部分22−3は、その他端がロード室部分24に接続されている。
真空処理装置1は、複数のユニット26−1〜26−3に分割することができる。すなわち、ユニット26−1は、処理室部分22−1と処理室3−1とレール21−1と処理室3−4とレール21−4とこれを支える地盤とから形成されている。ユニット26−2は、処理室部分22−2と処理室3−2とレール21−2と処理室3−5とレール21−5とこれを支える地盤とから形成されている。ユニット26−3は、処理室部分22−3と処理室3−3とレール21−3と処理室3−6とレール21−6とこれを支える地盤とから形成されている。すなわち、複数のユニット26−1〜26−3は、互いに取り合いとなる基準寸法と構造が等しく、置換可能である。たとえば、ユニット26−1は、ユニット26−2またはユニット26−3に置換することができる。このようなユニット26−1〜26−3は、同一の設計仕様のもとで共通部材が多くなり、量生産可能であり、より安価に生産することができる。
クラスター型の真空処理装置は、より多くの処理室を備えるときに中央搬送室の周辺長を長くして処理室との接続部を確保する必要があり、中央の搬送室の占有面積が極端に大きくなり、基板搬送に不要な無駄空間が増加して、装置全体の占有床面積を増加する必要がある。これに対して、このような真空処理装置1は、設置場所をx方向に延長し、ユニット26−1〜26−3の個数を増加することにより多くの処理室を備えることができる。このような真空処理装置1は、より多くの処理室を備えるときに、処理室がクラスター型に配置されるときより狭い場所に設置することができる。
基板搬送装置6は、図3に示されているように、スライドベース31とA架台32とB架台33とC架台34とから形成されている。基板搬送装置6は、ステンレス系材料が耐食性と部材強度を満足し、熱膨張率も多大でない点で好ましい。そのステンレス系材料としては、SUS304が例示される。なお、基板搬送装置6は、設計的考慮により他材質でも使用可能である。その他材質としては、アルミニウム合金や表面をメッキ処理した鉄系材料が例示される。A架台32、B架台33、C架台34は、y方向右側、左側のいずれの処理室3−iにも基板の搬入、搬出ができるように、各架台が互いにすり抜けが可能な支持構造である。搬送室2は、レール36−1〜36−2と中央レール39とを底面に備えている。レール36−1〜36−2と中央レール39とは、それぞれ、x方向に平行になるように、その底面に配置されていて、処理部分22−1、22−2、22−3で分割できるようになっている。
スライドベース31は、図4に示されているように、4つの棒状の部材が長方形状に組まれた枠から形成されている。その棒状の部材は、部材31−1と部材31−2と部材31−3と部材31−4とから形成されている。部材31−1と部材31−2とは、x方向に平行になるように配置されている。部材31−3と部材31−4とは、レール状に形成され、y方向に平行になるように配置されている。スライドベース31は、スライダ35−1〜35−2を備えている。スライダ35−1は、スライドベース31の部材31−3と部材31−4とに同体に接合され、レール36−1に沿ってx方向に移動することができる。スライダ35−2は、スライドベース31の部材31−3と部材31−4とに同体に接合され、レール36−2に沿ってx方向に移動することができる。すなわち、スライドベース31は、スライダ35−1〜35−2により、レール36−1〜36−2に沿ってx方向に平行に摺動可能に搬送室2の底面に支持されている。
搬送室2は、底面に、回転駆動モータ131と磁性流体シール付き軸受け132とピニオン133とを備えている。また、スライドベース31は、下部に、部材31−3と部材31−4とに同体に接合されたラック134が取付けてある。回転駆動モータ131は、搬送室2の外側に固定されて配置され、電力を回転動力に変換する。磁性流体シール付き軸受け132は、搬送室2の底面に配置され、搬送室2の内部を真空に保持しながら、回転駆動モータ131により生成される回転動力をピニオン133に伝達する。ピニオン133は、ラック134と噛み合い、回転することにより、ラック133をx方向に移動させる。すなわち、スライドベース31は、回転駆動モータ50によりピニオンが回転されることにより、x方向に移動可能である。回転駆動モータ131と磁性流体シール付き軸受け132とピニオン133とは、搬送室2に複数が設置され、x方向に平行な直線上にラック134の長さ毎に配置されている。
