JP3523828B2 - 管路内面ライニングチューブ基材および管路内面ライニングチューブ - Google Patents

管路内面ライニングチューブ基材および管路内面ライニングチューブ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一方向には大きな
引張り強度を有し、他方向には伸展性を有する織編物に
関する。
【0002】
【従来の技術】今日、特に下水道管では、硫化水素など
化学物質による腐食、木根の侵入、ひび割れまたは老朽
化などで損傷した管渠が増加している。一般に下水道管
渠が埋設されている道路は、水道、ガス、電力または通
信などの管渠が複雑に入り組んでおり、また交通障害な
どを考慮すると、開削による管の取り換えは、工事に要
する時間や安全面等に問題があった。これらの問題を解
決するため、下水管等の管内面の補修方法として、非開
削で施工が容易であるライニング工法が近年採用されて
いる。かかるライニング工法は、チューブ基材に硬化性
樹脂を含浸させたライニング用チューブを管内へ引き込
み、該チューブを空気圧や水圧で管内面に押し付け密着
させて、硬化性樹脂を熱硬化または光硬化させるという
ものである。
【0003】このようなライニング工法では、ポリエス
テル繊維等の有機繊維からなるフェルトをチューブ基材
とし、これに硬化性樹脂を含浸させたライニング用チュ
ーブを使用することが多い。しかし、該ライニング用チ
ューブは、樹脂の硬化によって形成される内張りの強度
があまり大きくないという問題があった。
【0004】また、ガラスクロスやガラスマットをチュ
ーブ基材として使用することもある。この場合、ガラス
繊維によって管の軸方向と管の円周方向の両方向に強度
の大きい内張りを形成できる反面、チューブ基材が円周
方向に伸びにくいためライニング用チューブを空気圧等
で管内面にしばしば密着させにくいという問題があっ
た。特に段差や屈曲、隙間がある下水道管内では、特に
管内面との密着性が問題となっていた。密着性が改善さ
れないと、補修管路の耐久性に悪影響を及ぼす可能性が
あり、また管の有効流路面積を狭める可能性もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、管路
内面ライニング用チューブ基材または管路内面ライニン
グ用チューブの製造に有用な一方向には優れた引張り強
度を有し、他方向には伸展性を有する新規織編物を提供
することにある。本発明の他の目的は、管の長手方向に
引張り強度を有する一方、管の円周方向に伸展性を有し
管内面に密着させることのできる管路内面ライニング用
チューブ基材または管路内面ライニング用チューブを提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、優れた引張り強度
を有する無機または合成繊維素材を用いた織編物におい
て、例えば縦または横方向に繊維を部分的に切断する等
して繊維の不連続部分を設けることにより、切れ目を入
れた方向に力がかかった場合に繊維がずれて織編物自体
が伸展性を有するという知見を得た。なお、本発明にお
いて、織編物とは織物または編物を含む。これを管路内
面ライニング用チューブに応用すると、管の円周方向に
繊維の不連続部分を設けることにより、円周方向に伸展
性を有し、多少の段差や屈曲、隙間があっても管内面に
密着させることができるという思いがけない知見も得
た。本発明者らはさらに検討を重ねて本発明を完成し
た。
【0007】すなわち、本発明は、 (1)無機繊維もしくは合成繊維からなる複数の織編物
を連続しないように、不連続部分を設けて並列に並べた
層を、不連続部分が重ならないように上下で積層し、上
層と下層が合成樹脂系で縫合された積層体を含み、繊維
の不連続部分の方向を管路内面の円周方向に設けること
により管の円周方向に伸展性を有することを特徴とする
管路内面ライニングチューブ基材、 (2)無機繊維がガラス繊維であることを特徴とする前
記(1)に記載の管路内面ライニングチューブ基材、 (3)(a)前記(1)に記載の積層体と(b)無機ま
たは合成繊維の不織布との積層体を含み、繊維の不連続
部分の方向を管路内面の円周方向に設けることにより管
の円周方向に伸展性を有することを特徴とする管路内面
ライニングチューブ基材、 (4)(a)と(b)との積層体が、(a)2枚の間に
(b)が挟み込まれている構造を有し、さらに前記
(a)と(b)との層間部にロービングが管の長手方向
に通されていることを特徴とする前記(3)に記載の管
