JP4166092B2 - 光ディスク装置及び光ディスク装置の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーボ制御を安定に行うことができる光ディスク装置及び光ディスク装置の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、データの記録が可能なCD−Rやデータの記録及び消去が可能なCD−RW等の光ディスク装置が広く利用されている。
【0003】
このような光ディスク装置におけるデータの記録は、記録材料である有機色素材料にレーザ光を照射し、記録マーク(ピット)を焼き付けて行われる。また、データの再生は、ディスクの記録面に記録された記録マークにレーザ光を照射し、その反射を検出することによって行われる。このとき、レーザ光はレンズを通してディスクの記録面に照射され、記録又は再生に最適な状態になるようにレンズ位置を制御するフォーカスサーボ制御を行う必要がある。
【0004】
さらに、データの再生、消去及び記録をディスク上の正確な位置で行うため、ディスク上に予め刻まれた案内溝(Groove)からのレーザ光の反射を利用して、この案内溝を正確にトレースするようにレンズ位置を制御するトラッキングサーボ制御を行う必要もある。
【0005】
また、データの再生、消去及び記録に対して最適なレーザ光のパワーを検出して、定電流制御や定電力制御により最適パワーを保って再生、消去及び記録の各々の処理を行う必要がある。
【0006】
従来の光ディスク装置は、図5に示すように、レーザダイオード(LD)10、レーザダイオードドライバ(LDドライバ)12、第1電圧出力回路14、第2電圧出力回路16、増幅器18、定電力制御回路(APC回路)22,32、定電流制御回路(ACC回路)26、複数のデジタル/アナログ変換回路(DA回路)20,24,28,34、複数のサンプルホールド回路(S/H回路)30,36を含んで構成される。また、これらの回路を制御する処理部40及び各スイッチ等を切り替える信号を制御するENDEC38も含まれる。さらに、レーザダイオード10の出力電力をフォトダイオード等の光電変換素子によって検出してフィードバック信号を出力するFMD回路44も備えている。
【0007】
第1電圧出力回路14は、スイッチSW1を介して、APC回路22又はACC回路26に接続される。APC回路22はDA回路24及びS/H回路30と接続され、ACC回路26はDA回路28と接続される。DA回路24,28は、処理部40に接続される。また、S/H回路30は、FMD回路44に接続される。
【0008】
同様に、第2電圧出力回路16は、スイッチSW2を介して、APC回路32と接続される。APC回路32は、DA回路34及びS/H回路36と接続される。さらに、DA回路34は、処理部40に接続される。また、S/H回路36は、FMD回路44に接続される。
【0009】
増幅器18はDA回路20に接続され、DA回路20は処理部40に接続される。
【0010】
第1電圧出力回路14、第2電圧出力回路16及び増幅器18は、図2に示すように、スイッチSW3〜SW5を介して、LDドライバ12に含まれる第1電流源50、第2電流源52及び第3電流源54に接続されている。第1電圧出力回路14、第2電圧出力回路16又は増幅器18からの制御電圧を受けると、LDドライバ12の第1電流源50、第2電流源52及び第3電流源54はレーザダイオード10へ駆動電流を出力する。データの再生時には第1電流源50からの電流、データの消去時には第1電流源50及び第2電流源52からの合成電流及びデータの記録時には第1電流源50及び第3電流源54からの合成電流によってレーザダイオード10が発光してデータの再生、消去又は記録がそれぞれ行われる。
【0011】
図6に、ディスク上のデータの再生、消去及び記録を行う際のタイミングチャートを示す。光ディスク装置は、ディスクに刻まれているATIP基準信号(ATIPSYNC)を読み出し、このATIP基準信号の立ち上がりに同期させて各フレームの処理を開始する。このタイミングチャートの例では、第1フレームにおいてディスクのデータの再生が行われ、その後第2フレームからディスクのデータの消去及び記録の処理に移行している。
【0012】
第1フレームでは、切替タイミング回路42から出力されるEFMG信号が“Lレベル”であり、このEFMG信号に同期してスイッチSW1がa1側に接続され、スイッチSW2が開放される。その結果、第1電圧出力回路14はAPC回路22によって制御され、第2電圧出力回路16はAPC回路32からの制御から切り離される。ENDEC38からはLDON信号が常時出力され、スイッチSW3が閉じられ、第1電圧出力回路14とLDドライバ12が接続される。
【0013】
