JP4156434B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は電動パワーステアリング装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
電動パワーステアリング装置は、特許文献１、２に記載の如く、ハウジングと、ハウジングに固定される電動モータと、ハウジングに軸受を介して支持され、電動モータの回転軸と接続されるアシスト軸と、アシスト軸と操舵装置の操舵力伝達系とを連結し、電動モータの補助操舵力を操舵装置の操舵力伝達系に伝達する歯車機構とを有する。これにより、操舵装置のステアリングホイールに印加する手動操作力を操舵アシストする。このような電動パワーステアリング装置では、反転駆動時や、タイヤの縁石乗り上げ時等に、アシスト軸に過大スラスト力が作用した場合でも、アシスト軸が弾性支持状態下で軸方向に移動してその過大スラスト力を吸収でき、結果として、アシスト軸に接続されている歯車機構の歯面に生ずる衝撃力を緩和して歯面同士の叩き音を低減し、或いはアシスト軸の慣性推力によるトルク伝達経路の損傷を回避する。
【０００３】
特許文献１の電動パワーステアリング装置では、アシスト軸のフランジと軸受との間に、アシスト軸のスラスト変位に対して圧縮変形することにより、アシスト軸をハウジングに対し軸方向に弾性支持する弾性支持具を有している。
【０００４】
特許文献２の電動パワーステアリング装置では、ハウジングをアシスト軸の軸受の間に、アシスト軸のスラスト変位に対して剪断変形することにより、アシスト軸をハウジングに対し軸方向に弾性支持する弾性支持具を有している。
【０００５】
【特許文献１】
特許3376869（1頁、図２）
【０００６】
【特許文献２】
特開2001-322554（1頁、図２）
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献１では、アシスト軸のための弾性支持具が圧縮変形によりアシスト軸を弾性支持するものであり、バネ特性の線形変位域の幅が狭く、弾性支持具がアシスト軸を弾性支持状態下で移動可能にする弾性支持域が狭いため、アシスト軸に作用する過大推力の吸収性能が低い。
【０００８】
特許文献２では、剪断変形によりアシスト軸を弾性支持する弾性支持具が、アシスト軸の軸受の外周に嵌挿された状態で、ハウジングの取付部に圧入されるものであり、組付性が悪い。
【０００９】
本発明の課題は、電動パワーステアリング装置において、簡易な構成により、アシスト軸のための弾性支持具のバネ特性の設定の自由度を向上することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
請求項１の発明は、ハウジングと、ハウジングに固定される電動モータと、ハウジングに軸受を介して支持され、電動モータの回転軸と接続されるアシスト軸と、アシスト軸と操舵装置の操舵力伝達系とを連結し、電動モータの補助操舵力を操舵装置の操舵力伝達系に伝達する歯車機構と、を有してなり、アシスト軸と軸受との間に装填され、アシスト軸のスライド変位に対して剪断変形することにより、アシスト軸をハウジングに対し軸方向に弾性支持する弾性支持具を有する電動パワーステアリング装置において、前記弾性支持具が、内環と外環の間に弾性体を挟んでなり、アシスト軸に内環を嵌挿し、外環の端面をアシスト軸のフランジに衝合し、内環の端面を軸受に衝合してなるようにしたものである。
【００１１】
請求項２の発明は、請求項１の発明において更に、前記弾性支持具がアシスト軸のフランジと軸受の内輪との間に装填されるようにしたものである。
【００１２】
請求項３の発明は、請求項１又は２の発明において更に、前記アシスト軸が左右の軸受を介してハウジングに支持され、一方の軸受の側に設けた弾性支持具によりアシスト軸を軸方向の一方向に弾性支持し、他方の軸受の側に設けた弾性支持具によりアシスト軸を軸方向の他方向に弾性支持するようにしたものである。
【００１３】
請求項４の発明は、請求項１〜３のいずれかの発明において更に、前記弾性支持具が、内環の外周に設けた規制部を弾性体の端面に臨ませ、アシスト軸の軸方向で規制部を弾性体の端面に衝合させることにより、剪断変形量を規制するようにしたものである。
【００１５】
【発明の実施の形態】
図１は第１実施形態の電動パワーステアリング装置を一部破断して示す正面図、図２は図１のII−II線に沿う断面図、図３は図１のIII−III線に沿う断面図、図４は図３の要部拡大図、図５は左側軸受の側の弾性支持具の中立状態を示す断面図、図６は右側軸受の側の弾性支持具の中立状態を示す断面図、図７は弾性支持具のバネ特性線図、図８は従来例を示し、（Ａ）は弾性支持具を示す断面図、（Ｂ）バネ特性線図である。
【００１６】
