JP4186464B2 - 荷電粒子ビーム走査式装置 - Google Patents
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Description
本発明は、荷電粒子ビームを試料上の所定の位置に照射する荷電粒子ビーム走査式装置に属し、特にビーム照射位置の測定を行う装置に関する。
背景技術
荷電粒子走査式装置では、ビーム照射位置の位置ずれを生じさせる1つの要因である偏向歪等の光学系起因のものによる位置ずれの補正を行うことが多い。しかし、実際に偏向を行う高速走査動作状態では、回路の周波数特性やフィルタ時定数による波形の変化や、積分回路のオペアンプもしくはトランジスタの歪、コンデンサや抵抗のリーク電流、クロストーク、ノイズ(スイッチングノイズなど)、グリッチ、デジタルフィードスルー雑音が発生し、前記偏向歪の調整時等の測定時には生じなかった位置ずれが発生する。従って、これらの要因によるビーム照射位置の位置ずれを測定する為に偏向歪等の位置ずれ測定とは独立して偏向動作時のビーム照射位置の測定を行う必要がある。
ビーム走査信号を生成する偏向制御装置は、特開平5−258703号公報に示されている荷電粒子ビーム走査式自動検査装置の例がある。特開平5−258703号公報では、偏向回路部をアナログ積分回路で構成したアナログ方式が示されている。前記公報で示される方式で生成される信号は、ランプ波形で、制御可能な状態量は、ランプ波の傾斜量であるスロープ値、ランプ波の振り戻し量であるリトレース値である。また、スロープ値で指定されるアナログ信号の傾斜量は調整値であるラインサイズ値と比較され、リトレース値で指定されるオフセットは調整値である片寄り値と比較され、それぞれアナログフィードバックし、走査信号を一定に保っている。このようなアナログ方式では、ランプ波の傾斜部分は一定の直線であることが望ましく、この場合、偏向信号の歪もしくはビーム照射位置の位置ずれは直線性歪と呼ばれる。偏向動作時のビーム照射位置の測定の1つの形態である前記直線性歪の測定の1つの方法は、特開平7−22303号公報記載の前記アナログ積分回路と同様な構成のラインジェネレータを用いた電子線描画装置において示されている。特開平7−22303号公報記載のラインジェネレータの直線性歪の測定方法は、始点レジスタまたは終点レジスタの設定値を一定のステップで変化させ、各々のステップにおいて走査開始から始点あるいは終点レジスタと同じ値の偏向電圧を検出するまでの時間を測定する方法と、特開昭63−86517号、特開平7−130597号公報にも示されている様に、試料上に等ピッチに配列された直線標準マークをラインジェネレータ信号によって電子ビームで走査し、標準マーク横切るときの反射電子検出信号の変化点をトリガとして、走査開始信号からマークを横切るまで時間およびマーク間の時間間隔を測定する方法が示されている。
荷電粒子ビーム走査式自動検査装置は、荷電粒子ビームを偏向し、ウェハやマスク等の被検査物上をスキャンすることで被検査物の物理的性質を現した画像を得、取得した画像パターンを比較もしくは評価することで検査を行うものとして知られている。前記検査装置において、集積回路のデザインルールの微細化等による微細欠陥検出の要求に従い、分解能の向上が望まれている。また、例えば8インチウェハの全面検査は数10時間オーダの膨大な時間がかかっており、検査時間短縮の要求がある。前記検査装置の分解能は偏向走査位置精度に依存するところが大きく、また偏向速度の高速化により検査時間短縮が図れることから、荷電粒子ビームの偏向走査において、線幅以下の高精度位置制御技術かつ高速に走査を行う偏向技術が要求されている。またウェハサイズの大型化、例えばウェハ直径12インチ化による検査面積の増大に伴い、更に高速高精度化の要求が高まっている。
このような検査装置の場合、要求精度は、例えば、0.1μmのスポットである電子ビームを0.1μm間隔で検出を行い、数100μmの偏向範囲にわたって偏向する場合では、その誤差は理想的には前記スポットの10分の1程度であるので0.01μm以下の誤差、つまり出力範囲の数万分の1以下の誤差により位置決めされねばならない。さらに前記スポット及び間隔が0.05μmの場合はその倍の精度が要求される。また、時刻精度は、例えば画像データ取り込み間隔時間が10nsの場合、偏向走査信号にアナログランプ波を使用すると1ns以下での時刻安定性が要求され、さらに画像データ取り込み間隔時間が5nsの場合は500ps以下の精度の時刻安定性が要求される。
前記、電子線描画装置における、前記特開平7−22303号公報、特開昭63−86517号、特開平7−130597号公報に示すラインジェネレータの直線性歪測定方法は、試料上のマーク間の通過時間を測定するものである為、前記検査装置の要求精度を満たすには少なくとも1nsもしくは500ps以下(周波数1GHzもしくは2GHz以上)の時刻精度が必要であるが、前記1次(反射)電子検出信号のスレシホールドを決定する素子にもジッタがあるため実現困難であり、また測定精度がマーク間隔に依存する問題があるが、マーク幅及びマーク間隔を0.05μmにて描画することは実現困難である。
また、前記検査装置において、特に基板上に形成されたあるチップと別のチップとの比較、すなわち離れた位置のパターンの比較を行うことで半導体パターン欠陥を検査する場合、前記回路の周波数特性やフィルタ時定数による波形の変化や、クロストーク、ノイズ(スイッチングノイズなど)、グリッチ、デジタルフィードスルー雑音などの要因により生じる特定画素の位置ずれにより、正常な個所を欠陥であると判定する虚報が生じ、比較検査の感度が低下するという問題がある。このような要因の位置ずれは、前記公報による直線性歪測定方法では、検査装置における各画素においての位置ずれの測定が為されないため検出されない場合があるという問題が生じる。
以上より、本発明の第一の目的は、荷電粒子ビームを走査することにより検査を行うビーム走査式検査装置に関し、実際の検査時におけるビーム偏向走査位置もしくは検出画素位置の位置ずれを、短時間で要求精度以上の優れた精度に測定する方法もしくは装置を提供することであり、さらに補正手段により前記位置ずれを補正することにより、虚報を低減させ、高感度な比較検査に必要な正確なパターン情報を得ることを可能とする検査装置を提供することにある。
また本発明の具体的な目的は、上記課題を解決するために、実際に荷電粒子ビームを走査してえられた画像データをもとに位置ずれを測定する方法もしくは装置を提供することにあり、さらに偏向走査動作により発生する位置ずれを補正する方法もしくは装置を提供することにある。
発明の開示
上記目的を達成するために、本発明は、荷電粒子ビーム走査式装置において、以下のような手段により実現する。
(1)荷電粒子ビームを所定の位置に照射する荷電粒子ビーム走査式装置において、物理的性質または構造の境界により1つもしくは複数の登録されたパターンが描かれた試料上にビームを照射することにより生じる生成物を取り込み、前記登録パターンの画像情報を得、前記画像情報から算出した画像上のパターン境界位置情報と前記登録パターンの境界位置情報との差異を検出することで、ビーム照射の位置もしくは位置ずれを測定する。
これにより、画像データによるビーム照射の位置もしくは位置ずれの測定が可能となり、実際に荷電粒子ビームを走査して偏向動作を行っている時のビーム照射の位置もしくは位置ずれ測定が可能となる。
