JP4184673B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍サイクル装置等に用いられ、簡便な構造で高性能、高信頼性のスクロール圧縮機を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来のスクロール圧縮機は、一般に図8に示すような構成を備えている。このものは固定渦巻部品301と旋回渦巻部品302とを噛み合わせて双方間に複数の圧縮空間300が形成されている。旋回渦巻部品302が、クランク軸306の偏心部309にて駆動されて固定スクロール301に対し円軌道運動つまり旋回運動される。この旋回渦巻部品302の旋回運動によって圧縮空間300が外周側から渦巻きの中心部に向かって移動しながら容積を小さくすることで、吸入口314から冷媒ガスなどを吸入して圧縮した後、吐出口315を通じて密閉容器304の内部空間316に吐出する。ここに上述の固定渦巻部品301および旋回渦巻部品302が主な構成要素となって圧縮機構部310が構成されている。
【0003】
この圧縮機構部310の駆動機構は、密閉容器304の内側に圧縮機構部310とともに上下に設けられた電動機303のロータ305にクランク軸306を貫通状態で結合して構成され、電動機303によってクランク軸306を回転駆動する。クランク軸306の上端部分は軸受311を介して主軸受部材307に支持され、クランク軸306の主軸受308から上に出た先端部には、これに対して偏心運動を行い旋回渦巻部品302を旋回軸受313を介して円軌道運動させる偏心部309を備えている。クランク軸306の下端部は、副軸受317aを介し副軸受部材317に支持され、クランク軸306の副軸受317aから下に出た下端に容積型ポンプ318を備えている。
【0004】
容積型ポンプ318はクランク軸306によって圧縮機構部310とともに駆動され、密閉容器304の下端部の液溜部319に貯留されているオイルなどの潤滑油(図示せず)を吸入して、クランク軸306に形成された液供給通路320を通じ液溜まり321に供給する。液溜まり321に供給した潤滑油は旋回軸受313に対し潤滑および冷却を行って後、次の液溜まり部322を経て主軸受308を潤滑し、その後前記液溜部319に戻って再循環される。一方、液溜まり部321に供給された潤滑油の一部は、旋回渦巻部品302の内部に設けられた長孔323を経由して絞り部324で減圧されながら背圧室329に供給される。ここに、液溜まり321、322は高圧部となり背圧室329は高圧と低圧の中間圧部となり、互いにシール部材328によりシールされている。
【0005】
この背圧室329は前記絞り部324での絞り作用によって液溜まり321内の潤滑油が減圧を伴い適正量に制限して供給され、旋回渦巻部品302をバックアップする背圧を働かせて、旋回渦巻部品302を固定渦巻部品301側に押圧し固定渦巻部品301から引き離されたり転覆したりしないようにされる。
【0006】
背圧室329に供給された潤滑油が溜まるに従い、背圧室329の圧力が上昇して固定、旋回各渦巻部品301、302間が過剰接触する原因になるが、その圧力を所定の範囲に保つために、背圧室329と圧縮空間300の吸入域300aの間に圧力調整機構331が設けられている。この圧力調整機構331は背圧室329の圧力が設定された圧力より高くなると背圧室329内の過剰な潤滑油を吸入域300aに逃がして背圧室329を所定の圧力に維持し、旋回渦巻部品302が固定渦巻部品301に過剰に接触するようなことを防止し、吸入域300aに逃がした潤滑油は圧縮空間300に導かれ、圧縮中の冷媒ガス等の漏れを防ぐシールの役割と、固定渦巻部品301と旋回渦巻部品302の接触面を潤滑する役割を果たす。
【0007】
また、前記長孔323の絞り部324よりも上流側から分岐して旋回渦巻部品302の羽根先端部に設けた固定旋回部品301との間をシールするチップシール333を保持する保持溝334とを連絡する通路335を設けることにより(例えば、特2000−213477号公報参照)、保持溝334とチップシール333背面の隙間に形成される空間に潤滑油を供給する。これにより、保持溝334内にその長手方向に形成される低圧側への漏れ通路を埋めて遮断するとともに、保持溝334から溢れ出る潤滑油によってその直角方向を横断して外側に形成されるより低圧の圧縮空間300への漏れ通路をも遮断し、さらには圧縮空間300を形成する壁面へも供給している。
【0008】
次に、絞り部324は図9に示すように、外周部に取り付け用のネジ部324aを持つ円筒状ピンであり中心に細い絞り孔339が設けられている。絞り部324はこの絞り孔339によって長孔323を通じて液溜まり321から背圧室329に供給される潤滑油に絞り作用を及ぼし、それを減圧し適正量に制限して背圧室329に供給する。この適正量は絞り孔339の内径を変更することにより調整している。
【0009】
一方、従来の他のスクロール圧縮機としては、図10に示すような構成を備えたものが知られている(特開平7−77182号公報参照)。このものは、背圧が一定値以上になったときに弁が開いて過剰入力を吸入側に逃がす差圧給油方式を用いて、潤滑油を供給するものである。すなわち、密閉容器304の下部の油溜部319の潤滑油は、旋回渦巻部品302の背部にある中間圧室342の圧力と密閉容器304の内部空間316に充満する吐出冷媒による吐出圧力との差圧により主軸受部材307、旋回軸受313を始めとする圧縮機構部310における他の摺動箇所に供給される。
【0010】