電動パワーステアリング装置１０は、図１、図２に示す如く、車体フレーム等に固定されるアルミ合金製のギヤハウジング１１を有する。電動パワーステアリング装置１０の操舵装置１０Ａは、ステアリングホイールが結合されるステアリング軸１２にトーションバー１３を介してピニオン軸１４を連結し、このピニオン軸１４にピニオン１５を設け、このピニオン１５に噛合うラック１６Ａを備えたラック軸１６をギヤハウジング１１に左右動可能に支持している。ステアリング軸１２とピニオン軸１４の間には、操舵トルク検出装置１７を設けてある。尚、ステアリング軸１２とピニオン軸１４は軸受１２Ａ、１４Ａ、１４Ｂを介してギヤハウジング１１に支持される。ラック軸１６は、一端をラックガイド１８Ａに、他端を軸受１８Ｂに摺動自在に支持される。そして、ラック軸１６の中間部には左右のタイロッド１９Ａ、１９Ｂが連結される。
【００１７】
ギヤハウジング１１には、図３に示す如く、電動モータ３０のモータケース３１が固定され、電動モータ３０の回転軸３２にはアシスト軸２１がスプライン嵌合部４０により接続され、アシスト軸２１はボールベアリング等の左右の軸受２２、２３によりギヤハウジング１１に両端支持されている。そして、アシスト軸２１の左右の軸受２２、２３で挟まれる中間部にウォームギヤ２５を一体に備え、このウォームギヤ２５に噛合うウォームホイール２６をピニオン軸１４の中間部に固定してある。電動モータ３０の発生トルク（補助操舵力）は、ウォームギヤ２５とウォームホイール２６の噛合、ピニオン１５とラック１６Ａの噛合を介してラック軸１６に操舵アシスト力となって付与され、運転者がステアリング軸１２に付与する操舵力をアシストする。
【００１８】
即ち、ウォームギヤ２５とウォームホイール２６は本発明の歯車機構２４を構成する。歯車機構２４はアシスト軸２１と操舵装置１０Ａの操舵力伝達系を構成するピニオン１５とを連結し、電動モータ３０の補助操舵力を操舵装置１０Ａの操舵力伝達系に伝達する。
【００１９】
しかるに、アシスト軸２１は左右の軸受２２、２３を介してハウジング１１に支持されるに際し、下記(A)、(B)により、左側軸受２２の側に設けた弾性支持具５０によりアシスト軸２１を軸方向の一方向に弾性支持（アシスト軸２１の軸方向の一方側への変位にクッション力を付与可能に支持）し、右側軸受２３の側に設けた弾性支持具６０によりアシスト軸２１を軸方向の他方側に弾性支持（アシスト軸２１の軸方向の他方側への変位にクッション力を付与可能に支持）する。これにより、アシスト軸２１はハウジング１１に対し、軸方向の双方向に弾性支持され、電動パワーステアリング装置１０の反転駆動時や、タイヤの縁石乗り上げ時等に、アシスト軸２１に作用する過大スラスト力を吸収しながらアシスト軸２１を軸方向の双方向に移動可能にし、結果として、アシスト軸２１に接続されている歯車機構２４（ウォームギヤ２５、ウォームホイール２６）の歯面に生ずる衝撃力を緩和して歯面同士の叩き音を低減し、或いはアシスト軸２１の慣性推力によるトルク伝達経路の損傷を回避する。
【００２０】
(A)左側軸受２２の側におけるアシスト軸２１の弾性支持構造
アシスト軸２１の左側軸受２２の側では、図５に示す如く、軸受２２の外輪２２Ａをハウジング１１に固定し、アシスト軸２１を軸受２２の内輪２２Ｂに隙間嵌めする。軸受２２の外輪２２Ａは、ハウジング１１の段差部１１Ａと、ハウジング１１に螺着されるストッパ２９により挟持固定される。アシスト軸２１におけるウォームギヤ２５の左側にはフランジ２７を設ける。
【００２１】
アシスト軸２１のフランジ２７と軸受２２の内輪２２Ｂとの間に未荷重（荷重未負荷）又は予荷重（荷重負荷）された弾性支持具５０を介装する。弾性支持具５０は、内環５１の外周と外環５２の内周の間の環状間隙にゴム等からなる弾性変形可能な弾性体５３を挟み、弾性体５３に内環５１と外環５２に挟まれる剪断変形部５３Ａを設ける。内環５１、外環５２は弾性体５３に焼付又は接着剤を用いて接着一体化される。
【００２２】
弾性支持具５０は、外環５２の左端面に弾性体５３のストッパ部５４を焼付又は接着剤を用いて被着し、内環５１の左端寄り外周に設けたフランジ状規制部５５を弾性体５３のストッパ部５４の端面に臨ませ、アシスト軸２１の軸方向で規制部５５を弾性体５３のストッパ部５４に衝合させることにより、剪断変形量を規制可能にする。
【００２３】
弾性支持具５０は、アシスト軸２１に内環５１を隙間嵌めし、外環５２の右端面をアシスト軸２１のフランジ２７の端面に軸方向で衝合し、内環５１の左端面を軸受２２の内輪２２Ｂの端面に軸方向で衝合する。内環５１の規制部５５は、軸受２２のボール２２Ｃのための保持器２２Ｄから離隔する。アシスト軸２１に一定のスラスト力が作用していない中立状態で、内環５１の規制部５５は外環５２の側の弾性体５３のストッパ部５４との間に一定の隙間（この隙間が弾性体５３の剪断変形部５３Ａの最大剪断変形量になる）を形成し、内環５１の右端面はアシスト軸２１のフランジ２７から大きく離隔する。これにより、弾性支持具５０は、アシスト軸２１が中立状態から図４、図５の左方向にスラスト変位したとき、弾性体５３の剪断変形部５３Ａを剪断変形する。