A架台32は、図5に示されているように、複数の棒状の部材が組まれて形成されている。その棒状の部材は、部材32−1〜32−12から形成されている。部材32−1〜32−4は、A架台32の下端に長方形状に形成され、水平方向に平行になるように配置されている。部材32−5〜32−8は、A架台32の上端に長方形状に形成され、水平方向に平行になるように配置されている。部材32−9〜32−10は、A架台32の上端の枠と下端の枠との間に配置され、鉛直方向に平行になるように配置されている。部材32−11〜32−12は、図6に示されているように、A架台32の上端の枠と下端の枠との間に配置され、鉛直方向に平行になるように配置されている。そのz方向は、y方向に垂直であり、z方向と鉛直方向とのなす角は、10度である。すなわち、A架台32の部材32−11〜32−12が形成する平面と鉛直方向とのなす角は、10度である。部材32−1、32−2の長さは、部材32−5、32−7の長さより長い。
なお、z方向と鉛直方向とのなす角は、10度と異なる角に置換することができ、たとえば、7度〜12度の範囲に含まれる角に置換することができる。この傾斜角度である10度は、基板を傾斜させて支持、搬送する角度と同一または近い角度である。特開2002−167035号公報にあることと同様に、基板自重を利用して基板の上部と下部を支持することで、基板を過剰に拘束することなく安定して搬送が可能である。尚、この角度は、7度未満では基板自重による安定性に乏しく、12度を超えると基板傾斜に伴うデッドスペース増加により装置設置面積が増加するので好ましくない。
A架台32は、図5に示されているように、スライダ37とスライダ38とを備えている。スライダ37は、A架台32の部材32−1〜32−4に同体に接合され、スライドベース31に沿ってy方向に移動することができる。すなわち、A架台32は、スライダ37により、y方向に平行に移動可能にスライドベース31に支持されている。スライダ38は、A架台32に固定され、中央レール39を挟む2個のローラから形成されている。スライダ38は、中央レール39に沿ってx方向に移動することができる。すなわち、A架台32は、スライダ38により、x方向に平行に移動可能に中央レール39に支持されている。
B架台33は、図7に示されているように、4つの棒状の部材が長方形状に組まれた枠から形成され、その枠が形成する平面がz方向とy方向とに平行になるように配置されている。その棒状の部材は、部材33−1〜33−4から形成されている。部材33−1〜33−2は、y方向に平行に配置されている。部材33−3〜33−4は、部材33−1〜33−2との間に配置され、z方向に平行に配置されている。
A架台32は、さらに、図6に示されているように、支持部材41−1〜41−2を備えている。支持部材41−1は、それぞれ、A架台32の部材32−11、32−12に同体に接合され、B架台33の部材33−1をy方向に移動することができるように支持している。
支持部材41−2は、図8に示されているように、それぞれ、A架台32の部材32−11と部材32−12とにz方向に移動することができるように支持され、B架台33の部材33−2をy方向に移動することができるように支持している。すなわち、B架台33は、支持部材41−1〜41−2により、y方向に平行に移動可能にA架台32に支持されている。さらに、支持部材41−2は、B架台33の機械的誤差を吸収することができ、加熱された基板から熱流束を受けて、支持部材温度が上昇した際にも、B架台33がz方向に熱膨張による変形を吸収することができる。すなわち、支持部材41−2は、B架台33が長方形と異なる形状に変形することを低減することができ、基板受渡し時に基準となる基板下部位置での位置変異を抑制し、A架台32、B架台33、C架台34の各動作時のスティックを発生することなく、安定した基板搬送が可能となる。
C架台34は、図3に示されているように、棒状の部材が長方形状に組まれた枠から形成され、その枠が形成する平面がz方向とy方向とに平行になるように配置されている。B架台33は、スライダ44と支持部材45とスライダ46−1、46−2とを備えている。スライダ44は、B架台33の部材33−1に沿ってy方向に移動することができる。支持部材45は、スライダ44に同体に接合され、C架台34の下端の枠の中央に同体に接合されている。スライダ46−1は、B架台33の部材33−2に沿ってy方向に移動することができ、C架台34の上端の枠に同体に接合されている。スライダ46−2は、B架台33の部材33−2に沿ってy方向に移動することができ、C架台34の上端の枠に同体に接合されている。すなわち、C架台34は、スライダ44と支持部材45とスライダ46−1、46−2とにより、y方向に平行に移動可能にB架台33に支持されている。さらに、C架台34の上端の枠のスライダ46−1が接合される位置とスライダ46−2が接合される位置とは、C架台34の下端の枠の中央に対して対称である。
