JP4161165B2 - 車両内装部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両内装部材に関し、更に詳細には、所要形状に成形した基材と、この基材の外面に部分的に配設した表皮と、両部材の間で発泡させて介在した発泡体とからなる車両内装部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗用車等の乗員室内には、インストルメントパネルやフロアコンソールを代表とする各種の車両内装部材が設置されている。例えばインストルメントパネルは、▲1▼合成樹脂製の基材から構成して該基材が全体的に露出する単層タイプ、▲2▼合成樹脂製の基材と、該基材の外面に被着して化粧面をなす表皮と、前記基材および表皮の間に介在させて弾力性を有する発泡体とからなる3層タイプ、等に大別される。そして3層タイプのインストルメントパネルでは、(a)基材の外面を全面的に被覆するよう表皮および発泡体を被着した全面ソフトタイプ、(b)基材の外面を部分的に被覆するよう表皮および発泡体を被着した部分ソフトタイプとに大別される。ここで部分ソフトタイプのインストルメントパネル70は、例えば図12に示すように、所要形状にインジェクション成形した合成樹脂製の基材12において、該基材12の外面における乗員席側に臨んだ所要領域(例えば2/3程度)に、表皮14および発泡体16を部分的に配設した構成とされている。
【0003】
更に、前述した部分ソフトタイプのインストルメントパネル70は、(1)別工程で形成した表皮14付きの発泡体16を基材12に組付けるようにしたタイプ(図11)と、(2)基材12と表皮14の間で発泡体16を発泡させて介在させたタイプと(図12)とに大別される。このうち(1)のインストルメントパネル70では、別工程において取付基材72と表皮14との間で発泡体16を成形し、後工程において予備成形した基材12の設置部74に対して前記取付基材72をビス76で取付けることで、基材12の外面に表皮14および発泡体16を被着して製造される。また(2)のインストルメントパネル70では、図13に示すように、発泡成形型60の第1成形型62にセットした表皮14および第2成形型64にセットした基材12の間で前記発泡体16を発泡させて介在させることで、基材12の外面に表皮14および発泡体16を被着して製造される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記(1)および(2)の方法により製造される夫々のインストルメントパネル70では、何れの形態でも種々の問題点を内在している。先ず(1)のインストルメントパネル70では、発泡体16を別工程で成形する際に使用される取付基材72と、該取付基材72を基材12に取付ける際に使用される複数個のビス76とを必要とするので、部品点数の増加に伴うコストアップや、前記取付基材72の組付作業工程の増加に伴うコストアップを招来する問題を内在している。また、各部材の成形精度が悪い場合や組付作業が不適切な場合は、基材12と表皮14との接合部(境界部)に隙間や段差等が生じてしまい、これによる質感低下を招来する不都合もある。
【0005】
一方(2)のインストルメントパネル70では、発泡体16の成形工程と基材12に対する該発泡体16の装着工程とが同時に行なわれることになるので、成形作業の合理化および作業工数削減によるコストダウンが期待される。しかしながら、表皮14の表皮端末部分42と基材12とが適切にシールされ得ない欠点を内在していた。すなわち図13から明らかなように、発泡成形型60の第1成形型62および第2成形型64を型閉めすれば、表皮端末部分42は基材12に密着するようになるとしても、図示矢印A方向への撓曲的な変形が全く規制されない。従って発泡体16の発泡成形時に、発泡反応中の該発泡体16の圧力等によって表皮端末部分42が撓曲的に変形した場合には、当該表皮端末部分42と基材12との間に隙間が形成されてしまい、発泡反応が進行中の前記発泡体16がこの隙間からインストルメントパネル70の外面に露出して硬化し、該インストルメントパネル70の質感低下を来す問題があった。また場合によっては、前記発泡成形型60の型閉め時に表皮端末部分42の先端が基材12に引掛って捲れ上がり、該表皮端末部分42と基材12とのシール状態が全く形成されないこともあり得る。