【００２４】
従って、アシスト軸２１の左側軸受２２の側では、アシスト軸２１の周囲に弾性支持具５０を装填した状態で、アシスト軸２１の中立状態では、アシスト軸２１を軸方向の中立位置に保持する。そして、アシスト軸２１に図４、図５の左方向に向かう一定以上のスラスト力が作用する段階で、弾性体５３の剪断変形部５３Ａがこのスラスト力に基づくアシスト軸２１のスラスト変位に対して剪断変形せしめられ、アシスト軸２１をハウジング１１に対し軸方向においてこのスラスト力が向かう左方向へ移動可能に弾性支持する。
【００２５】
図７は、本発明例の弾性支持具５０のバネ特性を、従来例の弾性支持具７０のバネ特性と比較して示したものである。従来例の弾性支持具７０は、図８に示す如く、両側板７１、７２の間に弾性体７３を挟んで構成されたものであり、この弾性支持具７０をアシスト軸２１のフランジ２７と軸受２１の内輪２２Ｂとの間に介装し、アシスト軸２１に作用する一定以上のスラスト力により弾性体７３を圧縮変形せしめるようにしたものである。
【００２６】
本発明例の弾性支持具５０を用いた場合には、アシスト軸２１のスラスト変位に対し弾性体５３の剪断変形部５３Ａの剪断変形に基づくバネ荷重を生じ、弾性支持具５０のバネ特性の線形変位域（アシスト軸２１のスラスト変位量に対しバネ荷重の変化が直線をなす変位域）の幅が従来例（図８（Ｂ））に比して広くなる。本発明例の弾性支持具５０の弾性体５３では、線形変位域の終点（変曲点）を、剪断変形部５３Ａの形状の設定により自由に変化させることができる。
【００２７】
(B)右側軸受２３の側におけるアシスト軸２１の弾性支持構造
アシスト軸２１の右側軸受２３の側では、図６に示す如く、軸受２３の外輪２３Ａをハウジング１１に固定し、アシスト軸２１を軸受２３の内輪２３Ｂに隙間嵌めする。軸受２３の外輪２３Ａは、ハウジング１１の段差部１１Ｂに押当て固定される。アシスト軸２１におけるウォームギヤ２５の右側にはフランジ２８を設ける。
【００２８】
アシスト軸２１のフランジ２８と軸受２３の内輪２３Ｂとの間に未荷重（荷重未負荷）又は予荷重（荷重負荷）された弾性支持具６０を介装する。弾性支持具６０は、内環６１の外周と外環６２の内周の間の環状間隙にゴム等からなる弾性変形可能な弾性体６３を挟み、弾性体６３に内環６１と外環６２に挟まれる剪断変形部６３Ａを設ける。内環６１、外環６２は弾性体６３に焼付又は接着剤を用いて接着一体化される。
【００２９】
弾性支持具６０は、外環６２の右端面に弾性体６３のストッパ部６４を焼付又は接着剤を用いて被着し、内環６１の右端寄り外周に設けたフランジ状規制部６５を弾性体６３のストッパ部６４に臨ませ、アシスト軸２１の軸方向で規制部６５を弾性体６３のストッパ部６４に衝合させることにより、剪断変形量を規制可能にする。
【００３０】
弾性支持具６０は、アシスト軸２１に内環６１を隙間嵌めし、外環６２の左端面をアシスト軸２１のフランジ２８の端面に軸方向で衝合し、内環６１の右端面を軸受２３の内輪２３Ｂの端面に軸方向で衝合する。内環６１の規制部６５は、軸受２３のボール２３Ｃのための保持器２３Ｄから離隔する。アシスト軸２１に一定のスラスト力が作用していない中立状態で、内環６１の規制部６５は外環６２の側の弾性体６３のストッパ部６４との間に一定の隙間（この隙間が弾性体６３の剪断変形部６３Ａの最大剪断変形量になる）を形成し、内環６１の左端面はアシスト軸２１のフランジ２８から大きく離隔する。これにより、弾性支軸具６０は、アシスト軸２１が中立状態から図４、図６の右方向にスラスト変位したとき、弾性体６３を剪断変形部６３Ａを剪断変形する。
【００３１】
従って、アシスト軸２１の右側の軸受２３の側では、アシスト軸２１の周囲に弾性支持具６０を装填した状態で、アシスト軸２１の中立状態では、アシスト軸２１を軸方向の中立位置に保持する。そして、アシスト軸２１に図４、図６の右方向に向かう一定以上のスラスト力が作用する段階で、弾性体６３の剪断変形部６３Ａがこのスラスト力に基づくアシスト軸２１のスラスト変位に対して剪断変形せしめられ、アシスト軸２１をハウジング１１に対し軸方向においてこのスラスト力が向かう右方向へ移動可能に弾性支持する。
【００３２】
本発明例の弾性支持具６０のバネ特性は、前述の図７に示した弾性支持具５０におけると同様に、アシスト軸２１のスラスト変位に対し弾性体６３の剪断変形部６３Ａの剪断変形に基づくバネ荷重を生じ、弾性支持具６０のバネ特性の線形変位域（アシスト軸２１のスラスト変位量に対しバネ荷重の変化が直線をなす変位域）の幅を従来例（図８（Ｂ））に比して広くする。本発明例の弾性支持具６０の弾性体６３では、線形変位域の終点（変曲点）を、剪断変形部６３Ａの形状の設定により自由に変化させることができる。
【００３３】
電動パワーステアリング装置１０にあっては、左側軸受２２の側におけるアシスト軸２１のための弾性支持具５０、右側軸受２３の側におけるアシスト軸２１のための弾性支持具６０を上述の如くに構成したから以下の作用効果がある。