図9は、スライダ44と支持部材45とスライダ46−1、46−2とを示している。スライダ46−1は、ばねを備えている。そのばねは、スライダ46−1がC架台34に接する接点がB架台33に対して、C架台34が形成する平面の法線平行に移動するように弾性変形する。スライダ46−2は、ばねを備えている。そのばねは、スライダ46−2がC架台34に接する接点がB架台33に対して、C架台34が形成する平面の法線平行に移動するように弾性変形する。このとき、C架台34は、スライダ44を通り、y方向に平行である回転軸72を中心に微小に回転することができる。さらに、支持部材45は、C架台34に接する接点を通り、z方向に平行である回転軸71を中心にC架台34が回転するように支持部材45を支持し、すなわち、C架台34をその接点でピン支持している。なお、支持部材45は、支持部材45がC架台34に接する接点を通り、z方向に平行である回転軸71を中心にC架台34が回転するように弾性変形する他の部材に置換することもできる。このとき、C架台34は、C架台34が形成する平面の法線の向きが所定の範囲だけ変化し、A架台32またはB架台33が温度分布に伴う熱変形などで少し変形したときであっても、所定の平面に沿わせることができ、好ましい。
図10は、中央レール39を示し、A架台32のy方向の駆動とそのガイド機構を示している。中央レール39は、移動レール51と固定レール52とから形成されている。移動レール51は、長さがスライダ38のx方向の幅より少し大きく、ゲート弁7−1〜7−6のx方向の位置に配置され、搬送室2の底面に対してy方向に移動可能に支持されている。固定レール52は、中央レール39の移動レール51を除く部分であり、搬送室2の底面に固定されている。
中央レール39は、さらに、ボールネジ53と駆動装置54とスライダ55とを備えている。ボールネジ53は、らせん状に形成された歯が表面に形成され、y方向に平行になるように搬送室2の底面に配置されている。ボールネジ53は、さらに、y方向と平行な軸を中心に回転可能に搬送室2の底面に支持されている。駆動装置54は、搬送室2の外側に設置され、供給される電力を回転運動に変換するモータであり、搬送室2の外側から例えば磁性流体シール付き軸受けにより真空を保持しながら回転を導入してボールネジ53を回転させる。スライダ55は、移動レール51に同体に接合され、ボールネジ53に形成される歯に噛み合っている。ボールネジ53とスライダ55とは、ボールネジ53の回転運動をスライダ55の平行移動に変換する機構を形成している。すなわち、移動レール51は、駆動装置54によりボールネジ53が回転することにより、y方向に平行に移動する。
搬送室2は、さらに、ガイド58とガイド59とを備えている。ガイド58とガイド59とは、移動レール51が移動する経路に沿って、y方向に平行になるように搬送室2の底面に配置されている。このとき、ガイド58とガイド59とは、移動レール51が固定レール52の延長線上に配置されているときに、スライダ38が中央レール39に沿ってx方向に移動することを妨げないように中央レール39の周辺を除く範囲に配置されている。ガイド58とガイド59とは、図11に示されているように、スライダ38をx方向に両側から挟むように配置されている。すなわち、基板搬送装置6のA架台32に取付けたスライダ38が固定レール52の延長線上に配置されていないときに、スライダ38がx方向に移動することを防止している。これにより、基板受渡し動作中の基板搬送機構6のx方向に対するメカニカルストッパー機能となり、信頼性が向上する。
図12は、A架台32に対してB架台33をy方向に駆動する機構を示している。A架台32は、回転部材63を備えている。回転部材63は、z方向に平行である回転軸62を中心に回転可能にA架台32に支持されている。回転部材63は、ピニオン64とピニオン65とが形成されている。B架台33は、下端の枠にラック61が形成されている。スライドベース31は、ラック67が形成されている。ラック67は、ピニオン65にかみ合っている。ラック61は、ピニオン64にかみ合っている。このため、回転部材63は、スライドベース31に対してA架台32がy方向に移動すると回転し、B架台33は、回転部材63が回転するとA架台32に対してy方向に移動する。
