JP4179718B2 - ペースト膜形成方法及び膜形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀ペーストや銀パラペーストなどの粘性物質からなるペースト膜を、必要とする膜傾きと膜厚に高精度に自動調整可能なペースト膜自動調整機能を有するペースト膜形成方法及び装置に関するものである。このペースト膜形成方法及び装置は、例えば、2段突起形状等のバンプを付けた半導体チップ等を導電性接着剤等で配線基板の電極に直接接続するスタッドバンプボンディング(SBB)法によるフリップチップ実装などに使用することができる導電性ペーストの膜形成方法及び装置として適用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ペースト膜形成方法及び膜形成装置を図6〜8に示す。
【0003】
図6の従来のペースト膜形成装置では、平坦なプレート111と、プレート111上にペースト膜を形成するブレード112の先端との間にギャップgを設け、プレート111又はブレード112を回転又は直線方向に移動させることにより、ギャップgに粘性物質113を通過させてプレート111上にペースト膜115を形成する図である。図6においては、必要なギャップgを得るための調整は、ブレード112をプレート111上に支持するカラー114を異なる高さのカラー114と交換することによりカラー114の高さを変化させ、プレート111とブレード112との間のギャップgを、ブレード112をプレート111に対して垂直方向に移動させることにより、行うようにしている。
【0004】
また、図7は、ブレード112を、支点112a回りに回動可能なアーム112bの一端に支持し、アーム112bの他端にマイクロメータ121等の先端を接触させて、マイクロメータ121等の先端によりアーム112bの他端を支点112a回りに回動させることにより、ブレード112をプレート111に対して支点112a回りに円弧状に移動させて、ギャップgを変化させるようにしている。
【0005】
また、ペースト膜115の傾きは、図8に示すように、プレート111とブレード112との間の取付平行度によるため、ペースト膜115の傾きを調整するためには上記取付平行度を人手により調整する必要があった。
【0006】
さらに、ペースト膜115が必要とする膜傾き及び膜厚であるか否かの確認には、プレートを膜形成装置から取り外して、プレート上に形成されたペースト膜を、膜形成装置とは別に配置された膜厚測定器により測定を行わなければならなかった。そして、測定器でペースト膜115の膜傾き及び膜厚測定を行い、必要とする膜傾きか否か、必要とする膜厚か否かを確認していた。必要とする膜傾き又は膜厚でない場合には、プレート111とブレード112の取付平行度を再度調整するとともに、ギャップgの変更を行っていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の様な従来の構成では、プレート111とブレード112の間のギャップgを変化させるためには、必要とする膜厚毎に、カラー114を用意する必要があり、また、プレート111とブレード112との取付平行度の調整は、高度な熟練作業を必要とする。
【0008】
また、必要とする膜傾き及び膜厚であるか否かを確認する為、一旦、プレート111、ブレード112を膜形成装置から取り外し、ペースト膜115の膜傾き及び膜厚を測定器にて確認を行い、必要とする膜傾き及び膜厚でない場合には、再調整を必要とし、また、必要とする膜傾き膜厚であったとしても、再度、プレート111を装置に取付ける為、信頼性に欠け、調整確認作業に多大な時間を必要とするといった課題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであって、プレートとブレードを膜形成装置から取り外すことなく、プレートとブレードとの間の取付平行度の調整に高度な熟練作業を必要とせず、また、必要とする膜傾き及び膜厚を短時間でかつ高信頼性にペースト膜を形成することができるペースト膜形成方法及び装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0011】
