近年、例えばシールド掘進機によるトンネル坑の覆工は大深度化、長距離化の方向にある。この長距離施工に対応するようにカッタヘッドに取り付けられたカッタビットは、激しく磨耗するため、同カッタビットの交換は避けがたい。このカッタビットの交換に際して、切羽側から交換作業を行うことは切羽の崩壊などによる危険を伴う。このため、このカッタビット交換などの作業を行うにあたり、シールド掘進機内においてカッタビット交換作業を行い得るように様々な提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1に記載されたシールド掘進機は、図12に示すようにシールド外筒101とシールド外筒101内に前後摺動可能に配設されたシールド内筒102とを備えている。カッタビット103を交換するにあたっては、シールド掘進機の前方と切羽との間に形成されたチャンバ104内をミキシングしながら、固化材を注入し、チャンバ104内を掘削土砂等から低強度ソイルモルタル105に置き換える。
チャンバ104内を低強度ソイルモルタル105に置き換えた後、カッタ前面から切羽面に向けて高強度モルタル106を打設しながら、シールド内筒102と一緒に、低強度ソイルモルタル105とカッタ全体をシールド外筒101内の後方へ引き込む。カッタ前面に高強度モルタル106を十分な厚さに打設した後、チャンバ104内から排土装置の後方に向けて低強度ソイルモルタル105を排出し、チャンバ104内にカッタビット交換用の作業空間を確保する。
また、カッタビットを交換する他の方法として、シールド外筒内にカッタビット交換用の作業空間を形成する方法がある(例えば、特許文献2参照。)。
この特許文献2に記載されたシールド掘進機では、カッタビット107を交換するにあたり、図13に示すように、シールド外胴108に対してシールド内胴109と一緒にカッタを後退させる。そのシールド内胴109の後退と同時に、止水材料をカッタ前面から切羽面に向けて吐出させることにより遮水壁110を形成する。
次に、シールド内胴109を後退させながら、補強材料をカッタ前面から吐出させて補強壁111を形成する。更に、シールド内胴109を後退させつつ、脆弱材料をカッタ前面から吐出させて脆弱層112を形成する。前記補強壁111が所定の強度に達した時点で、前記脆弱層112を除去し、シールド外胴108内にカッタビット交換用の作業空間を確保する。
また、カッタビットを交換する更に他の方法として、注入材を注入した袋体によりカッタ前面に壁体を形成する方法がある(例えば、特許文献3参照。)。
この特許文献3に記載されたシールド掘進機は、図14に示すように、前胴113及び後胴114を相互に摺動屈曲自在に接続している。前胴113の前端部には摺動可能に配設されたカッタ116が備えられている。カッタ116内の前部には、切羽面に向けて膨張可能な複数の袋体115が分散して装着されている。
カッタビットを交換するにあたっては、所定圧を加えて注入材を袋体115に注入し、同袋体115を膨らませながら、カッタ116を前胴113内に沿って所定距離後退させる。これにより、切羽面とカッタ前面と前胴113の内周面とに囲まれた壁体117を形成する。次に、チャンバ118内の掘削土砂などを排泥管から後方に向けて排出し、チャンバ118内にカッタビット交換用の作業空間を確保する。
また、カッタビットを交換する更に他の方法として、チャンバ内及びカッタ前面付近にカッタビット交換用の作業空間を形成する方法がある(例えば、特許文献4参照。)。
この特許文献4に記載されたシールド掘進機は、上記特許文献3の技術と同様にテレスコピック状にされた前後胴119,120を相互に摺動屈曲自在に接続している。
カッタビットを交換するにあたっては、図15に示すように、カッタ前面の掘削土砂通過用スリットを閉塞する。その後、カッタ121を前胴119内に沿って所定距離後退させながら、カッタ前面から粘性膜形成材を注入する。それと同時にカッタ121を回転させ、その粘性膜形成材を撹拌しながら、カッタ前面と切羽面との間に粘性膜122を形成する。
次に、前記粘性膜122と一緒にカッタ121を所定距離後退させながら、切羽面と粘性膜122との間に固化材を注入して固化層123を形成する。固化層123が固まった後、チャンバ124内の掘削土砂などを排泥管から後方に向けて排出する。次に、作業員がチャンバ124内に入り、前記粘性膜122を除去することによりチャンバ124内及びカッタ前面付近に作業空間を形成する。なお、上記特許文献3及び4の技術は、本出願人等が先に提案したものである。
特許第3124503号公報
特許第3171459号公報
特開2001−336391号公報
特開2002−256791号公報
上記特許文献1に記載された従来のシールド掘進機におけるカッタビット交換のための固化材充填工法では、チャンバ104内にも固化材が充填されてしまう。このため、カッタビット交換後にチャンバ104内で固化した固化材の除去作業に多大な時間を必要とする。このため、必然的に工事費が増大するとともに、全体工期も長くなるという問題があった。