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、表皮と基材とのシール状態が適切に形成されるようにすることで、これら基材および表皮の間で発泡成形される発泡体の漏出を防止し得るようにした車両内装部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため本発明は、所要形状に成形した基材と、この基材の外面に部分的に配設した表皮と、両部材の間で発泡させて介在した発泡体とからなる車両内装部材において、
前記基材の外面に凹設され、前記表皮の配設領域における外縁ラインに沿って延在する係着溝と、
前記表皮の端縁に沿って形成され、該表皮を前記配設領域にセットした際に前記係着溝に密着的に差込まれる表皮端末部分とを有し、
前記係着溝は、底部側より開口部側が幅広とされて横断面形状がV形に形成され、
前記表皮端末部分は、全体が前記表皮における車両内装部材の外面に露出する一般部分より厚肉に形成されると共に、その先端部側が前記係着溝の底部より厚肉に形成され、
前記係着溝へ差込んだ前記表皮端末部分の先端部分が変形し、該表皮端末部分の内側および外側の面が該係着溝に密着してシール状態を形成するよう構成したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る車両内装部材につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本願が対象とする車両内装部材は、例えば車両乗員室の前方に設置されるインストルメントパネルである。
【0009】
図1は、本願の好適実施例に係る車両内装部材としてのインストルメントパネル10を例示した概略斜視図、図2は図1のII−II線断面図、図3は図1のIII−III線断面図である。実施例のインストルメントパネル10は、部分ソフトタイプのものとして、所要形状にインジェクション成形された基材12と、この基材12の外面に部分的に被着して化粧面をなす表皮14と、これら基材12および表皮14の間に介在させた発泡体16とからなる3層タイプとされている。なお説明の便宜上、フロントウインドウガラス18側をインストルメントパネル10の前側とし、乗員席側を該パネル10の後側とする。
【0010】
前記基材12は、例えばポリプロピレン(PP)等のオレフィン系の樹脂素材をインジェクション成形したもので、本実施例のインストルメントパネル10の全体形状に基いて一体的に形成されたものである。そして基材12の外面は、図1および図2に示すように、前記表皮14および発泡体16が被着されて被覆される配設領域20と、これら表皮14および発泡体16が被着されずに外部へ露出する非配設領域22とに区画されており、このうち配設領域20はインストルメントパネル10の外面全体における概ね2/3程度の面積とされ、該インストルメントパネル10の前側上面および後側背面が非配設領域22とされている。なお配設領域20は、前記発泡体16の厚みを考慮して、非配設領域22より一段凹んだ状態に形成されている。また基材12の外面において、前記表皮14の配設領域20と非配設領域22の境界部には、該配設領域20の外縁ラインに沿って延在する係着溝24が凹設されている。
【0011】
そして、インストルメントパネル10の前側上面に露出する非配設領域22には、フロントウインドウガラス18の曇取りに供される空気を吹出す空気吹出口26が開設され、また該パネル10の後側背面に露出する非配設領域22には、図示しないグローブボックスの設置口28や図示しないステアリングコラムの挿通孔30等が開設されている。一方、配設領域20には、乗員室内の空調に供される空気を吹出す空気吹出口32や、サイドウインドウガラス(図示せず)の曇取りに供される空気を吹出す空気吹出口34が開設されると共に、メータフード36が形成されている。但し、前記空気吹出口32および空気吹出口34には、別途形成されたエアーアウトレットが後付け装着される。
【0012】