基板搬送装置6は、さらに、図3に示されているように、滑車47−1、47−2とベルト48−1、48−2とを備えている。滑車47−1は、回転軸がB架台33の左端の枠に固定されている。滑車47−2は、回転軸がB架台33の右端の枠に固定されている。ベルト48−1は、滑車47−1にかけられて、一端がA架台32に接合され、他端がC架台34に接合されている。ベルト48−2は、滑車47−2にかけられて、一端がA架台32に接合され、他端がC架台34に接合されている。C架台34は、B架台33がA架台32に対してy方向にある移動量だけ移動するときに、その移動量だけB架台33に対してy方向に移動する。すなわち、C架台34は、A架台32に対して、B架台33が移動する移動量の2倍の量だけ移動し、処理室3−iに対して、A架台32移動量の3倍の量を移動する。このような動作によれば、基板移動速度を向上でき、タクトタイムを短縮し処理能力が向上する。またスライドベース31のy方向移動量は、C架台34に比べてが少ないので基板搬送装置6の振動が少なく、ガラス基板に加わる衝撃を低減しガラス基板の破損を抑制でき、好ましい。また、C架台34の移動量がA架台32の移動量の3倍となるので、基板搬送装置6を小型化し搬送室2を小型化できるので、設置場所を低減でき、好ましい。
図13は、C架台34を示している。C架台34は、レバー81−1〜81−2と軸82−1〜82−2と可動爪83−1〜83−4と可動爪84−1〜84−4とを備えている。レバー81−1は、C架台34の上端の枠に支持されている。軸82−1は、C架台34の上端の枠の近傍にy方向に平行になるように配置され、回転可能にC架台の上端の枠に支持されている。可動爪83−1は、ガラス基板を挟む溝が形成され、C架台34の左上に配置されている。可動爪83−1は、z方向に平行に移動することができるようにC架台34の左端の枠に支持されている。可動爪84−1は、ガラス基板を挟む溝が形成され、C架台34の左上に配置されている。可動爪84−1は、y方向に平行に移動することができるようにC架台34の左端の枠に支持されている。可動爪83−2は、ガラス基板を挟む溝が形成され、C架台34の右上に配置されている。可動爪83−2は、z方向に平行に移動することができるようにC架台34の右端の枠に支持されている。可動爪84−2は、ガラス基板を挟む溝が形成され、C架台34の右上に配置されている。可動爪84−2は、y方向に平行に移動することができるようにC架台34の右端の枠に支持されている。ガラス基板は、その四隅が上下方向を可動爪83−1、83−2、83−3、83−4で、左右方向を可動爪84−1、84−2、84−3、84−4で支持されているため、ガラス基板の搬送中の揺れが少なく、ガラス基板に加わる衝撃を低減しガラス基板の破損を抑制でき、好ましい。
レバー81−2は、C架台34の下端の枠に支持されている。軸82−2は、C架台34の下端の枠の近傍にy方向に平行になるように配置され、回転可能にC架台の下端の枠に支持されている。可動爪83−3は、ガラス基板を挟む溝が形成され、C架台34の左下に配置されている。可動爪83−3は、z方向に平行に移動することができるようにC架台34の左端の枠に支持されている。可動爪84−3は、ガラス基板を挟む溝が形成され、C架台34の左下に配置されている。可動爪84−3は、y方向に平行に移動することができるようにC架台34の左端の枠に支持されている。可動爪83−4は、ガラス基板を挟む溝が形成され、C架台34の右下に配置されている。可動爪83−4は、z方向に平行に移動することができるようにC架台34の右端の枠に支持されている。可動爪84−4は、ガラス基板を挟む溝が形成され、C架台34の右下に配置されている。可動爪84−4は、y方向に平行に移動することができるようにC架台34の右端の枠に支持されている。
