JP4168542B2 - 不織布加工に適したアクリル繊維 - Google Patents

不織布加工に適したアクリル繊維 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不織布加工に適したアクリル繊維及びその製造方法に関し、更に詳しくは不織布加工に適した物性を有する高アクリロニトリル含有率で耐熱性のアクリル繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、天然、合成を問わず繊維は紡績工程を経て紡績糸として用いられることが一般的であった。しかしながら、不織布化技術が発達するにつれ、また、国内外の紡績賃金格差が大きくなるにつれ、繊維の加工形態として紡績糸から不織布への移行が年々強まりつつある。殊に要求性能さえ満足すれば比較的形態を問わない産業資材用途では、コストの点から今後飛躍的に紡績糸から不織布への移行が進むものと予想されている。
【0003】
一方、アクリル繊維はその優れた風合い及び染色性を活かして衣料用に大量に使用されているものの、産業資材用としては機械的特性が不充分であるためほとんど使用されていないのが現状であり、産業資材用繊維として使用可能な機械的特性を有するアクリル繊維を製造する試みが数多く提案されてきた。
【0004】
例えば特開昭57−51819号公報には、湿式または乾湿式紡糸法により得られた繊維を湿式延伸し、無緊張下で乾燥し引続いて加熱板上にて接触延伸して有効延伸倍率を9倍以上25倍以下にして高弾性率のアクリル繊維とすることが提案されている。また特開昭57−161117号公報には相対粘度が2.5〜6.0のアクリロニトリル系重合体を乾式または湿式紡糸し洗浄中もしくは洗浄後に湿式延伸し、緊張下に加熱ロール上で乾燥し、乾熱下に熱処理する方法が提案されている。しかしながら、これらの公知技術では引張強度を向上させることは出来ても、不織布を製造する際に必要な適性を付与することは困難である。
【0005】
ところで、産業資材用途には上述してきた高弾性率、高引張強度の他に、耐熱性を有する繊維であることを要求されるケースが多く、さらに加えて最近では不織布加工への適性を備えることも必要となって来たのは既述の通りである。かかる特に耐熱性への要求に応えるものとして、例えば特開平1−104818号公報には95重量%以上のアクリロニトリルを含有する重量平均分子量50万以上のアクリロニトリル系重合体を有機溶媒に溶解して得られる紡糸原液を、凝固浴中に乾湿式紡糸し、得られた凝固糸を温水中で延伸した後、150℃以上に保たれた加熱ローラーを用いて乾熱延伸することにより、引張強度15g/d以上、結節強度4g/d以上のアクリル繊維が得られることが記載されている。
【0006】
しかしながら、該アクリル繊維は高引張強度・高結節強度で耐熱性もそれなりに有するものの、不織布加工性は単繊維がフィブリル化する等の点で劣っている。一方、特開平5−279912号公報には95重量%以上のアクリロニトリルを含有するアクリロニトリル系重合体の紡糸原液を乾式紡糸し、得られた繊維を1.5〜4倍の範囲で一次延伸し、次いで乾燥及び緩和熱処理を施して10〜50%の収縮を与え、更に湿熱下で1.1〜1.8倍二次延伸した直後、160〜200℃にて定長熱処理することにより、引張強度1〜3g/d、結節強度(g/d)と結節伸度(%)の積が50以下の抗ピリング性アクリル繊維が得られることが記載されている。
【0007】
該アクリル繊維は、耐熱性はそれなりに有しているが、低引張強度・低結節強度であり「抗ピリング性」には優れているものの、不織布加工に耐えるものではない。以上2例から理解されるように、アクリル繊維の耐熱性は重合体のアクリロニトリル含有率を高めることで向上するが、耐熱性と不織布加工適性を充すものは得られていないのが現状である。不織布加工適性は、高い機械的特性のもの(前者)も低いもの(後者)もいずれも備えておらず、これを解決する為の技術的な障壁の高いことを示している。
【0008】