(2)荷電粒子ビームを所定の位置に偏向する荷電粒子ビーム走査式装置において、物理的性質または構造の境界により1つもしくは複数の登録されたパターンが描かれた試料と、ビームを試料上の所望の位置に偏向するための制御を行う偏向制御手段と、前記試料上にビームを照射することにより生じる生成物を前記偏向制御手段から入力されるビーム照射タイミング信号を基に取り込むことで画素データを生成し、前記画素データを前記試料上の所定の領域について取得することにより試料画像情報を取得する画像取得手段と、前記登録パターンを含む試料の画像情報を基に、画像上の境界位置を算出することで取得された各画素の位置もしくは位置ずれを測定する位置ずれ測定手段により構成する。
これにより、実際に荷電粒子ビームを走査して画像データを得、画像データによるビーム照射の位置もしくは位置ずれの測定が可能となり、実際の偏向走査による高速動作状態での偏向走査位置の測定が可能となる。
(3)前記画像取得手段を、前記試料上にビームを照射することにより生じる生成物を取り込み、前記生成物の量を反映したアナログ電気信号に変換する生成物取り込み手段と、前記偏向制御手段から所望のビーム照射位置の照射タイミングを示す同期信号と前記アナログ電気信号から、前記所望の照射位置での前記生成物の量を表した画素データを生成する画素データ生成手段と、前記偏向制御手段から得られるビーム照射位置情報と前記画素データとを関連付けることにより画像情報を生成する画像情報生成手段により構成する。
これにより、前記生成した画像情報から前記試料上の物理的性質や構造などの境界位置が測定可能な画像情報が取得できる。
(4)前記位置ずれ測定手段を、前記試料上に、ある境界を境に物理的性質や構造が異なることによる前記生成物の量が異なる少なくとも2つの領域があり、所定の面積を持つビームの照射が前記境界を含む位置の集合に含まれるある位置1に対して行われた場合に生じる生成物の量1が、前記位置1での照射領域内の前記少なくとも2つの領域における各領域の単位面積の生成物の量と照射面積の積の総和によって定まり、前記境界からの距離もしくは位置によって定まることを利用し、前記画像取得手段から得られる前記生成物の量1を所定の多階調値に変換した画素データ1より、ビーム照射領域の中心位置から前記境界位置への相対位置1を、前記照射領域の大きさと前記多階調値の分解能に依存する精度で算出する境界位置算出手段と、前記境界位置算出手段により算出される前記相対位置1と取得画像情報の有する画素位置情報1の組を複数用い、取得画像上の境界パターン位置を算出する境界パターン算出手段と、前記境界パターン位置と登録された境界情報を基に、各取得画素の所望の位置からのずれ量を算出するずれ量算出手段により構成する。
これにより、画素検出タイミングが正確に境界上になくとも、ビーム照射領域が境界上にあるだけで、正確なビーム照射位置を算出でき、画像情報を基にビーム照射位置もしくは位置ずれ量を測定することが可能となる。
(5)測定を行う所定の位置に登録パターン境界を配置し、実際に前記装置が駆動する動作または近い動作を行うことで、実際の装置駆動動作状態におけるビーム照射の位置もしくは位置ずれを測定する。
これにより、オフラインの静的な測定でなく、装置を実際に動作させる状態での位置ずれ測定もしくは精度評価が可能となる。
(6)所定方向のビーム走査もしくはスリット状のビーム照射により線画像を取得し、これを前記線画像の長手方向とは垂直の方向にずらして複数回にわたり前記線画像取得を実施する偏向動作を行う。
これにより、前記画像情報を基に前記単一方向の各画素位置の位置ずれと前記垂直方向の各画素位置の位置ずれを、独立して少なくともどちらか一方を測定することが可能となる。
(7)ビーム走査動作に起因する位置ずれ以外の要因である偏向歪補正が為された状態もしくは偏向歪の影響が少ない状態において測定する。
これにより、ビーム走査動作のみに起因するビーム照射位置の位置ずれを測定することが可能となる。
(8)前記登録パターンにおいて、パターン境界が、前記単一方向に対して位置ずれ測定精度に応じた所定の傾斜を有する直線を1つもしくは複数持つ。
これにより、図形境界を横切る画素の位置が正確にかつ、連続した画素の位置もしくは位置ずれが測定可能となる。また、傾斜の角度が大きい程、高精度な測定が可能となる。
(9)前記登録パターンにおいて、パターン境界が、前記単一方向に対して所定の垂直度を持つ直線を1つもしくは複数持つ。
これにより、走査方向の基準位置が測定可能となり、走査位置全体のずれが測定できる。また、複数設置することにより走査方向の直線性の評価が可能となる。
(10)前記登録パターンにおいて、パターン境界が、前記単一方向に対して所定の平行度を持つ直線を1つもしくは複数持つ。
これにより、走査方向と垂直な方向の位置ずれの測定が可能となる。
(11)前記位置ずれの情報から、偏向走査位置または偏向走査位置に対して偏向歪補正を行った偏向制御位置または画素番号または偏向走査開始時刻からの時間に対応する走査位置ずれ補正データを作成する前記測定手段と、前記補正データを受け取り、偏向走査位置または前記偏向制御位置または画素番号または偏向走査開始信号の入力を受け位置ずれ分の補正情報を生成する偏向走査補正手段と、前記偏向走査補正手段により生成された偏向走査補正情報と前記偏向制御手段において生成される偏向走査位置情報もしくは前記偏向制御位置情報をデジタルもしくはアナログ的に加算する加算手段により構成する。
これにより、前記測定手段により測定された偏向走査位置ずれの補正が可能となる。
(12)所定の関数に基づき偏向歪補正を行う偏向歪補正手段と、偏向走査位置に対応する位置ずれを補正する位置ずれ補正係数データ作成手段とを具備し、偏向歪補正の前記関数の係数データと前記位置ずれ補正係数データ作成手段により算出される係数データを加算した補正係数データを前記関数の形態を決める係数として偏向歪補正手段に与える。
これにより、偏向歪補正手段を有する装置において、偏向走査位置ずれ補正手段を特に用意しなくとも偏向走査位置ずれの補正が可能となる。
(13)前記位置ずれ測定の実行を行う所定の作業に対する操作手段を具備し、前記登録パターンが描かれた試料の供給および登録パターン情報の入力を自動もしくは手動操作にて行うことで測定準備を行い、前記操作手段により逐次測定パラメータ及び開始の指定を行うことで自動的に位置ずれ測定または測定と測定結果の表示または測定と測定結果の補正手段への反映を行う。
これにより、設定変更を行ったときに自動的に位置ずれ測定と補正を高速かつ自動的に行うことが可能となり、利用者がその状態を把握することが容易になり、かつ常に装置を高精度な状態に保てるように管理することができる。
(14)前記装置が、試料上に荷電粒子ビームを照射することで所定の位置における試料の情報を取り込み、前記情報の処理を行うことで試料の検査を行う荷電粒子ビーム走査式検査装置において構成する。
これにより、荷電粒子ビーム走査式検査装置において、実際の検査時におけるビーム偏向走査位置もしくは検出画素位置の位置ずれを、要求精度以上の短時間かつ優れた精度で測定もしくは補正することが可能となり、正常な個所を欠陥であると判定する虚報を低減させ、高感度な比較検査に必要な正確なパターン情報を得ることが可能となる。また、補正を行わないもしくは補正できない場合においても、位置ずれを測定可能とすることで、虚報位置の予測が可能となる。
(15)試料上に荷電粒子ビームを照射し、所定の位置における試料の情報を取り込み、試料上の離れた位置に形成された第1のパターンと第2のパターンの比較を行うことでパターン欠陥を検査する荷電粒子ビーム走査式検査装置において、前記位置ずれの測定を検査条件の変更時に行い、その結果を偏向走査位置ずれ補正手段もしくは比較検査を実行する画像処理手段もしくはその両方へ与えることにより補正を実施する。
