JP4172729B2 - 歯科用硬化性組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化体の透明性及び着色を改善した歯科用硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
(メタ)アクリレート系重合性単量体を化学重合触媒を用いて硬化させる方法は、歯科の分野で広く利用されており、このような方法を使用したものとしては、歯科用セメント、歯科用接着剤、コンポジットレジン、歯科用常温重合レジン等が挙げられる。これらの材料における化学重合触媒は、一般的に過酸化ベンゾイル及びアミンが使用されている。しかしながら、この化学重合触媒を使用した場合、次のような3つの欠点を有する。即ち、第一の欠点は口腔内の唾液や口腔内温度、食物など口腔内環境により硬化体が着色をおこす点である。第二の欠点は未反応のモノマー、促進剤及び鎖状分子中に形成されない誘導体等が可塑剤の働きをなし、硬化体の物理的性質を低下させるということである。第三の欠点は硬化体の透明性が不足していることである。これら欠点は、歯科用補修材として使用したときの次のような問題の原因となり好ましくないものである。即ち、上記第一の欠点は、補修後に経時的に着色が起こることを意味し審美性の耐久性の点から好ましくない。また、上記第二の欠点は補修部分の強度不足につながり、機械的耐久性の点で好ましくない。また、第三の欠点は、補修当初から補修部分の色調と未補修部分の色調が異なり補修部分が不自然に見えるため好ましくない。
【0003】
これらの欠点は、特開昭63−216811公報に記載されている“ピリミジントリオン誘導体、有機金属化合物及び有機ハロゲン化合物の組み合わせによる触媒系”を用いることによりある程度解決できる。しかしながら、第三の欠点である硬化体の透明性不足については、その効果は充分とはいえない。また、前記第二及び第三の欠点を解決する方法として、特開平6−219919号公報に記載されている“ピリミジントリオン誘導体、有機金属化合物、有機ハロゲン化合物及び芳香族3級アミンの組み合わせによる触媒系”を使用する方法が知られているが、該方法でも透明性の点で満足のゆくものは得られておらず、また該触媒系を用いた場合にはその一成分である芳香族3級アミンが酸化劣化して着色するという新たな欠点が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、物理的性質の低下なしに硬化体の透明性不足及び着色を解決する歯科用硬化性組成物を開発することを課題とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、特定のピリミジントリオン誘導体、ハロゲンイオン形成化合物及び第二銅イオン又は第二鉄イオン形成化合物を用いることにより、物理的性質の低下なしに透明性不足及び着色の問題を一掃できることを見いだし本発明を完成させるに至った。
【0006】
即ち、本発明は、(メタ)アクリレート系重合性単量体、充填剤、並びに(a)下記一般式(1)
【0007】
【化3】
Figure 0004172729
【0008】
(但し、Rは炭素数4〜8のアルキル基である。)で示されるピリミジントリオン誘導体、(b)ハロゲンイオン形成化合物及び(c)第二銅イオン又は第二鉄イオン形成化合物からなる重合触媒を含んでなることを特徴とする歯科用硬化性組成物である。
【0009】
また、他の発明は、メチルメタクリレートを主成分とする(メタ)アクリレート系重合性単量体、樹脂系充填剤、並びに(a)上記一般式(1)で示されるピリミジントリオン誘導体、(b)ハロゲンイオン形成化合物及び(c)第二銅イオン又は第二鉄イオン形成化合物からなる重合触媒を含んでなることを特徴とする歯科用常温重合レジン用または歯科用リベース材用の硬化性組成物である。
【0010】
【発明の実施形態】
本発明の歯科用硬化性組成物では、(メタ)アクリート系重合性単量体を使用することを必須としているが、その理由は重合性が良いこと、生体組織に対する刺激性が一過性で軽いこと等による。
【0011】
本発明に使用される(メタ)アクリート系重合性単量体としては、歯科用として使用されている公知の(メタ)アクリレート系重合性単量体が特に制限なく用いられる。
【0012】
具体的な例を示せば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロキシエチルプロピオネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1.6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシフェニル)]プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等があり、これらは1種又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0013】