本発明の第1態様によれば、平坦なプレートとブレードとの隙間にペーストを通過させることによりペースト膜を上記プレート上に形成し、
上記プレート上に上記ペースト膜が形成された状態で上記ペースト膜の膜厚を測定し、
上記ペースト膜が必要とする膜傾き及び膜厚でないとき、上記測定結果に基づき、上記プレートに対する上記ブレードの傾き又は位置を調整し、
上記プレート上から上記ペースト膜を取り外すことなく当該ペースト膜と上記ブレードとの隙間にペーストを通過させて、上記ペースト膜の膜傾き又は膜厚を調整するようにしたことを特徴とするペースト膜形成方法を提供する。
【0012】
本発明の第2態様によれば、上記ペースト膜を上記プレート上に形成するとき、
上記プレートと上記ブレードとの隙間に上記ペーストを通過させることにより上記ペースト膜の一部分を上記プレート上に形成し、
上記プレート上に上記ペースト膜の一部分が形成された状態で当該ペースト膜の一部分の膜厚を測定し、
上記測定結果に基づき、上記プレートに対する上記ブレードの傾き又は位置を調整し、
上記プレートと上記ブレードとの隙間にペーストを通過させて、上記ペースト膜の残りの部分を上記プレート上に形成するようにした第1態様に記載のペースト膜形成方法を提供する。
【0013】
本発明の第3態様によれば、 上記ペースト膜(41)の上記プレート(11)に対する傾きの差は、{(T1−T2)/L1}−{(t1−t2)/L3}の式より求めるものであって、ここで、T1は上記ペースト膜が形成された上記プレートの上記ペースト膜近傍の任意の第1点での上記プレートの基準面から上記プレート表面までの距離、T2は上記ペースト膜の上記一端とは反対側の他端の近傍の任意の第2点での上記基準面から上記プレートの表面までの距離、t1は上記任意の第1点の近傍の上記ペースト膜上の任意の第3点での上記プレートの基準面から上記ペースト膜表面までの距離、t2は上記任意の第2点の近傍の上記ペースト膜上の任意の第4点での上記プレートの基準面から上記ペースト膜表面までの距離であり、L1は上記第1点から上記第2点までの距離であり、L3は上記第3点から上記第4点までの距離である一方、上記ペースト膜の厚みは、{(t1+t2)/2}−{(T1+T2)/2}の式より求めるようにした第1又は2態様に記載のペースト膜形成方法。
【0014】
本発明の第4態様によれば、上記測定されたペースト膜の膜厚に基づき上記ペースト膜の膜傾きを算出し、算出された膜傾きに基づき、上記プレートに対して上記ブレードを、上記ブレードの移動方向に対する大略直交面内で回転させることにより、上記プレートに対する上記ブレードの傾きを調整するようにした第1〜3のいずれかの態様に記載のペースト膜形成方法を提供する。
【0015】
本発明の第5態様によれば、上記測定されたペースト膜の膜厚に基づき、上記プレートに対して上記ブレードを接離させることにより、上記ペースト膜の膜厚を調整するようにした第1〜4のいずれかの態様に記載のペースト膜形成方法を提供する。
【0016】
本発明の第6態様によれば、平坦なプレートとブレードとを備え、上記プレートと上記ブレードの隙間にペーストを通過させることにより上記プレート上にペースト膜を形成するペースト膜形成ユニットと、
上記プレート上に上記ペースト膜が形成された状態で上記ペースト膜の膜厚を測定する膜厚測定ユニットと、
上記プレート及び上記ブレードを上記ペースト膜形成ユニットから取り外すことなく、上記プレートに対する上記ブレードの傾き又は位置を調整可能な調整ユニットと、
上記膜厚測定ユニットの測定結果に基づき、上記ペースト膜形成ユニットと上記調整ユニットの駆動を制御して、上記ペースト膜の膜傾き又は膜厚を調整する制御装置と、
を備え、
上記制御装置は、