これにより、検査条件の変更時、ビームの偏向動作状態が異なることにより画素検出位置のずれが生じる場合においても逐次補正を行うことが可能となり、また、補正手段を用意しなくとも、比較検査を実行する画像処理手段において画素位置の測定値をもとに画素データの修正が可能となり、虚報が生じることなく、高感度な比較検査に必要な正確なパターン情報を得ることが可能となる。
発明を実施するための最良の形態
(本発明の実施例における荷電粒子走査式装置の構成概要)
第1図に示す実施例は、本発明の実施例における荷電粒子ビーム走査式装置の構成についての単純な一例を示すものである。
荷電粒子ビーム10を試料11に照射し、そのとき発生する生成物を試料11の情報として取り込み、前記情報を画像取得手段13にて画素データとし、前記画素データをビーム偏向位置と関連付ける処理が施され試料11の画像データとする。このとき前記生成物は,第1図は2次電子の例で構成されているが、試料の情報を反映するものであれば2次電子であっても,反射電子であっても,透過電子であっても構わない。また画像取得手段13はビームを所定の位置に偏向する偏向制御手段14からビーム走査位置と前記情報の取り込みタイミングを規定するビーム照射タイミング信号18を得る。偏向走査位置の位置ずれを測定する目的で試料11上に描かれた1つもしくは複数の物理的性質または構造の境界を持つ登録されたパターンデータを保持する位置ずれ測定手段15は、前記登録パターンが描かれている試料上の位置を試料台制御手段16と偏向制御手段14に送り、試料台制御手段16は試料11上に描かれた登録パターンを偏向領域内へ移動し、偏向制御手段14は試料11上に描かれた登録パターンの荷電粒子ビームによる走査を実施する。位置ずれ測定手段15は、保持する登録パターンデータと画像取得手段13からの前記画像データより算出される画像上のパターン境界位置とのマッチングをとり,その差異を検出することにより偏向走査位置のずれもしくは任意の各ビーム照射位置もしくは各画素位置の位置もしくは位置ずれを測定する。
画像取得手段13は、生成物取り込み手段12と画素データ生成手段103と画像情報生成手段104から構成される。生成物取り込み手段12は、前記試料上にビームを照射することにより生じる生成物を取り込み、前記生成物の量を反映したアナログ電気信号に変換する。画素データ生成手段103は、偏向制御手段14から所望のビーム照射位置の照射タイミングを示すビーム照射タイミング信号18と前記アナログ電気信号から、前記所望の照射位置での前記生成物の量を表した画素データを生成する。また、画像情報生成手段104は、偏向制御手段14から得られるビーム照射位置情報と前記画素データとを関連付けることにより画像情報を生成する。このようにして、前記画像取得手段では、前記生成した画像情報から前記試料上の物理的性質や構造などの境界位置が測定可能な画像情報を取得する。
位置ずれ測定手段15は、境界位置算出手段105と境界パターン算出手段106とずれ量算出手段107から構成される。境界位置算出手段105では、画像取得手段13から得られる前記生成物の量を所定の多階調値に変換した画素データより、ビーム照射領域の中心位置から前記境界位置への相対位置を、前記照射領域の大きさと前記多階調値の分解能に依存する精度で算出する。ここでは、前記試料上に、ある境界を境に物理的性質や構造が異なることによる前記生成物の量が異なる少なくとも2つの領域があり、所定の面積を持つビームの照射が前記境界を含む位置の集合に含まれるある位置1に対して行われた場合に生じる生成物の量1が、前記位置1での照射領域内の前記少なくとも2つの領域における各領域の単位面積あたりの生成物の量と照射面積の積の総和によって定まり、前記境界からの距離もしくは位置によって定まることを利用する。境界パターン算出手段106では、前記境界位置算出手段により算出される前記相対位置と取得画像情報の有する画素位置情報の組を複数用い、取得画像上の境界パターン位置を算出する。また、ずれ量算出手段107では、前記境界パターン位置と登録された境界情報を基に、各取得画素の所望の位置からのずれ量を算出する。このようにして前記位置ずれ測定手段は、画像情報を基にビーム偏向位置もしくは画素位置のずれ量を測定する。
また、前記位置ずれを偏向走査位置にて補正する場合は、位置ずれ測定手段15から前記位置ずれ情報を偏向制御手段14に付随する偏向位置補正手段17に転送することより実現する。さらに、検査装置の場合、位置ずれの補正は検査時に画像処理により画像データの補正を行う事で実施する事が可能であり、この場合、前記位置ずれ情報は、後述する第2図に示される検査装置の画像処理部に転送される。
(検査装置概要)
第2図は、本発明の実施例における応用例である荷電粒子ビーム走査式検査装置の詳細な実施例である。但し、本発明は、前記検査装置について示したものであるが、ビーム光源からのビームを偏向してビーム走査を行う全ての装置、例えば描画装置、顕微鏡(SEM)などにも応用可能である。
第2図に示す制御装置を大きく分けると、電子光学系装置20、画像処理系装置21、偏向制御系装置22、ステージ制御系装置23がある。前者3つと高さセンサ24は、バス25により上位制御CPU26に接続され、統括制御される。さらにステージ制御系23と上位制御CPU26は、LAN27によりシステム制御CPU28に接続され、システム全体の動作に関わる制御が行われる。ここでは、第1図において画像取得手段13は画像処理系装置21、位置ずれ測定手段15は上位制御CPU26もしくはシステム制御CPU28、偏向制御手段14は偏向制御系装置22、試料台制御手段16はステージ制御系装置23に対応している。
電子光学系装置20は、各種電源や電流の制御を行い、電子ビームの状態制御を行なう。例えば、電子銃29からのビーム30を、加速し、焦点コイル38などによるレンズ作用を利用して、ウェハ31上に照射される電子ビーム30の光軸調整、焦点・非点調整と照射強度を制御する。検査欠陥のサイズや分解能に関連するビーム径の拡大縮小は、焦点絞りで行い、照射強度の制御は、ビーム電流、加速電圧やリターディング電圧等で制御する。ビーム電流は、後述するブランキング電極に電圧が印加されているときにファラデーカップ37に流れ込む電流値で計測される。
検出器32は、ウィーンフィルタ偏向器33により偏向されたウェハ31から発生する2次電子を取り込み、2次電子量を濃淡デジタル情報に変換し、画像処理系装置21へ送る。
画像処理系装置21は、ウェハ31上に形成されたパターンの情報の比較検査によってウェハ上に形成された欠陥の種類と欠陥位置等の検出を行う。この時、システム制御CPU28は前記欠陥のデータを直接受け取り、検査結果の表示やオペレータの操作に従った制御を行なう。本発明においては、システム制御CPU28にて、既知図形のデータを保持し、前記図形の画像取得制御と、得られた画像と既知図形データの比較を行い、偏向走査位置ずれの測定を行う。
ビームを偏向するタイミングと、検出器32から入力される画像情報を取り込むタイミングを一致させる為、偏向制御系装置22は、画像処理系装置21にタイミング信号を伝送している。第1図では、前記タイミング信号をビーム照射タイミング信号18として特記している。また第1図の生成物取り込み手段12は、検出器32に対応する。
ステージ制御系装置23は、レーザ干渉計によるステージ位置情報を基にステージ39つまり検査対象であるウェハ31等の試料の位置及び移動速度を制御する。
