JP4157362B2 - 複合酸化物触媒及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プロピレンを酸化してアクロレイン及び/又はアクリル酸を製造する際に適したモリブデン及びビスマスを含有する複合酸化物触媒とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロピレンの接触気相酸化反応によりアクロレイン(さらに有効成分としてのアクリル酸も)を高収率で製造するために種々の触媒が提案されている。それらは、主として触媒を構成する成分及びその比率の選択にかかわるものであるが、中には、触媒の物性の選択やその再現性ある製法に関するものもある。
【0003】
特に、後者においてはオレフィンの酸化やアンモオキシデーション反応に使用されるモリブデン(Mo)、ビスマス(Bi)及び鉄(Fe)を含有する複合酸化物触媒に関しても、表面積、細孔容積、細孔径などの触媒物性について少なからず提案があるが、いまだ満足すべき水準にあるものは見出されていない。
【0004】
例えば、表面積に関するものとしては、特許文献1〜8に1〜50m2/gの範囲で種々記載されている。しかしながら、これら表面積を特定したものも、反応温度が高いにも拘らず活性が低かったり、あるいはアクロレインの選択率が低かったりで工業触媒として必ずしも十分なものではない。
【0005】
また、細孔容積に関するものとしては、特許文献9に開示されたものがあり、細孔容積として0.2〜0.4cc/gが好ましいと記載されているが、その実施例はアンモオキシデーションでの開示である。
【0006】
また、細孔径に関しては、特許文献10に平均細孔半径2000Å以上が好ましいとの開示があり、特許文献11に細孔径としては100Åより小さい直径のものは3%未満である必要があるという開示があるが、これらの特許文献で開示されている触媒はいずれも活性が低く、プロピレン酸化により高収率でアクロレイン及びアクリル酸を製造するための工業触媒としての性能は具備していない。
【0007】
【特許文献1】
特公昭47−21081号公報
【特許文献2】
特公昭52−10434号公報
【特許文献3】
特公昭53−5632号公報
【特許文献4】
特公昭55−36384号公報
【特許文献5】
特公昭56−24658号公報
【特許文献6】
特公昭56−28180号公報
【特許文献7】
特公昭58−29139号公報
【特許文献8】
特開昭48−26690号公報
【特許文献9】
特開昭57−119837号公報
【特許文献10】
特開昭57−119837号公報
【特許文献11】
特公昭58−113141号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本願の発明者らは、触媒物性は、従来技術において開示されているような触媒の表面積のみ、細孔容積のみ、あるいは細孔径分布のみによって決定されるものではなく、特定の触媒においては、触媒の比表面積、細孔容積、細孔径分布の三者を統合的に決定することにより、はじめて工業的に優れた触媒が得られるものと考えた。
【0009】
そこで、この発明は、アクロレイン及びアクリル酸を製造するための特定の触媒において、触媒の比表面積、細孔容積、細孔径分布の三者を統合的に決定することにより、工業的に優れたものを得ようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、まず、モリブデンおよびビスマスを必須成分として含むオレフィン酸化用、特にプロピレンの酸化によるアクロレイン及びアクリル酸製造用の複合酸化物触媒の比表面積、細孔容積及び細孔径分布を次のように規定することにより、活性が高く、目的物質の生成量の選択性に優れた触媒が得られることを見出したのである。
【0011】
即ち、モリブデンおよびビスマスを必須成分として含む複合酸化物触媒においては、その比表面積が5〜25m2/g、その細孔容積が0.2〜0.7cc/gの範囲内にあり、かつ、その細孔径分布において細孔径(直径)が0.03〜0.1μmに存在する細孔により占められる細孔容積は全細孔容積のうちの30%以上、0.1〜1μmに存在する細孔により占められる細孔容積は全細孔容積のうちの20%以上および細孔径直径が0.03μmより小さい割合が10%以下の分布を有する場合に、プロピレンを酸化してアクロレイン及びアクリル酸を製造するための優れた触媒特性を有するということを見出したのである。