また、シールド掘進機内に引き込んだカッタを初期の掘進位置に戻す際に、シールド掘進機におけるスキンプレートの内周面に固着した固化材を削り落とすための機構が必要となる。このため、シールド掘進機内に収納された各種機器ユニットの設置スペースに加えて前記機構の設置スペースを確保しなければならなくなる。その結果、限られたシールド掘進機の内部空間を狭小化するという問題があった。
上記特許文献2に記載されたシールド掘進機にあっても、シールド掘進機におけるスキンプレートの内周面に固着した固化材を削り落とすための機構が必要となる。従って、上記特許文献1に記載された従来の技術とは従前どおり変わるところはない。
一方、上記特許文献3及び4に記載されたシールド掘進機では、上記特許文献1に記載されたような固化材充填工法を排除している。従って、チャンバ104内の固化材除去作業を必要としない。このため、カッタビットの交換作業性を向上することができるという利点がある。
しかしながら、上記特許文献1〜4に記載された各従来技術では、カッタ全体をシールド掘進機内に沿って後方へ引き込むために前後胴を設け、固化材を注入するための空間を前記前胴に形成することが必要となる。このため、シールド掘進機内に前記内胴の移動スペースを確保しなければならない。その結果、各種の機器ユニットなどの設置スペースに加えてシールド掘進機内の空間を充分に確保しなければならなくなり、限られたシールド掘進機の内部空間を益々狭小化することになる。従って、狭小化された作業空間内におけるカッタビットの交換作業を難しいものにしてしまう。
このように、カッタビットの交換作業を行うにあたり、シールド掘進機の内部空間に前記内胴の移動スペースを確保することは限界があり、トンネル坑の掘削効率の悪化にもつながる。そこで、カッタビットの交換作業を行うにあたり、シールド掘進機前方の切羽の崩壊などを防止しながら、カッタと一緒にシールド掘進機全体を後方へ移動することが考えられる。
一般に、シールド掘進機のテールシールは、組み立てられたセグメントリングの外周面と地山との間の間隙にシールド掘進機後退方向に延在している。このため、その構造上、シールド掘進機を後退させると、テールシールが既設セグメントリングの外周面とシールド掘進機のスキンプレート内周面との間の間隙に巻込まれてシールド掘進機推進方向に反転してしまう事態が発生する。
その結果、シールド掘進機の後退に伴い、テールシールがシールド掘進機推進方向に引き込まれて折れ曲がったり、ねじれたりすることとなり、テールシールに破損、変形や破壊などが発生するという問題があった。更には、既設セグメントリングの外周面とシールド掘進機のスキンプレート内周面との間の間隙にテールシールが引っ掛かった状態でシールド掘進機が後退する場合は、テールシールがシールド掘進機の後退時の障害となる。その結果、既設セグメントやシールド掘進機のスキンプレートを破壊してしまうという問題があった。
本発明は、上記従来の課題を解消すべくなされたものであり、シールド掘進機の後退を確実に、簡単に且つ円滑に行うことを可能にしたシールド掘進機の後退方法を提供することを第1の目的としている。更には、シールド掘進機におけるカッタヘッドに取り付けられるカッタ類の交換や補修が容易であり、狭い作業空間を有効に利用することを可能にしたシールド後退用治具を提供することを第2の目的としている。
本件請求項1に係る発明は、トンネルの内壁に沿ってシールド掘進機を後退させる方法であって、前記シールド掘進機の後退時に、同シールド掘進機のテールシールを保護し、同テールシールの内周面とセグメントをリング状に組み立てたセグメントリングの外周面との間の間隙をシールするシールド後退用治具を前記間隙に介装する工程、及び前記セグメントリングにおけるシールド掘進機掘進方向の最前列のセグメントを取り外しながら、前記シールド掘進機と前記シールド後退用治具とを一緒に後退させる工程を含んでなることを特徴とするシールド掘進機の後退方法にある。
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載の発明にあって、前記シールド掘進機の掘進ゾーン中にシールド後退区間を設定し、同設定したシールド後退区間の開始位置と終了位置との間にわたって新設セグメントをリング状に順次組み立てながら、前記シールド掘進機を掘進させ、前記シールド後退区間にわたって、地山に対する薬液の注入と、前記新設セグメントリングと前記地山との間の間隙に対して裏込め材を注入する工程、前記シールド掘進機の最後尾が前記シールド後退区間の終了位置に到達したとき、前記シールド掘進機の掘進と前記薬液及び裏込め材の注入とを停止する工程、及び前記新設セグメントを取り外しながら、前記シールド掘進機を前記シールド後退区間内の所定位置まで後退させ、同時に前記シールド掘進機前方に土圧対抗用の充填剤を注入する工程を含んでいることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、上記請求項2記載の発明にあって、前記新設セグメントの組立てにおいて、同新設セグメントを組み立てた新設セグメントリングの外径をシールド後退区間の設定前に組み立てられたセグメントリングの外径よりも小さく設定していることを含んでなることを特徴としている。
