JP4189337B2 - 排ガス浄化システム - Google Patents

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本発明は、酸素過剰雰囲気での排ガス浄化システムに関し、特に、ディーゼルエンジンの排ガスを浄化する排ガス浄化システムに関する。
従来、ディーゼルエンジンの排気ガスのように酸素濃度が高い条件下でも窒素酸化物(以下、NOXという)を浄化するシステムとして、NOX吸着触媒を使用した排ガス浄化システムや尿素還元型NOX触媒(UREA−SCR:Urea−Selective Catalytic Reduction)を使用した排ガス浄化システムが知られている。しかしながら、NOX吸着触媒を使用した排ガス浄化システムは、エンジンの空燃比を、リーンからリッチへ、そしてさらにストイキへと変化させる必要があるため、多大な燃費のロスを生じるという問題がある。また、尿素還元型NOX触媒を使用した排ガス浄化システムは、尿素のインフラストラクチャの整備が必須となる点で問題が残る。
そこで、これらの問題を解決するために、NOX吸着触媒や尿素還元型NOX触媒に代えてNOX選択還元触媒、具体的には、白金系触媒(例えば、特許文献1)、イリジウム系触媒(例えば、特許文献2)及び銀系触媒(例えば、特許文献3)を使用したシステムが提案されている。しかしながら、白金系触媒を使用した排ガス浄化システムでは、排ガスに例えば炭化水素(以下、HCという)といった還元剤を添加しないとNOX浄化率が低くなるとともに、還元剤の添加量を高めていくと、HCの酸化熱によってNOX選択還元触媒の温度が、NOXの浄化温度域を外れてしまうため、NOX浄化率の高いシステムを構築することができない。
また、イリジウム系触媒を使用した排ガス浄化システムでは、この触媒のNOXの浄化温度が高く、しかもこの触媒のパラフィンに対する選択性が十分とはいえない。したがって、この排ガス浄化システムは、排ガス温度が低く、排ガス中のパラフィン濃度が高いディーゼルエンジンに適用しても、排ガス中のNOXを十分に浄化することができない。
また、銀系触媒を使用した排ガス浄化システムでは、この触媒のNOXの浄化温度が高いため、排ガス温度が低いディーゼルエンジンにこの排ガス浄化システムを適用したとしても、排ガス中のNOXを十分に浄化することができない。
そこで、これら排ガス浄化システムに代る、排ガス中のNOXを十分に浄化することができるシステムが望まれていた。従来、NOX浄化率を高める試みとして、プラズマリアクタとNOX選択還元触媒とを組み合わせて使用した排ガス浄化システムが知られている(例えば、特許文献4)。しかしながら、この排ガス浄化システムでは、排ガスがプラズマリアクタで改質されてNOX選択還元触媒でのNOX浄化率は高まるものの、NOXの浄化温度が高くなるといった問題は依然として解消されていない。また、排ガス中の未燃HCが少ないディーゼルエンジンにこの排ガス浄化システムを適用する際には、排ガスの改質に必要なHCといった還元剤を排ガスに添加しなければならないが、この排ガス浄化システムでは、所定のNOX浄化率を維持するために、HCを継続して添加し続けなければならない。したがって、この排ガス浄化システムでは、HCの供給源となる燃料のロスを生じるという問題がある。
その一方で、プラズマリアクタとNOX吸着触媒とNOX選択還元触媒とを組み合わせて使用した排ガス浄化システム(例えば、特許文献5)が知られている。
この排ガス浄化システムは、エンジンの起動後、NOX選択還元触媒の温度がNOXの浄化温度(以下、単に浄化温度という)に達するまでは、プラズマリアクタが排ガス中のNO2の以外のNOXをNO2に変換するとともに、NOX吸着触媒がこのNO2を吸着するように構成されている。そして、NOX選択還元触媒の温度が浄化温度に達した後には、プラズマリアクタがオフにされるとともに、続けて送り込まれる排ガス中のNOXやNOX吸着触媒から脱離したNO2がNOX選択還元触媒で浄化されるようになっている。したがって、この排ガス浄化システムによれば、エンジンの起動後、NOX選択還元触媒が浄化温度に達するまでの間にNOXが、大気中に放出されることは避けられる。
特許第2909553号公報(第3頁5欄14行〜6欄25行) 特開平6−31173号公報(第4頁5欄4行〜6欄20行) 特開平5−92125号公報(第4頁6欄35行〜第5頁8欄22行) 特開平6−99031号公報(第3頁左欄19行〜第5頁右欄25行及び図1) 特開2001−182525号公報(第3頁左欄34行〜第5頁右欄48行、図2)
しかしながら、この排ガス浄化システムでは、ディーゼルエンジンの排ガス温度内でNOXを浄化することができるNOX選択還元触媒が必要となり、ディーゼルエンジンの排ガス温度が比較的に低いことを考慮すると、高いNOX浄化性能を期待することができないという問題がある。その結果、この排ガス浄化システムでは効率よくNOXを浄化することができない。
そこで、本発明は、排ガス中のNOXを効率よく浄化することができる排ガス浄化システムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明の排ガス浄化システムは、 排ガスが流通する上流側から下流側に向かって、プラズマリアクタと、前記排ガス中のNOに作用する触媒が装填された触媒ユニットとをこの順番に備えるとともに、前記プラズマリアクタの上流側に還元剤を供給する還元剤供給装置を備える排ガス浄化システムであって、前記触媒は、NO吸着触媒層と、多孔質担体に銀を担持させたNO選択還元触媒層とを有し、前記NO 選択還元触媒層は、前記触媒の表面に配置され、前記NO 吸着触媒層は前記NO 選択還元触媒層の内側に接触して配置されており、前記プラズマリアクタは、エンジンの起動によってオンとなり、前記還元剤供給装置は、前記NO 選択還元触媒層がNO の浄化温度に達していないときには前記還元剤を供給せずに、前記NO 選択還元触媒層がNO の浄化温度に達しているときには前記還元剤を供給するとともに、前記触媒ユニットの下流側には、NO 選択還元触媒が装填されたNO 選択還元触媒ユニットがさらに配置されたことを特徴とする。