【0012】
なお、ここでいう比表面積は、窒素吸着によるBET法で測定される、触媒単位重量あたりの表面積であり、細孔容積及び細孔径(直径)分布は、水銀圧入法によるポロジメーターで測定される、触媒単位重量あたりの細孔の直径と細孔容積及びその分布である。
【0013】
この発明における細孔径分布は、0.03〜0.1μmに存在する細孔が占める細孔容積が全細孔容積の内の30%以上、好ましくは45〜80%の範囲、0.1〜1μmに存在する細孔が占める細孔容積が全細孔容積の内の20%以上、好ましくは25〜60%の範囲である場合に、活性、選択性ともに高められた触媒が得られる。通常、孔径が小さい方の細孔は比表面積及び細孔容積への寄与は大きいが、活性及び有効反応生成物への選択性に寄与するためには小さい細孔径のものだけでは不十分であり、0.1〜1μmに分布する細孔が共存することにより触媒性能が向上する。
【0014】
この発明の複合酸化物触媒は、次の一般式(1)で表される。
MoaBibCocNidFeefghSiij (1)
(式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表わし、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=5〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
【0015】
上記一般式(1)で表される複合酸化物触媒は、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化及び加熱を含む工程を経て製造される。
各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化とは、各成分元素の供給源化合物の水溶液あるいは水分散液を一括に、あるいは段階的に混合又は熟成処理、混合及び熟成処理を行うことをいう。即ち、(イ)上記の各供給源化合物を一括して混合する方法、(ロ)上記の各供給源化合物を一括して混合し、そして熟成処理する方法、(ハ)上記の各供給源化合物を段階的に混合する方法、(ニ)上記の各供給源化合物を段階的に混合・熟成処理を繰り返す方法、及び(イ)〜(ニ)を組み合わせる方法のいずれもが、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化という概念に含まれる。ここで、熟成とは、工業原料もしくは半製品を、一定時間、一定温度等の特定条件のもとに処理して、必要とする物理性、化学性の取得、上昇あるいは所定反応の進行等を図る操作をいい、この発明における一定時間とは、通常10分〜24時間の範囲であり、一定温度とは通常室温〜水溶液又は水分散液の沸点範囲をいう。
【0016】
さらに、上記一体化は、各元素の供給源化合物のみについて上記処理を行うことを意味するものではなく、必要に応じて使用することがあるアルミナ、シリカ・アルミナ、耐火性酸化物等の担体材料も対象として含むものである。
【0017】
また、上記の加熱とは、上記の各成分元素の供給源化合物個々の酸化物及び/又は複合酸化物の形成、並びに/あるいは一体化により生じた複合化合物の酸化物及び/又は複合酸化物の形成、並びに/あるいは生成最終複合酸化物の形成のための熱処理をいう。そして、加熱は必ずしも1回には限られない。即ち、この加熱は上記(イ)〜(ニ)で示される一体化の各段階で任意で行うことができ、また一体化後に必要に応じて追加して行ってもよい。この加熱温度は、通常200℃〜700℃の範囲である。
【0018】
さらに、上記の一体化及び加熱においては、これら以外に、例えば、乾燥、粉砕、成形等をその前後や途中に実施してもよい。
【0019】
