JP4177150B2 - 雨戸付き連窓サッシ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、雨戸付き連窓サッシに関する。詳しくは、建物の柱等の両側に設けられた連窓サッシにおいて、両側のサッシに跨って走行可能な雨戸を有する雨戸付き連窓サッシに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、連窓サッシにおける窓下枠を連結し、連窓サッシ間に跨って走行可能な雨戸を有する雨戸付きの連窓サッシが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された連窓サッシでは、両側のサッシの下枠同士が2つの補助下枠と、これらの補助下枠を連結する連結部材とで連結され、これらの上側に一対の補助レールを有するレール部材が取り付けられている。これら各部材の取り付け方法としては、先ず、両側のサッシ下枠間において、2つの補助下枠を見付け方向にスライドさせて位置決めし、連結部材で固定するとともに、これらをサッシ下枠および躯体に取り付ける。そして、一対の補助レールを両側のサッシ下枠に設けられた戸ガイド用のレールに連続するように位置調節してから、レール部材を補助下枠に固定する。このように連結された連窓サッシでは、補助下枠およびレール部材が位置調整可能なので、柱の幅寸法が異なっても、サッシの下枠同士を隙間なく、かつレールを連続させて取り付けることができるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特許第2586882号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の連窓サッシでは、補助下枠および連結部材と、レール部材とが別々に取り付けられるため、これらを一体に組み立てた状態で搬入しても、一度分解してから、再度組み立てながらサッシに取り付けなければならず、下枠の連結作業に手間が掛かるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、下枠連結作業の作業性向上を図ることができる雨戸付き連窓サッシを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の雨戸付き連窓サッシは、建物の支持材両側に設けられるサッシと、これらのサッシに跨って走行可能に構成された雨戸とを備えた雨戸付き連窓サッシであって、前記両側のサッシの下枠間には、当該下枠同士を連結するとともに、前記雨戸を案内する連結装置が設けられ、前記連結装置は、前記躯体の外側で前記雨戸の走行経路上に設けられた主下枠と、この主下枠の上側において前記雨戸の走行方向に沿ってスライド自在に取り付けられた2つの副下枠と、これら2つの副下枠に対応して前記主下枠の下側に取り付けられた2つの裏板材とを備え、前記主下枠には、前記雨戸の戸車を案内する戸車案内部が設けられ、この戸車案内部は、前記走行方向について、前記サッシの下枠側にスライドさせた前記2つの副下枠同士の間隔距離よりも長く形成され、前記2つの副下枠は、前記サッシの下枠の上側に重なって延び、当該サッシの下枠に固定される延出面部を有し、この延出面部の上面に沿って前記雨戸の戸車が転動可能に構成され、前記裏板材は、前記副下枠のスライドに伴ってスライド可能で、かつ前記サッシ同士の間隔部分を通過可能な初期位置から、当該サッシの下枠の下側に重なる位置に向かって回動可能に構成され、前記副下枠の延出面部、前記サッシの下枠、および前記裏板材をねじ止めすることで、前記連結装置が前記サッシの下枠に固定されていることを特徴とする。
【0007】
このような本発明によれば、連窓サッシの下枠同士を連結する連結装置の主下枠に戸車案内部を設けるとともに、この主下枠に2つの副下枠をスライド自在に取り付けたので、連結装置をサッシの下枠に取り付けて下枠同士を連結する際に、連結装置を分解する必要がなく、一体に組み立てられた状態のままで取付作業を実施することができ、連結作業の作業性を向上させることができる。
また、2つの副下枠をスライドさせても、これらと戸車案内部とが見込み方向に重なっているので、スライドさせる際に副下枠が戸車案内部に案内され、見込み方向にずれることがなく、副下枠の位置調節を容易かつ確実に実施することができる。
また、副下枠の延出面部とサッシ下枠とが裏板材を介してねじ止め固定されるので、当該連結装置のサッシの下枠への固定が容易に実施でき、取付作業の作業性をさらに向上させることができる。
【0008】
