JP4170378B2 - ホース及びその製造方法 - Google Patents
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Description
この発明は、例えば消防用吸管や屋内消火栓用保形ホースのように、たて糸とよこ糸とを織成して得られた筒状のジャケットの内周および外周にチューブ層をライニングしたホース及びその製造方法に関する。
ビル等に設置される消火栓においては、軽量で、柔軟性があり、外力を加えても容易に潰れることなく円形に保たれた保形ホースがリールに対して螺旋状に巻回されている。そして、このホースの基端部が接続口金を介して消火栓に接続され、先端部に放水口金が設けられている。
したがって、消火時にはホースの先端部を持って引き出すことにより、リールが回転してホースを必要な長さだけ引き出すことができ、ホースを途中まで引き出したときにはホースの基端側はリールに巻回されたままであるが、円形に保たれた保形ホースであるため通水することができる。
この種のホースは、繊維を筒状に織成したジャケットの内面にゴムまたは合成樹脂のライニング層を施したジャケットホースが用いられている。すなわち、繊維よりなるたて糸と、金属線状体または合成樹脂線状体からなるよこ糸とを筒状に織成し、このジャケットの内側にゴムまたは合成樹脂のライニング層を施している。
すなわち、従来のホースは、図3に示すように構成されている。ホース1のジャケット2は、たて糸3はポリエステルスパン糸を複数本燃り合わせた糸条を使用し、よこ糸4は鋼線またはポリエステルモノフィラメント糸を使用し、筒状に織成したものである。そして、このジャケット2の内面にポリエステル系TPEのライニング層5を施している。
このジャケット2のよこ糸4の密度が粗いため、ホース1を曲げても、曲げの内側でよこ糸4とよこ糸4とが干渉せず、近付く余裕があり、しわが発生しないが、よこ糸4の密度が粗い(通常、よこ糸の直径の2倍以上)ため、ホース1の内面の凹凸が大きく、圧力損失が大きいという問題がある。
そこで、この問題を解決するために、特許文献1に示すように、コンポジットホースのホース内面に設けられる内螺旋輪の接液面を平坦面として形成し、ホース内面が略平坦面として形成されるようにし、ホース内における流体の圧力損失と液溜りを減少させるようにしたホースが開発された。
特開平8−28762号公報
しかしながら、特許文献1のものは、断面がかまぼこ形状、略三角形状の内螺旋輪を芯とし、この芯を中心として積層体を形成し、この積層体の外表面に外螺旋輪を設け、内螺旋輪の接液面を平坦面としたものであり、流体の圧力損失と液溜りを減少させることはできるものの、芯が接液面に露出しているため圧力損失の減少が十分とはいえず、またホース全体が大重量となり、取扱いが困難である。
この発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、軽量、柔軟性に優れているとともに、圧力損失を小さくすることができるホースの製造方法を提供することにある。
この発明は、前述した目的を達成するために、請求項1は、たて糸13と、よこ糸を筒状に織成したジャケット12の内周および外周にライニング層を設けたホースの製造方法において、断面略三角形状で、その平坦面の底辺部16をジャケット12の内周側Aに、頂部17をジャケット12の外周側Bに向けた第1のよこ糸14と、この第1のよこ糸14より細い第2のよこ糸15とを交互に、かつ第1のよこ糸14の底辺部16に隣接して第2のよこ糸15を位置して前記たて糸13と筒状に織成して、前記ジャケット12の外周側Bに現れる部分は前記第1のよこ糸14の頂部17と前記第2のよこ糸15によって凹凸部18が形成されるジャケット12を形成する第1の工程と、前記ジャケット12の外周に接着性を有するエラストマーからなる外層チューブ19を外挿する第2の工程と、
前記ジャケット12を含む外層チューブ19の内部を負圧にした状態で加熱処理することにより、加熱軟化状態の外層チューブ19をジャケットの外周面に大気圧で加圧しながら加熱接着する第3の工程と、接着性を有するエラストマーからなる内層チューブ23を前記ジャケットの内部に引き込み、その内層チューブ23の内部を加圧した状態で加熱処理することにより、加熱軟化状態の内層チューブ23をジャケット12の内周面に加圧加熱接着する第4の工程と、からなることを特徴とする。