このようにして得られた粉体等は、押出し成型、打錠成型、造粒成型等の成型方法により所望の形状に成型して触媒製品とされることが多い。この成型の際、触媒の強度、粉化度を改善する効果があるものとして一般に知られているガラス繊維などの無機繊維、各種ウィスカーなどを添加してもよい。また、触媒物性を再現よく制御するために、硝酸アンモニウム、セルロース、デンプン、ポリビニルアルコール、ステアリン酸など一般に粉体結合剤として知られている添加物を使用することもできる。
【0020】
複合酸化物触媒を製造する場合の各元素の供給源化合物とは、各元素のそれぞれについてのそれぞれの化合物のみを意味するのではなく、複数の元素を共に含む化合物(たとえばMoとPとについてのリンモリブデン酸アンモンなど)を包含するものである。
【0021】
また、上記のようにして複合酸化物触媒を製造する場合、珪素成分の供給源化合物として、熱分解シリカを用い、ビスマス成分の供給源化合物として、(1)酸化ビスマスまたは次炭酸ビスマスのいずれか一方、(2)所要のNaの少なくとも一部を固溶した次炭酸ビスマス、(3)成分の少なくとも一部を含むBiとXとの複合炭酸塩化合物、あるいは(4)所要のNaおよびX成分のそれぞれ少なくとも一部を含むBiとNaとXとの複合炭酸塩化合物を組み合わせて用いることにより、容易に触媒比表面積、細孔容積、細孔径分布を制御した工業的に優れた触媒を製造できる。
上記複合酸化物触媒を、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化及び加熱を含む工程を経て製造する場合、その一部としてモリブデン、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくとも一つ、及びシリカを一部として含む原料塩水溶液を乾燥して得た乾燥物を加熱処理して触媒前駆体粉末を製造する前工程を経た後、触媒前駆体粉末とビスマス化合物とを水性溶媒とともに一体化し、乾燥、焼成する後工程を経て調製することが好ましい。
【0022】
さらに、上記複合酸化物触媒を、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化及び加熱を含む工程を経て製造する場合、まず、その一部として一般式(1)のモリブデンの全原子比(a)の内の一部の原子比(a1)相当のモリブデン、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくとも一つ、及びシリカを含む原料塩水溶液又はこれを乾燥して得た乾燥物を加熱処理して触媒前駆体を製造する前工程を経た後、該触媒前駆体と一般式(1)のモリブデンの全原子比(a)から前記a1を差し引いた残りの原子比(a2)相当のモリブデンとビスマス化合物とを水性溶媒とともに一体化し、乾燥、焼成する後工程を経て調製することが好ましい。
前記触媒前駆体は、灼熱減量が0.5〜5重量%であることが好ましい。ここで、灼熱減量は、次式により与えられる値である。
灼熱減量(%)=[(W0−W1)/W0]×100
0:触媒前駆体を150℃で3時間乾燥して付着水分を除いたものの重量(g)
1:付着水分を除いた前記触媒前駆体を更に500℃で2時間熱処理した後の重量(g)
この発明における触媒のモリブデンの全原子比aは、12であり、これを前工程と後工程で、原子比a1とa2に分けて一体化する。その際の原子比a1とa2の値は、それぞれ次のような関係にすることが好ましい。即ち、a1は、1<a1/(c+d+e)<3を満足し、a2は、0<a2/b<8を満足する値である。
より具体的な方法としては、まず、適当なモリブデン化合物、好ましくはモリブデン酸アンモンの水溶液に、鉄、コバルト、及びニッケルの化合物、好ましくはそれぞれの硝酸塩の水溶液を加える。更に熱分解シリカを加える。この熱分解シリカとしては、超微粒子状無水シリカで、四塩化珪素等のシラン類を酸素水素炎の中で加水分解して製造される平均一次粒子径が20〜50nmのものを使用するのが特に好ましい。次に、得られたスラリーを充分に撹拌した後、そのままで又は乾燥した後、加熱処理を行う。乾燥する場合の方法及び得られる乾燥物の状態については特に限定はなく、例えば、通常のスプレードライヤー、スラリードライヤー、ドラムドライヤー等を用いて粉体状の乾燥物を得てもよいし、また、通常の箱型乾燥器、トンネル型焼成炉を用いてブロック状又はフレーク状の乾燥物を得てもよい。