前記表皮14は、インストルメントパネル10に要求される意匠形状に予備成形されたもので、例えば、(a)ウレタンスプレー成形法に基き、表皮成形型50の成型面52にウレタン材料Uを吹付けることで成形されたもの(図4)、(b)パウダースラッシュ成形法に基き、表皮成形型の成形面に樹脂粉末を溶融付着させることで成形されたもの(図示せず)、等が好適に採用される。このようにして予備成形された表皮14は、インストルメントパネル10の外面に露出してその意匠面を形成する一般部分40と、この一般部分40の端縁に沿って屈曲した形状に一体成形された表皮端末部分42とから構成されており、前記一般部分40の外表面にシボ加工等を施して本革等の風合いを付与することで当該インストルメントパネル10の質感向上を図るようになっている。なお材質は、ウレタンスプレー成形法によるものではPU(ポリウレタン)等とされ、パウダースラッシュ成形法によるものではTPO(オレフィン系)、PVC、TPU(ウレタン系)等とされる。
【0013】
前記発泡体16は、図5〜図8に示した発泡成形型60を利用したもとで、後述するように、該発泡成形型60の第1成形型62にセットした予備成形後の前記表皮14および第2成形型64にセットした予備成形後の前記基材12との間でウレタン原料を発泡・硬化させることで、両部材12,14の間に介在させたものである。すなわち発泡体16は、適度の弾力性を有しているので、前記表皮14の適宜部位を指先で押圧した際にこれに対応した部位が凹状に圧縮変形するようになり、インストルメントパネル10の触感向上が図られるようになっている。また万一、衝突事故が発生した際に、前方へ投げ出された乗員がインストルメントパネル10に衝突した場合には、その衝撃吸収を図る機能も付与されている。
【0014】
そして実施例のインストルメントパネル10では、基材12の外面に形成され、前記表皮14の配設領域20における外縁ラインに沿って延在する前記係着溝24と、表皮14の一般部分40における端縁部分に沿って形成された前記表皮端末部分42とにより、基材12と表皮14との間で発泡体16を発泡成形するに際してシール状態を好適に形成し得るようになっている。すなわち後述するように、発泡体16を発泡成形するための発泡成形型60を、予備成形した前記基材12および表皮14をセットしたもとで型閉めすることで、前記表皮端末部分42が前記係着溝24へ整合しつつ密着的に差込まれるようになっており、型閉め完了時には該表皮端末部分42が係着溝24へ変形しつつ密着するのでシール状態が形成される。これにより、前記基材12と表皮14とのシール状態が形成されたもとで前記発泡体16の成形が行なわれるから、前記基材12と表皮14との間で発泡反応が進行中の発泡体16が、前記表皮端末部分42と該基材12との間から漏出するのを防止し得る。なお前記係着溝24は、図7に示すように、底部側より開口部側が幅広とされて横断面形状が挟角V形に形成されており、前記表皮端末部分42の差込みが容易になされるよう考慮されている。更に前記表皮端末部分42は、前記一般部分40より適宜厚肉に形成されており、前記係着溝24へ差込まれる際に折曲変形や撓曲変形がし難くなっている。
【0015】
これにより実施例のインストルメントパネル10では、基材12と表皮14との間で発泡成形される発泡体16が、該表皮14の表皮端末部分42と該基材12との間から漏出するのを好適に防止し得るので、該発泡体16の一部がインストルメントパネル10の外面に漏出したまま硬化してしまう不都合を回避し得るようになっている。従って、インストルメントパネル10の外面に漏出して硬化した発泡体16を除去する後作業が不要となると共に、該インストルメントパネル10の質感低下が回避される。
【0016】
次に、前述のように構成された本実施例に係る車両内装部材の製造方法につき、具体的かつ詳細に説明する。
【0017】
前記基材12は、図示しない基材成形型によりインジェクション成形される。そして、この基材12の予備成形に際し、前記表皮14を被着する配設領域20と非配設領域22との境界部において、該配設領域22の外縁ラインに沿って前記係着溝24も同時に延設される。
【0018】