請求項4に係る発明は、トンネルの内壁に沿ってシールド掘進機を後退させるときに用いるシールド後退用治具であって、前記シールド後退用治具が、セグメントをリング状に組み立てたセグメントリングの外周面と前記シールド掘進機のテールシールの内周面との間の間隙に介装され、少なくともトンネル周方向に分割可能な分割筒体と、同分割筒体におけるシールド掘進機後退方向の内周部に配され、前記セグメントリングの外周面と前記分割筒体の内周面との間の間隙にシールド掘進機掘進方向に向けて延びるシール部材とを有してなることを特徴とするシールド掘進機のシールド後退用治具にある。
請求項5に係る発明は、上記請求項4記載の発明にあって、更に前記シールド後退用治具が、前記分割筒体の外周部にシールド掘進機掘進方向に向けて延びる弾性板材を有し、同弾性板材の内面と前記分割筒体の外周面との間に前記テールシールを弾接支持していることを特徴としている。
請求項6に係る発明は、上記請求項4又は5記載の発明にあって、前記分割筒体の筒部に、裏込め材を洗浄する洗浄剤用の注入路がシールド掘進機掘進側から後退側にわたり形成され、同注入路のシールド掘進機後退側に噴射口が形成されていることを特徴としている。
上記請求項1に係る発明にあっては、シールド掘進機の後退時に、掘進用ジャッキによりシールド掘進機と一緒に後退することができるシールド後退用治具をシールド掘進機内に備えることができる。このシールド後退用治具の存在により、シールド掘進機の後退時に、シールド掘進機のテールシールとシールド後退用治具との間での位置関係を固定することができ、シールド後退用治具により前記テールシールを不動状態にして、しっかりと保護することができる。また、シールド後退用治具の内周面とセグメントリング外周面との間の間隙を密にシールすることができる。
これにより、前記テールシールとセグメントリング外周面との間が密にシールされた状態で、シールド掘進機を後退させることができる。これによって、前記テールシールが、シールド掘進機の後退に伴い前記セグメントリングの外周面とシールド掘進機におけるスキンプレートの内周面との間の間隙にシールド掘進機推進方向に引き込まれて破損、変形や破壊するのを防止することができる。従って、前記テールシールがシールド掘進機の後退時の障害とならないため、シールド掘進機全体をトンネル坑内に確実に、容易に且つ円滑に後退させることができるようになる。
本発明では、シールド掘進機の後退時に、同シールド掘進機のテールシールを不動状態に保って保護し、同テールシールの内周面とセグメントリング外周面との間の間隙を確実にシールすることができるため、カッタビットを交換するにあたり、カッタ全体をシールド掘進機内に沿って後方へ引き込む機構及びその付帯設備が不要となる。このため、狭い作業空間を合理的に利用することができる。しかも、シールド掘進機のチャンバ内の固化材除去作業を必要としない。このため、カッタビットの交換作業性を向上することができる。その結果、トンネル築造の工事費が低減できるとともに、全体工期が短縮できる。
また、カッタビット交換や補修に関わらず、シールド掘進機の掘進中においてシールド掘進機前方に障害物が存在する場合は、シールド掘進機の推進を停止してシールド掘進機を障害物から所要の距離だけ後退させることができる。そして、その障害物を迂回しながら、シールド掘進機を再び掘進させることができるようになる。
本発明では、カッタビットの交換や補修にあたり、上記請求項2に係る発明のように、シールド掘進機の掘進ゾーン中にシールド後退区間を設定することができる。シールド後退区間におけるセグメントリングのセグメントとしては、特に限定するものではないが、組立て・取外し可能なセグメント(新設セグメント)を使用することが好ましい。
前記新設セグメントの組立てにおいては、上記請求項3に係る発明のように、前記新設セグメントリングの外径をシールド後退区間の設定前に組み立てられたセグメントリングの外径よりも小さく設定することが好適である。前記シールド掘進機のテールシール内周面と新設セグメントリング外周面間の間隙を拡大することができ、前記シールド後退用治具の挿入空間を十分に確保することができる。
カッタビットの交換や補修などにあたっては、前記シールド後退区間の開始位置と終了位置との間にわたって前記新設セグメントをリング状に順次組み立てながら、最前列の前記新設セグメントに反力をとって掘進用ジャッキを伸長させ、前記シールド掘進機を掘進させる。同シールド掘進機の掘進と同時に、地山に対して薬液を注入して地盤改良を行うとともに、組み立てられたセグメントリングと地山との間の間隙に裏込め材を注入する。この裏込め材としては、例えば液状ウレタン等の可塑性合成樹脂などを使用することができる。
