JP4167763B2 - L−α−グリセロフォスフェートオキシダーゼ遺伝子、新規な組み換え体DNA及び改変されたL−α−グリセロフォスフェートオキシダーゼの製造法 - Google Patents
L−α−グリセロフォスフェートオキシダーゼ遺伝子、新規な組み換え体DNA及び改変されたL−α−グリセロフォスフェートオキシダーゼの製造法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、L−α−グリセロフォスフェートオキシダーゼ(以下、GPOという)遺伝子、新規な組み換え体DNA、改変されたGPO及び当該GPOの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
GPOはL−α−グリセロフォスフェートと1分子の酸素からジヒドロキシアセトンフォスフェートと1分子の過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素として知られている。
従来、GPOを生産する微生物としてはストレプトコッカス(Streptococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属(特開昭58-165789、特開昭57-198085)、ロイコノストック(Leuconostoc)属、アエロコッカス(Aerococcus)属(特開昭55-15746)に属する細菌が知られ、これらの細菌より生産されたGPOは、臨床検査用、試薬用酵素として用いることが可能であり、リパーゼの活性測定やトリグリセリド、グリセリン、ATP等の定量に用いられている。
【0003】
これら従来のGPO生産菌によるGPOの生産にはいくつかの問題点があった。例えば、ストレプトコッカス属のGPO生産菌を用いる場合に極めてコストが高い等の問題点があった。よって、近年においては、遺伝子組換え技術によりGPOを生産する方法が、ストレプトコッカス属(特開平2-454)に属する細菌において報告され、当該方法により生産されるGPOは臨床検査用試薬酵素として利用できることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、GPOを上述したような分野において使用するには、より安定性に優れ、耐熱性、反応性などに優れたGPOの開発が望まれ、かつGPOを安価に製造することが望まれていた。即ち、最近の臨床検査分野においては液状試薬への移行が進み、より安定で、より反応性が高く、より信頼性が高いGPOの開発が望まれている。
【0005】
本発明が解決しようとする目的としては、新規なGPO生産菌を提供し、更に天然に存在するGPOのアミノ酸配列とは異なり、GPO活性を有しながらも、酵素の理化学的性質が改変されたGPOを遺伝子工学的に作成し、提供しようとするものである。
【0006】
即ち、本発明は新たに自然界よりスクリーニングされたGPO生産菌を提供するとともに、当該GPOをコードするDNAから示されるアミノ酸配列のうち、特定の位置のアミノ酸を他のアミノ酸で置換することによって得られる組換えDNAを、ベクターに組み込んだ複製可能な組換えDNA、それを含む形質転換体及びそれを用いた改変された性質を有するGPOの製造法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究の結果、新たにスクリーニングされたGPO生産菌について、当該GPOをコードするDNAを明らかにし、これから示されるアミノ酸配列を改変することにより、より性質の改良されたGPOを得ることができた。
【0008】
即ち、本発明者らは、GPO生産菌を得るため、広く自然界に給源を求め土壌から分離した1菌株が新規なGPOを生産することを見いだした。
【0009】
本発明者らが分離した菌株について、その菌学的性質を、Bergey's Manual of Systematic Bacteriology, vol.2 (1986)を参考にして同定した。
【0010】
(1) 形態
グラム陽性,亜球形〜卵形,単独,2〜8個連鎖する,胞子を形成しない,運動性は ない.
