JP4172563B2 - 同期電動機の制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石形同期電動機を制御するシステムに関わり、特に位置センサや速度センサ等を用いずに調整を簡単に行い、しかも高精度に行うことができる同期電動機の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、永久磁石形同期電動機の電動機定数である巻線抵抗は、直流試験で測定し、d軸のインダクタンスLdは、永久磁石形同期電動機を固定した状態でd軸電流だけに交流電流を流す拘束試験で測定し、q軸のインダクタンスLqは、永久磁石形同期電動機を固定した状態でq軸電流だけに交流電流を流す拘束試験で測定し、永久磁石の磁束は負荷試験で測定し、測定された電動機定数は、手動によって制御装置へ入力していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
永久磁石形同期電動機を高精度に制御するには、永久磁石形同期電動機の電動機定数の値が必要な場合がある。しかし、例えばd軸のインダクタンスLdとq軸のインダクタンスLqを測定する場合、永久磁石形同期電動機が回転しないように固定する道具が必要であり、そのような試験装置がないと永久磁石形同期電動機を高精度に制御できなかった。
また、電機子抵抗とd軸のインダクタンスLd及びq軸のインダクタンスLqは別々に測定しているため、手間がかかるという問題があった。
【0004】
また、d軸のインダクタンスLdとq軸のインダクタンスLqを測定する場合、永久磁石の方向を検出する位置検出器が必要になる。さらに、永久磁石の磁束を測定する場合、永久磁石の方向を検出する位置検出器と永久磁石形同期電動機の回転速度を検出する速度検出器が必要となる。これらの位置および速度検出器は振動、粉塵や温度等の使用制限や、モータ体積の増大、さらに検出器信号線の断線やノイズ混入等の問題がある。
本発明はこのような点に鑑みて創案されたもので、その目的とするところは、これらの欠点を解決し、位置検出器や速度検出器、試験装置を用いずに電動機定数を同時に測定することができる同期電動機の制御方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
その目的を達成するために、請求項1に示す如く、永久磁石形同期電動機に流れる一次電流を推定された永久磁石の方向に平行なd軸電流成分と、d軸に垂直なq軸電流成分に分けて制御する同期電動機の制御方法において、
永久磁石形同期電動機が停止した状態でd軸電流として交流電流を流し、q軸電流としてd軸電流に対して90度位相が異なり振幅が等しい交流電流を流し、d軸電圧の振幅とq軸電圧の振幅を比較してd軸電圧の振幅がq軸電圧の振幅よりも大きければ推定された永久磁石の方向を90度進めるか又は遅らせ、
q軸電流を流さず、d軸電流として交流電流を流し、q軸電圧の微分値とd軸電流の積によって推定された永久磁石の方向を修正し、
q軸電流は流さず、d軸電流に交流電流を流し、d軸電流が正の時のd軸電圧の平均値が、d軸電流が負の時のd軸電圧の平均値より大きい場合に推定された永久磁石の方向を180度進め、
永久磁石の方向の推定が全て終わった時点で、d軸電流として交流電流を流し、q軸にはd軸電流に対して90度位相が異なり振幅が等しい交流電流を流し、d軸電流の大きさと位相及びd軸電圧の大きさと位相より永久磁石形同期電動機のd軸インダクタンスLdと抵抗成分Rdを求めて設定記憶し、q軸電流の大きさと位相及びq軸電圧の大きさと位相より永久磁石形同期電動機のq軸インダクタンスLqと抵抗成分Rqを求めて設定記憶するものである。
【0006】
また、抵抗成分Rdと抵抗成分Rqの平均値を永久磁石形同期電動機の電機子抵抗Rとして設定記憶するものである。
【0007】
また、d軸電流として交流電流を流し、q軸電流として直流電流を流し、永久磁石形同期電動機が回転している状態で、d軸電流、q軸電流及びq軸電圧から永久磁石の方向及び永久磁石形同期電動機の回転速度を推定し、電機子抵抗R、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、推定された永久磁石の方向、推定された回転速度、d軸電流、q軸電流及びq軸電圧を入力して永久磁石の磁束を求めて設定記憶するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき、図を用いて説明する。図1は本発明の一実施例のブロック図であり、1は永久磁石形同期電動機、4は永久磁石形同期電動機1に電力を供給する電力変換器、2は永久磁石形同期電動機1に印加される一次電圧v1を検出する電圧検出器、3は永久磁石形同期電動機1に流れる一次電流i1を検出する電流検出器である。6はd軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、電機子抵抗R及び永久磁石の磁束φを入力して、永久磁石形同期電動機1をトルク制御するために必要な制御信号S1を出力するトルク制御器である。