路内面ライニングチューブ基材、 (5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の管路内面
ライニングチューブ基材を使用した管路内面ライニング
チューブ、に関する。
【0008】本発明で用いる無機繊維素材としては、例
えば、ガラス繊維、炭素繊維または金属繊維が挙げられ
る。
【0009】無機繊維素材としてのガラス繊維は、アル
カリ含有率によって無アルカリタイプと含アルカリタイ
プに大別されるが、前者はホウ素とフッ素系の融剤が配
合されているため電気的および機械的特性が優れてお
り、電気関係の分野で使用される関係でEガラスと称さ
れ、また後者は耐薬品性が高く化学的用途に用いられる
ためCガラスと称されている。いずれも本発明で使用で
きる。なお、Cガラスはアルカリ含有率が高いため、ア
ルカリ含量を下げると同時にチタンと亜鉛系の融剤を用
いたECRガラスが開発され、Cガラスを代替して汎用
されている。従って、ECRガラスも本発明で使用でき
る。又さらにAガラス、Lガラス、Sガラス、YM31
−Aガラス等も本発明において使用できる。
【0010】ガラス繊維は、公知またはそれに準ずる方
法で製造できる。例えば、以下のような方法で製造でき
る。原料としては、例えばケイ石のほか石灰石、アルミ
ナ、ホウ酸、炭酸マグネシウム、ホタル石またはソーダ
灰などを用いることができる。これらを微粉砕して所望
の割合で混合し、これをるつぼがまに入れて約1200
〜1800℃程度の温度で約1昼夜溶融して、ガラス生
地を作る。これを直接紡糸炉に、またはマーブルという
形態を経て紡糸炉に投入して約800〜1500℃で再
溶融する。耐熱度の高い材質で作られたノズルから溶融
したガラスフィラメントを垂下させ集束する。これを所
望により、例えば、デンプン、ポリビニルアルコール、
ポリフェノール樹脂、ポリエステル樹脂等の集束剤で処
理した後、ボビンに巻き取る。
【0011】無機繊維素材としての炭素繊維は、ポリア
クリロニトリル(PAM)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊
維、レーヨン炭素繊維等の高性能炭素繊維(HPCF)
を用いることができるが、引張り強度が強いことからP
AM系炭素繊維が好適である。PAM系炭素繊維は、公
知またはそれに準ずる方法で製造できる。例えば、アク
リロニトリルを公知またはそれに準ずる方法で重合して
ポリアクリロニトリルを製造し、これを紡糸してアクリ
ル繊維とする。これを空気中で熱処理する耐炎化工程を
行い、耐炎化繊維を得る。つぎに、不活性ガス中約10
00〜1800℃程度で焼成し炭素化繊維を得る。さら
に約2000〜3000℃で焼成することにより黒鉛繊
維を得ることもできる。
【0012】無機繊維素材としての金属繊維とは、金属
から作られる繊維である。金属としては、Fe合金、C
u合金、Mn−Ni合金、NI−Cr合金、Al、A
u、またはAg等が用いられる。金属繊維は、公知また
はそれに準ずる方法で製造できる。例えば、線引き加工
法、溶融紡糸法、または切削法によって製造できる。
【0013】本発明で用いる合成繊維素材としては、公
知ものを用いてよいが、引っ張り強度が大きいものが好
ましい。このような繊維を用いれば、長手方向の大きい
引張強度を与えることができるため、管内へ引き込むと
きに大きい引張力が作用しても、該チューブが伸びたり
破断する心配はない。引張り強度は、約15g/d以
上、好ましくは約20g/d以上が好ましい。上限値
は、好ましくは約35g/dである。ここで、引張り強
度は、例えば、JIS L 1013「化学フィラメン
ト糸試験方法」に従った方法にて容易に測定できる。こ
のような合成繊維素材としては、例えば、ポリブタジエ
ン繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維、
ヘテロ環高性能繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリ
アクリロニトリル繊維、ポリエチレンテレフタラート、
またはポリアセタール繊維などが挙げられる。これらの
合成繊維は、公知またはそれに準ずる方法で製造するこ
とができる。
【0014】本発明で用いられる織物としては、上記無
機または合成繊維素材で織られたものであれば、例え
ば、平織、朱子織、綾織、横縞織、からみ織、斜こ織ま
たはすだれ織りなどいずれの織り方のものであってもよ