【００３４】
▲１▼アシスト軸２１のための弾性支軸具５０、６０が剪断変形によりアシスト軸２１を弾性支持するものであり、弾性支持具５０、６０のバネ特性の線形変位域の幅が広くなる。これにより、電動パワーステアリング装置１０の反転駆動時や縁石乗り上げ時等に、アシスト軸２１に過大スラスト力が作用した場合に、アシスト軸２１が弾性支持状態下で軸方向に移動する弾性支持域（移動量）が広くなり、アシスト軸２１に作用する過大スラスト力の吸収性能が高くなる。従って、アシスト軸２１に接続されている歯車機構の歯面に生じる衝撃力を緩和して歯面同士の叩き音を確実に低減し、或いはアシスト軸２１の慣性スラスト力によるトルク伝達経路の損傷を確実に回避する。
【００３５】
▲２▼弾性支持具５０、６０をアシスト軸２１と軸受２２、２３との間に装填するようにしたから、アシスト軸２１及び軸受２２、２３をハウジング１１に組付ける前のアシスト軸組立体に弾性支持具５０、６０を組付けでき、組付性が良い。
【００３６】
▲３▼弾性支持具５０、６０がアシスト軸２１のフランジ２７、２８と軸受２２、２３の内輪２２Ｂ、２３Ｂとの間に装填されるようにしたから、前述▲２▼の弾性支持具５０、６０の組付性を向上できる。
【００３７】
▲４▼左側軸受２２の側に設けた弾性支持具５０と、右側軸受２３の側に設けた弾性支持具６０により、アシスト軸２１を弾性支持状態下で軸方向の双方向に移動させ、前述▲１▼の如くに過大スラスト力を吸収できる。
【００３８】
▲５▼弾性支持具５０、６０が内環５１、６１と外環５２、６２の間に弾性体５３、６３を挟んで構成されるものとすることにより、弾性支持具５０、６０の構成を単純化し、組付性を簡易化できる。
【００３９】
▲６▼弾性支持具５０、６０の内環５１、６１の外周に設けた規制部５５、６５を弾性体５３、６３のストッパ部５４、６４に衝合させることにより、剪断変形量を規制するようにしたから、弾性支持具５０、６０の最大剪断変形（アシスト軸２１のスラスト変位）を静粛に（打音を生ずることなく）規制できる。
【００４０】
本発明例では、弾性支持具の外環の内周に設けた規制部を、弾性支持具の弾性体の端面に設けたストッパ部に臨ませ、アシスト軸の軸方向で規制部を弾性体のストッパ部に衝合させることにより、弾性支持具の剪断変形量を規制するようにしても良い。
【００４１】
また、本発明では、弾性支持具の内環の端面を、アシスト軸の軸方向でアシスト軸のフランジの端面に衝合させることにより、弾性支持具の剪断変形量を規制するようにしても良い。
【００４２】
以上、本発明の実施の形態を図面により記述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【００４３】
【発明の効果】
本発明によれば、電動パワーステアリング装置において、簡易な構成により、アシスト軸のための弾性支持具のバネ特性の設定の自由度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は第１実施形態の電動パワーステアリング装置を一部破断して示す正面図である。
【図２】図２は図１のII−II線に沿う断面図である。
【図３】図３は図１のIII−III線に沿う断面図である。
【図４】図４は図３の要部拡大図である。
【図５】図５は左側軸受の側の弾性支持具の中立状態を示す断面図である。
【図６】図６は右側軸受の側の弾性支持具の中立状態を示す断面図である。
【図７】図７は弾性支持具のバネ特性線図である。
【図８】図８は従来例を示し、（Ａ）は弾性支持具を示す断面図、（Ｂ）バネ特性線図である。
【符号の説明】
１０ 電動パワーステアリング装置
１０Ａ 操舵装置
１１ ハウジング
２１ アシスト軸
２２、２３ 軸受
２２Ａ、２３Ａ 外輪
２２Ｂ、２３Ｂ 内輪
２４ 歯車機構
２７、２８ フランジ
３０ 電動モータ
３２ 回転軸
５０、６０ 弾性支持具
５１、６１ 内環
５２、６２ 外環
５３、６３ 弾性体
５５、６５ 規制部
【発明の属する技術分野】
本発明は電動パワーステアリング装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
電動パワーステアリング装置は、特許文献１、２に記載の如く、ハウジングと、ハウジングに固定される電動モータと、ハウジングに軸受を介して支持され、電動モータの回転軸と接続されるアシスト軸と、アシスト軸と操舵装置の操舵力伝達系とを連結し、電動モータの補助操舵力を操舵装置の操舵力伝達系に伝達する歯車機構とを有する。これにより、操舵装置のステアリングホイールに印加する手動操作力を操舵アシストする。このような電動パワーステアリング装置では、反転駆動時や、タイヤの縁石乗り上げ時等に、アシスト軸に過大スラスト力が作用した場合でも、アシスト軸が弾性支持状態下で軸方向に移動してその過大スラスト力を吸収でき、結果として、アシスト軸に接続されている歯車機構の歯面に生ずる衝撃力を緩和して歯面同士の叩き音を低減し、或いはアシスト軸の慣性推力によるトルク伝達経路の損傷を回避する。