中間圧室342は、旋回渦巻部品302に圧縮空間300の中間圧域と通じる2つの中間孔(図示せず)を設けることにより、吸込圧力と吐出圧力の中間の圧力に保持されている。潤滑油は、上記吐出圧と中間圧との圧力差により、クランク軸306の給油経路320、主軸受308を滑り軸受としてそこに絞り部として形成した細い給油溝343を通って主軸受308および旋回軸受313、主軸受部材307と旋回渦巻部品302との間の中間圧室342に供給される。中間圧室342に入った潤滑油は、旋回渦巻部品302の中間圧孔や外周部を経て圧縮空間300に供給された後、吐出ポート315から冷媒ガスと共に密閉容器内空間316に放出される。
【0011】
圧縮機構部310の吸入通路344には冷媒の逆流を防止する逆止弁345が設けられている。この逆止弁345はスクロール圧縮機における運転停止時の状態を図11に示し、運転時の状態を図12に示してある。圧縮機が運転されると、冷媒ガスは外部サイクルから吸入通路344に入り込み、逆止弁345は上記吸入ガス圧によって図11の位置から図12の位置まで押し下げられて、その上方に図10の圧縮空間300に連通する空間が形成される。それにより、吸入ガスは上記空間から圧縮空間300に吸入され、圧縮される。圧縮された冷媒ガスは、図10の吐出ポート315から密閉容器内空間316に吐出され、この吐出された高圧ガスは密閉容器304の上部空間から圧縮機構部310の外周部に設けられた切欠きまたは連通孔を通り、電動機303などを収納する下部空間に供給される。このとき、冷媒ガスは電動機303のステータを冷却し、さらに、電動機303などの空間を通過することで吐出ポート315から霧状となって吐出される潤滑油が分離され、高圧の冷媒ガスが吐出通路347から外部サイクルに戻される。
【0012】
圧縮機の運転が停止されると、逆止弁345は、圧縮空間300、密閉容器314および吐出通路347から外部サイクルに戻る途中にある高圧の冷媒ガスが吸入通路344より前段側へ逆流しようとする力と、逆止弁345の下段に設けられたスプリング348とにより、図12の位置から図11の位置に押し戻されて、シールカラー349の端面と逆止弁345の平面とで吸込み側と連通する通路を閉鎖し、冷媒の逆流を防止するとともに、圧縮機下部の潤滑油が摺動部への給油経路であるクランク軸306の給油経路320、旋回軸受313、主軸受部材307、中間圧室342、中間圧孔および圧縮空間300などを通って圧縮機の外部へ持ち出されるのを防ぐ。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8に示す従来例のように、高圧の油溜り321と旋回渦巻部品302の羽根先端に設けたチップシール333の保持溝334の底面とを常時連絡する長孔323および分岐通路335を通じて液溜まり321から保持溝334に潤滑油を供給するのでは、保持溝334は液溜まり321に常時通じて高圧の潤滑油が供給され続けるので、保持溝334内のチップシール333との間にできる長手方向の隙間を通じて余剰の潤滑油が圧縮空間300の低圧な吸入域300a側に過剰に流入していき、吸入加熱が生じて性能低下を来す。これを解消するのに長孔323が保持溝334に通じる通路部分を細くするなどして絞り効果を持たせ潤滑油の供給量を制限すると、圧縮空間300の低圧な吸入域300a側への流れ込み量を少なくできても、圧縮効率の低下や摺動部の磨耗による寿命の低下を招く。
【0014】
また、絞り部324の絞り孔339の内径を小さくしたり長さを長くしたりして絞り効果を上げると、液溜まり321から背圧室329に供給する液量を制限する分だけ前記保持溝334に供給しやすくなっても、これは前記吸入加熱の原因にしかならない。一方、前記供給制限は背圧室329での昇圧を遅くするので、吸入域300aへの過剰な潤滑油の逃がしを防止して吸入加熱の問題を低減することはできるが、絞り孔339の内径を小さくしたり長さを長くしたりすると潤滑油に存在するゴミにより閉塞しやすくなり、圧縮機の性能や信頼性が低下するとともに、絞り孔339の加工が困難になりコストが上昇するといった問題がある。
【0015】
一方、図10に示す従来例では、給油機構は容積型ポンプを備えない簡単なもので、部品コストを低減させられるし、各部に適量の潤滑油を供給しやすいものであっても、機能上の高信頼性を確保するためには逆止弁345を設ける必要があり、この逆止弁345はシール面の洩れが多いとガスが逆流し、その際に圧縮機構部310内の潤滑油が外部に持ち出されて潤滑するための潤滑油が不足し、信頼性が低下するという問題が残存している。また、通常運転時に逆止弁345が冷媒ガスの吸入抵抗となり、性能が低下するという問題が残存している。
【0016】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、低コスト、高効率、高信頼性のスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明のスクロール圧縮機は、鏡板から羽根が立ち上がった固定渦巻部品と旋回渦巻部品とが噛み合わされて双方間に圧縮空間が形成され、旋回渦巻部品が固定渦巻部品に対し円軌道運動されたとき圧縮空間が移動しながら容積を変化させて、流体の吸入、圧縮および吐出を行う圧縮機構部と、旋回渦巻部品の旋回駆動に伴い旋回渦巻部品の背面の液溜まりに供給した液を、旋回渦巻部品外周部の背面側の背圧室に旋回渦巻部品を通じ供給制限部で制限して供給するのに併せ、前記液を旋回渦巻部品を通じ旋回渦巻部品の羽根における先端の固定渦巻部品との間のシール部材を保持する保持溝に供給する液供給機構とを備え、特に、液供給機構は、固定渦巻部品の旋回渦巻部品と摺動する面に設けた凹部と、旋回渦巻部品に設けられて旋回渦巻き部品の旋回に伴い前記凹部と間欠的に通じ前記液溜まりの液を凹部に供給する第1の通路と、旋回渦巻部品に設けられてその旋回に伴い前記第1の通路と異なったタイミングで前記凹部と通じて凹部内の液を前記保持溝に供給する第2の通路とを備えたことを主たる特徴とする。