偏向制御系装置22は、まず被検査時以外は電子ビーム30をウェハに照射させないようにブランキング電極34のオン/オフを行う。また非点の補正制御とビームの偏向制御を行う偏向器35と、焦点補正を行う動焦点コイル36を制御する。偏向器35は、8極板もしくはそれ以上の極数を持つ静電偏向器で構成され、電圧制御にて電子ビーム30を偏向させてウェハ31上のビーム照射位置を制御する。偏向制御系装置22は検査シーケンスに従いビームを走査する機能に加え、偏向歪、ドリフト等の補正演算と、ステージ位置の追従演算及び本発明である偏向走査位置のずれ補正を行い、偏向器35に与える制御値に反映させる。
以上より、検査装置または画像取得を行う装置において本発明は、前記登録パターンの描かれた試料と、前記位置ずれ測定手段に示した方法およびそれと同等な処理を行う測定プログラムを第1図における上位制御CPU26もしくはシステム制御CPU28相当部に用意すれば低コストで容易に実施可能である。描画装置などの画像取得装置が付随していない装置に関しても、本発明は第1図に示すような画像取得をおこなう装置を取り付けることによって容易に実現できる。
(走査シーケンスおよび比較検査概要)
第3図は、荷電粒子ビーム走査式装置の走査シーケンスの例と第2図に示す検査装置の比較検査の概要を説明した図であり、ここではそれぞれの本発明との関係を述べる。第3図(a)及び(b)はスキャン方法、(c)、(d)はステージ移動方法、(e)、(f)、(g)は比較方法の例を示す。走査シーケンスはユーザの要求及び被検査物の電気的特性、要求精度との関係で決定すべきであり、図に示す方法を組み合わせたり、図以外の走査方法をとってもよい。本発明ではどのような走査シーケンスにおいても測定可能であり、したがって実際の装置稼動状態に近い走査方法にて測定を行うことができる。スキャン方法40は、1方向にスキャンする方法で、点線部分は帰線部分でウェハにビームを照射しないようにブランクを行う。スキャン方法41は往復方向にスキャンする方法で、帰線及びブランクが不必要なため高速動作に適するが、往路と復路での不均一性があるので位置精度がスキャン方法40に劣る。この方式を使用する場合は、本発明では往路と復路で独立した位置ずれ検出または補正を行う。第3図(c)はステージ連続移動方式でのウェハ上の前記スキャンの軌跡42で、(d)はステップアンドリピート方式でのスキャンの軌跡43である。ステップアンドリピート方式は、1回にステージ停止状態で偏向領域分の画像を取得し、ステージのステップ動作で次の検査位置まで移動し、次の偏向領域分の画像を取得する動作を繰り返すことにより、前記複数の偏向領域分の画像をつなぎ合わせることでウェハの画像を得る。ステージ連続移動方式は、1スキャンあたりのウェハ上のビームの移動距離と、1スキャン時間のステージ移動距離をマッチングさせることで、偏向領域から逸脱せずにステージを停止しないで連続した画像を得る。第3図(c)、(d)に示すようにビーム走査方向は、ステージの往復方向について行われ、ウェハ全面についての検査を行う。ステージのステップ動作時間がないステージ連続移動方式の方が高速にかつ連続した検査が可能であるが、目標の位置が偏向領域から逸脱しないように、偏向制御あるいはステージの制御が必要となる。ステージ移動方向及びビームスキャン方向は、比較検査が可能などのような方向でもよいが、チップのパターンは矩形であることから、チップパターン方向に合わせてスキャンするのが良い。この場合、ステージ移動方向は、基本的にビーム走査方向とほぼ直交する。ステージ移動精度の観点からは、2軸連動で動作するより1軸単独で動作する方が精度が良い。このため、実際の検査装置においては、チップ方向すなわちウェハの向きをステージ軸に合わせることも行われる。
本発明にて既知図形の画像を取得する場合、上記のどの方法を用いても測定可能な画像を取得することは可能である。後述する偏向歪の補正があらかじめ行われるか、無視できる場合でステージの誤差混入を避けたい場合はスキャン方法40とステップアンドリピート方式(ステージを停止させる方式)を使用する方法が適している。但し、登録パターンが偏向領域内に収まる場合は、ステージを全く移動させる必要はない。また、偏向歪要因による誤差混入を避けたい場合は、偏向領域の中心領域のある一定の場所にてスキャン方式40の偏向走査を行い、ステージ連続移動方式にて画像を取得するを使用する方法が適している。以上より、本発明では、これらを組み合わせた測定を行うことにより各要因の誤差を分離できるため、測定精度の向上や、偏向歪やステージの誤差評価も可能となる。
第3図(e)はパターン欠陥検査の例を説明した図である。パターン欠陥検査は、パターン画像の比較により行う。比較は、デザインデータとウェハ上のパターンの比較を行う手法と、ウェハ上において同パターンが描かれている位置の画像情報の比較を行う手法がある。比較単位はセル単位とチップ単位で比較するものがある。前者はメモリ等の微小なセルを規則正しく配列された素子に、後者はCPU、ASIC等のチップ全体に非繰り返しの複雑なパターンを形成したものに対応する。
第3図(e)の例でセル55とセル56の比較を行う場合、ステージ制御装置及び偏向制御装置は連動してストライプ65の走査を行い、画像処理装置はライン58の画像取得後、既に取得されているライン57と比較を行い、その差異から欠陥判定を行い、これをセル全域にわたって行う。従って偏向走査は前記セル比較においては、少なくともライン57とライン58の位置精度が確保されなければならない。同様にチップ比較検査の場合、チップ59とチップ60の比較検査に対し、ストライプ66の走査が行われ、ライン61とライン62の比較が行われる。ここで、ステージ移動方向のウェハ上の検査領域をストライプ、1スキャンのウェハ上の検査領域をラインと呼ぶ。セルとセルの間隔はせいぜい10μmであるのに対して現在チップの幅は最大約3×10↑4μmあり、チップ比較はセル比較検査に比べ、単純比較では最悪約3000倍の位置精度が要求される。また、チップ比較の場合、ステッパでの描画などウェハ上のパターンの描画手法に依っては位置誤差及びチップ位置回転誤差が発生しており、この場合チップ60の実際の場所はチップ63、ライン62はライン64にある事になり、単純にストライプ66のように直線的な走査のみでは、チップ比較検査が実現出来ない問題があり、ストライプ67のようにチップ位置の補正を行うことが行われる。このような誤差により、実際に比較が行われるチップ位置に対して、画像取得されたラインの位置が異なるという問題が生じる。
第3図(f)、(g)は、それぞれ、位置ずれがあった場合のセル比較におけるライン57とライン58の比較とチップ比較におけるライン61とライン62の比較状況を説明している。図の黒丸は、各画素の中心位置を示している。上記に示した様にラインの位置は正確に補正されるべきであるが、誤差を完全になくすのは困難である。前述のようにセル比較の比較を行うラインは近接した位置関係にあるため、それぞれの取得ライン位置におけるセルパターン上の相対位置誤差(ずれ)70は小さい。そのため、第3図(f)に示すように偏向走査位置ずれがあっても図の両矢印で示す比較検査を行う位置がすべて誤差70で示す量の位置ずれであるため、比較検査は可能である。しかしチップ比較においては、比較を行うラインがウェハ上において離れた位置関係にあるため、誤差71が大きくなる。この場合の比較検査は、画像処理において統計的処理を行い、比較パターンのマッチングが最も合う取得画像位置で行われるが、その結果の画素比較は概略、第3図(g)の両矢印で示される位置で行われる。図に示すような偏向走査位置ずれによる画素位置が均等間隔でない部分があると、実際のパターンが正常であっても、異なる位置で比較を行うために欠陥であると判定する虚報を生じさせる。したがって、チップ比較においては本発明の実施例におけるように偏向走査位置もしくは位置ずれの測定および補正が不可欠となる。