上記操作を繰り返すことにより、前記シールド掘進機の最後尾が前記シールド後退区間の終了位置に到達したとき、シールド掘進機の掘進、地山に対する薬液の注入、及び前記新設セグメントリングと地山との間の間隙に対する裏込め材の注入を停止する。
その後、前記新設セグメントリングのセグメントを順次取り外しながら、シールド掘進機を前記シールド後退区間内の所定位置まで後退させる。同シールド掘進機の後退と同時に、シールド掘進機の前方に土圧対抗用の充填剤を注入する。この充填剤としては、例えばセメント・水ガラスの配合物などを使用することができる。
このように、前記シールド後退区間内の所定位置にシールド掘進機を後退させることにより、前記シールド後退区間内に壁体を形成することができる。この壁体の存在によって、地下水の漏出や切羽の崩落などを防止することができ、カッタビット交換作業の安全性を十分に確保することができる。しかも、カッタビット交換用の作業空間を十分に確保することができる。
本発明のシールド掘進機の後退方法は、上記請求項4記載のシールド後退用治具を使うことにより効果的に実施できる。このシールド後退用治具は、少なくともトンネル周方向に分割可能な分割筒体と、同分割筒体におけるシールド掘進機後退方向の内周部にシールド掘進機の掘進方向に向けて延びるシール部材とにより構成することができる。
前記分割筒体をセグメントリング外周面とシールド掘進機のテールシール内周面との間の間隙に円滑に挿入することができ、同挿入後には、前記シールド掘進機のスキンプレート内周面に脱着可能に固着して、シールド掘進機の後退と一体的に後退させることができる。前記シール部材により前記セグメントリングの外周面と前記分割筒体の内周面との間の間隙を確実にシールすることができる。
前記シールド掘進機を後退させるにあたり、同シールド掘進機の狭小な作業空間内で前記分割筒体を容易に組み立てることができる。この分割筒体をセグメントリング外周面とシールド掘進機のテールシール内周面との間の間隙に介装することにより、前記分割筒体を挟んで前記テールシールと前記シール部材とにより、前記セグメントリングの外周面と地山との間の間隙に注入した裏込め材などがセグメントリングの内周面側に漏れ出るのを防止することができる。
更に前記シールド後退用治具は、上記請求項5に係る発明のように、前記分割筒体の外周部にシールド掘進機掘進方向に向けて延びる弾性板材を備えることができる。同弾性板材の内面と前記分割筒体の外周面との間に前記テールシールを弾接して支持することができる。この弾性板材の存在により、前記テールシールを不動状態に確実に支持することができる。このため、テールシールの破損、変形や破壊などを防止することができ、テールシールの形態保持性やシール性を阻害することなく、シールド掘進機の後退時における障害を排除することができる。
上記請求項6に係る発明のように、前記分割筒体の筒部に、裏込め材を洗浄する洗浄剤を噴出する噴射口を有する注入路をシールド掘進機の掘進側から後退側にわたり形成することができる。前記噴射口から噴射した洗浄剤によって前記シール部材後方に注入した裏込め材などをほぐして流動化させることができる。このため、シールド掘進機後退時における土砂抵抗などを軽減することができる。前記裏込め材の洗浄剤としては、例えば洗浄水又は圧縮空気などの流体を使用することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
図1及び図2は本発明の代表的な実施形態を示している。図1はシールド掘進機の後退前の状態を示す説明図、図2は同シールド掘進機の後退後の状態を示す説明図である。
先ず、本発明に適用されるシールド掘進機の一例を簡単に説明する。図1及び図2において、本実施形態のシールド掘進機1は円筒体から構成されており、前分割胴部2及び後分割胴部3からなる二分割構成とされている。このシールド掘進機1は、前分割胴部2の後端部と後続の後分割胴部3の前端部とが球面状をなす継手4を介して接続されている。各分割胴部2,3は、例えばトンネルの急勾配や急曲線施工に対応して、それぞれの隔壁間でブラケットを介して周方向に等間隔に固設された複数のアーティキュレートジャッキ5,…,5により、相互に摺動屈曲自在に構成されている。
前記継手4の内壁面には、複数のシールドジャッキ6,…,6が前記アーティキュレートジャッキ5と同一円心上に等間隔に固定されている。このシールドジャッキ6のスプレッダ7は、掘進時に最前列のセグメント14に反力をとってシールドジャッキ6を伸長させながら、シールド掘進機1を切羽側(シールド掘進方向)に推進していくように構成されている。