【0018】
このような構成では、旋回渦巻部品が旋回駆動されて吸入、圧縮、吐出の動作を繰り返すのに併せ、潤滑機構が働かされて旋回渦巻部品の背部にある液溜まりを経て旋回渦巻部品の背部の背圧室と旋回渦巻部品の羽根先端のシール部材を保持する保持溝とに液を供給して、背圧室で液の供給が所定の制限の基に行われることにより旋回渦巻部品の背部に所定の背圧を働かせてバックアップする一方、保持溝への供給は旋回渦巻部品の旋回に伴い第1の通路が凹部に通じたときに液溜まりの液を凹部に供給し、この凹部が第1の通路と異なったタイミングで、従って第1の通路と通じなくなったタイミングで第2の通路と通じ凹部内の液を前記保持溝に供給するので、液溜まりの高圧で、しかも背圧室への供給が制限されて余剰液が生じやすい環境にあって保持溝の高圧域にでも行き渡りやすい状態の液を、絞ったりせずにそのままの状態で第1、第2の通路と同時に通じることのない凹部によって確実に量規制し、低圧の吸入域側への流出を抑えながら圧縮空間の全域に適量の液を供給してシールおよび潤滑を図ることができ、性能および信頼性の高いスクロール圧縮機が必須の部材、既設部材を利用した簡単で安価なものとして提供することができる。また、差圧給油方式を採用しても、第1、第2の通路の一方が凹部との間で閉じて互いが通じることがないので、運転停止時に残存する差圧によって液が供給され続けることはなく、液の過剰供給は勿論、外部への持ち出しは生じない。従って逆止弁は不要である。
【0019】
もっとも、第1、第2通路の間欠的な通じ合いが凹部に同時に通じることによりなされて、この状態で運転が停止されることがあっても、容積型ポンプを利用した給油方式であれば前記外部への持ち出しの問題はない。
【0020】
さらに、液供給機構の前記供給制限部は、前記液溜まりから背圧室に液を供給する通路に設けられた絞り部、あるいは、この絞り部を持ち、または持たない通路を旋回渦巻部品の旋回運動に伴い間欠的に通じさせる間欠連通部であればよく、後者では特に、旋回渦巻部品の旋回に伴う間欠的に通じる時間割合や流量の設定によって、どのようにも制限することができ、背圧の過剰や吸入加熱を防止すべく供給制限を強める場合でも、従来のように絞り孔の径を小さくしたり長くして詰まりやすくなって性能や信頼性が低下する問題、および加工が困難でコスト高になる問題のいずれも解消し、より高効率かつ低コストなスクロール圧縮機が実現する。また、絞り部を併せ持つことにより、加工が容易で詰まりが生じない程度の絞り部にて、従って、コストが特に上昇するようなことなしに、より高い供給制限を間欠供給による脈流を抑制しながら容易に達成することができ、性能のさらなる安定と吸入加熱のさらなる防止が図れる。
【0021】
なお、供給制限部が間欠的に通路が通じるものである場合、通じる時間が前記凹部が第1の通路と通じる時間と異なったタイミングになるように設定すると、凹部への液の供給圧が背圧のための液供給によって低下されず、保持溝の高圧域への液の供給がさらに確保しやすくなる。
【0022】
また、供給制限部が、前記第1の通路の途中から分岐した分岐通路に設けられていると、第1の通路の一部を共用して設けられるので、通路構造が簡単で加工しやすくなり、コストがさらに低減する。
【0023】
さらに、背圧室の過剰液を逃がし経路を通じ逃がして背圧室を所定の圧力に維持する圧力調整機構を備え、逃がし経路は前記旋回渦巻部品の旋回に伴い間欠的に背圧室に通じる開口を有している構成とすることができる。
【0024】
このような構成では、さらに、過剰な液を逃がし経路を通じ逃がす簡単な方式での背圧調整をも採用してより適正な背圧状態を維持できるようにする一方、この逃がした液を差圧方式にて圧縮空間に供給しそこでのシールと潤滑に利用するので、固定、旋回各渦巻部品間のシールおよび潤滑機能がさらに向上する。しかも、逃がし経路の開口が旋回渦巻部品の旋回に伴い背圧室に間欠的に通じるので、背圧調整のために逃がした液を吸入域に供給することが無闇に行われず吸入加熱の問題が生じるのを抑制することができる。特に、逃がし経路 の開口が背圧室に間欠的に通じる時間を供給制限部で間欠的に通じる時間と異ならせることにより、運転が停止しても圧力調整機構への液の通路が逃がし経路の開口か供給制限部かのいずれかで常に遮断されるので、差圧給油方式を採用しても液の過剰供給や外部への持ち出しは生じない。従って、逆止弁は不要である。
【0028】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴はそれ単独で、あるいは可能な限り種々な組合せで複合して採用することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態にかかるスクロール圧縮機とその駆動方法につき、図1〜図7を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態は縦型で容器内に電動機および圧縮機構を内蔵した冷凍サイクル用のスクロール圧縮機の場合の幾つかを例示しており、取り扱う流体は冷媒である。また、各部の潤滑およびシールに供する液としてはオイルなどの潤滑油を採用している。しかし、本発明はこれに限られることはなく、以下の説明は特許請求の範囲の記載を限定するものではない。
【0030】