第1フレームのデータの再生においては、処理部40からDA回路24にREDA信号が出力される。DA回路24は、処理部40からのREDA信号を受けて、REDA信号をデジタル/アナログ変換してAPC回路22に出力する。APC回路22は、DA回路24からアナログ信号に変換されたREDA信号を受けて、第1電圧出力回路14を制御してLDドライバ12へ制御電圧VRDC_Rを出力させる。LDドライバ12は、制御電圧VRDC_Rを受けて、第1電流源50からレーザダイオード10へ駆動電流を出力してレーザダイオード10を発光させる。このレーザダイオード10の出力によってディスク上のピット又はランドが読み取られデータが再生される。
【0014】
ここで、レーザダイオード10の出力電力は、FMD回路44によって読み取られ、フィードバック信号としてS/H回路30へ帰還される。データを再生している間、ENDEC38はRAPC信号を“Hレベル”に維持してS/H回路30へ出力することによって、S/H回路30にフィードバック信号をサンプルホールドさせる。このサンプリング値はAPC回路22へ出力され、APC回路22はデータの再生中にレーザダイオード10のパワーがREDA信号で定められる一定のパワーとなるように第1電圧出力回路14を制御する。このAPC制御されたレーザダイオード10の出力電力を電力値FMD_Rとする。
【0015】
一方、データを再生する間、ENDEC38はPEO信号及びPWO信号を“Lレベル”に維持して出力することによってSW4及びSW5を開放させる。従って、第2電圧出力回路16及び増幅器18からの制御電圧はLDドライバ12に伝達されず、LDドライバ12は第1電圧出力回路14からの制御電圧VRDC_Rのみによってレーザダイオード10を駆動する。
【0016】
次に、ATIPSYNCの立ち上がりに同期して、データの消去及び記録を行う第2フレームに移行する。切替タイミング回路42は、ATIPSYNCの立ち上がりに応じてEFMG信号を立ち下げ、スイッチSW1をb1側に接続し、スイッチSW2を閉じる。
【0017】
処理部40は、DA回路28にWRDA信号を出力する。DA回路28は、WRDA信号をデジタル/アナログ変換してACC回路26に出力する。ACC回路26は、アナログ変換されたWRDA信号を受けて、このWRDA信号で定められる制御電圧を第1電圧出力回路14から出力させ、LDドライバ12の第1電流源50から出力される駆動電流がWRDA信号によって定められる一定の電流値に維持されるように定電流制御を行う。このとき、WRDA信号で定められる駆動電流は、データの記録中における基底パワー(ボトムパワー)を決定するものであり、レーザダイオード10が光らない程度の電流値とされる。このとき、第1電圧出力回路14が出力する制御電圧を電圧値VRDC_W(記録時のVRDC)とする。
【0018】
一方、処理部40はDA回路34に対してWDAC1信号を出力する。DA回路34は、WDAC1信号をデジタル/アナログ変換してAPC回路32に出力する。APC回路32は、アナログ変換されたWDAC1信号を受けて、レーザダイオード10からの出力電力がディスク上のデータの消去を行うために適した電力となるように第2電圧出力回路16から出力される制御電圧を制御する。
【0019】
ENDEC38は、データの消去のタイミングに同期させてPEO信号を出力してスイッチSW4を閉じることによって、第2電圧出力回路16からの制御電圧をLDドライバ12に伝達させる。LDドライバ12の第2電流源52は、第2電圧出力回路16からの制御電圧を受けて、その制御電圧で規定される駆動電流をレーザダイオード10に出力する。レーザダイオード10は、第1電流源50からの駆動電流及び第2電流源52からの駆動電流の合成電流によって発光し、そのレーザダイオード10の出力によってディスク上のデータが消去される。このときの第2電圧出力回路16の制御電圧を電圧値VWDC_W(記録時のVWDC)、レーザダイオード10からの出力電力を電力値FMD_Wとする。
【0020】
レーザダイオード10の出力パワーはFMD回路44によって読み取られ、フィードバック信号としてS/H回路36へ出力される。ENDEC38は、データの消去のタイミングに合わせてWAPC信号を出力し、FMD回路44からのフィードバック信号をS/H回路36にサンプルホールドさせる。APC回路32は、このサンプリング値を受けて、消去時のレーザダイオード10のパワーがWDAC1信号によって定められる一定値に維持されるように第2電圧出力回路16から出力される制御電圧をフィードバック制御する。
【0021】
同時に、ENDEC38は、データの消去時にRAPC信号を出力することによって、FMD回路44からのフィードバック信号をS/H回路30にサンプルホールドさせる。APC回路22は、このサンプリング値に受けて、光ディスク装置がデータの再生処理に切り替えられた際にレーザダイオード10の出力パワーが再生に適した値となるように調整を行う。