上記測定結果に基づいて上記ペースト膜が必要とする膜傾き及び膜厚であるか否かを自動的に判断し、上記ペースト膜が上記必要とする膜傾き及び膜厚でないとき、上記プレート上に上記ペースト膜が形成された状態のまま、上記調整ユニットにより上記プレートに対する上記ブレードの傾き又は位置を調整したのち、上記ペースト膜形成ユニットにより上記プレート上の上記ペースト膜と上記ブレードとの隙間にペーストを通過させて、上記ペースト膜の膜傾き又は膜厚を調整することを特徴とするペースト膜形成装置を提供する。
【0017】
本発明の第7態様によれば、上記制御装置は、上記ペースト膜形成ユニットが上記プレート上に上記ペースト膜を形成するとき、上記プレート上に上記ペースト膜の一部分が形成されるように上記ペースト膜形成ユニットの駆動を制御し、上記膜厚測定ユニットが測定した上記ペースト膜の一部分の膜厚の測定結果に基づき、上記調整ユニットにより上記プレートに対する上記ブレードの傾き又は位置を調整したのち、上記プレート上に上記ペースト膜の残りの部分が形成されるように上記ペースト膜形成ユニットの駆動を制御する第6態様に記載のペースト膜形成装置を提供する。
【0018】
本発明の第8態様によれば、上記膜厚測定ユニットにおいて、上記ペースト膜の上記プレートに対する傾きの差は、{(T1−T2)/L1}−{(t1−t2)/L3}の式より求めるものであって、ここで、T1は上記ペースト膜が形成された上記プレートの上記ペースト膜近傍の任意の第1点での上記プレートの基準面から上記プレート表面までの距離、T2は上記ペースト膜の上記一端とは反対側の他端の近傍の任意の第2点での上記基準面から上記プレートの表面までの距離、t1は上記任意の第1点の近傍の上記ペースト膜上の任意の第3点での上記プレートの基準面から上記ペースト膜表面までの距離、t2は上記任意の第2点の近傍の上記ペースト膜上の任意の第4点での上記プレートの基準面から上記ペースト膜表面までの距離であり、L1は上記第1点から上記第2点までの距離であり、L3は上記第3点から上記第4点までの距離である一方、上記ペースト膜の厚みは、{(t1+t2)/2}−{(T1+T2)/2}の式より求めるようにした第6又は7態様に記載のペースト膜形成装置を提供する。
【0019】
本発明の第9態様によれば、上記調整ユニットは、上記測定されたペースト膜の膜厚に基づき、上記プレートに対して上記ブレードを、上記ブレードの移動方向に対する大略直交面内で回転させることにより、上記プレートに対する上記ブレードの傾きを調整する膜傾き調整ユニットを備えるようにした第6〜8のいずれかの態様に記載のペースト膜形成装置を提供する。
【0020】
本発明の第10態様によれば、上記調整ユニットは、上記測定されたペースト膜の膜厚に基づき、上記プレートに対して上記ブレードを接離させることにより、上記ペースト膜の膜厚を調整する膜厚調整ユニットを備えるようにした第6〜9のいずれかの態様に記載のペースト膜形成装置を提供する。
【0021】
本発明の第11態様によれば、上記膜傾き調整ユニットは、上記プレートに固定された第1アクチュエータと、上記第1アクチュエータの駆動により上記ブレードを支持するアームを該アームの軸方向回りに回転させる回転部材とを備えて、上記測定されたペースト膜の膜厚に基づき上記第1アクチュエータを駆動して、上記プレートに対して上記回転部材を回転させ上記アームを介して上記ブレードを、上記ブレードの移動方向に対する大略直交面内で回転させることにより、上記プレートに対する上記ブレードの傾きを調整するようにした第9態様に記載のペースト膜形成装置を提供する。
【0022】
本発明の第12態様によれば、上記膜厚み調整ユニットは、上記プレートに固定された第2アクチュエータと、上記第2アクチュエータの駆動により上記アームを該アームの軸方向と大略直交する方向回りに回動させる回動支点とを備え、上記測定されたペースト膜の膜厚に基づき上記第2アクチュエータの駆動により、上記プレートに対して上記アームを回動させて上記プレートに対して上記ブレードを接離させることにより、上記ペースト膜の膜厚を調整するようにした第10態様に記載のペースト膜形成装置を提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態について図面に基づき説明する。