【0011】
(2) 培養的性質(トリプトソイ寒天平板, 37℃, 24hr培養)
コロニーの形 : 円形(circular)
コロニー表面 : 滑面(smooth)
コロニー周縁 : 全縁(entire)
コロニー*** : 凸円状(convex)
コロニー光沢 : 不透明(opaque),湿光(glistening)
コロニー色 : 白色(white)
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
表1に示したように、グラム陽性,球菌,通性嫌気性,連鎖する,グルコースからガス非生成であることからエンテロコッカス属であり、表2よりも明らかなようにエンテロコッカス属の定義と合致する。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
また、表3及び表4に示すように、本菌株は10℃,45℃,6.5%塩化ナトリウム,pH9.6,40%胆汁の生育から腸球菌(enterococci)のグループに属している
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
但し、 1: S.pyogenes 5: S.pneumoniae 6: S.salivarius
15: S. faecalis 16: S. faecium 29: S. thermophilus
【0026】
さらに表5に示すように、腸球菌群(enterococci)の分類を調べると,メチレンブルーの還元,アルギニンの分解,亜テルル酸の還元,酸の生成(アラビノース,アルブチン,メレジトース,メリビオース)から、エンテロコッカス・ファエシウム(Enterococcus faecium)に同定される。
【0027】
【表5】
【0028】
本発明者らは、本菌株をエンテロコッカス・ファエシウム(Streptococcus faecium)No.7044と命名した。本菌株は生命工学工業技術研究所にFERM P-16998として寄託されている。
【0029】
前述したように、試薬用酵素としてGPOをより広く利用するためには、特に安定性、反応性においてより改良することが必要である。一般的に酵素の基質特異性、至適pH、物理的安定性などの酵素化学的性質はそのアミノ酸配列によって規定されている。また、蛋白質の高次構造はアミノ酸配列に由来し、蛋白質を改変するためにはアミノ酸配列を改変することが1つの方策として知られている。
【0030】
本発明者らは上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、新たにスクリーニングして見出したエンテロコッカス属に属する細菌、エンテロコッカス・フエイチウム(Enterococcus faecium)No.7044が産生するGPOのN末端から活性部位に至るアミノ酸配列において、少なくとも1カ所以上のアミノ酸残基を遺伝子工学的手法により改変することにより、その元となる配列を有するGPOとはその酵素化学的性質が改変され、よりすぐれた性質を有する新規な酵素が製造できることを見いだして本発明を完成した。
【0031】
即ち、本発明者らは、エンテロコッカス・フエイチウムNo.7044由来のGPO遺伝子を大腸菌に組み入れた形質転換体を作製し、該形質転換体においてGPOをコードするDNAから示されるアミノ酸配列の内、特定の位置のアミノ酸を他のアミノ酸で置換して得られる組換え型GPOを培養したところ、培養物中に従来のGPOと比較して熱安定性や反応性に優れたGPOを製造せしめることに成功し、本発明を完成したものである。
【0032】
本発明は配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列を有するGPOにおいて、N末端から130位のロイシンを他のアミノ酸に置換、及び/又はGPOのN末端から225位のセリンを他のアミノ酸に置換、及び/又はGPOのN末端から298位のスレオニンを他のアミノ酸に置換、及び/又はGPOのN末端から420位のアスパラギン酸を他のアミノ酸に置換したGPOを提供する。
【0033】
これらの改変されたGPOは元のGPOに比べ様々な点でその酵素化学的性質が改変されている。例えば基質との親和性、比活性、耐熱性等が改変される。より詳細に説明すると、GPOのN末端から130位のロイシンを他のアミノ酸に置換することにより、基質に対する親和性が改変され、GPOのN末端から225位のセリンを他のアミノ酸に置換することにより、比活性が改変され、GPOのN末端から298位のスレオニンを他のアミノ酸に置換することにより、耐熱性が改変され、GPOのN末端から420位のアスパラギン酸を他のアミノ酸に置換することにより、耐熱性が改変される。
【0034】
上述した各部位のアミノ酸を置換する場合、置換されるアミノ酸はどのようなアミノ酸でもよいが、好ましくは以下のような組み合わせが用いられる。
【0035】
130位のアミノ酸 ロイシン→フェニルアラニン,トリプトファン
225位のアミノ酸 セリン→アラニン
298位のアミノ酸 スレオニン→プロリン
420位のアミノ酸 アスパラギン酸→グリシン
【0036】
GPO遺伝子への変異の導入は、自体公知の方法、たとえば塩酸ヒドロキシルアミンやN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(NTG)、亜硝酸、亜硫酸、ヒドラジン、蟻酸、5−ブロモウラシルなどを用いた化学的方法、紫外線照射、Error Prone PCR、Site-Specific Mutagenesisなどを用いて行うことができる。変異処理後のGPO遺伝子は、適当なベクターに組み入れた後、大腸菌などに形質転換され、スクリーニングすることにより、性質の改変されたGPOを生産することのできる形質転換体を選択できる。