レバー81−2は、図14に示されているように、軸82−2に接続されている。このとき、軸82−2は、レバー81−2がC架台34の内側方向に押されて、回転する。軸82−2は、リンク機構86を介して可動爪83−4と可動爪84−4とに接続されている。リンク機構86は、ピニオン141、142とラック143、144、145とを備えている。ピニオン141は、軸82−2に同体に接合され、軸82−2とともに回転する。ラック143は、可動爪83−4に同体に接合され、ピニオン141に噛み合っている。ラック143は、ピニオン141が回転すると、z方向に平行移動して可動爪83−4をz方向に平行移動させる。ラック144は、ラック143に同体に接合され、ラック143とともに平行移動する。ピニオン142は、ラック144に噛み合い、ラック144が平行移動すると回転する。ラック145は、可動爪84−4に同体に接合され、ピニオン142に噛み合っている。ラック145は、ピニオン142が回転すると、z方向に平行移動して可動爪84−4をy方向に平行移動させる。
このとき、リンク機構86は、軸82−2の回転運動を可動爪83−4のz方向の平行移動に変換し、可動爪84−4のy方向の平行移動に変換する。すなわち、レバー81−2がC架台34の内側方向に押されると、軸82−2は、図中の矢印方向(C架台34の内側方向)に回転して、可動爪83−4は、ピニオン141の回転がz方向のラック143の直進動に変換されてz方向に平行にC架台34の外側(図14では下側方向)に移動し、可動爪84−4は、可動爪83−4の直進動をピニオン142を介してz方向と直角方向であるy方向のラック145の直進動に変換されてy方向に平行にC架台34の外側(図14では右側方向)に移動する。
レバー81−2は、さらに、図14に図示されていない反対方向に設けた可動爪83−3と84−3も移動させる。すなわち、軸82−2の内側方向の回転動作は、ピニオンとラックを組み合わせたリンク機構86を介して可動爪83−4と可動爪84−4と同様にして、可動爪83−3と可動爪84−3とに接続されている。すなわち、レバー81−2がC架台34の内側方向に押されると、可動爪83−3は、z方向に平行にC架台34の外側に移動し、可動爪84−3は、y方向に平行にC架台34の外側に移動する。
レバー81−1は、レバー81−2と同様にして、可動爪83−1、83−2と可動爪83−1、83−2とに接続されている。すなわち、レバー81−1がC架台34の内側方向に押されると、可動爪83−1は、z方向に平行にC架台34の外側に移動し、可動爪84−1は、y方向に平行にC架台34の外側に移動し、可動爪83−2は、z方向に平行にC架台34の外側に移動し、可動爪84−2は、y方向に平行にC架台34の外側に移動する。
リンク機構86は、さらに、戻り機構用ばね87−1〜87−4を備えている。戻り機構用ばね87−4は、図14に示されているように、一端がC架台34に同体に接合され、他端が可動爪83−4に同体に接合されている。戻り機構用ばね87−4は、可動爪83−4が閉じる方向へ移動するように、可動爪83−4に弾性力を与えている。戻り機構用ばね87−1は、戻り機構用ばね87−4と同様にして、可動爪83−1が閉じる方向へ移動するように可動爪83−1に弾性力を与えている。戻り機構用ばね87−2は、戻り機構用ばね87−4と同様にして、可動爪83−2が閉じる方向へ移動するように可動爪83−2に弾性力を与えている。戻り機構用ばね87−3は、戻り機構用ばね87−4と同様にして、可動爪83−3が閉じる方向へ移動するように可動爪83−3に弾性力を与えている。
レバー81−2は、C架台34の内側方向に押すことを中止すると、可動爪83−3、83−4に取付けた戻り機構用ばね87−3、87−4により、可動爪83−3、83−4は閉じる方向へ移動し、ガラス基板を保持する形態となる。レバー81−1は、C架台34の内側方向に押すことを中止すると、可動爪83−1、83−2に取付けた戻り機構用ばね87−1、87−2により、可動爪83−1、83−2は閉じる方向へ移動し、ガラス基板を保持する形態となる。
このとき、基板搬送装置6は、板状の部材を用いて形成されているときより、軽く、好ましい。さらに、基板搬送装置6は、板状の部材から形成されているときより、吸着するガスを低減することができ、好ましい。さらに、基板搬送装置6によれば、基板の上下左右の四隅部分を面接触して支持することより、基板周辺に近接する部材が最小限に限られて、基板表面から周囲への熱伝達率の差が少なく基板に温度のムラがつきにくく、基板変形や基板の破損、次の処理工程での基板温度分布均一化がはかられ、好ましい。