なお、本発明の歯科用硬化性組成物は、歯科用常温重合レジン用又は歯科用リベース材用に使用する場合には、操作性の観点から(メタ)アクリレート系重合性単量体としてメチルメタクリレートを主成分とする重合性単量体を使用するのが好適である。一般に歯科用常温重合レジン又は歯科用リベース材は、後述するように樹脂系充填剤ユニットとモノマーユニットを適切な比率で混和して餅状にしてから所定の型枠中に入れ、室温又は加熱下で重合して製造される。ここで餅状の状態とは、樹脂系充填剤が重合性単量体と混和されることにより当初の水で濡れた砂上の状態から次第に膨潤して糸を引く状態を経由して、手で触れてもくっつかなく容器から離れやすい軟らかい餅状となった状態のことであり、所定の型枠中に装填するのに最も適した状態のことである。混和物が餅状の状態になる過程はいくつかの要因により左右されるが、この餅状になっている時間が適切な長さであることが歯科技工上重要なポイントの一つとなり、この点でメチルメタクリレートを主成分とする、即ち50重量%以上含む(メタ)アクリル系モノマーが適している。
【0014】
本発明の歯科用硬化性組成物では、更に上記(メタ)アクリレート系重合性単量体以外に、硬化体強度の向上又は吸水率の低減と言う目的で他の重合性単量体を混合して重合することも可能である。これらの他の重合性単量体を例示すると、フマル酸モノメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート等のアリル化合物を挙げることができる。これらの他の重合性単量体は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0015】
これらの他の重合性単量体の配合量は目的に応じて選択すればよいが、前記した(メタ)アクリレート系重合性単量体100重量部に対して0〜200重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0016】
本発明の歯科用硬化性組成物では、機械的強度を向上する目的で充填剤を配合する。充填剤を配合しない場合には強度は低下する。
【0017】
本発明で使用する充填剤は、特に限定されず、樹脂系充填剤、無機充填剤、複合充填剤(無機酸化物とポリマーの複合体を粉砕したもの)等の何れでも使用できる。しかしながら、樹脂系充填剤を用いた場合には、前記充填剤の餅状化により操作性が向上するので、特に歯科用常温重合レジン用又は歯科用リベース材用として使用する場合には樹脂系充填剤を使用するのが好適である。
【0018】
充填剤の代表的な例を挙げれば、無機充填剤としては、石英粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、炭酸カルシウム、酸化チタン、乾式シリカ、湿式シリカ等があり、樹脂系充填剤としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体等があり、これらは1種又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0019】
なお、充填剤が樹脂系充填剤である場合、該樹脂系充填剤の分子量はとくに限定されないが、一般的には5000〜1000000の分子量の物が好ましい。また、樹脂系充填剤が共重合体からなる充填剤である場合、その共重合比等も特に制限されず、前記充填剤の餅状化による操作性が良好なもの適宜選択して使用すればよい。
【0020】
上記充填剤の形状は特に限定されなく、通常の粉砕により得られる様な粉砕形粒子あるいは球状粒子でよい。また、上記充填剤の粒子径は特に限定されないが、一般的には粒径0.01〜200μmの物が好ましい。
【0021】
これらの充填剤の添加量は、操作性及び硬化体強度の観点から、(メタ)アクリレート系重合性単量体100重量部に対して50〜400重量部の範囲が好適である。また、本発明の歯科用硬化性組成物を歯科用常温重合レジン用又は歯科用リベース材用として使用する場合に使用する樹脂系充填剤の添加量は、(メタ)アクリレート系重合性単量体100重量部に対して100〜300重量部の範囲が好適である。
【0022】
本発明では重合触媒として前記一般式(1)で示されるピリミジントリオン誘導体{以下(a)成分ともいう}、ハロゲンイオン形成化合物{以下(b)成分ともいう}及び第二銅又は第二鉄イオン形成化合物以下(c)成分ともいう}からなる重合触媒を使用する。この様な重合触媒を使用することにより重合時の発熱は小さく、残留モノマーも少なくでき、しかも得られる硬化体は透明で着色の少ないものとなる。
【0023】
(a)成分であるピリミジントリオン誘導体は、前記一般式(1)で示される化合物であり、式中のRは炭素数4〜8アルキル基である。該Rとしては、精製の容易さ、(メタ)アクリレート系重合性単量体に対する溶解性を両立するという点から、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基及びn−ペンチル基が好ましい。
【0024】