【０００３】
特許文献１の電動パワーステアリング装置では、アシスト軸のフランジと軸受との間に、アシスト軸のスラスト変位に対して圧縮変形することにより、アシスト軸をハウジングに対し軸方向に弾性支持する弾性支持具を有している。
【０００４】
特許文献２の電動パワーステアリング装置では、ハウジングをアシスト軸の軸受の間に、アシスト軸のスラスト変位に対して剪断変形することにより、アシスト軸をハウジングに対し軸方向に弾性支持する弾性支持具を有している。
【０００５】
【特許文献１】
特許3376869（1頁、図２）
【０００６】
【特許文献２】
特開2001-322554（1頁、図２）
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献１では、アシスト軸のための弾性支持具が圧縮変形によりアシスト軸を弾性支持するものであり、バネ特性の線形変位域の幅が狭く、弾性支持具がアシスト軸を弾性支持状態下で移動可能にする弾性支持域が狭いため、アシスト軸に作用する過大推力の吸収性能が低い。
【０００８】
特許文献２では、剪断変形によりアシスト軸を弾性支持する弾性支持具が、アシスト軸の軸受の外周に嵌挿された状態で、ハウジングの取付部に圧入されるものであり、組付性が悪い。
【０００９】
本発明の課題は、電動パワーステアリング装置において、簡易な構成により、アシスト軸のための弾性支持具のバネ特性の設定の自由度を向上することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
請求項１の発明は、ハウジングと、ハウジングに固定される電動モータと、ハウジングに軸受を介して支持され、電動モータの回転軸と接続されるアシスト軸と、アシスト軸と操舵装置の操舵力伝達系とを連結し、電動モータの補助操舵力を操舵装置の操舵力伝達系に伝達する歯車機構と、を有してなり、アシスト軸と軸受との間に装填され、アシスト軸のスライド変位に対して剪断変形することにより、アシスト軸をハウジングに対し軸方向に弾性支持する弾性支持具を有する電動パワーステアリング装置において、前記弾性支持具が、内環と外環の間に弾性体を挟んでなり、アシスト軸に内環を嵌挿し、外環の端面をアシスト軸のフランジに衝合し、内環の端面を軸受に衝合してなるようにしたものである。
【００１１】
請求項２の発明は、請求項１の発明において更に、前記弾性支持具がアシスト軸のフランジと軸受の内輪との間に装填されるようにしたものである。
【００１２】
請求項３の発明は、請求項１又は２の発明において更に、前記アシスト軸が左右の軸受を介してハウジングに支持され、一方の軸受の側に設けた弾性支持具によりアシスト軸を軸方向の一方向に弾性支持し、他方の軸受の側に設けた弾性支持具によりアシスト軸を軸方向の他方向に弾性支持するようにしたものである。
【００１３】
請求項４の発明は、請求項１〜３のいずれかの発明において更に、前記弾性支持具が、内環の外周に設けた規制部を弾性体の端面に臨ませ、アシスト軸の軸方向で規制部を弾性体の端面に衝合させることにより、剪断変形量を規制するようにしたものである。
【００１５】
【発明の実施の形態】
図１は第１実施形態の電動パワーステアリング装置を一部破断して示す正面図、図２は図１のII−II線に沿う断面図、図３は図１のIII−III線に沿う断面図、図４は図３の要部拡大図、図５は左側軸受の側の弾性支持具の中立状態を示す断面図、図６は右側軸受の側の弾性支持具の中立状態を示す断面図、図７は弾性支持具のバネ特性線図、図８は従来例を示し、（Ａ）は弾性支持具を示す断面図、（Ｂ）バネ特性線図である。
【００１６】
電動パワーステアリング装置１０は、図１、図２に示す如く、車体フレーム等に固定されるアルミ合金製のギヤハウジング１１を有する。電動パワーステアリング装置１０の操舵装置１０Ａは、ステアリングホイールが結合されるステアリング軸１２にトーションバー１３を介してピニオン軸１４を連結し、このピニオン軸１４にピニオン１５を設け、このピニオン１５に噛合うラック１６Ａを備えたラック軸１６をギヤハウジング１１に左右動可能に支持している。ステアリング軸１２とピニオン軸１４の間には、操舵トルク検出装置１７を設けてある。尚、ステアリング軸１２とピニオン軸１４は軸受１２Ａ、１４Ａ、１４Ｂを介してギヤハウジング１１に支持される。ラック軸１６は、一端をラックガイド１８Ａに、他端を軸受１８Ｂに摺動自在に支持される。そして、ラック軸１６の中間部には左右のタイロッド１９Ａ、１９Ｂが連結される。
【００１７】