【0037】
このようにして得られた形質転換体は、栄養培地で培養することにより高いGPO活性を有するペプチドを安定的に生産する。形質転換体の培養は宿主の栄養生理的性質を考慮して培養条件を選択すれば良く、通常多くの場合は、液体培養で行うか、工業的には深部通気攪拌培養を行うのが有利である。炭素源としては、資化可能な炭素化合物であれば良く、例えばグルコース、ラクトース、マルトースなどが使用される。また窒素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例えば酵母エキス、ペプトン、肉エキスなどが使用される。培養温度は改変されたGPOを生産する範囲であればよいが、大腸菌の場合、好ましくは20〜42℃程度である。培養時間は、改変GPOの生産量が最大になるくらいの時間培養すれば良く、通常は12〜48時間である。培地のpHは、菌が生育し、改変GPOが安定に生産されれば良く、好ましくはpH6〜8である。
【0038】
生産されたGPOは、目的に応じて様々な処理を施すことができる。改変GPOが菌体内にある場合には、濾過や遠心分離などによって菌体を採取し、機械を用いた物理的方法やリゾチームなどによる酵素的方法によって菌体を破壊し、抽出する。またこのようにして得られた改変GPOは、必要に応じて塩析、濃縮、精製など行うこともできる。
【0039】
本発明において、GPOの活性測定方法は特に限定しない限り次のとおりである。
GPO活性の測定方法
100mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0)
300mM (±)-1- グリセロリン酸ナトリウム n-水和物
5u/ml ペルオキシダーゼ
1.5mM 4-アミノアンチピリン
0.05% トリトンX−100
1.0mM DAOS*1
*1:3,5-ジメトキシ-N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-アニリン・ナトリウム塩
【0040】
上記の組成の反応液1.0mlを試験管に分取し、37℃で5分間予備加温した後、酵素液20μlを加えて37℃、5分間の反応を行う。反応後、0.5%SDS溶液を2.0ml加えて反応を停止して、600nmの波長で比色定量する。1分間に1μmoleの過酸化水素を生じる活性を1単位(U)とした。
【0041】
【式1】
【0042】
16.8:キノン色素の分子吸光係数 (cm2/μmol)
X:酵素濃度 (mg/ml)
【0043】
以下、本発明をより具体的に実施例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、当業者が容易に改変しうる範囲に及ぶ。
【0044】
【実施例】
実施例1
<野生型GPO遺伝子のクローニング>
GPOを産生するエンテロコッカス・フエイチウム(Enterococcus faecium)No.7044(FERM P-16998)を、300mlのPYMG培地(ポリペプトン1%、イーストエキス1%、肉エキス0.5%、グリセリン1%、塩化ナトリウム0.2%、リン酸二水素カリウム0.1%、リン酸水素二カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05%、グルコース0.1%、pH9.0)で、37℃、24時間振蘯培養後、遠心分離にて菌体を回収した。
【0045】
菌体は37℃で15分間リゾチーム処理し、10%SDS溶液とTE(10mMトリス−の塩酸(pH8.0)+1mM EDTA)飽和フェノール5mlを添加し、よく混和した後、遠心分離にてその水層(上層)を得た。2倍量のエタノールを加えた後、DNAをガラス棒で巻き取る。得られたDNAをTE緩衝液に溶解し、野生型GPO生産菌の染色体DNAを得た。得られた染色体DNA 5μgを制限酵素、HindIIIで部分解析した。1μgのpSC423(pSC101のEcoT14I-HpaIで切り出される3030bp断片とPBR322のEcoT14I-DraIで切り出される2381bpとを連結して得られ、アンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子を持つ)をHindIIIで消化後、脱リン酸した。両DNAをT4 DNAリガーゼ(宝酒造製)で連結し、得られた組換えプラスミドを用いて、E.coli TG1を形質転換した。
【0046】
得られたアンピシリン耐性形質転換株を滅菌した#2濾紙(アドバンテック(株)製)に移し採った後、リゾチーム溶液(10mM MEDTA,0.1%トリトンX−100,50mMリン酸緩衝液、リゾチーム1mg/ml)に浸漬し、37℃で30分間リゾチーム処理を行った。
【0047】
リゾチーム処理後、濾紙の水分を除き、GPO反応液(50mM Tris-HCl pH7.4,200mM NaCl,0.01%アミノアンチピリン,1mMフェノール,2U/mlペルオキシダーゼ,300mM(±)−1−グリセロリン酸ナトリウム・n−水和物)に浸漬し、37℃で反応を行い、コロニー周辺に赤色の発色が認められた形質転換株を分離した。
【0048】
このようにして得られた形質転換体をLA培地(トリプトン1.0%、イーストエキス0.5%、塩化ナトリウム0.5%、アンピシリン100μg/ml(pH7.3))5mlに接種し37℃、16時間の振盪培養を行い、遠心分離によって菌体を集菌・洗浄後 、リゾチーム処理・菌体破砕を行い、遠心分離によって上清液を得た。培養上清液中のGPO活性は1.5単位/mlであった。