(b)成分であるハロゲンイオン形成化合物としては、溶液中でハロゲン化物イオンを形成させる化合物であれば特に限定されず公知の化合物が使用できる。該成分は本発明の歯科用重合性単量体中でハロゲンイオンを形成して(a)成分と反応し(a)成分をラジカルとするか自らがラジカルとなる働きを持つ。
【0025】
本発明で使用できる好適なハロゲンイオン形成化合物としては、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジイソブチルアミンハイドロクロライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、トリエチルアミンハイドロクロライド、トリメチルアミンハイドロクロライド、ジメチルアミンハイドロクロライド、ジエチルアミンハイドロクロライド、メチルアミンハイドロクロライド、エチルアミンハイドロクロライド、イソブチルアミンハイドロクロライド、トリエタノールアミンハイドロクロライド、β−フェニルエチルアミンハイドロクロライド、アセチルコリンクロライド、2−クロロトリメチルアミンハイドロクロライド、(2−クロロエチル)トリエチルアンモニウムクロライド、テトラ−デシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0026】
また、(c)成分である第二銅又は第二鉄イオン形成化合物としては、溶液中で2価の銅イオン又は3価の鉄イオンを形成する化合物であれば特に限定されない。該成分は(a)成分をラジカルにする機能を持つ。
【0027】
本発明で好適に使用できる第二銅又は第二鉄イオン形成化合物としては、アセチルアセトン銅、酢酸第二銅、オレイン酸銅、アセチルアセトン鉄等があり、これらは1種又は2種以上混合して使用してもよい。また、ハロゲンイオン形成化合物と第2銅又は第2鉄イオン形成化合物とは必ずしも別の化合物である必要はなく、ハロゲン化物イオンと2価の銅イオン又は3価の鉄イオンの両方を同時に形成する化合物であってもよい。このような化合物として、例えば、ハロゲン化第2銅又はハロゲン化第2鉄を使用することも可能であり、具体的な例としては、塩化第二銅、臭化第二銅等のハロゲン化第二銅、塩化第二鉄、臭化第二鉄等のハロゲン化第2鉄等を挙げることができる。
【0028】
重合触媒として前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分からなるものを使用するとき、(b)成分であるハロゲンイオン形成化合物の配合比は(a)成分であるピリミジントリオン誘導体1重量部に対し0.001〜0.5重量部の範囲で用いればよく、好ましくは0.05〜0.3重量部の範囲で用いるのが好適である。また、(c)成分である第二銅又は第二鉄イオン形成化合物の配合比は(a)成分であるピリミジントリオン誘導体1重量部に対し0.0001〜0.05重量部の範囲で用いればよく、好ましくは0.001〜0.01の範囲で用いるのが好適である。
【0029】
上記した(a)成分、(b)成分、及び(c)成分からなる化学重合触媒の添加量は、(メタ)アクリレート系重合性単量体100重量部に対して0.05〜15重量部の範囲で用いればよく、好ましくは0.1〜10重量部の範囲で用いるのが好適である。
【0030】
本発明の歯科用硬化性組成物には、必要に応じて他の成分を添加することができる。具体例を挙げれば、エタノール等の有機溶媒、ブチルヒドロキシトルエン、メトキシハイドロキノン等の重合禁止剤、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ベンゾトリアゾール)−p−クレゾール等の紫外線吸収剤、α−メチルスチレンダイマー等の重合調整剤、色素、顔料、香料等のその他の成分を添加することができる。
【0031】
本発明の歯科用硬化性組成物は、従来の歯科用硬化性組成物と比べ、硬化体の透明性を大きく低減させることができる。このため本発明の歯科用硬化性組成物は、歯科用常温重合レジン又は歯科用リベース材に利用するのに特に有用である。例えば、常温重合レジン又はリベース材として使用する場合には 粉末成分ユニットとメチルメタクリレートを主成分とする重合性単量体からなる液状成分ユニットからなる2包装形態に調製することが好ましい。具体的な例を示せば、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂系充填剤にピリミジントリオン誘導体、アセチルアセトン銅等の第二銅イオン形成化合物を配合した粉末ユニットとメタクリル酸メチル等の重合性単量体にジラウリルジメチルアンモニウムクロライド等のハロゲンイオン形成化合物を配合した液体ユニットとの組み合わせ等が挙げられる。上記粉末ユニットと液体ユニットを適切な比率で混和して所定の型枠中に入れ、室温又は加熱下で重合して使用する。
【0032】
【実施例】
以下に本発明に関する実施例と比較例を示すが、本発明は該実施例に限定されるものではない。尚、評価は以下の方法で行った。
【0033】
(1)透明性の評価