本実施の形態のスクロール圧縮機の駆動方法は、図1〜図7に示すように 、固定鏡板10a、旋回鏡板25から羽根が立ち上がった固定渦巻部品10と旋回渦巻部品11とを噛み合わせて形成した圧縮空間32が、旋回渦巻部品11を固定渦巻部品10に対し円軌道運動させたときの移動を伴い容積を変化させることにより外部サイクルからの冷媒の吸入、圧縮および外部サイクルへの吐出を行う。これに併せ、旋回渦巻部品11の旋回駆動に伴い旋回渦巻部品11の背面の液溜まり21ないしは22、図に示す例では液溜まり21に供給した潤滑油41を、旋回渦巻部品11の外周部の背面側に旋回渦巻部品11を通じ所定の制限の基に供給して旋回渦巻部品11をバックアップしながら、前記潤滑油41を旋回渦巻部品11を通じ旋回渦巻部品11の羽根における先端の固定渦巻部品10との間のシール部材の一例であるチップシール33を保持する保持溝34に供給して固定、旋回各渦巻部品10、11間のシールおよび潤滑を図る。これに加え、特に、前記保持溝34への潤滑油41の供給は、旋回渦巻部品11の旋回に伴う前記液溜まり21と保持溝34との間欠的な直接または間接の通じ合い時に行う。
【0031】
このように、旋回渦巻部品11の旋回により固定渦巻部品10との間の圧縮空間32にて吸入、圧縮、吐出の動作を繰り返すのに併せ、旋回渦巻部品11の旋回駆動に伴い旋回渦巻部品11の背面の液溜まり21および旋回渦巻部品11内を経て、旋回渦巻部品11の外周部の背面側と、旋回渦巻部品11の羽根先端におけるチップシール33の保持溝34とに液を供給することにより、旋回渦巻部品11の外周部の背面側では供給した液による背圧にて旋回渦巻部品11をバックアップするのに、潤滑油41の供給を所定の制限の基に行うことでバックアップの過不足を無くして、固定渦巻部品10から離れずまた過剰に接触しない安定な旋回動作を保証する一方、保持溝34では供給した潤滑油41による固定、旋回各渦巻部品10、11間のシールおよび潤滑を図って、圧縮性能、耐久性を高められる。
【0032】
特に、保持溝34への潤滑油41の供給は旋回渦巻部品11の旋回に伴う液溜まり21と保持溝34との間欠的な直接または間接の通じ合い時に、液溜まり21や22での高圧でしかも背圧のための供給が制限されて余剰液が生じやすい環境にある潤滑油41を絞ったりせずにそのままの状態で供給することによって、保持溝34の高圧域にでも行き渡りやすくしながら、全体としては液溜まり21と保持溝34とが通じる時間割合いないしは流量の設定によって供給する潤滑油41の量規制をするので、低圧の吸入域30側への流出を抑えながら保持溝34の高圧域を含む全域に適量の液を供給して圧縮空間32のシールおよび摺動部の潤滑を図ることができ、性能および信頼性の高いスクロール圧縮機が得られる。しかも、必須の部材や既設部材を利用して特別な部材や機構なしに安価に実現する。
【0033】
前記間接の通じ合いを固定、旋回各渦巻部品10、11間の図1〜図7に例示するような液溜まり空間の一例としての固定渦巻部品10側の凹部38が、図2(a)(b)に示すように液溜まり21と前記保持溝とに異なったタイミングで通じることにより行うようにしている。このようにすると、凹部38が液溜まり21に通じたときに前記高圧で余剰液が生じやすい環境の液を適量受け入れて閉じ込め、この凹部38が保持溝34に通じたときにそのまま、つまり絞り作用を伴わないで供給することによって、凹部38の容量に比例したより確実な量規制をした潤滑油を保持溝34に供給でき、低圧の吸入域30側への流出、吸入加熱をさらに抑制しながら、しかも保持溝34の高圧域への供給を保証して性能のさらなる向上を図ることができる。
【0034】
また、このような構成であると、差圧給油方式を採用しても、凹部38においてその液溜まり21側か保持溝34側かのいずれかで通じ合いが常に断たれていて、運転停止時に残存する差圧によって潤滑油41が供給され続けることはなく、潤滑油41の過剰供給は勿論、外部への持ち出しは生じない。従って逆止弁は不要である。
【0035】
以上のような駆動方法を採用した本実施例のスクロール圧縮機は、図1、図2に示すように前記固定渦巻部品10と旋回渦巻部品11とが噛み合わされて双方間に圧縮空間32が形成され、旋回渦巻部品11が固定渦巻部品10に対し円軌道運動されたとき圧縮空間32が移動しながら容積を変化させて、冷媒の吸入、圧縮および吐出を行う圧縮機構部2と、旋回渦巻部品11の旋回駆動に伴い旋回渦巻部品11の背面の液溜まり21に供給した潤滑油41を、旋回渦巻部品11の外周部背面側の背圧室29に旋回渦巻部品11を通じ供給制限部101で制限して供給するのに併せ、前記潤滑油41を旋回渦巻部品11を通じ旋回渦巻部品11の羽根における先端の前記チップシール33などのシール部材を保持する保持溝34に供給する液供給機構102とを備え、さらに、液供給機構102は、固定渦巻部品10の旋回渦巻部品11と摺動する面に設けた凹部38と、旋回渦巻部品11に設けられて旋回渦巻き部品11の旋回に伴い前記凹部38と間欠的に通じ前記液溜まり21の潤滑油41を凹部38に供給する第1の通路36と、旋回渦巻部品11に設けられてその旋回に伴い前記第1の通路36と異なったタイミングで前記凹部38と通じて凹部38内の液を前記保持溝34に供給する第2の通路37とを備えたもので足り、必須の部材、既設部材を利用して高性能かつ高信頼性の構造が簡単で安価なスクロール圧縮機が得られる。ここに、第1、第2通路36、37および凹部38は液溜まり21から保持溝34に潤滑油を間欠に供給する間欠供給機構100をなしている。
【0036】
もっとも、この間欠供給機構100における第1、第2通路36、37の間欠的な通じ合いが凹部38に同時に通じ合って行われて、通じ合い時に運転が停止されても図1の例、図6の例で示すような容積型ポンプ18を利用した給油方式であれば前記外部への持ち出しの問題はない。なお、図示しないが、第1、第2の通路36、37の直接の通じ合いは、双方を旋回渦巻部品11にて通じるようにしておき、その境界部を開閉する弁部材を固定渦巻部品10と旋回渦巻部品11との相対移動により開閉することで行える。もっとも、他の方法によってもよい。