【0009】
電流成分変換器13は、一次電流i1及び推定された永久磁石の方向θgを入力してd軸電流id及びq軸電流iqを出力する。電圧成分変換器14は、一次電圧v1及び推定された永久磁石の方向θgを入力してd軸電圧vd及びq軸電圧vqを出力する。位置・速度推定手段7は、d軸電流idとして交流電流が流れ、q軸電流としてd軸電流に対して90度位相が異なり振幅が等しい交流電流が流れるような制御信号S2、q軸電流は流さずd軸電流idとして交流電流が流れるような制御信号S3、q軸電流iqは流さずd軸電流idとして磁気飽和が生じるような大きめの交流電流が流れるような制御信号S4、推定された回転速度ωg及び推定された永久磁石の方向θgを出力する。詳細については後述する。
【0010】
電動機定数演算手段8は、d軸電流id、q軸電流iq、d軸電圧vd及びq軸電圧vqを入力して、d軸電流idとして交流電流が流れ、q軸電流iqとしてd軸電流idと90度位相が異なり振幅の等しい交流電流が流れるような制御信号S5を出力し、d軸電流id、q軸電流iq、d軸電圧vd及びq軸電圧vqをフーリエ変換し、d軸電流idの基本波成分の大きさと位相及びd軸電圧vdの基本波成分の大きさと位相からd軸インダクタンスLdと抵抗成分Rdを求め、q軸電流iqの基本波成分の大きさと位相及びq軸電圧vqの基本波成分の大きさと位相からq軸インダクタンスLqと抵抗成分Rqを求める。
【0011】
磁束演算手段10は、d軸電流id、q軸電流iq、q軸電圧vq、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、電機子抵抗R、推定された永久磁石の方向θg及び推定された回転速度ωgを入力して、d軸電流idとして交流電流が流れ、q軸電流iqとして直流電流が流れるような制御信号S6及び永久磁石の磁束φを出力する。設定記憶手段9は、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、抵抗成分Rd、抵抗成分Rq及び永久磁石の磁束φを入力し、抵抗成分Rdと抵抗成分Rqの平均値を電機子抵抗Rとして設定記憶し、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq及び永久磁石の磁束φを設定記憶する。
【0012】
スイッチ5は、トルク制御器6が出力する制御信号S1と位置・速度推定手段7が出力する制御信号S2、S3、S4、電動機定数演算手段8が出力する制御信号S5及び磁束演算手段10が出力する制御信号S6のいずれかを選択するスイッチであり、永久磁石形同期電動機1をトルク制御するときは制御信号S1を電力変換器4に出力し、電動機定数が未知の状態で永久磁石の方向を推定するときは制御信号S2、S3、S4の順番に電力変換器4に出力し、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq及び抵抗成分Rを演算するときは制御信号S5を電力変換器4に出力し、永久磁石の磁束φを演算するときは制御信号S6を電力変換器4に出力する。
【0013】
図2は、図1中の位置・速度推定手段7の詳細ブロック図を表しており、15はdq軸判定手段であり、d軸電圧vdとq軸電圧vqを入力して、d軸電流idとして交流電流が流れ、q軸電流iqとしてd軸電流idに対して90度位相が異なり振幅が等しい交流電流が流れるような制御信号S2と、d軸電圧vdの振幅の大きさとq軸電圧vqの振幅の大きさを比較して、d軸電圧vdの振幅の方が大きければ推定された永久磁石の方向θgを90度進めるか又は遅らせる信号Sθ1を出力する。
【0014】
16は磁極判定手段であり、d軸電流id及びd軸電圧vdを入力して、q軸電流iqは流さずd軸電流idに磁気飽和が生じるような大きめの交流電流が流れるような制御信号S4と、d軸電流idが正の時のd軸電圧vdの平均値がd軸電流idが負の時のd軸電圧vdの平均値より大きい場合に推定された永久磁石の方向θgを180度進める信号Sθ2を出力する。17は位置・速度修正手段であり、q軸電流iqは流さず、d軸電流idに交流電流が流れるような制御信号S3、永久磁石形同期電動機1の推定された回転速度ωg及び推定された永久磁石の方向θgを出力する。以下、その詳細を図3により説明する。