ギヤハウジング１１には、図３に示す如く、電動モータ３０のモータケース３１が固定され、電動モータ３０の回転軸３２にはアシスト軸２１がスプライン嵌合部４０により接続され、アシスト軸２１はボールベアリング等の左右の軸受２２、２３によりギヤハウジング１１に両端支持されている。そして、アシスト軸２１の左右の軸受２２、２３で挟まれる中間部にウォームギヤ２５を一体に備え、このウォームギヤ２５に噛合うウォームホイール２６をピニオン軸１４の中間部に固定してある。電動モータ３０の発生トルク（補助操舵力）は、ウォームギヤ２５とウォームホイール２６の噛合、ピニオン１５とラック１６Ａの噛合を介してラック軸１６に操舵アシスト力となって付与され、運転者がステアリング軸１２に付与する操舵力をアシストする。
【００１８】
即ち、ウォームギヤ２５とウォームホイール２６は本発明の歯車機構２４を構成する。歯車機構２４はアシスト軸２１と操舵装置１０Ａの操舵力伝達系を構成するピニオン１５とを連結し、電動モータ３０の補助操舵力を操舵装置１０Ａの操舵力伝達系に伝達する。
【００１９】
しかるに、アシスト軸２１は左右の軸受２２、２３を介してハウジング１１に支持されるに際し、下記(A)、(B)により、左側軸受２２の側に設けた弾性支持具５０によりアシスト軸２１を軸方向の一方向に弾性支持（アシスト軸２１の軸方向の一方側への変位にクッション力を付与可能に支持）し、右側軸受２３の側に設けた弾性支持具６０によりアシスト軸２１を軸方向の他方側に弾性支持（アシスト軸２１の軸方向の他方側への変位にクッション力を付与可能に支持）する。これにより、アシスト軸２１はハウジング１１に対し、軸方向の双方向に弾性支持され、電動パワーステアリング装置１０の反転駆動時や、タイヤの縁石乗り上げ時等に、アシスト軸２１に作用する過大スラスト力を吸収しながらアシスト軸２１を軸方向の双方向に移動可能にし、結果として、アシスト軸２１に接続されている歯車機構２４（ウォームギヤ２５、ウォームホイール２６）の歯面に生ずる衝撃力を緩和して歯面同士の叩き音を低減し、或いはアシスト軸２１の慣性推力によるトルク伝達経路の損傷を回避する。
【００２０】
(A)左側軸受２２の側におけるアシスト軸２１の弾性支持構造
アシスト軸２１の左側軸受２２の側では、図５に示す如く、軸受２２の外輪２２Ａをハウジング１１に固定し、アシスト軸２１を軸受２２の内輪２２Ｂに隙間嵌めする。軸受２２の外輪２２Ａは、ハウジング１１の段差部１１Ａと、ハウジング１１に螺着されるストッパ２９により挟持固定される。アシスト軸２１におけるウォームギヤ２５の左側にはフランジ２７を設ける。
【００２１】
アシスト軸２１のフランジ２７と軸受２２の内輪２２Ｂとの間に未荷重（荷重未負荷）又は予荷重（荷重負荷）された弾性支持具５０を介装する。弾性支持具５０は、内環５１の外周と外環５２の内周の間の環状間隙にゴム等からなる弾性変形可能な弾性体５３を挟み、弾性体５３に内環５１と外環５２に挟まれる剪断変形部５３Ａを設ける。内環５１、外環５２は弾性体５３に焼付又は接着剤を用いて接着一体化される。
【００２２】
弾性支持具５０は、外環５２の左端面に弾性体５３のストッパ部５４を焼付又は接着剤を用いて被着し、内環５１の左端寄り外周に設けたフランジ状規制部５５を弾性体５３のストッパ部５４の端面に臨ませ、アシスト軸２１の軸方向で規制部５５を弾性体５３のストッパ部５４に衝合させることにより、剪断変形量を規制可能にする。
【００２３】
弾性支持具５０は、アシスト軸２１に内環５１を隙間嵌めし、外環５２の右端面をアシスト軸２１のフランジ２７の端面に軸方向で衝合し、内環５１の左端面を軸受２２の内輪２２Ｂの端面に軸方向で衝合する。内環５１の規制部５５は、軸受２２のボール２２Ｃのための保持器２２Ｄから離隔する。アシスト軸２１に一定のスラスト力が作用していない中立状態で、内環５１の規制部５５は外環５２の側の弾性体５３のストッパ部５４との間に一定の隙間（この隙間が弾性体５３の剪断変形部５３Ａの最大剪断変形量になる）を形成し、内環５１の右端面はアシスト軸２１のフランジ２７から大きく離隔する。これにより、弾性支持具５０は、アシスト軸２１が中立状態から図４、図５の左方向にスラスト変位したとき、弾性体５３の剪断変形部５３Ａを剪断変形する。
【００２４】
従って、アシスト軸２１の左側軸受２２の側では、アシスト軸２１の周囲に弾性支持具５０を装填した状態で、アシスト軸２１の中立状態では、アシスト軸２１を軸方向の中立位置に保持する。そして、アシスト軸２１に図４、図５の左方向に向かう一定以上のスラスト力が作用する段階で、弾性体５３の剪断変形部５３Ａがこのスラスト力に基づくアシスト軸２１のスラスト変位に対して剪断変形せしめられ、アシスト軸２１をハウジング１１に対し軸方向においてこのスラスト力が向かう左方向へ移動可能に弾性支持する。
【００２５】
図７は、本発明例の弾性支持具５０のバネ特性を、従来例の弾性支持具７０のバネ特性と比較して示したものである。従来例の弾性支持具７０は、図８に示す如く、両側板７１、７２の間に弾性体７３を挟んで構成されたものであり、この弾性支持具７０をアシスト軸２１のフランジ２７と軸受２１の内輪２２Ｂとの間に介装し、アシスト軸２１に作用する一定以上のスラスト力により弾性体７３を圧縮変形せしめるようにしたものである。