【0037】
さらに、液供給機構102の前記供給制限部101は、前記液溜まり21から背圧室29に潤滑油41を供給する通路である図1、図2の例の場合のような長孔23などに設けられた絞り部24、あるいは、この絞り部24を図3、図4に示す例のように持ち、または持たない通路である長孔23などを図4に示すように旋回渦巻部品11の旋回運動に伴い間欠的に背圧室29に通じさせる間欠連通部103などであればよい。
【0038】
後者では特に、旋回渦巻部品11の旋回に伴う間欠的な直接または間接に通じる時間割合や流量の設定によって、どのようにも制限することができ、背圧の過剰や吸入加熱を防止すべく供給制限を強める場合でも、従来のように絞り孔の径を小さくしたり長くして詰まりやすくなって性能や信頼性が低下する問題、および加工が困難でコスト高になる問題のいずれも解消し、より高効率かつ低コストなスクロール圧縮機が実現する。また、図3、図4の例で示すように絞り部24を間欠連通部103と併せ持つことにより、加工が容易で詰まりが生じない程度の絞り部24にて、従って、コストが特に上昇するようなことなしに、より高い供給制限を間欠供給による脈流を抑制しながら容易に達成することができ、性能のさらなる安定と吸入加熱のさらなる防止が図れる。
【0039】
なお、供給制限部101が図3、図4に示す例のように、間欠的に通路である長孔23などが背圧室29に通じるものである場合、この通じる時間が前記凹部38が第1の通路36と通じる時間と異なったタイミングになるように設定すると、凹部38への潤滑油41の供給圧が背圧のための潤滑油41の供給によって低下されず、保持溝34の高圧域への潤滑油41の供給がさらに確保しやすくなる。
【0040】
また、供給制限部101が図5の例で示すように、前記第1の通路36の途中から分岐した分岐通路に設けられていると、第1の通路36の一部を共用して設けられるので、共用した分だけ通路構造が簡単で加工しやすくなり、コストがさらに低減する。
【0041】
さらに、図1〜図7に示す各例のように、背圧室29の過剰液を液逃がし経路104を通じ逃がして背圧室29を所定の圧力に維持する圧力調整機構31を備えておくのに、図6、図7に示す例のように、液逃がし経路104は前記旋回渦巻部品11の旋回に伴い図7(a)(b)に示すように間欠的に背圧室29に通じる開口50を有したものとすることができる。このようにすると、過剰な潤滑油41を逃がし経路104を通じ逃がす簡単な方式での背圧調整をも採用してより適正な背圧状態を維持できるようにする一方、この逃がした潤滑油41を差圧方式にて圧縮空間32に供給しそこでのシールと潤滑に利用するので、固定、旋回各渦巻部品10、11間のシールおよび潤滑機能がさらに向上する。しかも、液逃がし経路104の開口50が旋回渦巻部品11の旋回に伴い背圧室29に間欠的に通じるので、背圧調整のために逃がした潤滑油41を圧縮空間32の吸入域30に供給することが無闇に行われず吸入加熱の問題が生じるのを抑制することができる。特に、液逃がし経路104の開口50が背圧室29に間欠的に通じる時間を供給制限部101で間欠的に通じる時間と異ならせることにより、運転が停止しても圧力調整機構31への潤滑油41の供給通路が液逃がし経路104の開口50か供給制限部101かのいずれかで常に遮断されるので、差圧給油方式を採用しても潤滑油41の過剰供給や外部への持ち出しは生じない。従って、逆止弁は不要である。
【0042】
図1、図2に示す例のスクロール圧縮機について、さらに具体的に説明する。圧縮機構部2は電動機3とともに容器1内に上下に配置されている。電動機3は容器1の内側に固定されたステータ4と、このステータ4の内側に位置するロータ5とからなり、このロータ5にはクランク軸6が貫通状態で結合されている。このクランク軸6の一端側は圧縮機構部2の一部を構成する支持部材である主軸受部材7によって主軸受8を介し軸受けされている。主軸受部材7は容器1内に固定され、これに取り付けた固定渦巻部品10との間に旋回渦巻部品11を収容して固定渦巻部品10との噛みあい状態に保持している。主軸受部材7と旋回渦巻部品11との間に旋回渦巻部品11の自転を阻止して円軌道運動させる自転拘束手段としてもオルダムリングなどの自転拘束部品12や機構を働かせ、クランク軸6の主軸受8の上に出た一端側の先端に備えられたクランク軸6に対して偏心運動を行う偏心部9により旋回軸受13を介し旋回渦巻部品11を駆動し、旋回渦巻部品11を固定渦巻部品10に対し旋回運動のみをさせることによって、圧縮空間32を例えば外周部から渦巻の中心に向かって容積を減少させながら移動させることにより吸入ポート14を通じ外部サイクルから冷媒ガス等を吸入し、圧縮する。圧縮した冷媒ガスなどは吐出ポート15を通り、容器内空間16に吐出する。
【0043】
また、クランク軸6の他端側は容器1内に固定された支持部材である副軸受部材17の副軸受17aによって軸受けされている。クランク軸6の他端側の副軸受17aから下方に出た先端に容積型ポンプ18を備えている。容積ポンプ18はクランク軸6によって圧縮機構部2とともに駆動され、液溜部19に貯留された潤滑油41をクランク軸6の中心に軸方向に設けられた給油経路20を通じて偏心部9の上部の液溜まり21に供給する。液溜まり21に供給した潤滑油41は旋回軸受13を潤滑および冷却し、次の液溜まり22を経て主軸受8を潤滑し、その後前記した液溜部19に戻り再循環される。
【0044】
