JP4180999B2 - 小型船のエンジン吸気構造 - Google Patents
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Description
この小型船は、シリンダ内に空気を導く構造として、吸気ボックスに外気を取り入れ、取り入れた外気を吸気管に導くエンジン吸気構造を備える(例えば、特許文献1参照。)。
小型船のエンジン吸気構造200は、4気筒エンジン201の上方に4本の吸気通路202…(一本のみ図示する)を延ばし、これらの吸気通路202…の吸気口203…にそれぞれ多孔部材204…(以下、「網部材」という)を取り付け、それぞれの吸気口203…を吸気ボックス205内に配置するとともに、この吸気ボックス205をエンジン201の上部に取り付け、吸気ボックス205内にエアクリーナエレメント206を収納し、吸気ボックス205にカバー207を被せたものである。
この導いた空気を網部材204…を通して吸込口203…に導き、吸込口203…から吸気管202…内に導く。
これにより、エアクリーナエレメント206で空気中の粉塵などを除去し、その空気を吸気ボックス205内に導く。
さらに、吸気管202…の吸込口203…に網部材204…を取り付けることで、フレームアレスターを構成している。
この大型の吸気ボックス205を小型船の艇体内に組み込むために、艇体内に比較的大きな空間を確保する必要がある。
よって、大型の吸気ボックス205を取り付ける空間を確保するために、多種の機器類のレイアウト(配置)を決める検討に時間がかかり、そのことが生産性を高める妨げになっていた。
このように、上吸気部および下吸気部を設けて、吸気ボックスを上下方向に延ばすことで、網部材およびエアクリーナエレメントを備えた吸気ボックスを、艇体の側壁とエンジン(シリンダ)との間の、比較的小さな空間に配置することが可能になる。
さらに、吸気ボックスを比較的小さな空間に配置することで、機器類の配置を決める際に、吸気ボックス用の大きな空間を確保する必要がないので、機器類の配置を時間をかけないで簡単に決めることができる。
よって、板状のエアクリーナエレメントをエンジンに沿わせるように配置することで、吸気ボックスの幅を小さく抑えて、吸気ボックスの小型化を図ることができる。
したがって、機器類の配置を決める際に、吸気ボックス用の大きな空間を確保する必要がないので、機器類の配置を時間をかけないで簡単に決めることができる。
加えて、カム部材を差込口近傍の操作手段で操作するように構成した。カム部材を差込口近傍で操作することで、エアクリーナエレメントを吸気ボックスに押し付ける操作や、エアクリーナエレメントの押付けを開放する操作を簡単におこなうことができる。
さらに、機器類の配置を決める際に、検討時間を短く抑えて生産性の向上を図ることができるという利点がある。
さらに、カバーの着脱や、エアクリーナエレメントの押付け/押付け開放を簡単におこなうことができるので、エアクリーナエレメントの着脱を手間をかけないで、短い時間でおこなうことができるという利点がある。
図1は本発明に係るエンジン吸気構造を備えた小型船の側面図である。
小型船10は、艇体11の前部12に燃料タンク13を取り付け、この燃料タンク13の上方に操舵ハンドル14を備え、この操舵ハンドル14の後方に鞍乗り式のシート15を備え、このシート15の下方にエンジン16を設け、このエンジン16の左側にエンジン吸気構造(小型船のエンジン吸気構造)20を設け、エンジン16後方の艇尾22に推進機室23を設け、この推進機室23にジェット推進機24を備えた小型推進艇である。
艇体11は、ハル25で艇底26側を形成し、このハル25にデッキ27を重ねたものである
エンジン16でインペラ31を回転することにより、艇底26の入口28から水を吸い込み、吸い込んだ水をハウジング29を通してジェット水としてステアリングノズル33に導く。
ステアリングノズル33に導いたジェット水を、ステアリングノズル33の後端部から噴射することにより小型船10を推進させる。
小型船10のデッキ27略中央にデッキ上端34を形成し、デッキ上端34に鞍乗り式のシート15を載せ、デッキ上端34のうち、シート15の左右下縁15a,15b近傍の部位から、左右側壁35,36を外側に傾斜させた状態でデッキ27の足載せ部37,37まで下方に延ばし、左右側壁35,36の間にエンジン16の上部17を配置し、エンジン16の上部17と左側壁35との間に小型船のエンジン吸気構造20を備える。
このように、エンジン16の上部17と左側壁35との間の空間51に吸気ボックス48を配置するためには、吸気ボックス48の幅W1を小さく抑えることが好ましい。