(偏向出力信号およびタイミング信号)
第4図(a)は1スキャン中のビーム走査における偏向制御信号の概念を示し、偏向制御信号の一例を示すアナログ出力と代表的なタイミング信号との関係を説明した図である。図に示す制御信号の場合、偏向出力信号は、X軸とそれに垂直方向のY軸について制御信号を出力するが、図では1軸分を示している。図の例のように、X軸方向あるいはY軸方向のアナログ出力はおおむねランプ波44の形状を呈す。隣接する画素間の試料上の距離を均等にするには、前記偏向制御信号は、第4図の破線に示す理想波形45に示すような直線でなくてはならないが、ランプ波44は正確には直線とはならない。そのため、ランプ波44の波形の中でも直線に近い領域を使用する目的で、第4図(a)に示すスタート信号とエンド信号が規定される場合もある。
画像取得に必要な代表的な信号は、画像取り込み開始信号51、同期信号である画像取り込みタイミング信号46、画像取り込み有効信号47などがあり、それぞれのタイミングの一例を示すと、第4図(a)のような関係となる。第1図におけるビーム照射タイミング信号18は、具体的にはこれらの信号を示すが、特に画像取り込みタイミング信号46が代表信号として対応している。本説明図に示す信号は、第2図においては、画像処理系装置21に入力される。これらの信号により画像取り込み有効信号47がアクティブであるときに前記画像取り込みタイミング信号の立ち上がりでウェハ情報を画素として取り込み、ウェハパターン画像を得ることが可能となる。
第4図(a)のランプ波の幅49(正確にはランプ波の使用領域の時間幅)は、1画素の取り込み間隔と1スキャンの画素数により規定され、ランプ波の高さ50(正確にはランプ波の使用領域の電位差)は、ウェハ上の画素間隔とウェハ上の距離に対する制御電圧値と1スキャンの画素数により規定される。第4図(b)には、第4図(a)のランプ波の一部を拡大した曲線111と、それより傾きの大きなランプ波48と、それぞれの場合の画素位置108、109を示す。ランプ波111とランプ波48の違いのように、一般に、同一の制御回路では、回路の周波数特性、スルーレートなどの制限や、リーク電流、素子特性の歪などの影響でランプ波の傾きが大きいほど歪が大きくなる現象がある。第4図(b)は、このような歪の大きなランプ波における画素位置109は、歪の比較的小さなランプ波111における画素間隔108より偏向走査位置ずれが大きいことを概念的に示している。検査装置などのようにスキャンの高速性が要求される用途においては、前記ランプ波の傾きが大きく、偏向走査位置ずれが大きな問題となる。このような位置ずれは、本発明により測定および補正が可能である。但し、上記から分かるように本発明の実施例において着目している偏向走査位置ずれ量は、ランプ波の幅49及び高さ50が変化すると、ランプ波の歪の状態が変化することにより影響を受ける。ランプ波の幅49及び高さ50の変化は、試料の交換、スキャン方向の変更、取り込み間隔、画素数、画素間隔設定変更で生じることから、本発明の実施例における偏向走査位置ずれの測定及び補正は、このような設定条件を変更する毎に行うことで常に高精度を保つことが可能となる。
第4図(c)はデジタル方式偏向制御出力信号53のグリッジの波形68および、アナログ方式偏向制御出力信号のクロストークの波形69と、それらが発生した場合の画素位置110を説明した図である。デジタル方式は、制御波形の出力にDA変換器を使用するため、その特性により、グリッチもしくはデジタルフィードスルー雑音と呼ばれる局所的な歪を生じさせる。この歪は、ピコ〜ナノ秒オーダの非常に短い時間で生じる雑音であり、高速スキャン時ほど問題となる。またアナログ方式においても、スイッチング素子やデジタル信号などからのクロストークやすべての信号からの回り込みノイズの影響を受け、クロストークのランプ波形69のように局所的な歪を生じさせる場合がある。これらの雑音により生じる出力波形の歪により、ある特定画素のみに偏向走査位置ずれ54を発生させる。グリッジやクロストークは、ある決まった状況により発生するため、各スキャンに対して再現性があり、同じ画素位置で生じる傾向がある。したがって、このような位置ずれも本発明により偏向走査位置ずれの測定及び補正が可能である。但し、第4図(b)に示した歪と同様に、前記設定の変更により、グリッチもしくはデジタルフィードスルー雑音、クロストークによる影響を受けた波形68が変化する。そのため、上記のように本発明の実施例における偏向走査位置ずれの測定及び補正は、やはり設定条件を変更する毎に行うのが望ましい。なお、前記クロストークの影響や前記グリッチもしくはデジタルフィードスルー雑音の影響を測定するためには、静的(低速)な測定および測定を行う画素を間引いた測定では実現できず、本発明が目的とする実走査による測定と、連続した画素の測定精度が必要となる。
(偏向歪、走査歪)
第5図は、偏向歪と本発明にて着目している偏向走査位置ずれを説明する図である。光学系装置起因により、偏向領域のビーム照射位置に歪が生じる。前記歪は、ビーム経路上の電場または磁場の不均一な分布により生じる。歪の主な要因には偏向器電場の不均一性により生じる制御電圧に対するビーム偏向位置の歪、リターディング電圧の電界歪により生じるウェハ内歪、その他各種コイルもしくは電極の磁界、電界による歪、鏡体各部の磁化や帯電により生じる歪がある。
前記光学系歪の計測は、基準ウェハを用い、偏向領域内の走査時において、目標とするウェハ位置と実際の照射位置との差を算出することにより可能である。光学系歪のアライメントは第5図(b)に示すようにマーク位置が均一に配置されている基準ウェハを用い、最小9点のウェハ上における所定箇所の位置を測定し、偏向制御領域全体における制御目標位置と実際のビーム位置との対応を示す、第8図に示す式1の如き座標変換式を求める。式1は、光学系の歪を補正して平面等方化するための投影処理を行う3次式で表される座標変換式である。上記光学系の歪は、樽型、糸巻き型歪などに代表されるように、3次方程式近似の座標変換式で表され、目標の位置を偏向器への制御値に対応させる前記変換式1の演算を行うことにより補正を行うことが可能である。この時使用するマークは前記ライン位置とウェハ上のマークの相対関係を測定するものであり、第5図(b)に示すように偏向走査位置ずれの影響を低減するため十字型の形状をしたものが主に用いられる。第5図(a)の左側に示す偏向歪補正前の偏向領域76は、偏向歪を視覚的に示した図であり、偏向領域内の正方形にとられた領域の目標位置を静的に直接、偏向器に与えた場合の、実際のビーム照射領域の一例を示す。式1に示す偏向歪補正を行うことにより第5図(a)の右側に示す偏向歪補正後の偏向領域77のように目標位置である正方形領域となる。この時偏向走査の1ラインは図に示すように偏向歪補正前のライン72の歪が偏向歪補正後のライン73に示すように、ほぼ直線になる。しかし、偏向走査動作による動的要因により生じる位置ずれはまだ補正されていない。したがって、ライン73を拡大し、画素の中心位置を黒丸にて模式的に示すと、第5図(c)の偏向走査位置ずれ補正前のライン74のようになる。ライン74のような偏向走査位置ずれは偏向領域77内のどの位置をスキャンしても同じずれを示す。これを本発明により測定し、偏向走査位置補正を行うことでライン75のように画素間隔が均一になる。精度良く偏向走査位置ずれを補正する場合は、前記偏向歪の補正以外に、焦点、非点の補正及び調整も同時に行うことが要求される。