【0024】
本発明の第1実施形態にかかるペースト膜形成方法及びその方法を実施するためのペースト膜形成装置は、図1に示すように、ペースト膜を形成するペースト膜形成ユニット70と、膜厚を測定する測定ユニット71と、膜傾き及び膜厚を変化させる自動調整ユニット72,73を備えるものであり、プレート11及びブレード12をペースト膜形成装置から取り外すことなく、また、プレート11とブレード12との間の取付平行度の高精度な調整を必要とせず、必要とするペースト膜傾き及び膜厚を短時間でかつ高信頼・高精度に得ることができるものである。以下に、詳細に説明する。
【0025】
上記ペースト膜形成ユニット70においては、円形のプレート11の表面と大略平板状のブレード12の下端との間にギャップを設けて、図1において支持台39にアーム62を介して支持されたブレード12の右側のプレート11上に粘性物質13を載置し、プレート11を時計方向に回転させて、上記ギャップに粘性物質13を通過させることにより、ペースト膜41を形成する。粘性物質13を通過させるためには、ブレード12を固定してプレート11を直線又は回転移動させるか、プレート11を固定してブレード12を直線又は回転移動させることにより行う。図1の装置は、ブレード12を固定しておき、モータ21などによりプレート11を回転させる。図1において、22は一度形成したペースト膜を掻き取る掻き取りブレードを有する掻き取り装置、51は膜厚測定器である。
【0026】
図2は、上記ペースト膜形成装置のペースト膜41の傾きと厚みを測定する測定ユニット71を示す。例えば市販の公知のレーザ測定器から構成される膜厚測定器51を固定として膜形成装置をロボットなどの移動装置により移動、又は、膜形成装置を固定とし膜厚測定器51をロボットなどの移動装置により移動させることにより、レーザ光を利用して、プレート11からのペースト膜41の傾き及び厚みを測定する。
【0027】
図3は、上記測定器51を利用して、上記ペースト膜形成装置のペースト膜41の傾き及び厚みの推定方法を示す。
【0028】
まず、プレート11上のポイント1,2及びペースト膜41のポイント3,4での上記ペースト膜形成装置の基準面からの距離を膜測定器51によりそれぞれ測定する。ペースト膜41のプレート(11)に対する傾きの差は、プレート11の傾きとペースト膜41の傾きの差を演算することにより、すなわち、
【0029】
【数1】
傾きの差={(T1−T2)/L1}−{(t1−t2)/L3}
の式より求められる。ここで、T1はポイント1(上記ペースト膜が形成された上記プレートの上記ペースト膜近傍の任意の第1点)でのペースト膜形成装置の基準面からプレート11の表面まで距離、T2はポイント2(上記ペースト膜の上記一端とは反対側の他端の近傍の任意の第2点)での上記基準面からプレート11の表面までの距離、t1はポイント3(上記任意の第1点の近傍の上記ペースト膜上の任意の第3点)でのプレート11の基準面からペースト膜表面までの距離、t2はポイント4(上記任意の第2点の近傍の上記ペースト膜上の任意の第4点)でのプレート11の基準面からペースト膜表面までの距離である。ここで、図3に示すように、ポイント1からポイント2までの距離をL1とし、ポイント3からポイント4までの距離をL3とし、ポイント1とポイント2との間の中心線と、ポイント3とポイント4との間の中心線とが一致するようになっている。ただし、(t1+t2)>(T1+T2)となっている。よって、ペースト膜41の厚みは、
【0030】
【数2】
ペースト膜厚={(t1+t2)/2}−{(T1+T2)/2}
の式より求められる。
【0031】
図4は、上記ペースト膜形成装置のペースト膜41の傾き及び厚みを自動調整する場合のフローチャートを示す。
【0032】