小型船のエンジン吸気構造20は、吸気ボックス48に、第1〜第4吸気管43〜46の吸込口43a〜46aを収納する上吸気部53と、この上吸気部53から下方に延びた下吸気部54とを設け、この下吸気部54の下内部空間57と上吸気部53の上内部空間56とを網部材(フレームアレスター)58で仕切り、この下吸気部54の下内部空間57に板状のエアクリーナエレメント61を配置し、この板状のエアクリーナエレメント61を介して外気を下吸気部54の下内部空間57に取り込んだ後、上吸気部53に流れるように構成したものである。
これにより、吸気ボックス48の幅を小さく抑えて、吸気ボックス48を小型にする。
よって、吸気ボックス48を、吸気ボックス48をデッキ27の左側壁(艇体の側壁)35とエンジン16の上部17との間に空間51に配置することが可能になる。
したがって、機器類のレイアウト(配置)を決める際に、吸気ボックス48用の大きな空間を確保する必要がないので、レイアウトの検討時間を短く抑えることができる。
吸気ボックス48をキャブレタ42…側(図2参照)に取り付けた際に、蓋体71を、デッキ27の左側壁35に対向させて配置する(図2参照)。
下吸気部54は、上吸気部53から下方に膨出させた膨出部75と、この膨出部75から前方に延ばした延出部62とからなる。
延出部62の内部、すなわち下内部空間57の前半部57aにエアクリーナエレメント61を配置し、延出部62の左側壁77に下内部空間57の前半部57aに臨む導入口78を設ける。
第1吸気管43の吸込口43aを上内部空間56の前部に臨ませ、第2〜第4の吸気管44〜46の吸込口44a〜46aを上内部空間56の上部に臨ませる。
第1〜第4吸気管43〜46を上り勾配で前方に向けて延ばすことで、第1〜第4吸気管43〜46を艇体11の中心11a(図2に示す)から左側に大きく突出させることなく、第1〜第4吸気管43〜46の長さを確保する。
この空間79に臨ませた延出部62の上部63に差込口64(図4も参照)を設ける。差込孔64の上方に空間79を確保することで、エアクリーナエレメント61を差込口64から差し込むことや、抜き出すことが可能になる。
延出部62の上部63にカバー72を取り付けることで、差込口64をカバー72で覆う。カバー72の上方に空間79を確保することで、カバー72を簡単に着脱することが可能になる。
膨出部75の底部75aに取付ゴム82を備え、取付ゴム82に取付ブラケット83の上端部83aを嵌め込み、取付ブラケット83の下端部83bを突片84にボルト85で取り付ける。突片84は、エンジン16のクランクケース18から一体に突出させた部材である(図2参照)。
シリンダ39…(図1、図2参照)から側方の上内部空間56に延ばした第1〜第4吸気管43〜46を、艇体11の左側壁35(図2参照)に沿うように曲げて上吸気部53(吸気ボックス48)内に収納した。
具体的には、上内部空間56の第1〜第4吸気管43〜46を、基部43b〜46b近傍で湾曲に折り曲げて、艇体11(図1参照)の前方で、かつ上方に向けることで、第1〜第4吸気管43〜46を上り勾配で前方に向けて延ばす。
第1〜第4吸気管43〜46の長さを確保するとともに、第1〜第4吸気管43〜46が左側への突出量を小さく抑える。
このように、上吸気部53の幅W1を小さく抑えることで、比較的長い第1〜第4吸気管43〜46の配置スペースを、吸気ボックス48をデッキ27の35左側壁(艇体の側壁)とエンジン16との間の空間51(図2参照)に容易に確保できる。
吸込口44a〜46aを高くすることで海水や水の浸入をより効果的に防ぐことができる。
これにより、蓋体71で開口部87を閉じ、第1〜第4吸気管43〜46に海水や水がかかることを防止する。
また、左側壁53aから蓋体71を外して開口部87を開けることで、上内部空間56内の整備・点検をおこなう。
支えプレート92は、鉛直に向けて配置するとともに、前方から後方に向けて左側に僅かに傾斜させて配置したものである。
枠体95の上端部95aに一対の突片97,97を設け、これらの突片97,97を枠体95から左側(外側)に向けて突出させる(図8も参照)。
枠体95の左側壁95bにシール用のスポンジ材98(図8、図9も参照)を設ける。
枠体95の後側面95dに一対のピン101,101(図9に一個のみを示す)を設け、これらのピン101,101にカム部材65,65をそれぞれ回転自在に取り付ける。
すなわち、枠体95の前後の側面95c,95dには一対のカム部材65,65が回転自在に取り付けられている。
よって、操作手段66、すなわち前後の操作部67,68を差込口64近傍で簡単に操作することが可能になる。
これにより、差込口64を覆うカバー72を小さくして、カバー72を簡単に着脱することができる。