繊維の断面形状を繭状や三角状といった異形断面とすることにより、繊維の結節強度が向上することは公知である。しかしながら、このような方法で結節強度を向上させても、引張伸度は何ら向上しておらず、かかる繊維は依然として脆弱で不織布化に適した機械的特性を有しているとは言い難い。即ち、かかる繊維の結節強度向上自体が、該繊維の断面形状に基づく見掛け上のものに過ぎないからである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記問題点を解消し、不織布化に必要な機械的特性及び耐熱性に優れたアクリル繊維、及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、アクリル繊維について耐熱性を維持しつつ不織布加工適性を付与すべく鋭意検討を続けて来た。その結果、アクリル繊維に耐熱性を与える為に重合体のアクリロニトリル含有率を高める程通常の製法であれば該繊維の結晶化が進み剛直なものとなること、不織布加工を有利に行うのに剛直なだけの繊維は不向きで一定の強伸度バランスを有するものでなければならないこと、高アクリロニトリル含有率の繊維でも製造条件の選定により左記強伸度バランスが付与出来ること、を見出し本発明に到達した。
【0011】
本発明は、アクリロニトリルを少なくとも98重量%以上含有するアクリロニトリル系重合体からなり、3g/dを超える引張強度、50%以上の引張伸度、0.9以上の結節強度/引張強度比を有するアクリル繊維にあり、かかる繊維は、アクリロニトリルを少なくとも98重量%以上含有するアクリロニトリル系重合体を、湿式あるいは乾湿式紡糸法で紡糸し、水洗、延伸処理を施した後、先ず110〜130℃の湿熱雰囲気中で弛緩湿熱処理を施し、次いで弛緩乾燥処理を施すことによりトータルとして25〜40%の収縮を与えることを特徴とする製造方法によって製造しうる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で採用するアクリル繊維の原料であるアクリロニトリル系重合体とは、アクリロニトリル単独重合体、もしくはアクリロニトリル98重量%以上とアクリロニトリルと共重合可能なビニル系モノマー2重量%以下の共重合体であり、周知の重合開始剤、重合度調整のための連鎖移動剤を使用した重合により得られた適宜な重合度のものが用いられる。アクリロニトリルと共重合可能なビニル系モノマーとしては、例えばC1〜C4のアルキルアクリレートやアルキルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリロニトリル、アクリルアミド、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、臭化ビニリデン、スチレン、エチレン、プロピレン等が挙げられるが、アクリロニトリルと共重合させうるものであれば特に限定されるものではなく、2種類以上のビニル系モノマーを併用することも出来る。アクリロニトリルが98重量%未満では、産業資材用途で必要とされる耐熱性をアクリル繊維に付与することが出来ず発明が達成されない。
【0013】
該アクリロニトリル系重合体をアクリロニトリル系重合体の溶剤に溶解し、紡糸原液を作成する。かかる溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えばジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の有機系溶剤、硝酸、ロダン塩、塩化亜鉛等の無機系溶剤等が使用できる。しかしながら、本発明のアクリル繊維として不織布加工適性をより高度に達成するには、繊維の断面形状が不織布化に際し過度なフィブリル化、微粉末化を生じにくい円状である方が好ましく、従って本発明のアクリル繊維の断面形状を円状とする点において、かかる溶剤としては無機系溶剤が優れており、中でもロダン塩が好ましい。
【0014】
該紡糸原液を湿式あるいは乾湿式紡糸法で凝固浴中へ紡糸し、次いで水洗、延伸処理を施すことによりゲル糸條を得る。尚、言う迄もないが、湿式紡糸とは紡糸口金を凝固浴中に浸漬して糸條を吐出する方法、乾湿式紡糸とは紡糸口金から吐出した糸條を一旦非凝固性の媒体…一般には不活性気体…中を経由して凝固浴中に導入する紡糸方法を言う。かくして得られるゲル糸條は発明の繊維の中間原料と言うべきものであり、重合体と凝固性非溶剤、場合によっては残留しているわずかの溶剤でなる湿潤膨潤体である。かかるゲル糸條の製造方法の詳細は、一般に知られる湿式あるいは乾湿式紡糸方法によるアクリル繊維の製造方法であって、紡糸、水洗、延伸処理の工程を経るものであれば特に限定されるものではないが、例えば特開昭60−139809号、特開昭60−139810号、特開昭61−167013号、特開昭62−57910号等の公報に開示されている方法が挙げられる。