図15は、処理室3−iを示している。処理室3−iは、ケーシング101と基板テーブル102と電極103と防着板104とを備えている。ケーシング101は、内部に空洞を形成している。基板テーブル102と電極103と防着板104とは、ケーシング101の内部に配置されている。基板テーブル102は、長方形状の板状に形成されている。防着板104は、器状に形成され、凹んでいる面が基板テーブル102に対向している。電極103は、複数の棒状電極を組合せ、内部から材料ガスを噴出し可能としたラダー型電極である。基板テーブル102と防着板104との間に配置されている。電極103は、さらに、防着板104に電気的に絶縁され、ケーシング101に同体に接合されて固定されている。処理室3−iは、さらに、基板テーブル移動機構とクランプ機構と基板搬送装置操作機構を備えている。
その基板テーブル移動機構は、4つの棒105と連結具106と駆動装置107とを備えている。4つの棒105は、それぞれ、一端が基板テーブル102の四隅に同体に接合されている。4つの棒105は、さらに、それぞれ、ケーシング101に形成される穴108を貫通している。穴108は、図示されていないOリングを備えている。そのOリングは、棒105と穴108との隙間を介して外部空気が漏入することを防止し、ケーシング101内の真空を保持している。連結具106は、y方向に垂直であり、かつ、z方向に垂直である方向に平行移動可能にケーシング101に支持されている。4つの棒105は、それぞれ、基板テーブル102に接合されている端と反対側の他端が連結具106に同体に接合されている。駆動装置107は、エアーシリンダから形成され、y方向に垂直であり、かつ、z方向に垂直である方向に連結具106を平行移動する。
そのクランプ機構は、4つの棒111と4つの駆動装置112とを備えている。4つの棒111は、それぞれ、一端に支持爪114を備えている。4つの棒111は、さらに、それぞれ、ケーシング101に形成される穴113を貫通している。穴113は、図示されていないOリングを備えている。そのOリングは、棒111と穴113との隙間を介して外部空気が漏入することを防止し、ケーシング101内の真空を保持している。4つの棒111は、さらに、それぞれ、防着板104と干渉しないように防着板104のy方向の両横設置し、ケーシング101に形成される穴を貫通している。駆動装置112は、それぞれ、エアーシリンダから形成されている。駆動装置112は、それぞれ、y方向に垂直であり、かつ、z方向に垂直である方向に棒111を平行移動する。駆動装置107は、防着板104の移動距離が短いこと、防着板104移動の位置と速度とに高い精度を必要としないことから、エアーシリンダを適用して簡易化することが好ましい。
その基板搬送装置操作機構は、棒91−1、91−2と駆動装置92−1、92−2とを備えている。棒91−1は、ケーシング101の上部に形成される穴93−1を貫通している。穴93−1は、図示されていないOリングを備えている。そのOリングは、棒91−1と穴93−1との隙間を介して外部空気が漏入することを防止し、ケーシング101内の真空を保持している。駆動装置92−1は、それぞれ、z方向に平行である方向に棒91−1を平行移動する。棒91−2は、ケーシング101の下部に形成される穴93−2を貫通している。穴93−2は、図示されていないOリングを備えている。そのOリングは、棒91−2と穴93−2との隙間を介して外部空気が漏入することを防止し、ケーシング101内の真空を保持している。駆動装置92−2は、それぞれ、z方向に平行である方向に棒91−2を平行移動する。
基板テーブル102と支持爪114とは、基板搬送装置6のC架台34が処理室3−iの中に配置されると、互いに近づくように移動して、基板搬送装置6のC架台34を基板テーブル102と支持爪114との間に挟んで固定する。
図16は、A架台32がスライドベース31の右端に移動したときの基板搬送装置6を示している。基板搬送装置6は、スライダ38が移動レール51に配置されるときに、移動レール51がボールネジ53と駆動装置54によりy方向に移動することにより、A架台32がy方向に移動する。基板搬送装置6は、A架台32がy方向に移動することにより、B架台33がy方向に移動する。基板搬送装置6は、B架台33がy方向に移動することにより、C架台34がy方向に移動する。基板搬送装置6は、移動レール51が中央から最も離れたときに、C架台34が処理室3−iの中の所定の位置に配置される。また、A架台32、B架台33、C架台34は、各架台が互いにすり抜けが可能な支持構造であるため、図16に示した右側移動とは反対側の左側へも移動可能であり、同一の基板搬送装置6により搬送室2の左右両側に設置したいずれの処理室3−iへも基板の搬入、搬出ができる。このような動作によれば、基板搬送装置6の駆動機構が簡易となり、好ましい。
