JP4176581B2 - 表面処理アルミニウム材及びアルミニウム成形体 - Google Patents
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Description
また本発明は、耐食性に優れるアルミニウム成形体を提供することを目的とする。
尚、より良好な耐食性を得るためには、前記陽極酸化皮膜の有孔率は5%以下とすることが好ましい。
前記塗布量が、0.1g/m2未満では、表面処理アルミニウム材の耐食性を向上させる効果を十分に得られない。また、5g/m2を越える塗布量としても耐食性を向上させる効果はほとんど変わらず、製造コストが増加する。上記塗布量のより好ましい範囲としては0.5g/m2以上、2g/m2以下である。
前記リン酸二水素アンモニウムあるいは珪酸ナトリウムの含有量が0.1%未満の場合には、耐食性を向上させる効果を十分に得ることができない。また、20%を越える含有量としても耐食性を向上させる効果はほとんど変わらず、製造コストが増加する。さらに、リン酸二水素アンモニウムあるいは珪酸ナトリウムを過大な含有量とすると、これらが塗布層表面に粉状に析出して外観不良となることがある。上記のリン酸二水素アンモニウムあるいは珪酸ナトリウムの含有量のより好ましい範囲は、0.5%以上、10%以下である。
次に、本発明のアルミニウム成形体は、先に記載の本発明の表面処理アルミニウム材を成形加工してなることを特徴とする。係る成形体としては、例えば、電機部品外筐、エアコンフィン材、自動車や航空機等の構造体や建材パネル、アルミニウムの2ピース缶等が挙げられる。本発明によれば、耐食性、対汚れ性、及び接着性に優れたアルミニウム成形体とすることができる。
尚、上記成形体への成形加工は、金属基材に表面処理を施す前、又は表面処理の途中で行ってもよいが、全ての表面処理を終了した後に成形加工を行う方が、多量の基材に対して一括に表面処理を行える点で好ましい。
また、陽極酸化皮膜の膜厚を前記の範囲として有孔率20%以下とすることにより、被膜を多孔質化することなく、耐食性の低下を防止できるとともに、前述の塗布量範囲とすることにより外観不良を起こすことなく目的の耐食性を確保することができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、この金属記載の表面に形成された陽極酸化皮膜と、この陽極酸化皮膜の表面に形成された塗布層とを備えた構成を基本構成とするものである。
また、前記金属基材としては、これらの合金等に溶体化処理、時効処理等の種々の調質処理を施したものも用いることができ、これらの合金の各種圧延板のほか、クラッド材も使用することができる。
本発明に係る表面処理アルミニウム材における下地層は、上記陽極酸化処理を後述する方法により形成することができ、形成方法を適切に選択することによりその有孔率が20%以下となるように調製されることが好ましい。この有孔率は、陽極酸化皮膜表面の測定領域において孔の形成されている部分の面積を前記測定領域の面積で除した値(すなわち、有孔率=孔の面積/測定領域面積)である。有孔率が20%を越えると、腐食性物質が陽極酸化皮膜を透過して金属基材に到達し易くなるため、良好な耐食性が得られにくくなる。
前記下地層の層厚は、60nm以上800nm以下とすることが好ましい。層厚60nm未満では、腐食性物質を遮断する機能が十分に作用せず、所望の耐食性が得られにくい。また、層厚800nmを越える陽極酸化皮膜は、電解処理の際に多孔質化し易く、皮膜の有孔率が30%程度以上となって多孔質化すると耐食性が低下するため好ましくない。
シランカップリング剤は、分子中に2個以上の反応基を有する有機ケイ素単量体を指し、これらの反応基には、無機質(ガラス、金属など)と化学結合する反応基と、有機材料(各種合成樹脂)と化学結合する反応基とが含まれる。このシランカップリング剤の反応基としては、特に限定はないが、無機質と化学結合する反応基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、シラノール基などが挙げられ、有機質と化学結合する反応基としては、例えばビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、ウレイド基などが挙げられる。
上記塗布層に含まれる珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸アンモニウム、珪酸リチウムなどを例示することができ、これらのうちでも、珪酸ナトリウムが耐食性の向上効果が大きく好ましい。また、リン酸塩としては、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸アルミニウム等を例示することができ、これらのうちでも、リン酸二水素アンモニウムが耐食性の向上効果が大きく好ましい。
前記珪酸塩やリン酸塩の含有量が0.1%未満の場合には、耐食性を向上させる効果を十分に得ることができない。また、20%を越える含有量としても耐食性を向上させる効果はほとんど変わらず、製造コストが増加する。さらに、珪酸塩やリン酸塩を過大な含有量とすると、これらが塗布層表面に粉状に析出して外観不良となることがある。上記珪酸塩やリン酸塩の含有量は、0.5%以上10%以下とすることがより好ましく、このような範囲とすることで、優れた耐食性が得られ、かつ外観不良の生じにくい表面処理アルミニウム材とすることができる。