【0022】
また、ディスク上にデータを記録する際には、処理部40はDA回路20から電圧値VWDC_Wが出力されるように設定する。増幅器18からは、電圧値VWDC_Wを増幅率ATTだけ増幅させた制御電圧が出力される。
【0023】
ENDEC38は、データを記録するタイミングに同期させてPWO信号を出力してスイッチSW5を閉じることによって、増幅器18とLDドライバ12とを接続する。LDドライバ12の第3電流源54は、増幅器18からの制御電圧を受けて、その制御電圧によって規定される駆動電流をレーザダイオード10に供給する。その結果、第1電流源50からの駆動電流と、第3電流源54からの駆動電流との合成電流によってレーザダイオード10が発光し、そのレーザダイオード10の出力によってディクス上にデータが記録される。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
APC回路32を用いてレーザダイオード10の出力パワーを定電力制御するためには、レーザダイオード10の出力パワーをFMD回路44によって読み出し、S/H回路36でサンプルホールドする等の中間回路による処理が必要とされ、フィードバック制御が安定するまでに時間が掛かる。
【0025】
従来技術においては、データの再生を行うフレームからデータの消去及び記録を行うフレームに移行する際に、レーザダイオード10のパワーを規定する第2電圧出力回路16の制御をAPC回路32による定電力制御に切り替える。そのため、図6の第2フレームに示されるように、第2電圧出力回路16からの制御電圧がDA回路34に設定されたWDAC1信号で規定される電圧値VWDC_Wに到達して安定するまでに時間が必要となり、それに伴ってレーザダイオード10の出力が安定するまでにも時間を要する。例えば、図6に示すように、ディスク上のデータを消去する際のレーザ出力は2点鎖線で示すようにパワーが変化し、ディスク上にデータを記録する際のレーザ出力は1点鎖線で示すようにパワーが変化する。
【0026】
このような移行期間におけるレーザ出力の変化は、データの記録品位を低下させると同時に、光ディスク装置のサーボ制御を行うためのディスク上の信号の読み取りを困難にし、サーボ制御の破綻を招く原因となる。
【0027】
本発明は、上記従来技術の問題を鑑み、少なくとも上記課題を解決すべく、移行期間のレーザダイオードの出力を安定に行うことができる光ディスク装置及び光ディスク装置の制御方法を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決できる本発明は、制御信号に基づいて発光素子の出力を制御してデータの再生及び消去又は記録を行う光ディスク装置であって、前記発光素子に電流を供給する電流源、を駆動する制御電圧を出力する電圧出力回路と、データの再生時に、前記電圧出力回路に第1制御信号を供給する定電流制御手段と、データの消去時又は記録時に、前記電圧出力回路に第2制御信号を供給する定電力制御手段と、前記電圧出力回路の制御を前記定電流制御手段から前記定電力制御手段に切り替える切替手段と、を含み、前記切替手段によって前記定電流制御手段から前記定電力制御手段に切り替える前に、データを消去する際に出力されるべき制御電圧が前記電圧出力回路から出力されるように、前記発光素子の測定温度が基準温度に対して所定の温度範囲内にない場合には前記発光素子の測定温度に応じて算出された値に前記第1制御信号を近づけることを特徴とする。
【0029】
また、上記課題を解決できる本発明の別の態様は、制御信号に基づいて発光素子の出力を制御してデータの再生及び消去又は記録を行う光ディスク装置の制御方法であって、前記光ディスク装置は、前記発光素子に電流を供給する電流源、を駆動する制御電圧を出力する電圧出力回路と、データの再生時に、前記電圧出力回路に第1制御信号を供給する定電流制御手段と、データの消去時又は記録時に、前記電圧出力回路に第2制御信号を供給する定電力制御手段と、前記電圧出力回路の制御を前記定電流制御手段から前記定電力制御手段に切り替える切替手段と、を含むものであって、前記切替手段によって前記定電流制御手段から前記定電力制御手段に切り替える前に、データを消去する際に出力されるべき制御電圧が前記電圧出力回路から出力されるように、前記発光素子の測定温度が基準温度に対して所定の温度範囲内にない場合には前記発光素子の測定温度に応じて算出された値に前記第1制御信号を近づけることを特徴とする。
【0032】