【００２６】
本発明例の弾性支持具５０を用いた場合には、アシスト軸２１のスラスト変位に対し弾性体５３の剪断変形部５３Ａの剪断変形に基づくバネ荷重を生じ、弾性支持具５０のバネ特性の線形変位域（アシスト軸２１のスラスト変位量に対しバネ荷重の変化が直線をなす変位域）の幅が従来例（図８（Ｂ））に比して広くなる。本発明例の弾性支持具５０の弾性体５３では、線形変位域の終点（変曲点）を、剪断変形部５３Ａの形状の設定により自由に変化させることができる。
【００２７】
(B)右側軸受２３の側におけるアシスト軸２１の弾性支持構造
アシスト軸２１の右側軸受２３の側では、図６に示す如く、軸受２３の外輪２３Ａをハウジング１１に固定し、アシスト軸２１を軸受２３の内輪２３Ｂに隙間嵌めする。軸受２３の外輪２３Ａは、ハウジング１１の段差部１１Ｂに押当て固定される。アシスト軸２１におけるウォームギヤ２５の右側にはフランジ２８を設ける。
【００２８】
アシスト軸２１のフランジ２８と軸受２３の内輪２３Ｂとの間に未荷重（荷重未負荷）又は予荷重（荷重負荷）された弾性支持具６０を介装する。弾性支持具６０は、内環６１の外周と外環６２の内周の間の環状間隙にゴム等からなる弾性変形可能な弾性体６３を挟み、弾性体６３に内環６１と外環６２に挟まれる剪断変形部６３Ａを設ける。内環６１、外環６２は弾性体６３に焼付又は接着剤を用いて接着一体化される。
【００２９】
弾性支持具６０は、外環６２の右端面に弾性体６３のストッパ部６４を焼付又は接着剤を用いて被着し、内環６１の右端寄り外周に設けたフランジ状規制部６５を弾性体６３のストッパ部６４に臨ませ、アシスト軸２１の軸方向で規制部６５を弾性体６３のストッパ部６４に衝合させることにより、剪断変形量を規制可能にする。
【００３０】
弾性支持具６０は、アシスト軸２１に内環６１を隙間嵌めし、外環６２の左端面をアシスト軸２１のフランジ２８の端面に軸方向で衝合し、内環６１の右端面を軸受２３の内輪２３Ｂの端面に軸方向で衝合する。内環６１の規制部６５は、軸受２３のボール２３Ｃのための保持器２３Ｄから離隔する。アシスト軸２１に一定のスラスト力が作用していない中立状態で、内環６１の規制部６５は外環６２の側の弾性体６３のストッパ部６４との間に一定の隙間（この隙間が弾性体６３の剪断変形部６３Ａの最大剪断変形量になる）を形成し、内環６１の左端面はアシスト軸２１のフランジ２８から大きく離隔する。これにより、弾性支軸具６０は、アシスト軸２１が中立状態から図４、図６の右方向にスラスト変位したとき、弾性体６３を剪断変形部６３Ａを剪断変形する。
【００３１】
従って、アシスト軸２１の右側の軸受２３の側では、アシスト軸２１の周囲に弾性支持具６０を装填した状態で、アシスト軸２１の中立状態では、アシスト軸２１を軸方向の中立位置に保持する。そして、アシスト軸２１に図４、図６の右方向に向かう一定以上のスラスト力が作用する段階で、弾性体６３の剪断変形部６３Ａがこのスラスト力に基づくアシスト軸２１のスラスト変位に対して剪断変形せしめられ、アシスト軸２１をハウジング１１に対し軸方向においてこのスラスト力が向かう右方向へ移動可能に弾性支持する。
【００３２】
本発明例の弾性支持具６０のバネ特性は、前述の図７に示した弾性支持具５０におけると同様に、アシスト軸２１のスラスト変位に対し弾性体６３の剪断変形部６３Ａの剪断変形に基づくバネ荷重を生じ、弾性支持具６０のバネ特性の線形変位域（アシスト軸２１のスラスト変位量に対しバネ荷重の変化が直線をなす変位域）の幅を従来例（図８（Ｂ））に比して広くする。本発明例の弾性支持具６０の弾性体６３では、線形変位域の終点（変曲点）を、剪断変形部６３Ａの形状の設定により自由に変化させることができる。
【００３３】
電動パワーステアリング装置１０にあっては、左側軸受２２の側におけるアシスト軸２１のための弾性支持具５０、右側軸受２３の側におけるアシスト軸２１のための弾性支持具６０を上述の如くに構成したから以下の作用効果がある。
【００３４】
▲１▼アシスト軸２１のための弾性支軸具５０、６０が剪断変形によりアシスト軸２１を弾性支持するものであり、弾性支持具５０、６０のバネ特性の線形変位域の幅が広くなる。これにより、電動パワーステアリング装置１０の反転駆動時や縁石乗り上げ時等に、アシスト軸２１に過大スラスト力が作用した場合に、アシスト軸２１が弾性支持状態下で軸方向に移動する弾性支持域（移動量）が広くなり、アシスト軸２１に作用する過大スラスト力の吸収性能が高くなる。従って、アシスト軸２１に接続されている歯車機構の歯面に生じる衝撃力を緩和して歯面同士の叩き音を確実に低減し、或いはアシスト軸２１の慣性スラスト力によるトルク伝達経路の損傷を確実に回避する。
【００３５】
▲２▼弾性支持具５０、６０をアシスト軸２１と軸受２２、２３との間に装填するようにしたから、アシスト軸２１及び軸受２２、２３をハウジング１１に組付ける前のアシスト軸組立体に弾性支持具５０、６０を組付けでき、組付性が良い。