一方、液溜まり21に供給された潤滑油41の一部は、旋回渦巻部品11の内部に設けられた長孔23を経由して細い絞り孔で構成された絞り部24より旋回鏡板25と主軸受部材7に設けられた窪み26と固定渦巻部品10の面27とシール部材28で囲われた背圧室29に、減圧されて供給される。ここに、背圧室29は液溜まり21、22よりも低圧になる。そこで、前記シール部材28は高圧部である液溜まり21、22とそれよりも低圧の背圧室29との間をシールし、絞り部24を経ないで通じ合うことを防止する役割を持っている。この背圧室29には前記自転拘束部品12が配設されておりこの背圧室29に供給される潤滑油41により潤滑を行う。
【0045】
背圧室29に供給された潤滑油41が溜まるに従い、背圧室29の圧力が上昇して固定、旋回渦巻部品10、11間の過剰接触の原因になる。そこで、その圧力を一定の範囲に保つために、背圧室29と圧縮空間32の低圧域である吸入域30との間に前記圧力調整機構31が設けられている。この圧力調整機構31は、背圧室29の圧力が設定された圧力より高くなると作動して液逃がし経路104を開いて背圧室29内の過剰な潤滑油41を吸入域30へ逃がし、圧縮空間32に供給する。これにより背圧室29内の圧力はほぼ一定に保たれると共に吸入域30に供給された潤滑油41は圧縮空間32に導かれ、圧縮中の冷媒ガス等の漏れを防ぐシールの役割と、固定渦巻部品10と旋回渦巻部品11の接触面を潤滑する役割を果たす。
【0046】
また、液溜まり21に供給された潤滑油41は、第1の通路36と、固定渦巻部品10の旋回渦巻部品11との摺動面に形成された前記凹部38とが、旋回渦巻部品11の旋回運動に伴い図2(a)に示すように通じた時点で、第1の通路36を介し凹部38に供給されて溜められ、前記通じ合いを断たれた時点以降一旦閉じ込められる。次いで、旋回渦巻部品11の旋回運動に伴い溜められる。その後、旋回渦巻部品11の旋回運動に伴い図2(b)に示すように凹部38が第2の通路37に通じた時点で、凹部38に溜められていた潤滑油41は第2の通路37を介して、旋回渦巻部品11の羽根先端部に形成されたチップシール33の保持溝34に供給される。
【0047】
以上のようにして、液溜部19から容積型ポンプ18でクランク軸6の偏心部9上部の液溜まり21に供給された潤滑油41は、第1の通路36と第2の通路37により保持溝34のチップシール33背面にある隙間で形成される空間に間欠的に供給され、吐出ポート15から吸入ポート14に至る圧縮空間32の全域に適量の潤滑油41が供給される。また、保持溝34の底面に供給される潤滑油41の量は、固定渦巻部品10に設けられた凹部38などよりなる溜まり空間の容積により容易に制御できる。そのため、高圧の潤滑油41が圧縮空間32における低圧の吸入域30側に多量に流入することによって発生する吸入加熱による性能低下を防ぐことができ、性能および信頼性の高いスクロール圧縮機を実現できる。
【0048】
もっとも、凹部38内の潤滑油41は液溜まり21での潤滑油41と同圧であり、凹部38が保持溝34に通じたときは保持溝34側の圧力との差によって供給される。従って、凹部38には潤滑油41は残る。
【0049】
図3に示す例のスクロール圧縮機は、図1、図2の例の間欠供給機構100に加え、既述した絞り部24と間欠連通部103とを併用した供給制限部101を採用したものである。図4(a)〜(d)に旋回渦巻部品11の90°毎の旋回位置における絞り部24の絞り孔開口24aとシール部材28との作動時の関連を示してあるように、絞り孔開口24aは、液溜まり22と背圧室29との間をシール部材28をまたぎながら円運動を行う。絞り孔開口24aがシール部材28または液溜まり22に臨んでいるときには、潤滑油41が背圧室29に供給されない。一方、絞り孔開口24aが背圧室29に臨んでいるときには、液溜まり22の潤滑油41が長孔23および絞り部24を通って背圧室29に供給される。従って、絞り孔開口24aが背圧室29に臨んでいる時間的割合を設計変更すれば、背圧室29への潤滑油41の供給量を調整することができる。この場合、絞り孔開口24aは、形成位置の設定により円運動するときの軌跡の径を設計変更して、背圧室29に臨んでいる時間的割合を調整できるので、従来のように絞り部24の絞り孔の径を小さく、また長さを長くしたりする場合のような不具合が生じない。
【0050】
なお、絞り部24が背圧室29に間欠的に連通し、長孔23を通って背圧室29に潤滑油41を供給するのに代えて、絞り部24が液溜まり22に間欠的に連通し、長孔23を通って背圧室29に潤滑油を供給する構成を用いても、同様の効果を得ることができるのは勿論である。これにより、図1、図2に示す作用に加えて、吸入孔近傍の圧縮室に適量に調整された潤滑油を供給でき、高性能で低コストなスクロール圧縮機を実現できる。
【0051】
図5に示す例のスクロール圧縮機は、図4の例の絞り部24および間欠連通部103を持った供給制限部101を、既述の間欠供給機構100における第1の通路36の途中から分岐して形成している。このようにすることにより、加工工数を削減して実現でき、この利点は絞り部24および間欠連通部103のいずれか1つを設ける場合でも同様である。
【0052】