【0015】
かくして得られたゲル糸條を先ず110〜130℃の湿熱雰囲気中で弛緩湿熱処理を施し、次いで弛緩乾燥処理を施すことによりトータルとして25〜40%の収縮を与え、発明のアクリル繊維を得る。ここで、トータル25〜40%の収縮とは、弛緩湿熱処理による収縮と弛緩乾燥処理による収縮の合計であり、弛緩湿熱処理前のゲル糸條の長さをXcm、弛緩乾燥処理後の繊維の長さをYcmとしたとき、(X−Y)/X×100 で与えられる値である。
【0016】
本発明に記載の弛緩湿熱処理方法としては、例えばキヤーまたはオートクレーブを使用して、本発明のゲル糸條を湿熱雰囲気中でリラックスさせる方法が挙げられる。湿熱雰囲気の媒体としては、飽和水蒸気、過熱水蒸気等が挙げられるが、特に限定されるものではない。湿熱雰囲気温度が110℃未満の場合には、ゲル糸條に十分な収縮を与えることが出来ない為、本発明のアクリル繊維が特徴とする結節強度/引張強度比、及び引張伸度を繊維に付与することが出来ず、逆に130℃を超える場合には、繊維が極度に収縮する為、本発明のアクリル繊維が特徴とする引張強度を繊維に付与することが出来なかったり、ゲル糸條同士の部分的な融着が発生したりする。また、湿熱雰囲気中のゲル糸條の滞留時間としては3〜30分が好ましい。滞留時間が3分未満の場合には、ゲル糸條間で収縮に不均一が生じる為、得られるアクリル繊維の機械的物性が不均一となり、逆に30分を超える場合には、既にゲル糸條の収縮が完全に終了している為、徒に湿熱雰囲気を浪費しアクリル繊維の生産性を低めることになる。
【0017】
また、本発明に記載の弛緩乾燥処理方法としては、例えばトンネル乾燥機あるいはドラム乾燥機を用い、繊維をリラックスさせた状態で、湿度40%以下、温度110〜160℃の高温低湿雰囲気中で乾燥処理する方法が挙げられるが、上述の弛緩湿熱処理における収縮と、弛緩乾燥処理における収縮のトータルの収縮が25〜40%となる方法であれば、特に限定されるものではない。
【0018】
上述のごとくして得られたアクリル繊維は、3g/dを超える引張強度、50%以上の引張伸度、0.9以上の結節強度/引張強度比、即ち不織布の製造に十分な機械的特性を有している。尚、本発明のアクリル繊維は、不織布の製造に好適に用いられるようにする為、必要に応じて機械捲縮を付与し、切断してステープルとすることも可能であることは言うまでもない。
【0019】
本発明が採用するアクリル繊維は3g/dを超える引張強度、50%以上の引張伸度、0.9以上の結節強度/引張強度比を有している。引張強度が3g/d以下だと結節強度/引張強度比は高くても、繊維は脆い性状を示す。そのためかかる繊維は不織布を作成する際、繊維同士を絡み合わせる為に加えられる強いせん断力により繊維が微粉末化しやすく、結果として不織布強度が低くなるため、不織布の製造に十分な機械的特性を有しているとは言い難い。また、引張伸度が50%未満、もしくは結節強度/引張強度比が0.9未満の繊維は繊維軸方向への配向が強くなる為、該繊維は剛直な性状を示す。この場合も、不織布を作成する際、繊維同士を絡み合わせる為に加えられる強いせん断力により繊維が過度にフィブリル化してフェルト状になる等、不織布の製造には不適である。
【0020】
【実施例】
以下に本発明の理解を容易にするため実施例を示すが、これらはあくまで例示的なものであり、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。
【0021】
実施例1