また、本発明の雨戸付き連窓サッシでは、前記副下枠の延出面部の上面に沿って前記雨戸の戸車が転動可能に構成されているので、サッシ下枠に沿って転動してきた戸車が、一方側副下枠の延出面部上面から主下枠の戸車案内部、他方側副下枠の延出面部上面へ転動して、連結装置上を通過することとなる。従って、主下枠の戸車案内部がサッシ下枠まで延びて設けられていなくても、副下枠の延出面部上面を戸車が転動するので、一方側のサッシから他方側へ雨戸をスムーズに移動させることができる。
【0010】
以上のような本発明によれば、連結装置を取り付ける際に、サッシ下枠間において副下枠をスライドさせて位置決めし、これに続いて裏板材をサッシ下枠の下側に向かって回動させ、これらの副下枠の延出面部、サッシ下枠、および裏板材をねじ止めする、という一連の手順によって効率よく取付作業を実施することができ、さらに作業性を向上させることができる。すなわち、従来の連窓サッシでは、別体の裏板を用意し、この裏板をサッシ下枠の下方から当てがって、人手で保持した状態でねじ止めしなければならず、作業手間が掛かる。これに対して、本発明の裏板材は主下枠の下側にスライドおよび回動可能に取り付けられているので、連結装置をサッシ下枠間にセットする際には、邪魔にならない位置に回動させておき、副下枠の位置決め後に回動させて、ねじ止め固定することができるので手間を掛けずに取付作業を実施することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。また、各図においては、主要構成部品の断面を示すハッチングが省略されている。
【0016】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る雨戸付き連窓サッシについて、図1ないし図5に基づいて説明する。
図1および図2は、連窓サッシの横断面図および縦断面図であり、図2は、図1に矢視II−II線で示す縦断面図である。図3ないし図5は、それぞれ連窓サッシに設けられる連結装置を示す縦断面図、分解斜視図、および下方から見た斜視図である。
【0017】
連窓サッシは、図1、2に示すように、例えば、住宅等の外壁面において、支持材としての柱1を挟んで両側に設けられた窓サッシ2で構成されている。窓サッシ2は、アルミ製押出形材からなる上枠3、下枠4、および左右の縦枠5を四周枠組みして形成されており、柱1等にビス止めにより固定されている。この窓サッシ2には、図示を省略するが、引き違い形式の障子が取り付けられており、これらの障子を窓サッシ2内で移動させることで開閉可能な引き違い窓が構成されている。また、障子の室外側には、窓サッシ2の上枠3および下枠4に設けられた雨戸案内部3A,4Aに案内されて、見付け方向(図1中、左右方向)に移動可能に構成された雨戸6が設けられている。この雨戸6は、両側の窓サッシ2に跨って移動可能で、左右いずれかの窓サッシ2に隣接して設けられた戸袋(不図示)に収納されるようになっている。
【0018】
下枠4に設けられた雨戸案内部4Aは、下枠4の室内側部分よりも一段下がった位置に形成され、雨戸6の下端部を囲む断面略凹字形状に形成されている。この雨戸案内部4Aの底面上側には、雨戸6を案内するレール4Bが見付け方向に沿って立設されている。雨戸6は、その下部2箇所に取り付けられた戸車6A(図3)がレール4B上を転動することで、雨戸案内部4A内をスムーズに移動できるようになっている。すなわち、戸車6Aは、全体円盤状で、回転可能に雨戸6の下框に取り付けられ、その外周面6Bに凹溝6Cが形成されており、この凹溝6Cがレール4Bに係合することで、レール4Bからずれることなく転動可能になっている。さらに、雨戸6の縦框下端には、切欠き溝6D(図3)が形成されており、この切欠き溝6Dもレール4Bに係合することで、雨戸6がレール4Bから外れないようになっている。
【0019】
柱1の両側に設けられた窓サッシ2の下枠4同士は連結装置10で連結されている。この、連結装置10は、柱1の室外側前方で、両側の窓サッシ2の下枠4同士の間隔部分に配置される主下枠11と、この主下枠11の上側で見付け方向両側に取り付けられた2つの副下枠12とを備えて構成されている。一方、連結装置10の上方で窓サッシ2の上枠3同士を連結する位置には、図2に示すように、連結上枠7が上枠2に跨って取り付けられている。この連結上枠7は、雨戸6の上端部を囲んで、雨戸6が見込み方向にずれないようにする雨戸案内部7Aを有し、柱1側に延出した上面端部が柱1にビス7Bで固定されている。さらに、図示を省略するが、柱1の室外側前面には、縦枠5同士を連結するとともに、適宜な防水処理が施された目板が取り付けられている。
【0020】
連結装置10の主下枠11および副下枠12は、それぞれアルミ製押出形材から形成され、適宜穴開けや切削等の加工が施されている。また、2つの副下枠12は、それぞれ主下枠11に対して、見付け方向にスライド自在に取り付けられており、これらの副下枠12を下枠4に向かってスライド(位置調節)することで、柱1の幅寸法、すなわち、下枠4同士の間隔距離が異なる場合でも、共通の連結装置10を採用できるようになっている。