図6、図7に示す例のスクロール圧縮機は、図3の例の液溜部19からクランク軸6を通じて背圧室29と旋回渦巻部品11におけるチップシール33の保持溝34とに潤滑油41を供給する液供給機構102を、給油経路20に供給した潤滑油41が主軸受8を潤滑して後液溜まり22を経て旋回軸受13を冷却および潤滑して液溜まり21に達し、ここから間欠供給機構100を介した保持溝34への間欠供給を行い、液溜まり22から絞り部24および間欠連通部103を持った供給制限部101を介した背圧室29への間欠供給を行うようにしてあり、これに加え、さらに、既述した背圧室29から圧縮空間32の低圧の吸入域30への液逃がし経路104に圧力調整機構31を設け、液逃がし経路104の開口50が旋回渦巻部品11の旋回に伴い背圧室29に間欠的に通じるようにしたものである。従って、図1の例で説明した間欠供給機構100、図3の例で説明した絞り部24および間欠連通部103を持った供給制限部101、図6、図7を参照して既述した圧力調整機構31、のそれぞれによる特長を発揮する。他の構成は図1に示す例と特に変わるところはない。従って、共通する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0053】
なお、本例の液供給機構102を差圧給油方式のものとしても、図7(a)におけるように供給制限部101での間欠連通部103がシール部材28の外側に越えて背圧室29に通じ合った状態で運転が停止した場合、間欠供給機構100の第1、第2通路36、37が通じていないので、保持溝34への潤滑油41の供給は行われず、過剰供給や外部への持ち出しは生じない。同時に圧力調整機構31の液逃がし経路104の開口50は旋回鏡板25によって塞がれているので、潤滑油41が背圧室29から吸入域30に供給されないので、過剰供給や外部への持ち出しは生じない。
【0054】
また、図7(b)におけるように、圧力調整機構31の液逃がし経路104の開口50が背圧室29に通じた状態で運転が停止しても、供給制限部101での間欠連通部103がシール部材28の内側に位置して背圧室29と通じていないので、背圧室29の潤滑油41が圧力調整機構31を介して吸入域30に供給されることはなく、過剰供給や外部への持ち出しは生じない。間欠供給機構100の第1、第2通路36、37も通じていないので、保持溝34への潤滑油41の供給は行われず、過剰供給や外部への持ち出しは生じない。
【0055】
【発明の効果】
本発明のスクロール圧縮機によれば、旋回渦巻部品の旋回により吸入、圧縮、吐出の動作を繰り返すのに併せ、旋回渦巻部品の旋回駆動に伴い旋回渦巻部品の背面の液溜まりおよび旋回渦巻部品内を経て、旋回渦巻部品外周部の背面側と、旋回渦巻部品の羽根先端におけるシール部材の保持溝とに液を供給することにより、旋回渦巻部品外周部の背面側では供給した液による背圧にて旋回渦巻部品をバックアップするとともに、液の供給は所定の制限の基に行うことでバックアップの過不足を無くし、固定渦巻部品から離れずまた過剰に接触しない安定な旋回動作を保証する一方、保持溝では供給した液による固定、旋回各渦巻部品間のシールおよび潤滑を図って、圧縮性能、耐久性を高めることができる。特に、保持溝への液の供給は旋回渦巻部品の旋回に伴う液溜まりと保持溝との間欠的な直接または間接の通じ合い時に、液溜まりの高圧でしかも背圧室への供給が制限されて余剰液が生じやすい環境にある液を絞ったりせずにそのままの状態で供給することによって、保持溝の高圧域にも行き渡りやすくしながら、全体としては液溜まりと保持溝とが通じる時間割合いないしは流量の設定によって供給する液の量規制をするので、低圧の吸入域側への流出を抑えながら保持溝の高圧域を含む全域に適量の液を供給して圧縮空間のシールおよび摺動部の潤滑を図ることができ、性能および信頼性の高いスクロール圧縮機が実現する。
【0056】
特に、保持溝への供給は旋回渦巻部品の旋回に伴い第1の通路が凹部に通じたときに液溜まりの液を凹部に供給し、この凹部が第1の通路と異なったタイミングで、従って第1の通路と通じなくなったタイミングで第2の通路と通じ凹部内の液を前記保持溝に供給するので、液溜まりの高圧で、しかも背圧室への供給が制限されて余剰液が生じやすい環境にあって保持溝の高圧域にでも行き渡りやすい状態の液を、絞ったりせずにそのままの状態で第1、第2の通路と同時に通じることのない凹部によって確実に量規制し、低圧の吸入域側への流出を抑えながら圧縮空間の全域に適量の液を供給してシールおよび潤滑を図ることができ、性能および信頼性の高いスクロール圧縮機が必須の部材、既設部材を利用した簡単で安価なものとして提供することができる。また、差圧給油方式を採用しても、第1、第2の通路の一方が凹部との間で閉じて互いが通じることがないので、運転停止時に残存する差圧によって液が供給され続けることはなく、液の過剰供給は勿論、外部への持ち出しは生じない。従って逆止弁は不要である。
【0057】
もっとも、第1、第2通路が凹部を介して間欠的に通じ合っても容積型ポンプを利用した給油方式であれば問題はなく、間欠的に通じることでも供給する液を適正量に規制しながら通じるときに供給圧全体を働かせて高圧部に供給しやすくすることができる。
【0058】
さらに、液供給機構の前記供給制限部は、前記液溜まりから背圧室に液を供給する通路に設けられた絞り部、あるいは、この絞り部を持ち、または持たない通路を旋回渦巻部品の旋回運動に伴い間欠的に通じさせる間欠連通部であればよく、後者では特に、旋回渦巻部品の旋回に伴う間欠的に通じる時間割合や流量の設定によって、どのようにも制限することができ、背圧の過剰や吸入加熱を防止すべく供給制限を強める場合でも、従来のように絞り孔の径を小さくしたり長くして詰まりやすくなって性能や信頼性が低下する問題、および加工が困難でコスト高になる問題のいずれも解消し、より高効率かつ低コストなスクロール圧縮機が実現する。また、絞り部を併せ持つことにより、加工が容易で詰まりが生じない程度の絞り部にて、従って、コストが特に上昇するようなことなしに、より高い供給制限を間欠供給による脈流を抑制しながら容易に達成することができ、性能のさらなる安定と吸入加熱のさらなる防止が図れる。
【0059】
