JP4189721B2 - 回転角検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多回転軸の絶対回転角を検出する回転角検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
通例、回転角検出センサの測定範囲は1回転(360°)以内である。このような回転角検出センサを用いて、多回転型の回転軸の絶対回転角を検出する回転角検出装置が提供されている(例えば、特開平10−30909号公報、および特許第2974717号公報参照)。
前者の特開平10−30909号公報の回転角検出装置では、単一の回転角検出センサを用いて、多回転型の回転軸の絶対回転角を検出する。そのために、回転軸の多回転(例えば4回転)を、回転角検出センサの測定範囲内(1回転以内)に減速し、減速により縮小された回転を回転角検出センサで検出することになる。このため、分解能が低下し検出精度が悪くなる。
【0003】
後者の特許第2974717号公報の回転角検出装置では、第1の回転角検出センサによって回転軸の1回転毎に反復される微細信号を出力し、第2の回転角検出センサによって回転軸の回転の全範囲にわたって検出される粗信号を出力し、これら微細信号および粗信号に基づいて回転軸の絶対回転角を検出する。
この回転角検出装置では、回転軸の同軸上に環状の検出部材が設けられ、この環状の検出部材に渦巻き状の案内軌道が設けられる。第2の回転角検出センサは、直線摺動ポテンショメータからなり、上記の渦巻き状の案内軌道をリニアトラッキングして粗信号を出力する。
【0004】
しかしながら、この回転角検出装置では、回転軸(すなわち検出部材)の回転角に対して、第2の回転角検出センサの出力が比例せず、リニアな検出特性が得られないという問題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、検出精度の高い多回転型の回転角検出装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、回転可能な被測定軸の同軸上に配置される第1の歯車と、この第1の歯車に噛み合う第2の歯車と、上記第2の歯車の端面に設けられる渦巻き状の案内軌道と、第1および第2の端部を有し、第1の端部が所定の支点の回りに揺動自在に支持されると共に、第2の端部が上記渦巻き状の案内軌道により案内される揺動アームと、この揺動アームの第1の端部を回動可能に支持した回転体と、この回転体の回転角を検出するための第1の回転角検出手段と、第2の歯車の回転角を検出するための第2の回転角検出手段と、第1および第2の回転角検出手段によって検出された回転角に基づいて上記被測定軸の絶対回転角を演算する演算手段とを備え、上記所定の支点は、上記回転体に対向する位置であって且つ上記回転体の回転軸線から所定のオフセット量だけオフセットされた位置に配置され、上記回転体の上記回転軸線の回りに回動可能な可動支点からなり、センサハウジングに固定され、上記第2の歯車の端面に対向する案内部材を備え、この案内部材は、上記揺動アームの第2の端部を案内するための曲線状の案内軌道を有することを特徴とする回転角検出装置を提供する。
【0006】
本発明では、被測定軸が多回転すると、第2の回転角検出手段が、高精度ではあるが被測定軸の回転角に応じて周期的に反復する検出信号を出力する。この第2の回転角検出手段の検出信号がどの周期内での検出信号であるかを、第1の回転角検出手段により揺動アームの回転角に基づいて検出し、被測定軸の絶対回転角を精度良く検出することができる。
仮に、被測定軸の周囲に被測定軸と同軸上に配置される環状の部材に螺旋状の案内軌道を設けるとすると、揺動アームの回転角範囲が狭くなるので、揺動アームの回転角の検出精度が悪くなるが、本発明では、被測定軸と同軸上の第1の歯車に、第2の歯車を噛み合わせ、この第2の歯車の端面に螺旋状の案内軌道を設けるので、揺動アームの回転角範囲を広くでき、揺動アームの回転角の検出精度を高くすることができる。
【0007】
また、上記所定の支点が上記第2の歯車の端面に対向する位置に配置されるので、下記の利点がある。すなわち、揺動アームのスパンを短くできるので、被測定軸の回転角に対する揺動アームの回転角を大きくできる結果、第1の回転角検出手段の検出精度を高くすることができる。
また、上記所定の支点は所定の中心軸線の回りに回動可能な可動支点からなるので、被測定軸の回転角に対して揺動アームの回転角が概ね線形に変化する結果、演算手段による演算処理が簡単となる。
【0008】