(測定方法)
第6図に本発明の実施例における偏向走査位置もしくは位置ずれの測定方法を示す。第6図(a)はビームスポット78が円形状の場合のウェハ上に描かれたパターンの境界79を横切る時の検出器出力80を示す。描かれた図形の物理的特徴もしくは段差の深さによって検出器出力80の濃淡差81は異なる。そのため、本発明にて偏向走査位置の測定に用いる図形は、濃淡差異なるプロセスを複数用い、立体的な描画技術を用いてもよい。ビームスポットが前記境界上に位置する時、その濃淡度に依って境界との重なり度合いが分かるため、正確な位置測定が可能となる。本発明では所定の画素のビームスポットの一部がパターン境界を含む場合にその位置を正確に測定する。前記濃淡差の最大値は、パターン境界を通過する前と後とで測定され、その中間値は、図に示すように、ビームスポットの中心が境界中心上にあることを示す。偏向位置に対して濃淡度は図に示すような曲線で対応が取れるが、基準となるパターン境界のエッジ自体が偏向位置に対して滑らかに変化する場合があり、この場合は事前にパターン境界付近の偏向位置と濃淡度の対応を測定すべきである。これを避けるためには、基準となるパターン境界のエッジは、鋭くなるように加工すべきである。また、ビームスポットの径の大きさや形状により濃淡度の最大値と最小値の差や、前記曲線形状が異なるため、パターン境界からビームスポット中心(画素中心)までの距離と濃淡度の対応はビーム条件により設定する必要がある。第6図(a)右図は、ビームスポット78がパターン境界79に対してある程度の角度をもって横切る場合の検出器出力を示す。パターン境界からのビーム位置前記角度があらかじめ分かっている場合は、後述するパターン境界が偏向走査方向とある傾斜を持つ場合においても、ビームスポットと境界の重なりによる生じる濃淡度によって偏向位置が正確に測定できる。前記傾斜が十分な精度で分かっていない場合もしくは全く分かっていない場合でも、パターンが直線であれば、複数の画素による前記境界の計測によって統計的手法により前記傾斜角度が算出できる。さらに計測される各画素の濃淡度から、算出された直線からの距離が分かることにより各画素位置の測定を行うことが可能である。
第6図(b)は偏向走査方向に垂直に移動してパターン画像を得る場合の、偏向走査方向に垂直なパターン境界83の意義を示している。図は測定原理を説明するための説明図である。図の黒丸は画素の中心位置を示し、実際のビームスポット径とは対応していない。前記パターン境界83により、同期信号の揺らぎ等で、ライン全体の揺らぎ誤差82を偏向走査位置ずれから分離して高精度に測定することが可能となる。図に示す揺らぎ誤差がある場合、パターン境界83は、取得画像境界89として表示される。画像データもしくは表示画像においては各画素位置が均等に配置されていると仮定されているので、境界89を境界83に対して線対称に反転したデータが各画素の位置として算出される。偏向走査方向に垂直方向のライン全体の揺れは、本方式と、後述する偏向走査方向に対して大きな傾きを持ったパターン境界を用いて画像の取得を行い、1つの画素が複数回登録パターンと重なる方法にて測定できる。本測定により得られるライン全体の揺れは、前述のステージ移動方式がステップアンドリピートである場合は、偏向制御装置の位置決め精度に起因するもので、ステージ連続移動方式の場合は、基本的に走査を行う偏向位置は常に同じであるためステージ精度に起因するものとなる。但し、偏向制御起因のライン全体の揺らぎによる位置ずれは、偏向走査位置ずれの各画素のずれに比べて無視できる程度に非常に小さい場合が多い。
第6図(c)は偏向走査方向に平行な図形境界85の意義を示している。これにより、偏向走査方向とは垂直方向の偏向走査位置ずれが測定できる。偏向走査方向とそれに垂直な方向の偏向制御信号は、それぞれ独立した回路を用いて発生させる場合が多いので、それぞれ独立に偏向走査位置もしくは位置ずれが検出できることは意義が大きい。図の場合、図形境界85は、取得画像境界90として表示される。各画素の位置は、図形境界85に対して線対称として反転したデータとなる。補正メモリなどの補正手段がある場合は、図の画素84の様に、ある位置の画素を故意にずらして測定することにより、メモリアドレスなどの補正手段の補正位置と偏向位置との相対関係が形成できる。本手法及び前述した登録パターンの傾き算出手法などを組み合わせると、登録パターンの正確な位置や傾きを把握していなくとも偏向走査位置もしくは位置ずれの測定及び補正が可能となる。図上部はパターン境界とラインの位置関係を2通り示しており、上側は1ラインの殆どの画素がパターン境界と重なる場合で、下側は、2ラインに渡らないとすべての画素がパターン境界と重ならない場合を示す。ライン間隔は通常ビームスポット径とほぼ一致もしくはそれ以下で使用される場合が多く、図に示すように複数のラインに渡って測定を行えば画素とパターン境界が重ならないことはない。第6図(d)に示すように、パターン境界が偏向走査方向とある傾斜を持つことで、各画素において精度良く偏向走査位置ずれが測定できる。図に示すように、パターン境界86よりも傾斜の大きなパターン境界87の方が、同一画素が複数回渡って測定されるため、平均化処理により、上述したパターン境界のエッジの影響やエッジの傾き誤差、ライン全体の揺れなどの影響が低減でき、測定精度が高い。ライン間隔は通常ビームスポット径とほぼ一致している場合で、1画素以下の測定精度であれば、傾斜は、偏向走査方向と45度の角度を持っていれば十分であるが、要求精度に応じた傾斜を持つパターンを用いて偏向走査位置ずれを測定するべきである。パターン境界86の取得画像境界88の曲線は、前述したライン全体の偏向走査方向のずれと垂直方向の偏向走査位置ずれの影響も含んでいるため、同時に偏向走査方向と垂直方向の偏向走査位置ずれを測定し、演算に依ってそのずれ分をキャンセルすることで偏向走査方向のみの偏向走査位置ずれを算出することが可能である。この場合、登録パターンは、偏向走査方向の直線と、それに垂直方向及び所定の大きな傾斜を持つ直線を組み合わせたものとすることが理想である。但し、ライン全体の揺れが無視できる場合は、前記垂直方向の直線を省いても、傾斜が小さな直線を用いても、それぞれ独立して配置されていてもよい。位置ずれは、図の右側に示すように、理想の偏向方向(x方向)及び、その垂直方向(y方向)の偏向位置に対しての、前述したパターン境界とビームスポットの重なりから算出される。取得画像境界88として表示される濃淡データの値は、ある画素が偏向方向にずれていることに依って生じる、各画素のパターンエッジからの距離を表す。このデータと、与えられるかもしくは算出したパターンの傾斜度と、各ラインの偏向位置yの位置により偏向方向の偏向走査位置および位置ずれが算出される。第6図(e)は上記パターン境界を組み合わせた既知図形の例を示した。位置ずれは、前述により、基本的に偏向方向とその垂直方向に平行な辺を持つ直角三角形によって測定可能であるが、複数のパターン境界を持たせることは、誤差を低減させ、精度を向上させる。1ライン中に複数のパターン境界を横切らせる方法と、複数のパターンを連続配置して連続走査する方法がある。図の左側のように組み合わせた図形を描くことで、一度のシーケンスにて精度良く偏向走査位置ずれが測定できる。
また、パターン境界が偏向方向に傾斜を直接持たなくても、大まかな偏向位置の測定は可能である。大まかに偏向走査の位置ずれを測定する図形パターンの一例を第6図(f)に示す。図左側に示す例では、直接傾斜は持たないが、偏向方向にライン全体をずらしてゆくことで、等価的にパターンを斜めに横切る走査を行っている。この場合の測定精度は偏向走査精度、ステージを移動する場合はステージ精度、ライン全体の位置精度に依存するため、前述した測定方法よりは測定精度が劣る。