この排ガス浄化システムでは、NOXを含む排ガスがプラズマリアクタを通過すると、NO2以外のNOXはNO2に変換される。その一方で、このNO2は、エンジンの起動後、NO2選択還元触媒層が、まだNO2の浄化温度に達していない場合には、触媒ユニットでNO2吸着触媒層に吸着される。したがって、この排ガス浄化システムによれば、NO2選択還元触媒層が、まだ浄化温度に達していない場合でもNO2の放出量を低減することができる。
また、この排ガス浄化システムでは、NO2選択還元触媒層が、まだ浄化温度に達していない場合には、変換したNO2を吸着させることによって、NO2の放出を防止することができるので、NOXの浄化に必要な還元剤の供給を停止することができる。したがって、この排ガス浄化システムによれば、還元剤の使用量を低減することができる。
そして、この排ガス浄化システムでは、導入される排ガスの熱でNO2選択還元触媒層の温度が浄化温度まで高められたときに、還元剤供給装置から還元剤を供給すると、還元剤がプラズマリアクタで励起されるとともに、触媒ユニットに到達して前記NO2選択還元触媒層に取り込まれる。その一方で、NO2吸着触媒層に吸着されたNO2は、NO2選択還元触媒層との接触面を介してNO2選択還元触媒層側のこの接触面近傍に熱拡散する。そして、このNO2は、NO2選択還元触媒層で還元剤と反応することによって分解し、浄化される。
このとき、NO2選択還元触媒層ではNO2の分解によってNO2が消費されるため、NO2吸着触媒層とNO2選択還元触媒層との間には、NO2の濃度勾配が形成される。したがって、NO2吸着触媒層に吸着されたNO2は、効率よくNO2選択還元触媒層に移行して分解される。その結果、この排ガス浄化システムによれば、排ガス中のNOXを効率よく浄化する。
この排ガス浄化システムでは、前記NO2選択還元触媒層が表側に位置しているので、この排ガス浄化システムに導入された排ガスに効率よく晒される。したがって、この排ガス浄化システムによれば、NO2選択還元触媒層の温度が浄化温度まで高められたときに、排ガス中のNO2は効率よく分解される。
請求項に記載の排ガス浄化システムは、前記NO吸着触媒層は、多孔質担体にアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属の少なくとも1種を担持させたものであることを特徴とする。
この排ガス浄化システムによれば、NO2吸着触媒層が、多孔質担体で構成されているので、NO2吸着触媒層へのNO2の吸着、NO2吸着触媒層からNO2選択還元触媒層へのNO2の移行及びNO2の分解物のNO2選択還元触媒層からの放散が良好に行われるので、NO2の浄化率がより高められる。
請求項に記載の排ガス浄化システムは、請求項又は請求項に記載の排ガス浄化システムにおいて、前記NO吸着触媒層は、複数の細孔を有する支持体の当該細孔の内壁面に積層されて、前記細孔の単位容積あたりの前記NO吸着触媒層の質量が50g/L以上、100g/L以下であるとともに、前記NO選択還元触媒層は、前記NO吸着触媒層上に積層されて、前記細孔の単位容積あたりの前記NO選択還元触媒層の質量が100g/L以上、250g/L以下であることを特徴とする。
この排ガス浄化システムによれば、細孔の単位容積あたりのNO2吸着触媒層の質量を50g/L〜100g/Lに設定することによって、NO2吸着触媒層におけるNO2の吸着率がより高められる。また細孔の単位容積あたりのNO2選択還元触媒層の質量を100g/L〜250g/Lに設定することによって、NO2選択還元触媒層におけるNO2の浄化率がより高められる。
請求項に記載の排ガス浄化システムは、請求項又は請求項に記載の排ガス浄化システムにおいて、前記NO選択還元触媒層の銀の担持量は、当該NO選択還元触媒層の質量に対して1.5質量%以上、5質量%以下であることを特徴とする。
この排ガス浄化システムによれば、NO2選択還元触媒層の銀の担持量を、当該NO2選択還元触媒層の質量に対して1.5質量%〜5質量%に設定することによって、NO2選択還元触媒層におけるNO2の浄化率がより高められる。
この排ガス浄化システムによれば、NO2選択還元触媒層で分解されなかったNO2やプラズマリアクタでNO2に変換されなかったNOXが、NOX選択還元触媒で分解されるので、NOXの浄化率がさらに高められる。
請求項に記載の排ガス浄化システムは、請求項に記載の排ガス浄化システムにおいて、前記NO選択還元触媒は、多孔質担体に銀を担持させたものであり、前記NO選択還元触媒の銀の担持量は、1.5質量%以上、5質量%以下であることを特徴とする。
この排ガス浄化システムによれば、NOX選択還元触媒の銀の担持量を1.5質量%〜5質量%に設定することによって、NOX選択還元触媒におけるNOXの浄化率がさらに高められる。
本発明の排ガス浄化システムによれば、排ガス中のNOXを効率よく浄化することができる。
以下、本発明に係る排ガス浄化システムの一実施の形態について、適宜図面を参照して詳細に説明する。
参照する図面において、図1は、本発明の実施の形態に係る排ガス浄化システムのブロック図、図2は、図1の排ガス浄化システムに使用されるNO2吸着還元触媒ユニットに装填される触媒部材を示す部分断面図、図3は、NO2選択還元触媒層中の銀の含有量とNOX浄化率との関係を示すグラフ、図4は、図1の排ガス浄化システムに使用されるNOX選択還元触媒ユニットに装填される触媒部材を示す部分断面図である。