い。中でも、平織またはすだれ織りが好ましい。本発明
で用いられる編物としては、例えば、平編み、ゴム編み
もしくはパール編みなどの横編み、シングルデンビー編
みもしくはシングルデンビー編みなどの縦編み、または
レース編み等が挙げられる。また、織編物は無機繊維ま
たは合成繊維の2種以上を用いた織編物であってもよ
い。さらに、織編物は、無機繊維または合成繊維を単に
引きそろえたフィラメントを用いてもよいし、それをよ
ったものを用いてもよい。また、二重構造を有するよう
な複合素材を用いてもよい。
【0015】本発明において、織編物の縦方向または横
方向に繊維の不連続部分を設ける方法は、公知の手段を
用いてもよい。例えば、図1のように、織編物を複数枚
並列に並べ、さらにその上に織編物を複数枚並列に並べ
る。このとき織編物は、2枚以上並列に並べるのが好ま
しい。より好ましくは2枚〜10枚程度である。そのと
き、織編物と織編物との不連続部分を形成する隣接部が
上下で重ならないようにするのが好ましい。これを、例
えばポリエステル糸などの合成樹脂糸で縫合して織編物
に不連続部分を設ける。図1は織編物を上下に2層積層
しているが、本発明においてはこれに限らず、管路内面
ライニングチューブ基材として許容される限り、何層積
層させていてもよい。また、図2のように、織物の縦糸
または緯糸を部分的に切断してもよい。切断部は、図の
ように千鳥状に設けるのが好ましい。切断は、カッター
等を用いて手作業で行ってもよいし、ロールに刃を備え
た機械等で行ってもよい。切断部分は、織物に要求され
る伸展性によるが、約50mm〜300mm程度ごと、
好ましくは約80mm〜150mmごと、より好ましく
は約100mmごとである。切断部分を入れすぎると、
糸がほどけたり引張り強度があまりに弱くなったりし、
あまり入れないと伸展性を発揮できない。
【0016】本発明においては、繊維の不連続部分を設
けた方向への伸び率は、さらに塗布または含浸させる樹
脂の種類および量によっても異なるので一概には言えな
いが、約1〜15%程度、好ましくは約2〜10%程度
である。
【0017】本発明は、上記縦方向または横方向に繊維
の不連続部分を設けた無機または合成繊維素材からなる
織編物と無機または合成繊維素材からなる不織布の積層
体にも関する。不織布は、繊維の集合体であるウェブを
織ったり編んだりしないで、ウェブの繊維同士を化学
的、物理的もしくは熱によって接着または絡ませて作ら
れたシート状の構造体であり、例えば、湿式法不織布、
乾式法不織布または直接法不織布などが挙げられる。ま
た、フェルトも不織布に含む。不織布を構成する繊維と
しては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維または金属繊維
などの無機繊維;ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポ
リエステル系、ポリアクリロニトリル系、ポリビニルア
ルコール系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン
系、ポリウレタン系もしくはフェノール系などの合成繊
維が挙げられる。
【0018】積層体にするには、公知方法を用いてよ
い。例えば、ポリエステル糸などの合成樹脂糸で縫合し
てもよいし、接着剤で接着されて積層させてもよい。接
着剤は公知ものを不織布を構成する繊維によって適宜選
択して用いてよい。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明に係る管路内面ライニング
チューブ基材(以下「チューブ基材」という)は、上記
縦方向または横方向に繊維の不連続部分を設けた無機ま
たは合成繊維素材からなる織物であって一方向に伸展性
を有する織物(以下「伸展性織物」という)または編物
(以下「伸展性編物」という。)を含むものであれば、
いずれも本発明に属する。例えば、伸展性織物または伸
展性編物のみからなるチューブ基材であってもよい。ま
たは、無機または合成繊維素材からなる不織布(以下
「不織布」という)と伸展性織物または伸展性編物の積
層体からなるチューブ基材であってもよい。積層構造
は、伸展性織物または伸展性編物の上下一方に不織布が
積層されている構造であってもよいし、上下両方に、す
なわち本発明に係る伸展性織物または伸展性編物を挟み
込むような構造であってもよい。この場合、上下の不織
布の層は同一の繊維からできていてもよいし、異なる繊