【0049】
得られた形質転換体から得たプラスミドpGPO1はHindIIIで切り出される約4.8Kbの挿入DNA断片を持っていた。更に、pGPO1のトリムダウンの結果、EcoRI-HindIIIで切り出される約3.2KbのDNA断片中にGPO遺伝子が存在することが判明した。次に、pSC423のEcoRI-HindIII断片5383bpとGPO遺伝子を含む約3.2kbd断片を連結し、pGPO97を作成した。
【0050】
pGPO97の挿入断片約3.3Kbを種々の制限酵素(EcoRI,ClaI,HindII,BglII,PvuII,HindIII)を組み合わせて切断し、細分化した後pUC118又はpUC119にクローン化した。欠失体の作成にはキロシークエンスキット及びデレーションキtット(宝酒造製)を使用した。
【0051】
得られた各クローンのプラスミドDNAを用いてABI社のDNAシークエンシングキットにより反応を行い、DNAシークエンサー373Aにより、各断片の配列を決定し、3.2Kb全体の塩基配列を決定した。pGPO97の挿入DNA断片は3288塩基から成っており、GPO遺伝子である1821塩基からなる唯一のオープンリーディングフレームが存在していた。
【0052】
決定した塩基配列を配列番号2に示す。また、配列番号2に示す塩基配列を有する遺伝子から翻訳されるポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号1に示す。GPO遺伝子は1821塩基のコーディング領域を持ち,、607個のアミノ酸をコードしていた。
【0053】
実施例2
<GPO遺伝子の改変>
(1) 鋳型DNAの調製
pSC423をEcoRI-EcoRVで切断後、平滑末端化したものと、pUC19をHaeIIで消化後、平滑末端化して得た445bpとを連結してpSC442を得た、pSC442のEcoRI-HindIII部位にGPO遺伝子を含むEcoRI-HindIIIで切り出される約3.2kb断片を連結し、pGPO98を作成した。
【0054】
(2) GPO遺伝子のPCRによる変異処理
TE緩衝液(pH8.0)に溶解したpGPO98 5μl(0.01μg)を5倍濃度の変異処理用緩衝液〔83mM硫酸アンモニウム、335mMトリス−塩酸(pH8.8)、30.5mM塩化マグネシウム、33.5μM EDTA(pH8.0)、50mMβ−メルカプトエタノール〕10μlとプライマー5pmol、2.5mM dNTPs 20μl 、DMSO 5μl、DNAポリメラーゼ 2.5Uを加えてPCR反応を行った。
【0055】
PCRプライマーは、M13プライマーRV,M13プライマーM3(宝酒造製)を使用した。
【0056】
得られたPCR産物はフェノール抽出後、エタノール沈殿を行い 、沈殿物を溶解後、制限酵素EcoR I及びHind IIIによって切断し 、アガロースゲル電気泳動により変異処理GPO遺伝子を分離,回収した。
【0057】
実施例3
<改変GPO遺伝子保持株の選択>
実施例2より得られた変異処理GPO遺伝子断片を、pSC423のEcoRI-HindIIIサイトに組込み、エシエリヒア・コリ (Escherichia coli)DH5を形質転換した。寒天培地上に生育したコロニーについて、ろ紙を用いるレプリカ法により酵素活性を調べた。
【0058】
コロニーをろ紙上にレプリカし、10mM EDTA、0.1%トリトンX−100を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)にリゾチームを1mg/mlの濃度になるように添加して調製したリゾチーム溶液に浸し、37℃で30分間保温した。保温後、ろ紙の水分を除き、50℃で60分間の熱処理を行った。次に基質混合液(50mMトリス−塩酸(pH7.4)、200mM塩化ナトリウム、0.01%4−アミノアンチピリン、1mMフェノール、2U/mlペルオキシダーゼ、10mM及び300mM(±)-1- グリセロリン酸ナトリウム n-水和物)に浸し、更に37℃で30分間放置し、コロニーもしくはコロニー周囲のろ紙が赤色に変化したものを選択した。
【0059】
次に上記の方法で選択された菌株を各々LA培地(トリプトン1.0%、イーストエキス0.5%、塩化ナトリウム0.5%、アンピシリン100μg/ml(pH7.3))5mlに接種し37℃、16時間の振盪培養を行い、遠心分離によって菌体を集菌・洗浄後 、リゾチーム処理・菌体破砕を行い、遠心分離によって上清液を得た。この上清液についてGPO活性・Km値及び耐熱性(50℃、30分間の加熱処理後の残存活性)を測定して性質向上変異酵素遺伝子保持株4株(A14株,D5株,D6株,MT-2株)を選択した。
【0060】
実施例4
<GPOの調製方法>
GPO遺伝子を実施例2の方法で変異処理を行い、実施例3の方法により発色が認められたコロニーのプラスミドを形質転換したエシエリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5/pGPOD5、DH5/pGPOD6、DH5/pGPOA14、DH5/MT2の4種をLA培地5mlに植菌し、37℃で8時間振盪培養後、アンピシリン(200μg/ml)を含むポリペプトン1.5%、ミーストP1G2.0%、ラクトース1.0%、リン酸水素2カリウム0.3%、アデカノール適量(pH7.2)の培地に5%接種し、37℃で16時間振盪培養した。遠心分離により集菌し、0.1M塩化ナトリウム、1mM EDTA を含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)で洗浄後、10mM EDTA、0.1%トリトンX−100を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)にリゾチームを1mg/ml添加した溶液に懸濁し、4℃で2時間溶菌させた。溶菌後、超音波などにより破砕処理を行い、遠心分離し、その上清を酵素液とし、酵素活性、耐熱性及びKm値を測定した。