【0023】
上記の原料塩水溶液又はこれを乾燥して得た顆粒あるいはケーキ状のものは空気中で200〜400℃、好ましくは250〜350℃の温度域で短時間の熱処理を行う。その際の炉の形式及びその方法については特に限定はなく、例えば、通常の箱型加熱炉、トンネル型加熱炉等を用いて乾燥物を固定した状態で加熱してもよいし、また、ロータリーキルン等を用いて乾燥物を流動させながら加熱してもよい。
【0024】
この発明の製造方法における後工程では、上記の前工程において得られる触媒前駆体とモリブデン(全原子比aからa1相当を差し引いた残りのa2相当)とビスマス化合物の一体化を、水性溶媒下で行う。この際、アンモニア水を添加するのが好ましい。また、X、Y、Zの各成分は、後工程で添加するのが好ましい。ビスマス粉末は、(1)酸化ビスマス又は次炭酸ビスマスの少なくとも一方、(2)所要のNaの少なくとも一部を固溶した次炭酸ビスマス、(3)成分の少なくとも一部を含むBiとXとの複合炭酸塩化合物、あるいは(4)所要のNa及びX成分のそれぞれ少なくとも一部を含むBiとNaとXとの複合炭酸塩化合物である。上記ビスマス供給源化合物は、水不溶性のビスマスである。この化合物は、粉末の形態で使用することが好ましい。触媒製造原料としてのこれら化合物は粉末より大きな粒子のものであってもよいが、その熱拡散を行わせるべき加熱工程を考えれば小さい粒子である方が好ましい。従って、原料としてのこれらの化合物がこのように粒子の小さいものでなかった場合は、加熱工程前に粉砕を行うべきである。
【0025】
次に、得られたスラリーを充分に撹拌した後、乾燥する。このようにして得られた乾燥品を、押出し成型、打錠成型、あるいは担持成型等の方法により所望の形状に賦形する。次に、このものを、好ましくは450〜650℃の温度条件にて1〜16時間程度の最終熱処理に付す。
【0026】
以上のようにして、高活性で、かつ目的とする酸化生成物を高い収率で与える複合酸化物触媒が得られる。
このようにして製造された複合酸化物触媒は、プロピレンからアクロレインを製造する反応に使用される。プロピレンからアクロレインを製造する接触気相酸化反応は、原料ガス組成として1〜10容量%のプロピレン、5〜18容量%の分子状酸素、0〜60容量%の水蒸気及び20〜70容量%の不活性ガス、例えば窒素、炭酸ガスなどからなる混合ガスを前記のようにして製造した複合酸化物触媒上に250〜450℃の温度範囲及び常圧〜10気圧の圧力下、0.5〜10秒の接触時間で導入することによって遂行される。
【0027】
【実施例】
この発明に係る複合酸化物触媒のより具体的な製造方法と、得られた複合酸化物触媒の物性、及び得られた複合酸化物触媒を用いてプロピレンの酸化反応を実施した結果を以下に示す。
【0028】
[実施例1]
まず、パラモリブデン酸アンモン94.1gを純水400mlに加熱して溶解させる。次に硝酸第二鉄7.18g、硝酸コバルト25.8g及び硝酸ニッケル37.8gを純水60mlに加温して溶解させる。これらの溶液を、充分に撹拌しながら徐々に混合する。次に、純水40mlにホウ砂0.85g及び硝酸カリウム0.36gを加温下に溶解させて、上記スラリーに加える。次に、熱分解シリカ(ヒュームドシリカ)(平均一次粒子径が40nm)48gを加えて、充分に撹拌する。次いで、Naを0.57%固溶した次炭酸ビスマス58.1gを加えて、撹拌混合する。このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃/1時間の熱処理に付す。得られた粒状固体を小型成形機にて径5mm、高さ4mmの錠剤に打錠成型し、次に500℃/4時間の焼成を行って、複合酸化物触媒とした。
仕込み原料から計算される複合酸化物触媒の原子比は、次の通りである。
Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si =12:5:2:3:0.4:0.39:0.2:0.08:18
【0029】
[実施例2]