図1に示すように、排ガス浄化システム11は、排ガスを流通させる配管12の上流側から下流側に向かって、プラズマリアクタ13と、NO2吸着還元触媒ユニット14と、NOX選択還元触媒ユニット15とをこの順番に備えている。また、この排ガス浄化システム11は、前記プラズマリアクタ13の上流側に配置される配管12内に還元剤を供給する還元剤添加手段10と、この還元剤添加手段10及び前記NO2吸着還元触媒ユニット14と電気的に接続される還元剤供給制御装置9とを備えている。なお、NO2吸着還元触媒ユニット14は、特許請求の範囲にいう「触媒ユニット」に相当する。
(プラズマリアクタ)
プラズマリアクタ13は、酸素過剰雰囲気下で燃料を燃焼させて発生した排ガス排ガス中に含まれるNO2以外のNOxをプラズマでNO2に変換するものである。また、プラズマリアクタ13は、プラズマによって還元剤を励起してラジカルなどの活性種を生成するとともに、その酸化能を利用してPM(Particulate Matter)を酸化することも可能である。このプラズマリアクタ13としては、本発明の目的を達成するものであれば特に限定されるものではないが、コロナ放電、パルス放電、バリア放電形式のものが適用可能であり、PM分の酸化能をも考慮するとバリア放電形式のものが好ましい。なお、図1では1基のプラズマリアクタ13を配置しているが、2基以上のプラズマリアクタ13を直列又は並列に配置してもよい。
(NO2吸着還元触媒ユニット)
NO2吸着還元触媒ユニット14は、複数の細孔を有する支持体に触媒を担持させた触媒部材を備えている。この触媒部材は、図2に示すように、支持体16と、この支持体16の細孔16aを取り囲む壁面(以下、細孔16aの内壁面という)に積層されたNO2吸着触媒層17と、このNO2吸着触媒層17上に積層されたNO2選択還元触媒層18とを備えている。
支持体16としては、複数の細孔16aを有していれば特に制限はなく、例えば、コージエライト、ムライト、シリコンカーバイド(SiC)といった多孔質体や、ステンレスといった金属板をハニカム状に成形したもの等が挙げられる。
NO2吸着触媒層17としては、例えば、多孔質担体にアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属の少なくとも1種を担持させたものが挙げられる。
このNO2吸着触媒層17に使用される多孔質担体としては、例えば、アルミナの多孔質焼結体、シリカの多孔質焼結体、シリカ・アルミナの多孔質焼結体、ゼオライト等が挙げられる。
前記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、前記アルカリ土類金属としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられ、前記希土類金属としては、例えば、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム等が挙げられる。
このようなNO2吸着触媒層17中のアルカリ金属やアルカリ土類金属、希土類金属の濃度は、処理すべき排ガス中のNOxの濃度に応じて適宜に設定することができる。
前記細孔16aの内壁面に形成するNO2吸着触媒層17の厚みは、細孔16aの単位容積あたりのNO2吸着触媒層17の質量に換算して、50g/L〜100g/Lが好ましい。なお、NO2吸着触媒層17の厚みが50g/Lを下回ると、このNO2吸着触媒層に十分な量のNO2を吸着させることができない場合がある。また、NO2吸着触媒層17の厚みが100g/Lを超えると、触媒部材の所定の開口度合を確保するために、このNO2吸着触媒層17上に積層するNO2選択還元触媒層18を薄くしなくてはならない。その結果、排ガス中のNOxや、NO2吸着触媒層17から脱離したNO2を十分に浄化することができない場合がある。
NO2選択還元触媒層18としては、多孔質担体に銀を担持させたものが好ましい。NO2選択還元触媒層18に使用される多孔質担体としては、前記NO2吸着触媒層17に使用したものと同様の多孔質担体が挙げられる。
銀は、還元剤によるNOXの分解反応を促進する触媒である。この銀の含有量は、NO2選択還元触媒層18の質量に対して1.5質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましく、さらに2.0質量%以上、4.0質量%以下の範囲内であることが好ましい。
この銀の濃度が1.5質量%を下回ると、プラズマリアクタ13(図1参照)から送出されたNO2やプラズマリアクタ13でNO2に変換されなかったNOX、NO2吸着触媒層17から脱離したNO2の浄化率が低下する場合がある。また、この銀の濃度が5質量%を上回ると、前記NO2等を浄化にするために使用される後記還元剤までもがこの銀によって優先的に消費されてしまい、NOxの浄化率が低下する場合がある。
これは、図3に示すように、銀の含有量が1.5質量%を下回ると、NOXの反応場所が少なくなるので、NOX浄化率が70%より下回ってしまい、NOXの効果的な浄化が望めない傾向があるからである。一方、銀の含有量が5質量%を上回ると、NOXを浄化するための還元剤までもが優先的に酸化されてしまい、その結果、NOX浄化率が70%より下回ってしまいNOXの効果的な浄化が望めない傾向があるからである。さらに、銀の含有量が2.0質量%以上、4.0質量%以内では、NOX浄化率は80%以上となるので好適に浄化することができる。
なお、NO2吸着触媒層17及びNO2選択還元触媒層18の合計の厚みは、支持体16の細孔16aの単位容積あたりのNO2吸着触媒層17及びNO2選択還元触媒層18の合計の質量に換算して、150g/L〜350g/Lが好ましい。
(NOX選択還元触媒ユニット)
NOX選択還元触媒ユニット15(図1参照)は、複数の細孔を有する支持体に触媒を担持させた触媒部材を備えている。この触媒部材は、図4に示すように、支持体16と、この支持体16の細孔16aを取り囲む細孔16aの内壁面に積層されたNOx 選択還元触媒層19を備えている。このNOX選択還元触媒ユニット15は、NO2吸着還元触媒ユニット14(図1参照)を通過した排ガス中に含まれる残余のNOXを浄化するためのものである。