【0021】
主下枠11および副下枠12は、図3〜5に示すように、雨戸6を案内する断面略凹字形の雨戸案内部111,121を有している。そして、主下枠11の雨戸案内部111の上側に副下枠12の雨戸案内部121が重なって配置されている。また、主下枠11の雨戸案内部111底面には、見付け方向に長く形成された長孔112が設けられ、副下枠12の雨戸案内部121底面には、挿通孔122が設けられている。これらの挿通孔122および長孔112には、上方からビス14が挿通されており、このビス14の先端側は、副下枠12に対応した2つの裏板材13のビス孔131に螺合されている。これらの裏板材13およびビス14により、主下枠11および副下枠12が互いに取り付けられるとともに、副下枠12が主下枠11に対して長孔112に沿ってスライド可能に構成される。
【0022】
主下枠11の雨戸案内部111の室外側立上がり部分上端には、室内側に向かって折り返された折返し部111Aが形成され、この折返し部111Aに対応する副下枠12の室外側立上がり部分上端には、折返し部121Aが形成されている。これらの折返し部111A,121Aは、互いに隙間なく密接して、副下枠12のスライド時において、副下枠12が主下枠11に対してがたつかず、見付け方向にスムーズにスライドできるようになっている。また、主下枠11の雨戸案内部111の室外側立上がり部分下側には、見付け方向に沿った溝状部111Bが形成され、雨戸案内部111の底面室内側には、見付け方向に沿ったガイド部111Cが形成されている。これらの溝状部111Bおよびガイド部111Cに対応して副下枠12には、垂下片121Bおよびガイド片121Cが形成されている。これらの溝状部111Bおよび垂下片121Bと、ガイド部111Cおよびガイド片121Cとが、互いに摺動自在に係合することで、上述と同様に、副下枠12がスムーズにスライドできるようになっている。
【0023】
主下枠11の雨戸案内部111底面上側には、見付け方向に沿って延び、下枠4に設けられたレール4Bと同一直線上で、かつ略同一形状に形成された戸車案内部としてのレール113が立設されている。また、2つの副下枠12の対向側端部には、主下枠11のレール113と嵌合する嵌合溝123が形成されている。この嵌合溝123は、レール113の見込み方向幅寸法より若干広い幅寸法、および副下枠12のスライド時にレール113から外れないだけの見付け方向寸法を有している。すなわち、2つの副下枠12を互いに最も離れる位置までスライドした状態において、嵌合溝123がレール113から外れないようになっている。
【0024】
副下枠12の嵌合溝123と反対側で窓サッシ2の下枠4側には、下枠4の雨戸案内部4Aの底面上側に重なって延出する延出面部124が形成されている。この延出面部124は、雨戸案内部121の底面を延長した板状に形成され、下枠4の雨戸案内部4Aの見込み方向に渡る幅寸法を有している。また、延出面部124および雨戸案内部121底面は、図3に示すように、それらの上面に戸車6Aの外周面6Bが接触した状態で、戸車6Aが転動できるようになっている。すなわち、戸車6Aの凹溝6Cがレール4B,113に係合して転動する状態と、延出面部124および雨戸案内部121底面の上面を転動する状態とで、戸車6Aの高さ位置が変化しないようになっている。
【0025】
また、延出面部124の下枠4側先端には、雨戸案内部4Aのレール4Bと嵌合する嵌合溝125が形成されている。この嵌合溝125は、レール4Bの見込み方向幅寸法より若干広い幅寸法、および奥側にレール4Bが当接することで副下枠12を位置決め可能な見付け方向寸法を有している。さらに、延出面部124には、上方からビス15を挿通可能な挿通孔126が設けられており、この挿通孔126に対応した窓サッシ2の下枠4にも図示しない挿通孔が設けられている。そして、ビス15の先端は、裏板材13に設けられたビス孔132に螺合可能になっており、ビス孔132にビス15を締め付けることで、副下枠12が下枠4に固定されるようになっている。
【0026】
裏板材13は、図4に示すように、主下枠11の下側において、ビス14を中心として水平方向に回動可能に構成されており、下枠4の下側に回動された状態でビス孔132が挿通孔126の下方に位置するようになっている。また、主下枠11の雨戸案内部111底面下側には、見付け方向に沿った垂下片114が形成されており、裏板材13を回動した際に、裏板材13の側面が垂下片114に当接することで、裏板材13の回動動作を規制し、位置決めできるようになっている。