パラモリブデン酸アンモン94.1gを純水400mlに加熱して溶解させる。次に硝酸第二鉄7.18g、硝酸コバルト25.8g及び硝酸ニッケル37.8gを純水60mlに加温して溶解させる。これらの溶液を、充分に撹拌しながら徐々に混合する。
次に、純水40mlにホウ砂0.85g及び硝酸カリウム0.36gを加温下に溶解させて、上記スラリーに加える。次に、熱分解シリカ(平均一次粒子径が40nm)48gを加えて、充分に撹拌する。このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃/1時間の熱処理に付す。得られた粒状固体を粉砕し、純水150mlにアンモニア水10mlを加え分散する。次に、Naを0.52%固溶した次炭酸ビスマス58.1gを加えて、撹拌混合する。このスラリーを加熱乾燥した後、得られた粒状固体を小型成形機にて径5mm、高さ4mmの錠剤に打錠成型し、次に500℃/4時間の焼成を行って、触媒とした。
仕込み原料から計算される触媒は、次の原子比を有する複合酸化物である。
Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si =12:5:2:3:0.4:0.37:0.2:0.08:18
【0030】
[実施例3]
パラモリブデン酸アンモン54gを純水250mlに加温して溶解させる。次に硝酸第二鉄7.18g、硝酸コバルト25.8g及び硝酸ニッケル37.8gを純水60mlに加温して溶解させる。これらの溶液を、充分に撹拌しながら徐々に混合する。
次に、熱分解シリカ48gを加えて、充分に攪拌する。このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃/1時間の熱処理に付す。得られた触媒前駆体の粒状固体(灼熱減量:1.3重量%)を粉砕し、パラモリブデン酸アンモン40.1gを純水150mlにアンモニア水10mlを加え溶解した溶液に分散する。次に、純水40mlにホウ砂0.85g及び硝酸カリウム0.36gを加温下に溶解させて、上記スラリーに加える。次に、Naを0.45%固溶した次炭酸ビスマス58.1gを加えて、撹拌混合する。
このスラリーを加熱乾燥した後、得られた粒状固体を小型成形機にて径5mm、高さ4mmの錠剤に打錠成型し、次に500℃/4時間の焼成を行って、触媒とした。
仕込み原料から計算される触媒は、次の原子比を有する複合酸化物である。
Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si=12:5:2:3:0.4:0.35:0.2:0.08:18
調製の際のモリブデンの原子比a1とa2は、それぞれ6.9と5.1である。
【0031】
[比較例1]
シリカ原料としてコロイダルシリカを用いたこと以外は実施例1と同様にして複合酸化物触媒の調製を行い、得られた複合酸化物触媒の比表面積等の物性測定、及び得られた複合酸化物触媒を用いてプロピレンの酸化反応を実施した結果を表1に示した。
【0032】
[比較例2]
実施例2と同一組成の触媒を調製する際に、ビスマス原料を他の原料と同時に添加し、またシリカ原料としてコロイダルシリカを用いたこと以外は実施例2と同様に行い、このようにして得られた複合酸化物触媒の比表面積等の物性測定を行い、実施例2と同様にプロピレンの酸化反応を実施した結果を表1に示す。
【0033】
[比較例3]
実施例3と同一組成の触媒を次のように調製した。パラモリブデン酸アンモン94.1gを純水400mlに加温して溶解させる。次に硝酸第二鉄7.18g、硝酸コバルト25.8g及び硝酸ニッケル37.8gを純水60mlに加温して溶解させる。これらの溶液を、充分に撹拌しながら徐々に混合する。