支持体16としては、NO2吸着還元触媒ユニット14(図1参照)に使用したものと同様のものを使用することができる。
NOx 選択還元触媒層19は、NO2吸着還元触媒ユニット14に使用したNO2選択還元触媒層18(図2参照)と同様に構成することができるが、その厚みは、支持体16の細孔16aの単位容積あたりのNOx 選択還元触媒層19(図4参照)の質量に換算して、150g/L〜300g/Lが好ましい。なお、このNOx 選択還元触媒層19は、特許請求の範囲にいう「NOx 選択還元触媒」に相当する。
(還元剤供給装置)
還元剤添加手段10は、図1に示すように、前記プラズマリアクタ13の上流側の配管12内に還元剤を供給するためのものである。この還元剤添加手段10は、例えば、エンジンの配管内への燃料を噴射するために使用される公知の燃料噴射機構やポストインジェクション機構等で構成することができる。
また、この還元剤添加手段10は、次に説明する還元剤供給制御装置9(図1参照)から出力される還元剤供給命令信号によって還元剤を供給するとともに、還元剤供給制御装置9から出力される還元剤供給停止命令信号によって還元剤の供給を停止するように構成されている。
なお、この還元剤添加手段10から供給される還元剤には、例えば、ディーゼルエンジンの燃料(軽油)といった炭化水素ガス等が使用されればよい。
(還元剤供給制御装置)
還元剤供給制御装置9は、図1に示すように、還元剤添加手段10と電気的に接続されるとともに、前記NO2吸着還元触媒ユニット14と電気的に接続されている。この還元剤供給制御装置9は、前記NO2吸着還元触媒ユニット14に配設された図示しない温度センサから出力される温度検出信号に基づいて、還元剤添加手段10が還元剤を供給するタイミングを制御するように構成されている。具体的にいうと、この還元剤供給制御装置9は、前記温度検出信号に基づいて特定したNO2選択還元触媒層18(図2参照)の温度が、NOxの浄化温度に達していないと判断したときには、還元剤添加手段10に向けて還元剤供給停止命令信号を出力し、これとは逆に、NOxの浄化温度に達していると判断したときには、還元剤供給命令信号を出力するように構成されている。
次に、適宜に図面を参照しながら本発明に係る排ガス浄化システムの動作について説明しつつ、この排ガス浄化システムを使用した排ガスの浄化方法について説明する。
参照する図面において、図5は、NO2選択還元触媒層が浄化温度に達する前の排気ガス成分の挙動を示す概念図、図6は、NO2選択還元触媒層が浄化温度に達した後の排気ガス成分の挙動を示す概念図である。
まず、この排ガス浄化システム11(図1参照)では、エンジンを起動させることによってプラズマリアクタ13(図1参照)の電源がオンになるとともに、このプラズマリアクタ13によって排ガス中のNO2以外のNOxがNO2に変換される。このとき還元剤供給制御装置9(図1参照)は、前記温度センサから出力される温度検出信号に基づいてNO2選択還元触媒層18(図1参照)の温度が浄化温度に達しているか否かを判断する。ここではNO2選択還元触媒層18の温度が浄化温度に達していない場合を想定してさらに説明をすすめると、還元剤供給制御装置9は、前記温度検出信号に基づいて還元剤供給停止命令信号を還元剤添加手段10(図1参照)に向けて出力する。そして、この還元剤供給停止命令信号を受信した還元剤添加手段10は、還元剤を供給しない。つまりエンジン起動前の還元剤添加手段10の状態が維持される。
その一方で、プラズマリアクタ13を通過した排ガスに含まれるNO2が前記NO2吸着還元触媒ユニット14(図1参照)に到達すると、このNO2は、図5に示すように、支持体16上に形成されたNO2選択還元触媒層18を介してNO2吸着触媒層17に移行する。そして、移行したNO2は、NO2吸着触媒層17に吸着される。
次に、エンジンの起動後、排気ガスの温度が高まってNO2選択還元触媒層18(図5参照)が浄化温度に達すると、還元剤供給制御装置9(図1参照)は、前記温度センサからの温度検出信号に基づいて還元剤供給命令信号を還元剤添加手段10(図1参照)に向けて出力する。そして、この還元剤供給命令信号を受信した還元剤添加手段10は、還元剤(HC)をプラズマリアクタ13(図1参照)の上流側の配管12(図1参照)内に供給する。供給された還元剤(HC)は、プラズマリアクタ13で励起されるとともに、このプラズマリアクタ13からNO2吸着還元触媒ユニット14(図1参照)に向けて送出される。
その一方で、NO2吸着還元触媒ユニット14に到達した還元剤(HC)は、図6に示すように、NO2選択還元触媒層18内に取り込まれる。そして、還元剤(HC)が、NO2選択還元触媒層18とNO2吸着触媒層17との接触面近傍に到達すると、この接触面近傍にNO2吸着触媒層17から熱拡散したNO2は、この還元剤(HC)と反応することによって分解し、NO2選択還元触媒層18中に窒素ガス(N2)と水(H2O)と二酸化炭素(CO2)を生起させる。そして、これら窒素ガス(N2)、水(H2O)及び二酸化炭素(CO2)は、排ガス中に放散される。その一方で、NO2選択還元触媒層18とNO2吸着触媒層17との接触面近傍でNO2が消費されると、NO2選択還元触媒層18とNO2吸着触媒層17との間にはNO2の濃度勾配が形成される。その結果、NO2吸着触媒層17に吸着されたNO2は、NO2選択還元触媒層18に向けて効率よく移行するとともに、前記したと同様に、還元剤(HC)と反応することによって分解して浄化されていく。
また、この排ガス浄化システム11(図1参照)では、エンジンから続けて排出されている排ガス中のNOxを、プラズマリアクタ13(図1参照)がNO2に変換する。そして、このNO2が還元剤(HC)とともに、NO2吸着還元触媒ユニット14(図1参照)に到達すると、図6に示すように、浄化温度に達したNO2選択還元触媒層18で、NO2と還元剤(HC)とが反応する。そして、前記したと同様に、NO2と還元剤(HC)とが、窒素ガス(N2)、水(H2O)及び二酸化炭素(CO2)に分解されることによって、NO2は浄化される。