レバー81−1は、C架台34が処理室3−iの中の所定の位置に配置されたときに、棒91−1が移動することにより押されることができる位置に配置される。レバー81−2は、C架台34が処理室3−iの中の所定の位置に配置されたときに、棒91−2が移動することにより押されることができる位置に配置される。
図17は、基板テーブル102を示している。基板テーブル102は、窪み121と支持爪122とが防着板104に対向する面に鉛直方向より10度傾斜して形成されている。窪み121は、基板テーブル102により支持される基板120の四隅が配置される位置に4つ形成されている。支持爪122は、基板テーブル102により支持される基板120の下端の辺の窪み121に重なっていない部分の両端に配置され、その基板120の下端の辺に接するように形成されている。すなわち、基板120は、下端の縁が支持爪122により荷重を支持され、基板面は基板テーブル102に寄りかかることで、基板テーブル102の所定の位置に支持される。
可動爪83−4は、C架台34が基板テーブル102と支持爪114との間に挟まれて固定されるときに、図18に示されているように、窪み121の中に配置される。窪み121は、可動爪83−1、83−2と可動爪83−1、83−2とがガラス基板120を支持したり、解放したりするために移動することができるように、十分に深く大きい。
基板搬送装置6が基板120を搬送する動作は、セット動作とアンセット動作とから形成される。処理室3−iの基板傾斜方向は搬送室2を挟んで面対称の関係にあるので、右側設置の処理室と左側設置の処理室のいずれにも基板の搬入搬出が可能である。
そのセット動作は、基板搬送装置6が支持する基板120を搬送室2から処理室3−iに搬入する動作である。そのセット動作では、まず、C架台34に基板120が保持されている。基板搬送装置6は、x方向の位置が基板120を搬入する処理室3−iの位置に一致するまでx方向に平行移動する。この位置は、A架台32に取付けたスライダ38がガイド59に挟まれた位置であり、A架台がy方向に移動中にA架台32はx方向に移動しないので、x方向搬送機構をクランプして固定する必要がない。基板搬送装置6は、ゲート弁7−iが開放された後に、移動レール51が処理室3−iに向かってy方向に平行に移動することにより、A架台32とB架台33とC架台34とがy方向に平行に処理室3−iに向かって移動する。
処理室3−iは、C架台34が処理室3−iの中の所定の位置に配置された後に、基板テーブル102と支持爪114と互いに近づくように移動して、C架台34を基板テーブル102と支持爪114との間に挟んで固定する。処理室3−iは、次いで、棒91−1、91−2を用いてレバー81−1、81−2をC架台34の内側方向に押す。基板搬送装置6は、レバー81−1、81−2が押されると、可動爪83−1〜83−4と可動爪84−1〜84−4とをC架台34の外側に移動し、支持している基板120を解放する。基板120は、このようにしてC架台34から基板テーブル102へ受け渡される。
処理室3−iは、基板搬送装置6が基板120を解放した後に、基板テーブル102と支持爪114とが互いに離れるように移動して、C架台34を解放する。処理室3−iは、基板120が基板搬送装置6の可動爪83−1〜83−4と可動爪84−1〜84−4とから解放された後に、棒91−1、91−2をレバー81−1、81−2から離す。基板搬送装置6は、レバー81−1、81−2が棒91−1、91−2から離れた後に、移動レール51が搬送室2の中央に向かってy方向に平行に移動することにより、A架台32とB架台33とC架台34とが搬送室2の中央に移動する。処理室3−iは、C架台34が処理室3−iを出た後に、ゲート弁7−iを閉鎖する。
そのアンセット動作は、基板搬送装置6が処理室3−iに支持されている基板120を搬送室2に搬出する動作である。そのアンセット動作では、基板搬送装置6は、まず、x方向の位置がその処理室3−iの位置に一致するまでx方向に平行移動する。基板搬送装置6は、ゲート弁7−iが開放された後に、移動レール51が処理室3−iに向かってy方向に平行に移動することにより、A架台32とB架台33とC架台34とがy方向に平行に処理室3−iに向かって移動する。