【0015】
図3中、18は微分器であり、q軸電流iqを微分する。19はインダクタンス分電圧降下演算器であり、微分器18の出力とq軸インダクタンスLqの積を演算する。20は抵抗分電圧降下演算器であり、q軸電流iqと電機子抵抗Rの積を出力する。21は加算器であり、各部の定数を設定記憶する前に永久磁石の方向を推定する場合は加算機21の出力を何らかの方法で0Vにクリップ(図示せず)し、各部の定数が設定記憶されている場合はクリップ回路が働かず、この場合はインダクタンス分電圧降下演算器19の出力と抵抗分電圧降下演算器20の出力を加算する。
【0016】
22は減算器であり、加算器21の出力とq軸電圧vqを入力し、q軸電圧vqから加算器21の出力を減算した値を出力する。23は微分器であり、減算器22の出力を微分する。24は位置誤差検出手段であり、d軸電流idと微分器23の出力dvqの積aを出力する。25は低域通過フィルタであり、位置誤差検出手段24の出力aの高調波成分を除去し直流成分afのみを出力する。
【0017】
26は速度推定手段であり、低域通過フィルタ25の出力afを入力して、永久磁石形同期電動機1の回転速度ωgを出力する。27は位置推定手段であり、dq軸判定手段15の出力Sθ1、磁極判定手段16の出力Sθ2及び推定された回転速度ωgを入力して、q軸電流iqは流さずd軸電流idに交流電流が流れるような制御信号S3及び推定された永久磁石の方向θgを出力する。
【0018】
以下は本発明によって、前記問題点を解決できる理由を説明する。
まず、請求項1によって永久磁石の方向が推定できる理由を説明するために、最初に、位置・速度修正手段17を説明する。図4は永久磁石形同期電動機1の実際の永久磁石φgrの方向θgrと推定された永久磁石φgの方向θgの関係をベクトルで表したもので、これらの間に
【0019】
【数1】
Figure 0004172563
【0020】
の位置誤差Δθがある場合、数2に示す如くq軸電流iqを流さずd軸電流idとして交流電流を流すように制御すると、
【0021】
【数2】
Figure 0004172563
【0022】
実際の永久磁石φgrの方向θgr(以下、dr軸という)に平行なdr軸電流成分idr及びdr軸に垂直な軸(以下、qr軸という)方向のqr軸電流成分iqrは数3で表わされる。
【0023】
【数3】
Figure 0004172563
【0024】
ここで、Ihは交流電流の波高値、ωhは交流電流の角周波数、tは時間である。
永久磁石形同期電動機1の特性方程式は、次式で表せられる。
【0025】
【数4】
Figure 0004172563
【0026】
ここで、vdrはdr軸電圧、vqrはqr軸電圧、pは微分演算子、
ωgrは永久磁石形同期電動機1の実際の回転速度である。
(6)式および(7)式に、(4)式および(5)式に代入すると、
【0027】
【数5】
Figure 0004172563
【0028】
となる。(8)式と(9)式よりq軸電圧vqは、次式となる。
【0029】
【数6】
Figure 0004172563
【0030】
位置誤差検出手段24の出力aは、d軸電流idとq軸電圧vqの微分値dvqとの積であることから、(2)式と(10)式より、
【0031】
【数7】
Figure 0004172563
【0032】
となり、低域通過フィルタ25に通してaの高周波成分を除去すると、
【0033】
【数8】
Figure 0004172563
【0034】
となる。Lq>Ldなので(12)式より、−90度<Δθ<90度の場合は、位置誤差Δθの符号とafの符号が逆になることが分かる。つまり推定している永久磁石φgの方向θgが実際の永久磁石φgrの方向θgrより進んでいる場合は、af<0となり速度推定手段26によって比例積分増幅させることで、永久磁石形同期電動機1の推定された回転速度ωgが小さくなるので推定された永久磁石の方向θgの進みが遅くなり実際の永久磁石の方向θgrに一致するようになる。逆の場合も同様である。
【0035】