また、シランカップリング剤を含む塗布層の塗布量は、0.5g/m2以上、2g/m2以下とすることがより好ましく、このような範囲とすることで、良好な耐食性が得られ、かつ成形加工による不具合が生じにくい表面処理アルミニウム材とすることができる。
本発明の表面処理アルミニウム材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材の表面を電解処理することにより陽極酸化皮膜を形成し、この陽極酸化皮膜の表面に、珪酸塩、リン酸塩のいずれか又は両方を含むシランカップリング剤を塗布することにより製造することができる。
これらの電解液を用いて上記アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材を陽極酸化すると、電解の初期段階において無孔質のバリア層と称される陽極酸化皮膜が成長し、この無孔質の陽極酸化皮膜の成長が所定の段階まで進むと、この無孔質の皮膜上に多孔質層が急激に成長して多孔質の陽極酸化皮膜が形成される。ここで、多孔質の陽極酸化皮膜とは、無孔質の薄いバリア層の上に多孔質層が成長したものを意味する。
上記塗布液の塗布後には、80〜250℃程度の熱処理を行う。熱処理の時間は、熱処理温度や、塗布層の状態に応じて適宜調製することができる。つまり、熱処理温度が高いほど処理時間を短く、熱処理温度が低いほど処理時間を長くすることが望ましい。本発明に係る塗布層の熱処理時間は数秒から5分程度であり、シランカップリング剤が熱劣化せず、かつ、先述したシランカップリング剤及び珪酸塩、リン酸塩の反応基と、陽極酸化皮膜の反応基との反応をスムーズに進行させるためには、120〜220℃で5〜60秒の熱処理が望ましい。
表1に本発明の実施例及び比較例を示す。表1は種々の条件で下地層及び塗布層を形成した表面処理アルミニウム材について、それぞれ耐食性を評価した結果を示すものである。
まず、アルミニウム基材として0.3mmまで圧延したA1100−H18アルミニウム板を用意した。次いで、この基材を界面活性剤を2%含み50℃に加温された脱脂液に60秒間浸漬した後30秒間水洗した。
そして、基材を50℃に加温された10%NaOH水溶液で30秒間エッチングした後30秒間水洗した。その後、10%NHO3水溶液で30秒間洗浄し、30秒間水洗した。
ここで、上記電解処理により基材表面に形成された陽極酸化皮膜を10万倍の電子顕微鏡で20箇所観察し、観察領域内の表面に存在する孔の面積を、測定面積で除して有孔率を算出した。各々の有孔率の測定結果と、陽極酸化皮膜の膜厚を表1に示す。
まず、JIS C0023の塩水噴霧試験法における試験槽温度のみを35℃から50℃に高温化した以外は上記試験法に準じて、50mm×100mmの試験片に対して1000時間の試験を行った。次いで塩水噴霧試験後のアルミニウム材表面の腐食状態を目視観察し、以下の評価基準に基づき判定した。
また、前記基材表面の陽極酸化皮膜の上に樹脂皮膜(ポリアミド樹脂55重量部とポリアクリル樹脂20重量部とポリアミドのナトリウム塩20重量部とノニオン系界面活性剤5重量部を混合した樹脂)を塗装により形成した試料についても同様の試験を行った。
また、陽極酸化皮膜の厚さは60nm〜800nmの範囲がより好ましいが、このより好ましい範囲を外れたNo.8、9、10の各試料は他の実施例試料に比べて耐食性は若干低下し、より好ましい有孔率20%を超えるNo.9,10の試料においても耐食性は若干低下し、より好ましいシランカップリング剤塗布量0.1g/m2を下回るNo.11の試料は耐食性が他の実施例よりも若干低下している。
Claims (4)
- アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、該金属基材の表面に形成された陽極酸化皮膜からなる下地層と、該下地層表面に形成されたシランカップリング剤を含む塗布層とを備え、
前記下地層の表面に形成された塗布層に、リン酸二水素アンモニウムが含まれてなり、前記下地層の陽極酸化皮膜の厚さが60nm〜800nmとされ、有孔率が20%以下とされ、前記塗布層の塗布量が、0.1g/m 2 〜5g/m 2 の範囲とされ、前記塗布層におけるリン酸二水素アンモニウムの含有量が、0.1%〜20%の範囲とされたことを特徴とする表面処理アルミニウム材。 - アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属基材と、該金属基材の表面に形成された陽極酸化皮膜からなる下地層と、該下地層表面に形成されたシランカップリング剤を含む塗布層とを備え、
前記下地層の表面に形成された塗布層に、珪酸ナトリウムが含まれてなり、前記下地層の陽極酸化皮膜の厚さが60nm〜800nmとされ、有孔率が20%以下とされ、前記塗布層の塗布量が、0.1g/m 2 〜5g/m 2 の範囲とされ、前記珪酸ナトリウムの含有量が、0.1%〜20%の範囲とされたことを特徴とする表面処理アルミニウム材。 - 前記塗布層の表面に、塗装が施されたことを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理アルミニウム材。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表面処理アルミニウム材を成形加工してなることを特徴とするアルミニウム成形体。
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