前記前分割胴部2は、そのスキンプレートの前端開口部にカッタヘッド駆動用油圧モータ8により駆動回転するスポーク形状のカッタヘッド9を備えている。このカッタヘッド9の中心部に固着された回転軸が軸受部を介して前分割胴部2のスキンプレートに固定された隔壁に支承されている。前記カッタヘッド9の背面部にチャンバ10が形成されている。このチャンバ10の後方には、各分割胴部2,3から後方に延びるスクリュコンベヤ11が固設されている。
この前分割胴部2に連結される後分割胴部3の内部には、セグメントエレクタ装置12などが設置されており、1掘進ごとにトンネル内壁面にコンクリート製の円弧状のセグメント14をリング状に組み立てていくように構成されている。前記後分割胴部3の後端部にはワイヤーブラシシ方式のテールシール13が設けられている。この他にも、各分割胴部2,3の内部には、スクリュコンベヤの駆動用油圧モータ、土圧計や土質探査棒等の様々な設備や機器が設置されている。
以上の構成はシールド掘進機1の一般的な構成であり、これらの設備などを備えたシールド掘進機1をもってトンネルの掘削を行うときには、一般にカッタヘッド駆動用油圧モータ8を駆動してカッタヘッド9を回転させながら、地山を掘削する。シールド掘進機1が1回の掘進を終了すると、セグメントエレクタ装置12により、新たに掘削されたトンネルの部分に所要数のセグメント14をリング状に順次組み立てて覆工がなされたトンネルが築造される。このセグメントリングの組立てと同時に、組み立てられたセグメントリングと地山との間に裏込め注入が行われる。
上記シールド掘進機1は、従来から広く知られた周知の構造を有している。従って、本発明は上記シールド掘進機1の構造例に限定されるものではない。本発明の最も特徴とするところは、所要数のセグメント14がリング状に順次組み立てられたトンネルの内壁に沿ってシールド掘進機1を後退させるにあたり、シールド掘進機1のテールシール13を不動状態に保護し、且つテールシール13の内周面とセグメントリングの外周面との間の間隙をシールするシールド後退用治具20を使うことにある。
図3はシールド後退用治具20の一例を示している。図示例によるシールド後退用治具20は、トンネル周方向に所要数に分割可能な円弧状の分割筒体21からなる。前記後分割胴部3のセグメント組立スペース内で、分割して搬入された分割筒体21の分割部をリング状に組み立てることができる。組み立てた分割筒体21をセグメントリングの外周面とシールド掘進機1のテールシール13の内周面との間の間隙に介装することができる。この分割筒体21は、シールド掘進機1の後退時に、前記後分割胴部3の内部に固着してシールド掘進機1と一体的に後退させることができる。所要数のシールドジャッキ6(掘進用ジャッキ6)を用いて、シールド掘進機1と一緒に後退させることができる。
なお、分割筒体21の材質や断面形態は、特に限定されるものではなく、例えば分割筒体21をトンネル軸方向に分割可能に形成することもできる。また、シールド掘進機1の後退にあたっては、シールドジャッキ6を用いる必要はなく、例えば専用のジャッキを別に用意してもよい。
このセグメントリングのセグメントとしては、特に限定されるものではないが、例えば組立て・取外し可能な円弧状のセグメントを使用することができる。本実施形態では、シールド掘進機1の掘進ゾーン中のうち、図1に示すシールド後退区間Lにおいては、図3に示すように鋼製箱型のスチールセグメント15を使用している。スチールセグメント15の組立てには、既設のセグメントエレクタ装置12を使用することができる。
前記分割筒体21のシールド掘進機後退方向の内周部及び外周部には、図3に示すように、それぞれスチールセグメントリングの外周面と分割筒体21の内周面との間の間隙をシールするシール部材23と、シールド掘進機1のテールシール13を不動状態に弾接支持するとともに保護する弾性板材22とが固設されている。なお、前記弾性板材22は、前記テールシール保護手段として必ずしも必要とする部材ではなく、前記分割筒体21とシール部材23とによってシールド掘進機1のテールシール13を確実に支持することができ、同テールシール13の内周面とセグメントリングの外周面との間の間隙を密にシールすることができる。
前記シール部材23としては、図3に示すようにスチールセグメントリングの外周面に密接するワイヤーブラシシール23を使用することができる。ワイヤーブラシシール23はシールド掘進機1の掘進方向に向けて延びている。このワイヤーブラシシール23の外周面と分割筒体21の内周面との間にスポンジなどの弾性部材24を介在させることにより、シール部材としての形態保持性やシール性を十分に確保することができる。
この分割筒体21を前記スチールセグメントリングの外周面とテールシール13の内周面との間の間隙に介装することにより、前記分割筒体21を挟んで前記テールシール13と前記ワイヤーブラシシール23とにより、前記セグメントリング外周面と地山との間の間隙に注入した裏込め材31などがスチールセグメントリング内周面側に漏れ出るのを防止することができる。