本発明では、上述のように登録されたパターンの画像情報を実際に測定することにより偏向走査位置ずれを測定することが目的であり、登録されたパターンの構成はその目的に適した形態を持たせることが望ましい。以上のような方法にて偏向走査位置または位置ずれを精度良く測定することが可能となる。
(補正方法)
第7図は、本発明で測定した偏向走査位置ずれを補正する方法の概略を説明する図である。本部分は第1図において偏向位置補正手段17として示されている。前述したように偏向走査位置ずれは、動的にビームを偏向することにより生じる。したがって、偏向走査位置ずれは、第5図において示唆したように、1ライン中の位置に対応させることができる。よって、第7図(a)の偏向走査位置ずれ補正手段92の偏向走査位置ずれ補正手段入力信号95は、ライン中のある基準位置からの相対位置を表す信号であることが適当である。偏向走査位置ずれ補正手段入力信号95は、例えば、画素の位置を示す信号として画素番号を基にしたデータあるいは、1ライン中のある基準位置からの偏向距離を示す信号として偏向走査位置もしくは偏向制御信号を基に算出したデータなどが使用できる。
偏向走査位置ずれ補正手段92の実現方法の1例として偏向走査位置ずれ補正手段92にルックアップテーブル方式のメモリを使用する場合は、その偏向走査位置ずれ補正手段入力信号95は前記メモリのアドレスに対応する信号となる。本方式の分解能および補正精度は、それぞれメモリアドレス信号のビット数および補正データのビット数により決定される。本方式は、メモリに格納されている値が補正値となるため、局所的な位置ずれがある場合でも補正可能であり、最も有効な補正手段である。一般にメモリ回路は、制御信号を発生する個所、すなわちX軸方向(走査方向)の位置ずれを補正するものと、Y軸方向の位置ずれを補正するものを用意するが、精度との関係によってX軸方向(走査方向)の位置ずれを補正するもののみを使用しても、また、その他の制御回路に補正用のメモリ回路を複数用意しても良い。また偏向走査位置もしくは偏向制御信号を利用する場合のメモリのアドレス指定方法は、X座標もしくはY座標のいずれかの位置のみに対応させる方法と、XとY座標の両方の2次元位置に対応させる方法がある。
偏向走査位置ずれ補正手段92の実現方法の1例として、位置ずれが所定の関数に近似できる場合は、偏向走査位置ずれ補正手段92に、近似座標変換演算回路を使用することもできる。関数の形態は、XもしくはY座標の1変数を使用するのが、XY座標の2変数を利用するのか、また何次式であるのかによって異なる。第10図に示す式3は、偏向走査位置ずれ補正関数の係数を偏向歪補正式の係数に変換する方法の例を示す式であり、2変数かつ3次式の場合を示した。この場合の偏向走査位置ずれ補正関数は、たまたま式1に示した偏向歪の補正関数と同じ形態をしているが、異なる種類の演算を行う。具体的には入力変数が異なり、偏向歪などの静的な歪の場合の入力変数は、偏向領域座標すなわち偏向位置(x0、y0)であったのに対し、偏向走査位置ずれ補正の場合の入力変数は、ライン中の基準位置からの相対位置(xs、ys)である。
位置ずれ測定結果の補正手段への反映は、メモリ方式の場合、上位制御系である偏向走査位置ずれ測定および補正データ生成手段96が、偏向走査位置ずれ補正手段92への偏向走査位置ずれ補正手段入力信号95に対応した補正量を表すデータを作成し、前記入力信号をアドレスとし前記補正量を表すデータを補正データ97としてメモリに書きこむことで行う。近似座標変換演算方式の場合、上位制御系である偏向走査位置ずれ測定および補正データ生成手段96は、位置ずれ量を統計処理し、式3に示すような予め指定された近似式の係数を求め、前記係数を補正データ97として偏向走査位置ずれ補正手段92にあらかじめ与えることで、位置ずれ測定結果を補正手段に反映する。
偏向走査位置ずれ補正手段92を、補正信号波形を作成するためのファンクションジェネレータ回路もしくはフィルタ回路の組み合わせ回路などのアナログ回路で構成することもできる。この場合の偏向走査位置ずれ補正手段入力信号95は、ラインの開始信号であり、また、上位制御系である偏向走査位置ずれ測定および補正データ生成手段96は、前記回路のシミュレーションモデルを使用し、前記回路の設定パラメータを算出して前記回路の補正データ97を設定する。
偏向走査位置ずれ補正手段92により出力されるデータは、位置ずれ分の補正情報を表しており、偏向制御信号91とデジタルもしくはアナログ的に加算回路93で加算することで、偏向走査位置ずれが補正された走査信号94を得ることができる。ここで偏向制御信号91は、もし偏向歪等の補正を行わない場合は偏向位置信号に対応する。前述したように、偏向走査位置ずれ補正手段92は、ライン中の相対位置をその入力に用いるため、偏向制御信号91とは個別に演算を行い最終段にて加算を行う必要がある。またデジタル的に加算する場合は、回路規模の増大が低減されるが、後段のアナログ回路によりさらに誤差が混入する問題がある。したがって精度を重視する場合は、回路規模の増大は避けられないがアナログ信号にて偏向回路の最終段にて加算する方が、補正すべき電圧値が補正値として加算できるため有利である。
第7図(c)は、上述した近似座標変換演算方式の実現手段の変形として、偏向走査位置ずれ補正手段を全偏向位置に対して実時間で演算を行う回路として用意しないで、偏向歪等の補正演算回路99の係数を変更するだけで偏向走査位置ずれ補正を実現する方法を示している。第9図に、偏向走査位置ずれ係数の偏向歪補正係数への変換演算100の内容の例を式2にとして示した。式2は、偏向走査位置ずれ補正関数の次数が3次の場合の式である。式2上側に示す関数は、前述した数3の関数形態を基本とし、1変数かつ3次式の補正を行う場合の係数を示す。上述したように、この関数の入力値は、ラインの走査開始位置からの相対位置(xs、ys)であり、ラインの走査開始位置と前記相対位置の加算が、式1に示す偏向歪補正関数の入力である偏向位置(x0、y0)に対応することから、式2下側に示すように、偏向走査位置ずれ係数を、走査開始位置を変数に持つ偏向歪補正係数へ変換できる。ここで式2下側の関数ではY方向は省略した。したがって、第7図(b)の偏向走査位置ずれ係数の偏向歪補正係数への変換演算手段100は、偏向走査開始位置信号102の入力を受ける。変換演算手段100の出力である変換された係数データは、偏向歪係数データと加算され、偏向歪等の補正演算手段99に入力される。ここでの偏向歪等の補正演算手段99は、偏向走査位置信号98の入力を受け、偏向歪等の静的な歪みの補正に加え、偏向走査位置ずれの補正も同時に行った走査信号94を出力することが可能となる。走査位置ずれ偏向歪係数変換演算100は、1ライン単位で行えば良く、専用演算回路で構成しなくとも、プロセッサにて行うことが可能であり、偏向歪補正手段のみを有する装置において、偏向係数演算を行うプロセッサにて同時に演算を行うことにより、偏向走査位置の補正が可能となる。この場合、偏向歪補正回路を搭載されている回路においては、回路の改造を伴うことなく、本発明の実施例における偏向走査位置ずれ補正を行うことができる。
さらに、前記検査装置の場合、偏向走査位置の位置ずれを補正する手段として、その位置ずれ情報を画像処理系装置に対して転送することにより、画像比較時、位置ずれ情報を基に補間法などを用いて取得データの修正を行うことが可能となり、前記欠陥の誤検出を低減できる。