前記ジャケット12を含む外層チューブ19の内部を負圧にした状態で加熱処理することにより、加熱軟化状態の外層チューブ19をジャケットの外周面に大気圧で加圧しながら加熱接着する第3の工程と、接着性を有するエラストマーからなる内層チューブ23を前記ジャケットの内部に引き込み、その内層チューブ23の内部を加圧した状態で加熱処理することにより、加熱軟化状態の内層チューブ23をジャケット12の内周面に加圧加熱接着する第4の工程と、からなることを特徴とする。
請求項2は、請求項1の前記接着性を有するエラストマーからなる外層チューブ及び内層チューブは、接着層を有する樹脂チューブを使用したことを特徴とする。
請求項3は、請求項1の前記接着性を有するエラストマーからなる外層チューブ及び内層チューブは、未加硫ゴムチューブを使用したことを特徴とする。
請求項3は、請求項1の前記接着性を有するエラストマーからなる外層チューブ及び内層チューブは、未加硫ゴムチューブを使用したことを特徴とする。
請求項4は、たて糸13と、よこ糸を筒状に織成したジャケット12の内周および外周にライニング層を設けたホースにおいて、前記よこ糸は、断面略三角形状で、その平坦面の底辺部16をジャケット12の内周側Aに、頂部17をジャケット12の外周側Bに向けた第1のよこ糸14と、この第1のよこ糸14より細い第2のよこ糸15とからなり、前記第1のよこ糸14と第2のよこ糸15とを交互に配置するとともに、第1のよこ糸14の底辺部16に隣接して第2のよこ糸15を位置し、前記たて糸13は、2本の第2のよこ糸15の周面部と、これらの間に配置された第1のよこ糸14の底辺部16とを通って前記ジャケット12の内周側Aに現れる部分と、第1のよこ糸14の頂部17を通ってジャケット12の外周側Bに現れる部分とを所定の比率で交互に、かつ互いに隣り合うたて糸13同士が第2のよこ糸15の部分で交叉するように織成することにより、前記ジャケット12の内周側Aを軸方向に略同一平面に成形し、外周側Bを軸方向に山部18aと谷部18bとが交互に連続する凹凸部18に成形し、前記ジャケット12の内周面に平滑なライニング層24を、前記ジャケット12の外周面に波状凹凸部26を有するライニング層を設けたことを特徴とする。
請求項1,2の発明によれば、ジャケットのよこ糸を、断面が略三角形状の第1のよこ糸と、第1のよこ糸より細い第2のよこ糸とすることにより、ジャケットの内周面のライニング層が平滑となり圧力損失を小さく、ジャケットの外周面のライニング層は波状凹凸面となり、軽量、柔軟性に優れたホースを製造できる。請求項3によれば、接着性を有するエラストマーとして未加硫ゴムチューブを使用することにより、ライニング層の形成が容易に行なえ、生産性の向上が図れるという効果がある。
請求項4によれば、ジャケットのよこ糸を、断面が略三角形状の第1のよこ糸と、第1のよこ糸より細い第2のよこ糸とすることにより、ジャケットの内周面のライニング層は平滑となり圧力損失を小さく、ジャケットの外周面のライニング層は波状凹凸面となり、保形機能を持ちながら柔軟性が得られ、吸管や保形ホースとして有効である。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は第1の実施形態を示し、図1は保形ホースとしての吸管の半断面図である。図1(a)に示すように、ホース11のジャケット12は、たて糸13と第1のよこ糸14および第2のよこ糸15とを筒状に織成する。
図1は第1の実施形態を示し、図1は保形ホースとしての吸管の半断面図である。図1(a)に示すように、ホース11のジャケット12は、たて糸13と第1のよこ糸14および第2のよこ糸15とを筒状に織成する。
たて糸13は合成繊維糸として、呼称75の保形ホースの場合、ポリエステルスパン糸の10/10Sを264本とポリエステルスパン糸の20/10Sを1本を使用する。ポリエステルスパン糸の10/10Sと20/10Sの2種類のかわりにポリエステルフィラメント1500D×1、ナイロンフィラメント1260D×5、ビニロンフィラメント1200D×5等を使用してもよい。
第1のよこ糸14はアルミニウム、スチール等の線状体または合成繊維のモノフィラメント糸を使用している。この第1のよこ糸14は、断面が例えば二等辺三角形で、その3つの角部に丸みを付けるとともに、平坦面の底辺部16をジャケット12の内周側に、頂部17をジャケット12の外周側に向けて配列している。
ここで、第1のよこ糸14(例えば、一辺の長さが3.5mmの三角形)の打込み数について述べると、内径がφ75mmの吸管の場合、アルミニウム、スチール等の線状体を17本/10cm、または前記線状体とポリエステルフィラメント糸を引き揃えて15本/10cm程度とする。