また、本実施の形態に係る排ガス浄化システム(図1参照)では、NO2吸着還元触媒ユニット14(図1参照)を通過した排ガスがNOX選択還元触媒ユニット15(図1参照)に到達すると、排ガスに含まれる残余の還元剤(HC)及び残余のNOX、すなわちNO2選択還元触媒層18(図6参照)で分解されなかったNO2やプラズマリアクタ13(図1参照)でNO2に変換されなかったNOXが、NOx 選択還元触媒層19(図4参照)と接触し、あるいはこの層19内に取り込まれる。そして、これら残余の還元剤(HC)と残余のNOxとが反応しあうことによって、窒素(N2)と水(H2O)と二酸化炭素(CO2)とに分解される。
このような排ガス浄化システム11によれば、排ガスに含まれるNO2以外のNOXがプラズマリアクタ13でNO2に変換されるとともに、エンジンの起動後、NO2選択還元触媒層18が、まだNO2の浄化温度に達していない場合には、NO2がNO2吸着触媒層17に吸着される。したがって、この排ガス浄化システムによれば、NO2選択還元触媒層18が、まだ浄化温度に達していない場合でもNO2の放出量を低減することができる。
また、この排ガス浄化システム11では、NO2選択還元触媒層18が、まだ浄化温度に達していない場合には、変換したNO2を吸着させることによって、NOx の放出を防止することができるので、NOx の浄化に必要な還元剤の供給を停止することができる。したがって、この排ガス浄化システム11によれば、還元剤の使用量を低減することができる。
そして、この排ガス浄化システム11では、導入される排ガスの熱でNO2選択還元触媒層18の温度が浄化温度まで高められたときに、NO2吸着触媒層からNO2選択還元触媒層18側に向けて熱拡散したNO2は、還元剤添加手段10から供給された還元剤と反応して分解する。そして、NO2選択還元触媒層18では、このNO2の分解によってNO2が消費されるため、NO2吸着触媒層17とNO2選択還元触媒層18との間には、NO2の濃度勾配が形成される。したがって、NO2吸着触媒層17に吸着されたNO2は、効率よくNO2選択還元触媒層18に移行するので、NO2吸着触媒層17には、吸着したNO2が蓄積しない。したがって、NO2吸着触媒層17にあらたに吸着されるNO2量が増加するので、NO2の浄化率が増加する。
この排ガス浄化システム11では、前記NO2選択還元触媒層18が表側に位置しているので、この排ガス浄化システム11に導入された排ガスに効率よく晒される。したがって、この排ガス浄化システム11によれば、NO2選択還元触媒層18の温度が浄化温度まで高められたときに、排ガス中のNO2は効率よく分解される。
この排ガス浄化システム11によれば、NO2吸着触媒層17が、多孔質担体で構成されているので、NO2吸着触媒層17へのNO2の吸着、NO2吸着触媒層17からNO2選択還元触媒層18へのNO2の移行及びNO2の分解物のNO2選択還元触媒層18からの放散が良好に行われるので、NO2の浄化率がより高められる。
この排ガス浄化システム11によれば、細孔16aの単位容積あたりのNO2吸着触媒層17の質量を50g/L〜100g/Lに設定することによって、NO2吸着触媒層17におけるNO2の吸着率がより高められる。また細孔16aの単位容積あたりのNO2選択還元触媒層18の質量を100g/L〜250g/Lに設定することによって、NO2選択還元触媒層18におけるNO2の浄化率がより高められる。
この排ガス浄化システム11によれば、NO2選択還元触媒層18の銀の担持量を、当該NO2選択還元触媒層18の質量に対して1.5質量%〜5質量%に設定することによって、NO2選択還元触媒層18におけるNO2の浄化率がより高められる。
この排ガス浄化システム11によれば、NO2選択還元触媒層18で分解されなかったNO2やプラズマリアクタでNO2に変換されなかったNOXが、NOx 選択還元触媒ユニット15で分解されるので、NOXの浄化率がさらに高められる。
この排ガス浄化システム11によれば、NOX選択還元触媒層19の銀の担持量を1.5質量%〜5質量%に設定することによって、NOX選択還元触媒層19におけるNOXの浄化率がさらに高められる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
(実施例1)
(1)NO2吸着還元触媒ユニットに使用する触媒部材Aの製造
Na−USY型ゼオライト100g、硝酸カリウム133g及び純水1000gをセパラブルフラスコに入れ、これを90℃に加熱しながら14時間撹拌した後にこれをろ過した。そして、得られた固形分を純水で洗浄した後、150℃で2時間乾燥させ、次いで、これを400℃で12時間、マッフル炉で焼成することによって、Kイオン交換USY型ゼオライト粉末を得た。なお、このゼオライト粉末のカリウムのイオン交換率は75%であった。
次に、前記ゼオライト粉末90g、アルミナバインダ(Al23濃度:20質量%)50g及び純水150gを、アルミナボールとともにポットに入れて、これらを12時間、湿式粉砕することによってスラリ状触媒を調製した。
得られたスラリ状触媒に、ハニカム体積が30mLであり、単位面積あたりの細孔の密度が62.0セル/cm2(400セル/平方インチ)であり、細孔の開口径が152μm(6ミル)のコージエライト製ハニカム支持体を浸漬させた。次いで、このハニカム支持体をスラリ状触媒から取り出して、ハニカム支持体に付着した過剰分のスラリ状触媒をエア噴霧により除去した後、ハニカム支持体を150℃で1時間乾燥させた。そして、この操作を繰り返すことによって、ハニカム支持体の細孔の内壁面に所定の厚みのNO2吸着触媒層17(図2参照)を形成させた後、これをマッフル炉にて500℃で2時間焼成した。なお、このようにウォッシュコート法で形成したNO2吸着触媒層17(ウォッシュコート)の厚みは、細孔の単位容積あたりのNO2吸着触媒層の質量に換算して、50g/Lであった。以下、この換算厚みを単に「ウォッシュコート量」という。