加えて、カム部材65…を差込口64近傍の操作手段66で操作するように構成した。カム部材65…を差込口64近傍で操作することで、エアクリーナエレメント61を吸気ボックス48に押し付ける操作や、エアクリーナエレメント61の押付けを開放する操作を簡単におこなうことができる。
上吸気部53の右側壁53cをエンジン16側の取付面19に当接し、取付面19に上吸気部53をボルト103(図3参照)で取り付ける
また、図3に示すように、膨出部75の底部75aに備えた取付ゴム82を取付ブラケット83で突片84にボルト85で取り付ける。突片84は、エンジン16のクランクケース18に形成した部材である(図2参照)。
さらに、延出部62の右側壁76に取付ブラケット104を設け、この取付ブラケット104をエンジン16(図2参照)にボルト止めする。
これにより、吸気ボックス48をエンジン16に取り付ける。
網部材58は、矩形状の枠体105を備え、この枠体105内に網目状のネット本体106を備え、枠体105の外壁105aにスポンジ材107を備える。
網目状のネット本体106は、一例として針金(ワイヤ)を網目に編んだメッシュ状のプレートを、前後方向に向けて波状に形成したものである。
ネット本体106を波状に形成することで、ネット本体106の表面積を大きく確保する。
吸気ボックス48の上内部空間56と下内部空間57との境界部74に枠体105を配置し、境界部74に枠体105をビス108…で取り付ける。
この際、スポンジ材107の外周を境界部74の内壁に押し付けて、枠体105の外壁と境界部74の内壁との間の隙間109をスポンジ材107で塞ぐ。
この網部材58でフレームアレスターを構成する。
エアクリーナエレメント61の枠体95内にエアクリーナ本体96を取り付け、枠体95の上端部95aに一対の突片97,97(図4も参照)を枠体95から左側に向けて突出させる。また、枠体95の左側壁95bにシール用のスポンジ材98を設ける。
同様に、枠体95の後側面95dに一対のピン101,101(図9に一個のみを示す)を設け、これらのピン101,101にカム部材65,65をそれぞれ回転自在に取り付ける。
カム部材65は、取付ピン111,111の近傍にカム面65aを備える。
この凸部112…にカム部材65…のカム面65a…を載せることで、カム部材65…でピン101…を延出部62の左側壁77に向けて押圧する。
よって、エアクリーナエレメント61と左側壁77との間の隙間113をスポンジ材98で塞ぐ。
よって、延出部62の差込口64をカバー72で塞ぐことで、カバー72の突起72bを一対の突片97,97に当接させて、エアクリーナエレメント61の抜け出しを防止する。
この支えプレート92の上端92aに一対の突片97,97をかけ、エアクリーナエレメント61を支えプレート92で支える。
前後の操作部67,68(後操作部68は図9参照)の上端部67a,68a(上端部68aは図4参照)を差込口64近傍に配置し、前後の上端部67a,68aを押し下げることで、前後のカム部材65…をピン101…を軸に下方に回動する。
エアクリーナエレメント61が左側壁77に向かって移動して、スポンジ材98を支えプレート92および左側壁77に押し付ける。
よって、エアクリーナエレメント61と左側壁77との間の隙間113をスポンジ材98で塞ぐ。
カム部材65…のカム面65a…が凸部112…に乗り上がり、カム部材65…でピン101…を左側壁77に向けて押圧する。
エアクリーナエレメント61を左側壁77に向けて移動して、スポンジ材98を支えプレート92および外側壁77に押し付ける。これにより、エアクリーナエレメント61と外側壁77との間の隙間113をスポンジ材98で塞ぐ。
このように、板状のエアクリーナエレメント61を、エンジン16(図1、図2参照)の左側壁に沿わせて配置することで、延出部62の幅W2、すなわち吸気ボックス48の幅を小さく抑える。
したがって、機器類のレイアウトを決める際に、吸気ボックス48用の大きな空間を確保する必要がないので、レイアウトの検討時間を短く抑えることができる。
エアクリーナエレメント61で空気中の粉塵などを除去し、その空気を下空間部57の前半部57aに導くことが可能になる。
下空間部57の後半部57bに導いた空気を、網部材58(図6、図7参照)を通して上内部空間56(図3参照)に導く。
上内部空間56に導いた空気を、第1〜第4吸気管43〜46の吸込口43a〜46a(図3参照)を介して、第1〜第4吸気管43〜46内に導く。
先ず、エアクリーナエレメント61を組み付ける手順を図10〜図11に基づいて説明する。
図10(a),(b)は本発明に係るエンジン吸気構造のエアクリーナエレメントを差し込む例を説明する図である。