【００３６】
▲３▼弾性支持具５０、６０がアシスト軸２１のフランジ２７、２８と軸受２２、２３の内輪２２Ｂ、２３Ｂとの間に装填されるようにしたから、前述▲２▼の弾性支持具５０、６０の組付性を向上できる。
【００３７】
▲４▼左側軸受２２の側に設けた弾性支持具５０と、右側軸受２３の側に設けた弾性支持具６０により、アシスト軸２１を弾性支持状態下で軸方向の双方向に移動させ、前述▲１▼の如くに過大スラスト力を吸収できる。
【００３８】
▲５▼弾性支持具５０、６０が内環５１、６１と外環５２、６２の間に弾性体５３、６３を挟んで構成されるものとすることにより、弾性支持具５０、６０の構成を単純化し、組付性を簡易化できる。
【００３９】
▲６▼弾性支持具５０、６０の内環５１、６１の外周に設けた規制部５５、６５を弾性体５３、６３のストッパ部５４、６４に衝合させることにより、剪断変形量を規制するようにしたから、弾性支持具５０、６０の最大剪断変形（アシスト軸２１のスラスト変位）を静粛に（打音を生ずることなく）規制できる。
【００４０】
本発明例では、弾性支持具の外環の内周に設けた規制部を、弾性支持具の弾性体の端面に設けたストッパ部に臨ませ、アシスト軸の軸方向で規制部を弾性体のストッパ部に衝合させることにより、弾性支持具の剪断変形量を規制するようにしても良い。
【００４１】
また、本発明では、弾性支持具の内環の端面を、アシスト軸の軸方向でアシスト軸のフランジの端面に衝合させることにより、弾性支持具の剪断変形量を規制するようにしても良い。
【００４２】
以上、本発明の実施の形態を図面により記述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【００４３】
【発明の効果】
本発明によれば、電動パワーステアリング装置において、簡易な構成により、アシスト軸のための弾性支持具のバネ特性の設定の自由度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は第１実施形態の電動パワーステアリング装置を一部破断して示す正面図である。
【図２】図２は図１のII−II線に沿う断面図である。
【図３】図３は図１のIII−III線に沿う断面図である。
【図４】図４は図３の要部拡大図である。
【図５】図５は左側軸受の側の弾性支持具の中立状態を示す断面図である。
【図６】図６は右側軸受の側の弾性支持具の中立状態を示す断面図である。
【図７】図７は弾性支持具のバネ特性線図である。
【図８】図８は従来例を示し、（Ａ）は弾性支持具を示す断面図、（Ｂ）バネ特性線図である。
【符号の説明】
１０ 電動パワーステアリング装置
１０Ａ 操舵装置
１１ ハウジング
２１ アシスト軸
２２、２３ 軸受
２２Ａ、２３Ａ 外輪
２２Ｂ、２３Ｂ 内輪
２４ 歯車機構
２７、２８ フランジ
３０ 電動モータ
３２ 回転軸
５０、６０ 弾性支持具
５１、６１ 内環
５２、６２ 外環
５３、６３ 弾性体
５５、６５ 規制部
Claims (4)
- ハウジングと、
ハウジングに固定される電動モータと、
ハウジングに軸受を介して支持され、電動モータの回転軸と接続されるアシスト軸と、
アシスト軸と操舵装置の操舵力伝達系とを連結し、電動モータの補助操舵力を操舵装置の操舵力伝達系に伝達する歯車機構と、を有してなり、
アシスト軸と軸受との間に装填され、アシスト軸のスライド変位に対して剪断変形することにより、アシスト軸をハウジングに対し軸方向に弾性支持する弾性支持具を有する電動パワーステアリング装置において、
前記弾性支持具が、内環と外環の間に弾性体を挟んでなり、
アシスト軸に内環を嵌挿し、外環の端面をアシスト軸のフランジに衝合し、内環の端面を軸受に衝合してなることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記弾性支持具がアシスト軸のフランジと軸受の内輪との間に装填される請求項１に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記アシスト軸が左右の軸受を介してハウジングに支持され、
一方の軸受の側に設けた弾性支持具によりアシスト軸を軸方向の一方向に弾性支持し、
他方の軸受の側に設けた弾性支持具によりアシスト軸を軸方向の他方向に弾性支持する請求項１又は２に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記弾性支持具が、内環の外周に設けた規制部を弾性体の端面に臨ませ、アシスト軸の軸方向で規制部を弾性体の端面に衝合させることにより、剪断変形量を規制する請求項１〜３のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
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