次に、硝酸銀4.72g、ベーマイト130g及び純水1000gをナス型フラスコに入れ、ロータリエバポレータで余分な水分を除去した後、得られた固形分を200℃で2時間乾燥させた後、マッフル炉にて600℃で2時間焼成することによって銀/アルミナ触媒粉末を得た。
次に、この銀/アルミナ触媒粉末90g、アルミナバインダ(Al23濃度:20質量%)50g及び純水150gを、アルミナボールとともにポットに入れて、これらを12時間、湿式粉砕することによってスラリ状触媒を調製した。
得られたスラリ状触媒に、NO2吸着触媒層17を形成した前記ハニカム支持体を浸漬させた。次いで、このハニカム支持体をスラリ状触媒から取り出して、ハニカム支持体に付着した過剰分のスラリ状触媒をエア噴霧により除去した後、ハニカム支持体を150℃で1時間乾燥させた。そして、この操作を繰り返すことによって、NO2吸着触媒層17上にNO2選択還元触媒層18(図2参照)を形成させた後、これをマッフル炉にて500℃で2時間焼成することにより、NO2吸着還元触媒ユニット(図1参照)に使用する触媒部材Aを製造した。なお、このNO2選択還元触媒層18のウォッシュコート量は、100g/Lであり、NO2吸着触媒層17及びNO2選択還元触媒層18の合計の厚みを示す全ウォッシュコート量は、150g/Lであった。また、NO2選択還元触媒層18中の銀の担持量(濃度)は、4.1g/L(ウォッシュコート量に対する銀の濃度:2.7質量%)であった。
(2)NOX選択還元触媒ユニットに使用する触媒部材Bの製造
硝酸銀4.72g、ベーマイト130g及び純水1000gをナス型フラスコに入れ、ロータリエバポレータで余分な水分を除去した後、得られた固形分を200℃で2時間乾燥させ、さらにマッフル炉にて600℃で2時間焼成することによって銀/アルミナ触媒粉末を得た。
次に、この銀/アルミナ触媒粉末90g、アルミナバインダ(Al23濃度:20質量%)50g及び純水150gを、アルミナボールとともにポットに入れて、これらを12時間、湿式粉砕することによってスラリ状触媒を調製した。
得られたスラリ状触媒に、ハニカム体積が30mLであり、単位面積あたりの細孔の密度が62.0セル/cm2(400セル/平方インチ)であり、細孔の開口径が152μm(6ミル)のコージエライト製ハニカム支持体を浸漬させた。次いで、このハニカム支持体をスラリ状触媒から取り出して、ハニカム支持体に付着した過剰分のスラリ状触媒をエア噴霧により除去した後、ハニカム支持体を150℃で1時間乾燥させた。そして、この操作を繰り返すことによって、ハニカム支持体の細孔の内壁面に所定の厚みのNOx 選択還元触媒層19(図4参照)を形成させた後、これをマッフル炉にて500℃で2時間焼成することにより、NOX選択還元触媒ユニット(図1参照)に使用する触媒部材Bを製造した。なお、このNOx 選択還元触媒層19のウォッシュコート量は、150g/Lであった。また、NOx 選択還元触媒層19中の銀の担持量(濃度)は、4.1g/L(ウォッシュコート量に対する銀の濃度:2.7質量%)であった。
(3)排ガス浄化システムの構成
実施例1の排ガス浄化システムの構成を図7(a)に示す。この排ガス浄化システムは、配管12の上流側から下流側に向けて、プラズマリアクタ、NO2吸着還元触媒ユニット及びNOx 選択還元触媒ユニットをこの順番で備えている。そして、プラズマリアクタの上流側の配管12には、この排ガス浄化システムに導入されるガスを所定の温度まで加熱するための加熱炉が配設され、導入されたガスの排出口には、ガス組成の分析計が配置されるとともに、プラズマリアクタの上流側の配管12には、HC(還元剤)が下記の所定量で添加されるようになっている。
この排ガス浄化システムに使用したプラズマリアクタは、図8に示すように、所定間隔で順に並設された金属電極71、72、73、74、75、76のうち、金属電極72、73、74、75、76の金属電極71側の表面が誘電体72a、73a、74a、75a、76aでそれぞれ被覆されている。金属電極71、72、73、74、75、76は、1.0mm×20mm×50mmのSUS316製板状体で形成されている。誘電体72a、73a、74a、75a、76aは、金属電極72、73、74、75、76上に厚み0.5mmで形成されている。なお、金属電極71と誘電体72a、金属電極72と誘電体73a、金属電極73と誘電体74a、金属電極74と誘電体75aおよび金属電極75と誘電体76aの間隔は、それぞれ0.5mmとした。
このプラズマリアクタ70では、金属電極71、73、75に、電圧7.6kV、正弦波200Hzの交流電流を入力するとともに、金属電極72、74、76を接地することによって、誘電体72a、73a、74a、75a、76aと金属電極71、72、73、74、75との間でプラズマが発生するようになっている。なお、本実施の形態では、金属電極71、73、75に交流電流を入力するときの電力を3.1Wに設定することによって、電界強度が7.6kV/mmとなるように、そして電力密度が1.2W/cm3となるように調整されている。
図7(a)に示すNO2吸着還元触媒ユニットは、本実施例1で製造した前記触媒部材Aを所定のケーシング内に配設することによって構成した。また、図7(a)に示すNOx 選択還元触媒ユニットは、本実施例1で製造した前記触媒部材Bを所定のケーシング内に配設することによって構成した。
(4)排ガス浄化システムの評価試験
実施例1の排ガス浄化システムを使用して次のNO2吸着率の測定試験を行った。この評価試験には、一酸化窒素(NO)100ppm、プロピレン(C36)300ppm(炭素換算)、一酸化炭素(CO)1100ppm、二酸化炭素(CO2)4体積%、酸素(O2)15体積%、水(H2O)4体積%及び窒素(N2)残部で構成されたモデルガスAを使用した。なお、モデルガスA中の各成分の濃度は、25℃、1013hPa(1気圧)のときの値である。