維からできていてもよい。さらに、2枚の伸展性織物ま
たは伸展性編物の間に不織布を挟み込むような構造であ
ってもよい。この場合、不織布は単層であってもよい
し、同一または異なる繊維素材からなる複数層であって
もよい。
【0020】本発明に係るチューブ基材の好ましい態様
を、図3に示す。外層1と内層3はいずれも伸展性織物
である。このとき、円周方向のみに繊維の不連続部分を
設けたものが好ましい。長手方向に切断部分があると、
チューブを管内に引き込むときに強い引張り力がかかる
ので、チューブが破断するおそれがあるからである。伸
展性織物は、ガラス繊維からなることが好ましい。
【0021】中間層2は不織布である。伸展性織物の強
度(特に管の長手方向の強度)を補充し、または厚さを
確保するのが目的である。かかる目的より、ガラス繊維
製不織布を用いるのが好ましい。この実施形態では図3
に示すように第一中間層2aと第二中間層2bに分離し
ている。この中間層2を構成するガラス繊維製不織布の
全体の厚さおよび前記内外層1,3を構成する伸展性織
物の厚さは、チューブ基材の膨張時の直径を考慮して十
分な内張り強度が発揮できるように適宜決定すればよい
が、ガラス繊維製不織布が伸展性織物より薄くなると、
チューブ基材の剛性が高くなる。逆に、ガラス繊維製不
織布が伸展性織物に比べて厚すぎると、長手方向の引張
り強度が弱くなるおそれがあるので、伸展性織物とガラ
ス繊維製不織布の厚さの比率は、重量比に換算して約
1:1〜1:5程度の範囲となるように定めることが好
ましい。
【0022】ロービング4を、第一中間層2aと外層1
との層間部および第二中間層2bと内層3との層間部に
通すのが好ましい。このロービング4を通す方向は、通
常チューブ基材の周方向ではなく長手方向である。この
ように長手方向にロービング4を通すと、チューブ基材
の長手方向の伸びがなくなり、ロービングによって大き
な引張強度が付与されるという利点がある。上記利点を
発揮するために、ロービングは引っ張り強度の優れた繊
維からなるものが好ましい。特に好ましくはガラスロー
ビングを用いる。ロービング4の太さや間隔について
は、充分な引張強度が付与されるように適宜決定すれば
よいが、例えば約0.5〜0.8mm程度の太さのロー
ビング4を使用する場合には、その間隔を約7〜10m
m程度とするのが適当である。ガラスロービング4は、
図3に示す実施態様のほか、中間層2の内部、つまり第
一中間層2aと第二中間層2bの層間部に通してもよ
く、また、内外層1,3の内部に通してもよい。
【0023】上記のような態様のチューブ基材は、例え
ば次のような方法によって製造することができる。ま
ず、伸展性織物の上に、ロービングを長手方向に多数並
べ、例えばポリエステル等の合成樹脂糸でロービングを
伸展性織物に縫い付けてから、更にその上にガラス繊維
不織布を重ね、例えばポリエステル等の合成樹脂糸で該
不織布を伸展性織物に縫い付けて積層体を製造する。そ
して、図4に示すように、この積層体を二枚使用して不
織布が内側の中間層となるように上下に重ね、これを袋
状に折り畳んでその端部を例えばポリエステル等の合成
樹脂糸で縫合すると、本発明に係るチューブ基材が得ら
れる。袋状に縫合する際に、内側の積層体の縫合部分と
外側の積層体の縫合部分の位置が重ならないようにずら
すことが好ましい。
【0024】図4に示すように、チューブ基材の最も内
側に位置するように、上記図3の積層体を袋状に縫合す
る前に予め不織布5を更に積層しておくのが好ましい。
該不織布は、耐薬品性や耐磨耗性の優れた繊維からなる
不織布が好ましく、より好ましくはポリエステルからな
る不織布である。不織布5を積層することによりで、伸
展性織物を構成する繊維がチューブ内面に露出しないた
め、チューブ内面の平滑性が向上し、水の流れがスムー
ズな内張りを形成することができる。そして、不織布5
の繊維として、耐薬品性や耐磨耗性の優れたものを用い
れば、内張りの耐薬品や耐磨耗性も向上するという利点
がある。
【0025】さらに、図4に示すように、上記のチュー
ブ基材の最も外側または最も内側を更に被覆フィルム6
で被覆するのが好ましい。図4のように最も外側および
最も内側の両方に被膜してもよいし、最も外側または最
も内側のいずれかを被覆してもよい。この被覆フィルム
6によって含浸される樹脂の臭いが遮断されるため、ラ
イニング時に樹脂臭による不快感を受ける心配がなく、
また、含浸樹脂のべたつきも被覆フィルムで防止される
ので取扱いが容易となり、更に、チューブ内への水分の