これによって、ディスク上のデータの再生及び消去又は記録を行う光ディスク装置において移行期間のレーザダイオードの出力を安定させることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明の実施の形態における光ディスク装置は、図5及び図2に示した従来の光ディスク装置と同様の構成を含んでいるが、さらにACC回路46及びDA回路48を備えている点で相違する。
【0034】
図3に、本実施の形態におけるディスク上のデータの再生、消去及び記録時のタイミングチャートの例を示す。このタイミングチャートの例では、第1フレームにおいてディスク上のデータが再生され、その後の第2フレームにおいてデータの消去及び記録に移行する。
【0035】
第1フレームでは、切替タイミング回路42から出力されるEFMG信号が”Hレベル”にあり、スイッチSW1がa1側に接続され、スイッチSW2はb2側に接続される。従って、第1電圧出力回路14はAPC回路22によって制御され、第2電圧出力回路16はACC回路46によって制御されることとなる。ENDEC38からはLDON信号が常時出力され、スイッチSW3が閉じられ、第1電圧出力回路14とLDドライバ12が接続される。
【0036】
第1フレームのデータの再生において、レーザダイオード10の駆動電流は従来技術と同様に制御される。すなわち、処理部40からDA回路24にREDA信号が設定され、FMD回路44を用いてレーザダイオード10の出力パワーを読み出し、APC回路22にフィードバックすることによってレーザダイオード10の出力パワーがREDA信号によって規定される一定値に維持されるように定電力制御が行われる。
【0037】
例えば、相変化を利用したディスクを対象とした場合、データの再生にはリードパワーPRD:1mWが得られるように制御電圧の電圧値VRDC_Rが調整される。
【0038】
一方、データを再生する間、ENDEC38はPEO信号及びPWO信号を“Lレベル”に維持して出力することによってSW4及びSW5を開放させ、第2電圧出力回路16及び増幅器18はLDドライバ12から切り離される。
【0039】
本実施の形態の光ディスク装置では、データの再生を行うフレームからデータの消去及び記録を行うフレームに移行する前に、処理部40からDA回路48にWDAC2信号を設定する。DA回路48は、WDAC2信号をデジタル/アナログ変換してACC回路46へ出力する。ACC回路46は、アナログ変換されたWDAC2信号を受けて、第2電圧出力回路16からWDAC2信号によって規定される制御電圧が出力されるように制御を行う。
【0040】
WDAC2信号は、第2電圧出力回路16からデータの消去に適した制御電圧の電圧値VWDC_Wが出力される値に設定することが好適である。WDAC2信号の設定値の求め方については後に詳述する。
【0041】
ディスクからのデータの再生が終了すると、ATIPSYNCの立ち上がりに同期してデータの消去及び記録を行う第2フレームに移行する。切替タイミング回路42は、ATIPSYNCの立ち上がりに応じてEFMG信号を立ち下げ、スイッチSW1をb1側に接続し、スイッチSW2をa2側に接続する。これによって、第1電圧出力回路14はACC回路26によって定電流制御され、第2電圧出力回路16はAPC回路32によって定電力制御されることとなる。
【0042】
処理部40は、DA回路28にWRDA信号を出力して、ACC回路26によって第1電圧出力回路14からWRDA信号で規定される制御電圧値VRDC_Wを出力させる。ENDEC38から出力されるLDON信号は常時“Hレベル”にあるので、スイッチSW3は閉じられており、第1電圧出力回路14からの制御電圧値VRDC_Wを受けたLDドライバ12の第1電流源50からレーザダイオード10に駆動電流が出力される。この駆動電流は、従来技術と同様に、データの消去又は記録における基底パワー(ボトムパワー)を決定するものであり、レーザダイオード10が光らない程度の電流値とされる。
【0043】
一方、処理部40は、DA回路34に対してWDAC1信号を出力する。DA回路34は、WDAC1信号をデジタル/アナログ変換してAPC回路32へ出力する。APC回路32は、アナログ変換されたWDAC1信号を受けて、レーザダイオード10の出力パワーがWDAC1信号によって規定される一定の電力となるように制御する。
【0044】
このとき、データの再生のフレームが終了する前にDA回路48にWDAC2信号を設定し、第2電圧出力回路16の制御電圧を予め昇圧しておいたため、第2電圧出力回路16の制御をACC回路46からAPC回路32に切り替える際の第2電圧出力回路16からの制御電圧の出力変動を最小限に抑制することができる。
【0045】