透明性の評価は、以下の方法で行った。まず、各成分を所定の比率で混合し、20秒間練和した。次いで10mm×10mm×2mmのモールドに流し込み、37℃で24時間硬化させた。このようにして得られた硬化体を偏光板により観察し、10mm×10mmの範囲における不溶物の数により評価した。
【0034】
(2)曲げ強度及びヌープ硬度の測定
硬化体の曲げ強度の測定は、以下の方法で行った。まず、各成分を所定の比率で混合し、20秒間練和した。次いで25mm×4mm×2mmのモールドに流し込み、37℃で24時間硬化させた。このようにして得られた硬化体を支点間距離20mmで曲げ破壊試験を行った。クロスヘッドスピードは1mm/minである。また、硬度の測定には上記硬化体の表面をバフ研磨したものを用い、松沢精機製微小硬度計で10g、20秒荷重でヌープ硬度を測定した。なお、測定は23℃の恒温室で行った。
【0035】
(3)硬化体の耐変色性試験
硬化体の耐変色性試験は、以下の方法で行った。まず、各成分を所定の比率で混合し、20秒間練和した。次いで10mm×10mm×2mmのモールドに流し込み、37℃で24時間硬化させた。このようにして得られた硬化体を80℃水中に30日間保存し、硬化体の変色の度合いを表1に示す評価基準に従って目視で評価した。
【0036】
(4)初期着色の評価
初期着色の評価は、以下の方法で行った。まず、各成分を所定の比率で混合し、20秒間練和した。次いで10mm×10mm×2mmのモールドに流し込み、37℃で24時間硬化させた。このようにして得られた硬化体の初期着色を目視で評価した。
【0037】
【表1】
Figure 0004172729
【0038】
本発明の実施例および比較例に使用した化合物の略号を表2に示す。
【0039】
【表2】
Figure 0004172729
【0040】
実施例1〜3及び比較例1〜2
表3に示す各組成の液及び粉を調製し、両者を所定の粉液比(液に対する粉の重量比:P/L)で混合して、透明性の評価、曲げ強度、ヌープ硬度、硬化体の耐変色試験及び初期着色の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0041】
【表3】
Figure 0004172729
【0042】
【表4】
Figure 0004172729
【0043】
実施例1〜3の結果から重合触媒の(a)成分に該当する5−n−ブチル−1−シクロヘキシルピリミジントリオン、1−シクロヘキシル−5−ヘキシルピリミジントリオン及び1−シクロヘキシル−5−オクチルピリミジントリオンは(a)成分に該当しないの1−シクロヘキシル−5−エチルピリミジントリオン及び1−シクロヘキシル−5−プロピルピリミジントリオンを使用した比較例1及び比較例2に比べて1cm2あたりの不溶物の数が少なく透明性が高いことが分かる。
【0044】
実施例4〜12及び比較例3
液及び粉の組成を表5に示す組成のものに変えた以外は実施例1と同様に行った。その結果を表6に示す。
【0045】
【表5】
Figure 0004172729
【0046】
【表6】
Figure 0004172729
【0047】
比較例3に示されるように、化学重合触媒として芳香族3級アミンが存在すると硬化体の初期及び耐変色性試験時の着色が大きい。また、実施例4〜12に示すように、本発明の範囲内であれば重合触媒の各成分の種類を変えても、また各種添加剤を加えた場合でも硬化体物性は優れたものとなっている。
【0048】
【発明の効果】
本発明の歯科用硬化性組成物は、物理的性質を低下させることなしに硬化体の透明性及び着色を改善することができる。このため、上記した常温重合レジンの他、リベース材料としても好適に使用できる。
【0049】
特に、透明性のよい歯科用の硬化体を与える化学重合触媒として知られている前記した特開昭63−216811号公報に記載されているピリミジントリオン誘導体を含む触媒系を使用したときと比較してもさらに透明性を向上させることができるうえに、劣化による着色も生じない。

Claims (2)

  1. (メタ)アクリレート系重合性単量体、充填剤、並びに(a)下記一般式(1)
    Figure 0004172729
    (但し、Rは炭素数4〜8のアルキル基である。)で示されるピリミジントリオン誘導体、(b)ハロゲンイオン形成化合物及び(c)第二銅イオン又は第二鉄イオン形成化合物からなる重合触媒を含んでなることを特徴とする歯科用硬化性組成物。
  2. メチルメタクリレートを主成分とする(メタ)アクリレート系重合性単量体、樹脂系充填剤、並びに(a)下記一般式(1)
    Figure 0004172729
    (但し、Rは炭素数4〜8のアルキル基である。)で示されるピリミジントリオン誘導体、(b)ハロゲンイオン形成化合物及び(c)第二銅イオン又は第二鉄イオン形成化合物からなる重合触媒を含んでなることを特徴とする歯科用常温重合レジン用または歯科用リベース材用の硬化性組成物。
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