【0027】
主下枠11および副下枠12の室内側には、それぞれの雨戸案内部111,121の室内側立上がり部分上端から柱1に向かって延びる固定部115,127が設けられている。主下枠11の固定部115は、柱1の室外側側面に沿って上方に折り曲げられた折曲げ部115Aを有している。また、副下枠12の固定部127は、主下枠11の固定部115の上面に沿って延び、主下枠11の折曲げ部115Aの室外側に沿って上方に折り曲げられた折曲げ部127Aを有している。これらの折曲げ部115A,127Aを貫通するビス16によって、主下枠11および副下枠12が柱1に固定されている。また、主下枠11の固定部115および副下枠12の固定部127の間には、防水材としてのシーリング材17が介挿され、これらの主下枠11および副下枠12の隙間から室内側への雨水等の浸入を防止できるようになっている。
【0028】
次に、以上の構成を備える連結装置10の取付手順について説明する。
先ず、主下枠11の上側から副下枠12を、下側から裏板材13をセットし、ビス14を挿通孔122および長孔112に挿通し、裏板材13のビス孔131に螺合して、これらの主下枠11、副下枠12、および裏板材13を一体に組み立てる。このように組み立てた状態の連結装置10を取付現場に搬入し、柱1の前方で、窓サッシ2の下枠4同士の間に上方からセットする。この際、裏板材13は、下枠4にぶつかって邪魔にならないように、柱1側に向かって回動させておく。
【0029】
次に、副下枠12を主下枠11に対して見付け方向左右に開くようにスライドさせ、副下枠12の延出面部124を下枠4の雨戸案内部4Aに沿って、嵌合溝125がレール4Bに嵌合するまで移動させて、副下枠12の位置決めを実施する。これに続いて、裏板材13を垂下片114に当接するまで下枠4の側に回動するとともに、ビス15を副下枠12の挿通孔126上方から挿入し、下枠4の挿通孔を通して、裏板材13のビス孔132に螺合させて締め付ける。さらに、ビス14を裏板材13のビス孔131に対して締め付けて、主下枠11および副下枠12間に押圧力を生じさせ、主下枠11が容易に移動しないようにする。
【0030】
次に、主下枠11および副下枠12の固定部115,127の折曲げ部115A,127Aを貫通して、ビス16を柱1にねじ込み、締め付けることで、主下枠11および副下枠12を柱1に強固に固定する。この際、シーリング材17は、主下枠11および副下枠12の組立時に固定部115,127間に介挿してもよく、また、ビス14,15,16の締め付け前に固定部115,127間に介挿してもよい。さらに、適宜、副下枠12と縦枠5との間などに防水処理を施して、連結装置10の取り付けが完了する。
【0031】
以上のように取り付けられた連結装置10では、開閉時において雨戸6が通過する際に、一方側の下枠4のレール4B上を転動してきた戸車6Aが上下の段差なく、一方側の副下枠12の延出面部124の上面に乗り移る。すなわち、戸車6Aの凹溝6Cがレール4Bに係合した状態と、戸車6Aの外周面6Bが延出面部124の上面を転動する状態とで、戸車6Aの高さ位置が変化しないため、戸車6Aはスムーズに延出面部124の上面に乗り移ることができる。この際、雨戸6の縦框に形成された切欠き溝6Dがレール4Bや主下枠11のレール113に係合することで、雨戸6の見込み方向への移動が規制され、戸車6Aがレール4Bの延長線上からずれないようになっている。
【0032】
副下枠12の延出面部124の上面を転動した戸車6Aは、さらに副下枠12の雨戸案内部121の底面上側を転動し、主下枠11のレール113に乗り移ることとなる。この際も、前述と同様に、戸車6Aはスムーズにレール113上に乗り移ることができるようになっている。そして、次に他方側の副下枠12の雨戸案内部121および延出面部124の上面を転動した後に、戸車6Aが、他方側の下枠4のレール4Bに乗り移り、このレール4B上を転動することとなる。このようにして、雨戸6が一方側から他方側、または他方側から一方側へ連結装置10の上側を通過して、開閉されるようになっている。
【0033】
次に、本実施形態の変形例に係る連結装置10について、図6および図7に基づいて説明する。図6、7に示した連結装置10では、裏板材の形態が前述の裏板材13と相違している。
図6は、変形例に係る裏板材13Aを有した連結装置10を示す縦断面図であり、図7は、裏板材13Aを示す斜視図である。
【0034】