データの消去を行うときには、ENDEC38によってデータを消去するタイミングに同期させてPEO信号を“Hレベル”に設定し、スイッチSW4を閉じることで第2電圧出力回路16からの制御電圧値VWDC_WをLDドライバ12に入力する。その結果、LDドライバ12の第2電流源52から制御電圧値VWDC_Wに応じた駆動電流が供給される。レーザダイオード10は、第1電流源50及び第2電流源52からの駆動電流の合成電流によって発光し、ディスク上のデータが消去される。
【0046】
また、ディスク上にデータを記録する際には、処理部40はDA回路20から電圧値VWDC_Wが出力されるように設定する。増幅器18からは電圧値VWDC_Wを増幅率ATTだけ増幅させた制御電圧が出力される。さらに、ENDEC38のPWO信号に基づいてデータを記録するタイミングに同期させてスイッチSW5を閉じることによって増幅器18とLDドライバ12とが接続される。LDドライバ12の第3電流源54は、増幅器18からの制御電圧を受けて、その制御電圧によって規定される駆動電流をレーザダイオード10に供給する。その結果、第1電流源50からの駆動電流と、第3電流源54からの駆動電流との合成電流によってレーザダイオード10が発光し、そのレーザダイオード10の出力によってディクス上にデータが記録される。
【0047】
例えば、相変化を利用したディスクでは、イレースパワーPER:5mW及びライトパワーPWR:11mWが得られるように電圧値VRDC_W及びVWDC_Wが調整される。
【0048】
<WDAC2信号の設定値の算出方法>
WDAC2信号の設定値は、図4に示すように、第2電圧出力回路16の制御電圧及びFMD回路44で読み取ったレーザダイオード10の出力電力との関係から求めることができる。
【0049】
まず、EFMG信号を“Hレベル”に設定して第2電圧出力回路16とAPC回路32とを接続し、処理部40からDA回路34に設定値Y1を出力する。APC回路32は、DA回路34からの設定値Y1及びFMD回路44からのフィードバック信号を受けて、第2電圧出力回路16に設定値Y1で規定される一定の制御電圧V1を出力させる。LDドライバ12は、制御電圧V1を受けて、制御電圧V1に応じた第2電流源52から駆動電流をレーザダイオード10へ供給する。レーザダイオード10は、ACC回路26で制御された第1電圧出力回路14からの制御電圧値VRDC_Wを受けた第1電流源50からの駆動電流と、制御電圧V1を受けた第2電流源52からの駆動電流との合成電流によって発光する。このとき、FMD回路44によって読み取られたレーザダイオード10の出力を電力W1とする。DA回路34の設定値Y1、第2電圧出力回路16からの制御電圧V1及びレーザダイオード10の出力電力W1との関係は図4のA点で示される。
【0050】
同様に、処理部40からDA回路34に設定値Y2を出力し、そのときの第2電圧出力回路16から制御電圧値V2及びレーザダイオード10の出力電力W2を求める(図4のB点)。
【0051】
このとき、レーザダイオード10の出力電力W1及びW2は、最終的にDA回路34,48への設定値を補間するために用いられるので、データの消去又は記録に適した出力電力に近い値とし、レーザダイオード10の出力が直線近似できる範囲内に設定することが望ましい。例えば、相変化を利用したディスクを対処とする場合には、10mW〜20mWの範囲から選択することが好ましい。
【0052】
また、このときのレーザダイオード10の温度T1を温度測定回路60によって測定する。
【0053】
次に、EFMG信号を“Lレベル”に設定して第2電圧出力回路16とACC回路46とを接続し、処理部40からDA回路48に設定値Y3を出力する。ACC回路46は、DA回路48からの設定値Y3の出力を受けて、第2電圧出力回路16からの制御電圧が設定値Y3で規定される一定値となるように制御を行う。このとき、第2電圧出力回路16から出力される制御電圧が上記電圧値V1と等しくなるように設定値Y3を調整し、そのときの設定値Y3を取得する。
【0054】
同様に、ACC回路46を用いて、第2電圧出力回路16から出力される制御電圧が上記電圧値V2と等しくなる設定値Y4を取得する。また、このときのレーザダイオード10の温度T2を温度測定回路60によって取得する。
【0055】
データの消去に適したレーザダイオード10の出力が電力FMD_Wであるとすると、DA回路34に設定する設定値WDAC1は関係式(1)によって算出することができる。この関係式(1)は、レーザダイオード10の出力を上記で求めた電力W1及びW2に基づいて直線近似し、出力電力WEが出力される設定値WDAC1を算出するものである。
【0056】
【数1】
【0057】
また、データの再生のフレームからデータの消去又は記録を行うフレームに移行する前に、DA回路48に設定する設定値WDAC2は関係式(2)を用いて算出することができる。
【0058】
【数2】
【0059】