次に、純水40mlにホウ砂0.85g及び硝酸カリウム0.36gを加温下に溶解させて、上記スラリーに加える。次に、コロイダルシリカ240g(但し、SiO2含有量20重量%)を加えて、充分に撹拌する。このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃/1時間の熱処理に付す。得られた粒状固体を粉砕し、純水150mlにアンモニア水10mlを加え分散する。次に、Naを0.45%固溶した次炭酸ビスマス58.1gを加えて、撹拌混合する。このスラリーを加熱乾燥した後、得られた粒状固体を小型成形機にて径5mm、高さ4mmの錠剤に打錠成型し、次に500℃/4時間の焼成を行って、触媒とした。このように、モリブデン成分の供給源を分けずにX、Y、Z成分と同時に添加して調製し、またシリカ原料として、コロイダルシリカ用いたこと以外は、実施例3と同様にして製造した複合酸化物触媒を用いて、実施例3と同様にプロピレンの酸化反応を実施した結果を表1に示した。
【0034】
(実施例1〜3、比較例1〜3の複合酸化物触媒の物性測定)
上記のようにして調製した複合酸化物触媒の比表面積、細孔容積および細孔分布を次のようにして測定した。その結果は、表1に示している。
なお、比表面積は、窒素吸着によるBET法により測定した。測定機器は、大倉理研製AMS−8000型を使用した。
また、細孔容積及び細孔分布は、水銀圧入法により測定した。測定機器は、(株)島津製作所製ポアサイザ9310−PC2を使用した。
【0035】
(プロピレンの酸化反応)
上記のようにして調製した複合酸化物触媒を使用して、プロピレンの酸化反応を実施し、プロピレン転化率、アクロレイン収率、アクリル酸収率を計算した。
複合酸化物触媒20mlを内径15mmのステンレス鋼製ナイタージャケット付反応管に充填し、プロピレン濃度10%、スチーム濃度17%、及び空気濃度73%の原料ガスを常圧にて通過させて、実施例1と比較例1は接触時間2.0秒、310℃、実施例2と比較例2は接触時間1.8秒、305℃、実施例3と比較例3は接触時間1.8秒、300℃の反応条件にて、プロピレンの酸化反応を実施したところ、表1に示す結果が得られた。
【0036】
なお、表1において、細孔容積の割合とは、0.03〜0.1μmに存在する細孔又は0.1〜1μmに存在する細孔により占められる細孔容積の全細孔容積中の割合をいう。
【0037】
ここで、プロピレン転化率、アクロレイン収率、アクリル酸収率の定義は、次の通りである。
プロピレン転化率(モル%)=(反応したプロピレンのモル数/供給したプロピレンのモル数)×100
アクロレイン収率(モル数)=(生成したアクロレインのモル数/供給したプロピレンのモル数)×100
アクリル酸収率(モル数)=(生成したアクリル酸のモル数/供給したプロピレンのモル数)×100
【0038】
【表1】
Figure 0004157362
【0039】
比較例1、2、3で得られた複合酸化物触媒は、比表面積が過大で、0.1〜1μmの細孔容積が過少であり、アクロレイン収率、アクリル酸収率が実施例1、2、3のものに比し低かった。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、転化率、収率の高い工業的に優れたプロピレンの酸化触媒が得られる。

Claims (1)

  1. 下記一般式(1)で表され、その比表面積が5〜25m2/g、その細孔容積が0.2〜0.7cc/gの範囲内にあり、かつ、その細孔径分布において細孔径直径が0.03〜0.1μmに存在する細孔により占められる細孔容積は全細孔容積のうちの30%以上、0.1〜1μmに存在する細孔により占められる細孔容積は全細孔容積のうちの20%以上及び細孔径直径が0.03μmより小さい割合が10%以下の分布を有することを特徴とするプロピレンを酸化してアクロレイン及びアクリル酸を製造する際に用いられる複合酸化物触媒の製造方法において、珪素の供給源化合物として、平均一次粒子径が20〜50nmである熱分解シリカを使用することを特徴とする複合酸化物触媒の製造方法。
    MoBiCoNiFeSi (1)
    (式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表わし、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=5〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
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