前記表皮14は、前述した如く、ウレタンスプレー成形法またはパウダースラッシュ成形法に基いて成形されたものが採用され、例えばウレタンスプレー成形法により成形する場合には、図4に示した表皮成形型50が使用される。この表皮成形型50は、前記表皮14の形状に基いて成形されると共に表面にシボ加工等が施された成形面52を有する電鋳型であって、スプレーガン54によって所要厚に吹き付けたウレタン材料Uが硬化することで厚みが約1mm程度のウレタン製の表皮14を成形することができ、成形された表皮14における一般部分40の表面に成形面52の模様を忠実に再現し得る。また、前記表皮端末部分42を厚肉に成形する際に使用されるマスキング治具56が、前記成形面52に対して近接・離間移動可能に配設されている。更に、前記成形面52の裏側には、例えば水またはオイル等の熱媒体が流通する加熱パイプ58が蛇行状に敷設され、該成形面52の表面温度をウレタン材料Uの硬化に最適な温度(例えば65℃程度)に加熱し得るようになっている。なお、前記マスキング治具56はトレー状を呈しており、側壁部56aにより表皮端末部分42の厚肉化(膨隆化)および形状出しが可能となっている。
【0019】
このような表皮成形型50によるウレタンスプレー成形法では、前記加熱パイプ58へ熱媒体を供給して成形面52を所要温度に加熱保持したもとで、スプレーガン54を所定速度で移動させつつウレタン材料Uを成形面52に吹付けていく(図4(a))。そして、成形面52に対するウレタン材料Uの均一的な吹付けにより一般部分40の成形が終了したら、前記マスキング治具56を成形面52に向けて近接移動させ、このもとで前記表皮端末部分42に対応する部位へ更にウレタン材料Uを追加して吹付けることで、成形面52と側壁部56aとの間に所要厚の表皮端末部分42を形成する(図4(b))。
【0020】
ここでウレタン材料Uは、所要色に着色された無発泡タイプおよび発泡タイプ等があり、インストルメントパネル10の表皮としての使用を前提とすれば、耐久性に優れている無発泡タイプでかつソフトタイプのものが好適に使用される。なお、無着色のウレタン材料Uを使用する場合は、該ウレタン材料Uを吹付けるに先立ち、前記成形面52に所要色のウレタン塗料等を塗布しておく必要がある。
【0021】
前記成形面52の表面に吹付けられた前記ウレタン材料Uは、該成形面52が前述した温度に加熱されているから、吹付け直後から硬化が促進されて短時間で硬化が完了する。このように、前記表皮成形型50により予備成形された表皮14は、インストルメントパネル10の外面形状とされる一般部分40と、該一般部分40の外縁に沿う厚肉の表皮端末部分42とが、一体的に形成されている(図4(c))。
【0022】
次に、前記基材12と表皮14との間で発泡体16を成形する。先ず、前記発泡体16の成形準備工程として、型開きした発泡成形型60における第1成形型62のセット面62aに予備成形した前記表皮14をセットすると共に(図5(b))、該発泡成形型60における第2成形型64のセット面64aに予備成形した前記基材12をセットする(図5(a))。そして、前記表皮14および基材12のセットが完了したら、図6に示すように、第1成形型62および第2成形型64を相互に型閉めする。ここで実施例の発泡成形型60では、基材12をセットした第2成形型64が、表皮14をセットした第1成形型62に対して図6において左方向へ変位しつつ型閉めされるように設計されており、これにより表皮端末部分42の先端が、断面形状がV形に形成された係着溝24に対して斜め方向から適切かつ確実に差込まれるようになっている。
【0023】
すなわち、第1成形型62に対して第2成形型64が図6において垂直(鉛直)に型閉めするようになっている場合、表皮端末部分42の先端が基材12における非配設領域22の端縁角部に引掛かり、該表皮端末部分42が折曲変形したり撓曲変形する可能性があるが、実施例の発泡成形型60ではこのような不都合が好適に回避される。なお、第1成形型62に対する第2成形型64の型閉め角度Rは、図6に示すように垂直に対して概ね15度とされている。但し、この型閉め角度Rを5度以上に設定すれば、前述した不都合の回避が可能とされる。
【0024】
そして、第1成形型62に対して第2成形型64が完全に型閉めされると、表皮端末部分42は係着溝24に対して適度の押付け力を受けつつ差込まれるようになり、図7に示すように、該表皮端末部分42の先端部分が係着溝24の形状に適宜変形するようになる。これにより、表皮端末部分42と係着溝24との間に好適なシール状態が形成され、表皮14と基材12との間に画成された発泡空間66が密閉状態となる。