前記弾性板材22は、前記分割筒体21のシールド掘進機後退方向の端部近傍から掘進方向に延在している。この弾性板材22の内面と分割筒体21の外周面との間にテールシール13を不動状態に弾接支持することができる。弾接支持するためには、テールシール13より先になるように弾性板材22を挿入し、挿入後、一旦、弾性板材22を後退させることにより弾性支持することができる。このため、テールシール13の破損、変形や破壊を防止することができる。しかも、テールシール13の形態保持性やシール性を阻害することなく、シールド掘進機1の後退時において確実に保護することができ、シールド掘進機1の後退時における障害を排除することができる。
前記分割筒体21の筒部には、図示せぬ洗浄剤注入管を通して注入される裏込め材31用の洗浄剤である洗浄水を注入する注入路21aをシールド掘進機1の掘進側から後退側にわたり周方向に複数個形成することができる。この分割筒体21の後端部には、前記シール部材23後方の裏込め材31や土砂などをほぐして流動化させるために洗浄水を噴出する複数個の噴射口21b,…,21bを有している。各噴射口21bの存在によりシールド掘進機1の後退時における土砂抵抗などを軽減することができる。なお、裏込め材31を洗浄する洗浄剤としては、洗浄水に代えて圧縮空気などの流体を使用することができることは勿論である。
図4は前記ワイヤーブラシシール23の変形例を示している。同図において、図3の実施形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付しているため、それらの部材に関する詳細な説明は省略する。
この変形例による前記シール部材23としては、前記分割筒体21の注入路21aに連通する中空部23aを有する中空殻体から構成することができる。このシール部材23の中空部23aに裏込め材31を洗浄する洗浄水又は圧縮空気などの洗浄剤を供給することができる。これにより、スチールセグメントリングの外周面と分割筒体21の内周面との間の間隙を液密にシールすることができるとともに、シール部材23の形態保持性を確保することができる。また、シールド後退用治具20をスチールセグメントリング外周面と前記テールシール13間の間隙に介装するとき、前記シール部材23の中空部23aを膨張させないことにより、前記シール部材13とスチールセグメントリング外周面間の摺動抵抗を減少させることもできる。
図5〜図11は本発明のシールド掘進機1を後退させる手順の一例を示している。これらの図に示すように、本発明に係るシールド掘進機1の後退方法は上記シールド後退用治具20を使って実施できる。以下、図1〜図3及び図5〜図11を参照しながら、シールド掘進機1を後退させる手順の一例を説明する。なお、本実施形態では、説明の冗長を避けるため、図5〜図11は1基のシールドジャッキ6及びその主要な周辺部分だけを概略的に示している。
いま、常法に従い所要数のセグメント14をリング状に順次組み立ててトンネル覆工を行っている途中で、例えばカッタビットの磨耗や損傷が発生した場合、又はカッタビットの交換時期となった場合などにより、シールド掘進機後退の必要があると判定したときは、図1に示すようにシールド掘進機1の掘進ゾーン中にシールド後退区間Lを設定する。
シールド後退区間Lの設定後、先ず、このシールド後退区間Lの開始位置と終了位置との間にわたって、前記セグメントエレクタ装置12により、1掘進ごとにトンネル内壁面にシールド後退用の組立て・取外し可能な円弧状のスチールセグメント(新設セグメント)15をリング状に順次組み立てつつ、最前列のスチールセグメント15に反力をとってシールドジャッキ6を伸長させ、シールド掘進機1を掘進させる。
シールド掘進機1の掘進と同時に、常法に従いスチールセグメント15のグラウトホールから地山に薬液30を注入して地盤改良を行うとともに、組み立てられたスチールセグメントリングと地山との間の間隙に可塑性の裏込め材31を注入する。この裏込め材31としては、例えば液状ウレタン等の可塑性合成樹脂などを使用することができる。
前記スチールセグメント15には、地山との間の間隙に前記裏込め材31を注入するグラウトホールが形成されている。同グラウトホールには、スチールセグメントリングと地山との間の間隙内に溜まった裏込め材31などを排出する排出バルブ16が固設されている。なお、特に限定されるものではないが、スチールセグメント15の外径は、シールド後退区間Lの設定前に組み立てられたコンクリート製のセグメント14の外径よりも小さく設定されている。シールド掘進機1のテールシール13の内周面とスチールセグメント15の外周面との間の間隙を上記シールド後退用治具20の挿入空間として広げることができる。
いま、シールド掘進機1の最後尾が前記シールド後退区間Lの終了位置に到達したとき、シールド掘進機1の掘進、地山に対する薬液30の注入、及びスチールセグメントリングと地山との間の間隙に対する裏込め材31の注入を停止する。こうして、シールド掘進機1の後退前の準備が完了する。