この評価試験では、180℃に維持した前記モデルガスAを排ガス浄化システムに100秒間導入するとともに、この排ガス浄化システムから排出されるガス中のNOx量を分析計(図7(a)参照)で測定することにより、前記NO2吸着触媒層に吸着されたNO2量を算出した。そして、このNO2量に基づいて100秒間導入されたモデルガスAに含まれるNOに対するNO2吸着率を算出した。その結果を図9に示す。
次に、排ガス浄化システムのサイクルテストを行った。このサイクルテストでは、前記NO2吸着率測定試験と同様に、180℃に維持した前記モデルガスAを排ガス浄化システムに100秒間導入した後、導入するモデルガスAを350℃まで昇温するとともに、この350℃を維持しながらノルマルヘキサデカン(nC1634)2000ppm(炭素換算)を排ガス浄化システムに導入した。そして、これらの工程を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返してそのサイクルごとの前記NO2吸着触媒層におけるNO2吸着率を求めた。その結果を図10に示す。
次に、排ガス浄化システムのNOx 浄化率の測定試験を行った。この評価試験には、一酸化窒素(NO)200ppm、ノルマルヘキサデカン(nC1634)2000ppm(炭素換算)、一酸化炭素(CO)1100ppm、二酸化炭素(CO2)4体積%、酸素(O2)15体積%、水(H2O)4体積%及び窒素(N2)残部で構成されたモデルガスBを使用した。なお、モデルガスB中の各成分の濃度は、25℃、1013hPa(1気圧)のときの値である。
この評価試験では、350℃の前記モデルガスBを排ガス浄化システムに導入するとともに、この排ガス浄化システムから排出されるガス中のNOx量を分析計90(図7(a)参照)で測定した。そして、次の式(1)を用いて、この排ガス浄化システムのNOx 浄化率を算出した。なお、測定開始直後のNOx 浄化率を最大NOx 浄化率とした。その結果を図11に示す。
Figure 0004189337
(実施例2)
NO2吸着触媒層17のウォッシュコート量を、50g/Lから100g/Lに変更した以外は、実施例1と同様にして排ガス浄化システムを構成するとともに、実施例1と同様にしてNO2吸着率の測定試験を行った。その結果を図9に示す。
(実施例3)
NO2吸着触媒層17のウォッシュコート量を、50g/Lから20g/Lに変更した以外は、実施例1と同様にして排ガス浄化システムを構成するとともに、実施例1と同様にしてNO2吸着率の測定試験を行った。その結果を図9に示す。
(実施例4)
NO2選択還元触媒層18のウォッシュコート量を、100g/Lから150g/Lに変更した以外は、実施例1と同様にして排ガス浄化システムを構成するとともに、実施例1と同様にしてNOx 浄化率の測定試験を行った。その結果を図11に示す。
(実施例5)
NO2選択還元触媒層18のウォッシュコート量を、100g/Lから80g/Lに変更した以外は、実施例1と同様にして排ガス浄化システムを構成するとともに、実施例1と同様にしてNOx 浄化率の測定試験を行った。その結果を図11に示す。
(比較例)
(1)実施例1のNO2吸着還元触媒ユニットに代えて使用するNO2吸着触媒ユニットの触媒部材Cの製造
実施例1のNO2吸着触媒層17の形成工程と同様にして、実施例1と同様のハニカム支持体の細孔壁面にウォッシュコート量100g/LのNO2吸着触媒層17のみを形成することによって、触媒部材Cを製造した。
(2)排ガス浄化システムの構成
比較例の排ガス浄化システムの構成を図7(b)に示す。この排ガス浄化システムは、実施例1〜実施例5の排ガス浄化システムにおいて、前記NO2吸着還元触媒ユニット(図7(a)参照)に代えて、前記触媒部材Cを所定のケーシング内に配設したNO2吸着触媒ユニット(図7(b)参照)を使用した以外は、実施例1〜5の排ガス浄化システムと同様に構成した。
(3)排ガス浄化システムの評価試験
比較例の排ガス浄化システムについて、実施例1と同様にしてサイクルテスト及び最大NOx 浄化率の測定試験を行った。その結果をそれぞれ図10及び図11に示す。
実施例1〜実施例5に係るNO2吸着触媒層17及びNO2選択還元触媒層18の組成等並びに比較例に係るNO2吸着触媒層の組成等を表1にまとめて示す。
Figure 0004189337
(実施例1乃至実施例5に係る排ガス浄化システムの評価結果)
図9に示すように、ウォッシュコート量が50g/L以上のNO2吸着触媒層17を備える排ガス浄化システムは、NO2吸着率が優れている。したがって、この排ガス浄化システムは、排ガス温度がNO2選択還元触媒層18の浄化温度より低い、例えばエンジンの起動し始めた時期におけるNOxの排出をより効率的に防止することができる。
図10に示すように、NO2吸着触媒層17にNO2選択還元触媒層18が積層された触媒部材を有する排ガス浄化システム(実施例1)は、NO2吸着触媒層のみの触媒部材を有する排ガス浄化システム(比較例)に比較して、繰返使用されても、NO2吸着触媒層におけるNO2吸着率が低下することがない。このことは、NO2吸着触媒層17がNO2選択還元触媒層18に接触していることによって、NO2吸着触媒層17に吸着されたNO2が、NO2選択還元触媒層18との濃度勾配によってNO2選択還元触媒層18に移行するとともに、このNO2選択還元触媒層18でNO2が分解されるため、NO2吸着触媒層17に分解されないNO2が蓄積しないことによるものと考えられる。
図11に示すように、ウォッシュコート量が100g/L以上のNO2選択還元触媒層18を備える排ガス浄化システムは、最大NOx浄化率に優れている。したがって、この排ガス浄化システムは、効率よくNOxを浄化することができる。