位置・速度修正手段17によって、永久磁石形同期電動機1の回転速度と永久磁石の方向を推定する場合、d軸電流idには交流電流を流している。すると、d軸とq軸との干渉によって、q軸電流iqにも交流成分が現れる。このq軸電流iqの交流成分は、q軸電圧vqにも現れてくる。そこで、図3では、q軸電圧vqがq軸電流iqの交流成分の影響を受けないように、減算器22によってq軸電流iqに関する項を取り除くために、q軸電圧vqに{vq−(R+p・Lq)・iq}を代入している。また、電機子抵抗R、d軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqが未知の段階で永久磁石の方向を推定する場合、減算器22はq軸電圧vqをそのまま出力する。
【0036】
つまり、(12)式より、d軸電流idとq軸電圧vqの微分値の積から、位置誤差Δθに応じたafが得られることから永久磁石の方向と回転速度を推定することができる。
【0037】
次に、位置誤差Δθが90度ずれていた場合について説明する。先に述べた位置・速度修正手段17による永久磁石の方向を推定する方法は、最初の位置誤差Δθが±90度付近の場合、afが不安定となり永久磁石の方向θgを推定できない。しかるに本発明によれば、dq軸判定手段15によって、数9の(13)式および(14)式に示す電流をd軸およびq軸に流すことにより修正が可能になる。以下、この点について説明する。
【0038】
【数9】
Figure 0004172563
【0039】
なお、永久磁石形同期電動機1が回転すると位置誤差Δθが変化するため、以下の方法では推定された永久磁石の方向θgを修正することができないが、(13)式および(14)式の電流を流しても回転しないことを最初に説明する。
(1)式で示される位置誤差Δθがあると、実際に流れるdr軸電流idrとqr軸電流iqrは、(13)式および(14)式より、
【0040】
【数10】
Figure 0004172563
【0041】
となる。一方、永久磁石形同期電動機1のトルク式は、
【0042】
【数11】
Figure 0004172563
【0043】
と表される。(15)式と(16)式を(17)式に代入すると、永久磁石形同期電動機1の発生するトルクは次式で表される。
【0044】
【数12】
Figure 0004172563
【0045】
(18)式に示す如く、発生するトルクは交流成分のみであることから平均すれば0であり、永久磁石形同期電動機1は回転しない。
次に、位置誤差Δθが90度ずれているか否かの検出が、数9の(13)式および(14)式に示す電流をd軸およびq軸に流すことで可能になることを説明する。
永久磁石形同期電動機が停止している場合の実際のdr軸電圧vdrとqr軸電圧vqrは、(15)式、(16)式を(6)式、(7)式に代入することにより、(19)式、(20)式で表わされ、d軸電圧vdとq軸電圧vqは、(21)式、(22)式で表わされる。
【0046】
【数13】
Figure 0004172563
【0047】
【数14】
Figure 0004172563
【0048】
ここに、
【0049】
【数15】
Figure 0004172563
【0050】
である。Ld<Lqの関係から、(23)式と(25)式より、位置誤差Δθが±90度に近づくほどd軸電圧vdの振幅の大きさVdはq軸電圧vqの振幅の大きさVqよりも大きくなることが分かる。
以上に説明したように、(13)式および(14)式で示される電流を流すことで、電動機定数を用いることなく、永久磁石形同期電動機1が停止した状態で、d軸電圧vdの振幅の大きさとq軸電圧vqの振幅の大きさを比較することで、簡単に位置誤差Δθが±90度あるかどうか判定することが可能になる。
【0051】
しかし、dq軸判定手段15は、位置誤差Δθが90度あるかどうかの判定は可能であるが、位置誤差Δθの符号や正確な大きさまでは推定できない。よって、永久磁石形同期電動機1が停止した状態で、d軸電圧vdの振幅の大きさがq軸電圧vqの振幅の大きさよりも大きければ、推定された永久磁石の方向θgを90度進めるかまたは遅らせて、先述した位置・速度推定手段17と後述する磁極判定手段16とで推定された永久磁石の方向θgを修正する。
【0052】
次に、位置誤差Δθが180度ずれていた場合について説明する。(12)式より、位置誤差Δθが−90度<Δθ<90度である場合は位置誤差Δθが減る方向に修正されるが、位置誤差Δθが±90度以上の場合は(12)式より、位置誤差Δθの符号とafの符号が同符号のため位置誤差Δθが180度になってしまう。
【0053】
しかるに本発明によれば、数2の(2)式および(3)式に示す電流をd軸およびq軸に流すことにより修正が可能になる(ただし、(2)式の交流電流の波高値は、磁気飽和が生じるような大きめの値)。以下、この点について説明する。