図6、7において、裏板材13Aは、全体略L字形状に形成され、L字形の折れ曲がり部分に沿って折れ曲がった長孔131Aを有している。この長孔131Aに、副下枠12および主下枠11を貫通したビス14が挿通され、このビス14にナット14Aが螺合している。このナット14Aは、裏板材13Aが落下しない程度に緩く締められており、裏板材13Aは、ナット14Aと主下枠11の底面との間で、長孔131Aに沿って垂直方向に回動可能に取り付けられている。そして、副下枠12を位置決めした状態で、裏板材13Aを回動して、裏板材13Aのビス孔132Aを副下枠12の挿通孔126(図4)下方に合わせ、ビス15(図4)をビス孔132Aに螺合することで、副下枠12が下枠4に固定されるようになっている。さらに、ビス14とナット14Aとを締め付けて、裏板材13Aと副下枠12とで主下枠11を挟み込むことで、主下枠11および副下枠12を固定できるようになっている。
【0035】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1) 主下枠11、2つの副下枠12、および裏板材13を一体に組み立てた状態で窓サッシ2の下枠4間にセットし、副下枠12をスライドさせて位置決めして、連結装置10を取り付けることができるので、取り付け前に分解する必要がなく、一体に組み立てられた状態のままで取付作業を実施することができ、取付作業の作業性を向上させることができる。
【0036】
(2) また、副下枠12の延出面部124と窓サッシ2の下枠4とが、ビス15および裏板材13の螺合により固定されるので、連結装置10の下枠4への固定が容易に実施でき、取付作業の作業性をさらに向上させることができる。
【0037】
(3) この際、裏板材13を窓サッシ2の下枠4側に回動させ、副下枠12の延出面部124、下枠4、および裏板材13をねじ止めする、という一連の手順によって効率よく取付作業を実施することができるので、裏板材13を下枠4の下方から当てがったり、人手で保持したりする必要がなく、手間を掛けずに取付作業を実施することができる。
【0038】
(4) また、副下枠12が、主下枠11のレール113、折返し部111A、溝状部111B、およびガイド部111Cに案内されて、見付け方向にスライドされるので、副下枠12の位置決めをスムーズに実行することができ、さらに効率よく取付作業を実施することができる。
【0039】
(5) また、主下枠11のレール113が窓サッシ2の下枠4に設けられたレール4Bと同一直線上で、かつ略同一形状に形成されていることで、レール4B,113同士に見込み方向の段差がなく、また目違いが生じないようにでき、雨戸6の戸車6Aをスムーズに移動させることができる。さらに、レール4B,113同士に目違いが生じないことで、雨戸案内部4A,111,121の清掃の際に、ほうき等の先が引っ掛かることがなく、清掃作業を実施しやすくすることができる。
【0040】
(6) さらに、戸車6Aの凹溝6Cがレール4B,113に係合して転動する状態と、延出面部124および雨戸案内部121底面の上面を転動する状態とで、戸車6Aの高さ位置が変化しないようになっているので、これらの間を戸車6Aが通過する際の上下方向のがたつきを防止して、雨戸6をスムーズに案内することができる。
【0041】
(7) また、主下枠11および副下枠12から柱1に向かって延出した固定部115,127を、柱1にビス16で固定することで、主下枠11および副下枠12をより強固に取り付けることができる。また、固定部115,127が上下に重なって、それらの間にシーリング材17が介挿されているので、柱1の室外側を隙間なく塞ぐことができ、別途カバー材等を用意する必要がなく、部品点数を削減できるとともに、この部分からの雨水等の浸入も防止することができる。
【0042】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を図8ないし図10に基づいて説明する。
図8は、第2実施形態の連結装置20が設けられた連窓の横断面図である。図9および図10は、それぞれ連結装置20を示す斜視図、および縦断面図である。本実施形態の連結装置20では、柱1に固定される固定部を有していない点が前述の第1実施形態と相違し、その他の構成は略同様である。以下、相違点について詳しく説明する。
【0043】
図8ないし図10において、連結装置20は、主下枠21と、2つの副下枠22と、裏板材23とを備えて構成されている。主下枠21および副下枠22は、雨戸6を案内する断面略凹字形の雨戸案内部211,221を有しており、主下枠21の雨戸案内部211の上側に副下枠22の雨戸案内部221が重なって配置されている。また、主下枠21の雨戸案内部211底面には、見付け方向に長く形成された長孔212が設けられ、副下枠22の雨戸案内部221底面には、挿通孔222が設けられている。これらの挿通孔222および長孔212には、上方からビス24が挿通されており、このビス24の先端側は、裏板材23のビス孔(不図示)に螺合されている。これらの裏板材23およびビス24により、主下枠21および副下枠22が互いに取り付けられるとともに、副下枠22が主下枠21に対して長孔212に沿ってスライド可能に構成される。