浸入も上記フィルムで阻止されるので含浸樹脂の硬化不
良の心配も解消されるという利点がある。被覆フィルム
としては、公知のものを用いてよいが、例えば、ポリエ
チレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフ
ィルム、またはポリエチレンフィルムとナイロンフィル
ムとのラミネートフィルム等が好ましい。また、内側の
被覆フィルム6は内張り形成後に剥離除去するのが好ま
しい。
【0026】本発明に係る管路内面ライニングチューブ
(以下「チューブ」という)としては、例えば上記のチ
ューブ基材に硬化性樹脂を塗布または含浸させることに
より、内外層1,3を構成する伸展性織物の繊維間の空
隙部や、中間層2を構成する不織布の繊維間の空隙部に
硬化性樹脂を保持させたものが挙げられる。硬化性樹脂
としては、熱硬化型、放射線硬化型または自然硬化型な
どの公知の硬化性樹脂を用いることができるが、例えば
エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂またはポリエステル
樹脂などが好ましい。樹脂の塗布または含浸方法は、公
知の方法またはそれに準ずる方法で行うことができる。
また、硬化性樹脂を塗布または含浸させる前にプライマ
ー処理を行ってもよい。プライマー処理は、プライマー
剤をチューブ基材に塗布または含浸させることが好まし
い。プライマー剤は、ポリオレフィン系接着剤など公知
のプライマー剤の中から不織布を構成する繊維によって
適宜選択できる。
【0027】チューブ基材の内側または外側が被覆フィ
ルムで被覆されている場合は、内外の被覆フィルムの間
を吸引、減圧することにより、上記硬化性樹脂をチュー
ブ基材に含浸させてもよい。また、被覆フィルム6で被
覆する前にチューブ基材を樹脂液に浸漬する等の手段で
上記硬化性樹脂をチューブ基材に含浸させてもよい。
【0028】上記硬化性樹脂に当業界で用いられる公知
の添加剤、例えば安定剤、可塑剤、滑剤または充填剤な
どを添加してもよい。
【0029】このようなチューブを用いて下水管等の既
設管の内面をライニングする方法としては、公知のライ
ニング方法のいずれを用いてよい。ライニング方法とし
て、例えば次のような方法が挙げられる。まずチューブ
を管内へ引き込み、次いで空気圧等の流体圧で該チュー
ブを膨らませて管内面に押付け、含浸樹脂を硬化させ
る。硬化方法としては、そのままの状態で自然硬化させ
る方法、加熱空気または高温水蒸気等の熱媒体を供給し
て熱硬化させる方法、または紫外線等の放射線照射機を
チューブ内で移動させながら放射線硬化させる方法など
が挙げられる。このように含浸樹脂を硬化させることに
より内張りを管内面に形成することができる。
【0030】
【実施例】〔実施例1〕330mm幅のガラス横すだれ
クロスRK200(伊勢織物株式会社製)を断面が図1
になるのように積層させた。ポリエステル糸(240
d)を用いてトリコット編みまたはチェーンステッチ編
みで上下層を固定した。図1のA−A’を縫い合わせ、
不連続部分の方向が円周方向となるように袋状にした。
該袋状チューブ基材に、硬化性樹脂として不飽和ポリエ
ステル樹脂を含浸させ、チューブを製造した。
【0031】該チューブを引込用ベルトに載せて、下水
管内へ挿入した。即ち、一方のリールから引込用ベルト
を繰出し、その上にチューブを載せて、引込用ベルト先
端のワイヤーを他方のリールで巻取りながら、下水管内
へ挿入した。チューブの挿入が終わると、引込用ベルト
を下水管から除去した。先導ガイド部材によりチューブ
を押し広げながら、複数のホース保持具をほぼ等間隔で
取付けた水蒸気供給ホースと吸引ホースをチューブ内へ
引込み、水蒸気供給ホースをホース保持具により下水管
のほぼ中心線上に配置させた。また、吸引ホースは、予
め上下に蛇行させた状態でホースの山部を水蒸気供給ホ
ースに結び付けておくことにより、吸引ホースの谷部が
チューブの内底面に近接するように配置させた。水蒸気
供給ホースと吸引ホースをチューブ内へ引込むと同時
に、送気ポンプで空気をチューブ内へ供給し、その空気
圧によってチューブを下水管の内面へ押付けた。
【0032】水蒸気供給ホースを送気ポンプに接続し、
吸引ホースを吸引ポンプに接続した。そして、ボイラー
で発生させた高温の水蒸気を送気ポンプにより水蒸気供
給ホースへ供給し、ホースの多数の放出孔から高温水蒸
気をチューブ内へ放出してチューブを熱硬化させた。一
方、水が液化してチューブの内底面に溜り始める水を水