なお、dq軸判定手段15と同様に、永久磁石形同期電動機1が回転すると位置誤差Δθが変化するため、以下の方法では推定された永久磁石の方向θgを修正することができないが、(2)式および(3)式の電流を流しても回転しないことを最初に説明する。
位置・速度修正手段7によって推定された永久磁石の方向θgの位置誤差Δθは、0かまたは180度なので、実際に流れるdr軸電流idrとqr軸電流iqrは、(4)式および(5)式より、
【0054】
【数16】
Figure 0004172563
【0055】
となる。iqr=0であるので(17)式に示す永久磁石形同期電動機1のトルクは0になり、永久磁石形同期電動機1は回転しない。
次に、位置誤差Δθが180度ずれているか否かの検出が数2の(2)式、(3)式に示す電流を流すことで可能になることを説明する。
【0056】
永久磁石の方向が正しく推定されている場合のd軸インダクタンスLdは、d軸電流idが正ならd軸電流idによる磁束の方向と永久磁石の磁束の方向が等しくなりd軸インダクタンスLdが小さくなり、d軸電流idが負ならd軸電流idによる磁束の方向と永久磁石の磁束の方向が逆方向となりd軸インダクタンスLdが大きくなる磁気飽和現象が発生する。そこで、q軸電流iqは流さず、d軸電流idに磁気飽和が生じるような大きめの交流電流を流して、磁極判定手段16によって、d軸電流idが正の時のd軸電圧vdの平均値とd軸電流idが負の時のd軸電圧vdを比較することで180度の位置誤差Δθを判定することができる。
【0057】
以上に説明したように、(2)式および(3)式に示す電流を流すことで、電動機定数を用いる前の段階においてもまた、永久磁石形同期電動機1が停止した状態で、d軸電流idが正の時のd軸電圧vdの平均値とd軸電流idが負の時のd軸電圧vdを比較することで、簡単に180度の位置誤差Δθを判定することが可能になる。
【0058】
次に、請求項1によって、位置誤差Δθが0の状態で、d軸電流idとq軸電流iqに(13)式および(14)式のような電流を流すことで、電動機定数を測定することができる理由を説明するために、電動機定数演算手段8について説明する。
なお、永久磁石形同期電動機1が回転すると、電動機定数を測定することができないが、(13)式および(14)式の電流を流す場合に回転しないことは先に(18)式に示したとおりであり、Δθが0の場合も回転しないことは明らかである。
次に、位置誤差Δθが0の状態で、d軸方向及びq軸方向に(13)式および(14)式に示す電流を流すことで電動機定数の測定が可能なことを説明する。位置誤差Δθが0で永久磁石形同期電動機1が停止している場合、idr=id、iqr=iq、vdr=vd、vqr=vq、ωgr=0であるので(6)式、(7)式はそれぞれ(30)式、(31)式で表される。
【0059】
【数17】
Figure 0004172563
【0060】
よって、(30)式から、d軸電圧vdの大きさと位相とd軸電流idの大きさと位相より、d軸のインダクタンスLdと抵抗成分Rdが演算できることがわかり、同様に(31)式から、q軸のインダクタンスLqと抵抗成分Rqが演算できることがわかる。
以上に説明したように位置誤差Δθが0で永久磁石形同期電動機1が停止している場合、(13)式及び(14)式で示す電流を流すことで、d軸のインダクタンスLdとq軸のインダクタンスLqと電機子抵抗Rを同時に演算することができ、従来のように永久磁石形同期電動機を固定して電流を測定することなく、自動的に測定し、設定することが可能になった。
【0061】
次に、請求項2によって永久磁石の磁束が測定できる理由を説明するために、磁束演算手段10について説明する。
設定記憶手段9にd軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq及び電機子抵抗Rが設定記憶され、位置・速度推定手段7によって永久磁石の方向θgと回転速度ωgが推定されているとする。次式に示す如く、d軸電流idに交流電流、q軸電流iqに直流電流を流す。
【0062】
【数18】
Figure 0004172563
【0063】
(32)式と(33)式を(17)式に代入すると、永久磁石形同期電動機1の発生するトルクは、(34)式になる。
【0064】
【数19】
Figure 0004172563
【0065】
(34)式第2項は交流成分なので平均すれば0になるが、第1項は直流成分であることから永久磁石形同期電動機1に一定のトルクが現れ、永久磁石形同期電動機1は回転する。よって、(7)式より、