(a)において、前操作部67の取付ピン111,111にカム部材65,65を回転自在に取り付ける。同様に、後操作部68の取付ピン111,111にカム部材65,65を回転自在に取り付ける(図9に一個のみ図示する)。
同様に、枠体95の後側面95dのピン101,101(図9に一個のみを示す)にカム部材65,65の嵌合部114,114をそれぞれ矢印dの如く回転自在に組み付ける。
(a)において、エアクリーナエレメント61を下内部空間57の前半部57aに配置するとともに、エアクリーナエレメント61の一対の突片97,97(図4も参照)を支えプレート92の上端92aにかける。
これにより、エアクリーナエレメント61を支えプレート92で支える。
この状態で、前後の上端部67a,68aに押下力Fをかけて、前後の上端部67a,68aを押し下げる。前後の上端部67a,68aを押し下げることで、前後のカム部材65…をピン101…を軸に矢印fの如く下方に回動する。
エアクリーナエレメント61を左側壁77に向けて矢印gの如く移動する。
よって、エアクリーナエレメント61と左側壁77との間の隙間113をスポンジ材98で塞ぐ。
これにより、エアクリーナエレメント61を延出部62の内部に組み付ける作業が完了する。
図12は本発明に係るエンジン吸気構造の空気の流れを説明する図である。
延出部62の導入口78から空気を矢印hの如く内部に導き、導いた空気を、エアクリーナエレメント61を通して延出部62の内部、すなわち下空間部57の前半部57a(図4、図9参照)に矢印iの如く導く。
このように、エアクリーナエレメント61を介して外気を下空間部57の前半部57aに取り込むことで、エアクリーナエレメント61で空気中の粉塵などを除去することができる。
下空間部57の後半部57bに導いた空気を、網部材58(図6、図7も参照)を通して上内部空間56に矢印kの如く導く。
上内部空間56に導いた空気を、第1〜第4吸気管43〜46の吸込口43a〜46aに矢印mの如く導き、吸込口43a〜46aに導いた空気を、第1〜第4吸気管43〜46内に導く。
さらに、エンジン16を左側に傾斜させて右側の空間に吸気ボックス48を配置することも可能である。
Claims (4)
- 艇体内の幅方向略中央に、エンジンをクランク軸が艇体の前後方向を向くように搭載するとともに、エンジンの複数のシリンダを上向きに配置し、これらのシリンダから吸気管を側方に延ばし、これらの吸気管の吸込口を吸気ボックスに収納し、この吸気ボックスを前記艇体の側壁とエンジンとの間の空間に配置した小型船のエンジン吸気構造において、
前記吸気ボックスに、前記吸込口に臨む上吸気部と、この上吸気部から下方に延びた下吸気部とを設け、
この下吸気部の下内部空間と上吸気部の上内部空間とを網部材で仕切り、
この下吸気部にエアクリーナエレメントを配置し、
このエアクリーナエレメントを介して外気を下吸気部に取り込んだ後、上吸気部に流れるように構成した小型船のエンジン吸気構造であって、
前記下吸気部は、前記上吸気部から下方に膨出させた膨出部と、この膨出部から前方に延ばした延出部とからなり、
前記膨出部の内部に前記下内部空間の後半部を形成し、前記延出部の内部に前記下内部空間の前半部を形成し、
前記延出部の内部に前記エアクリーナエレメントを配置し、
このエアクリーナエレメントを介して前記下内部空間の前半部に取り込んだ外気を、前記下内部空間の後半部を介して前記網部材に導くことを特徴とする小型船のエンジン吸気構造。 - 艇体内の幅方向略中央に、エンジンをクランク軸が艇体の前後方向を向くように搭載するとともに、エンジンの複数のシリンダを上向きに配置し、これらのシリンダから吸気管を側方に延ばし、これらの吸気管の吸込口を吸気ボックスに収納し、この吸気ボックスを前記艇体の側壁とエンジンとの間の空間に配置した小型船のエンジン吸気構造において、
前記吸気ボックスを、前記吸気管から前後方向のいずれか一方に延ばして延出部とし、
この延出部の上部に差込口を設け、
この差込口から吸気ボックス内に板状のエアクリーナエレメントを略鉛直に差し込み、
このエアクリーナエレメントを吸気ボックス内に差し込んだ状態で、エアクリーナエレメントを吸気ボックスにカム部材で押し付け、
このカム部材を差込口近傍の操作手段で操作するようにしたことを特徴とする小型船のエンジン吸気構造。 - 前記シリンダから側方に延ばした吸気管を、前記艇体の側壁に沿うように曲げて前記吸気ボックス内に収納したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の小型船のエンジン吸気構造。
- 前記吸気管を、前記艇体の前方で、かつ上方に向けて曲げたことを特徴とする請求項3記載の小型船のエンジン吸気構造。
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