以上より、偏向走査位置ずれ測定手段により測定された結果を補正手段に反映することが可能となり、偏向位置精度の向上または欠陥の誤検出の低減が実現できる。
(操作パネル)
偏向走査位置ずれは、走査状態に依存するので、偏向走査位置ずれの測定と補正データ設定は、走査状態変更時、ウェハ等の被検査物の交換時、例えば1画素を0.1μmから0.05μmに変更するなどの比較検査の精度設定の変更時に行うことが望ましい。この場合、全てを自動で短時間に行うことが望ましい。
上述の測定もしくは補正時に発生する作業は、システム制御部に対し走査を行う登録パターンの位置やパターン境界のデータのロードや、登録パターンが描かれている試料の試料室へのロード(既にロードされている場合やステージに備え付けられている場合は必要ない)、走査条件の入力、測定実行入力、システム制御部から偏向制御部への補正データの転送などである。自動実行は、上記走査条件が変更された時に、実行確認が提示され、実行を選択するなど、操作パネルの指示に従って、登録パターンが描かれている試料の試料室へのロード等を行う。この場合、走査を行う登録パターンの位置やパターン境界のデータのロードは、あらかじめシステム制御部に登録を行うことが必要である。ステージ上に既に試料を取り付けておき、各補正アライメント時やキャリブレーション時に自動実行してもよい。このときシステム制御部は、測定結果の視覚的表示、履歴データとしての記録、画像処理もしくは偏向制御装置にて実施する補正手段にデータを与えるなどの自動動作を行う。
以上のように、自動に行うことで、ユーザに要求する手間を低減しかつ、検査装置を常に高精度に保たれた状態に管理することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態においての効果は以下の通りである。
画像データを用いて偏向走査位置もしくは位置ずれを測定することにより、次の効果が得られる。
(1)連続した画素の画素位置が高精度に測定できる。
(2)実際の走査状態における偏向走査位置もしくは位置ずれが測定できる。
(3)特定画素の局所的な位置ずれに対しても測定可能である。
登録パターンの配置および走査方法により次の効果が得られる。
(4)偏向走査位置もしくは位置ずれが、走査方向成分とそれに垂直な方向成分とで独立して測定できる。
(5)走査位置全体(ライン)の位置変動が、走査方向成分とそれに垂直な方向成分とで独立して測定できる。
偏向走査位置補正手段や自動検査操作手段を備えることにより次の効果が得られる。
(6)荷電粒子ビーム走査がなさている経過点においても、ビーム位置を高精度に制御することが可能になる。
(7)利用者が装置の校正状態を把握することが容易になり、さらに装置を常に高精度に校正された状態に保つことが可能になる。
検査装置において特に次の効果が得られる。
(8)実際の検査時における検出画素位置の位置ずれを、取得画像を利用して測定することにより、短時間に検査装置の要求精度以上の優れた精度で測定することが可能となる。
(9)画像処理、偏向制御装置の補正機能に位置ずれデータを供給することで、高感度な比較検査に必要な正確なパターン情報を得ることが可能になり、正常な個所を欠陥であると判定する虚報を低減させることが可能となる。
(10)偏向動作状態を変化させても、前記状態変化起因の虚報が生じることなく、高感度な比較検査に必要な正確なパターン情報を得ることが可能となる。
(11)検査装置として備えられた機能を使用するため、低コストで容易に実現可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の荷電粒子ビーム走査式装置の構成についての一例を単純に示す図であり、第2図は、本発明の応用例である荷電粒子ビーム走査式検査装置の詳細を示す図であり、第3図は、検査装置の走査シーケンスの例を説明した図、第4図は、ビーム走査の偏向出力信号と代表的なタイミング信号との関係を説明した図、第5図は、偏向歪と偏向走査位置ずれを説明する図であり、第6図は、本発明の偏向走査位置もしくは位置ずれの測定方法を説明する図であり、第7図は、本発明で測定した位置ずれを補正する方法を説明する図であり、第8図は、光学系の歪を補正して平面等方化するための投影処理を行う3次式で表される座標変換式(式1)であり、第9図は、偏向走査位置ずれ補正関数の次数が3次の場合を表す式2であり、第10図は、偏向走査位置ずれ補正関数の係数を偏向歪補正式の係数に変換する方法の例を示す式3である。
Claims (2)
- 物理的性質または構造の境界により1つもしくは複数の登録されたパターンが描かれた試料の所望の位置に前記荷電粒子ビームを偏向するための制御を行う偏向制御手段と、
前記試料上に前記荷電粒子ビームを照射することにより生じる生成物を前記偏向制御手段から入力されるビーム照射タイミング信号を基に取り込み画素データを生成し、前記画素データを前記試料上の所定の領域について取得することにより試料画像情報を取得する画像取得手段と、
前記登録されたパターンを含む前記試料画像情報を基に、該試料画像情報の画像上の境界位置を算出して取得された各画素の位置もしくは各画素の位置ずれを測定する位置ずれ測定手段と、
前記位置ずれの情報から、前記偏向制御手段による前記荷電粒子ビームの偏向走査位置、または該偏向走査位置に対して偏向歪補正を行った偏向制御位置または画素番号、または偏向走査開始時刻からの時間に対応する走査位置ずれ補正データを作成する前記測定手段と、
前記走査位置ずれ補正データを予め受け取り、前記偏向制御手段による前記荷電粒子ビームの偏向走査位置、または該偏向走査位置に対して偏向歪補正を行った偏向制御位置または画素番号、または偏向走査開始時刻における偏向走査開始信号の入力を受け、位置ずれ分の補正情報を生成する偏向走査位置ずれ補正手段と、
前記偏向走査位置ずれ補正手段により生成された偏向走査補正情報と前記偏向制御手段において生成される偏向走査位置情報もしくは前記偏向制御位置情報とをデジタルもしくはアナログ的に加算する加算手段とを具備し、
前記測定された位置ずれを補正することを特徴とした荷電粒子ビーム走査式装置。 - 荷電粒子ビームを所定の位置に偏向する荷電粒子ビーム走査式装置において、
物理的性質または構造の境界により1つもしくは複数の登録されたパターンが描かれた試料の所望の位置に前記荷電粒子ビームを偏向するための制御を行う偏向制御手段と、
前記試料上に前記荷電粒子ビームを照射することにより生じる生成物を前記偏向制御手段から入力されるビーム照射タイミング信号を基に取り込み画素データを生成し、前記画素データを前記試料上の所定の領域について取得することにより試料画像情報を取得する画像取得手段と、
前記登録されたパターンを含む前記試料の画像情報を基に、前記画像情報の画像上の境界位置を算出して取得された各画素の位置もしくは各画素の位置ずれを測定する位置ずれ測定手段と、
前記偏向制御手段による偏向走査位置に対応する前記荷電粒子ビームの位置ずれを補正する補正係数データを作成する位置ずれ補正係数データ作成手段と、
偏向歪補正に関する所定の関数の係数データと、前記位置ずれ補正係数データ作成手段により算出される補正係数データとを加算した補正係数データを前記所定の関数の形態を決める係数として前記偏向歪補正手段に与えることにより、前記測定された偏向走査位置に対応する前記荷電粒子ビームの位置ずれの補正を行う偏向歪補正手段とを具備したことを特徴とする荷電粒子ビーム走査式装置。
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