以上のように、設定値WDAC2の値を定めることにより、データの再生からデータの消去又は記録へ移行する際に第2電力出力回路16から出力される制御電圧の変動を抑制することができる。
【0060】
なお、ACC回路46による定電流制御では、実際のレーザダイオード10の出力電力をフィードバックに利用していないため、レーザダイオード10の温度の影響により設定値WDAC2とレーザダイオード10の出力電力との関係が変動し易い。従って、レーザダイオード10の測定温度T2が測定温度T1に対して所定の温度範囲内にない場合には、上記処理をやり直し、関係式(1)及び(2)を再度求めて設定値WDAC1及びWDAC2を算出することが好適である。
【0061】
以上のように、本実施の形態によれば、データの再生からデータの消去又は記録に移行する際に、レーザダイオードの出力を安定化させることができる。その結果、データの記録品位の低下を抑制すると共に、光ディスク装置のサーボ制御の破綻を防ぐことができる。
【0062】
なお、本発明の光ディスク装置及び光ディスクの制御方法は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変更を加えた態様とすることができる。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、光ディスク装置においてデータの再生からデータの消去又は記録に移行する際に、レーザダイオードの出力を安定にすることができる。その結果、記録品位を向上することができ、サーボ制御を安定に行うことができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 光ディスク装置のLDドライバの構成を示す図である。
【図3】 本発明の実施の形態における光ディスク装置の制御のタイミングチャートを示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態におけるDA回路の設定値の取得方法を説明する図である。
【図5】 従来の光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図6】 従来の光ディスク装置の制御におけるタイミングチャートを示す図である。
【符号の説明】
10 レーザダイオード、12 LDドライバ、14 第1電圧出力回路、16 第2電力出力回路、18 増幅器、20,24,28,34,48 DA回路、22,32 定電力制御(APC)回路、26,46 定電流制御(ACC)回路、30,36 サンプルホールド(S/H)回路、40 処理部、42 切替タイミング回路、44 FMD回路、50 第1電流源、52 第2電流源、54 第3電流源、60 温度測定回路。
Claims (2)
- 制御信号に基づいて発光素子の出力を制御してデータの再生及び消去又は記録を行う光ディスク装置であって、
前記発光素子に電流を供給する電流源、を駆動する制御電圧を出力する電圧出力回路と、
データの再生時に、前記電圧出力回路に第1制御信号を供給する定電流制御手段と、
データの消去時又は記録時に、前記電圧出力回路に第2制御信号を供給する定電力制御手段と、
前記電圧出力回路の制御を前記定電流制御手段から前記定電力制御手段に切り替える切替手段と、
を含み、
前記切替手段によって前記定電流制御手段から前記定電力制御手段に切り替える前に、データを消去する際に出力されるべき制御電圧が前記電圧出力回路から出力されるように、前記発光素子の測定温度が基準温度に対して所定の温度範囲内にない場合には前記発光素子の測定温度に応じて算出された値に前記第1制御信号を近づけることを特徴とする光ディスク装置。 - 制御信号に基づいて発光素子の出力を制御してデータの再生及び消去又は記録を行う光ディスク装置の制御方法であって、
前記光ディスク装置は、
前記発光素子に電流を供給する電流源、を駆動する制御電圧を出力する電圧出力回路と、
データの再生時に、前記電圧出力回路に第1制御信号を供給する定電流制御手段と、
データの消去時又は記録時に、前記電圧出力回路に第2制御信号を供給する定電力制御手段と、
前記電圧出力回路の制御を前記定電流制御手段から前記定電力制御手段に切り替える切替手段と、
を含むものであって、
前記切替手段によって前記定電流制御手段から前記定電力制御手段に切り替える前に、データを消去する際に出力されるべき制御電圧が前記電圧出力回路から出力されるように、前記発光素子の測定温度が基準温度に対して所定の温度範囲内にない場合には前記発光素子の測定温度に応じて算出された値に前記第1制御信号を近づけることを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
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