JP4185619B2 - クレーンにおけるインバータ制御モータのトルク監視方法 - Google Patents
クレーンにおけるインバータ制御モータのトルク監視方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインバータ制御によるモータを駆動源として備えたクレーンに関し、特にモータにおけるオーバトルクの監視方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インバータ制御によるモータを駆動源とするクレーンを運転する場合、クレーンブームにかかる荷重を常時監視し、その許容定格荷重内での運転とする必要がある。これは、搬送物の落下防止とクレーン自体の破損防止のためである。この監視機能として、モータにおけるオーバトルク検出方法が提案されている。これは、インバータからモータに供給される出力電流を監視し、所定レベル(以下、オーバトルク検出レベルと呼ぶ)を越えるとオーバトルクと判定する方法である。ただし、モータにおいて発生するトルクは、特にブレーキ締め時に増大するため、頻繁にオーバトルクと判定される事態が発生することを避ける意味で、オーバトルク検出レベルを高めに設定する必要がある。また、ブレーキ締め時の発生トルクは減速時間が短いほど、高速度からの減速ほど大きくなる。
【0003】
しかし、オーバトルク検出レベルを高く設定すると、ブレーキ締め時以外での定格荷重オーバによるオーバトルクが検出できなくなるのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
具体例をあげて説明すると、荷吊下用のワイヤロープに加わる荷重を検出するために、通常、モータの制御盤内に出力電流から荷重を検出するセンサなどを取り付け、荷重検出を実施している。ただし、過荷重状態を検出した後、運転停止とする保護システムはユーザ独自の判断にゆだねられており、その処理は様々である。
【0005】
しかしながら、これまでの検出は、1レベルのみの荷重検出機能であり、全運転領域での安全性の確保はできない。
【0006】
そこで、本発明の課題は、始動から減速停止に至るまでの全運転領域でのオーバトルク監視を実施し、インバータ制御によるクレーン運転システムの安全性向上を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、インバータ制御によるモータを駆動源として使用し、減速停止時にブレーキ機構を作動させるようにしたクレーンにおいて、前記モータに供給される電流を検出して該モータにおけるオーバトルクの有無を判定する手段を有し、該判定に用いるレベルを、クレーンの減速停止に際してはレベルA、それ以外の運転に際してはレベルBとし、しかもレベルAをレベルBよりも高くなるように設定したことを特徴とするクレーンにおけるインバータ制御モータのトルク監視方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1、図2を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1において、本発明が適用されるインバータユニット10は、3相交流電源20と3相交流モータ30との間に接続されている。インバータユニット10は、交流−直流変換を行うコンバータ回路11、インバータ回路12、ドライブ回路13、及び制御回路14を含んでいる。制御回路14は、図示しない制御装置から周波数指令値を受け、電圧指令を出力する。ドライブ回路13は、制御回路14からの電圧指令に応じて、例えばPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成してインバータ回路12におけるスイッチング素子をオン、オフする。インバータ回路12は、6個のスイッチング素子を2個ずつ対にしてブリッジ接続された構成を持ち、電圧指令に応じた周波数を持つ3相交流電圧を3相交流モータ30に与える。
【0009】
制御装置は、インバータユニット10と3相交流モータ30との間の3相配線のそれぞれに設けられた電流検出器15U、15V、15Wからの検出値を受けて3相交流モータ30のオーバトルクを監視する。本形態では、後述するように、オーバトルク検出レベルとして2段のレベルA、B(但し、A>B)を有し、減速停止に際してはレベルAでオーバトルク監視を行い、それ以外ではレベルBでオーバトルク監視を行う点に特徴を有する。なお、3相交流モータ30の出力軸には、メカニカルブレーキ機構が組合わされている。
【0010】
図2を参照して、クレーンの制御動作について説明する。クレーンの運転においては、運転指令がオンになると、周波数指令値が出力されてモータが始動するが、始動後の一定時間はクリープ運転のためにクリープ周波数(一定値)が出力される。そして、この間、メカニカルブレーキ機構は締め状態におかれている。その後、クリープ運転が終了するとメカニカルブレーキ機構は緩め状態におかれ、モータが所定速度に達するまで周波数指令値が増加され続け、所定値に達すると定速運転を行うための周波数指令値(一定値)が出力される。
【0011】
減速停止に際しては、減速開始点で運転指令がオフとなるが、周波数指令値は徐々に低下するようにその後も出力され続け、減速運転、クリープ運転を経て停止する。この間に、周波数指令値がブレーキ締め周波数まで低下すると、制御装置はメカニカルブレーキ機構を作動させる指令信号を出力し、メカニカルブレーキ機構は締め状態におかれる。
【0012】
ここで、減速停止に際してのブレーキ締め時には過大トルクが発生する(図2のP1)。この場合は、レベルAで過荷重状態、すなわちオーバトルク検出が行われることとなる。勿論、レベルAは、特に高速からの減速停止時は、ブレーキ締め時の衝撃が大きく、オーバトルク状態が発生し易いことを考慮して、大きな値に設定する。
【0013】
一方、減速停止以外の場合は、レベルBにての過荷重状態の検出を行って安全性を確保することとする。そして、レベルBは、レベルAに比べて小さく設定することで、通常運転時の荷の荷重に起因する過荷重状態を監視することが可能となる。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、クレーンの運転状態に左右されず、常にオーバートルク異常の検出が可能で、クレーン運転時の安全性確保が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるインバータユニットの構成を示した図である。
【図2】本発明におけるクレーンの制御動作を説明するための図である。
【符号の説明】
10 インバータユニット
11 コンバータ回路
12 インバータ回路
13 ドライブ回路
14 制御回路
20 3相交流電源
30 3相交流モータ
Claims (1)
- インバータ制御によるモータを駆動源として使用し、減速停止時にブレーキ機構を作動させるようにしたクレーンにおいて、前記モータに供給される電流を検出して該モータにおけるオーバトルクの有無を判定する手段を有し、該判定に用いるレベルを、クレーンの減速停止に際してはレベルA、それ以外の運転に際してはレベルBとし、しかもレベルAをレベルBよりも高くなるように設定したことを特徴とするクレーンにおけるインバータ制御モータのトルク監視方法。
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- 1999-03-26 JP JP08408199A patent/JP4185619B2/ja not_active Expired - Fee Related
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