【0044】
主下枠21の雨戸案内部211には、前述の第1実施形態と同様に、室外側立上がり部分上端の折返し部211A、および室外側立上がり部分下側の溝状部211Bが形成されている。また、これらに対応して、副下枠22の雨戸案内部221には、折返し部221Aおよび垂下片221Bが形成されており、副下枠22のスライド時において、副下枠22が主下枠21に沿って案内されるようになっている。また、主下枠21の雨戸案内部211の室内側には、見付け方向に沿って副下枠22側に突出する突片部211Cが形成されている。この突片部211Cに対応して副下枠22には、ガイド孔221Cが形成されており、このガイド孔221Cに突片部211Cを挿通することで、副下枠22が主下枠21に沿って案内される。さらに、これらの突片部211Cおよびガイド孔221Cが係合することで、主下枠21および副下枠22の上下方向あるいは見込み方向についての連結強度が確保できるようになっている。また、副下枠22の雨戸案内部221には、窓サッシ2の縦枠5に設けられた突片5Aに係合する係合片221Dが形成され、この係合片221Dおよび突片5Aの係合により、副下枠22が見込み方向にがたつかないようになっている。
【0045】
主下枠21の雨戸案内部211底面上側には、戸車案内部としてのレール213が立設されており、2つの副下枠22の対向側端部には、レール213と嵌合する嵌合溝223が形成されている。この嵌合溝223は、2つの副下枠22を互いに最も離れる位置までスライドした状態において、レール213から外れないようになっている。また、副下枠22の嵌合溝223と反対側で窓サッシ2の下枠4側には、延出面部224が形成されている。この延出面部224の上面は、前述の第1実施形態と同様に、戸車6Aの外周面6Bが接触した状態で、戸車6Aが転動できるようになっている。そして、延出面部224の下枠4側先端には、レール4Bと嵌合する嵌合溝225が形成されている。さらに、延出面部224には、上方からビス25を挿通可能な挿通孔226が2箇所に設けられており、この挿通孔226に対応した窓サッシ2の下枠4にも図示しない挿通孔が設けられている。そして、ビス25の先端は、裏板材13に設けられたビス孔(不図示)に螺合可能であり、ビス孔にビス25を締め付けることで、副下枠22が下枠4に固定されるようになっている。
【0046】
次に、以上の構成を備える連結装置20の取付手順について説明する。
前述の第1実施形態と同様に、先ず、主下枠21、副下枠22、および裏板材23をビス24により一体に組み立て、この組み立てた状態の連結装置20を窓サッシ2の下枠4同士の間に上方からセットする。次に、副下枠22を主下枠21に対して見付け方向左右に開くようにスライドさせ、嵌合溝225がレール4Bに嵌合し、係合片221Dが縦枠5の突片5Aに係合するまで移動させて、副下枠22の位置決めする。これに続いて、裏板材13を回動するとともに、ビス25を副下枠22の挿通孔226上方から挿入し、下枠4の挿通孔を通して、裏板材13に螺合させて締め付ける。さらに、ビス24を裏板材23に対して締め付けて、主下枠21および副下枠22間に押圧力を生じさせ、主下枠21が容易に移動しないようにする。以上により、連結装置20の取り付けが完了する。
【0047】
このような本実施形態によれば、前述の(1)〜(6)の効果と略同様の効果を得られるとともに、次のような効果がある。
(8) 主下枠21および副下枠22を柱1に固定しないので、連結装置20を窓サッシ2の下枠4間に取り付ける以前に、柱1の室外側前面に目板等を連結装置20と干渉することなく容易に取り付けることができるので、連窓全体の施工を効率的に実施できる。
【0048】
(9) この際、主下枠21の突片部211Cと副下枠22のガイド孔221Cとが係合することで、柱1に固定されていなくても、主下枠21および副下枠22の上下方向あるいは見込み方向についての連結強度が確保できる。また、副下枠22の係合片221Dが、窓サッシ2の縦枠5に設けられた突片5Aに係合することで、副下枠22および主下枠21が見込み方向にがたつかず、これらを確実に取り付けることができる。
【0049】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態を図11に基づいて説明する。
図11は、第3実施形態の連結装置30が設けられた連窓の横断面図である。本実施形態の連結装置30では、前述の第2実施形態と同様に、柱1に固定される固定部を有していない点が前述の第1実施形態と相違する。また、主下枠および副下枠の形態および取付手順が、前述の第2実施形態と相違し、その他の構成は略同様である。以下、相違点について詳しく説明する。