なお、供給制限部が間欠的に通路が通じるものである場合、通じる時間が前記凹部が第1の通路と通じる時間と異なったタイミングになるように設定すると、凹部への液の供給圧が背圧のための液供給によって低下されず、保持溝の高圧域への液の供給がさらに確保しやすくなる。
【0060】
また、供給制限部が、前記第1の通路の途中から分岐した分岐通路に設けられていると、第1の通路の一部を共用して設けられるので、通路構造が簡単で加工しやすくなり、コストがさらに低減する。
【0061】
背圧室の過剰液を逃がし経路を通じ逃がして背圧室を所定の圧力に維持する圧力調整機構を備え、逃がし経路は前記旋回渦巻部品の旋回に伴い間欠的に背圧室に通じる開口を有している構成とする構成では、さらに、過剰な液を逃がし経路を通じ逃がす簡単な方式での背圧調整をも採用してより適正な背圧状態を維持できるようにする一方、この逃がした液を差圧方式にて圧縮空間に供給しそこでのシールと潤滑に利用するので、固定、旋回各渦巻部品間のシールおよび潤滑機能がさらに向上する。しかも、逃がし経路の開口が旋回渦巻部品の旋回に伴い背圧室に間欠的に通じるので、背圧調整のために逃がした液を吸入域に供給することが無闇に行われず吸入加熱の問題が生じるのを抑制することができる。特に、逃がし経路の開口が背圧室に間欠的に通じる時間を供給制限部で間欠的に通じる時間と異ならせることにより、運転が停止しても圧力調整機構への液の通路が逃がし経路の開口か供給制限部かのいずれかで常に遮断されるので、差圧給油方式を採用しても液の過剰供給や外部への持ち出しは生じない。従って、逆止弁は不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るスクロール圧縮機の1つの例を示す断面図。
【図2】図1のスクロール圧縮機の圧縮機構の2つの動作状態(a)(b)を示す部分断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るスクロール圧縮機の別の例を示す圧縮機構の部分断面図。
【図4】図3のスクロール圧縮機における旋回渦巻部品の90°毎の旋回位置(a)〜(d)で見た背面図。
【図5】本発明の実施の形態に係るスクロール圧縮機の他の例を示す圧縮機構の部分断面図。
【図6】本発明の実施の形態に係るスクロール圧縮機の今1つの例を示す断面図。
【図7】図6のスクロール圧縮機における圧縮機構を2つの動作状態(a)(b)で示す部分断面図。
【図8】従来のスクロール圧縮機の1つの例を示す断面図。
【図9】図8のスクロール圧縮機における潤滑油供給路の絞り部の断面図。
【図10】従来のスクロール圧縮機の他の例を示す断面図。
【図11】図10のスクロール圧縮機における逆止弁の停止時の拡大断面図。
【図12】図10のスクロール圧縮機における逆止弁の運転時の拡大断面図。
【符号の説明】
1 容器
2 圧縮機構部
3 電動機
6 クランク軸
8 主軸受
9 偏心部
10 固定渦巻部品
11 旋回渦巻部品
13 旋回軸受
14 吸入ポート
15 吐出ポート
16 容器内空間
17a 副軸受
19 液溜部
20 給油経路
21、22 液溜まり
23 長孔
24 絞り部
10a、25 旋回鏡板
28 シール部材
29 背圧室
30 吸入域
31 圧力調整機構
32 圧縮空間
33 チップシール
34 保持溝
36 第1の通路
37 第2の通路
38 凹部
50 開口
100 間欠供給機構
101 供給制限部
102 液供給機構
103 間欠連通部
104 液逃がし経路

Claims (4)

  1. 鏡板から羽根が立ち上がった固定渦巻部品と旋回渦巻部品とが噛み合わされて双方間に圧縮空間が形成され、旋回渦巻部品が固定渦巻部品に対し円軌道運動されたとき圧縮空間が移動しながら容積を変化させて、流体の吸入、圧縮および吐出を行う圧縮機構部と、旋回渦巻部品の旋回駆動に伴い旋回渦巻部品の背面の液溜まりに供給した液を、旋回渦巻部品外周部の背面側の背圧室に旋回渦巻部品を通じ供給制限部で制限して供給するのに併せ、前記液を旋回渦巻部品を通じ旋回渦巻部品の羽根における先端の固定渦巻部品との間のシール部材を保持する保持溝に供給する液供給機構とを備えたスクロール圧縮機において、
    液供給機構は、固定渦巻部品の旋回渦巻部品と摺動する面に設けた凹部と、旋回渦巻部品に設けられて旋回渦巻き部品の旋回に伴い前記凹部と間欠的に通じ前記液溜まりの液を凹部に供給する第1の通路と、旋回渦巻部品に設けられてその旋回に伴い前記第1の通路と異なったタイミングで前記凹部と通じて凹部内の液を前記保持溝に供給する第2の通路とを備えたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 液供給機構の前記供給制限部は、前記液溜まりから背圧室に液を供給する通路に設けられた絞り部、あるいは、この絞り部を持ち、または持たない通路を旋回渦巻部品の旋回運動に伴い間欠的に通じさせる間欠連通部である請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 供給制限部は、前記第1の通路の途中から分岐した分岐通路に設けられている請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記背圧室の過剰液を逃がし経路を通じ逃がして背圧室を所定の圧力に維持する圧力調整機構を備え、逃がし経路は前記旋回渦巻部品の旋回に伴い間欠的に背圧室に通じる開口を有している請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
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