また、当該回転角検出装置のハウジングに固定され、上記第2の歯車の端面に対向する案内部材を備え、この案内部材は、上記揺動アームの第2の端部を案内するための曲線状の案内軌道を有する。したがって、リニアな検出特性を得ることで、検出精度をより向上することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1および図2は本発明の一参考形態の回転角検出装置の模式的平面図および概略断面図である。図1を参照して、本回転角検出装置1は、回転可能な被測定軸2の周囲に同軸上に配置され被測定軸2と一体回転する第1の歯車3と、この第1の歯車3に噛み合う第2の歯車4とを備える。第1および第2の歯車3,4は平歯車からなる。第1および第2の歯車3,4は、例えば、同径でギヤ比が1:1に設定される。
【0010】
本参考形態では、回転角検出装置1を電動パワーステアリング装置に適用してステアリングホイール等の操舵部材(図示せず)の回転角を検出する場合に則して説明する。この場合、被測定軸2は操舵部材に一体回転する軸により構成される。ただし、本発明は一般的な多回転軸の絶対角検出に適用することが可能である。
図1および図2を参照して、第2の歯車4は第1の端面4aおよび第2の端面4bを有し、第1の端面4aには、第2の歯車4の回転軸線4cを中心とする渦巻き状の案内軌道5が形成されている。渦巻き状の案内軌道5は溝からなっていても良いし、突条からなっていても良い。
【0011】
案内軌道5は揺動アーム6の揺動を案内する。この揺動アーム6は、第1および第2の端部6a,6bを有しており、第1の端部6aは、所定の支点としての所定の軸線7の回りに揺動自在に支持される。第2の端部6bに設けられたトレーサ6cは、上記渦巻き状の案内軌道5に係合しており、揺動アーム6の揺動時に案内軌道5によって案内される。
図2に示すように、渦巻き状の案内軌道5が、例えば断面半円状である場合には、第2の端部6bのトレーサ6cは球状体であっても良い。この球状体が案内軌道5としての例えば溝を転動できるように、第2の端部6bに支持するようにしても良い。
【0012】
上記の所定の軸線7は支点形成手段としての支軸8の中心軸線からなる。この支軸8は、例えばステアリングコラムに固定されるセンサハウジング等の固定部材9によって、上記所定の軸線7の回りに回動自在に支持されている。また、支軸8の同軸上には、例えば円板からなり支軸8と一体回転する回転体10が設けられ、揺動アーム6,支軸8および回転体10が一体に回転する。
この回転体10の同軸上には、揺動アーム6の回転角(揺動角)を検出するための第1の回転角検出センサ11が設けられる。第1の回転角検出センサ11は可動部11aと固定部11bとを有する。可動部11aは、回転体10の支軸8が設けられる第1の端面10aの反対側の面である第2の端面10b面に固定され、回転体10と一体回転する。固定部11bは例えば基板等の固定部材(図示せず)に固定される。
【0013】
一方、第2の歯車4の回転軸線4cの同軸上には、第2の歯車4の回転角を検出するための第2の回転角検出センサ12が設けられる。第2の回転角検出センサ12は可動部12aと固定部12bとを有する。可動部12aは、第2の歯車4の案内軌道5が設けられる第1の端面4aの反対側の面である第2の端面4bに固定され、第2の歯車4と一体回転する。固定部12bは例えば基板等の固定部材(図示せず)に固定される。
【0014】
第1の回転角検出センサ11および第2の回転角検出センサ12からの検出信号は演算手段としての絶対角演算部13に入力され、絶対角演算部13では、第1および第2の回転角検センサ11,12によって検出された揺動アーム6および第2の歯車4の回転角に基づいて上記被測定軸2の絶対回転角を演算する。
次いで、図3は被測定軸2の回転角と各回転角検出センサ11,12の出力波形との関係を示すグラフ図である。被測定軸2としての、例えばステアリングシャフトを4回転させると、図3に示すように、第2の歯車4の回転角を検出する第2の回転角検出センサ12の出力S2(図3において、実線で示す)は、例えば180deg周期の鋸歯状の波形となる。第2の回転角検出センサ12の出力S2は検出精度は高いものの180deg周期で8回反復されるため、どの周期のものかが判らない。
【0015】
一方、揺動アーム6の回転角を検出する第1の回転角検出センサ11の出力S1は、例えば1440degまで概ねリニアに上昇する波形となる。第1の回転角検出センサ11の出力S1のレベルに基づいて、第2の回転角検出センサ11の出力値がどの周期での値であるかを判別することができる。したがって、被測定軸2の絶対回転角を精度良く検出することができる。
また、被測定軸2と同軸上の第1の歯車3に、第2の歯車4を噛み合わせ、この第2の歯車4の端面4aに螺旋状の案内軌道5を設けるようにしているので、揺動アーム6の回転角範囲を広くでき、揺動アーム6の回転角の検出精度を高くすることができるという利点もある。