【0050】
図11において、連結装置30は、主下枠31と、2つの副下枠32と、裏板材(不図示)とを備えて構成されている。主下枠31は、両側の窓サッシ2の下枠4に跨って配置されるだけの見付け方向長さ寸法を有し、下枠4の下側に配置されている。主下枠31および副下枠32は、雨戸(図2、3)を案内する断面略凹字形の雨戸案内部311,321を有しており、主下枠31の雨戸案内部311の上側に副下枠32の雨戸案内部321が重なって配置されている。また、主下枠31の雨戸案内部311底面には、見付け方向に長く形成された長孔312が設けられており、この長孔312と副下枠32の雨戸案内部321底面に設けられた挿通孔(不図示)とに、上方から挿通されるビス34が裏板材に螺合されている。これらの裏板材およびビス34により、主下枠31および副下枠32が互いに取り付けられるとともに、副下枠32が主下枠31に対して長孔312に沿ってスライド可能に構成される。
【0051】
主下枠31の雨戸案内部311には、前述の第2実施形態と同様に、室外側立上がり部分上端の折返し部311A、室外側立上がり部分下側の溝状部(不図示)、および室内側立上がり部分の突片部311Cが形成されている。これら主下枠31の折返し部311Aおよび溝状部は、窓サッシ2の下枠4の室外側前面を囲んで設けられている。また、これらに対応して、副下枠32の雨戸案内部321には、折返し部(不図示)、垂下片(不図示)、およびガイド孔321Cが形成されており、副下枠32のスライド時において、副下枠32が主下枠31に沿って案内されるようになっている。さらに、主下枠の突片部311Cと副下枠32のガイド孔321Cが係合することで、主下枠31および副下枠32の上下方向あるいは見込み方向についての連結強度が確保できるようになっている。また、副下枠32には、窓サッシ2の縦枠5に設けられた突片5Aに係合する係合片321Dが形成され、この係合片321Dおよび突片5Aの係合により、副下枠32が見込み方向にがたつかないようになっている。
【0052】
主下枠31の雨戸案内部311底面上側には、戸車案内部としてのレール313が立設されており、2つの副下枠32の対向側端部には、レール313と嵌合する嵌合溝323が形成されている。この嵌合溝323は、2つの副下枠32を互いに最も離れる位置までスライドした状態において、レール313から外れないようになっている。また、副下枠22の嵌合溝223と反対側縁は、窓サッシ2の下枠4の端縁と当接され、雨戸案内部321の底面と下枠4の雨戸案内部4Aの底面とは、互いに略同一レベルで連続するようになっている。すなわち、これらの下枠4および副下枠32の雨戸案内部4A,321底面上を、戸車6Aが転動できるようになっている。そして、図示を省略するが、下枠4には、上方からビス35を挿通可能な挿通孔が2箇所に設けられ、主下枠31には、長孔が設けられており、この挿通孔および長孔を挿通したビス35の先端を裏板材に螺合し、締め付けることで、主下枠31および副下枠32が下枠4に固定されるようになっている。
【0053】
次に、以上の構成を備える連結装置30の取付手順について説明する。
前述の各実施形態と同様に、先ず、主下枠31、副下枠32、および裏板材をビス34により一体に組み立て、この組み立てた状態の連結装置30を窓サッシ2の下枠4同士の間に下方からセットする。次に、副下枠32を主下枠31に対して見付け方向左右に開くようにスライドさせ、係合片321Dが縦枠5の突片5Aに係合するまで移動させて、副下枠32の位置決めを実施する。これに続いて、裏板材を回動するとともに、ビス35を下枠4の挿通孔上方から挿入し、主下枠31の長孔を通して、裏板材に螺合させて締め付ける。さらに、ビス34を裏板材に対して締め付けて、主下枠31および副下枠32間に押圧力を生じさせ、主下枠31および副下枠32が容易にずれないようにする。以上により、連結装置30の取り付けが完了する。
【0054】
このような本実施形態によれば、前述の(1)〜(5)、(8)、(9)の効果と略同様の効果を得られるとともに、次のような効果がある。
(10) 主下枠31を窓サッシ2の下枠4に跨って配置し、主下枠31の折返し部311Aおよび溝状部で下枠4の室外側前面を囲むことで、連結部分における下枠4および主下枠31の外観を連続的に構成できるので、意匠性を向上させることができる。
【0055】
なお、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、以上述べた実施の形態に対し、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができる。