シールド掘進機1を後退させるにあたっては、先ず、前記後分割胴部3のセグメント組立スペース内において、図5に示すように、所要数のシールドジャッキ6のスプレッダ7と最前列のスチールセグメントリングとの間にバックリング防止用角材32を順次組み込んでおく。このバックリング防止用角材32は、全てのシールドジャッキ6を縮めた際に、シールド掘進機1が土圧により不用意に押し戻されるのを防止するために設置するものである。
次に、前記後分割胴部3のセグメント組立スペース内へ分割して搬入した円弧状の分割筒体21の分割部をリング状に組み立て、周方向に隣り合う分割筒体21の分割部同士の接合端部を溶接などにより固着する。
次に、スチールセグメントリングの外周面とシールド掘進機1のテールシール13の内周面との間の間隙に前記分割筒体21を押し込む所要数のシールドジャッキ6のスプレッダ7が揺動しないように、同スプレッダ7に対してスプレッダ振れ防止用金具33を溶接などにより固着する。この実施形態では、特に限定されるものではないが、トンネルの上下左右の都合4本のシールドジャッキ6,…,6(以下、上下左右シールドジャッキ6という。)を使う。
次に、前記分割筒体21のトンネル軸方向の前端面に上下左右シールドジャッキ6のスプレッダ7を当接させる。次いで、図6に示すように前記分割筒体21のテールシール保護用の弾性板材22がシールド掘進機1のテールシール13を越える位置まで上下左右シールドジャッキ6を伸長させ、上下左右シールドジャッキ6のスプレッダ7により押して前記分割筒体21をスチールセグメントリングの外周面とシールド掘進機1のテールシール13の内周面との間の間隙に挿入する。
このとき、図3に示すように、前記分割筒体21の噴射口21bから後方に向けて裏込め材31を洗浄する洗浄水を噴射することにより、スチールセグメントリングの外周面と地山との間の間隙に注入した裏込め材31をスチールセグメント15の排出バルブ16から排出することができる。従って、スチールセグメントリングの外周面とシールド掘進機1のテールシール13の内周面との間の間隙に前記分割筒体21を確実に且つ容易に介装することができる。
次に、上下左右シールドジャッキ6のスプレッダ7と分割筒体21の前端部とを溶接などにより固着する。なお、スプレッダ7と分割筒体21の前端部との固着は、分割筒体21をシールド掘進機1のテールシール13とスチールセグメント15との間の間隙に挿入する前に行ってもよい。その後、図7に示すように、上下左右シールドジャッキ6を収縮させ、分割筒体21を切羽側に所定距離移動させる。これにより、シールド掘進機1における最前列のテールシール13の外周面に分割筒体21の弾性板材22の内面を被せるようにして分割筒体21の外周面に対して前記テールシール13を弾接支持することができる。
次に、上下左右シールドジャッキ6のスプレッダ7と分割筒体21の前端部との間の固着部を取り除いて固着状態を解除した後、図8に示すように、上下左右シールドジャッキ6を収縮限まで収縮させる。そして、前記分割筒体21の前端部を前記後分割胴部3のスキンプレート内周面に溶接などにより固着する。これにより、前記分割筒体21がシールド掘進機1の内部に装着される。このときも、上記バックリング防止用角材32は、所要数のシールドジャッキ6のスプレッダ7と最前列のスチールセグメントリングとの間に組み込んだままの状態にある。
次に、図9に示すように、最前列のスチールセグメントリングのトンネル方向に隣接するトンネルの部分に、前記セグメントエレクタ装置12によって新たなスチールセグメント15をリング状に順次組み立てる。このとき、新たに組み立てられるスチールセグメント15に所要数のシールドジャッキ6のスプレッダ7を順次押し当てながら、各バックリング防止用角材32を撤去して行く。従って、シールド掘進機1のバックリングを防止することができる。こうして、各バックリング防止用角材32によって押し当てられていた既設のスチールセグメント15におけるトンネル方向に隣接するトンネル部分に、新たなスチールセグメント15を組み立てることができる。
次に、各バックリング防止用角材32に替えて、新たに組み立てられた最前列のスチールセグメント15に押し当てたシールドジャッキ6に加えて、更にシールド掘進機1を後退させるために必要な所要数のシールドジャッキ6のスプレッダ7を新たに組み立てられた最前列のスチールセグメント15に押し当てる。そして、これらのシールドジャッキ6のスプレッダ7と新たに組み立てられた最前列のスチールセグメント15とを締結ボルトなどにより固着する。
所要数のシールドジャッキ6のスプレッダ7と、組み立てた最前列のスチールセグメント15との固着が終わった後、図10及び図11に示すように、スチールセグメント15に固着したシールドジャッキ6を収縮させ、シールド掘進機1を所要距離後退させる。このとき、シールド掘進機1の前面側から土圧対抗用の充填剤34を注入する。シールド掘進機1に作用する前面土圧による力はシールド掘進機1の後退推進力として利用することができる。このため、シールド掘進機後退のために使用されるシールドジャッキ6の牽引力を小さくすることができる。従って、本発明にあっては、小口径シールド機にも適用することができる。