【0016】
次いで、図4および図5は本発明の別の参考形態を示している。図4および図5を参照して、本参考形態の回転角検出装置1Aが図1および図2の参考形態の回転角検出装置1と主に異なるのは、揺動アーム6の揺動に関する所定の支点としての所定の軸線7を、第2の歯車4の端面4aに対向する位置にレイアウトした点にある。
具体的には、ステアリングコラムに固定されるセンサハウジング等の固定部材9に固定されて第2の歯車4の端面4aに平行に延びる延設アーム14を設け、この延設アーム14の先端に支軸8を介して揺動アーム6を支持する。
【0017】
本参考形態では、揺動アーム6の回転角を検出するための第1の回転角検出センサ15は、第2の回転角検出センサ12とは反対側に配置される。第1の回転角検出センサ15は、支軸8と一体回転する可動部15aと、基板等の固定部材に固定される固定部15bとを備える。本参考形態において、図2の参考形態と同様の構成には、図に同一符号を付して、その説明を省略する。
本参考形態によれば、図4に示すように揺動アーム6のスパンを短くできるので、被測定軸2の回転角に対する揺動アーム6の回転角を大きくできる結果、第1の回転角検出センサ15の検出精度を高くすることができる。
【0018】
次いで、図6および図7は本発明の実施の形態を示している。図6および図7を参照して、本実施の形態が図1および図2の参考形態と主に異なるのは、図1および図2の参考形態では揺動アーム6の揺動の支点となる所定の軸線7を回転体10の回転軸線と一致させたが、本実施の形態では、揺動アーム6の揺動の支点となる所定の軸線7aが、回転体10の回転軸線16から所定のオフセット量Dにてオフセットされている。このため、支点としての所定の軸線7aは、回転軸線16を中心とする円弧状の軌跡17に沿って移動する可動支点となる。
【0019】
回転体10の第1の端面10aに固定された受け部18によって、揺動アーム6の第1の端部6aの支軸8が回動自在に支持される。また、揺動アーム6の第2の端部6bには、所定の軸線7aと平行に延びる延設軸6dが延設されており、この延設軸6dの先端にトレーサ6cが設けられている。
上記の延設軸6dは、第2の歯車4の第1の端面4aに平行な案内部材19に形成される案内軌道としての案内溝20を挿通している。案内部材19は、ステアリングコラムに固定されるセンサハウジング等の固定部材に固定されている。図8を参照して、案内溝20は曲線状をなし、延設軸6dを介して揺動アーム6の第2の端部6bの変位を案内する。
【0020】
本実施の形態によれば、案内溝20の形状設定により、被測定軸2の回転に対して第1の回転角検出センサ11のリニアな検出特性を得ることが可能となり、その結果、検出精度をより向上することができる。また、リニアな検出特性が得られるので、検出信号の処理も簡単となる。
次いで、図9は略図として示した図6〜図8の実施の形態の回転角検出装置1Bを実際にパッケージする場合の一例を示す概略断面図であり、図10は図9の実施の形態において用いられる位置決め部材の平面図である。
【0021】
図9を参照して、第2の歯車4の第1の端面4aには、第2の歯車4の回転軸線4cに沿って突出する支軸21が一体回転可能に設けられている。一方、第2の歯車4の第2の端面4bには、回転軸線4cを中心とする環状突起22が形成されている。
また、回転体10の第1の端面10aには、回転体10の回転軸線16に沿って突出する支軸23が一体回転可能に設けられている。一方、回転体10の第2の端面10bには、回転軸線16を中心とする環状突起24が形成されている。
【0022】
第1のケース25と第2のケース26との間に基板27および位置決め部材28を挟持する状態で、第1および第2のケース25,26が、例えば4箇所にてねじ40を用いて互いに締結される。ねじ40は第1のケース25、位置決め部材28および基板27を順次に貫通して、第2のケース26のねじ孔41にねじ込まれる。上記の基板27は、各回転角検出手段11,12の固定部11b,12bを実装している。42は基板27に実装される回路素子群である。
【0023】
第2の歯車4の支軸21および回転体10の支軸23は第1のケース25に形成される支持孔29,30にそれぞれ嵌め合わされて回動自在に支持されている。一方、第2の歯車4および回転体10の環状突起22,24は、位置決め部材28に形成される例えば円筒からなる位置決め部31,32にそれぞれ回動自在に嵌め合わされている。この嵌め合いはルーズであっても良い。
また、位置決め部31の端面によって第2の歯車4の第2の端面4bを受けることで、第2の歯車4が軸方向に受けられており、また、位置決め部32の端面によって回転体10の第2の端面10bを受けることで、回転体10が軸方向に受けられている。位置決め部31,32はそれぞれ第2の歯車4および回転体10のスラスト軸受として機能している。