アクリロニトリルをアンモニウムパーサルファイト/ピロ亜硫酸ソーダからなるレドックス系重合開始剤を使用し水系連続重合法にて重合し、重量平均分子量15万のアクリロニトリル単独重合体を得た。該アクリロニトリル単独重合体を53重量%のチオシアン酸ナトリウム水溶液に溶解、紡糸原液を作成し、孔径が0.125mmで、孔形状が円状である紡糸口金を介して−5℃に調整された15重量%のチオシアン酸ナトリウム水溶液からなる凝固浴中で凝固させ、次いで水洗、12倍の延伸処理を施すことにより、該アクリロニトリル単独重合体からなるゲル糸條を得た。該ゲル糸條をオートクレーブに入れ、110℃の飽和水蒸気でなる湿熱雰囲気中で15分間弛緩湿熱処理を施した後、トンネル乾燥機を用い125℃、相対湿度40%の加熱雰囲気中で15分間弛緩乾燥処理を施すことにより、トータルとして27.5%の収縮を付与したアクリル繊維を得た。採用した条件、および得られたアクリル繊維の評価結果を表1に示す。実施例1のアクリル繊維は引張強度が3.88g/d、引張伸度が51.3%で、且つ結節強度/引張強度比が0.93と不織布化に好適な機械的特性を示した。
【0022】
【表1】
Figure 0004168542
【0023】
実施例2
オートクレーブを用い130℃の飽和水蒸気でなる湿熱雰囲気中で15分間弛緩湿熱処理を施した他は実施例1と同様に実施しトータルとして39.5%の収縮を付与したアクリル繊維を得た。採用した条件、および得られたアクリル繊維の評価結果を表1に併記する。実施例2のアクリル繊維は引張強度が3.17g/d、引張伸度が60.5%で、且つ結節強度/引張強度比が0.99と不織布化に好適な機械的特性を示した。
【0024】
実施例3
アクリロニトリル98重量%とメチルアクリレート2重量%をアンモニウムパーサルファイト/ピロ亜硫酸ソーダからなるレドックス系重合開始剤を使用し、水系連続重合法にて重合して得た重量平均分子量15万のアクリロニトリル系重合体を使用した他は実施例1と同様に実施しトータルとして28.0%の収縮を付与したアクリル繊維を得た。採用した条件、および得られたアクリル繊維の評価結果を表1に併記する。実施例3のアクリル繊維は引張強度が3.72g/d、引張伸度が52.7%で、且つ結節強度/引張強度比が0.96と不織布化に好適な機械的特性を示した。
【0025】
実施例4
オートクレーブを用い130℃の飽和水蒸気でなる湿熱雰囲気中で15分間弛緩湿熱処理を施した他は実施例3と同様に実施しトータルとして40.0%の収縮を付与したアクリル繊維を得た。採用した条件、および得られたアクリル繊維の評価結果を表1に併記する。実施例4のアクリル繊維は引張強度が3.14g/d、引張伸度が61.5%で、且つ結節強度/引張強度比が0.99と不織布化に好適な機械的特性を示した。
【0026】
実施例5
紡糸口金として孔面積が0.032mm2で、孔形状が蝶ネクタイ状の紡糸口金を用いた他は実施例2と同様に実施し、トータルとして39.0%の収縮を付与したアクリル繊維を得た。採用した条件、および得られたアクリル繊維の評価結果を表1に併記する。実施例5のアクリル繊維は、引張強度が3.10g/d、引張伸度が60.0%、結節強度/引張強度比が1.00と十分採用可能なレベルであったものの、断面形状が繭状であるため実施例2のアクリル繊維に比して不織布化に際し若干フィブリル化しやすい傾向が観られた。
【0027】
比較例1
オートクレーブを用い105℃の飽和水蒸気でなる湿熱雰囲気中で15分間弛緩湿熱処理を施した他は実施例1と同様に実施しトータルとして24.5%の収縮を付与したアクリル繊維を得た。採用した条件、および得られたアクリル繊維の評価結果を表2に示す。比較例1のアクリル繊維は、引張強度は4.03g/dを示したものの、引張伸度が34.9%で、且つ結節強度/引張強度比が0.79であるため不織布化に際し過度にフィブリル化しやすく満足の出来ない結果であった。
【0028】
【表2】
Figure 0004168542
【0029】
比較例2
オートクレーブを用い135℃の飽和水蒸気でなる湿熱雰囲気中で15分間弛緩湿熱処理を施した他は実施例1と同様に実施しトータルとして41.0%の収縮を付与したアクリル繊維を得た。採用した条件、および得られたアクリル繊維の評価結果を表2に併記する。比較例2のアクリル繊維は、引張伸度は63.0%で、且つ結節強度/引張強度比は1.00を示したものの、引張強度が2.92g/dであるため不織布化に際し微粉末化しやすく満足の出来ない結果であった。
【0030】
比較例3