処理室3−iは、C架台34が処理室3−iの中の所定の位置に配置された後に、棒91−1、91−2を用いてレバー81−1、81−2をC架台34の内側方向に押す。基板搬送装置6は、レバー81−1、81−2が押されることにより、可動爪83−1〜83−4と可動爪84−1〜84−4とをC架台34の外側に移動する。処理室3−iは、次いで、基板テーブル102と支持爪114と互いに近づくように移動して、C架台34を基板テーブル102と支持爪114との間に挟んで固定する。
処理室3−iは、C架台34が固定された後に、棒91−1、91−2をレバー81−1、81−2から離す。基板搬送装置6は、レバー81−1、81−2が棒91−1、91−2から離れることにより、可動爪83−1〜83−4に取付けた戻り機構用ばね87−1〜87−4により、可動爪83−1〜83−4と可動爪84−1〜84−4とがC架台34の内側に移動し、基板120を支持する。基板120は基板テーブル102からC架台34へ受け渡される。処理室3−iは、基板搬送装置6が基板120を支持した後に、基板テーブル102と支持爪114とが互いに離れるように移動して、C架台34を解放する。基板搬送装置6は、C架台34が解放された後に、移動レール51が搬送室2の中央に向かってy方向に平行に移動することにより、A架台32とB架台33とC架台34とが搬送室2の中央に移動する。処理室3−iは、C架台34が処理室3−iを出た後に、ゲート弁7−iを閉鎖する。このような動作によれば、基板搬送装置6は基板受渡しの駆動機構が簡単で確実になり、好ましい。
基板搬送装置6がロード室4に支持されている基板120を搬送室2に搬出する動作は、そのアンセット動作と同様にして実行され、基板搬送装置6が支持する基板120を搬送室2からアンロード室5に搬入する動作は、そのセット動作と同様にして実行される。
このような動作によれば、基板120の受渡しに際して、上側の可動爪83−1〜83−2と下側の可動爪83−3〜83−4の両方を開閉させるので、下側の可動爪83−3〜83−4だけを移動させてC架台34から基板テーブル102に基板120を受け渡すときと比較して、下側の可動爪83−3〜83−4の可動ストロークを少なくできる。すなわち基板120を受渡し時に行う基板120の上下動作が小さくなるので、基板120が基板テーブル102に接する面において基板テーブル102と擦れて発生するキズの長さが短く、キズの発生を低減することができる。
真空処理装置1は、隣接する2つプロセスを向かい合う2つの処理室に割り当てることが好ましい。たとえば、真空処理装置1は、あるプロセスを処理室3−1に割り当て、そのプロセスの直後に実行されるプロセスを処理室3−4に割り当てることができる。このとき、基板搬送装置6は、処理室3−1から基板6を搬出して処理室3−4に搬入するときに、x方向に移動する必要がなく、速く基板6を処理することができ、真空処理装置1の処理速度が向上する。
本発明による処理室増設方法の実施の形態は、真空処理装置1を用いて実行される。その処理室増設方法では、まず、増設ユニットが製造される。その増設ユニットは、ユニット26−1〜26−3と取り合いとなる基準位置と取り合い構造が等しく、ユニット26−1〜26−3と同様な取り合い形状に製造される。真空処理装置1は、搬送室2の内部が大気圧まで増圧され、蓋25が取り外される。次いで、真空処理装置1は、ユニット26−1の蓋25が設置されていた処理室部分にその増設ユニットが設置され、その増設ユニットの解放部分に蓋25が設置される。
クラスター型の真空処理装置は、処理室を増設するときに、中央の搬送室を予め増設される処理室の分だけ大きく設計する必要がある。真空処理装置1は、設置場所を確保するだけで、このような処理室増設方法により容易に処理室を増設することができる。このため真空処理装置1を設置した後から処理製膜層の増加などのプロセスの増加や、製膜処理能力の向上などに対して、ロード室4とアンロード室5を移動させることなく対応が可能となり、好ましい。
増設ユニットを蓋25とユニット26−1との間に増設することによれば、複数のユニット26−1〜26−3は、増設時に分解、移動、再組み立てをする必要がなく、より容易に処理室を増設することができる。なお、増設ユニットは、蓋25とユニット26−1との間以外の場所に増設することもできる。たとえば、増設ユニットは、ユニット26−1とユニット26−2との間に、ユニット26−2とユニット26−3との間に、または、ユニット26−3とロードロック部分24との間に増設することができる。