いま、シールド掘進機1を所要距離後退させた後、スチールセグメント15に固着した所要数のシールドジャッキ6のスプレッダ7と最前列のスチールセグメントリングのスチールセグメント15との間の固着状態を解除する。この固着状態を解除した後、各シールドジャッキ6ごとに、そのシリンダロッド端を収縮させ、常法に従い前記セグメントエレクタ装置12を用いて最前列のスチールセグメント15を順次取り外す。このとき、取り外した最前列のスチールセグメント15に対してトンネル方向に隣接するスチールセグメント15に、各シールドジャッキ6を伸長して、同シールドジャッキ6のスプレッダ7と新たに最前列となったスチールセグメント15とを当接する。これを順次繰り返しながら、最前列のスチールセグメント15を1リング分撤去する。
そして、各シールドジャッキ6のスプレッダ7と、同スプレッダ7に押し当てられたスチールセグメント15とを締結ボルトなどにより固着する。その固着作業が終わった後、各シールドジャッキ6を収縮させ、シールド掘進機1を所要距離後退させる。このとき、シールド掘進機1の前面側から土圧対抗用の充填剤34を注入する。
ここで、全てのシールドジャッキ6の作動に図示せぬ多連等量ポンプを使用することができる。このため、前記シールドジャッキ6の伸縮ロッド端の伸縮量を一致させて、同一速度で作動することができる。これにより、後退時におけるシールド掘進機1のピッチング方向やヨーイング方向のふらつきや振れなどを防止することができ、シールド掘進機1の後退姿勢を制御することができる。
こうして、シールド掘進機1を所要距離後退させた後、上述のように最前列のスチールセグメントリングのスチールセグメント15を撤去する操作を順次繰り返しながら、図2に示すようにシールド掘進機1を前記シールド後退区間L内の所定位置まで後退させる。シールド掘進機1を後退させるにあたり、シールド掘進機1の後退と同時に、カッタ前面に設けられた図示せぬ充填剤注入口からシールド掘進機前方に土圧対抗用の可塑性充填剤34を注入する。この充填剤34としては、例えばセメント・水ガラスの配合物などを使用することができる。
なお、前記シールド後退区間L内において、前記カッタヘッド9のカッタビットの交換や補修などを行った後、前記分割筒体21と前記後分割胴部3のスキンプレートとの間の固着部を除去して固着状態を解除し、シールド掘進機1を再発進させる。このとき、前記シールド後退用治具20をトンネル坑内に残したままにしておくこともできる。また、スチールセグメント15の材質や断面形態は、特に限定されるものではなく、例えばトンネル軸方向に沿って左右に所定の角度だけ位相をずらして千鳥状に組み立られるセグメントリングであってもよい。
このように、前記シールド後退用治具20の存在により、シールド掘進機1のテールシール13が、シールド掘進機1の後退に伴い、スチールセグメントリングの外周面とシールド掘進機1のスキンプレート内周面との間の間隙内にシールド掘進機推進方向に引き込まれて破損、変形や破壊するのを防止することができる。前記テールシール13がシールド掘進機1の後退時の障害とならないため、シールド掘進機全体をトンネル坑内に容易に且つ円滑に後退させることができる。
前記カッタヘッド9のカッタビットを交換するにあたっては、カッタ全体をシールド掘進機1内に沿って後方へ引き込む機構及びその付帯設備が不要となり、狭い作業空間を効果的に使用することができる。シールド掘進機1のチャンバ10内の固化材除去作業を必要としないため、カッタビットの交換作業性を向上することができる。その結果、トンネル築造の工事費が低減できるとともに、全体工期を短縮することができる。
以上は本発明の好適な実施形態や変形例を例示したものであり、カッタビット交換や補修に関わらず、シールド掘進機1の掘進中においてシールド掘進機前方に障害物がある場合は、シールド掘進機1の推進を停止することにより、シールド掘進機1を障害物から所要の距離だけ後退させることができる。そして、障害物を迂回しながら、シールド掘進機1を再び掘進させることができる。
上記シールド後退用治具20としては、前記分割筒体21、前記弾性板材22及び前記シール部材23の全てを具備する必要はなく、シールド掘進機1の形態、大きさなど他の要因との関係で、前記分割筒体21及び前記シール部材23によりテールシール保護手段を構成することができる。また、テールシール保護手段の材質、形態、大きさ、肉厚、分割数、設置数などを適宜に設定することにより本発明の目的を充分に達成することができる。従って、本発明は上記実施形態や変形例に限定されないことは当然であり、各請求項に記載した範囲内で様々に設計変更が可能である。