以上、本発明の排ガス浄化システムを実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、この実施の形態に何ら制限されるものではない。
例えば、本実施の形態に係る排ガス浄化システム11では、支持体16の細孔16aの内壁面に沿って広がるようにNO2吸着触媒層17を形成するとともに、このNO2吸着触媒層17上にNO2選択還元触媒層18を積層したが、本発明の排ガス浄化システムは、これに限定されるものではなく、支持体16の細孔の内壁面に沿って広がるようにNO2選択還元触媒層18を形成するとともに、このNO2選択還元触媒層18上にNO2吸着触媒層17を積層してもよい。
また、本実施の形態に係る排ガス浄化システムでは、還元剤供給制御装置9が、還元剤添加手段10と、NO2吸着還元触媒ユニット14の図示しない温度センサとのみ接続されているが(図1参照)、本発明の排ガス浄化システムは、これに限定されるものではなく、NOx選択還元触媒ユニット15にその温度を検出する温度センサを設けるとともに、還元剤供給制御装置9が、その温度センサと電気的に接続されていてもよい。この排ガス浄化システムでは、還元剤供給制御装置9を、NOx選択還元触媒ユニット15のNOx選択還元触媒層19が浄化温度に達しているか否かを判断するように、そしてその判断に応じて還元剤供給停止命令信号又は還元剤供給命令信号を還元剤添加手段10に向けて出力するように構成すればよい。
また、本実施の形態に係る排ガス浄化システムでは、NOX選択還元触媒ユニット15に使用する触媒部材に銀を担持させたが、本発明の排ガス浄化システムは、これに限定されるものではなく、銀に代えて白金、パラジウム、イリジウム等を触媒部材に担持させてもよい。
本発明の実施の形態に係る排ガス浄化システムのブロック図である。 図1の排ガス浄化システムに使用されるNO2吸着還元触媒ユニットに装填する触媒部材を示す部分断面図である。 NO2選択還元触媒層中の銀の含有量とNOX浄化率との関係を示すグラフである。 図1の排ガス浄化システムに使用されるNOX選択還元触媒ユニットに装填する触媒部材を示す部分断面図である。 NO2選択還元触媒層が浄化温度に達する前の排気ガス成分の挙動を示す概念図である。 NO2選択還元触媒層が浄化温度に達した後の排気ガス成分の挙動を示す概念図である。 図7(a)は、実施例1乃至実施例5の排ガス浄化システムの概念図、図7(b)は、比較例の排ガス浄化システムの概念図である。 実施例1乃至実施例5の排ガス浄化システムに使用するプラズマリアクタの模式図である 実施例1、実施例2及び実施例3の排ガス浄化システムにおいて、NO2吸着触媒層のウォッシュコート量に対する180℃におけるNO2吸着率(%)の関係を示すグラフである。 実施例1及び比較例の排ガス浄化システムについて行ったサイクルテストの試験結果を示すグラフである。 実施例1、実施例4、実施例5及び比較例の排ガス浄化システムにおいて、NO2選択還元触媒層のウォッシュコート量に対する最大NOX浄化率(%)の関係を示すグラフである。
符号の説明
11 排ガス浄化システム
13 プラズマリアクタ
14 NO2吸着還元触媒ユニット(触媒ユニット)
15 NOx選択還元触媒ユニット
16 還元剤供給装置
17 NO2吸着触媒層(触媒)
18 NO2選択還元触媒層(触媒)
19 NOx選択還元触媒層(NOX選択還元触媒)

Claims (5)

  1. 排ガスが流通する上流側から下流側に向かって、プラズマリアクタと、前記排ガス中のNOに作用する触媒が装填された触媒ユニットとをこの順番に備えるとともに、前記プラズマリアクタの上流側に還元剤を供給する還元剤供給装置を備える排ガス浄化システムであって、
    前記触媒は、NO吸着触媒層と、多孔質担体に銀を担持させたNO選択還元触媒層とを有し、
    前記NO 選択還元触媒層は、前記触媒の表面に配置され、前記NO 吸着触媒層は前記NO 選択還元触媒層の内側に接触して配置されており、
    前記プラズマリアクタは、エンジンの起動によってオンとなり、
    前記還元剤供給装置は、前記NO 選択還元触媒層がNO の浄化温度に達していないときには前記還元剤を供給せずに、
    前記NO 選択還元触媒層がNO の浄化温度に達しているときには前記還元剤を供給するとともに、
    前記触媒ユニットの下流側には、NO 選択還元触媒が装填されたNO 選択還元触媒ユニットがさらに配置されたことを特徴とする排ガス浄化システム。
  2. 前記NO吸着触媒層は、多孔質担体にアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属の少なくとも1種を担持させたものであることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化システム。
  3. 前記NO吸着触媒層は、複数の細孔を有する支持体の当該細孔の内壁面に積層されて、前記細孔の単位容積あたりの前記NO吸着触媒層の質量が50g/L以上、100g/L以下であるとともに、前記NO選択還元触媒層は、前記NO吸着触媒層上に積層されて、前記細孔の単位容積あたりの前記NO選択還元触媒層の質量が100g/L以上、250g/L以下であることを特徴とする請求項又は請求項に記載の排ガス浄化システム。
  4. 前記NO選択還元触媒層の銀の担持量は、当該NO選択還元触媒層の質量に対して1.5質量%以上、5質量%以下であることを特徴とする請求項又は請求項に記載の排ガス浄化システム。
  5. 前記NO選択還元触媒は、多孔質担体に銀を担持させたものであり、前記NO選択還元触媒の銀の担持量は、1.5質量%以上、5質量%以下であることを特徴とする請求項に記載の排ガス浄化システム。
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