【0061】
実施例5
<GPOの精製方法>
実施例4の方法で得られた酵素液の40〜70%飽和硫安の沈殿物を回収し、適当な緩衝液に溶解した後、脱塩濃縮した。次に、塩化ナトリウム濃度0.2MでQ−セファロースまたはDEAE−セファロースに吸着させた後、塩化ナトリウム濃度0.4Mで溶出させ、電気泳動的にほぼ均一(純度95%以上)な活性画分を得た。
【0062】
実施例6
<性質向上変異GPO遺伝子の塩基配列決定と変異の同定>
性質向上変異GPO遺伝子よりプラスミドDNAを調製し、SangerのDideoxy法に従って遺伝子断片の塩基配列の決定を行い、変異点を明らかにし、酵素タンパクのアミノ酸配列上の変化を確認した。
【0063】
すなわち、エンテロコッカス・フエイチウム(Enterococcus faecium)由来の野生型GPO遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列と、性質の向上した変異GPO遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列を比較し、その酵素的性質との相関を調べた。その結果、N末端より130位のアミノ酸残基がGPOの基質に対する親和性に関与、N末端より225位のアミノ酸残基がGPOのVmaxに関与、N末端より298位及び420位のアミノ酸残基がGPOの耐熱性に関与していた。
【0064】
また、これらの変異が組合わさることにより、複数の性質の向上がみられた。対照菌としてエシエリヒア・コリ(Escherichia coli)DH5/pGPO97(野生型GPO)菌を使用して比較した。その結果は表6に示される。表中の耐熱性は50℃,30分間処理後の残存活性(%)で表示した。
【0065】
【表6】
【0066】
実施例7
<GPOの部位特異的変異の導入>
GPOの基質に対する親和性に関与するN末端から130位のロイシンに、部位特異的変異技術により、この位置におけるすべてのアミノ酸の置換体を得た。部位特異的変異は、TAKARA Mutan-Super Express Kmを用いて行った。得られた置換体は、エシエリヒア・コリ(Escherichia coli)に組み入れ、各形質転換体より生産されるGPO酵素のそれぞれについて、低濃度基質(30mM)でのGPO活性と高濃度基質(300mM)でのGPO活性を測定した。また、どちらの基質濃度でも、GPO活性の高い置換体についてはKm値を測定し比較した。その結果、フェニルアラニン、トリプトファンなどの芳香族アミノ酸に置換された場合に、低濃度基質に対する反応性が高まると同時に耐熱性も約3倍となった。
【0067】
【表7】
【0068】
【発明の効果】
本発明により、新規なGPO遺伝子及びそれを含む組み換え体DNAが提供され、この組み換え体DNAを含みGPO生産能を有する微生物を培養することによりGPOを効率よく生産することができる。また、特定部位のアミノ酸を他のアミノ酸に置換することにより基質に対する親和性、耐熱性などが改変されたGPO及びその製造法が提供される。
【0069】
【配列表】
【0070】
Claims (6)
- 配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列の130位のアミノ酸が、フェニルアラニン又はトリプトファンで置換されていることを特徴とする、基質に対する親和性が改変されたL−α−グリセロフォスフェートオキシダーゼ。
- 配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列の225位のアミノ酸がアラニンに置換されていることを特徴とする、比活性が改変されたL−α−グリセロフォスフェートオキシダーゼ。
- 配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列の298位のアミノ酸がプロリンに置換されていることを特徴とする、耐熱性が改変されたL−α−グリセロフォスフェートオキシダーゼ。
- 配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列の420位のアミノ酸がグリシンに置換されていることを特徴とする、耐熱性が改変されたL−α−グリセロフォスフェートオキシダーゼ。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のL−α−グリセロフォスフェートオキシダーゼをコードする遺伝子をベクターDNAに挿入したことを特徴とする新規な組み換え体DNA。
- 請求項5記載の組み換え体DNAを含む微生物を培地に培養し、培養物よりL−α−グリセロフォスフェートオキシダーゼを採取することを特徴とするL−α−グリセロフォスフェートオキシダーゼの製造法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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