【0025】
前記発泡成形型60を型閉めしたもとで、表皮14および基材12の間に画成された発泡空間66内で発泡体16の成形を行なう(図8)。この際に、前記表皮端末部分42と係着溝24との間にシール状態が形成されているから、発泡反応が進行中の発泡体16が、表皮端末部分42と基材12との隙間から漏出するのが好適に防止される。なお、発泡体16を成形するためのウレタン原料は、第1成形型62と第2成形型64とを型閉めするに先立ち、該第1成形型62にセットした表皮14の裏面に注入しておく。
【0026】
前記発泡成形型60による発泡体16の成形が完了したら、第2成形型64を第1成形型62から開放して、製造されたインストルメントパネル10を脱型する。
【0027】
このように実施例の製造方法では、表皮14の表皮端末部分42を基材12の係着溝24に差込んで表皮端末部分42と基材12とのシール状態を形成したもとで、これら表皮14と基材12との間で発泡体16を発泡・成形するようにしたので、発泡反応が進行中の発泡体16が前記表皮14と基材12との隙間から漏出する不都合を好適に回避できる。従って、発泡体16がインストルメントパネル10の外面に漏出して硬化することによる不良品発生や質感低下を招来することがなく、また漏出した発泡体の除去作業が不要となるから製造コストが嵩むこともない。
【0028】
また、係着溝24に対する表皮端末部分42の差込みは、発泡成形型60の型閉めと同時になされるから、発泡体16の成形準備に際して手間が掛かる作業や煩わしい作業が伴うこともない。しかも前記表皮端末部分42は、一般部分40よりも厚肉に形成されているから係着溝24に差込まれる際に変形し難く、該表皮端末部分42と基材12とのシール状態が確実に形成される。
【0029】
(変更例)
図9および図10は、変更例に係る車両内装部材としてのインストルメントパネル10を例示したもので、基材12の外面における配設領域20と非配設領域22との境界部において、該配設領域20の外縁ラインに沿って突片68を延設することで、表皮14の表皮端末部分42が差込まれる係着溝24を画成したものである。そして係着溝24は、横断面形状がV字状を呈していると共に、表皮端末部分42は、横断面形状が該係着溝24に密着的に差込まれる先細形状を呈している。なお前記突片68は、配設領域20と非配設領域22との境界ラインに沿って連続的に延設するようにしてもよいし、所要長のものを適宜間隔毎に断続的に延設するようにしてもよい。
【0030】
また、前記表皮14をパウダースラッシュ成形法に基いて成形する場合は、表皮成形型における成形面の部分的な温度制御を行なうようにすることで、一般部分40および該一般部分40より厚肉とされる表皮端末部分42を有する表皮14の成形が可能である。すなわち成形面において、一般部分40が成形される部位の温度より表皮端末部分42が成形される部位の温度が高くなるよう温度制御したもとで表皮14の成形を行なえば、一般部分40より表皮端末部分42を厚肉に成形し得る。更に、表皮端末部分42の正確な形状出しや寸法出し(厚み等)を要する場合には、別途準備した成形治具を成形直後(硬化前)に押付ければ、該表皮端末部分42を適切な形状で成形可能である。
【0031】
前記実施例では、車両内装部材としてインストルメントパネル10を例示したが、本願が対象とする車両内装部材は、基材12、表皮14および発泡体16の3層構造を呈するフロアコンソールやドアパネル等も含まれる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る車両内装部材によれば、表皮に形成した表皮端末部分を基材に形成した係着溝に差込んで該表皮端末部分と基材とのシール状態を形成したもとで、これら表皮と基材との間で発泡体を発泡・成形させるようにしたので、発泡反応が進行中の発泡体が前記表皮と基材との隙間から漏出する不都合を好適に回避できる有益な効果を奏する。従って、発泡体が車両内装部材の外面に漏出して硬化することによる不良品発生や質感低下を招来することがない。
また、係着溝に対する表皮端末部分の差込みが発泡成形型の型閉めと同時になされるから、発泡体の成形準備に際して手間が掛かる作業や煩わしい作業が伴うこともない。更に前記表皮端末部分は、一般部分よりも厚肉に形成されているから係着部に差込まれる際に変形し難く、表皮端末部分と基材とのシール状態が確実に形成される。