第2のよこ糸15は第1のよこ糸14より細いフィラメント糸、スパン糸、モノフィラメント糸あるいはスチールワイヤを使用しており、この第2のよこ糸15は第1のよこ糸14と交互に配置しているとともに、第1のよこ糸14の底辺部16を隣接した状態に配置している。
前記たて糸13は、2本の第2のよこ糸15,15の間に配置された第1のよこ糸14の底辺部16を通って前記ジャケット12の内周側Aに現れる直線部分13aと第1のよこ糸14の頂部17を通ってジャケット12の外周側Bに現れる屈曲部分13bとを交互に形成している。
さらに、互いに隣り合うたて糸13,13同士は第2のよこ糸15の部分、つまり、ジャケット12の内周側Aで交叉した状態で織成する。したがって、互いに隣り合うたて糸13,13はジャケット12の軸方向に直線部分13aと屈曲部分13bとが1ピッチずつずれており、ジャケット12の内周面を軸方向に略同一平面に形成し、前記ジャケット12の外周面を軸方向に凹凸形状に形成している。
すなわち、ジャケット12の内周面は、第1のよこ糸14に平坦面の底辺部16を有していること、第2のよこ糸15が第1のよこ糸14の底辺部16を近接した状態に配置していることから、軸方向が略同一平面に形成され、外周面は第1のよこ糸14と第2のよこ糸15が交互に配置されていること、第1のよこ糸14の頂部17が所定間隔を存して配置されていることから略三角形の山部18aと谷部18bとが交互に連続する凹凸部18に形成される。
前述のように織成された筒状のジャケット12に接着性を有するエラストマー、例えばポリウレタン等の樹脂チューブ19を外挿する。この樹脂チューブ19の内周面にはあらかじめ接着層20が設けられ、2層構造に形成されている。
次に、樹脂チューブ19の両端部を封止し、一方の端部から真空吸引するとともに、ジャケット12を含む樹脂チューブ19を遠赤外線等の熱源を持った電気炉を通過させると、樹脂チューブ19の内部は負圧となり、しかもジャケット12は通気性を有するために、加熱軟化した樹脂チューブ19が軸心方向に引き込まれる。
したがって、図1(b)に示すように、樹脂チューブ19はジャケット12の外周面の形状、つまり、山部18aと谷部18bとが交互に連続する凹凸部18に倣って波状凹凸面21となり、内周面の接着層20によって樹脂チューブ19がジャケット12の外周面に接着されて一体となる。
次に、外周面に、接着性を有するエラストマー、例えば接着層22を有する内層樹脂チューブ23を前記ジャケット12の内部に引き込み、その内層樹脂チューブ23の内部に蒸気を送り込み、内層樹脂チューブ23の内部を大気圧で加圧した状態で加熱処理することにより、図1(c)に示すように、加熱軟化状態の内層樹脂チューブ23がジャケット12の内周面に接着層22を介して加熱接着する。
前述したように、ジャケット12の内周面は、第1のよこ糸14に平坦面の底辺部16を有していること、第2のよこ糸15が第1のよこ糸14の底辺部16を隣接した状態に配置され、軸方向が略同一平面に形成されていることから、内層樹脂チューブ23には凹凸が生じることなく、内面平滑なライニング層24となる。
したがって、前記製造方法によって得られたホース11は、内面平滑なライニング層24となり、外周面は波状凹凸面21となる。したがって、ホース11の内部を流れる流体は層流状態となり、圧力損失の小さい流路を構成することができ、また外周面は波状凹凸面21となるため、保形機能を持ちながら柔軟性が得られ、取り扱いやすいホースを得ることができる。
図2は第2の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。図2(a)に示すように、筒状のジャケット12に接着性を有するエラストマーとしての未加硫ゴムチューブ25を外挿する。この未加硫ゴムチューブ25の両端部を封止し、一方の端部から真空吸引するとともに、ジャケット12を含む未加硫ゴムチューブ25を加硫炉に入れて加硫すると、未加硫ゴムチューブ25の内部は負圧となり、しかもジャケット12は通気性を有するために、未加硫ゴムチューブ25が軸心方向に引き込まれる。
したがって、図2(b)に示すように、未加硫ゴムチューブ25はジャケット12の外周面の形状、つまり、山部18aと谷部18bとが交互に連続する凹凸部18に倣って波状凹凸面26となり、内周面がジャケット12の外周面に接着されて加硫され一体となる。