【0024】
図9および図10を参照して、位置決め部材28は例えば合成樹脂の一体成形品からなる。位置決め部材28は上記の位置決め部31,32を互いに連結する連結部33と、位置決め部31から放射状に延びる一対の支持アーム34,35と、位置決め部32から放射状に延びる一対の支持アーム36,37とを備える。各支持アーム34〜37の先端部には、第1および第2のケース25,26の固定用のねじ40を挿通させるねじ挿通孔38を有するボス39がそれぞれ形成されている。すなわち、位置決め部材28は、基板27と共に第1および第2のケース25,26に共締めにて固定される。
【0025】
本実施の形態によれば、揺動アーム6を介して関連付けられる第2の歯車4および回転体10がそれぞれ両持ちで支持されることにより、第2の歯車4および回転体10の傾きを抑えることができ、その結果、検出精度のばらつきの発生を防止することができる。
特に、第2の歯車4および回転体10の支軸21,23が単一の部材である第1のケース25のみを介して互いに位置決めされるので、支軸21と支軸23との位置決め精度が高い。
【0026】
同様に、第2の歯車4および回転体10の環状突起22,24が単一の部材である位置決め部材28のみを介して互いに位置決めされるので、環状突起22と環状突起24との位置決め精度が高い。
また、位置決め部材28を合成樹脂の一体成形品とすることで、安価に製造することができる。
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲で種々の変更を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一参考形態の回転角検出装置の概略構成を示す模式的平面図である。
【図2】図1の回転角検出装置の一部破断概略側面図である。
【図3】 図1の参考形態において、被測定軸の回転角と各回転角検出センサの出力との関係を示すグラフ図である。
【図4】 本発明の別の参考形態の回転角検出装置の概略構成を示す模式的平面図である。
【図5】図4の回転角検出装置の一部破断概略側面図である。
【図6】 本発明の実施の形態の回転角検出装置の概略構成を示す模式的平面図である。
【図7】図6の回転角検出装置の一部破断概略側面図である。
【図8】図6の実施の形態において、延設軸が挿通された案内部材の平面図である。
【図9】図6〜図8の実施の形態の回転角検出装置を実際にパッケージする場合の一例を示す、回転角検出装置の概略断面図である。
【図10】図9の実施の形態において用いられる位置決め部材の平面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B 回転角検出装置
2 被測定軸
3 第1の歯車
4 第2の歯車
4a 第1の端面
4b 第2の端面
4c 回転軸線
5 渦巻き状の案内軌道
6 揺動アーム
6a 第1の端部
6b 第2の端部
6c トレーサ
7 所定の軸線(所定の支点)
7a 所定の軸線(可動支点)
8 支軸
9 固定部材
10 回転体
11 第1の回転角検出センサ
12 第2の回転角検出センサ
13 絶対角演算部(演算手段)
14 延設アーム
15 第1の回転角検出センサ
16 回転軸線
17 軌跡
18 受け部
19 案内部材
20 案内溝(曲線状の案内軌道)
28 位置決め部材
31,32 位置決め部
Claims (1)
- 回転可能な被測定軸の同軸上に配置される第1の歯車と、
この第1の歯車に噛み合う第2の歯車と、
上記第2の歯車の端面に設けられる渦巻き状の案内軌道と、
第1および第2の端部を有し、第1の端部が所定の支点の回りに揺動自在に支持されると共に、第2の端部が上記渦巻き状の案内軌道により案内される揺動アームと、
この揺動アームの第1の端部を回動可能に支持した回転体と、
この回転体の回転角を検出するための第1の回転角検出手段と、
第2の歯車の回転角を検出するための第2の回転角検出手段と、
第1および第2の回転角検出手段によって検出された回転角に基づいて上記被測定軸の絶対回転角を演算する演算手段とを備え、
上記所定の支点は、上記回転体に対向する位置であって且つ上記回転体の回転軸線から所定のオフセット量だけオフセットされた位置に配置され、上記回転体の上記回転軸線の回りに回動可能な可動支点からなり、
センサハウジングに固定され、上記第2の歯車の端面に対向する案内部材を備え、
この案内部材は、上記揺動アームの第2の端部を案内するための曲線状の案内軌道を有することを特徴とする回転角検出装置。
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