係着溝は、開口部側が幅広とされているので、表皮端末部分の差込みを容易になし得る。しかも、係着溝に差込まれた表皮端末部分の先端部分は、係着溝に合わせて変形するので、表皮端末部分と係着溝との間に好適なシール状態を形成し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適実施例に係る車両内装部材としてのインストルメントパネルを例示した概略斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】ウレタンスプレー成形法に基いて表皮成形型で表皮を成形する工程を経時的に示した説明断面図であって、(a)は、成形面にウレタン材料を吹付けて一般部分を成形している状態を示し、(b)は、マスキング治具をセットしたもとで表皮端末部分を膨隆的に成形している状態を示し、(c)は、一般部分および表皮端末部分が一体的に形成された表皮を脱型する状態を示している。
【図5】 (a)は、発泡成形型の第2成形型に予備成形された基材をセットする状態を示す断面図であり、(b)は、前記発泡成形型の第1成形型に予備成形された表皮をセットする状態を示す断面図である。
【図6】表皮をセットした第1成形型に対し、基材をセットした第2成形型を型閉めする状態を示す断面図である。
【図7】発泡成形型の型閉めが完了することで表皮端末部分が係止溝に差込まれ、基材と表皮とのシール状態が形成された状態を示す部分拡大断面図である。
【図8】発泡成形型を型閉めしたもとで、基材と表皮との間で発泡体を成形している状態を示す断面図である。
【図9】変更例に係るインストルメントパネルの部分断面図である。
【図10】変更例に係るインストルメントパネルの部分断面図である。
【図11】基材と、表皮および発泡体とを別々に成形した後に、該基材に対して発泡体をビスで組付けることで製造されるインストルメントパネルを例示した概略断面図である。
【図12】基材と表皮との間で発泡体を発泡成形することで製造されるインストルメントパネルを例示した概略断面図である。
【図13】図12に示したインストルメントパネルを製造する状態を示す説明断面図であって、(a)は、表皮をセットした第1成形型に対し、基材をセットした第2成形型を型閉めする状態を示し、(b)は、発泡成形型を型閉めしたもとで、基材と表皮との間で発泡体を成形している状態を示している。
【符号の説明】
10 インストルメントパネル(車両内装部材)
12 基材
14 表皮
16 発泡体
20 配設領域
24 係着溝
40 一般部分
42 表皮端末部分
60 発泡成形型
Claims (3)
- 所要形状に成形した基材(12)と、この基材(12)の外面に部分的に配設した表皮(14)と、両部材(12,14)の間で発泡させて介在した発泡体(16)とからなる車両内装部材において、
前記基材(12)の外面に凹設され、前記表皮(14)の配設領域(20)における外縁ラインに沿って延在する係着溝(24)と、
前記表皮(14)の端縁に沿って形成され、該表皮(14)を前記配設領域(20)にセットした際に前記係着溝(24)に密着的に差込まれる表皮端末部分(42)とを有し、
前記係着溝(24)は、底部側より開口部側が幅広とされて横断面形状がV形に形成され、
前記表皮端末部分(42)は、全体が前記表皮(14)における車両内装部材の外面に露出する一般部分(40)より厚肉に形成されると共に、その先端部側が前記係着溝 (24) の底部より厚肉に形成され、
前記係着溝(24)へ差込んだ前記表皮端末部分(42)の先端部分が変形し、該表皮端末部分 (42) の内側および外側の面が該係着溝(24)に密着してシール状態を形成するよう構成した
ことを特徴とする車両内装部材。 - 前記発泡体(16)を発泡成形する発泡成形型(60)を、予備成形した前記基材(12)および表皮(14)をセットしたもとで型閉めすることで、前記表皮端末部分(42)が前記係着溝(24)へ差込まれるようになっている請求項1記載の車両内装部材。
- 前記車両内装部材はインストルメントパネル(10)である請求項1または2記載の車両内装部材。
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