【0056】
例えば、前述の各実施形態では、連窓サッシが住宅の外壁面に設けられるものとしたが、これに限らず、住宅以外の建物や工作物等に取り付けられてもよく、また、外壁以外に設けられる窓であってもよい。また、支持材としては、柱1に限らず、壁や方立等であってもよい。
【0057】
また、前述の各実施形態では、雨戸6の戸車6Aが下枠4のレール4B上を転動するものとしたが、これに限らず、レールを有さない断面凹字形の、いわゆるドブ溝形式の雨戸案内部に案内されて、開閉移動するものであってもよい。この際、連結装置10,20,30の戸車案内部としては、レール状のものに限らず、その上端面が、副下枠12,22,32の雨戸案内部121,221,321底面上側と略同一レベルで、平坦になるような形状を有したものが採用できる。このようにすることで、副下枠12,22,32の雨戸案内部121,221,321を転動してきた戸車が、スムーズに主下枠の戸車案内部に乗り移ることができ、雨戸を円滑に案内できる。
【0058】
また、前述の各実施形態では、窓サッシ2の下枠4に裏板材13,13A,23を介して、副下枠12,22の延出面部124,224、あるいは主下枠31をビス15,25,35で固定したが、これに限らず、裏板材を介さずに副下枠の延出面部、あるいは主下枠を直接下枠にビス止め固定してもよい。また、これらの固定方法は、ビス止めに限らず、係合フックやばね等を用いた嵌合形式による固定方法としてもよい。このようにすれば、ビス止め作業を省略できるので、さらに一層、取付作業の作業性を向上させることができる。
また、前述の各実施形態では、裏板材13,13A,23を回動可能に連結装置10,20,30に取り付けたが、これに限らず、裏板材を連結装置と別体としてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の雨戸付き連窓サッシによれば、下枠連結作業の作業性向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る連窓サッシの横断面図である。
【図2】図1に矢視II−II線で示す縦断面図である。
【図3】前記連窓サッシに設けられる連結装置を示す縦断面図である。
【図4】前記連結装置を示す分解斜視図である。
【図5】前記連結装置を示す下方から見た斜視図である。
【図6】前記連結装置の変形例を示す縦断面図である。
【図7】前記連結装置の変形例の要部を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る連窓サッシの横断面図である。
【図9】前記連窓サッシに設けられる連結装置の一部を示す斜視図である。
【図10】前記連結装置を示す縦断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る連窓サッシの横断面図である。
【符号の説明】
1…支持材である柱、2…窓サッシ、4…下枠、4B…レール、6…戸である雨戸、6A…戸車、10,20,30…連結装置、11,21,31…主下枠、12,22,32…副下枠、13,13A,23…裏板材、113,213,313…戸車案内部であるレール、115,127…固定部、124,224…延出面部。
Claims (1)
- 建物の支持材両側に設けられるサッシと、これらのサッシに跨って走行可能に構成された雨戸とを備えた雨戸付き連窓サッシであって、
前記両側のサッシの下枠間には、当該下枠同士を連結するとともに、前記雨戸を案内する連結装置が設けられ、
前記連結装置は、前記躯体の外側で前記雨戸の走行経路上に設けられた主下枠と、この主下枠の上側において前記雨戸の走行方向に沿ってスライド自在に取り付けられた2つの副下枠と、これら2つの副下枠に対応して前記主下枠の下側に取り付けられた2つの裏板
材とを備え、
前記主下枠には、前記雨戸の戸車を案内する戸車案内部が設けられ、この戸車案内部は、前記走行方向について、前記サッシの下枠側にスライドさせた前記2つの副下枠同士の間隔距離よりも長く形成され、
前記2つの副下枠は、前記サッシの下枠の上側に重なって延び、当該サッシの下枠に固定される延出面部を有し、この延出面部の上面に沿って前記雨戸の戸車が転動可能に構成され、
前記裏板材は、前記副下枠のスライドに伴ってスライド可能で、かつ前記サッシ同士の間隔部分を通過可能な初期位置から、当該サッシの下枠の下側に重なる位置に向かって回動可能に構成され、
前記副下枠の延出面部、前記サッシの下枠、および前記裏板材をねじ止めすることで、前記連結装置が前記サッシの下枠に固定されている雨戸付き連窓サッシ。
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