まず、ステップS1で、初期のペースト膜41の傾き及び厚さを膜測定器51により測定する。次いで、ステップS2で、後記する傾き自動調整ユニット72及び厚み自動調整ユニット73により、プレート11とブレード12との平行度、及び、プレート11とブレード12との間のギャップをそれぞれ変化させたのち、ペースト膜形成ユニット70によりペースト膜41を再度形成する。ステップS3で、再度、膜測定器51により、ステップS2で形成されたペースト膜41の傾きと厚さを測定し、必要とする膜傾き及び膜厚であるか否かを自動的に確認する。すなわち、測定器51からの測定値が後記する制御装置40に入力され、制御装置40に予め入力されていた必要とする傾きと厚みの値と上記入力された値とをそれぞれ比較し、許容範囲内か否か自動的に判断する。必要とする膜傾き及び膜厚が形成されていない場合は、再度、ステップS2に戻り、プレート11とブレード12平行度及びプレート11とブレード12との間のギャップを変化させてペースト膜を形成し、ステップS3で再度ペースト膜傾き及び厚さを測定するといった再調整を行う。この再調整を行うか否かの判断も制御装置40で自動的に行う。このような動作を、必要とする膜傾き及び厚さが得られるまで、制御装置40で自動的に続ける。ただし、所定回数続けても得られない場合には、この調整動作を中止するようにしてもよい。
【0033】
図5は、図1のペースト膜形成装置のペースト膜41の傾きの自動調整ユニット72の部分を示す斜視図である。この傾き自動調整ユニット72は、ペースト膜形成ユニット70のプレート11に対するブレード12の支持機構に組み込まれたものである。この傾き自動調整ユニット72は、ペースト膜41の傾き測定の結果より、ブレード12の傾きをピエゾ素子又はモータ等のアクチュエータ81により変化させることによりペースト膜41傾きを調整するものである。すなわち、傾き自動調整ユニット72では、L字状部材と逆L字状部材とが一体的に組み合わせられた形状の支持部材60がプレート11の支持台39に固定されている。支持部材60には、その上端60aから下向きにアクチュエータ81が取り付けられている。また、プレート11を回転可能に支持する支持台39には、支持部材60の近傍に、回転ガイド82により正逆回転可能に回転部材61が取り付けられている。支持部材60の上端60aより横方向に突出した突起60bとこれに対向する回転部材61の突起61bとの間には、両突起60b,61bを互いに接近するように付勢するスプリング83が配置されて、スプリング83の付勢力により、回転部材61の一端61dの上面に、支持部材60に固定されたアクチュエータ81の下端駆動部が常時接触するようにしている。なお、アーム62の長手軸方向と上記回転部材61の回転中心軸とは大略平行になっている。
【0034】
また、アクチュエータ81の駆動は制御装置40により制御されている。この制御装置40は、ブレード12に対してプレート11を回転させてペースト膜41をプレート11上で形成するときプレート11を回転させるためのモータ38の駆動を制御するとともに、測定器51で測定された測定結果の情報が入力されるようになっている。また、この制御装置40では、測定器51から入力された測定結果情報に基づき、ペースト膜41の傾き及び膜厚を上記2つの式で演算することも行うようにしている。
【0035】
よって、測定器51から入力された測定結果情報のペースト膜41の厚み測定結果に基づき算出されたペースト膜の傾きに基づき、アクチュエータ81の下端駆動部を上向きに移動させるように引き込むか(ピエゾ素子の場合には縮ませるか)又は下向きに移動させるように突出させる(ピエゾ素子の場合には伸ばす)と、スプリング83の付勢力により回転部材61の一端61dがアクチュエータ81の下端駆動部に追随するように移動するため、回転部材61が矢印Aで示すように回転ガイド82回りに反時計方向に回転又は時計方向に回転する。この結果、回転部材61の上部に回転ガイド63を介して回動可能に支持されたアーム62の先端のブレード12が、矢印Bで示すように反時計方向に回転するか又は時計方向に回転することになり、ブレード12下端のプレート11に対する傾き言い換えれば平行度を調整することができる。