蒸気と一緒に吸引ホースの多数の吸引孔から吸引除去し
た。チューブの熱硬化が完了すると、チューブを下水管
の両端のところで切断し、先導ガイド部材や水蒸気供給
ホースや吸引ホースを取り除いた。
【0033】〔実施例2〕ガラスロービングクロスRE
W580(伊勢織物株式会社製)の緯糸を図2のように
切断した。ついで、緯糸が円周方向となり、縦糸が長手
方向となるように袋状に縫い合わせた。実施例1と同様
にして、管路内面ライニングを施工した。
【0034】〔試験例〕呼び径が250mmの鉄筋コン
クリート管を25mmの段差をつけて2本つなげた管
に、実施例1で製造したチューブを引き込み、該チュー
ブにプラグを装着し、圧縮空気を送り込み、その空気圧
でチューブを拡張させた。次いで、温風を送り込み不飽
和ポリエステル樹脂を硬化させた。このとき、内面ライ
ニングにしわは見られず、管路内面に密着していること
がわかった。実施例2で製造したチューブについても同
様に試験した。この場合も内面ライニングにしわは見ら
れず、管路内面に密着していることがわかった。
【0035】
【発明の効果】本発明は、優れた引張り強度を有する無
機または合成繊維素材を用いた織編物において、縦また
は横方向に繊維を部分的に切断する等して繊維の不連続
部分を設けることにより、織編物の一方向に繊維特有の
引張り強度を保持させたまま、不連続部分の方向に対し
ては伸展性を有する織編物を提供する。また、上記織編
物おいて円周方向のみに繊維の不連続部分を設けたもの
を管路内面ライニングチューブ基材に用いれば、管の円
周方向に伸展性を有するため、チューブ径が管の内径よ
り若干小さくても、空気圧等の流体圧で膨張させたとき
に該チューブが円周方向に伸びて管内面へ密着すること
ができる。また、管と管の継目に多少の段差、ひずみま
たは隙間があるような場合でも、それらの形状に追従し
て伸展変形しながら管内面に密着することができる。従
って、含浸樹脂の硬化により形成される内張りと管内面
との間に隙間が生じるという従来の問題点が解消され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 横方向に繊維の不連続部分を設けた織編物の
断面図を示す。
【図2】 横方向に繊維の部分的な切断部分を設けた織
物を示す。
【図3】 本発明に係るチューブ基材の一実施態様の断
面拡大図を示す。
【図4】 本発明に係るライニングチューブの一実施態
様の断面図を示す。
【符号の説明】
11 織編物 12 合成樹脂糸 21 切断部 1 伸展性織物 2 不織布 3 伸展性織物 4 ロービング 5 不織布 6 被覆フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 63/00 - 63/48 F16L 1/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機繊維もしくは合成繊維からなる複数
    の織編物を連続しないように、不連続部分を設けて並列
    に並べた層を、不連続部分が重ならないように上下で積
    層し、上層と下層が合成樹脂系で縫合された積層体を含
    み、繊維の不連続部分の方向管路内面の円周方向に設
    ることにより管の円周方向に伸展性を有することを特
    徴とする管路内面ライニングチューブ基材。
  2. 【請求項2】 無機繊維がガラス繊維であることを特徴
    とする請求項1に記載の管路内面ライニングチューブ基
    材。
  3. 【請求項3】 (a)請求項1に記載の積層体と(b)
    無機または合成繊維の不織布との積層体を含み、繊維の
    不連続部分の方向管路内面の円周方向に設けることに
    より管の円周方向に伸展性を有することを特徴とする管
    路内面ライニングチューブ基材。
  4. 【請求項4】 (a)と(b)との積層体が、(a)2
    枚の間に(b)が挟み込まれている構造を有し、さらに
    前記(a)と(b)との層間部にロービングが管の長手
    方向に通されていることを特徴とする請求項に記載の
    管路内面ライニングチューブ基材。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の管路内
    面ライニングチューブ基材を使用した管路内面ライニン
    グチューブ。
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