【0066】
【数20】
Figure 0004172563
【0067】
となることから、dr軸電流idr、qr軸電流iqr、qr軸電圧vqr、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、電機子抵抗R、回転速度ωg及び永久磁石の方向θgが分かれば、永久磁石の磁束φが演算できる。
以上に説明したように、設定記憶手段9にd軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq及び電機子抵抗Rが設定記憶され、位置・速度推定手段7によって永久磁石の方向θgと回転速度ωgが推定され、(32)式及び(33)式で示す電流を流すことで、永久磁石の磁束φを演算することができ、従来のように位置検出器や速度検出器を用いることなく、自動的に測定し、設定することが可能になった。
【0068】
【発明の効果】
本発明により、永久磁石形同期電動機の電動機定数を測定する装置を用いないで制御装置に設定できることから、制御装置の調整が簡単で高精度になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を表すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例を表すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例を表すブロック図である。
【図4】本発明の原理を表すベクトル図である。
【符号の説明】
1 永久磁石形同期電動機
2 電圧検出器
3 電流検出器
4 電力変換器
5 スイッチ
6 トルク制御器
7 位置・速度推定手段
8 電動機定数演算手段
9 設定記憶手段
10 磁束演算手段
13 電流成分変換器
14 電圧成分変換器
15 dq軸判定手段
16 磁極判定手段
17 位置・速度修正手段
18 微分器
19 インダクタンス分電圧降下演算器
20 抵抗分電圧降下演算器
21 加算器
22 減算器
23 微分器
24 位置誤差検出手段
25 低域通過フィルタ
26 速度推定手段
27 位置推定手段

Claims (3)

  1. 永久磁石形同期電動機に流れる一次電流を推定された永久磁石の方向(以下、d軸という)に平行なd軸電流成分と、d軸に垂直な軸(以下、q軸という)方向のq軸電流成分に分けて制御する同期電動機の制御方法において、
    永久磁石形同期電動機が停止した状態でd軸電流として交流電流を流し、q軸電流としてd軸電流に対して90度位相が異なり振幅が等しい交流電流を流し、d軸電圧の振幅とq軸電圧の振幅を比較してd軸電圧の振幅がq軸電圧の振幅よりも大きければ推定された永久磁石の方向を90度進めるか又は遅らせ、
    q軸電流を流さず、d軸電流として交流電流を流し、q軸電圧の微分値とd軸電流の積によって前記推定された永久磁石の方向を修正し、
    q軸電流は流さず、d軸電流に交流電流を流し、d軸電流が正の時のd軸電圧の平均値が、d軸電流が負の時のd軸電圧の平均値より大きい場合に前記推定された永久磁石の方向を180度進め、
    永久磁石の方向の推定が全て終わった時点で、d軸電流として交流電流を流し、q軸にはd軸電流に対して90度位相が異なり振幅が等しい交流電流を流し、d軸電流の大きさと位相及びd軸電圧の大きさと位相より永久磁石形同期電動機のd軸インダクタンスLdと抵抗成分Rdを求めて設定記憶し、q軸電流の大きさと位相及びq軸電圧の大きさと位相より永久磁石形同期電動機のq軸インダクタンスLqと抵抗成分Rqを求めて設定記憶することを特徴とする同期電動機の制御方法。
  2. 抵抗成分Rdと抵抗成分Rqの平均値を永久磁石形同期電動機の電機子抵抗Rとして設定記憶することを特徴とする請求項1記載の同期電動機の制御方法。
  3. d軸電流として交流電流を流し、q軸電流として直流電流を流し、永久磁石形同期電動機が回転している状態で、d軸電流、q軸電流及びq軸電圧から永久磁石の方向及び永久磁石形同期電動機の回転速度を推定し、電機子抵抗R、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、前記推定された永久磁石の方向、推定された回転速度、d軸電流、q軸電流及びq軸電圧を入力して永久磁石の磁束を求めて設定記憶することを特徴とする請求項1記載の同期電動機の制御方法。
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