【0036】
また、上記図5は、図1のペースト膜形成装置のペースト膜41の厚みの自動調整ユニット73の部分を示す斜視図でもある。この厚み自動調整ユニット73もまた、ペースト膜形成ユニット70のプレート11に対するブレード12の支持機構に組み込まれたものである。厚み自動調整ユニット73では、回転部材61の横方向に延びた支持部61eの上面には、上向きにピエゾ素子又はモータ等のアクチュエータ85が取り付けられている。アーム62の後部62eの後端の突起62cとこれに対向する回転部材61の突起61cとの間には、両突起62c,61cを互いに接近するように付勢するスプリング84が配置されて、スプリング84の付勢力により、アーム62の後部62eの下面に、回転部材61の支持部61eに固定されたアクチュエータ85の上端駆動部が常時接触するようにしている。なお、アーム62の長手軸方向とアーム62の回動中心軸とは大略大略直交するようになっている。また、アクチュエータ81の駆動は制御装置40により制御されている。
【0037】
よって、測定器51から制御装置40に入力されたペースト膜41の厚み測定結果に基づき、アクチュエータ85の上端駆動部を上向きに移動させるように突出させるか(ピエゾ素子の場合には伸ばすか)又は下向きに移動させるように引き込む(ピエゾ素子の場合には縮ませる)と、スプリング84の付勢力によりアーム62の後部62eの下面がアクチュエータ85の上端駆動部に追随するように移動するため、アーム62が矢印Cで示すように回転ガイド83回りに時計方向に回動又は反時計方向に回動する。この結果、アーム62の先端のブレード12が、矢印Dで示すように時計方向に回動又は反時計方向に回動することになり、ブレード12下端のプレート11に対するギャップを調整して、ペースト膜の厚さを調整することができる。
【0038】
なお、本発明は、円環状のペースト膜を1枚完全に形成したのち、膜厚の測定を行い、調整作業を行ったのち、再び円環状の1枚のペースト膜を完全に形成するものに限定されるものではなく、円環状のうち一部分(例えば4分の1程度)のペースト膜を形成した時点で一時中断し、膜厚を測定して調整したのち、再び、円環状の残りの部分(4分の3程度)のペースト膜を形成し、その部分の膜厚を測定して所望の値が得られたならば、形成されたペースト膜は廃棄せずに、円環状の1枚のペースト膜を再形成するようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ペースト膜をプレート上に形成したのち、プレート上に形成されたままでペースト膜の膜厚を測定し、測定結果に基づき算出された膜厚又は傾きに基づき、プレートとブレードとのギャップ又はプレートとブレードとの平行度を調整して上記ペースト膜の膜厚又は傾きを調整することができる。よって、プレート及びブレードをペースト膜形成装置から取り外すことなく、また、プレートとブレードとの間のペースト膜形成装置に対する取付平行度に高精度な調整を必要とせず、必要とする膜傾き及び膜厚を短時間でかつ高信頼性・高精度に形成できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態にかかるペースト膜形成装置のペースト膜形成ユニットの斜視図である。
【図2】 上記ペースト膜形成装置のペースト膜傾き及び厚み測定ユニットの斜視図である。
【図3】 上記ペースト膜形成装置のペースト膜傾き及び厚みの推定方法を示す説明図である。
【図4】 上記ペースト膜形成装置のペースト膜傾き及び厚み自動調整フローチャートである。
【図5】 上記ペースト膜形成装置のペースト膜形成ユニットの一部に組み込まれたペースト膜傾き自動調整ユニット及び厚み自動調整ユニットの斜視図である。
【図6】 従来のペースト膜形成装置を示す説明図である。
【図7】 従来の別のペースト膜形成装置を示す説明図である。