次に、接着性を有するエラストマーとしての未加硫ゴムチューブからなる内層樹脂チューブ23を前記ジャケット12の内部に引き込み、その内層樹脂チューブ23の内部に蒸気を送り込み、内層樹脂チューブ23の内部を大気圧で加圧した状態で加熱処理することにより、図2(c)に示すように、加熱軟化状態の内層樹脂チューブ23がジャケット12の内周面に加熱接着する。
前述したように、ジャケット12の内周面は、第1のよこ糸14に平坦面の底辺部16を有していること、第2のよこ糸15が第1のよこ糸14の底辺部16を隣接した状態に配置され、軸方向が略同一平面に形成されていることから、内層樹脂チューブ23には凹凸が生じることなく、内面平滑なライニング層24となる。
したがって、前記製造方法によって得られたホース11は、内面平滑なライニング層24となり、外周面は波状凹凸面26となる。したがって、ホース11の内部を流れる流体は層流状態となり、圧力損失の小さい流路を構成することができ、また外周面は波状凹凸面26となるため、保形機能を持ちながら柔軟性が得られ、取り扱いやすいホースを得ることができる。
前記第1〜第3の実施形態においては全てジャケット織りの基本的な組織が平織りですが、斜文織りや朱子織りでもよく、また、消防用吸管について説明したが、これに限定されず、通常の消防ホースや消火栓用の保形ホースをはじめあらゆる技術分野のホースに適用できる。
11…ホース、12…ジャケット、13…たて糸、14…第1のよこ糸、15…第2のよこ糸、16…底辺部、17…頂部、19…樹脂チューブ、20,22…接着層、23…内層樹脂チューブ。
Claims (4)
- たて糸13と、よこ糸を筒状に織成したジャケット12の内周および外周にライニング層を設けたホースの製造方法において、
断面略三角形状で、その平坦面の底辺部16をジャケット12の内周側Aに、頂部17をジャケット12の外周側Bに向けた第1のよこ糸14と、この第1のよこ糸14より細い第2のよこ糸15とを交互に、かつ第1のよこ糸14の底辺部16に隣接して第2のよこ糸15を位置して前記たて糸13と筒状に織成して、前記ジャケット12の外周側Bに現れる部分は前記第1のよこ糸14の頂部17と前記第2のよこ糸15によって凹凸部18が形成されるジャケット12を形成する第1の工程と、
前記ジャケット12の外周に接着性を有するエラストマーからなる外層チューブ19を外挿する第2の工程と、
前記ジャケット12を含む外層チューブ19の内部を負圧にした状態で加熱処理することにより、加熱軟化状態の外層チューブ19をジャケットの外周面に大気圧で加圧しながら加熱接着する第3の工程と、
接着性を有するエラストマーからなる内層チューブ23を前記ジャケット12の内部に引き込み、その内層チューブ23の内部を加圧した状態で加熱処理することにより、加熱軟化状態の内層チューブ23をジャケット12の内周面に加圧加熱接着する第4の工程と、
からなることを特徴とするホースの製造方法。 - 前記接着性を有するエラストマーからなる外層チューブ及び内層チューブは、接着層を有する樹脂チューブを使用したことを特徴とする請求項1記載のホースの製造方法。
- 前記接着性を有するエラストマーからなる外層チューブ及び内層チューブは、未加硫ゴムチューブを使用したことを特徴とする請求項1記載のホースの製造方法。
- たて糸13と、よこ糸を筒状に織成したジャケット12の内周および外周にライニング層を設けたホースにおいて、
前記よこ糸は、断面略三角形状で、その平坦面の底辺部16をジャケット12の内周側Aに、頂部17をジャケット12の外周側Bに向けた第1のよこ糸14と、この第1のよこ糸14より細い第2のよこ糸15とからなり、
前記第1のよこ糸14と第2のよこ糸15とを交互に配置するとともに、第1のよこ糸14の底辺部16に隣接して第2のよこ糸15を位置し、
前記たて糸13は、2本の第2のよこ糸15の周面部と、これらの間に配置された第1のよこ糸14の底辺部16とを通って前記ジャケット12の内周側Aに現れる部分と、第1のよこ糸14の頂部17を通ってジャケット12の外周側Bに現れる部分とを所定の比率で交互に、かつ互いに隣り合うたて糸13同士が第2のよこ糸15の部分で交叉するように織成することにより、前記ジャケット12の内周側Aを軸方向に略同一平面に成形し、外周側Bを軸方向に山部18aと谷部18bとが交互に連続する凹凸部18に成形し、
前記ジャケット12の内周面に平滑なライニング層24を、前記ジャケット12の外周面に波状凹凸部26を有するライニング層を設けたことを特徴とするホース。
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