実施例3で得られたアクリロニトリル系重合体からなるゲル糸條に対し、先ずトンネル乾燥機を用い125℃、相対湿度40%の加熱雰囲気中で15分間弛緩乾燥処理を施した後、オートクレーブを用い130℃の飽和水蒸気でなる湿熱雰囲気中で15分間弛緩湿熱処理を施すことにより、トータルとして24.0%の収縮を付与したアクリル繊維を得た。採用した条件、および得られたアクリル繊維の評価結果を表2に併記する。比較例3のアクリル繊維は、引張強度は4.77g/dを示したものの、引張伸度が31.2%で、且つ結節強度/引張強度比が0.42であるため不織布化に際し過度にフィブリル化しやすく満足の出来ない結果であった。実施例1〜4と比較すれば、後述する比較例4、6とも併せ、本発明の提案するアクリル繊維の製造方法が如何に不織布化に好適な機械的特性を有するアクリル繊維を与えるかが容易に理解される。
【0031】
比較例4
実施例1で得られたアクリロニトリル単独重合体からなるゲル糸條に対し、トンネル乾燥機を用い125℃、相対湿度40%の加熱雰囲気中で15分間弛緩乾燥処理を施した後、オートクレーブを用い130℃の飽和水蒸気でなる湿熱雰囲気中で15分間弛緩湿熱処理を施すことにより、トータルとして23.5%の収縮を付与したアクリル繊維を得た。採用した条件、および得られたアクリル繊維の評価結果を表2に併記する。比較例4のアクリル繊維は、引張強度は4.85g/dを示したものの、引張伸度が30.2%で、且つ結節強度/引張強度比が0.39であるため不織布化に際し過度にフィブリル化しやすく満足の出来ない結果であった。
【0032】
比較例5
アクリロニトリル95重量%とメチルアクリレート5重量%をアンモニウムパーサルファイト/ピロ亜硫酸ソーダからなるレドックス系重合開始剤を使用し、水系連続重合法にて重合して得た重量平均分子量15万のアクリロニトリル系重合体を使用した他は実施例3と同様に実施しトータルとして33.0%の収縮を付与したアクリル繊維を得た。採用した条件、および得られたアクリル繊維の評価結果を表2に併記する。比較例5のアクリル繊維は、アクリロニトリルの含有率が95重量%のアクリロニトリル系重合体を使用しているため耐熱性が十分でなく、弛緩湿熱処理に際し繊維同士の部分的融着を発生し、とても不織布化に供し得る繊維ではなかった。
【0033】
比較例6
実施例5で得られたゲル糸條に対し、トンネル乾燥機を用い125℃、相対湿度40%の加熱雰囲気中で15分間弛緩乾燥処理を施した後、オートクレーブを用い130℃の飽和水蒸気でなる湿熱雰囲気中で15分間弛緩湿熱処理を施すことにより、トータルとして24.0%の収縮を付与したアクリル繊維を得た。採用した条件、および得られたアクリル繊維の評価結果を表2に併記する。比較例6のアクリル繊維は、引張強度は3.72g/dで、且つ断面形状が繭状であるため結節強度/引張強度比は0.92を示したものの、引張伸度は30.8%に過ぎず、不織布化に際し過度にフィブリル化しやすく満足の出来ない結果であった。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように本発明は、アクリロニトリルを少なくとも98重量%以上含有するアクリロニトリル系重合体からなり、不織布化に適した機械的特性、即ち3g/dを超える引張強度、50%以上の引張伸度、0.9以上の結節強度/引張強度比を有するアクリル繊維、及びその製造方法を提供した点が特筆すべき効果であり、工業的意義の大なるものがある。

Claims (2)

  1. アクリロニトリルを少なくとも98重量%以上含有するアクリロニトリル系重合体からなり、3g/dを超える引張強度、50%以上の引張伸度、0.9以上の結節強度/引張強度比を有するアクリル繊維。
  2. アクリロニトリルを少なくとも98重量%以上含有するアクリロニトリル系重合体を、湿式あるいは乾湿式紡糸法で紡糸し、水洗、延伸処理を施した後、先ず110〜130℃の湿熱雰囲気中で弛緩湿熱処理を施し、次いで弛緩乾燥処理を施すことによりトータルとして25〜40%の収縮を与えることを特徴とする請求項1記載のアクリル繊維の製造方法。
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