【図8】 従来のプレートとブレードの取付平行度調整を説明するための説明図である。
【符号の説明】
11 平坦なプレート
12 ペースト膜形成用ブレード
13 粘性物質(ペースト)
21 マイクロメータ
41 ペースト膜
51 膜厚測定器
70 ペースト膜形成ユニット
71 ペースト膜厚測定ユニット
72 ペースト膜傾き自動調整ユニット
73 ペースト膜厚み自動調整ユニット
81,85 アクチュエータ
82 回転ガイド
83,84 スプリング
Claims (12)
- 平坦なプレートとブレード(12)との隙間にペーストを通過させることによりペースト膜(41)を上記プレート(11)上に形成し、
上記プレート上に上記ペースト膜が形成された状態で上記ペースト膜の膜厚を測定し、
上記ペースト膜が必要とする膜傾き及び膜厚でないとき、上記測定結果に基づき、上記プレートに対する上記ブレードの傾き又は位置を調整し、
上記プレート上から上記ペースト膜を取り外すことなく当該ペースト膜と上記ブレードとの隙間にペーストを通過させて、上記ペースト膜の膜傾き又は膜厚を調整するようにしたことを特徴とするペースト膜形成方法。 - 上記ペースト膜を上記プレート上に形成するとき、
上記プレートと上記ブレードとの隙間に上記ペーストを通過させることにより上記ペースト膜の一部分を上記プレート上に形成し、
上記プレート上に上記ペースト膜の一部分が形成された状態で当該ペースト膜の一部分の膜厚を測定し、
上記測定結果に基づき、上記プレートに対する上記ブレードの傾き又は位置を調整し、
上記プレートと上記ブレードとの隙間にペーストを通過させて、上記ペースト膜の残りの部分を上記プレート上に形成するようにした請求項1に記載のペースト膜形成方法。 - 上記ペースト膜(41)の上記プレート(11)に対する傾きの差は、{(T1−T2)/L1}−{(t1−t2)/L3}の式より求めるものであって、ここで、T1は上記ペースト膜が形成された上記プレートの上記ペースト膜近傍の任意の第1点での上記プレートの基準面から上記プレート表面までの距離、T2は上記ペースト膜の上記一端とは反対側の他端の近傍の任意の第2点での上記基準面から上記プレートの表面までの距離、t1は上記任意の第1点の近傍の上記ペースト膜上の任意の第3点での上記プレートの基準面から上記ペースト膜表面までの距離、t2は上記任意の第2点の近傍の上記ペースト膜上の任意の第4点での上記プレートの基準面から上記ペースト膜表面までの距離であり、L1は上記第1点から上記第2点までの距離であり、L3は上記第3点から上記第4点までの距離である一方、上記ペースト膜の厚みは、{(t1+t2)/2}−{(T1+T2)/2}の式より求めるようにした請求項1又は2に記載のペースト膜形成方法。
- 上記測定されたペースト膜の膜厚に基づき上記ペースト膜の膜傾きを算出し、算出された膜傾きに基づき、上記プレートに対して上記ブレードを、上記ブレードの移動方向に対する大略直交面内で回転させることにより、上記プレートに対する上記ブレードの傾きを調整するようにした請求項1〜3のいずれかに記載のペースト膜形成方法。
- 上記測定されたペースト膜の膜厚に基づき、上記プレートに対して上記ブレードを接離させることにより、上記ペースト膜の膜厚を調整するようにした請求項1〜4のいずれかに記載のペースト膜形成方法。
- 平坦なプレートとブレードとを備え、上記プレートと上記ブレードの隙間にペーストを通過させることにより上記プレート上にペースト膜(41)を形成するペースト膜形成ユニット(70)と、
上記プレート上に上記ペースト膜が形成された状態で上記ペースト膜の膜厚を測定する膜厚測定ユニット(71)と、
上記プレート及び上記ブレードを上記ペースト膜形成ユニットから取り外すことなく、上記プレートに対する上記ブレードの傾き又は位置を調整可能な調整ユニット(72,73)と、
上記膜厚測定ユニットの測定結果に基づき、上記ペースト膜形成ユニットと上記調整ユニットの駆動を制御して、上記ペースト膜の膜傾き又は膜厚を調整する制御装置と、
を備え、
上記制御装置は、
上記測定結果に基づいて上記ペースト膜が必要とする膜傾き及び膜厚であるか否かを自 動的に判断し、上記ペースト膜が上記必要とする膜傾き及び膜厚でないとき、上記プレート上に上記ペースト膜が形成された状態のまま、上記調整ユニットにより上記プレートに対する上記ブレードの傾き又は位置を調整したのち、上記ペースト膜形成ユニットにより上記プレート上の上記ペースト膜と上記ブレードとの隙間にペーストを通過させて、上記ペースト膜の膜傾き又は膜厚を調整することを特徴とするペースト膜形成装置。 - 上記制御装置は、上記ペースト膜形成ユニットが上記プレート上に上記ペースト膜を形成するとき、上記プレート上に上記ペースト膜の一部分が形成されるように上記ペースト膜形成ユニットの駆動を制御し、上記膜厚測定ユニットが測定した上記ペースト膜の一部分の膜厚の測定結果に基づき、上記調整ユニットにより上記プレートに対する上記ブレードの傾き又は位置を調整したのち、上記プレート上に上記ペースト膜の残りの部分が形成されるように上記ペースト膜形成ユニットの駆動を制御する請求項6に記載のペースト膜形成装置。
- 上記膜厚測定ユニットにおいて、上記ペースト膜(41)の上記プレート(11)に対する傾きの差は、{(T1−T2)/L1}−{(t1−t2)/L3}の式より求めるものであって、ここで、T1は上記ペースト膜が形成された上記プレートの上記ペースト膜近傍の任意の第1点での上記プレートの基準面から上記プレート表面までの距離、T2は上記ペースト膜の上記一端とは反対側の他端の近傍の任意の第2点での上記基準面から上記プレートの表面までの距離、t1は上記任意の第1点の近傍の上記ペースト膜上の任意の第3点での上記プレートの基準面から上記ペースト膜表面までの距離、t2は上記任意の第2点の近傍の上記ペースト膜上の任意の第4点での上記プレートの基準面から上記ペースト膜表面までの距離であり、L1は上記第1点から上記第2点までの距離であり、L3は上記第3点から上記第4点までの距離である一方、上記ペースト膜の厚みは、{(t1+t2)/2}−{(T1+T2)/2}の式より求めるようにした請求項6又は7に記載のペースト膜形成装置。
- 上記調整ユニットは、上記測定されたペースト膜の膜厚に基づき、上記プレートに対して上記ブレードを、上記ブレードの移動方向に対する大略直交面内で回転させることにより、上記プレートに対する上記ブレードの傾きを調整する膜傾き調整ユニット(72)を備えるようにした請求項6〜8のいずれかに記載のペースト膜形成装置。
- 上記調整ユニットは、上記測定されたペースト膜の膜厚に基づき、上記プレートに対して上記ブレードを接離させることにより、上記ペースト膜の膜厚を調整する膜厚調整ユニット(73)を備えるようにした請求項6〜9のいずれかに記載のペースト膜形成装置。
- 上記膜傾き調整ユニットは、上記プレートに固定された第1アクチュエータ(81)と、上記第1アクチュエータの駆動により上記ブレードを支持するアーム(62)を該アームの軸方向回りに回転させる回転部材(61)とを備えて、上記測定されたペースト膜の膜厚に基づき上記第1アクチュエータを駆動して、上記プレートに対して上記回転部材を回転させ上記アームを介して上記ブレードを、上記ブレードの移動方向に対する大略直交面内で回転させることにより、上記プレートに対する上記ブレードの傾きを調整するようにした請求項9に記載のペースト膜形成装置。
- 上記膜厚み調整ユニットは、上記プレートに固定された第2アクチュエータ(85)と、上記第2アクチュエータの駆動により上記アームを該アームの軸方向と大略直交する方向回りに回動させる回動支点とを備え、上記測定されたペースト膜の膜厚に基づき上記第2アクチュエータの駆動により、上記プレートに対して上記アームを回動させて上記プレートに対して上記ブレードを接離させることにより、上記ペースト膜の膜厚を調整するようにした請求項10に記載のペースト膜形成装置。
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